GOLGOのひとりごと
【制度の見通し・世の中の動き】記事一覧
- 2024.06.18
- ついに51人以上の企業のパートに社会保険の適用が拡大されます
- 2024.03.24
- 福井MG 育児休業 好奇心
- 2023.11.14
- 有給休暇管理表の上手な作り方
- 2023.09.12
- 10月分請求よりインボイスを発行します
- 2023.08.15
- 一度体験したら二度と元のやり方に戻りたくなくなる便利な振込のやり方
- 2023.01.23
- 社保適用拡大に合わせたパートタイマーへのヒアリングについて
- 2023.01.16
- 育児を理由とする短時間勤務制度の内容
- 2023.01.10
- 育児を理由とする短時間勤務制度の対象者
- 2023.01.04
- 複数の事業所で雇用される場合の社会保険
- 2022.12.14
- 週休3日制の導入についての考察
- 2022.12.07
- 夫婦共同扶養の場合の被扶養者認定について
- 2022.11.30
- 外国人が帰国した際の年金はどうなる?
- 2022.10.17
- 複数の事業所で雇用される場合の社会保険等
- 2022.08.16
- 雇用調整助成金の不正受給対応が厳格化されます!
- 2022.07.26
- 中小企業におけるパワハラ防止措置義務
- 2022.07.11
- 労働審判という制度について
- 2022.07.04
- 配慮すべき個人情報とは
- 2022.06.20
- 不妊治療の保険適用について
- 2022.06.06
- 新型コロナの影響による特例月額変更の延長
- 2021.12.23
- テレワークガイドラインの改定
- 2021.12.08
- 「男性版産休」の育児・介護休業法への新設について
- 2021.11.30
- 新型コロナウイルスの影響によるシフト減少で離職した場合の求職者給付
- 2021.04.02
- 新型コロナウイルス感染症の影響による離職者の離職証明書記載について
- 2021.03.29
- 副業・兼業の促進に関するガイドライン
- 2021.03.22
- 子の看護休暇と介護休暇の時間単位取得
- 2021.03.19
- 士業事務所の社会保険の適用要件が変わります
- 2021.03.15
- 国民年金3号被保険者の今後
- 2021.03.12
- 産休中の国民年金保険料免除
- 2021.03.08
- 自己都合退職の場合の給付制限期間の短縮
- 2021.03.05
- 出産や育児にかかる社会保険料の免除
- 2021.03.01
- マイナンバーカードの健康保険証利用について
- 2021.03.01
- 接骨院で保険は使えるか?
- 2021.02.19
- 雇用保険手続のマイナンバー届出
- 2021.01.04
- テレワーク時の時間管理について②
- 2021.01.03
- テレワーク時の時間管理について①
- 2020.12.28
- 失業保険はいくらもらえるか
- 2020.12.17
- ワーキングホリデーで滞在する外国人の保険加入
- 2020.12.07
- 新型コロナウイルス感染時の傷病手当金受給について
- 2020.10.26
- 社会保険の適用事業所と加入者について ~その1~
- 2020.09.21
- パワハラ防止指針
- 2020.09.13
- 厚生年金保険の標準報酬月額、上限改定について
- 2020.09.12
- 休業手当を支給した月が含まれる場合の離職証明書の書き方
- 2020.09.09
- 標準報酬月額の特例改定
- 2020.09.09
- お上はある日突然動く!
- 2020.09.02
- 令和2年度、被扶養者資格の再確認について
- 2020.09.02
- 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について
- 2020.09.01
- 休業等があった場合の算定基礎届の考え方
- 2020.08.31
- 働き方改革関連法
- 2020.07.21
- 教育訓練給付の拡充
- 2020.07.08
- 健康保険の被扶養者
- 2020.06.05
- 業務にLINEを活用しています
- 2020.05.26
- セクハラと労災
- 2020.05.19
- コロナで労災申請はできるか?
- 2020.03.18
- 新型コロナウイルス感染時の傷病手当金
- 2020.03.05
- 新型コロナウイルスについてのQ&A
- 2020.01.20
- 離婚時の年金分割
- 2020.01.18
- 事実婚と扶養
- 2019.12.02
- 同一労働同一賃金
- 2019.11.29
- 70歳まで働ける機会を確保する
- 2019.11.25
- 有給休暇の時季指定義務
- 2019.11.22
- 36協定の特別条項の上限
- 2019.11.18
- 扶養認定の厳格化
- 2019.10.21
- 外国人の雇用
- 2019.09.06
- サマータイムの導入に必要な届出
- 2019.08.16
- 月額変更の年間平均適用
- 2019.07.16
- 従業員がマイナンバーの提供を拒否
- 2019.07.12
- 雇用保険手続きのマイナンバー届出
- 2019.06.23
- パートタイマーへの労働条件の通知
- 2019.06.13
- 高額療養費と限度額適用
- 2019.05.15
- 均衡待遇と均等待遇の違い
- 2019.04.28
- 雇用保険の適用拡大(その2)
- 2019.03.26
- 雇用保険の65歳以上への適用拡大
- 2019.01.25
- 社会保険の適用拡大
- 2019.01.22
- 産前産後休業の保険料免除制度
- 2018.11.05
- ストレスチェックの 助成金
- 2018.10.29
- 雇用保険の基本手当日額
- 2018.07.23
- 平成29年10月施行 育児・介護休業法改正
- 2018.07.16
- 産業医制度の変更点
- 2018.06.25
- 社会保険のパートへの適用拡大
- 2018.06.04
- ユースエール認定制度
- 2018.03.09
- 人生100年時代 ~新しい働き方と求められる能力~
- 2018.02.20
- 65歳以上への雇用保険の適用拡大
- 2017.11.26
- SNSの発信を会社が取り締まることができるか
- 2017.11.12
- パートの制約条件
- 2017.11.05
- パートタイマーへの社会保険適用拡大
- 2017.03.25
- 育児・介護休業法改正について
- 2017.02.01
- テレワークという働き方
- 2017.01.11
- 過重労働撲滅特別対策班
- 2015.06.11
- 外国人雇用と労務管理について
- 2015.04.07
- 最低賃金の話
- 2014.03.04
- 産前産後休業の話
- 2013.10.09
- 10月から事業主の健康保険の扱いが変わります。
- 2013.07.04
- 建設業の労働保険料が4割引!
- 2013.06.02
- 政府の成長戦略構想と助成金の見直し
- 2013.01.28
- 障害者の法定雇用率引き上げ
- 2012.03.31
- 老齢年金の「損・得」世代別試算について
- 2012.03.01
- 採用内定と雇用関係
- 2011.12.01
- 注目すべき厚生年金の「現状と今後」
ついに51人以上の企業のパートに社会保険の適用が拡大されます
事業主の皆さん、今年の10月からパート労働者への社会保険の適用拡大が更に進むのを御存じですか?
2022年10月から101人以上の企業に対して適用拡大が行われましたが、今度は51人以上の企業に対して適用拡大が行われます。
まずはこの従業員数51人のカウント方法が気になりますね。
従業員数=フルタイムの労働者数+週所定労働時間がフルタイムの3/4以上の労働者数
よくある勘違いはこれですね↓↓↓
従業員数=その会社の全ての労働者数
普通は従業員数といったらこちらを思い浮かべるのではないでしょうか。
週所定労働時間がフルタイムの3/4以上の労働者のことを仮に準フルタイムと呼ぶことにします。
労働基準法での週所定労働時間は40時間が限度なので、準フルタイムは週30時間以上の人と考えればイメージしやすいと思います。
なので、フルタイムと準フルタイムは適用拡大前から社会保険に入るべき人です。
では適用拡大とは何かというと、週20時間~30時間の労働者も社会保険に入れるということです。
2024年10月からの適用拡大をわかりやすく言うと、
フルタイム+準フルタイムの人数が51人以上の企業に在籍している週の労働時間が20時間以上の人も社会保険に入らなくてはならなくなる、ということです。
ある程度の規模の企業では、それらの労働者を社会保険に加入させる(保険料を負担させ、会社も保険料を負担する)しか仕方ないでしょう。
ですが、フルタイム+準フルタイムの合計人数がギリギリで51人になってしまったり、100人弱までの企業なら、もう一社法人を作るという手もあります。
厚生労働省のパンフレットによれば、人数のカウントは法人番号が同一の企業を合計するということですので、法人番号が別の法人をもう一社作って人数を振り分けて、別会社からの派遣や請負という形にするのも可能だと思います。
(ただし、専ら派遣は禁止されていますので、派遣を行う場合には派遣法を遵守する必要があります)
この改正に伴い、2024年10月以降は年金事務所の調査も増えると思われます。会社にとってもパート労働者にとっても大きな影響があると思われますので、注意が必要です。
福井MG 育児休業 好奇心
福井MGに行くのは今回が初めてだった。
会場があわら温泉の旅館のせいか、ちょっと料金が高かったけれど、とてもいいMGだったと思う。
往きは敦賀から開通したばかりの北陸新幹線であわら温泉まで。まわりの風景の長閑さと新幹線の駅舎の立派さがすごいコントラストだ。
ゲームの方は今回は3期からタバコ屋であまりいいところもなく、一番下のG卓まで落ちて、そこで待っていたのは手強い小学生ふたり!
厳しい入札に苦労したが、最後はなんとか300を超えて終わることができた。
それはそうと、福井はマイツールがとても盛んだった。夜のOA大会が素晴らしい。
技がスゴイとか、メチャクチャ儲けてるとか、そういう派手な話ではなくて、まだ最近触りはじめたばかりだけれど、こんなことやってみたとか、こんなことがわかったとか、とても身近な実践報告が良かった。
誰でもできることの延長線上にスゴイ成果があることが分かると、よし自分もやってみよう!という気持ちになれる。マイツールの敷居を下げてくれる良い場であった。
そんな中、ある社長さんから悩みをお聞きした。
最近、権利主張ばかりする社員に対してどう接していいか悩んでいる。男性で育児休業を何カ月も取りたいと言われたが、まだ誰も取得したことがないし、本人は給付金が出るからと言っているが、会社の業務もある中、何を考えているのか・・・。
社長は会社のみんなと一緒に幸せになりたいと思ってMGやら色々なことを学んで会社に取り入れたいと思っているが、必ずしもそれに響いてくれる社員ばかりではない。
そんなお話の後で西先生の講義があった。
・I型人間、T型人間、V型人間
・マトリックス開発秘話
大まかに分けるとこのふたつのお話。
I型人間とは自分の専門しか分からない人で、こういう人が経営を理解するのは難しい。
T型人間とは、浅くて広い視野と狭くて深い専門領域を持っている人間のこと。I型人間よりもバランスが良く経営診断に向いている。
V型人間とは、T型人間に加えて強い好奇心が合わさっている人。
マトリックス開発秘話は、MGの開発当時、ある人に「ゲームが1時間なら決算も1時間で終わるようにすべきだ」と言われたことがきっかけで、MX会計表を開発することになったというお話。
西先生はこのことを「ムチャクチャだが面白い!」と思ったそうだ。
MX会計表を作られたのは間違いなく西順一郎先生なのだが、おひとりの力ではなく、様々なきっかけや運命の導きがあってそれが生まれたと考えておられるようだ。
そうした偶然が、あのムチャクチャな一言だった。
何が言いたいか?(これは西先生の口癖だ。so what)
好奇心を大切にしなさい、ということ(そのように私は理解した)。
あとから好奇心について調べてみたところ、「よくわからないものに出会ったとき生まれる心情には、恐怖心と好奇心がある」と書いてあった。
つまりV型人間とは、未知のものに対して恐れずに探求する心を持つ人のことなのだ。まるで黒船に乗り込もうとした吉田松陰のように。
そしてマトリックス開発秘話で西先生が感じられた「ムチャクチャだが面白い!」というのは、この意見は論理的ではないが、その考えの先にはきっと何かがある、耳を傾けるに値する、という直感だったのではないだろうか。
ソニーにおいて西先生がMGを開発する際に、誰かにMX会計表を作るように指示されたわけではない。MX会計表は無くてもMGを世に出すことはできた。にも関わらず西先生は、あの一言がきっかけでMX会計表の研究というより高い目標に向かう決意をされた。
「ゲームが1時間なら決算も1時間」という大して論理的とは言えない意見に対し、そんなことはおかしいと切り捨てることもできたにも関わらず、それを面白いととらえて探求する好奇心がMX会計表を生み出した。
好奇心とはそのようなものだ。
福井MGの帰り道、私に悩みを打ち明けてくれた社長さんのことが思い出された。
権利主張する社員というのは、社長さんにとって「よくわからないもの」だったのかもしれない。
だとしたら、それに対して恐怖心ではなく、好奇心で考えてみてはどうだろう?
そんな風に考えた私は後日、あの話の続きをzoomでしてみませんか?と社長さんを誘ってみた。
zoomで気持を聞いてみると、さすが聡明な方で、今ではご自身の中では社員の要求を受け入れる覚悟を決めておられるとのことだった。ただし、他の社員たちがそれに反発して関係が悪くなるのではないかと心配しておられた。
あの時は本当に悩んでおられて、私も迂闊に「こうすればいい」とは言いにくかったのだが、私の想いを伝える前にそう言われたので、やはりMGで真剣に学んでいる方は素直で謙虚なのだなと感心した。
経営者というものは厄介な役割で、次から次へと新しい時代の新しいルールや環境に適応しなくてはならない。それは社員もそうなのだが、最初に矢面に立たされるのは大体経営者だ。
前例のない事柄に対して、「社長、どうしますか?」と問われると、誰でも一瞬驚愕して答えに困ってしまうものだと思う。(そういう時に相談に乗るのが私たち士業の役割だが、士業は法律そのものは知っていても人の心が全て見通せるわけではない)
このような時に、社員ひとりひとりの気持ちに好奇心を持って対話してみることが大切だと思う。これは社長対社員だけでなく、社員同士でも同じで、多様化の時代を生きる私たちは自分以外の人の生き方について好奇心を持たなければ分かり合えるはずがない。
「育休なんてズル休みだ」
「どうせ分かってもらえない人たちなら、嫌われたっていいから権利は全部主張してやる」
好奇心を持たないと人はこんなことしか思わない。
一度試しに「男が育休? それはムチャクチャだが面白い!」と思ってみたらどうだろう?
