GOLGOのひとりごと
【休日・休憩・休暇】記事一覧
- 2023.11.14
- 有給休暇管理表の上手な作り方
- 2022.12.14
- 週休3日制の導入についての考察
- 2021.03.22
- 子の看護休暇と介護休暇の時間単位取得
- 2020.11.30
- 従業員が休憩を取らない代わりに、早く帰りたいと希望した時の対応
- 2020.11.09
- 退職者が引継ぎをせず、有給消化を申請した場合の対応
- 2020.04.03
- 使用人兼務役員の年次有給休暇の取扱について
- 2020.03.16
- 定年退職後の再雇用者に対する有給休暇の考え方
- 2020.02.03
- 慶弔休暇は有給か無給か?
- 2019.12.09
- 有給休暇の基準日の設定
- 2019.10.25
- 産前産後の労働者への対応
- 2019.05.30
- 有給休暇の理由を聞いてもいいか?
- 2019.02.12
- アルバイトにも有休?
- 2019.02.05
- 夏休みや冬休みを有休消化日にできるか
- 2019.01.18
- 出張の移動時間は労働時間になるのか?
- 2018.12.07
- 休日と休暇はどう違うか?
- 2018.12.03
- 慶弔休暇は会社の義務か?
- 2018.03.12
- 有給休暇の比例付与
- 2018.03.05
- 定年後再雇用、有給休暇の扱い
- 2017.12.04
- 就労時間後の飲み会は残業か?
- 2016.10.18
- 子供が病気になったら会社を休めるか?
- 2016.04.16
- 昼休みの電話番は労働時間か?
- 2016.04.09
- 掃除時間は労働時間か。
- 2016.03.08
- 介護休業
- 2016.03.02
- 育児休業
- 2015.12.16
- 半日単位の有給休暇
- 2015.12.08
- 取引先の接待で飲食をしている時間は残業か?
- 2015.10.02
- 休憩についての法律
- 2015.09.30
- 「法定休日」と「法定外休日」
- 2015.09.09
- 法定労働時間の原則と例外②
- 2015.09.02
- 法定労働時間の原則と例外 その1
- 2015.07.04
- 退職する社員が有給休暇をまとめて取ることは回避できるか?
- 2015.04.21
- 欠勤日の有給振替
- 2015.03.03
- 有休取得を会社は拒否できるか?
- 2014.03.04
- 産前産後休業の話
- 2014.01.09
- 休憩時間の考え方
- 2013.12.10
- 有給休暇を時間単位で取らせる方法
- 2013.05.20
- 退職時の有給一括取得は拒否できるか?
- 2013.02.02
- 休憩の自由利用の原則と例外
- 2013.01.30
- 休日と休暇の違い
- 2012.12.28
- 有給休暇は本当に社員の希望した日に与えなくてはならないのか?
- 2012.12.27
- 年次有給休暇の話①
- 2012.12.12
- 休憩時間の話
- 2012.04.04
- 有休を我慢させるのは会社にとって損か?得か?
有給休暇管理表の上手な作り方
ある日の事務所内の会話より
各社員の2020.1~2023.9の有休消化実績をいただいてますが、「それより前の有休は2020年の消滅&付与の際に満日数になる程度の消化しかしていない(つまり、前々年の有休は使い切る前に消滅)」と見做してしまってよいでしょうか。どこかのタイミングでそう見做さないと、前々年は?前々々年は?その前は?とキリが無く結局入社当初から把握し直さなければならず…
こういう思い込み、ありますね。
この時は、エクセルで次のようなデータを作ろうとしていました。
付与日数 | 消化日数 | 残日数 | |
2020/1/1 | 20 | 1 | 19 |
2020/2/1 | 1 | 18 | |
2020/3/1 | 18 | ||
2020/4/1 | 18 | ||
2020/5/1 | 18 | ||
2020/6/1 | 18 | ||
2020/7/1 | 18 | ||
2020/8/1 | 18 | ||
2020/9/1 | 18 | ||
2020/10/1 | 18 | ||
2020/11/1 | 18 | ||
2020/12/1 | 18 | ||
2021/1/1 | 20 | 38 | |
2021/2/1 | 38 | ||
2021/3/1 | 38 | ||
2021/4/1 | 10 | 28 | |
2021/5/1 | 28 | ||
2021/6/1 | 28 | ||
2021/7/1 | 28 | ||
2021/8/1 | 28 | ||
2021/9/1 | 28 | ||
2021/10/1 | 28 | ||
2021/11/1 | 28 | ||
2021/12/1 | 28 | ||
2022/1/1 | 20 | 40 | |
2022/2/1 | 40 | ||
2022/3/1 | 40 | ||
2022/4/1 | 3 | 37 | |
2022/5/1 | 2 | 35 | |
2022/6/1 | 20 | 15 | |
2022/7/1 | 15 | ||
2022/8/1 | 15 | ||
2022/9/1 | 15 | ||
2022/10/1 | 15 | ||
2022/11/1 | 15 | ||
2022/12/1 | 15 | ||
2023/1/1 | 20 | 35 | |
2023/2/1 | 35 | ||
2023/3/1 | 35 | ||
2023/4/1 | 35 | ||
2023/5/1 | 35 | ||
2023/6/1 | 35 | ||
2023/7/1 | 35 | ||
2023/8/1 | 35 | ||
2023/9/1 | 35 | ||
2023/10/1 | 35 | ||
2023/11/1 | 35 | ||
2023/12/1 | 35 | ||
2024/1/1 | 20 | 40 |
「毎年1月に付与されるとすると、翌年1月にも付与されて、2年後に最初に付与された分の残りが消滅して・・・」
数式を入れていてもゴチャゴチャになってきます。
そこで、表をちょっと工夫してみました。
付与日数 | 消化日数 | 消滅日数 | 繰越日数 | 当年付与の残日数 | 合計残 | |
2020/1/1 | 20 | 1 | 19 | 19 | ||
2020/2/1 | 1 | 18 | 18 | |||
2020/3/1 | 18 | 18 | ||||
2020/4/1 | 18 | 18 | ||||
2020/5/1 | 18 | 18 | ||||
2020/6/1 | 18 | 18 | ||||
2020/7/1 | 18 | 18 | ||||
2020/8/1 | 18 | 18 | ||||
2020/9/1 | 18 | 18 | ||||
2020/10/1 | 18 | 18 | ||||
2020/11/1 | 18 | 18 | ||||
2020/12/1 | 18 | 18 | ||||
2021/1/1 | 20 | 18 | 20 | 38 | ||
2021/2/1 | 18 | 20 | 38 | |||
2021/3/1 | 18 | 20 | 38 | |||
2021/4/1 | 10 | 8 | 20 | 28 | ||
2021/5/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/6/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/7/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/8/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/9/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/10/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/11/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/12/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2022/1/1 | 20 | 8 | 20 | 20 | 40 | |
2022/2/1 | 20 | 20 | 40 | |||
2022/3/1 | 20 | 20 | 40 | |||
2022/4/1 | 3 | 17 | 20 | 37 | ||
2022/5/1 | 2 | 15 | 20 | 35 | ||
2022/6/1 | 20 | 0 | 15 | 15 | ||
2022/7/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/8/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/9/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/10/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/11/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/12/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2023/1/1 | 20 | 0 | 15 | 20 | 35 | |
2023/2/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/3/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/4/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/5/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/6/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/7/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/8/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/9/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/10/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/11/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/12/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2024/1/1 | 20 | 15 | 20 | 20 | 40 |
毎年1月の残日数の出し方がわかりやすくなったのがわかるでしょうか?
結論としては、2024/1/1時点での残日数を出す上では、2022/1/1からのデータだけあれば十分です。もし理屈が分からなくても、この表に何パターンかのデータを入れてみれば、帰納的にそれがわかります。
前年12月時点での繰越日数が翌年1月の消滅日数に移動して、
前年12月時点での当年付与の残日数が繰越日数に平行移動する。
処理の内容が目に見える形になっただけで、ものすごく分かりやすくなりますね。
それまでは、残日数というわかりにくい概念であったものを、繰越日数、消滅日数、当年分の残日数というよりわかりやすい概念に切り分けたところがポイントです。
こういうことをスゴイ!と感動する人が居たりしますが、実際には大したことをやっているわけではありません。
・人間の脳のメモリーは非常に少ない
・頭の中で考えず、紙やソフトに並べて眺める
・わかりにくいものは要素に分解してみる
・ゴールが見えなくても、とりあえずやってみる
・ひとりで考えずに誰かに相談する
これらの基本的な思考パターンを持っているかどうか?
