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GOLGOのひとりごと

休業手当の未払いにご用心

2012.12.28

●休業手当未払いで日野自動車に労基署が是正勧告

減産などの影響により工場の操業を数日間停止した際、期間従業員に支払うべき休業手当を支払っていなかったとして、日野自動車が、八王子労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けました。
★使用者の責に帰すべき事由により休業する場合は、休業期間中は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない。(労基法第26条)

上記の事例に対し、顧問先である安城市の運送業の経営者さまから追加でご質問をいただきました。

内容は、「日給月給や日給の社員の出勤日を減らして、その分給与を減額してもいいのでしょうか?」です。

答え:×

給与の計算方法が日給月給制であれ、日給制であれ、<u><b>労働契約上労働義務がある時間</b></u>について、<u><b>使用者の指示により</b></u>労働者が労働できなくなった場合は、休業手当の支払義務が発生します。

(例)所定休日を土曜日と日曜日と労働契約で定めた日給1万円の社員を、仕事の発注量が少なかったために、ある週に3日しか働かせなかった場合、

日月火水木金土
休休休出出出休

この場合、月曜日と火曜日については「使用者の責に帰すべき事由により休業する場合」に該当しますので、平均賃金の60%以上の休業手当の支払義務が発生します。

ちなみに、同じように月曜日と火曜日を休業した場合でも、本人が風邪をひいて休んだ場合には、休業手当を支払う必要はありません。

休業手当を支払う義務があるかないかは、その休業が、使用者の指示によるものか、労働者の意志によるものかで決まります。

では、平均賃金の60%とはこの場合いくらになるのでしょうか?
日給1万円だから6千円、ではありません。

平均賃金とは・・・・算定事由発生日以前3ヶ月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間中の総日数で除した金額

(例)
休業があった日を2008年の12月8日とします。
賃金締切日は毎月末日であったとします。
この場合は、直近の賃金締切日から3ヶ月間の給与を、その期間の総日数で割ります。
毎週土日が休みで、残業が一切無かったとすると、
9月分→22万円
10月分→23万円
11月分→20万円
合計→65万円

9~11月の総日数(休日も含んだすべての日数)は91日
65万/91=7142.8571円
これが平均賃金となります。
この60%ですので、4285.7142円
小数点以下を切捨てると60%を下回ることになってしまうため、小数点以下は切り上げる必要があります。
よってこの場合、休業手当は最低でも4286円が必要となります。

参考までにこれを支払わないことによるリスクを挙げておきます。
①労働者が労働基準監督署に訴えた場合
・30万円以下の罰金
②裁判所に民事訴訟を起こした場合
・使用者の責めに帰すべき事由による休業に対する賃金全額(100%)の支払
・上記金額と同一額の付加金
・上記金額に対する年率14.5%の遅延利息

なお、①と②はどちらか一方だけが発生するとは限りません。国からは罰金を取られ、その上本人に対しては60%ではなく100%の賃金プラス同額の付加金(併せて200%)とその遅延利息の支払を裁判所から命じられる可能性があります。

このようなリスクを回避するためには以下のような対策が考えられます。
・労働者の意志で休業させた場合には、書面で休暇願を書かせる
・会社側の都合で休業させた場合には、法定された分の休業手当を支払う
・労働者の過半数を代表する者(又は労働組合)との間で、休業手当の額などを定めた休業協定を締結しておく
・雇入の際に所定労働日と所定休日、所定労働時間を明確に定めた雇用契約書を交わしておく
・就業規則に所定労働日と所定休日、所定労働時間を明確に定めておく

なお、生産量の減少幅等が一定の基準を満たした場合には、雇用調整助成金により、休業手当相当額の一部を国から補助を受けることができますので、それらを活用することで会社の負担を軽減することが可能です。

このように安城市の運送会社さまにご説明しご納得頂きました。

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