取り返しのつかないことではないのだから、やってみて考えるというのがMG流かもしれない。
有給休暇管理表の上手な作り方
ある日の事務所内の会話より
各社員の2020.1~2023.9の有休消化実績をいただいてますが、「それより前の有休は2020年の消滅&付与の際に満日数になる程度の消化しかしていない(つまり、前々年の有休は使い切る前に消滅)」と見做してしまってよいでしょうか。どこかのタイミングでそう見做さないと、前々年は?前々々年は?その前は?とキリが無く結局入社当初から把握し直さなければならず…
こういう思い込み、ありますね。
この時は、エクセルで次のようなデータを作ろうとしていました。
付与日数 | 消化日数 | 残日数 | |
2020/1/1 | 20 | 1 | 19 |
2020/2/1 | 1 | 18 | |
2020/3/1 | 18 | ||
2020/4/1 | 18 | ||
2020/5/1 | 18 | ||
2020/6/1 | 18 | ||
2020/7/1 | 18 | ||
2020/8/1 | 18 | ||
2020/9/1 | 18 | ||
2020/10/1 | 18 | ||
2020/11/1 | 18 | ||
2020/12/1 | 18 | ||
2021/1/1 | 20 | 38 | |
2021/2/1 | 38 | ||
2021/3/1 | 38 | ||
2021/4/1 | 10 | 28 | |
2021/5/1 | 28 | ||
2021/6/1 | 28 | ||
2021/7/1 | 28 | ||
2021/8/1 | 28 | ||
2021/9/1 | 28 | ||
2021/10/1 | 28 | ||
2021/11/1 | 28 | ||
2021/12/1 | 28 | ||
2022/1/1 | 20 | 40 | |
2022/2/1 | 40 | ||
2022/3/1 | 40 | ||
2022/4/1 | 3 | 37 | |
2022/5/1 | 2 | 35 | |
2022/6/1 | 20 | 15 | |
2022/7/1 | 15 | ||
2022/8/1 | 15 | ||
2022/9/1 | 15 | ||
2022/10/1 | 15 | ||
2022/11/1 | 15 | ||
2022/12/1 | 15 | ||
2023/1/1 | 20 | 35 | |
2023/2/1 | 35 | ||
2023/3/1 | 35 | ||
2023/4/1 | 35 | ||
2023/5/1 | 35 | ||
2023/6/1 | 35 | ||
2023/7/1 | 35 | ||
2023/8/1 | 35 | ||
2023/9/1 | 35 | ||
2023/10/1 | 35 | ||
2023/11/1 | 35 | ||
2023/12/1 | 35 | ||
2024/1/1 | 20 | 40 |
「毎年1月に付与されるとすると、翌年1月にも付与されて、2年後に最初に付与された分の残りが消滅して・・・」
数式を入れていてもゴチャゴチャになってきます。
そこで、表をちょっと工夫してみました。
付与日数 | 消化日数 | 消滅日数 | 繰越日数 | 当年付与の残日数 | 合計残 | |
2020/1/1 | 20 | 1 | 19 | 19 | ||
2020/2/1 | 1 | 18 | 18 | |||
2020/3/1 | 18 | 18 | ||||
2020/4/1 | 18 | 18 | ||||
2020/5/1 | 18 | 18 | ||||
2020/6/1 | 18 | 18 | ||||
2020/7/1 | 18 | 18 | ||||
2020/8/1 | 18 | 18 | ||||
2020/9/1 | 18 | 18 | ||||
2020/10/1 | 18 | 18 | ||||
2020/11/1 | 18 | 18 | ||||
2020/12/1 | 18 | 18 | ||||
2021/1/1 | 20 | 18 | 20 | 38 | ||
2021/2/1 | 18 | 20 | 38 | |||
2021/3/1 | 18 | 20 | 38 | |||
2021/4/1 | 10 | 8 | 20 | 28 | ||
2021/5/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/6/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/7/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/8/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/9/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/10/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/11/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/12/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2022/1/1 | 20 | 8 | 20 | 20 | 40 | |
2022/2/1 | 20 | 20 | 40 | |||
2022/3/1 | 20 | 20 | 40 | |||
2022/4/1 | 3 | 17 | 20 | 37 | ||
2022/5/1 | 2 | 15 | 20 | 35 | ||
2022/6/1 | 20 | 0 | 15 | 15 | ||
2022/7/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/8/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/9/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/10/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/11/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/12/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2023/1/1 | 20 | 0 | 15 | 20 | 35 | |
2023/2/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/3/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/4/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/5/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/6/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/7/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/8/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/9/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/10/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/11/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/12/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2024/1/1 | 20 | 15 | 20 | 20 | 40 |
毎年1月の残日数の出し方がわかりやすくなったのがわかるでしょうか?
結論としては、2024/1/1時点での残日数を出す上では、2022/1/1からのデータだけあれば十分です。もし理屈が分からなくても、この表に何パターンかのデータを入れてみれば、帰納的にそれがわかります。
前年12月時点での繰越日数が翌年1月の消滅日数に移動して、
前年12月時点での当年付与の残日数が繰越日数に平行移動する。
処理の内容が目に見える形になっただけで、ものすごく分かりやすくなりますね。
それまでは、残日数というわかりにくい概念であったものを、繰越日数、消滅日数、当年分の残日数というよりわかりやすい概念に切り分けたところがポイントです。
こういうことをスゴイ!と感動する人が居たりしますが、実際には大したことをやっているわけではありません。
・人間の脳のメモリーは非常に少ない
・頭の中で考えず、紙やソフトに並べて眺める
・わかりにくいものは要素に分解してみる
・ゴールが見えなくても、とりあえずやってみる
・ひとりで考えずに誰かに相談する
これらの基本的な思考パターンを持っているかどうか?
実際、何時間掛かっても解けなかった問題が、ほんの5分ほどでこの答えに辿り着くことができました。
MG、TOC、マイツールで学んだ思考パターンはとても役に立っています。
10月分請求よりインボイスを発行します
GOLGO社労士事務所、合同会社GOLGO共に適格請求書発行事業者の登録番号が準備できましたので、来月よりインボイス(適格請求書)を発行いたします。
なお、登録番号は下記のサイトにて検索が可能です。
一度体験したら二度と元のやり方に戻りたくなくなる便利な振込のやり方
今回も給与の振込のお話です。
振込といえば、昔だったら銀行のATMまで出向いて画面の指示に従って一人分ずつ間違えないように口座情報と金額を手入力していく・・・1件か2件ならこれでもいいのですが、社員何十人分もの給料をこんな風に振込処理していたら日が暮れてしまいますよね。ATMも長蛇の列になってしまって顰蹙を買ってしまいそうです。ATMができる前は窓口で振込処理をしていた時代もありました。想像を絶しますね。
流石に今ではインターネットバンキングが普及していますので、会社のパソコンからこれらの処理を行えるようになりました。ですが、給与の金額を1円でも間違えたら大変ですので、ひとりひとりしっかりと確認が必要です。しかも最近はセキュリティ強化のためにワンタイムパスワードをいちいち入れなくてはならなくなりました。ひとりに1分掛かるとしても、30人で30分も集中した作業が必要になります。作業の途中で電話が掛かってきたら困ってしまいそうです。たった30分と思われるかもしれませんが、30分も集中して作業するというのはとても疲れます。担当者は終わったらグッタリとしてしまうかもしれません。もう午前中は難しい仕事はする気が起きないと思っているかもしれませんね。まさか社長ご本人が大切な時間をこんなことに費やしてたりしませんよね? あーもったいない。
実は昭和の時代から全銀フォーマットというデータ形式を使えば、一瞬で何百人分でも「正確に」振込処理が行えるやり方があったそうです。
そりゃそうですよね!
振込なんて取り扱うデータは全部デジタルデータですから、そういうことが可能だというのは誰でも考え付くことです。
この全銀フォーマット。今でもネットバンキングでテキストファイル(メモ帳)を指定するだけで読み込ませることが簡単にできます。
一度でもこのやり方を経験したら、二度と元のように一件ずつ入力するというやり方には戻りたくなくなります。今まで無駄な時間を費やしていたのは何だったのだろう?と思うこと請け合います。
さあ!一円も利益を生まない単純で気を使う作業は、デジタルで合理化して、余った時間をもっと価値のある業務改善に生かしましょう!
(当事務所では給与計算結果を全銀フォーマットの形式にして納品するサービスを無料で行っております)
社保適用拡大に合わせたパートタイマーへのヒアリングについて
2022年10月からパートタイマーへの社会保険の適用がさらに進み、従業員数100人超(101人以上)規模の会社が「パート社保加入対象企業」に仲間入りしました。今まで週20時間以上30時間未満などで社保加入対象外としていたパートタイマーが新たに加入対象となることで様々な影響が考えられます。
・適用拡大後の社会保険料の算出
適用拡大後の企業負担の社会保険料を算出し、増加した保険料分が、経営にどの程度影響をもたらすのか把握していきましょう。
単純計算でいくと、新たに加入対象となるパートタイマーの代替の月額給与総額×15%程度が会社の社会保険料負担増加となります。
・本人の意向の確認
社会保険の適用は、要件に当てはまれば、本人の意思にかかわらず社会保険に加入するのが原則です。しかし実際には
「天引きされて手取りが減少するのが嫌だ」
「配偶者控除内で働きたいので社会保険への加入したくない」
など加入したくない従業員がいるかもしれません。今回の適用拡大によって該当するパートタイマーに対しては場合、従業員本人に法改正についてしっかりと説明し、今後の意向を確認しておくべきでしょう。そして、説明してもなお加入したくない場合は「週の所定労働時間を20時間未満に変更する必要があること」を説明し、勤務シフト並びに手取り給与が減少することに同意してもらう必要があります。そして、同意を得た新たな労働条件で雇用契約書を締結し直すなどの対応をしていった方が良いでしょう。
・雇用管理の徹底
社会保険加入をしたくないパートタイマーについては、今後さらに労働日数や労働時間などの雇用管理をしていく必要があります。週の労働時間を20時間未満に抑えるように工夫していきましょう。
育児を理由とする短時間勤務制度の内容
育児を理由とする短時間勤務制度について、どのような短時間勤務制度を定める必要があるでしょうか。
時間
短時間勤務は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりません。ただし、1日の所定労働時間を6時間とする措置を設けた上で、そのほか、例えば1日の所定労働時間を7時間、4時間などとする措置や、出勤日数を柔軟にしたり隔日勤務等を認めたりといったその他の短縮措置をあわせて設けることも可能であり、労働者の選択肢を増やす望ましいものといえます。
なお、日々の残業については規制されているものではありませんが、子育ての時間を確保するこの制度の趣旨からすると、望ましいことではありません。
対象期間
対象期間は、原則子どもが3歳に達するまでですが、小学校就学の始期(6歳になった日以降の最初の3月31日)のまで対象とすることが努力義務とされています。
育児短時間勤務中の給与や賞与
育児短時間勤務中は、短縮している労働時間に応じて給与は減額となり、賞与に労働時間や給与が考慮されている企業においては賞与も減額となります。ただし、労働時間の短縮分を超えて減額することは禁止されており、例えば短時間勤務となったことにより手当が無くなったり、実質時給単価が減少するような給与の減額は認められないことに注意が必要です。
不利益な取扱は禁止
前述の短縮時間を超える給与の減額のように、育児短時間勤務中の労働者への不利益な取扱は禁止されています。正社員から非正規社員に変更を求めたり、不当に低い評価をすることも不利益な取り扱いとみなされる可能性があります。
育児を理由とする短時間勤務制度の対象者
育児介護休業法により事業主は、3歳未満の子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる育児のための短時間勤務制度を設けなければなりません。
短時間勤務制度の対象となる従業員
短時間勤務制度の対象となる従業員は、以下のいずれにも該当する男女労働者です。(女性だけでなく男性も短時間勤務制度の対象となる点に注意が必要です。
① 3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと。
② 日々雇用される従業員でないこと。
③ 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
④ 労使協定により適用除外とされた従業員でないこと。
以下のア)~ウ)の従業員は、労使協定により適用除外となる場合があります。
ア)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない従業員
イ)1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
ウ)業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する従業員
短時間勤務制度に向かないケース
上記ウについて、「短時間勤務制度が馴染まない業務に従事している場合は除外対象となる」という意味ですが、具体的には以下のような業務が挙げられます。
・国際線のパイロットやC Aなど、業務の性質に照らして制度の対象とすることが困難と認められる業務
・労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない場合など
・流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務など
・交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務など
・個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務など
なお、ウに該当する従業員を適用除外とした場合、事業主は、代替措置として、以下のいずれかの制度を講じなければなりません。
(a)育児休業に関する制度に準ずる措置
(b)フレックスタイム制度
(c)始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤の制度)
(d)従業員の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
複数の事業所で雇用される場合の社会保険
過去に厚生労働省が副業・兼業の促進に関するガイドラインを出した経緯もあり、複数の事業所で雇用されている人が増えてきたと思います。また、令和4年10月からは短時間労働者への社会保険適用が拡大されますので、短時間労働者=保険未加入者ではなくなっていきます。各保険の取り扱いについて見ていきます。
例:A社で週30時間勤務、B社で週10時間勤務のケース(両社とも雇用契約)
1、労災保険について
労働者が、副業・兼業をしているかにかかわらず、事業所ごとに労災が適用されます。よって、A社で被災した際はA社の労災、B社で被災した際はB社の労災が適用されます。また、A社からB社への移動時に起こった災害については、B社においての通勤災害として扱われます。
2、雇用保険について
労働者が週20時間以上勤務する場合(その他にも要件あります)等で、該当事業所で雇用保険に加入します。今回のケースで言えば、A社のみで加入をすることになり、B社では加入しません。仮にB社でも週20時間以上勤務する場合は、「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用保険関係にある会社での加入」となりますので、やはりA社のみで加入をするのが妥当でしょう。
3、社会保険(健康保険・厚生年金保険)について
労働者が週30時間以上勤務する場合(その他にも要件あります)等で、該当事業所で社会保険に加入します。今回のケースで言えば、A社のみで加入をすることになり、B社では加入しません。仮にB社が「特定適用事業所(短時間労働者でも社会保険加入)」に該当し、かつ、週20時間以上勤務する場合(その他にも要件あります)等で、B社でも社会保険加入義務が生じる可能性があります。この場合、両社で社会保険に加入することとなり、主たる事業所の選択や、両社の報酬額に応じた保険料を納付することになります。
従業員が副業や兼業をしている場合、他社で何時間働く契約になっているかの把握や適切な保険加入を進めていけるとよいでしょう。
週休3日制の導入についての考察
働き方改革、ワークライフバランスの流れの中、週休3日制に注目が集まっています。1日8時間、週40時間の法定労働時間は「週休2日制」を前提にしていますが、休日を増やしながら労働時間を変えない週休3日制はどのように導入すれば良いでしょうか。また、週休3日制にはどのようなメリット、デメリットがあるでしょうか。
導入方法
週所定労働時間が40時間の企業が労働時間を変えずに週休3日制を導入するには、1日の労働時間を10時間に増やさなければなりません。つまり、8時間×5日でなく「10時間×4日」などに変更することになります。この場合1日の法定労働時間を超えることになるため、1ヶ月単位の変形労働時間制を導入して「1日は8時間を超えているが、月間では週平均40時間に収まっている状態」にすれば良いことになります。
メリット
休日を増やすことにより、プライベートな時間との両立(例えば育児、介護との両立)を可能とし、育児や介護を理由とした離職を防止できます。また、趣味を充実させたい人にとっても、まとまった3連休が常態的に取れる週休3日制は歓迎されるかもしれません。
そして、休日が多く柔軟な労働時間制を備えた会社として採用面でも有利に働くことが期待できます。
最近流行になってきている「二拠点生活」の働き方にもマッチしそうです。
デメリット
1日10時間の労働時間が「長すぎる」ために、集中力を欠いてしまう可能性があります。
また、社内で「週休2日制」と「週休3日制」が混在する場合に、情報共有やコミュニケーションが円滑に進まない可能性もあります。商取引の場面でも休日が合わないことで取引先との足並みが揃わずに機会損失につながるかもしれません。
夫婦共同扶養の場合の被扶養者認定について
夫婦共働きの世帯が増えてきており、いずれにも収入がある場合、子どもをどちらの扶養(健康保険)に入れるべきかの判断に迷う場面が出てくると思います。2021年8月に新たな認定基準が通知されておりますので、みていきます。
【1】夫婦とも被用者保険に加入している場合
夫婦ともに協会けんぽや健康保険組合等の被用者保険に加入している場合は、主に以下取扱いとなります。
1)被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多い方の被扶養者とする。
2)夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
【2】夫婦の一方が国民健康保険に加入している場合
夫婦のいずれかが国民健康保険に加入している場合は、以下の年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持しているものと認定されます。
・被用者保険の被保険者:過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの
・国民健康保険の被保険者:直近の年間取得で見込んだ年間収入
子どもの扶養加入手続き時は、配偶者の有無や収入額も確認できるようにしておき、夫婦どちらの扶養にいれるべきかを上記基準に沿って判断していくと良いでしょう。
外国人が帰国した際の年金はどうなる?