実際、何時間掛かっても解けなかった問題が、ほんの5分ほどでこの答えに辿り着くことができました。
MG、TOC、マイツールで学んだ思考パターンはとても役に立っています。
週休3日制の導入についての考察
働き方改革、ワークライフバランスの流れの中、週休3日制に注目が集まっています。1日8時間、週40時間の法定労働時間は「週休2日制」を前提にしていますが、休日を増やしながら労働時間を変えない週休3日制はどのように導入すれば良いでしょうか。また、週休3日制にはどのようなメリット、デメリットがあるでしょうか。
導入方法
週所定労働時間が40時間の企業が労働時間を変えずに週休3日制を導入するには、1日の労働時間を10時間に増やさなければなりません。つまり、8時間×5日でなく「10時間×4日」などに変更することになります。この場合1日の法定労働時間を超えることになるため、1ヶ月単位の変形労働時間制を導入して「1日は8時間を超えているが、月間では週平均40時間に収まっている状態」にすれば良いことになります。
メリット
休日を増やすことにより、プライベートな時間との両立(例えば育児、介護との両立)を可能とし、育児や介護を理由とした離職を防止できます。また、趣味を充実させたい人にとっても、まとまった3連休が常態的に取れる週休3日制は歓迎されるかもしれません。
そして、休日が多く柔軟な労働時間制を備えた会社として採用面でも有利に働くことが期待できます。
最近流行になってきている「二拠点生活」の働き方にもマッチしそうです。
デメリット
1日10時間の労働時間が「長すぎる」ために、集中力を欠いてしまう可能性があります。
また、社内で「週休2日制」と「週休3日制」が混在する場合に、情報共有やコミュニケーションが円滑に進まない可能性もあります。商取引の場面でも休日が合わないことで取引先との足並みが揃わずに機会損失につながるかもしれません。
子の看護休暇と介護休暇の時間単位取得
育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるよう、令和3年1月1日から育児・介護休業法が改正され、時間単位で取得できるようになります。
子の看護休暇とは
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、1年に5日(子が2人以上の場合は10日)まで、病気、怪我をした子の看護又は子に予防接種、健康診断を受けさせるための休暇取得が可能です。
介護休暇とは
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護その他の世話を行うための休暇の取得が可能です。
<改正前>
・半日単位での取得が可能
・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得不可
<改正後>
・時間単位での取得が可能
・全ての労働者が取得可能
*「時間」とは、1時間の整数倍の時間を言い、労働者からの申し出に応じて希望する時間数で取得できるよう求められてます。
*いわゆる「中抜け」無しの時間単位休暇が法令では求められてます。
→「中抜け」とは、就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることを言います。
改正内容や就業規則での規定例が厚生労働省のHPにて公開されてますので、早めに確認のうえ規定の変更をしておくと良いでしょう。
従業員が休憩を取らない代わりに、早く帰りたいと希望した時の対応
従業員が就業時間について、休憩を取らずに、終業時刻を早めたいと会社に要望した場合でも、従業員の同意があったとしても原則として認めることは出来ません。
労働基準法34条によれば、「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」と規定されています。
この法律は強行法規であり、違反した場合には罰則規定も定められています。
(6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金:労働基準法119条)
したがって、基本的には、従業員から要望があったとしても、会社はそちらに応じる必要はありません。
ただし、6時間以下で働いている場合には、休憩を与える義務はありませんので、会社が一律で自主的に休憩時間を設定している場合等には休憩時間をカットすることも可能になります。
いずれにせよ、6時間を超える場合には、休憩を必ず与えなくてはなりません。強制的なものになりますので、取るか取らないかの判断の余地はありませんので注意しましょう。
従業員から休憩時間の相談を受けた場合には、長時間労働による業務非効率化、労働災害の可能性の増大等を説明していただき、法律の趣旨、休憩の主旨を伝え、納得してもらうようにしましょう。
退職者が引継ぎをせず、有給消化を申請した場合の対応
退職を申し出た社員が、その後有給休暇を取得した場合、退職まで出勤しないことにより、引継ぎが出来ない状態になります。こうした場合でも有給休暇を認めなければならないのでしょうか?
【退職前の有給消化申請拒否は難しい】
有給休暇については、原則的には、自分の好きなタイミングで取得できる権利があります。(時期指定権)例外的に会社の運営に支障をきたす場合には取得日を変更する権利が(時季変更権)あります。
しかしながら退職の場合、退職日以後の時季変更は一般的に許されておりません。したがって有給の申し出があれば会社が拒否するのは厳しいでしょう。
【就業規則でのルール化】
上記のようなトラブルが起こらない為に、就業規則において、業務の引継ぎを義務化を明示することを盛り込むことが有効です。違反した場合には懲戒処分の対象となること明記することで抑止力にもなるでしょう。
【引継ぎマニュアルの用意】
とはいえ、民法上原則として申し出から14日以上経過をすれば、従業員は退職をすることが可能となります。十分な引継ぎが完了せず、退職してしまうケースも出てくるかと思います。未然にトラブルを防げるよう、予め会社側で引継ぎ項目を例示するなど引継ぎマニュアルを整備することも重要でしょう。
使用人兼務役員の年次有給休暇の取扱について
法人の役員の場合、会社と役員の関係性は雇用関係ではなく、委任契約であるため、役員に対しては労働基準法の適用はありません。
有給休暇制度は労働基準法上の制度であるため、役員の場合には、有給休暇が付与されないのが原則です。
ただし、取締役営業部長や取締役工場長などといったような使用人兼務役員の場合ですと、雇用契約を結んでいる場合や雇用保険に加入している場合もあります。
このような使用人兼務役員の場合、有給休暇の付与する必要性が生じる場合もあります。
昭和23年3月17日基発461号で以下のような通達が出されております。
「法人の重役で、業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける場合は、 その限りにおいて法(労働基準法)第9条に規定する労働者である。」
使用人兼務役員であっても、その実態が労働者性の要素が強い場合、労働者とみなす、ということになります。
労働者であると認められますと、必然的に労働基準法の適用対象となりますので、有給休暇の付与が必要となります。
では、労働者性の判断基準については、どのように考えればいいでしょうか?
この点、残念ながら使用人兼務役員の有給休暇の取り扱いについて労働基準法上明文化はされておりません。
あくまでも労働の実態に基づきケースバイケースでの対応になります。
定年退職後の再雇用者に対する有給休暇の考え方
定年退職後の労働者を引き続き継続して雇用する場合、有給休暇の付与日数について、今までの勤続年数は一度リセットし、新規採用者と同様に扱っていいのか、また未消化の有給休暇の日数もリセットしていいのか?、という質問を度々受けます。
今回は定年退職者の有給の取扱について考えていきたいと思います。
ポイントは「継続勤務の実態」
労働基準法第39条によれば、有給休暇の付与について、「雇入れの日から起算して6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者」に倒して有給休暇を付与することを義務付けております。
定年退職者について考える場合、上記条文の「継続勤務」をどう評価するべきかが、問題となります。
一度退職をした職員については、退職をもって、一度勤続がリセットするようにも思えます。
この点、昭和63年3月14日基発150号行政通達によれば、
継続勤務か否かについては、「勤務の実態に即し実質的に判断すべきもの」であり、形式上労働関係が終了し、別の契約が成立したとしても、実質的には労働関係が継続していると認められる場合には、「継続勤務」と判断されます。
定年退職による退職者を引き続き委託等として再採用している場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む)は実質的には勤務は継続したもののとみなされると示しています。
例外は?
基本的に、退職者の再雇用者の勤続年数は通算すべきですが、退職と再雇用日との間に開きがある場合、このケースに限っては、労働関係が切れていると判断することが出来、勤続年数がリセットされうる場合もあります。
未消化の有給休暇の取り扱いについて
年次有給休暇の勤続年数が通算すると判断される場合については、基本的には原則通り、未消化の有給休暇は2年間の時効(労働基準法115条)が切れるまでは労働者は有給休暇取得する権利がありますので、再雇用後にも未消化分の有給休暇が繰り越されます。
慶弔休暇は有給か無給か?
慶弔休暇とは、出産や結婚などに祝い事の「慶事」、葬式などのお悔やみ事の「弔辞」があった際に取得できる特別休暇のことを言います。
【慶弔休暇は法定外休暇の取扱】
一般的休暇とは法律によって定められている法定休暇と会社が独自で規定している法定外休暇の2種類が存在します。
法定休暇の例としましては、「年次有給休暇」、「産前・産後休暇」、「育児・介護休暇」等が挙げられます。
法定外休暇の例としましては「リフレッシュ休暇」、「アニバーサリー休暇」、「エンタメ休暇」等が有名でしょうか。近年「働き方改革」が叫ばれ、会社独自のユニークな休暇を耳にする機会が増えたように思います。
さて本題に戻りまして、慶弔休暇はどちらに分類されるかといいますと法定外休暇にあたります。労働基準法では特段、慶弔の定めはありません。
慶弔休暇は有給か 無給か?
結論から言うと、会社の自由です。
会社の自由というと少々語弊がありますが、つまり、就業規則や雇用契約書の規定次第で有給か無給か、取扱を変更することが出来ます。仮に就業規則に慶弔休暇を定めなければそもそも慶弔時にお休みを与える義務も生じません。
一般的には会社の規模が大きくなればなるほど慶弔休暇を設けている割合が増える傾向にあり、中小企業ですと慶弔休暇を規定していなかったり、無給で設定したりする割合が高いようです。
あくまでも慶弔休暇とは法定外の特別休暇ですので、会社の方針によって自由に定めることが出来ます。
ただし、一般的に労働者にとって会社への慶弔休暇への期待値が高いといえます。
慶弔休暇の取得日数や賃金等の定めを決定する際は、社員のモチベーション、ワークライフバランスの実現とを加味しながら慎重に考える必要がありそうです。
有給休暇の基準日の設定
労働基準法39条1項によれば「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し前労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」としています。
原則としては労働者の入社日を基準にして有給休暇を付与します。その場合、社員一人一人を個別に管理する必要があり非常に煩雑かつ手間がかかります。そこで事務の簡素化の観点から一定の要件を満たした場合、全労働者に対し一律の基準日を定めて有給休暇を付与することを認めています。
一定の要件とは、
① 斉一的取扱により法定の基準日以前に付与する場合、付与要件である8割以上の出勤について短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
② 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰上げた期間と同じ又はそれ以上に期間法定の基準日より繰上げること。
つまり、基準日を設ける場合は労働者に不利益にならないよう常に前倒しして有給休暇を付与しなければなりません。
毎年4月1日を基準日とした場合
平成29年5月10日に入社した社員の事例を考えてみましょう。労働基準法上、1年6箇月経過する平成30年11月10日の時点に11日の有給休暇が付与されます。
したがって、上記要件を満たすためには、平成30年4月1日には11日の有給休暇が前倒しで付与されることになります。
年次有給休暇の基準日を設ける上で
基準日を設ける際、前述の通り前倒しをして有給休暇を与えるため、入社時期のずれによって不公平感が生じやすくなります。基準日を年2回設けることにより不公平感を軽減する策もあります。会社の実状に合わせ、管理の煩雑さ、労働者の公平を保てる方法を模索することが大切になります。
産前産後の労働者への対応
妊娠中の女性労働者が軽易な作業への配置換えを申し出た場合、原則として他の軽易な作業へ転換させなければなりません。
また、妊娠中の女性労働者が時間外労働、休日労働、深夜労働をしないことを申し出た場合、時間外、休日、深夜に労働させてはなりません。
使用者は、女性労働者が妊娠、出産、及びその産前産後の休業をしたことを理由する解雇が禁止され、不利益な取扱いが禁止されています。
妊娠中の女性労働者から産前の休業を請求された場合、出産予定日の前6週(多胎の妊娠では14週)以内の産前休業を与えなければなりません。
産後8週間は就業させることが禁止されています。ただし本人に働く意思があり、産後6週間を経過していてかつ医師の支障がないと認めた範囲の業務では働くことができます。
産前産後休業中と、その後30日間は、労働者を原則解雇できません。
生後1年に達しない子を育てる女性労働者は休憩時間のほか、1日2回、各々少なくとも30分、育児時間を請求でき、使用者は育児時間を与えなければなりませんが1日の労働時間が4時間以内の場合は、1日1回の付与で足ります。
これらの請求はパートタイム労働者であろうと変わりはありません。
健康保険の被保険者は産前休業中、産後休業中に出産の日以前42日(多胎の場合は98日)出産の日後、休業中の56日間は「出産手当金」が受給できます。
産前産後休業取得者申し出者の提出により期間中の社会保険料を免除する事もできます。
有給休暇の理由を聞いてもいいか?
「有休を取るのに理由はいらない」、「上司から有給を取得する理由を尋ねられたとしても、答える義務はない。」という考え方がありますが、従業員から有給取得の申し出があった場合はどんな時も理由を聞いてはいけないのでしょうか。
・時季指定権
労働者が有給を請求するのはいわゆる「時季指定権」という権利として労基法で補償されています。この権利が常に優先するなら、理由によらず労働者は有給を取れることになりますが、実際には会社にも「その時期は忙しいから別の日に変えてくれ」という権利(時季変更権)があります。また、一方で民法1条3項には「権利の濫用は、これを許さない。」とあります。
つまり、会社側の時季変更権の優先度が高いかどうか、並びに労働者の有給休暇の時季指定権が権利の濫用かどうかを判断する場面では、理由を聞くことが認められることもあるでしょう。
(ちなみに、労働基準法には、労働者から会社に「理由を聞かれても答える義務がない」のも確かですが、「理由を聞いてはいけない」という規定があるわけでもありません。ケースバイケースということです)
有休の理由を聞く意味
有給休暇の理由を尋ねる一つの基準としては、申請期限を過ぎて直前で申請してくる場合でしょうか。
多くの会社では就業規則で、有休を取る際は1週間とか10日前までに申請するよう定めているかと思いますが、そうした期限を無視して有給申請をしてくる場合は、労使の信義則により理由を尋ねても良いのではないでしょうか。
アルバイトにも有休?
時給で働く事が多いアルバイトやパートは、有給休暇が馴染みにくいと思われがちですが、パートアルバイトであってもにも有給休暇を付与しなければなりません。
有給休暇とは、以下の2つを満たす休暇のことを指します。
・心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される
・「有給」すなわち取得しても賃金が減額されない
パートアルバイトであっても心身の疲労を回復する必要はあるというわけです。
要件
①雇い入れの日から6か月以上経過していること
②全労働日数の8割以上出勤(出産・育児・労災・有給取得を除く)
②について、8割の算定は「本来働くべき日だったかどうか」が基準となります。パートアルバイトだと、労働条件通知書やシフトによって「働くべき日」を決めます。
週1日のアルバイトであれば、そのシフトの日をきちんと出ていれば、半年後には有給休暇の権利が発生するというわけです。
アルバイト・パートの有給休暇付与日数
有給休暇について、アルバイトとパートとは「週に30時間未満かつ、週4日以内又は年間216日以内で勤務している労働者」を指します。
週に30時間以上勤務する場合や、一日4時間勤務でも週5日又は217日以上勤務する場合は、フルタイムと同じ有給休暇が付与されます。
パート・アルバイトの有給休暇付与日数は、以下の表にまとめられます。
パートアルバイトの場合は、正社員と比べて少ない日数の有給休暇を与えるということです。
ちなみに、パートアルバイトへの有給休暇の表を見る上で、所定労働日数は「基準日直前の勤務実績を用いる」ということになります。例えば入社後半年が経過した時点の場合。勤務実績が80日だとすると、2倍して年換算した160日が1年間の所定労働日数になります。そのうち欠勤が2割以内であれば、有給休暇が5日付与されます。
夏休みや冬休みを有休消化日にできるか
有給休暇の取得率を上げるために、夏休みや冬休みを「有休消化」として処理することはできるのでしょうか。
法律で定める休日
法律的にはお盆も年末年始も休日にする義務はありません。労働基準法で規定しているのは「1週間に1日、または4週間に4日以上の休日を与えなければならない」ということに過ぎず、たとえ祝日でもお盆でも、年末年始でも労働日とする事ができます。
有給休暇の原則
一方で有給休暇は、「労働日だけれど働く人の権利として休める日」です。この考え方に基づくと、会社が一方的に「夏休みの代わりにお盆時期に有休を使え」「年末年始に有休を使え」と決めることには問題がありそうです。
計画有休という仕組み
労働基準法では「有給休暇の計画的付与」という制度を定めています。
有給休暇の計画的付与制度は、有給休暇の取得率を高め年間労働日、年間労働時間を短縮することを目的として導入された制度です。年次有給休暇の5日を超える部分については、労使協定により事業所全体で一斉にとる等の計画的付与ができます。
具体的には次の手順が必要です。
1 就業規則に定めること
2 労使協定を締結すること
3 労働者が持っている有給休暇の権利のうち、少なくとも5日は本人に「いつ取得するかを決める自由」を与えること
今まで年末年始やお盆が会社の休日だった場合は、計画有休の導入の際に
①休日を労働日とする
②その上で、「もともとは休日だった労働日」を計画有給の指定日とする
という順序になるため、①が労働者に不利になるため労働条件の不利益変更となります。
不利益変更は労働者の同意が必要になりますので注意してください。
出張の移動時間は労働時間になるのか?
会社の出張となると、長時間の移動が発生してくることが多くなりますが、出張の際の移動時間は、労働時間とされるのでしょうか?
1 労働時間の定義
労働時間とは、「使用者または監督者の下で労務に服しなければならない時間」のことを指します。
キーワードは「指揮命令下」です。
労働者が使用者の下で労働するにあたり、使用者の指揮命令下にあって、行動が制限される時間であるかがポイントになります。直接「働け」と言葉で命令されているかということではなく、実態で指揮命令下にあるかを確認し労働時間であるかどうかを判断します。
2 出張の場合
出張の移動時間について、原則的としては労働時間としてカウントされないことが多いでしょう。
出張の目的は、あくまでも「出張先で業務を行うこと」であり、そのための移動は例え音楽を聴く、ゲームをする、食事をするなど私的な行動を制限されない時間なので、業務を行なうための「日常の出勤」と同じ性質のものと考えられ、基本労働時間とはならないのです。
3 労働時間になる場合
ただし、物品の運搬自体や物品の監視等について特別の指示がなされている出張などは、移動中においても物品の管理義務が生じるため、「業務中」(=労働時間)と考えられる事があります。重要な機密文書を運んでいる時も、緊張を強いることになるため、場合によって労働時間となる事があります。
出張だから一様に労働時間出ないと判断するのでなく、指揮命令下にある状態であるかを検討した上で、適宜賃金を支払うなど対処をしてください。
休日と休暇はどう違うか?