社会保険適用に国籍要件はないため、外国人であっても日本の法人で働く人には社会保険(健康保険・厚生年金)が適用されます。しかしながら、数年だけ日本で働いて自国に帰国する外国人にとっては年金の受給資格を得る前に帰国することになるため、掛け捨てとなる問題が出てきます。
脱退一時金とは、日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。
支給要件
1、国民年金
国民年金の脱退一時金の支給要件は以下のとおりです。
・日本国籍を有していない
・公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
・保険料納付済期間等の月数の合計(※)が6月以上ある(国民年金に加入していても、保険料が未納となっている期間は要件に該当しません。)
・老齢年金の受給資格期間(厚生年金保険加入期間等を合算して10年間)を満たしていない
・障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない
・日本国内に住所を有していない
・最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)
脱退一時金の計算式
(①最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額)×2分の1×(③支給額計算に用いる数)
つまり、最大で掛けた額の半額程度が脱退一時金として支給されることになります。なお、③については最低6から最高60(5年分)となります※。
※2021年(令和3年)4月より(同年4月以降に年金の加入期間がある場合)、月数の上限は現行の36月(3年)から60月(5年)に引き上げられました。
複数の事業所で雇用される場合の社会保険等
過去に厚生労働省が副業・兼業の促進に関するガイドラインを出した経緯もあり、複数の事業所で雇用されている人が増えてきたと思います。また、令和4年10月からは短時間労働者への社会保険適用が拡大されますので、短時間労働者=保険未加入者ではなくなっていきます。各保険の取り扱いについて見ていきます。
例:A社で週30時間勤務、B社で週10時間勤務のケース(両社とも雇用契約)
1、労災保険について
労働者が、副業・兼業をしているかにかかわらず、事業所ごとに労災が適用されます。よって、A社で被災した際はA社の労災、B社で被災した際はB社の労災が適用されます。また、A社からB社への移動時に起こった災害については、B社においての通勤災害として扱われます。
2、雇用保険について
労働者が週20時間以上勤務する場合(その他にも要件あります)等で、該当事業所で雇用保険に加入します。今回のケースで言えば、A社のみで加入をすることになり、B社では加入しません。仮にB社でも週20時間以上勤務する場合は、「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用保険関係にある会社での加入」となりますので、やはりA社のみで加入をするのが妥当でしょう。
3、社会保険(健康保険・厚生年金保険)について
労働者が週30時間以上勤務する場合(その他にも要件あります)等で、該当事業所で社会保険に加入します。今回のケースで言えば、A社のみで加入をすることになり、B社では加入しません。仮にB社が「特定適用事業所(短時間労働者でも社会保険加入)」に該当し、かつ、週20時間以上勤務する場合(その他にも要件あります)等で、B社でも社会保険加入義務が生じる可能性があります。この場合、両社で社会保険に加入することとなり、主たる事業所の選択や、両社の報酬額に応じた保険料を納付することになります。
従業員が副業や兼業をしている場合、他社で何時間働く契約になっているかの把握や適切な保険加入を進めていけるとよいでしょう。
雇用調整助成金の不正受給対応が厳格化されます!
新型コロナウイルス感染症の影響による雇用調整助成金の特例措置が開始され2年以上経過しております。先日の厚生労働省からの公表によると、2022年9月まで特例措置が継続する予定です。そのようななか、不正受給のニュースも見かけるようになりました。厚生労働省からも、不正受給の対応を厳格化する旨の案内がされております。主な内容は以下の通りです。
1、事業所名等の積極的な公表・予告なしの現地調査
■不正受給した事業所名等を積極的に公表
■都道府県労働局の事前予告なしの現地調査(事業所訪問・立入検査)
■不正「指南役」の氏名等も公表の対象となる場合あり
2、返還請求
■「不正発生日を含む期間以降の全額」+「不正受給額の2割相当額」(ペナルティ)+「延滞金」の合計額の返還請求
3、5年間の不支給措置
■雇用調整助成金だけでなく、他の雇用関係助成金も5年間の不支給措置
4、捜査機関との連携強化
■不正受給対応について、都道府県労働局と都道府県警察本部との連携の強化
■悪質な場合、捜査機関に対し刑事告発
また、以下に該当する場合は一報が欲しい旨の呼びかけもされております。
申請事業主
・申請内容に誤りがあった場合や受給した助成金の返還を希望する場合
従業員
・不正受給に関する情報を把握している場合
以下のようなケースが不正受給の例です。
・架空休業:実際には出勤しているにも関わらず休業したものとして申請
・架空雇用:退職した従業員を現在も雇用しているものとして申請
・架空休業手当:休業手当を支払ってないが支払ったものとして申請
中小企業におけるパワハラ防止措置義務
2020年6月から職場におけるハラスメント防止対策が強化され、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となりましたが、当初は大企業だけがその対象となっていました。
2022年4月1日からは中小企業についてもこの義務化の対象となりました。
義務化の内容
義務化の内容について、労働施策総合推進法(第三十条の二)に以下のように定められています。
1、事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
必要な措置とは具体的に以下のものを指します。
①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
2、事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
これは、パワハラの相談をしたことや事実確認のための面談での行動によって、労働者が不利益な取り扱いをされないことを求めたものです。
具体的な対応
具体的な対応としては「必要な措置をしてます」と対外的に説明できる状況を整えることが必要でしょう。例えば就業規則に運用ルールを規定したり、説明会や研修会を開催したり、相談窓口を設置したり、あるいはパワハラの疑いがあるときの調査方法のマニュアル化などでしょう。
当事務所でも「性善説によるパワハラ防止研修」を行わせて頂いております。ぜひご相談ください。
労働審判という制度について
労働審判とは、労働者と事業主との間で起きた労働問題を労働審判官1名と労働審判員2名が審理し、迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする非公開の裁判手続きで、2006年から始まった比較的新しい制度です。
解雇や残業代請求などの労働紛争について、裁判官1名と労働関係の専門的知識と経験を有する労働審判員2名(1名が企業の人事部に長年所属していた人など、もう1名が労働組合の活動を行ってきた人などが選任されているようです。)で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で事件を審理し、調停を試み、又は審判を行う制度です。
原則として3回以内というところがポイントで、従来の通常訴訟だと1年単位で解決までに時間がかかることと比較すると迅速な手続きを目指しています。短期間での解決を目指すことから、申立の約8割が金銭解決を中心とした和解的解決となります。
出頭は拒否できない
労使トラブル解決手段の一つである都道府県労働委員会の「あっせん制度」は、行政サービスのため出頭義務はありませんが、そのため相手方(多くは会社側)が出頭しないと話し合いが進まないという問題がありました。労働審判では出頭が強制され、拒否した場合は罰金が科されます。
労働審判後
調停が成立しない場合、審判が言い渡されます。これに対し、適法な異議申立がない場合、審判は裁判上の和解と同一の効力を持ちます。なお、審判内容に不服であれば、異議を申立てることが可能です。異議申し立てをした場合、労働審判は効力を失い,訴訟手続に移行します。
配慮すべき個人情報とは
要配慮個人情報の定義と規制の概要
「要配慮個人情報」とは、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」をいいます(改正個人情報保護法2条3項)。
個人情報取扱事業者は、法令に基づく場合等一定の例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはなりません。
具体例
(1)人種
「在日○○人」、「○○地区・○○部落出身」、「日系○世」などの人種や民族・種族に関する情報
(2)信条
信仰する宗教、政治的・倫理的な思想など
(3)社会的身分
「非嫡出子(法律上で婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子供)」や「被差別部落の出身」など
(4)病歴
「うつ病で通院していた」「癌になった」など。
(5)犯罪の経歴
前科や刑務所に収容された事実など
(6)犯罪により害を被った事実
「詐欺被害に遭った」「婦女暴行の被害者だった」など
(7)身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の個人情報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があること
(8)本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者(次号において「医師等」という)により行われた疾病の予防及び早期発見のための健康診断その他の検査(同号において「健康診断等」という)の結果
(9)健康診断の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと
これらの個人情報に配慮することでその人が自由に生きたり、幸福を追求したりする権利を侵害しないようにすることが目的です。
経営者や総務など、社員の個人情報を取り扱う者は、これらの情報を業務上必要な場合に個人から取得することがありますが、当人に対し機密の保持を約束すると共に情報の漏洩を防ぐ必要があります。
不妊治療の保険適用について
保険対象となる不妊治療について
菅政権の改革によって、令和4年4月以降体外受精などの基本治療が保険適用されます。
関係学会のガイドラインなどで有効性・安全性が確認された以下の治療について、保険適用されることになります。
一般不妊治療→タイミング法、人工授精
生殖補助医療→採卵採精 体外受精 顕微受精 受精卵・胚培養 胚凍結保存 胚移植
生殖補助医療のうち、上記に加えて実施されることのある「オプション治療」についても、保険適用されるもの、「先進医療」(※)として保険と併用できるものがあります。
※「先進医療」とは、保険外の先進的な医療技術として認められたもので、保険診療と組み合わせて実施することができます。不妊治療に関する「先進医療」は随時追加されることもありますので、詳細は、受診される医療機関に確認してください。
年齢・回数の制限
保険診療でも、これまでの助成金と同様に以下の制限があります。
年齢制限
→治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること
回数制限
初めての治療開始時点の女性の年齢が
①40歳未満→通算6回まで(1子ごとに)
②40歳以上43歳未満→通算3回まで(1子ごとに)
自己負担割合
窓口での負担額が治療費(※)の3割となります。また、治療費が高額な場合の月額上限(高額療養費制度)もあります。具体的な上限額や手続は、加入の医療保険者などにお問い合わせください。
保険診療を受けられる医療機関
助成金の指定医療機関であれば保険診療の施設基準を満たす経過措置があります(令和4年9月30日まで) 。かかりつけの医療機関又はお近くの医療機関にご確認の上、受診してください。
なお、先進医療を受ける場合治療内容や費用について同意が必要になりますが、それ以外に患者側に特段の手続はありません。
治療内容について
・採卵の実施回数について
保険診療で採卵を行う際は、治療開始時に医師が作成する治療計画に従って行うことになります。その際、医学的に必要と判断された場合は、複数回採卵を行うことも想定されます(例えば、採卵を行っても卵子が得られない場合など)。
・保険適用前の不妊治療の継続について
保険適用前に助成金の指定医療機関や学会の登録施設で作成・凍結された胚は、基本的に保険診療でも使用可能です。
また、保険診療における胚移植の回数制限は、保険診療下で行った胚移植の回数のみをカウントしますので、過去の治療実績や助成金利用実績は加味されません。
・年齢制限・回数制限の経過措置
経過措置として、令和4年4月2日から同年9月30日までの間に43歳の誕生日を迎える方については、43歳になってからでも、同期間中に治療を開始したのであれば、1回の治療(採卵~胚移植までの一連の治療)に限り保険診療を受けることが可能です。
また、同期間中に40歳の誕生日を迎える方については、40歳になってからでも、同期間中に治療を開始したのであれば、回数制限の上限は通算6回となります。
・事実婚の場合
事実婚の場合でも、従前の助成金と同様に対象となります。なお、受診の際に医療機関から、事実婚関係について確認されたり、書類を求められたりすることがあります。
新型コロナの影響による特例月額変更の延長
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業により、著しく報酬が下がった場合の健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例改定が令和4年6月まで延長されております。
標準報酬月額の特例改定について
令和2年4月から令和3年7月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響による休業により著しく報酬が下がった方について、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定が可能となっておりますが、令和3年8月から令和4年6月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した方や、令和2年6月から令和3年5月までの間に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている方についても、特例措置が講じられることとなりました。
特例改定の該当者について
次の(1)から(3)のすべてに該当する方が対象となります。
(1)新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和3年8月から令和4年6月までの間に、著しく報酬が下がった月が生じた方
(2)著しく報酬が下がった月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がった方(固定的賃金の変動がない場合も対象となります)
(3)本特例措置による改定内容に本人が書面により同意している
通常の月額変更の場合は、報酬が下がった月から4か月目に改定となりますので、改定までの数か月間は従前の社会保険料が続くため負担が大きいです。特例措置は、その期間が短くて済みますので、該当者には適用してあげた方が良いでしょう。ただし、届出により標準報酬月額が下がることで各種手当金も下がる可能性がありますので、必ず本人に同意を得たうえで進めてください。
テレワークガイドラインの改定
厚生労働省から、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」が発表されました。
▷テレワークの導入に際しての基本的なポイント
ガイドラインには以下のように定められています。
1、テレワークの推進は、労使双方にとってプラスなものとなるよう、働き方改革の推進の観点にも配意して行うことが有益であり、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことのできる良質なテレワークとすることが求められる。
2、テレワークを推進するなかで、従来の労務管理の在り方等について改めて見直しを行うことも、生産性の向上に資するものであり、テレワークを実施する労働者だけでなく、企業にとってもメリットのあるものである。
3、テレワークを円滑かつ適切に導入・実施するに当たっては、あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要である。
つまり、基本的にテレワークという新しい働き方を「労使で一緒に考えていくべきだ」というスタンスとなっています。
▷テレワークの対象業務
1、一般にテレワークを実施することが難しい業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、管理職側の意識を変えることや、業務遂行の方法の見直しを検討することが望ましい。
2、オフィスに出勤する労働者のみに業務が偏らないよう、留意することが必要である。
特定の労働者だけがテレワークのメリットを享受することがないように注意するよう定められています。と言っても、飲食店や美容室など店舗型のビジネスモデルにおいてはそのバランスを取るのは簡単ではありません。例えば店舗勤務と在宅勤務を交代シフト制で行うなどの方向などが検討できるかもしれません。
あるいは事務系の仕事においても、オフィスに出勤する人だけが来客対応や郵便物対応をするなど、不公平がないように注意するよう定められています。
▷テレワークの対象者等
1、テレワークの対象者を選定するに当たっては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないよう留意する必要がある。
2、在宅での勤務は生活と仕事の線引きが困難になる等の理由から在宅勤務を希望しない労働者について、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務の利用も考えられる。
3、特に新入社員、中途採用の社員及び異動直後の社員は、コミュニケーションの円滑化に特段の配慮をすることが望ましい。
→契約形態によって差があることは望ましくないと解説しています。例えば正社員のみテレワーク可能とする、などの仕組みはこのガイドラインに沿っていないことになります。
また、新入社員や入社間もない従業員に対しては、テレワークの結果仕事内容がわからずに戸惑う場面を想定して、特段の配慮をすべしとしています。この辺りは従来の日本的なO JT社員教育などに対するこだわりが見えます。
日本型の「パートナーシップ契約:職種を限定せず、いろんな職務を経験させたり、あるいは先輩が後輩に仕事を対面で教える」という組織構造がグローバルな視点でどれだけ保持する価値があるのかわかりませんが、少なくとも「機会の公平性」「生産性向上の観点」がテレワーク導入の基本姿勢である、というガイドラインの方向性なのでしょう。
▷導入に当たっての望ましい取組
1、不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決裁の電子化等が有効であり、職場内の意識改革をはじめ、業務の進め方の見直しに取り組むことが望ましい。
2、働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取組を行うことが望ましい。
3、企業のトップや経営層がテレワークの必要性を理解し、方針を示すなど企業全体として取り組む必要がある。
→明確にペーパーレス化を謳っていることは特筆すべき点でしょう。ハンコの廃止が大臣の鶴の一声で一気に一般化したように、これからペーパーレスがスタンダードになっていくと思ってよいのではないでしょうか。
▷テレワークにおける人事評価制度
1、人事評価は、企業が労働者に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から、企業がその手法を工夫して、適切に実施することが基本である。
2、人事評価の評価者に対しても、訓練等の機会を設ける等の工夫が考えられる。
3、時間外等のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない。
4、テレワークを行う場合の評価方法を、オフィスでの勤務の場合の評価方法と区別する際には、誰もがテレワークを行えるようにすることを妨げないように工夫を行うことが望ましい。
5、テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、オフィスに出勤している労働者を高く評価すること等も、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるものであり、適切な人事評価とはいえない。
→この内容からは、日本の雇用システムを「ジョブ型」に切り替えていくことを示唆していると読み取れます。従来の日本の人事評価の根幹にある勤怠や情意評価だけでは多様な働き方に対応できないため、新しいジョブ(職務)中心の評価基準を設け、同時に評価者に対しても訓練をしていくことを推奨しているのでしょう。
▷テレワークに要する費用負担の取扱い
1、テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない。
2、個々の企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等により、費用負担の取扱いは様々であるため、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等において規定しておくことが望ましい。
3、在宅勤務に伴う費用について、業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられる。
→各社テレワーク導入に際して光熱費の支給を検討しています。テレワークによりオフィス維持費を減らしていく世の中に合わせて、その分テレワークが気持ちよく実践できるように新たな手当などを創設していくとよいでしょう。
▷テレワーク状況下における人材育成・テレワークを効果的に実施するための人材育成
1、オンラインでの人材育成は、オンラインならではの利点を持っているため、その利点を活かす工夫をすることも有用である。
2、テレワークを導入した初期あるいは機材を新規導入したとき等には、必要な研修等を行うことも有用である。
3、自律的に働くことができるよう、管理職による適切なマネジメントが行われることが重要であり、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことも望ましい。
→オンライン人材育成の利点として思いつくのは、「非同時性」があるでしょう。同じ時間に人を集めて開催する研修ばかりでなく、動画マニュアルや動画研修資料を作って柔軟に教育することも推奨していると思われます。