「休日」と「休暇」には、実は明確な違いがあります。
労働基準法の定義によると「休日」は労働義務がない日、「休暇」は労働義務のある日に労働が免除される日です。
休日は、労働基準法により「週1日、または4週につき4日」与えなければならないとされています。これを法定休日といいます。
また、週40時間制を守るためには週1日では実質足りないことが多いため、それ以外の休みを設定します。これを「法定外休日」と言います。
休日は「そもそも働く義務がない」わけです。
一方、休暇とは「本来は働かなければならないが、労働者が権利行使することで働かなくてもよくなる」日を言います。
代表的なものは「年次有給休暇」で、法律により権利が保護されます。
休暇中の給与ですが、有給休暇を除いて、有給にしなければならない義務はなく、無給とすることが法律上は可能です。
ただ、慶弔休暇などは、事情が事情なので有給とすることが多いかもしれません。
代休と振替休日はどう違うか
また、別によく似た言葉で「代休」と「振替休日」も違います。
代休は、「休日に働いた代わりに与える別の休日」で、振替休日は「あらかじめ勤務日と休日をチェンジしたことによる休日」を言います。
振替休日の場合は、労働をした休日は、勤務日とチェンジしているだけなので、給与については通常の労働日と同じです。一方で代休の場合は、労働をした休日は「休日労働」扱いになり、割増賃金の対象となります。
慶弔休暇は会社の義務か?
与える法律的な義務はない:
結婚した時の長期休暇、配偶者が出産する時の休暇、または身内のお葬式の時の休暇など、慶弔時に休暇を与えることはよくありますが、実は法律的には慶弔休暇を与える義務はありません。つまり、身内が亡くなろうが結婚しようが、特別な休暇は「ゼロ」としても問題ないです。
特別な慶弔休暇をゼロとして、必要に応じて本人が「有給休暇を申請してとる」という方針にしてもなんら問題はありません。
日本における有給休暇の消化率はまだまた高くないので、有給休暇の取得率をアップさせるために慶弔休暇を特別設けないという選択肢もあるでしょう。
ただし、実際には社員の身近な人に起こった慶弔ごとですので、安心して休めるように慶弔休暇制度を設けておく企業が多いでしょう。
就業規則での特別休暇の規定の注意点:
上記のように特別休暇は法律上の義務ではないため、どのように与えるか、またどの程度の期間与えるかは会社が自由に決めることができます。
例:(慶弔休暇)
第○条
従業員が次の事由により休暇を申請した場合は、以下とおり特別休暇を与える。
本人が結婚したとき・・・○日
妻が出産したとき・・・○日
配偶者、子又は父母が死亡したとき・・・○日
兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき・・・○日
慶弔休暇の規定・運用で注意すべきこと:
慶弔休暇について、その慶事や弔事があった証拠を提出させるなど、ずる休みが起きないようにルールを作ってもいいかもしれません。
なお、慶弔休暇を有給にするか無給にするかも自由です。
有給休暇の比例付与
年次有給休暇(以下:有給)の比例付与とは
所定労働日数が通常の労働者に比べて少ないパートタイム労働者などについて、通常の労働者との均衝を図るため、その所定労働日数に応じて別の有給付与に関する基準があります。これを有給の比例付与と言います。
対象労働者
週所定労働者が30時間未満であり、かつ、下記①、②のいずれかに該当する者。
① 週所定労働日数4日以下の者
② 週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合には、年間所定労働日数が216日以下である者
付与要件
通常の労働者と同じく、労働者から請求があった場合
付与日数
所定労働日数に応じて、最低1日から最高15日までの日数が以下のように定められております。
週所定労働 日数 |
1年間の所定労働日数 |
6箇月 |
1年 6箇月 |
2年 6箇月 |
3年 6箇月 |
4年 6箇月 |
5年 6箇月 |
6年 6箇月以上 |
4日 |
169~216日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121~168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73~120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48~72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
「パートやアルバイトならば有給を与えなくて良い」と言う誤解をなさっている方も多いと思いますが、上記表に当てはまる働き方をしている労働者がいた場合は有給を与えなければなりません。
また、1日の勤務時間数が短い労働者であっても週5日以上働くようなら通常の有給規程が適用されますので注意が必要です。
定年後再雇用、有給休暇の扱い
労働力人口が減っていること、年金の支給開始年齢が引き上げられていること、高齢者の健康寿命が伸びていることなどから、高齢者雇用はこれからの企業経営にとって注目すべき課題です。
高齢者雇用安定法という法律において、定年後の継続雇用についてのルールを定めていますが、一旦定年になって嘱託として再雇用した場合、有給休暇を与える上での勤続年数はどのようにカウントすれば良いでしょうか。
年次有給休暇を付与することが必要となるための要件のひとつとして、労基法第39条では「6ヶ月以上継続勤務」することを定めとしていますが、この「継続勤務」とは、労働契約が存続している期間の意であり、いわゆる在籍期間のことであると解されています。労働契約が存続しているか否かの判断は、「実質的に」判断されるべき性格のものであり、形式上労働関係が終了し、別の契約が成立している場合であっても、前後の契約を通じて、実質的に労働関係が継続していると認められる限りは、労基法第39条にいう継続勤務と判断されます。
つまり、定年退職による退職者を引き続き委嘱等として再採用している場合(退職手当規定に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む。)は、有給休暇の付与日数を決める勤続年数をカウントする上では継続勤務となります。
一方で、グループ会社に転籍した場合、有給休暇については「雇っている会社が違う」ため、通算を必ずしも要しません。ただし、会社の都合で移籍させる場合などは、有給を引き継ぐなどのケアがあった方が望ましいかもしれません。
就労時間後の飲み会は残業か?
年末年始が近づき、忘年会や新年会の開催時期がやってきました。社内コミュニケーションを円滑にするためにも、全ての従業員には出席してもらいたいという願望が会社としてはあると思います。
ただし、参加者の集め方によっては、飲み会の時間が残業時間とされ残業代の支払が生じる可能性があるので注意が必要です。
会社命令の有無
残業時間か否かの判断は、飲み会の席に「行かなければならない」状況であったかが大きなポイントになります。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。
なぜなら、社員は労働契約によって会社の指示・命令に従い労務を提供する義務を負っていますが、契約時間の範囲を超えて拘束することはできないためです。
会社が業務の範囲を超えて指示・命令をするのであれば、必然的に労務の対価としての賃金を支払う義務も負うことになります。
残業代よりも労災が争点になる
この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。
労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。
ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。
子供が病気になったら会社を休めるか?
子供が急に体調を崩すなどし、看護が必要な場合、法律上看護休暇を取らせる必要があります。
制度の概要
小学校就学前までの子を養育する従業員は、事業主に申し出ることにより、小学校就学前までの子が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。子の看護休暇は、病気やけがをした子の看護を行うためや、子に予防接種または健康診断を受けさせるために利用することができます。
対象となる従業員
原則として、小学校就学前までの子を養育する全ての男女労働者(日々雇用者を除く。)が対象となります。ただし、勤続年数6か月未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員については、労使協定がある場合には、対象となりません。
看護休暇中の給与支払い
看護休暇中の給与について、法律上定めは有りませんので、給与を支払っても支払わなくても構いません。ただし、実態としてはこの「看護休暇」を取得するというよりも、本人が付与された年次有給休暇を使用して休むことが多いでしょう。
手続き方法
子の看護休暇の申出は、休暇を取得する日や理由等を明らかにして、事業主に申し出る必要があります。子の看護休暇の利用については緊急を要することが多いことから、当日の電話等の口頭の申出でも取得を認め、書面の提出等を求める場合は、事後となっても差し支えないこととするほうがよいでしょう。
ちなみに似た休暇制度で「介護休暇」というものもあります。こちらも使用実態は少なく、有給休暇を使用して休むことの方が多いでしょう。
昼休みの電話番は労働時間か?