この中で「自律的に働く」という言葉が出ていることに注目です。テレワークにより従業員が時間的柔軟さを得たとしても、管理職が古い頭のままではダメだ、というメッセージが読み取れます。
結果に対するコミットメントが重要な時代になっていきそうです。
▷労働時間の柔軟な取扱い(一部省略)
1、フレックスタイム制は、労働者が始業及び終業の時刻を決定することができる制度であり、テレワークになじみやすい。
2、事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。(※ このほか、事業場外みなし労働時間制を適用するための要件について明確化)
→ガイドラインではテレワークについての「事業場外みなし労働時間制」に対して慎重な姿勢を取っています。事業場外みなし労働時間制は、スマホやメールなどで常時業務指示できる現代にあってかなりハードルの高いものであることに注意が必要です。
一部のクリエイティブ系の仕事においてのみ可能となります。
▷テレワークに特有の事象の取扱い
1、中抜け時間
把握する際の工夫方法として、例えば一日の終業時に、労働者から報告させることが考えられることや、中抜け時間について、休憩時間として取り扱い終業時刻を繰り下げたり、時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも、始業及び終業の時刻の間の時間について、休憩時間を除き労働時間として取り扱うことも可能であることを記載されています。
2、長時間労働対策
テレワークによる長時間労働等を防ぐ手法としては、次のような手法が考えられる。
・ メール送付の抑制等やシステムへのアクセス制限等
・ 時間外・休日・所定外深夜労働についての手続:労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数をあらかじめ使用者が設定する等
→ガイドラインが注視しているのは、実際の労働時間とテレワーク勤務者が記録する労働時間に差があった場合の賃金未払いや健康被害です。テレワークのせいでサービス残業や長時間労働が起きてしまうことのないよう、自社での管理体制を整えるようにしてください。
例えば上記にあるように社内サーバーなどへのアクセス時間を制限するなどの方法が検討できます。
▷テレワークにおける安全衛生の確保
1、テレワークでは、労働者が上司等とコミュニケーションを取りにくい、上司等が労働者の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合が多く、事業者は、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」を活用する等により、健康相談体制の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置を実施することが望ましい。
2、自宅等については、事務所衛生基準規則等は一般には適用されないが、安全衛生に配慮したテレワークが実施されるよう、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」を活用すること等により、作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使が協力して改善を図る又はサテライトオフィス等の活用を検討することが重要である。
→労働安全衛生上の注意点がチェックリスト化されたものが公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000755113.pdf
例えば部屋の明るさが確保されているか、机や椅子は無理のない姿勢で行えるものが備わっているか、換気はできるかなどの項目が定められています。テレワークの作業環境がきちんとしてるかについても配慮していくべきということでしょう。
実務上は、わざわざ不快な作業環境にすることはないとは思いますが、場合によってはテレワーク用の設備投資に対して補助をしてあげるなど検討してよいでしょう。
▷テレワークの際のセキュリティへの対応
情報セキュリティの観点から全ての業務を一律にテレワークの対象外と判断するのではなく、関連技術の進展状況等を踏まえ、解決方法の検討を行うことや業務毎に個別に判断することが望ましい。
→セキュリティー面のチェックは個人情報保護や企業機密情報の保護の観点から対応しなければならない分野でしょう。対外的に情報管理方法について説明できるようなセキュリティーソフト導入や、機密文書の取り扱いなどのルール化を検討していくとよいでしょう。
「男性版産休」の育児・介護休業法への新設について
男性の育児休業取得促進策を盛り込んだ育児・介護休業法の改正案が検討されています。
中でも子どもの誕生から8週間に夫が柔軟に育休を取れる制度「出生時育児休業」(男性版産休)を新設することに注目が集まっています。
▷なぜ男性版産休か
産後8週間以内が特に母(妻)の育児の負担が大きく、産後鬱(うつ)などの課題もあることから、それらの解決のため「夫婦がそろって」休みやすい環境を整備することが主な狙いでしょう。実際に、男性の育休取得率は2019年度7.48%で、北欧など子育て先進国と比べて低い水準にとどまっています。政府は2025年に30%まで引き上げる目標を掲げています。
▷具体的な対象期間、取得可能日数等
「子の出生後8週」の間に年次有給休暇の年間最長付与日数(20日間)を参考に、「4週間」取得可能とすることが予定されています。取得は同期間中2回に分けることができるようです。
▷手続き
原則として「2週間前」までに取得申請することで男性版産休を取得できる予定です。
▷開始時期
男性版産休の制度スタートは2022年10月ごろを予定されています。
▷給付
産休期間中は雇用保険からの給付金(育児休業給付金)が通常の育休と同じ賃金の67%分給付されます。
▷法改正後の企業の対応
企業に対しては、男性版産休の取得促進をしなければならない義務が課せられる予定です。
1ヶ月全てを休業することに抵抗がある会社または労働者についても、分割取得ができる新制度は使い勝手がよくなり、男性版産休の取得者は増えることが予想できます。
新型コロナウイルスの影響によるシフト減少で離職した場合の求職者給付
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、シフト制で働く労働者が、通常時なら入れるはずのシフトを削られてしまい収入が減ってしまう事態が発生しております。これに対して、各種支援金や、給付金がありますが、雇用保険の求職者給付でも特例の取り扱いがされます。
具体的には、以下のようになります。
1、労働契約に具体的な就労日数等の定めがある場合
シフト制労働者で、例えば以下に該当する方は「特定理由離職者」または「特定受給資格者」として認められる場合があります。
・具体的な就労日数が労働条件として明示されている一方で、シフトを減らされた場合
・契約更新時に従前の労働条件からシフトを減らした労働条件を提示されたため、更新を希望せずに離職した場合
2、1以外でシフト減少により週の労働時間が20時間を下回ることとなる場合
令和3年3月31日以降に、以下の理由により離職した方は「特定理由離職者」として、雇用保険求職者給付の給付制限を受けないこととしました
・シフト制労働者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響により、シフトが減少し(労働者が希望した場合は除く)、概ね1か月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより離職した場合
今回の取り扱いに該当し、「特定理由離職者」あるいは「特定受給資格者」として認定されれば、失業保険受給時の給付制限がなくなる等のメリットがあります。退職者本人に限らず、労務担当者も抑えておいた方がよい情報でしょう。
新型コロナウイルス感染症の影響による離職者の離職証明書記載について
雇用保険の被保険者が離職した場合、事業主は離職者からの求めに応じて離職証明書を発行しなければなりません。コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した場合、基本手当の給付日数延長の対象になる可能性があり、対象者を把握するために以下取扱いに留意するよう案内が出ております。
<離職証明書の記載について>
・離職証明書の⑦離職理由欄が、「4(2)重責解雇」、「5(2)労働者の個人的な事情による離職」以外であって、
・「新型コロナウイルス感染症の影響による離職」の場合
具体的事情記載欄(事業主用)に記載した離職理由の末尾に「(コロナ関係)」と記載をすること
<記載例>
「〇〇に伴う離職(コロナ関係)」
ただし、特例延長給付の対象とならない場合として、以下が挙げられております。
・所定の求職活動がないことで失業認定⽇に不認定処分を受けたことがある場合
・やむを得ない理由がなく、失業認定⽇に来所しなかったことにより不認定処分を受けたことがある場合
・雇用失業情勢や労働市場の状況などから、現実的ではない求職条件に固執される方 等
・正当な理由なく、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、指⽰された公共職業訓練を受けること、 再就職を促進するために必要な職業指導を拒んだことがある場合
離職証明書発行時は、上記の点に注意しましょう。
副業・兼業の促進に関するガイドライン
厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定のうえ公開されています。昨今の副業・兼業希望者の増加を受けて、労働時間管理や健康管理等について示したものとなります。以下、実務に影響がありそうな箇所をピックアップして紹介します。
1、労働時間の通算
・副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者は、労働時間を通算して管理する必要がある。
・労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行う。
・ 副業・兼業の開始前に、自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、 その部分は後から労働させる会社の時間外労働となる。
・ 副業・兼業の開始後に、所定労働時間の通算に加えて、自社の所定外労働時間と他社の所定外労働時間を、所定外労働が 行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分が時間外労働となる。
2、時間外労働の割増賃金の取り扱い
・上記1の労働時間の通算によって時間外労働となる部分のうち、自社で労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要がある。
3、健康管理
・ 使用者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後 措置等を実施しなければならない。
・ 使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、原則として他社との情報交換により、難しい場合には労働者からの申告により 他社の労働時間を把握し、自社の労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当である。
4、労災保険の給付について
・ 複数就業者について、非災害発生事業場の賃金額も合算して労災保険給付を算定する。
・ 複数就業者の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定を行う。
・ 副業先への移動時に起こった災害は、通勤災害として労災保険給付の対象となる。
労働時間以外の時間の利用方法は労働者の自由とされているため、副業そのものを禁止することは難しいです。原則的には認める方向で、会社としての副業ルールを明確化しておいた方が良いでしょう。
子の看護休暇と介護休暇の時間単位取得
育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるよう、令和3年1月1日から育児・介護休業法が改正され、時間単位で取得できるようになります。
子の看護休暇とは
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、1年に5日(子が2人以上の場合は10日)まで、病気、怪我をした子の看護又は子に予防接種、健康診断を受けさせるための休暇取得が可能です。
介護休暇とは
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護その他の世話を行うための休暇の取得が可能です。
<改正前>
・半日単位での取得が可能
・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得不可
<改正後>
・時間単位での取得が可能
・全ての労働者が取得可能
*「時間」とは、1時間の整数倍の時間を言い、労働者からの申し出に応じて希望する時間数で取得できるよう求められてます。
*いわゆる「中抜け」無しの時間単位休暇が法令では求められてます。
→「中抜け」とは、就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることを言います。
改正内容や就業規則での規定例が厚生労働省のHPにて公開されてますので、早めに確認のうえ規定の変更をしておくと良いでしょう。
士業事務所の社会保険の適用要件が変わります
厚生年金保険法の一部改正(令和2年6月5日法律第40号〔第4条〕 令和4年10月1日から施行)について説明します。
1、厚生年金保険の適用拡大
⑴弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業の事業所又は事務所であって、常時五人以上の従業員を使用するものについて、厚生年金保険の適用事業所とすることとした。(第六条第一項第一号レ関係)
→今までは弁護士や税理士、社労士、司法書士、行政書士、公認会計士などの個人事務所は加入対象者が5人いても適用除外となっていましたが、今回の改正により適用事業所となることになります。
2、適用要件の変更
⑴事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間又は一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間又は所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に係る厚生年金保険の適用除外の要件について、当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこととする要件を削ることとした。(第一二条第五号ロ関係)
→雇用契約期間にかかる要件が削除されることにより、今までよりもシンプルに「4分の3要件」で適用を判別することとなります。
⑵二月以内の期間を定めて使用され、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれる者について、厚生年金保険の被保険者とすることとした。(第一二条第一号ロ関係)
→今までは2ヶ月以内の有期雇用契約の場合は適用除外とする定めがありましたが、それが単なる試用期間のようなもので、その後も雇用されることが見込まれる場合は「最初から」適用となる旨変更されます。
国民年金3号被保険者の今後
第3号被保険者とは
国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者といいます。
対象者の例としては、いわゆるサラリーマンの配偶者である「専業主婦」や「パート勤務の妻」などがこれにあたります。
大きなメリット
国民年金第3号被保険者は大きなメリットがあります。
メリット1:
保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。
メリット2:
将来年金をもらうときには、納付済み期間としてみなされます。
制約
毎月の国民年金保険料(国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1カ月当たりの保険料は16,540円です(令和2年度)。)の支払いが不要となる代わりに、3号被保険者の枠内(年収130万円未満、かつ勤め先で社会保険適用除外の勤務時間)でしか働くことができないという制約があります。この制約のせいで特に女性の社会進出を阻んでいるという批判があります。
今後
現在、企業に対して社会保険の適用拡大が徐々になされています。これは、年金制度の維持という目的の裏に「不公平な第3号被保険者の対象者を減らす」狙いもありそうです。つまり、今までは週30時間未満で社保適用を逃れていたパート主婦に対して、「これからは週20時間以上働いたら自前で社会保険に加入してください」という変更をしていくということは、結果3号を減らすことに繋がるということです。
社会保険適用拡大は企業側の反対もあるので、徐々に進んでいくことになりそうです。
産休中の国民年金保険料免除
第1号被保険者(自営業者やその家族)が、平成31年2月1日以降に出産した際、産前産後の国民年金保険料が一定期間免除される制度です。
・対象者
第1号被保険者:20歳以上60歳未満の自営業者・農林漁業者とその家族、学生、無職の人等。
※会社の社会保険に加入している人(第2号被保険者)や加入者の配偶者(第3号被保険者)は対象になりません。
・保険料免除期間
出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料
(令和2年度の国民年金保険料は、1か月16,540円です)
・届出先
お住いの市役所、区役所等の国民年金窓口(郵送での手続きも可能)。
届出に必要な書類は年金機構のホームページからダウンロードなさってください。
産前産後の保険料免除制度は、以前までは第2号被保険者(会社で社会保険に加入している人)のみ適用されておりましたが、上記免除は社会保険に加入していないアルバイトやパート勤務者も対象になる可能性があります。
届出をしないと免除は受けられませんので、該当しそうであれば早めに届出したほうが良いでしょう。
自己都合退職の場合の給付制限期間の短縮
かつては、自己都合退職の給付制限は3カ月でしたが、令和2年10月1日以降に退職された方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合でも、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となりました。3回目以降は給付制限3カ月となります。
・給付制限期間とは
雇用保険の加入者が会社を退職した際、一定の要件を満たせば次の仕事を探すまでの間に基本手当(いわゆる失業保険)を受給することができます。この失業保険が受給できるまでには7日間の待期期間があり、加えて退職理由により制限期間が設けられています。この制限期間を給付制限期間と言います。
・退職理由による給付制限期間
退職した時の理由により、給付制限期間は主に以下のように決められています。
(1)正当な理由のない自己都合退職:3か月間→2か月間(今回の改正)
(2)自己の責めに帰すべき重大な理由による退職(懲戒解雇等):3か月間
(3)会社都合の退職、正当な理由のある自己都合退職等:無し
正当な理由のない自己都合退職とは、正当な理由のある自己都合退職(例えば、疾病・心身の障害・体力不足・通勤困難な場所への事業所移転等)以外を言います。
退職日を月末に設定する人が多いですので、現実的には10月31日退職者から関係してくるのではないでしょうか。5年のうち2回の縛りはありますが、給付制限期間は短いほうがありがたいですね。
出産や育児にかかる社会保険料の免除
妊娠、出産、育児については社会保険上手厚い保護がなされています。
出産手当金、育児休業給付金などの休業補償のほか、社会保険料関係が免除になる特例があります。
1、産前産後休業期間中の保険料免除
平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる被保険者が対象となります。
産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。
申出は、事業主が産前産後休業取得者申出書を日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)へ提出することにより行います。
なお、この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。
2、育児休業期間中の保険料免除
(1)育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業および育児休業に準ずる休業)期間について、被保険者は、事業主へ申出を行い、事業主が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出します。
(2)申出により、健康保険・厚生年金保険の保険料は被保険者・事業主両方の負担が免除されます。
(3)この申出は、被保険者が次のア~エの育児休業等を取得する度に、事業主が手続きします。
また、この申出は、現に、申出に係る休業をしている間に行わなければなりません。
ア.1歳に満たない子を養育するための育児休業
イ.保育所待機等特別な事情がある場合の1歳6カ月に達する日までの育児休業
ウ.保育所待機等特別な事情がある場合の2歳に達する日までの育児休業
エ.1歳(上記イの場合は1歳6カ月、上記ウの場合は2歳)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業
(4)保険料負担が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)までです。免除期間中も被保険者資格に変更はなく、保険給付には育児休業等取得直前の標準報酬月額が用いられます。
マイナンバーカードの健康保険証利用について
令和3年3月より、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度が始まりました。
医療機関や薬局の窓口等でマイナンバーカードをカードリーダーにかざすことで、医療保険の資格確認ができるものです。
利用メリット
・就職や転職、引っ越しをしても、マイナンバーカードを健康保険証として利用し続けることができる
・限度額適用認定証が無くても、限度額適用が受けられる
・マイナポータルを通じて、確定申告の医療費控除手続き時の医療費情報が自動入力できる
等があります。
申し込み方法
マイナンバーカードの交付を受けてない方は、まずは交付申請から始める必要があります。
また、マイナンバーカードを持っていれば当たり前に使えるわけではなく、事前にマイナポータルから利用登録が必要となります。
詳しくは以下をご参照ください
↓
https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html
転職時等は、新しい健康保険証の発行にどうしても時間がかかってしまいます。また、高額な医療費を見越して発行する限度額適用認定証も、申請を出してから届くまでにある程度の日数を要します。
これらが解消されるのは便利な制度だと思いますので、興味ある方は申請してみてはいかがでしょうか。
接骨院で保険は使えるか?