休憩時間と似ているのですが「手待ち時間」と呼ばれるものがあります。これは,昼休みに電話番をやっているときや、商店・飲食店などで来客を待っている時などをしている時間のことです。手待ち時間は、法律上休憩時間ではなく労働時間とみなされています。
自由に使用できなければ休憩とならない:
昼休みに,職場でお弁当を食べながら電話番をしたという経験がある方もいるのではないでしょうか。昼休みに電話や来客があった時,社員はすぐに対応しなければならないため,自由な時間とはいえません。社員が自由に使用できない時間は休憩時間ではなく、手待ち時間=労働時間と見なされます。
このことは、実際に電話がかかってこなかったとしても、「労働から完全に解放されているわけではない」ため、手待ち時間とみなされるでしょう。
(なお,警察官や消防士などは,その職務の特殊性から手待ち時間が労働時間とみなされない場合があります。)
対策
電話番が必要であれば、当番制を取り当番時間分の休憩を別途に与える、もしくはその当番時間分の賃金を支払うなどの対策が必要です。とは言え人手の少ない中小企業では対策は簡単でないかもしれません。電話番をしてもらっていることを労って、代わりに早く帰れる日は帰ってもらうなど、心理面でのケアも心がけてください。
掃除時間は労働時間か。
社内の掃除や着替えなど、働く前の準備や後片付けの時間は労働時間なのでしょうか。
労働時間には次のような判断基準があります。
① 朝の掃除、準備
この場合、仕事前の掃除が会社に命じられていたり、当番制によってやらざるを得なくなっている場合など、会社からの命令だと考えることができる場合は労働時間となります。
ボランティアで行っている場合には労働時間になりません。
② 作業準備時間、後片付けの時間
仕事を進めるために必要な作業であれば、労働時間となります。
例:デパートなど、開店と同時に全員が職場につき、お客様を迎えるための開店準備作業をする場合や、閉店後、翌日の仕入れを決めるために後片付けを兼ねて売上と在庫を計算したりする場合など
この場合も労働者の意思で業務を行う場合は労働時間になりません。
③ 更衣時間
会社内において着替えを行うことを会社から強制されている場合には、
会社の命令であると考え、労働時間となります。
④ 仕事前の朝礼の時間
仕事前の朝礼の時間に関しても、「会社の命令なのかどうか」で判断されることになります。
また、命令ではないにしろ朝礼に参加するかどうかで会社からの評価が変わってくる場合は労働時間となります。朝礼で当日の仕事の説明をする場合にも同様です。
以上をまとめると、準備や後片付けを労働時間とするかどうかは、会社に命じられたことか、仕事を進めるために絶対に必要なことかどうかで変わってくるという事です。
仕事が始められる状態で始業時間になり、終業時刻になって後片付けを始めるのは当たり前のことのように思えます。
しかし、そのための準備や片付けの時間が労働時間に当てはまった場合、給料の支払いが必要になってしまいます。労働時間を決める時には、「世間一般の常識」だけではなく、このような「法律で決まっていること」があることに気をつけましょう。
介護休業
家族を介護する必要がある場合、介護のための休業を取ることができます。この「介護休業制度」について解説します。
介護休業制度とは
労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。 2回目の介護休業ができるのは、要介護状態から回復した対象家族が、再び要介護状態に至った場合です。3回目以降も同様です。
介護休業の対象者
要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者です。日々雇用される者は対象になりません。
対象家族と介護の状態の定義
※要介護状態:負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のこと。
※対象家族:配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫。
しかし、法改正により、休業の取得によって
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であり、
(2) 介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用
されることが見込まれる(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
上記2つを満たす一定の範囲の期間雇用者(いわゆる契約社員)も介護休業がとれるようになりました。
介護休業にかかる給付
介護休業を取得する雇用保険被保険者について、一定の要件を満たすことで「介護休業給付」が受け取れることがあります。
育児休業
■育児休業制度
労働者は、会社に申し出ることにより、子が1歳になるまでの間、育児休業をすることができます。育児休業は法律で権利を認められたものであるため、企業側は「ウチの会社には育児休業制度はない」ということができません。
育児休業の対象者
育児休業の対象者は、原則として1歳に満たない子を養育する男女の労働者です。日々雇用される方は対象になりません(男性も育児休業をとることができます)。今までは正規の社員が主な対象者でしたが、法改正により、休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者も、育児休業がとれるようになりました。
※1.一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において、次の(1)、(2)すべてに該当する労働者です。
(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
(2) 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
育児休業は原則として子が1歳になるまでですが、次の事情がある場合は1歳6か月まで育児休業ができます。
(1) 保育所に入所を希望しているが、入所できない場合
(2) 子を養育する配偶者で、1歳以降も子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等の事情により養育が困難となった場合。
育児休業中の給与
育児休業中は働いていないため、給与を支払う必要はありません。休業期間中については雇用保険から一定の要件のもと給付金が支給されます。
■申請時期など
○1歳までの育児休業については、休業開始予定日から希望通り休業するには、その1か月前までに申し出ます。その際、対象の子の氏名、生年月日、労働者との続柄、休業開始予定日及び休業終了予定日を明らかにします。
○ 1歳~1歳6か月までの育児休業については、休業開始予定日(1歳の誕生日)から希望通り休業するには、その2週間前までに申し出ます。
半日単位の有給休暇
年次有給休暇については、原則として「1日単位」で与えなければならないとされています。その1日とは「午前0時から深夜24時まで」を指します。
なぜ1日単位で有休を取らせなければならないかと言うと、有休が「労働者の疲労回復、リフレッシュ」を目的としているからです。疲労回復、リフレッシュのためには、まるまる1日仕事をしなくてよいという状態にしなければならない、と法律では決めていることになります。
ところが、実際には「通院をする」「子供の急なお迎え」など、まる1日は休まなくてもよいという事情があります。この場合、つまり労働者側の要望があった場合、会社は半日単位で有給休暇を与えてもよいことになっています。別の言い方をすると、「うちには半日単位の有休制度を認めない」としてもよいです。ただし、従業員の満足度や利便性を考えるとやはり半日有休は認めたほうが実運用しやすいでしょう。
半日の考え方:
半日単位の有給休暇については、以下のふたつの考え方があります。
①午前と午後にわける
②所定労働時間を半分にわける
例えば午前9時から午後6時までの8時間が所定の会社であった場合、午前3時間、午後5時間なわけですから、午前よりも午後に有休を取ったほうがその日の労働時間は少なくなります。公平にするなら②を選ぶべきということになりますが、実際には①のルールの方が使い勝手がよいため採用されていることが多いでしょう。
取引先の接待で飲食をしている時間は残業か?
業種や職種によっては、取引先や営業先の接待があります。夜にお酒を飲むことはあるでしょう。この接待の時間中が労働時間になるのかどうかは、次のポイントをもとに決まります。
- 会社命令の有無
接待の席に「行かなければならない」状況であったか、をまず考慮します。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。
- 接待の「目的」と業務性の有無
取引先と商談をするのであれば、仕事に関連していると見ることができるでしょうから業務性があります。ただし、単に親睦を深めるといった理由では業務性がないと判断されるかもしれません。あくまでその接待時間の「目的」によって業務性が判断されます。
「残業代」よりも「労災」が争点になる
この基準をもとに労働時間であるかどうかを判断するわけですが、この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。
労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。
ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。
休憩についての法律
労働基準法では休憩について以下のように定めています。
使用者は、労働者に対して、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
長時間続けて働くと能率が落ちるだけでなく、疲労のため注意散漫になり労災の原因になることもあるため、疲れを取るために休憩を義務付けています。
※6時間を「超える場合は」とされているので6時間ちょうどの勤務であれば休憩を与えなくてもよいことになります。