整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合は健康保険の対象になります。(骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。)
治療を受けるときの注意点
健康保険の「療養費」は、本来患者の方が費用の全額を支払った後、自ら保険者へ請求をおこない支給を受ける「償還払い」が原則ですが、柔道整復については、患者の方が自己負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が患者の方に代わって残りの費用を保険者に請求する「受領委任」という方法が認められています。そのため、公正な保険請求がなされているかに注意が払われています。
・単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。
・柔道整復師が患者の方に代わって保険請求を行うため、施術を受けるときには、必要書類に患者がサインをする必要があります。
・保険医療機関(病院、診療所など)で同じ負傷等の治療中は、施術を受けても保険等の対象になりません。
近年の問題
整骨院・接骨院の請求の中には、健康保険適用とならない施術の請求や、架空・水増し請求といった不正請求も見られるようです。
不適正受診・不正請求防止のため、患者が白紙の「療養費支給申請書」に署名したり、柔道整復師に印鑑を預けたりすることのないようにしなければなりません。
実際に筆者の通っていた接骨院も、保険適用の問題があって閉院してしまわれた所がありました。レントゲンだけ撮って、あとは湿布を処方するだけで何もしてくれない整形外科と比べれば、患部の周囲を揉み解してくれたり温めたり電気治療したりと、とても良い施術をしてくださる先生でしたので、個人的には残念でしたが、上記のような問題があるため仕方が無いようです。
雇用保険手続のマイナンバー届出
マイナンバー制度が始まって3年目ほど経ちましたが、ハローワークの手続き上は平成30年5月以降、マイナンバーが必要な届出等(※)にマイナンバーの記載・添付がない場合には、返戻されることになっています。
マイナンバーが必要な届出等は以下のとおりです。
◆マイナンバーの記載が必要な届出等
① 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)
② 雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)
③ 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書(様式第33号の3)
④ 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書(様式第33号の5)
⑤ 介護休業給付支給申請書(様式第33号の6)
◆個人番号登録・変更届の添付が必要な届出等
(ハローワークにマイナンバーが未届の者に係る届出等である場合)
⑥ 雇用継続交流採用終了届(様式第9号の2)
⑦ 雇用保険被保険者転勤届(様式第10号)
⑧ 高年齢雇用継続給付支給申請書(様式第33号の3の2)
⑨ 育児休業給付金支給申請書(様式第33号の5の2)
実務上の取り扱い
しかしながら、今は制度導入期にあることから、令和3年現在、一部の地域では「被保険者からマイナンバーの提示を拒否されたなどの事情がある場合」に限り、マイナンバーの届出がなくとも手続きが進むものがあります。もちろん、社会保険手続きや、年末調整など所得税関係の手続きにおいてもマイナンバー手続きが必要であるため、原則としてマイナンバーの取得を進めていきましょう。
テレワーク時の時間管理について②
テレワークをする場合の時間管理については、G P S機能付きのWEB打刻などの方法はありますが、「本当に働いていたかどうか」は結局自己申告の要素が強くなります。
そのため、自己申告した労働時間について、客観的に事実と言えるかが重要です。
厚生労働省ガイドラインには以下のように書かれています。これらの内容について注意しましょう。
1、実態調査
自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
2、自主的な研修との区別
自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。
3、自己申告した労働時間の正確性を阻害する会社からの圧力禁止
自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
4、固定残業制度で労働時間の正確性を阻害することの圧禁止
時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
テレワーク時の時間管理について①
新型コロナウイルスの感染拡大により、にわかにテレワークが普及してきましたが、時間管理に悩むケースが少なくありません。
テレワークをしている場合の労働者の時間管理はどのようにすれば良いでしょうか。
厚生労働省のガイドライン
厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表しています。以下のガイドラインを参考にしながら時間管理方法を検討しましょう。
【労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置】
1、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること
2、使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
(1) 原則的な方法
・使用者が、自ら現認することにより確認すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
(2) やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合
① 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと
② 自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること
③ 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。
さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること
続く
失業保険はいくらもらえるか
ワーキングホリデーで滞在する外国人の保険加入
ワーキングホリデーの外国人を雇い入れる場合の保険手続きについてはどのように考えればいいのでしょうか?
雇用保険について
ワーキングホリデーで入国した場合、来日目的が「就労」ではなく、「休暇」になります。「休暇」であるため、雇用期間や労働時間等に関わらず、雇用保険の適用除外となります。ただし、その際でも外国人雇用届出書の提出は必要となりますので、ご注意ください。
社会保険について
一方、社会保険の場合、通常通り、他の従業員同様、一定の要件を充足した場合には原則的には社会保険の加入義務が生じてきます。
ただし、例外的に、外国人労働者の国籍の国と日本との間で社会保障協定が締結されている場合、日本の社会保障制度への加入が免除される場合があります。
※社会保障協定とは、「保険料の二重負担」(二重加入の防止)および「年金加入期間の通算」を目的とした協定です。
日本との協定発効済み国は20か国ですが、協定によっては「保険料二重負担防止」のみ締結されている場合もあり確認が必要となります。
また、社会保険に加入し、年金の受給資格を得ないまま、帰国した場合でも完全に掛け捨てとなるわけではございません。
脱退一時金を申請できる場合があります。
脱退一時金については次回ご紹介いたします。
新型コロナウイルス感染時の傷病手当金受給について
新型コロナウイルスの感染が広がっております。
感染症で会社を休んだ場合、健康保険の傷病手当金を受給できるかについて、厚生労働省よりQ&A方式で健康保険組合等へ連絡がされました。いくつかピックアップしてご紹介します。
【Q1】 被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
【A】 被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染してい
る場合には、他の疾病に罹患している場合と同様に、療養のため労務に服すること
ができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができ
ない期間、直近 12 か月の標準報酬月額を平均した額の 30 分の1に相当する額の3
分の2に相当する金額を、傷病手当金として支給することとなる。
【Q2】被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
【A】傷病手当金の対象となりうる。
【Q3】被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
【A】傷病手当金の対象となりうる。
【Q5】発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目以降に帰国者・接触者相談センターに相談したものの、体調悪化等によりその日には医療機関を受診できず、結果として、その翌日以降、医療機関を受診せずに病状の改善が見られた場合には、傷病手当金は支給されるのか。支給される場合、医師の意見書を添付することができないが、何をもって労務不能な期間を判断するのか。
【A】傷病手当金の支給対象となりうる。
本問のように、医療機関への受診を行うことができず、医師の意見書を添付でき
ない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、
被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等に
より、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとす
る。
傷病手当金の申請として、通常時と大きく違うのはQ5におけるA医師の意見書の添付が無くても受給対象になりうる点かと思います。感染者が休業した場合は、休業中の所得補償として積極的に活用した方がよいでしょう。
詳細は以下よりご確認くださいませ。
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A
社会保険の適用事業所と加入者について ~その1~
社会保険に加入しなければいけない事業所は、法律で要件が定められています。また、昨今では加入しなくてよいとされてきた事業所の見直しが行われており、適用事業所が増えていく事が予想されます。現状の適用事業所要件について、改めて確認していきます。
法人事業所か個人事業所か
まずは、事業所が法人組織であるか、個人であるかを確認します。
以下の通り、法人であれば強制適用となり、個人であれば業種及び対象人数によって強制か任意かに分かれます。
・法人事業所→【強制適用】
・個人事業所(※適用業種該当):→5人以上(対象者)→【強制適用】
・個人事業所(※適用業種該当):→4人以下(対象者)→【任意適用】
・個人事業所(※適用業種以外):→【任意適用】
※適用業種とは、法定16業種とも呼ばれる業種を言います。
例えば、製造業、物品販売業、土木建築業等です。詳しくは以下厚生労働省のページをご参照ください。
なお、上記任意適用事業所であっても、対象者の1/2以上の同意があり、事業主が希望すれば厚生労働大臣の認可を受けたうえで適用事業所になることができます。仮に、その後事業所の取消しをしたい時は、被保険者の3/4以上の同意が必要です。
今後の適用事業所範囲拡大
現状見直し対象とされている業種は、法律・会計に関わる行政手続等を行う業種(弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士等)です。制度上、法人化が難しい等の理由から個人事業であっても適用事業所とされる可能性が高いです。
法人事業所の場合、未加入状態だと年金事務所からの加入催促があり未加入が発覚するケースが多いです。ただ、個人事業所だとそのような催促がないため、未加入を意識することがあまりないと思います。強制か任意か自社で判断が難しい場合もありますので、社労士等の専門家に相談してみるのも良いでしょう。
パワハラ防止指針
先日、厚生労働省より「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針に関する素案」が公表されました。あくまで素案ではありますが、以下のようにパワハラに「該当すると考えられる例」が示されております。
なお、以下の例は、行為者と当該言動をうける労働者の関係性を個別に記載してないが、優越的な関係を背景に行われたものであることが前提であるとの事です。
■暴行
・傷害(身体的な攻撃)
・殴打、足蹴りを行うこと。
・怪我をしかねない物を投げつけること。
■脅迫
・名誉棄損
・侮辱
・ひどい暴言(精神的な攻撃)
・人格を否定するような発言をすること。(例えば、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な発言をすることを含む。)
・業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
・相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。
■隔離
・仲間外し
・無視(人間関係からの切り離し)
・自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
・一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。
■業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
・長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
・新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
・労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。
■業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
・管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
・気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。
■私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
・労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。
ただし、個別の事案の状況等により判断が異なる場合はあり得る、また、上記例は限定列挙ではないことに留意が必要との事です。
職場におけるハラスメント系の問題は、パワハラの割合が多いのではないでしょうか。上司の熱心な指導が誤解を招くケースもあると思います。正式に指針が出た際は、社内において該当するような言動がないかチェックした方が良いでしょう。
厚生年金保険の標準報酬月額、上限改定について
社会保険加入者の毎月の社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険料)は、加入者が支給される給与額を基に「標準報酬月額」が決定され、この標準報酬月額に応じて各保険料が
決定されています。
現在、標準報酬月額には上限が定められており、健康保険は50等級まで、厚生年金保険は31等級までです。つまり、支給される給与額がどんなに高くても、標準報酬月額の上限までの保険料しか徴収されない仕組みです。
その上限について、令和2年9月1日より改定がされます。具体的には、厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級(第31級・62万円)の上に、新たな等級(65万円)が追加されることとなります。
■改定前
月額等級/標準報酬月額/報酬月額
(旧)第31級/620,000円/605,000円以上
■改定後
月額等級/標準報酬月額/報酬月額
(新)第31級/620,000円/605,000円以上~635,000円未満
(新)第32級/650,000円/635,000円以上~
改定前の厚生年金保険料の上限額は56,730円でしたが、改定後の上限額は59,475円になりますので、2,745円上がることになります。なお、健康保険の標準報酬月額の最高等級(第50級・139万円)について変更はありません。
今回の改定について、会社側からの手続きは不要です。該当の被保険者がいる場合は9月下旬以降に案内通知が届く予定です。該当者がいる場合は、給与計算時の厚生年金保険料控除に注意してください。
休業手当を支給した月が含まれる場合の離職証明書の書き方
退職時の離職票発行や育児休業をこれから迎える従業員がいる際、
休業手当額は賃金の算定に含まれるか?
原則として、休業手当は賃金と認められます。
従って、離職した際の基本手当額の算定や育児休業の際の給付金額
休業手当の支給期間を含む場合の特例
休業手当は賃金としては含まれますが、休業手当の支払いが含まれ
そこで、その場合は通常と異なる計算が採用されます。
通常賃金日額は、
(1)休業もしくは離職前6か月間の賃金総額/180※
で計算されますが、休業手当が当該期間に含まれる場合、
(2)(6ヶ月の賃金-休業手当)/(180-休業日数)
(1)(2)いずれかの高い方が採用されることになります。
※上記例は月給者を対象とした場合になります。日給・時給者の場
離職票等の記載の注意点
休業手当を含む月がる場合には、証明書等の記載において算定賃金
備考欄記載例(○/○~○/○、計○日休業 休業手当額○○円)
標準報酬月額の特例改定
新型コロナウイルスの影響により、休業した従業員に対し、固定賃金の変動がなくても、特例により、翌月から改定可能な制度が発表されております。
要件
①新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が低下したこと(既に決定している額から2等級以上下がる額)※1
②特例措置の改定内容に本人が書面により同意していること※2
※1:7月31日現在、令和2年4月~7月までの間に休業、報酬が急減した場合に限られます。
※2:改定後、傷病手当金や出産手当金等の給付額、将来の年金額の算定には改定した等級が反映されるため、同意書への署名、会社は2年間同意書の保管義務があります。
対象となる保険料
令和2年5月~8月分保険料
申請手続き
①月額変更届(特例改定用)
②申立書
上記を管轄の年金事務所もしくはe-govを通じて申請
申請期限:令和3年1月末日までに届け出が必要
現在、新型コロナウイルス感染症が再び拡大しており、今後の経済活動によっては期間の延長等も考えられます。新着情報ありましたらまたご案内します。
お上はある日突然動く!
公正取引委員会がコンビニフランチャイズ本部と加盟店との間の力関係(24時間営業の強要など)に独占禁止法の疑いがあるとの判断を示しました。
これにより、フランチャイズ本部は大揺れになったことでしょう。
これまでは本部と加盟店との間の力関係は明らかで、加盟店は本部の言う事に逆らえず、苦しい経営を強いられていた店舗もあったようですが、その関係にメスが入りました。
これって、労使関係と似てますね。
契約自由の原則に対して、国家が介入してきたわけです。
もちろんそれは、独占企業が自由に振舞ってしまうと社会全体にとって悪影響があるという観点から修正が加えられているわけですが、企業にとっては一大事ですね。
このようにお上(役所、行政)というのは、ある日突然動きます。
「これまでは何も言わなかったじゃないか!」などと文句を言ってもはじまりません。
企業の側は、こうしたお上の動きを敏感に嗅ぎ取って先手を打っておかないと、ある日大変なことになります。
消費者金融が2010年の改正貸金業法施行により過払い金返還を迫られたのは記憶に新しい事ですね。
世の中のルールは時代と共に変わる!
お上は黙っているフリをしていても、ある日突然動く!
勝手に変えられたルールであっても、企業は従わなければならない!
例えば、雇用調整助成金。コロナで世間が騒いでいる間は、マスコミに叩かれるのを恐れているのか?あまり調査とかせずにバンバン助成金を出してるように見えますが、これがもしコロナが終息したら何が始まると思いますか?
当然、これまで支給した助成金に対して不正がなかったかどうかを調べに来ると思われます。
かつてのリーマンショックの時もそうでした。何年もたって、会社側も忘れた頃に調査が入るのです。
調査では何をどこまで調べられるかはわかりませんが、会社として不正を疑われないための予防策を講じておくことはある程度できると思います。例えば長期間休業している社員との連絡の記録を残しておいたり、休業日報を付けさせることです。メールやSNSでやり取りした内容を記録しておけば、その時どんな状況だったか振り返ることができます。
何年も経ってしまえば人間の記憶などは当てになりませんし、当の本人が退職してしまうこともあり得ますので、その時どうだったか?ということを記録しておくことは、思わぬ役に立つかもしれません。逆に不正をしている場合には、そうした記録を調べられる可能性もあると思われます。
お上というものは、そういう勝手な存在だと思って注意を怠らないことが肝心です。
令和2年度、被扶養者資格の再確認について
毎年度、協会けんぽでは、健康保険の被扶養者となっている人が現在もその状況にあるかの確認のため、被扶養者資格の再確認を実施しております。今年度の実施内容については以下通りです。
1)実施時期
令和2年10月上旬から下旬にかけて、順次「被扶養者状況リスト」が事業主宛に送付されます。
2)再確認の対象となる被扶養者
令和2年4月1日において18歳以上である被扶養者の人。ただし、令和2年4月1日以降に被扶養者となった人は確認の対象外です。
3)確認方法
事業主が、被保険者の人に対して、対象の被扶養者の人が健康保険の被扶養者要件を満たしているかを確認のうえ、被扶養者状況リストに確認結果の記入及び同封の返信用封筒にて提出します。
4)確認書類の提出
今年度は、被保険者と別居している被扶養者、海外に在住している被扶養者については、被扶養者状況リストに同封されている被扶養者現況申立書に記入の上、被扶養者要件を満たしていることが確認できる下記書類を提出します。
〇被保険者と別居している被扶養者→仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類
〇海外に在住している被扶養者→海外特例要件に該当していることが確認できる書類
5)扶養解除となる被扶養者がいる場合
確認の結果、扶養解除となる被扶養者がいる場合、同封の被扶養者調書兼異動届を記入のうえ、解除となる人の保険証を併せて提出します。
6)提出期限
令和2年11月30日
例年の被扶養者再確認と違うところは、上記4)の確認書類の提出が求められることになったことです。該当者がいる場合は、速やかに書類提出ができるように事前案内ができていることが望ましいでしょう。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について
7月10日にかねてから公表されていた、企業から休業手当が支給
原則的には労働者が申請する様式ですが、一部事業主が記入するべ
支給要件
(1) 令和2年4月1日から9月30日の間に事業主の指示を受けて休業
(2) 上記(1)による休業に対し、休業手当が支給されていないこと
(3)会社が労災保険に加入していること(雇用保険加入対象者が
(4)会社が申請に協力すること(申請書等の署名、捺印箇所があ
支給金額
休業前の1日当たり平均賃金※×80%(上限日額11,000円
※原則過去6ヶ月の内、任意の3か月を90で除して算定する(少
例:4月10日から休業した場合の平均賃金日額計算について
給与(3月:30万、2月:25万、1月:28万、12月:26
(30万+28万+26万)÷90日=9,333円
申請方法
(1)原則、郵送申請(オンライン申請準備中)
(2)労働者本人の申請(事業主経由の申請も可能※)
※労働者が複数事業書で働く場合は別途申請書が設けられているの
必要書類
(1)申請書※
※複数事業所で働く労働者は複数事業所分、まとめて申請する必要
別々に申請した場合、あとから申請した分は無効となるので注意が
(2) 支給要件確認書(事業主及び労働者の署名が必要)
(3)本人確認書類(顔写真等がある免許証、マイナンバーカード
→ただし学生証等の場合は顔つきでも本人確認書類が2種類必要と
(4) 口座確認書類(労働者本人の通帳の写し等)
(5) 休業開始前賃金および休業期間中の給与を証明できるもの
→賃金台帳、給与明細、振り込み通帳の写し等
詳しい情報については、厚生労働省の以下のリンクを参照してくだ
記入方法の解説動画も掲載されているようです。
< https://www.mhlw.go.jp/stf/kyu
休業等があった場合の算定基礎届の考え方
新型コロナウイルス感染症の影響により、休業を余儀なくされた企業等も多いかと思います。従業員に休業手当をお支払いした場合等の場合、算定基礎届の提出方法、算出方法についてみていきます。
通常の定時決定についてですが、
原則的には4月、5月、6月に支払われた報酬によって、算定基礎届を提出します。
ただし、4月~6月の間に、休業等があり、本来の出勤日等に休業手当等が支給された場合、通常通りの算定基礎届の提出では正しい等級決定が出来なくなることが想定されます。
日本年金機構によりますと、以下の表ように算出し、提出することになります。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 定時決定の算定対象月 | 随時改定月 | |
1 | ● | ○ | ○ | ☆ | ○ | ○ | 5月・6月 | |
2 | ● | ● | ● | ☆ | ○ | ○ | 従前等級で決定 | |
3 | ● | ● | ● | ★ | ○ | ○ | 7月改定 | |
4 | ○ | ● | ● | ★ | ○ | ○ | 4・5・6月 | |
5 | ○ | ● | ● | ★ | ● | ○ | 8月改定 | |
6 | ○ | ○ | ● | ★ | ● | ○ | 4・5・6月 | |
7 | ○ | ○ | ● | ★ | ● | ○ | 9月改定 |
・○:通常報酬が支給された月 (日本年金機構HPより引用)
・☆:休業等解消
・●:休業手当等が支払われた月
・★:休業等未解消
<パターン1・2>
パターン1・2はいずれも7月1日時点で休業状態が解消している場合です。
休業状態等が解消されている場合には、休業手当を含む月については算定の対象から除いて計算することになります。ただし、算定対象月全てが休業手当等支払っている月の場合、基本的には従前の等級から変動せず、保険料等級が決定します。
<パターン3以降>
パターン3以降は基本的には、休業状態が続いている場合です。
7月1日時点で休業状態が続いている場合には、原則的には休業手当支払い月を含め、通常通り4・5・6月の報酬をみて算定基礎届を提出することになります。
ただし、パターン3・5・7のように、休業手当支払い月が4ヶ月以上続く場合には、その都度保険等級の変更が必要になる場合もあるので注意が必要です。
新型コロナ感染症の見通しが立ちづらいことが容易に想像が出来ます。
通常通りの算定基礎届の提出が必要であるか、都度随時決定を行う必要があるのか確認する必要がありそうです。
届け出る際は、管轄の年金事務所までお問い合わせください。
働き方改革関連法
2019年4月より働き方改革関連の改正法が適用され始め、早くも一年半が経過しました。どのような項目が制定されているか、また、今後予定されている項目についてみていきます。
※時期は中小企業のものです。
【2019年4月~】
①5日間の有給休暇取得義務
②高度プロフェッショナル制度創設
③フレックスタイム制の精算期間が3ヵ月に
④産業医機能の強化
⑤勤務間インターバル制度の努力義務
【2020年4月~】
⑥残業時間の上限規制(罰則付き)
【2021年4月~】
⑦同一労働・同一賃金の原則の適用
【2023年4月~】
⑧割増賃金率の中小企業猶予措置廃止
このように様々あるのですが、中小企業全体に関係する①⑥⑦⑧を抜粋して紹介します。
①5日間の有給休暇取得義務(2019.4~)
年10日以上の有給休暇が発生している労働者には、1年間で必ず5日を取得させなければなりません。今までは、労働者からの申出がなければ与えなくても良かったのですが、そうではなくなり、企業側から取得を働きかける必要があります。各従業員の給保有日数の管理が、より重要になってくると思います。
⑥残業時間の上限規制(罰則付き)(2020.4~)
労働者の過労死等を防ぐ目的から、残業時間を原則月45時間かつ年360時間以内にする等の上限が設けられます。超過すると刑事罰の適用もあります。月22日労働だとすると、平均して1日2時間程度の残業時間に抑える必要があります。
⑦同一労働同一賃金の原則の適用(2021.4~)
正規・非正規の不合理な待遇差をなくすため、同一労働・同一賃金の原則が法文化されます。
労働者から待遇差についての説明を求められた場合は、事業主は返答をしなければなりません。
⑧割増賃金率の中小企業猶予措置廃止(2023.4~)
今まで、中小企業は「月の残業時間が60時間を超えた場合の割増率50%以上」という制度が猶予されていましたが、その猶予が廃止されます。
働き方改革とは別の話ですが、残業代の請求権の時効が5年(現状は2年)になりそうです。つまり、過去の残業代請求が2年分ではなく5年分できるようになるかもしれません。長時間労働させていること自体が、企業にとって今まで以上にリスクになる時代です。生産性は損なわず、労働時間短縮に向けた取り組みは日々励んでいく必要があるでしょう。
教育訓練給付の拡充
教育訓練給付金の拡充について 教育訓練給付金とは、 労働者の主体的な能力開発の取組を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする給付制度です。
教育訓練給付金には2種類あります。「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」になります。 一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付はともに厚生労働大臣の指定する教育訓練終了した場合に授業料等の一部が給付金として支給される雇用保険の給付金の一種です。
対象となる教育訓練は一般教育訓練給付金の場合は通信教育や英会話等比較的手軽に受講できるものなど多岐に渡りますが、専門実践教育訓練給付金は看護師や美容師等の専門学校やMBAなどの大学院講座等、より専門性・実践的訓練が対象となります。
主な改正点 この教育訓練給付金ですが、開始当初は一般教育訓練給付金のみでしたが、 2014年から拡充され、専門実践教育訓練給付金が支給されるようになりました。
また、平成30年・31年と専門実践教育訓練給付金の支給額が拡充されました。
・もともとの支給金額
一般教育訓練給付金:教育訓練経費の20%(ただし上限10万円・下限4000円)
専門実践教育訓練給付金:教育訓練経費の40%(ただし上限32万)+資格試験合格後20%(合格時48万) 合計60% (最大3年) 改正後の支給額
専門実践教育訓練給付金:教育訓練経費の50%(上限40万)+資格試験合格後20%(合格時56万) 合計70% (最大4年)
また、改正に伴い、支給対象要件が一般・専門実践教育訓練ともに雇用保険加入期間が3年以上(初回のみ1年以上で給付可能)となりました。
健康保険の被扶養者
被扶養者とは
健康保険では、被保険者が病気や怪我をした時や亡くなった時、または出産した時等で保険給付が行われますが、その被扶養者(主に家族)についての病気・怪我・死亡・出産についても、保険料負担無く保険給付が行われます。この被扶養者となれるかは、以下3つの基準を基に判断されます。
1)親族の範囲
被保険者からみて、3親等以内の親族である事が必要です。例えば、自分の子供は1親等、孫は2親等、ひ孫は3親等となりますので、ひ孫まで被扶養者になることができます。
2)同一の世帯に属しているか
直系尊属、配偶者、子、孫、弟妹以外の親族を扶養にする場合、同一の世帯に属していることが条件です。上記1)の例で言うと、子と孫は同一世帯に属してなくても良いですが、ひ孫は属している必要があります。
3)生計が維持され、収入は基準内か
被保険者に生計を維持されているかは、被扶養者の収入基準で判断されます。
<同一世帯に属している場合>
年収が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)であり、被保険者の年収の1/2未満であること
<同一世帯に属していない場合(主に別居)>
年収が130万円未満であり、かつ被保険者からの仕送り額より収入額が少ない場合は、原則として被扶養者に該当します。
年収とは、扶養家族になる日から将来に向かって1年間の収入見込み
よく誤解されがちですが、ここで言う年収とは1月から12月までの収入の事ではありません。例えば、8月末で会社を退職した配偶者(60歳未満)の場合、1月から8月の合計収入が1000万円であったとしても、9月以降の1年間の収入見込みが130万円未満であれば、9月1日から扶養家族になれます。年収130万ですので、月額約108,000円程度で収まりそうなら扶養を検討した方が良いです。
扶養家族にいれる場合、被扶養者異動届出という書類を年金事務所に提出するのですが、扶養加入日が60日以上過去に遡る場合は、加入日が正しいことを証明する書類の提出も求められるため準備に時間がかかります。その分、保険証の交付も遅くなり良いことはありませんので、該当者がでてきたら、早めに届出するようにしましょう。
業務にLINEを活用しています
最近、GOLGO社労士事務所では顧問先のお客様との間でLINEを活用することが増えて参りました。
以前は当事務所ではe-mailが連絡手段の主体だったのですが、数年前から一部のお客様のご要望によりLINEやチャットワークの利用を開始しました。
e-mailとLINE、使ってみるまではそれほどの差を意識してはいなかったのですが、実際にはこれはあった方が便利だという結論に達しました。e-mailはその名の如く手紙に近く、一通一通が完結していて、それぞれのメールを開かないと中身が見えません。
ところが、LINEはどちらかというと文字を使った電話に近く、相手とのやり取りを時系列(タイムライン)で俯瞰することが可能です。つまりLINEの方が一覧性があるのです。
その代わり、ファイルのやり取りなどはLINE上だと一定の時間で消えてしまうため、e-mailとの使い分けをしています。
セクハラと労災
セクハラによる被害についても場合によって労災認定されることがあります。以下の① ② ③ の要件を満たす場合、業務上として労災認定されます。
① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること:業務に関連して発病する可能性がある精神障害の代表的なものは、「うつ病」や「急性ストレス反応」などです。
② 精神障害の発病前概ね6ヶ月間に、業務による強い心理的負荷が認められること:セクハラは継続的に繰り返されるものもあるため、その場合は6ヶ月に限らず始まった時点からの心理的負荷を評価します
③ 業務以外の心理的負荷や個体的要因により精神障害を発病したとは認められないこと:私的な出来事(離婚や身近な人の死亡など)が影響していないかを確認されます。
「業務による強い心理的負荷」とは
強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などの特別な体験がある場合、因果関係は強いとされます。逆にヌードポスターを会社に貼るなどの環境型セクハラの場合はその程度は弱いとされます。詳しくは、「セクシュアルハラスメントの内容、程度等や継続する状況」「セクシュアルハラスメントを受けた後の会社の対応および内容、改善の状況、職場の人間関係など」をもとに判断されます。
ただし、セクハラの内容が軽度であっても、長時間労働などの事情が別途ある場合は、複合的にみて労災認定されることがあります。
セクハラについて労災の相談があった場合、企業側はまずプライバシーに配慮しながら事実確認をし、上記の3つの要素について専門家を交えて検討しましょう。
コロナで労災申請はできるか?