休憩ついての注意点
休憩には以下のルールがあります。
1、一斉に与えなければならない
休憩は一斉に与えなければなりません。ただし、運輸交通業、商業、保健衛生業、官公署
など特殊な事情下で働く場合は一斉でなくてもよいという例外があります。
2、労働時間の途中に与えなければならない
これは例えば、先に8時間連続で働いて、その後1時間休憩を取ってそのまま勤務終了、といった取り扱いが許されないということです。休憩は疲労回復を目的にしているので途中であることが望ましいとの理由からです。
3、休憩時間は自由に利用させなければならない
休憩は自由に利用させなければなりません。ただし、消防官や警察官、乳児院、養護施設その他施設に勤務し児童と起居を共にするものなど特殊な事情下で働く場合は自由利用でなくてもよいという例外があります。
休憩時間中の労災について
休憩時間は私的な時間ですが、必ずしも労災の対象から外れるわけではありません。例えば工事現場で昼休憩中に上から鉄骨が落ちてきて負傷した場合など、働く環境に原因があるケガの場合は労災になりえます。
「法定休日」と「法定外休日」
休日の原則
休日について、労働基準法では次のように決められています。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない。
法律上日曜日や祝祭日を休日にしなければならないことはもちろんなく、また年末年始を休みにする決まりもありません。
4週間に4日の休日を与えるパターンを「変形休日制」といいます。変形休日制を利用したいなら、就業規則等で4週間の「起算日」を明らかにする義務が課せられている点に注意が必要です(4週4日の変形休日制は、「いかなる4週間に区切ってもどの4週間にも必ず4日の休日が与えられていなければならない」という意味ではありません。「起算日から4週間を区切って、その中に4日の休日があれば」大丈夫です。
法定休日と法定外休日:
「法定休日」とは、この「週1日、あるいは4週4日の休日」のことをいいます。
この法定休日の日に働かせた場合、35%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
一方で、法定休日以外に休日を定めている場合、その休日を「法定外休日」と言って区別しています。法定外休日に働かせた場合の割増賃金については会社が定めるところによります(週40時間という法定労働時間を超えている場合、結果として「時間外労働」扱いになり、割増賃金の支払いが必要になります)。
なお休日は、法律的には一暦日、つまり午前零時から午後12時までの24時間のこととしています。
法定労働時間の原則と例外②
毎月月末は忙しいが、月初から中旬は忙しいような業種の場合、「1日8時間、1週40時間」という法定労働時間の原則だけでは柔軟な対応ができません。そのため労働基準法では、「変形労働時間制」という例外的な制度を認めています。
変形労働時間制は以下の種類に分かれます。
1、1ヶ月単位の変形労働時間制
「1ヶ月単位で労働時間を日ごとに設定し、1カ月平均で見れば法定労働時間を上回っていなければOK」というものです。
例えば暦上の日数が31日の月(所定労働日数22日)において、
① 前半の10日は1日10時間働く
② 後半の12日は1日6時間働く
という月間カレンダーを定め、就業規則その他で対象者や対象期間などを定めます。
この場合①の期間中は「1日8時間、1週40時間」を超えていますが、月間平均をすると平均約39時間で、週40時間以内に収まっています。このように1ヶ月の内に繁閑の差がある業種の場合、この制度の導入が検討できます。
2、フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、「1ヶ月の総労働時間のみあらかじめ設定し、始業、終業の時刻は従業員が自由に決めてよいことにする。1ヶ月で締めたときに法定の労働時間を上回っていなければOK」という考え方の労働時間制です。フレックスタイム制の場合、「各自の好きに出社や退社ができる時間帯=フレキシブルタイム」と「絶対出勤しなければならない時間帯=コアタイム」を設定することもできます。毎日同じ時刻に全員が出社する必要がない業種の場合、効率的に働くことができるでしょう。
3、1年単位の変形労働時間制
変形期間を1ヶ月超~1年とする変形労働時間制です。季節によって繁閑の差がある業種であれば効率的な労働時間を設定することができるでしょう。1年単位の変形労働時間制の場合、労使協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。
4、1週間単位の変形労働時間制
その他1週間単位の変形期間を定めることも可能です。小売業、旅館、料理店および飲食店の小規模事業に限り認められます。
変形労働時間制の導入については専門家の意見を聞きながら正しく行ってください。
法定労働時間の原則と例外 その1
原則:
法定労働時間については原則として1日、及び1週間単位で以下の通り定められています。
1日 8時間まで
1週 40時間まで
逆に言うと、この時間を超える労働時間を設定することはそもそも違法であるということになります。例えば毎日9時から19時まで(休憩1時間)の勤務は1日8時間を超えているため原則から外れることになります。
例外:
ただし、この法定労働時間には以下のような例外があります。
① 規模や業種による例外
従業員10人未満の「商業、映画・演劇業(映画製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業」については、1週44時間までの労働時間設定が認められます。これは、週の法定労働時間が48時間だった時代の名残で、法定労働時間の短縮の影響がとくに大きいとみられる中小企業については要件を緩和する必要があったためです。詳しくは以下の業種が44時間制の対象となります。
商業
卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業、
出版業(印刷部門を除く。)その他の商業
映画・演劇業
映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画製作・ビデオ製作の事業を除く。)
保健衛生業
病院、診療所、保育園、老人ホーム等の社会福祉施設、浴場業(個室付き浴場業を除く。)、その他の保健衛生業
接客娯楽業
旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業
自分の事業場の法定労働時間が何時間であるかによって労務管理のやり方が変わってきますので、ご注意ください。
退職する社員が有給休暇をまとめて取ることは回避できるか?
法定の有給休暇:
労働基準法では、6ヶ月以上、8割以上の出勤率で働いた労働者に対して有給休暇を与えなければならないとされています。有給休暇の法定付与日数は次の通りです。
勤続 |
6ヶ月 |
1年6ヶ月 |
2年6ヶ月 |
3年6ヶ月 |
4年6ヶ月 |
5年6ヶ月 |
6年6ヶ月 |
付与日数 |
10日 |
11日 |
12日 |
14日 |
16日 |
18日 |
20日 |
6年6ヶ月以上勤務した社員には毎年20日の有給休暇を与えなければなりません。有給休暇の請求時効は2年ですから、前の年の未消化分も合わせると最大で40日有給休暇の権利がある社員がいることになります。
有給休暇は退職した後に使うことができないため、辞める社員が余った分を退職前にまとめて取得することがあります。ところが、会社としては必要な引継ぎをせずに勝手に休まれては困ります。退職前に有休をまとめて取ることは許されるのでしょうか。
退職する社員には時季変更権は使えない:
有給休暇については、社員に「時季指定権=自分の好きなときに取得する権利」があり、同時に会社に「時季変更権=その時期は会社の運営に支障を来すから別の日に変更する権利」があります。そのどちらを優先するかはケースバイケースですが、退職する社員に対して「退職日後に有休をずらしてくれ」と言うことはできません。つまり、退職前にまとめて有休を取ることを会社は拒否できないことになります。
現実的な解決策としては、どうしても必要な引継ぎについてはあらかじめ当人と相談の上で出社日を決めて出勤してもらい、使いきれなかった有休を退職時に「買い取る」などの方法があります。「ウチには有休はないから」と拒否して下手に感情的に対立しないほうが無難でしょう。
欠勤日の有給振替
従業員が欠勤した後に、「欠勤日を年次有給休暇として振り替えてください」と言ってきた場合、会社は応じる義務はあるのでしょうか。
・応じる義務は無い
年次有給休暇は、従業員から事前に有給取得の請求された場合は、会社はその請求を拒否することはできません。しかし、欠勤後にその欠勤日を有給扱いとして振替える義務はありません。法律上にもそのような義務規定はなく、欠勤分の賃金を給与から引いてもなんら問題ありません。
ただ、有給振替の義務がないからといって、振替してはならないわけではありません。従業員から申請があった場合、欠勤した理由によっては、有給振替を認めてあげても良いと思います。このような場合、就業規則上に、以下の規定を設けておくことをお勧めします。
第○○条(年次有給休暇の届出)
1 年次有給休暇を請求しようとする者は、前日までに所属長に届出なければならない。ただし、事業の正常な運営を妨げるときは、他の時季に変更することがある。
2 病気その他やむを得ない事情により欠勤した場合で、本人から速やかに申出があり、会社が正当な事由による欠勤と認めた場合は、当該欠勤日を年次有給休暇に振り替えることができる。この場合、会社は病気等により欠勤した者から医師の診断証明書または医療機関で受け取ったレシート等の提出を求めることができる。
従業員からすれば、自分の有給取得日数が残っていた場合、それを使用して欠勤による給与の減額を防ぎたいのが心情だと思います。そのような場合、申し出を頭ごなしに拒否するのではなく、事情によっては認めてあげることで、従業員の不平・不満が起きにくい会社作りをしていきましょう。
有休取得を会社は拒否できるか?