従業員の方がもし仕事中にコロナに感染した場合、労災保険は使えるのでしょうか?
労災保険を使うためには業務遂行性と業務起因性が必要となります。
多くの場合、従業員がPCR検査などで陽性となっても、その感染経路は不明ですので、業務遂行性や業務起因性を認められることは少ないです。
ですが、医療従事者の場合であって、実際にコロナに感染していることが明らかな患者の世話をしていたなどの具体的な因果関係が想定できる場合には、労災保険を使用することが可能です。
医療従事者でなかったとしても、職場で複数の従業員がコロナに感染するいわゆるクラスターが発生した場合などでは、これを業務上災害として取り扱われる可能性があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000627234.pdf
統計を見る限り、認定は決して多くはありませんが、認められているケースもあるようです。
従業員がコロナに感染した場合には、それが業務上災害に当たらないかどうか、一応確認しておく必要があります。
新型コロナウイルス感染時の傷病手当金
新型コロナウイルスの感染が広がっております。
感染症で会社を休んだ場合、健康保険の傷病手当金を受給できるかについて、厚生労働省よりQ&A方式で健康保険組合等へ連絡がされました。いくつかピックアップしてご紹介します。
【Q1】 被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
【A】 被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染してい
る場合には、他の疾病に罹患している場合と同様に、療養のため労務に服すること
ができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができ
ない期間、直近 12 か月の標準報酬月額を平均した額の 30 分の1に相当する額の3
分の2に相当する金額を、傷病手当金として支給することとなる。
【Q2】被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
【A】傷病手当金の対象となりうる。
【Q3】被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
【A】傷病手当金の対象となりうる。
【Q5】発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目以降に帰国者・接触者相談センターに相談したものの、体調悪化等によりその日には医療機関を受診できず、結果として、その翌日以降、医療機関を受診せずに病状の改善が見られた場合には、傷病手当金は支給されるのか。支給される場合、医師の意見書を添付することができないが、何をもって労務不能な期間を判断するのか。
【A】傷病手当金の支給対象となりうる。
本問のように、医療機関への受診を行うことができず、医師の意見書を添付でき
ない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、
被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等に
より、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとす
る。
傷病手当金の申請として、通常時と大きく違うのはQ5におけるA医師の意見書の添付が無くても受給対象になりうる点かと思います。感染者が休業した場合は、休業中の所得補償として積極的に活用した方がよいでしょう。
詳細は以下よりご確認くださいませ。
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf
新型コロナウイルスについてのQ&A
世間を賑わせている新型コロナウイルスついて、企業の方向けのQ&Aが厚生労働省のHPにて公開されております。以下抜粋のうえご紹介します。
Q:新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいか。
A:新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。
なお、賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、法律上、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要性の有無については、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するかどうかによって判断されます。
※なお、休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
Q:労働者が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。休業手当の支払いは必要ですか。
A:新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。一方、例えば熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q:新型コロナウイルスに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取り扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどのようになりますか。
A:年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものなので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則などの規定に照らし適切に取り扱ってください。
企業担当者として気になるポイントは、「疑わしい人に休んでもらう時に休業手当を支払う必要があるか?」ではないでしょうか。
これについて、現段階の見解では、使用者側の判断により予防的に休業を命じる場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しますので、休業手当の支払いが必要としております。逆に、労働者側の判断による欠勤の場合は、通常の欠勤控除や有給消化等での対応となります。
離婚時の年金分割
離婚をする場合、相手に対して年金分割をすることが出来ます。この離婚時年金分割とは、婚姻期間中に収めた年金保険料に応じて、厚生年金等の保険料納付記録を按分する制度です。これは夫婦の婚姻中はお互い協力しあって財産形成するものであり、厚生年金の保険料に関しても夫婦が共同して負担したものであるという認識の上、制定されました。
離婚時の年金分割といっても、合意分割と3号分割の2種類があります。それぞれ適用要件や請求方法も異なってきます。
合意分割とは
合意分割とは、離婚等をした夫婦が、当事者の一方からの請求により、婚姻等をしていた期間の年金記録を当事者間の合意によって分割する制度となります。ただし、夫婦間にて、年金分割につき合意に至らない場合に関しては、当事者の一方の申し出により家庭裁判所に調停や審判申し立てることにより、年金分割をすることが出来ます。
3号分割とは
3号分割とは3号被保険者(専業主婦等)から請求があった場合に、平成20年4月1日以後の期間について(制度が施行したのが平成20年4月1日の為)年金記録を按分する制度です。按分割合は2分の1ずつと定められており、夫婦間での按分割合を決定することはできません。3号分割の場合は、相手の合意が必要ないため、請求する側が1人でも手続きが可能です。
まず、2種類の制度ですが、当事者の一方からの請求(請求は離婚日の翌日から起算して2年以内に行うこと)により、婚姻期間中の年金記録を当事者間で分割することができる制度です。
分割される年金記録の対象は?
この年金記録の対象とは、厚生年金・旧共済年金です(平成27年10月に厚生年金に一元化)。公的年金の中でも国民年金、国民年金基金、厚生年金基金(厚生年金の代行部分は除く)、確定給付企業年金および確定拠出年金(401k)は年金分割の対象となりません。また個々で加入している私的年金(生命保険等)も同様に年金分割の対象となりません。
合意分割と3号分割の相違点
相違点ですが、いくつか決定的な違いがありますので順を追ってみていきましょう。
請求方法
合意分割の場合
当事者双方のうち、どちらか一方からの請求によって分割することが出来ます。
3号分割の場合
どちらか一方、ではなく、必ず国民年金第3号被保険者であった方からの請求が必要です。
分割の決定について
合意分割の場合
厚生年金記録の分割に関し、原則的には当事者双方の協議及び合意のもとにより定める按分割合となります。
ちなみに按分割合のルールとして、下限は年金分割する前の夫婦の合計標準報酬総額における標準報酬の少ない方の割合、上限は50%と定められております。(下限を設けることで、少ない側が本来受け取るはずの年金額を下回らないよう保証し、上限を設定することで、年金分割の趣旨、夫婦の共有財産の平等な分割を実現させています。)
なお、合意に至らない場合、当事者の一方の申し出により家庭裁判所に調停や審判申し立てることにより、年金分割をすることが出来ます。(裁判所の按分になりますとおおよそ50%になります。平成27年司法統計では8396件中8269件が50%の決定が下っています)
3号分割の場合
一律50%になります。合意分割と異なり合意の必要はありません。
ただし、ここで注意が必要なのは、3号分割には期間の制限があるということです。具体的にいうと、3号分割が可能な期間は、平成20年4月1日からの第3号被保険者期間です。(3号分割の制度が平成20年4月1日に施行された為、かかるようにルール付けされました。)
平成20年3月31日までの第3号被保険者期間は合意分割に則り請求することになります。
・3号分割のみの婚姻期間で形成されている場合
・合意分割のみの婚姻期間で形成されている場合
この2ケースにおいては考え方は非常に明確ですが、3号分割の期間と合意分割の期間が混在する場合、どのように考えればいいのでしょうか?
結論としては結果は合意分割の結果と変わらない、ということになります。
3号分割と合意分割の期間が混在する場合、手続き上先に3号分割があったものとみなし、その後合意分割の手続きに移行します。
3号分割の結果、それぞれの標準報酬総額が異なったとしても、その結果を合意分割の按分割合に再分配するので、はじめから合意分割をした結果と変わらなくなります。
つまるところ、合意分割で請求した按分割合に必ず落ち着くのです。
文章のみですと、イメージしにくいので、実際の例で考えてみましょう。
事例
ある夫婦の合意分割の按分割合を妻45%、婚姻期間5年、夫の標準報酬総額3000万円、妻の標準報酬月額を1000万円、夫婦総額4000万円とする。
合意分割のみの期間の場合
合意分割前の割合は、夫が3000万÷4000万=0.75 すなわち夫75%、妻が25%ととなります。
按分割合の請求は妻45%と仮定しましたので、夫55%になるよう調整が必要となります。夫の総額は4000万×55%により、2200万円となります。分割前は3000万円でしたので、800万円を妻に移す必要があります。
3号分割と混在する場合
離婚前の2年を3号分割と仮定し、その間夫の標準報酬総額が1200万円だったとします。
4年間1800万円、2年間1200万円、妻の標準報酬月額が4年間1000万円、2年間0円になります。
年金分割前の割合に関しては、合意分割同様、夫75%、妻25%となります。
3号分割が含まれる場合は、先に分割を行いますので、まず1200万円の50%すなわち、600万円を妻に移行します。したがって、夫の総額は1800万円+600万円=2400万円、妻は1000万円+600万円=1600万円になります。(夫60%、妻40%になり合意分割をする上での下限が40%に引きあがります。)
この状態からさらに合意分割で定めた按分割合にて再計算することになります。妻が45%、夫が55%になるためには200万円の記録を妻に移行することが必要になります。
結果的には、夫の標準報酬総額が2200万円、妻の標準報酬総額が1800万円となり、合意分割のみのパターン同様となります。
以上が実際年金分割を行った場合の計算方法の基本的な考えとなります。
標準報酬総額の計算等は複雑ですが、実際の手続きの際には、「年金分割のための情報通知書」を請求することが出来ます。
3号分割を踏まえた正確な年金額を把握するためには、情報通知書での確認も併せて必要となるでしょう。
事実婚と扶養
近年、姓の変更や手続きの煩雑性等の理由から入籍をしない人も増えており、様々な夫婦形態をとる方々が増加しております。事実婚(婚姻届を出していない場合)、法律上の夫婦と認められない場合でも扶養に入れるのでしょうか?
結論としては所得税法上の扶養には入らないが、社会保険上の扶養には該当します。
税法上において、所得税基本通達2-46にて「法に規定する配偶者とは、民法の規定による配偶者をいうのであるから、いわゆる内縁関係にある者は、たとえその者について家族手当等が支給されている場合であっても、これに該当しない。」
と規定しており、法律上の夫婦関係以外認めていないことが明確に定められております。
一方、社会保険については、厚生年金保険法3条の2において「この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」
と規定されており、内縁関係の証明が可能であれば、扶養に入れます。
内縁関係の証明に必要な書類は以下の通りです。
・住民票(世帯全員の記載されているもの、同居を確認するため)
・戸籍謄本(両人の謄本。事実婚の夫婦の一方又は双方に法律上の配偶者がいないか確認するため)
ただし、重婚的内縁関係(パートナーの一方又は双方に法律上の配偶者がいるため、婚姻届が提出出来ない場合)は原則的に社会保険上の扶養に入れません。例外的に先行する法律婚が形骸化していた場合(別居の期間が長い《10年以上が目安》、夫婦双方に離婚の意思がある等)には重婚的内縁関係が認められることもあります。
また、同性の内縁関係に関しては認められていないのが現状です。自治体によってはパートナーシップ制度(同性カップルを公的に認める制度)を施行してる場合もありますが、法的拘束力はなく、税制、社会保障面では扶養として認められておりません。
同一労働同一賃金
同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもので雇用形態に関係なく、業務内容に応じて対価を決める制度です。
厚労省によると、パートやアルバイト、派遣社員らの非正規労働者は現在2000万人を超え、全労働者の4割弱を占めるとされています。
同一労働同一賃金は2018年6月に成立した働き方改革関連法の柱の一つで、大企業は2020年度から、中小企業は2021年度から適用されます。
具体的には、勤続年数や能力、成果が同じ場合は正社員と原則同額の基本給や賞与を支払うようにする。ただし、正社員にだけ転勤や異動がある場合は、基本給の格差は認められる。
通勤手当や出張旅費、食事手当などの各種手当を同一とし、休憩室や更衣室、社宅の利用など福利厚生も同じように受けられるとした。一方、退職手当や住宅手当、家族手当などについては「不合理と認められる待遇の解消が求められる」と言及するにとどめられました。
また、定年後に再雇用された非正規の待遇については、年金支給などを考慮し格差を事実上容認した最高裁判決を踏まえ「さまざまな事情が総合的に考慮され、不合理か判断される」とされています。
どのような場合に法律で禁止される「不合理な待遇差」にあたるかについては、厚生労働省がガイドライン案を作成しています。こちらもあわせて参照することが必要です。
70歳まで働ける機会を確保する
高年齢者雇用安定法では、定年の廃止や引き上げ、継続雇用制度のいずれかを義務付けており定年退職者の65歳までの雇用が義務付けられ、ほぼ全ての企業で65歳まで働ける環境が整備されてきているかと思います。
内閣府が平成26年に高齢者の日常生活に関する意識調査を行ったところ、60歳以上の回答者の8割が「70歳以降まで働くことを希望」していることが分かりました。
70歳までの就業機会確保では、企業に「多様な選択肢のいずれかを求める方向」と明記し、将来の義務化を検討する方針を示したもので来夏に実行計画をまとめ、早期の法制化を図るという内容のもので有ります。
しかし、高齢者の仕事能力には大きな差があり、現役以上のスキルを持つ者もいる半面、職場のお荷物となっている場合も少なくない。定年退職直前よりも2~3割減の給料は、前者には低すぎ、後者には高すぎる。何より定年後は1年契約等の非正規社員の扱いのため、有能な人材でも責任のあるポストには就けられないという現状が生じるなどが考えられます。
当然、健康状態の差も大きく地域での人材活用など、同一企業での雇用延長にこだわらない柔軟な対応が求められる事となりそうです。
これらをふまえ、70歳までの延長については、当面は努力義務にとどめ、企業の対応を促す考えのようになるかと予想はされます。
高齢者の就業機会の確保は、さらなる働き方改革のきっかけとなってくるのではないでしょうか。
有給休暇の時季指定義務
50%に満たない年次有給休暇の取得率を2020年までに70%以上に引き上げる事を目標とし2019年4月から適用されました。
年次有給休暇の時季指定とは取得時季を「使用者」が指定することをさします。
これまでは労働者が請求する時期に取得させるものとされてきましたが、取得率がなかなか上がらないため、取得時季を指定することを使用者の義務とし、一定の日数の年次有給休暇を取得させる仕組みです。
対象となる労働者は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者が対象となりますので正社員でなくても、パート・アルバイト等のいわゆる非正規社員も対象となります。また、管理監督者もその対象に含まれます。
時季指定の対象となるのは、付与されている年次有給休暇のうち年5日となります。年は原則として付与日から1年間を指します。
なお、本人からの請求を受けて取得した日数や計画的付与によって取得した日数がある場合は、その分も含めて年5日取得させればよく、この場合、使用者の時季指定の対象となるのは、5日からその日数を差し引いた日数となります。
時季指定にあたり注意すべき点は使用者が取得時季を指定するにあたっては、あらかじめ、労働者の意見を聴かなければなりません。なお、労働者の意見を踏まえてできる限り労働者の希望に沿った取得時季を指定するよう努める義務はありますが、労働者の希望通りの日を取得時季に指定しなければならないというものではありません。
36協定の特別条項の上限
2019年4月から労働基準法が改正されました。
36協定には月に45時間、1年間で360時間以内という基準が設けられていますが、罰則がない上に繁忙期等は「特別条項」を設ければ、実質いくらでも残業時間が設定できる状況でした。
これを見直すため、36協定を超えて働かせる特別条項に上限ができました。
時間外限度基準告示にとどまる上限規制を法律に格上げし、違反には罰則を適用することで、強制力が高たり、臨時的、特別な事由があり労使が合意した場合でも、上回ることのできない上限を設定し、過重労働による健康障害防止の徹底を図るといった目的があります。
概要は下記のとおりです
●臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする
●年間720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限上回ることのできない上限を下記の通り設ける
①2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内とする
②単月では、休日労働を含んで「100時間未満」とする
③上記の特例の適用は、年半分を上回らないよう、「年6回」を上限とする
従業員の健康管理のためにも時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめるようにするほか、法令順守のためにも、36協定の見直しに取り組む必要があります。
扶養認定の厳格化
平成30年10月1日より扶養異動届等の審査が厳格化しました。
健康保険の被扶養者の認定にあたり、被保険者と扶養認定を受ける人との身分関係(続柄)及び扶養認定を受ける人が被保険者により主として生計を維持されていること、を確認する必要があります。原則としてこの2つを確認するための添付書類の提出が求められますが、一定の要件を満たした場合には、添付書類を省略できる場合があります。
続柄を確認する書類として、戸籍謄本(または戸籍抄本)、住民票(被保険者が世帯主であり扶養認定を受ける人と同居している場合のみ)のいずれかの提出が求められますが、被保険者及び扶養認定を受ける人双方のマイナンバーの記載がある場合や、事業主が双方の続柄につき確認した旨を異動届に記載した場合は添付書類を省略できます。
収入を確認する書類としては、所得証明書等が必要です(扶養認定を受ける人が所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることを確認した旨の事業主の記載がある場合は省略可能。扶養認定を受ける人が16歳未満の場合はどちらも不要)。
扶養認定を受ける人と被保険者が別居している場合は、仕送りの事実と仕送り額が確認できる預金通帳の写し又は現金書留の控え(写し)の添付が必要です(16歳未満または16歳以上の学生の場合には不要)。
以前の申請に比べ添付書類の不備などで取得が滞ってしまいがちなので、しっかりと添付書類を準備した上で申請いたしましょう。
外国人の雇用
都心部のコンビニでは多くの外国人労働者を目にします。
また、近年はコンビニ以外の分野でも外国人労働者は増加してきております。
外国人労働者については厚生労働省でも毎年6月に「外国人労働者問題啓発月間」として様々な取り組みをするなど重要視されてきております。
具体的には
・国籍で差別しない公正な採用選考を行っているか?