有休の定義
有休とは「年次有給休暇」を省略した言葉です。一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。
有給休暇は下記の要件を満たせば従業員に発生する法的な権利です。
① 雇い入れてから6か月以上継続して勤務している。
② 前年1年間(雇い入れ後6か月の人はその6か月)の全労働日の8割以上出勤した。
有休にまつわる権限
有休については「労働者が取りたいときに取る権利=時季指定権」と「会社が有休を別日に変更する権利=時季変更権」があります。
時季指定権
有給を取得する日については、原則的に従業員が自由に選ぶことができます。この権利を「時季指定権」と言います。
時季変更権
従業員が指定した日にちが、事業の正常な運営を妨げる場合は、会社は有給の日にちを変更させることができます。この権利を「時季変更権」と言います。
この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、多数の従業員が同じ時季に有休を取得することにより、人手不足で正常な業務ができなくなる場合等を言います。
ただし、慢性的な人手不足なのに、あえて人員の補充をしていない場合には、人手不足を理由に時季変更権を行使することは認められていません。
会社は、原則的には従業員からの有休取得の申出を断ることができません。
ただ、例外として繁忙期等に有給取得されると「事業の正常な運営を妨げる場合」は、前述の時季変更権が認められています。あくまで、時季を変更できるにとどまり、有休そのものをとらせないことができるわけではないので、間違えないようにしてください。
時季変更権を行使する際は、会社の事情をしっかり説明し、従業員に理解してもらった上で変更してもらうことが望ましいでしょう。
産前産後休業の話
(産前産後の休業について)
産前産後の労働は、労働基準法で制限されています。
出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は出産予定の女性社員が休業を請求してきた場合、就業させることは出来ません。しかし、女性が希望した場合には働かせることが出来ます。
出産後8週間、原則は社員からの請求の有無にかかわらず、働かせてはいけません。
しかし、出産後7~8週間に関しては、女性本人が請求した場合であって、医師が支障がないと認めた業務については、働かせることが出来ます。
これらの規定は、主に母体保護の観点から定められています。
(休業中の賃金について)
産前産後の休業中に関しても「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、給与の支払い義務はありません。しかし、強制的な休業にも関わらず、無給というのでは安心して出産することが出来ません。
(健康保険からの給付について)
そのために、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために、健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。
※標準報酬日額=標準報酬月額÷30日
また、出産・育児には多額の費用がかかるため、出産費用を行政などが負担してくれる制度があります。これを、出産一時金と言います。1児につき42万円が支給され、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されます。双生児の場合は、2人分が支給されることになります。
出産一時金は、病院窓口で支払うときに行政などの負担部分を差し引いて支払うのが原則ですが、病院によってはいったん従業員が全額負担し、後から負担分を受け取る場合もあります。出産予定の際には、病院がどちらの制度をとっているか、確認してもらうようにしましょう。
休憩時間の考え方
労働基準法では、1日6時間を超えて働く場合には、休憩時間は必ず取らなくてはならないと定められています。1日6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩が義務づけられています。6時間を超えない場合には、休憩時間を付与する必要はありません。
この休憩時間は、1日の合計数なので、例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社で、30分と15分と分割して休憩しても問題ありません。
さらに、休憩の与え方には、以下の3つの原則があります。
1、途中付与の原則
ですから、勤務終了時間前にまとめて休憩を取り、1時間早く退社する、ということは出来ません。休憩時間は、休憩後の仕事も頑張ってこなせるようにリフレッシュするための時間ですので、途中に取らなければなりません。
2、一斉付与の原則
周りの人が休んでいないと、休憩を取りにくくなってしまいます。周りに気を使わないで休憩出来るよう、休憩は一斉に付与しなければなりません。しかし、接客業などでは、一斉に休憩をとってしまうと、接客が出来なくなってしまいます。下記の業種は、例外的に一斉に休憩を与えなくてもいい業種とされています。
① 運輸交通業
② 商業
③ 金融・広告業
④ 映画・演劇業
⑤ 通信業
⑥ 保険衛生業
⑦ 接客・娯楽業
⑧ 官公署の事業
他の業種でも労使協定を結ぶことで一斉に休憩を取らなくても良いことになっています。
3、自由利用の原則
休憩時間は自由に利用させなければなりません。つまり、電話番や接客応対を休憩時間にさせる場合、厳密には休憩の自由利用の原則に反することになります。
ただし、自由利用の原則があるからといって何をしても良いというわけではありません。周囲に迷惑のかかる行為や、休憩後に支障の出る行為は行ってはなりません。
有給休暇を時間単位で取らせる方法
有給休暇は1日単位でしか与えられないかというと、そうではありません。
時間単位の有給休暇は、労使協定を結べば導入することが可能です。労使協定には、以下の内容を取り決める必要があります。
① 対象者の範囲
② 時間単位の有給を取得できる日数
③ 時間単位の有給休暇の1日分の時間数
④ 1時間以外を単位にする場合は、その時間数
注意点:
時間単位での有給休暇には、いくつか制限があります。
まず、②の取得日数は5日分が限度となっています。なぜなら、有給休暇はリフレッシュするために1日で消化することが原則だからです。前年の繰り越し分があったとしても、繰り越し分を含めて5日以内となります。
また、最小単位は1時間となっており、分単位の支給は認められません。
さらに、時間単位の計画的付与はできません。従業員からの「支障があるため時間を変更してほしい」という時季変更権は行使できます。しかし、会社からの「○日の○時から3時間支給します」という計画的付与は認められません。
時間単位にする場合、1時間分の給与は下記のいずれかを所定労働時間で割った額となります。標準報酬日額とする場合は、労使協定が必要となります。
① 平均賃金
② 所定労働時間に働いた場合に支払う通常の給与
③ 標準報酬日額
時間単位の有給休暇は、有給をなかなか消化できない従業員には良い方法です。しかし、会社はそれを無理に導入しなければいけないわけではありません。
労働者の便宜を図る意味で導入するのはよいですが、その分管理が煩雑になるので、よく検討してから導入すると良いでしょう。
退職時の有給一括取得は拒否できるか?
会社は、退職者が残っている年休をまとめてとることを拒むことはできるのでしょうか。
原則として有給休暇取得は拒否できませんので、指定に従って与えなければなりません。ただし、引継ぎ不備などの明らかな不利益があった場合、別にペナルティーを与えることは可能です。
【時季指定権・時季変更権の前提】
有給休暇については、原則として会社は社員が請求するだけの日数を与えなければなりません。これを労働者が持つ「時季指定権」といいます。一方、有休取得が会社の正常な運営を妨げる場合は、有給休暇を別の日に変更する権利があります。これを会社の「時季変更権」といいます。時季指定権と時季変更権のうち、どちらの言い分が優先されるかは、個別の有休取得案件によって異なります。
では、退職する社員について、会社は時季変更権を使うことはできるのでしょうか。
時季変更権は、あくまで「ほかの時期には休暇を与えること」が前提となっています。会社を辞めた人間には、休暇を与えることはできないため、退職する社員には、時季変更権は使えないと考えられます。
本来、年次有給休暇とは「労働者に賃金を得させながら、一定期間労働者を就労から解放することにより、継続的な労働力の提供から生ずる精神的肉体的消耗を回復させるとともに、人たるに値する社会的文化的生活を営むための維持・回復させる」ものです。
会社としては、辞めることが決まっている社員には労働力の維持・回復を期待する必要もなく、むしろ、残りの期間は休まず出勤して十分な引継ぎを行ってもらいたいと考えるでしょう。しかし、年次有給休暇は一定の要件を満たすことにより当然に発生する労働者の権利です。この権利を使うことを会社が一方的に制約することはできません。
【有給休暇を買い上げることはできるか】
会社は原則として、社員の請求するだけの日数を与えなければなりません。ただし、法定の休暇日数を上回る部分があるとすれば、その部分については就業規則などの規定にもとづいて、買い上げるなどの方法をとることが可能です。
たとえば、労働基準法で定める最低に日数が10日の者に対して、15日が付与されているような場合には、5日分を買い上げの対象とすることができるのです。
休憩の自由利用の原則と例外
休憩時間とは、「労働しなくてもよい時間帯」を指します。が、実際には電話番やその他の仕事をお願いせざるを得ないことがあります。ここでは、休憩を自由に利用することの原則と例外について説明します。
【休憩の自由利用の原則とは】
休憩の自由利用の考え方は、労働基準法に「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」と規定されていることに依ります。自由利用の原則を法律上明確にしたのは、かつて戦時中の就業規則に、休憩時間中、指揮者の定めるところに従い体操を行うべしと規定するものが多かったことなどの事情があったそうです。
したがって、休憩時間中に職場体操を義務付けたり、来客の対応のために居残り・待機を強制させることは、自由利用の原則に違反することになります。
【自由利用はどこまで許すべきか】
ただ、自由利用とはいえ拘束時間の間にありますので、会社の秩序を乱すようなこと、職場の安全を脅かすようなことまでを許す必要はありません。休憩は、本来次の労働再開に備えて休息を取る目的のものですから、そのあとの労働が出来ないような飲酒等を規制することはむしろ当然のことでしょう。
【自由利用の例外】
以下のような職種には、自由利用の例外があります。
- 警察官
- 消防官
- 乳児院
- 養護施設その他施設に勤務し児童と起居を共にするもの など
【昼休みに電話当番を命じてもよいか】
原則としては自由利用の原則に反するのでダメということになります。その時間は労働時間となります。ただし、その頻度が多くなく、ほとんど負荷のかからない電話番であれば、労使で話し合ってお願いする、場合によっては少し手当を支給して納得してもらうなど、柔軟な対応をとることが得策でしょう。
それでもうかつにやると、退職した後になってあれは時間外労働だったなどと賃金を請求されることもあるので、できるだけお願いせずに、「労働者が自主的にやっていること」という形にしておく方が安全です。
休日と休暇の違い
休日と休暇、どちらも「働かない日」という点では共通していますが、法律上どのような違いがあるのでしょうか?
【休日の定義】
休日とは、就業規則等においてあらかじめ「労働義務がない日」と定められている日のことを指します。つまり、非労働日です。非労働日ですので、所定労働時間(〇時間働くという時間)が決められていません。
休日については、以下のような最低ラインが定められています。
・週1日
・または4週に4日
【休暇の定義】
休暇とは、労働義務のある労働日について「労働義務の免除」を労働者側の申し出(意思表示)等によって得た日を指します。この場合、休日と違い「所定労働時間」があることが前提となります。
この休暇を労働者がとることができる法的根拠は、法律の定めによって発生する法定休暇と、就業規則等の定めによって発生するその会社独自の会社休暇の2種類があります。
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①法定休暇(法律で与えないといけないとなっているもの)
- 年次有給休暇(いわゆる有給)
- 産前・産後休暇(いわゆる産休)
- 生理休暇
- 看護休暇(子どもの傷病などの世話)
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②会社休暇(会社独自の休暇)
- 慶弔休暇
- 病気休暇
- 特別休暇
- リフレッシュ休暇 など
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法定の休暇については、労働者の意思表示によって休暇が成立するという厳格さがありますので、原則として会社はその休暇取得を拒むことができません。なお、有給については「時季を変えてくれと言う権利≒時季変更権」があります。
一方で、会社休暇については、会社独自のルールによって与えても差し支えありません。例えば、繁忙を理由にリフレッシュ休暇を承認しないことがあるというルールを定めてもいいということです。
休日と休暇、さらに休暇の中でも法定休暇と会社休暇について、会社は区別して取り扱うことでトラブルを防ぎましょう。
有給休暇は本当に社員の希望した日に与えなくてはならないのか?
労働基準法第39条使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
確かに法律上は、このように会社側に義務づけられています。
極端な話、これに違反すると「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられる可能性もあります。社長が半年もの間、刑務所に入れられるとしたら・・・大変ですよね。
これだけ情報ネットワークが発達した時代にあって、有休を拒否するというのはさすがに通りません。労働者も自分たちに権利があるというのはよく知っています。
では、実際にはどのあたりまでが許されて、どういうことをしたらヤバイことになるのでしょうか?
まず、社員側には、有給休暇の時季指定権という権利が認められています。これは社員がいつでも好きな日を有休として指定できるという権利です。
ただ、この権利も無制限に認めてしまうと今度は会社側が回らなくなってしまいます。なので、会社側にも時季変更権という権利があるのです。
つまり、原則として社員の側が有休の時季を指定できるが、それが業務上どうしても困るという場合には、会社側はその時季を変更することができます。
だったら、有休取得を来年に変更するというのも許されるのでしょうか?
この点に関しては、過去に裁判になったことがありました。
その結論は「会社はできるだけ社員の希望日に有休を取らせてあげるような配慮してあげてください」という、なんとも曖昧なものでした。
さて、ここの表現がポイントです。
「会社は○○しなければならない!」ではないのです。
結局この、「時季指定権」も「時季変更権」も、どちらかを厳格に認めれば認めるほど、もう一方の権利が侵害される性質のものなので、その辺はお互いに譲り合って仲良くやってくださいね、という趣旨なのです。
では、実際によその会社ではどのように対処しているのでしょうか?
私の知る範囲では、中小企業でまともに全部有休を消化させている会社なんか聞いたことがありません。
ただし、社員がどうしても休みたいと言ってきた時や、体調を崩した場合などは、有休の使用を認めている会社がほとんどです。
法律を文面通りに守っていれば従業員に納得してもらえるとは限りません。
「うちの会社は分からず屋だ」
と思われたら、社員もやる気を失います。
でも、
「うちの会社は確かにケチだが、それでも本当に必要な時にはなんとか休ませてくれる会社だ」
と思っていてもらえれば、なんとかなっていくものです。
いわゆる腐れ縁という奴です。
だから、どのくらいの時季まで有休取得日の変更が許されるかについては、社員の気持ちを考えるしかないと思います。
少なくとも来年とか、半年後とかでは社員も会社の誠意を疑います。
せいぜい翌週とか、どんなにがんばっても翌月が限度ではないでしょうか?
当事務所では、法律の解釈だけでなく、経営者目線でどのような考え方を身に着けるべきかという視点まで掘り下げてアドバイスさせて頂いております。
社員の気持ちを読み間違えれば大事な社員に退職されてしまうかもしれません。
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年次有給休暇の話①
年次有給休暇、いわゆる有休は、どのようなルールで与えなければならないのでしょうか?
【原則】
① 入社日から数えて6ヶ月間に、全所定労働日の8割以上を出勤した労働者に対して、10日の有休を与えなければならない。
② 以降、同じルールにより、以下の有休を与えなければならない。
- 1年6ヶ月:11日
- 2年6ヶ月:12日
- 3年6ヶ月:14日
- 4年6ヶ月:16日
- 5年6ヶ月:18日
- 6年6ヶ月以上:20日
③ 各期間において8割未満の出勤率だった場合は、その期間の有休は与えなくてもよい。
④ いったん発生した有休の取得時効は2年間である。
以上が最低ルールとなります。
【出勤率8割をカウントする際のルール】
以下の場合、有休当日は出勤したものとしてカウントしなければなりません。
- 労災による休業
- 産前産後の休暇
- 育児・介護休業期間
これらの期間を出勤していないとみなすと、休暇取得を邪魔することになるからです。
【パートタイマーにも有休を与えなければならないか】
パートタイマーやアルバイトについても、有給休暇を与えなければなりません。
ただし、所定労働時間や所定労働日数が少ない労働者については、正社員よりも少なく有休付与をしても構わないことになっています。なお、これを「年次有給休暇の比例付与」といいます。
【時季指定権と時季変更権】
有給休暇については、以下の権利があります。
[労働者] 時季指定権:好きな時期に取る権利
[会社] 時季変更権:営業に支障を来す場合は、別の時期に取るように労働者に言う権利
どちらが優先されるかはケースバイケースですが、予め繁忙期などが決まっている場合は、「年次有給休暇の計画的付与のための労使協定」を結んで、労使で取得時期について合意するなどの対策をするとよいでしょう。
ここに書いた年次有給休暇の付与日数等については、労働基準法に定められた最低の限度基準ですので、これを下回る就業規則や雇用契約などが仮に会社に存在しても、労働者からの訴えがあればこの基準が適用されてしまいますので注意が必要です。
なお、有給休暇の取得率を向上させることで、貰える助成金があります。企業規模に関係なく、1社につき最大200万円が支給される職場意識改善助成金です。当事務所では、この助成金の創生期より、多くの事業所で申請代行をお手伝いさせていただいております。
休憩時間の話
休まずに労働すると心身が疲れてしまうため、法律上で休憩を与えることが決まっています。
【休憩時間についてのポイント】
- 労働時間 6時間まで :不要
- 労働時間 6時間~8時間まで :最低45分
- 労働時間 8時間以上 :最低1時間
【3つの決まり】
- 休憩は、労働時間の途中に与えなければならない。
- 休憩は、一斉に与えなければならない。
- 休憩時間は、自由に利用させなければならない。
<例外>
2.一斉付与の例外:
運輸・通信・商業・保健衛生・金融広告・接客娯楽・映画演劇・官公署は、
一斉に休憩を与えなくても良いとされています。
また、労使協定により一斉に与えない場合の詳細が決まっている場合も同様です。
3.自由利用の例外:
警察官や消防署職員など、または児童養護施設、知的障害児施設の職員など、
一部の職種は自由利用の例外とされています。
なお、休憩時間は労働時間の途中であれば、これを分割して与えることもできます。
例えば1時間の休憩であれば、12:00~13:00でもいいですし、12:00~12:45と15:00~15:15のように分割して与えても、どちらでもいいのです。
有休を我慢させるのは会社にとって損か?得か?
ただし実際には、これを取らせていない会社も多いと思います。現実に日本全体の有給休暇の取得率は5割を下回っています。
法律の水準が高すぎるから、そんなルールは無視しておけばいい、従業員が訴えなければ問題はない、という考え方は、果たして会社の役に立っているのでしょうか?
『ハーズバーグの動機付け、衛生理論』というのがあります。
これによれば、人間の満足度には「動機付け要因」と「衛生要因」の2つが作用しているとされています。
例えばレストランで食事をする場合、おいしい料理というのは「動機付け要因」で、清潔なお皿というのが「衛生要因」です。
どんなにおいしい料理でも、不潔なお皿で出されたら満足などできるわけがありません。
会社でいえば、賃金や休日などの待遇は「衛生要因」なのです。衛生要因は、一定水準を下回れば不満につながりますが、必要以上の水準に引き上げても、それが満足につながるものではないのです。
経営者から見れば、年間の合計休日数は同じでも、労働者は会社が法令を守っていないことばかりが気になるものです。本当なら取れるはずの休みを取らせてもらえない・・・そう思って不満を募らせてしまいます。
ところが、長期休暇をなくす代わりに、有給休暇は取らせるとしたらどうなるでしょうか? 社員から見れば取りあえずこの会社は決められたことは守っている、自分は不当に損をしているわけではない・・・ということになります。仮に年間休日数が同じでも、労働者の気持ちとしてはこれだけの違いが現れます。
有給休暇の問題だけでなく、会社が法を守っているかどうかは、社員にとって非常に重要な「衛生要因」となります。なんとかして社員のモチベーションを高めようと様々な「動機付け要因」を導入しても、その前に「衛生要因」を解決しておかなければ、社員の満足度を高めることはできません。そして何よりも社員から信用されません。
仮に社長がその法律を知らなかったとしても、同じ事です。