・労働法規を守り、外国人労働者も労働・社会保険に加入しているか?
・日本語教育や、生活上・職務上の相談に配慮しているか?
・安易に解雇をしていないか?
・外国人の雇入れ・離職時にハローワへ雇用状況の届け出をしているか? などの要点が挙げられております。
事業主は外国人労働者の雇入れ又は離職時には外国人雇用状況届出が義務付けられており 日本の国籍を有しないで在留資格「外交」「公用」「特別永住者」以外の人が対象となります。
日本人と結婚している「日本人の配偶者」の在留資格の人も届出が必要です。
正社員、アルバイト関係なく必要となります。
届出方法は雇用保険への加入状況により変わってきます。
雇用保険の被保険者となる場合は資格取得届を出す事により外国人雇用状況報告となり雇用保険の被保険者とならない場合に外国人雇用状況届出書の提出が必要となります。
外国人雇用状況届出の内容はと言いますと
① 氏名
② 在留資格
③ 在留期間
④ 生年月日
⑤ 性別
⑥ 国籍の属する地域
⑦ 資格外活動の有無
⑧ 雇入れ(離職)年月日 となっております。
サマータイムの導入に必要な届出
最近では「東京オリンピックにもサマータイムの導入を」という動きがあります。
サマータイムとは、夏は日が長いので、時計の針を早めようというものです。
夜の明るい時間が増える分、アフター5の充実が図れるというのがサマータイムの趣旨であり、近年の流れから導入を考えている企業も少なくないかと思われます。
では、「○月~○月は就業時間を繰り上げるぞ」という形で即座にスタートできるのでしょうか?
労働時間は変わらないからいいのではと思われがちですが、始業・終業時刻は労働者にとって重要な労働条件であり、労働契約を構成する要素の1つです。出勤時間を早めることによって不利益を感じる労働者もいるということを前提に考えなくてはなりません(幼児の送り迎えが必要な場合など)。
そこで就業規則等の変更が必要となってくるかと思われます。
就業規則の多くに通常記載されている労働時間規定にある「業務の都合により、始業・就業時刻、休憩時間を繰り上げ、または繰り下げることがある。」
という条文の解釈によって、就業規則を改定せずにサマータイムを運用できないかということですが、この規定の解釈によって運用できるのは気象悪化などを例にしたスポット的な就業時間の変更の範囲と捉えた方が自然だと思います。
また、従業員への周知の意味でも労使合意のもと就業規則の変更届を所轄の労働基準監督署へ届出することが必要になります。
月額変更の年間平均適用
随時改定(月額変更)とは現状の標準報酬月額が固定的賃金の変動により、その昇給月や降給月以後の継続した3ヶ月の間に受けた固定的賃金額から非固定的賃金額を加算した平均額に2等級以上の差が生じる際に標準報酬月額を改定する事をいいます。
この随時改定が平成30年10月より従来の3ヶ月平均と新たに年間平均額を算定し適用する事ができるようになりました。
年間平均はそれまで定時決定(算定基礎)のみの取扱いでした。
具体的には3ヶ月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額(通常の随時改定の計算方法により算出した標準報酬月額)と、昇給月または降給月以後の継続した3ヶ月の間に受けた固定的賃金の月平均額に昇給月または降給月前の継続した9ヶ月および昇給月または降給月以後の継続した3ヶ月の間に受けた非固定的賃金の月平均額を加えた額から算出した標準報酬月額(年間平均額から算出した標準報酬月額)との間に2等級以上の差があり、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合であって、現在の標準報酬月額と年間平均額から算出した標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じる事が見込まれる場合には、被保険者の同意をもって保険者算定として年間平均で算出した標準報酬月額を適用できることになっています。
事業主が、当事由に基づく保険者算定を申し立てるに当たっては、日本年金機構及び健康保険組合に対して、その被保険者が保険者算定の要件に該当すると考えられる理由を記載した申立書の提出が必要となります。
従業員がマイナンバーの提供を拒否
雇用保険手続の届出に当たってマイナンバーを記載することは、事業主においては法令で定められた義務であることを理解してもらい、従業員にマイナンバーの提供を求める事となります。
では、従業員がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいのでしょうか。
雇用保険手続きの書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の掛出先の機関の指示に従ってください。
マイナンバーの提供が受けられなかった場合は、提供を求めた記録等を保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。経過等の記録がなければ、マイナンバーの提供を受けていないのか、あるいは、提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
仮に提供を拒否された場合には、その旨を申し出た上でハローワークが受理することとしておりマイナンバーの記載がないことをもって、雇用保険手続の届出を受理しないということはありません。
企業側にやや負担感のあるマイナンバーの収集ですが、従業員はマイナンバー制度への理解度や情報漏洩などに不安を抱えているものであります。企業の情報安全体制を見直す機会でもあり、従業員への説明や理解を深めるといった事への重要度が高くなってくるかと思われます。
雇用保険手続きのマイナンバー届出
事業主のマイナンバーの届出は法令で定められた義務となっております。
平成28年1月より以下の申請書類にはマイナンバーの記載が必要であると厚生労働省より案内されておりましたが、現状はマイナンバーの提出無しでも受理されてきました。平成30年5月以降についてはマイナンバーの記載がない届出に関しては再提出を求められる事となります。
・雇用保険被保険者資格取得届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・高年齢雇用継続給付支給申請
・育児休業給付支給申請
・介護休業給付金支給申請
雇用保険業務については番号法第9条の別表第1において、雇用保険の資格取得・確認、給付の支給などに関する事務においてマイナンバーを利用することが規定されています。
マイナンバー制度においては、「情報提供ネットワークシステム」(番号法第2条第14項)を用いて行政機関が符号をキーとして情報連携を行うことにより、国民が社会保障や税に関する諸手続を行う際の負担の軽減を図ることを目的としており、雇用保険業務においてもマイナンバー制度の導入に伴い、行政事務の効率化や事業主の負担の軽減を図り、雇用保険制度の適正な運営に努めていくこととしています。
具体的には自治体とハローワーク間においての情報連携と添付書類の省略による行政事務の効率化や申請者の手続きの負担軽減などを行うものとしてメリットが挙げられております。
パートタイマーへの労働条件の通知
労働基準法では、パートタイム労働者も含めて、労働者を雇い入れる際には、労働条件を明示することが事業主に義務付けられています。特に、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休憩・休日・休暇」「賃金」「退職に関する事項」などについては、文書で明示することが義務付けられています。(違反の場合は30万円以下の罰金に処せられます。)
パートタイマーに特に注意する3つの明示事項
近年、パートタイマーやアルバイトなど多様な働き方も増えていることから、パートタイム労働法では、「昇給の有無」「退職手当の有無」、「賞与の有無」の3つの事項を文書の交付など(3つの事項についてはパートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能)により、速やかに、パートタイム労働者に明示することが義務付けられています。
昇給と賞与について
昇給や賞与の支給を事業所の業績やパートタイム労働者の勤務成績などによって支給するケースで業績などによっては支給されない可能性がある場合や、退職手当を勤続年数に基づき支給するケースで、所定の年数に達していない場合は支給されない可能性がある場合は、制度は「有り」とした上で、「業績により不支給の場合あり」や「勤続○年未満は不支給」など支給されない可能性があることを明記してください。
罰則
違反の場合、行政指導によっても改善がみられなければ、パートタイム労働者1人につき契約ごとに10万円以下の過料に処せられます。
パートタイマーについては、上記のうち「契約期間の定めと更新の有無、判断基準」は注意して記載し、明示してください。契約更新についてはよくトラブルになります。
高額療養費と限度額適用
医療保険制度の加入者が入院などで同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、高額療養費としてあとで払い戻されます。自己負担限度額は、収入や年齢により決められています。
70歳未満の場合:
標準報酬月額83万円以上の方→252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額53万~79万円の方→167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額28万~50万円の方→80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額26万円以下の方→57,600円
被保険者が市区町村民税の非課税者等→35,400円
70歳以上の場合、別の基準があります。また、複数回該当した場合、多数該当扱いとして限度額基準が下がることがあります。
限度額適用認定申請
高額療養費制度は、医療費を先に支払い、あとから申請いただくことにより自己負担限度額を超えた額が払い戻されます。しかし、あとから払い戻されるとはいえ、一時的な支払いは大きな負担になります。
そのため、70歳未満の方が「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示すると、1ヵ月 (1日から月末まで)の窓口でのお支払いが自己負担限度額までとなります。言い換えると、入院などで医療費が増えそうな場合、事前に限度額適用認定証を申請しておけば、先の自己負担限度額までしか医療費を窓口負担しなくてよくなるということです。
均衡待遇と均等待遇の違い
働き方改革の一環として、「同一労働同一賃金」の実現に向けた取り組みがあります。正社員とかパートとか派遣社員とか、色々な働き方がある中で、雇用形態が違うだけで給与などに不公平な取り扱いをすることがないように、法律の整備がされています。
改正の目的
「正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との不合理な待遇の差をなくすこと」とされています。
規定の整備
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、「不合理な」待遇差を設けることが禁止されます。
正社員と同じ仕事をしているのに契約社員だから給与が低いなどの取り扱いは、今後は問題視されます。
「均衡待遇」規定とは
働き方が違う場合、「その違いに応じてバランスをとった」待遇にすることを言います。下記3点の違いを考慮した上で、不合理な待遇差が禁止されます。
①職務②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情
「均等待遇」規定とは
同じ仕事をしている場合に、雇用形態が違うだけで差をつけることを禁止する規定を言います。下記2点が同じ場合、差別的取扱いを禁止されます。
①職務内容※2、②職務内容・配置の変更の範囲
※2 職務内容とは、業務の内容+責任の程度をいいます。
問題
同一労働同一賃金は、待遇に不満を持った非正規雇用社員から訴えられる可能性が高いでしょう。待遇が「均衡・均等」という要素を満たしているか今一度確認してください。
雇用保険の適用拡大(その2)
平成28年12⽉末までは、「⾼年齢継続被保険者」となっている場合を除き雇用保険は適用除外でした。65歳以降は恒例であるため、雇用保障の対象でないとみなされていたのでしょう。しかし、近年の労働力人口の減少や「1億総活躍社会」の流れから、平成29年1⽉1⽇以降、65歳以上の労働者についても、「⾼年齢被保険者」として雇⽤保険の適⽤の対象となりました。
・平成29年1⽉1⽇以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合
雇用保険の適用要件に該当する場合は、事業所管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」(以下「資格取得届」という。)を提出してください。
・平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成29年1⽉1⽇以降も継続して雇⽤している場合
雇用保険の適用要件に該当する場合は、平成29年1⽉1日より雇用保険の適用対象となります。事業所管轄のハローワークに「資格取得届」を提出してください。
・平成28年12⽉末時点で⾼年齢継続被保険者である労働者を平成29年1⽉1⽇以降も継続して雇用している場合、ハローワークへの届出は不要です(⾃動的に⾼年齢被保険者に被保険者区分が変更されます。)。
高年齢継続被保険者とは、65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている被保険者です。
雇用保険の適用条件とは、①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、②31⽇以上の雇⽤⾒込みがあること、の二つです。
高年齢者の活用の場を企業として今後ますます考えていかなければなりません。
雇用保険の65歳以上への適用拡大
雇用保険の適用拡大は、被雇用者として勤める65歳以上の方にも雇用保険が受けられるように年齢の上限を事実上撤廃したものでH29年年1月1日からスタートしました。
今までの制度は、65歳以上の被雇用者に対し「⾼年齢継続被保険者」としての適用のみ認められており、満65歳になる前から同じ事業主に雇用され、それ以降も継続して就業する方々が対象となっていました。
つまり、H28年12末までは満65歳以上の方が新たな就業先で雇用される場合、雇用保険の適用は対象外。しかし、H29年1月1日からは「⾼年齢被保険者」として、65歳以上で職場を変えても適用要件を満たす場合は雇用保険の加入対象となりました。適用要件は
「週の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがあること」
企業としては、要件を満たす形で65歳以上の方を新たに雇用する場合、対象者が入社した翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークへの提出が必要です。
雇用保険の適用拡大によって、満65歳以上の従業員も被保険者の扱いとなることから、雇用保険に関わる「高年齢求職者給付金」「育児休業給付金」「介護休業給付金」「教育訓練給付金」の各種給付金が支給対象となることが従業員にとっての最大のメリットとなるでしょう。
企業としても、状況に応じてしっかりと確認して、対応する必要となってきます。
社会保険の適用拡大
平成28年10月から、週に30時間以上働く方に加え、従業員501人以上の会社で週に20時間以上働く方などにも厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象が広がりました。
その内容について解説します。
1 社会保険の4分の3要件とは
社会保険の被保険者になる人は、原則として「通常の労働者」です。いわゆる正社員をイメージしてもらうと良いでしょう。
この通常の労働者と比べると短い時間や日数で働くパートが、それなりの時間働いている場合には社会保険被保険者にならなければなりません。その「それなりの時間」の基準が、「正社員と比べて4分の3以上の時間働くこと」と定められています。
労働日数または労働時間で比較します。
週40時間(正社員)× 4分の3 =30時間
月間22日(正社員)× 4分の3 =16.5日
このように「パートが社会保険に入る基準の労働時間(日数)が決められます。
2 大企業の社保適用拡大
平成28年10月から、まずは従業員規模が大きい企業から基準時間を「引き下げ」る事になりました。週20時間以上働くパートに対して社会保険加入が義務付けられてたという事です。
3 中小企業の選択適用
平成29年4月からは、さらに中小企業に対しても適用基準を引き下げました。ただし全企業に強制するのではなく、労使で合意があった時に週20時間の基準が適用されることとなりました。
4 加入するメリット
パートタイマーが社会保険に加入することのメリットとして次のようなものがあります。
①将来もらえる年金が増える
②医療保険(健康保険)の給付も充実する(第3号では受けれない給付もあります)
③障害がある状態になり、日常生活を送ることが困難になった場合なども、より多くの年金がもらえるようになる
④会社と労働者が半分ずつ保険料を支払うことになるため、労働者自身が国民年金保険料・国民健康保険料を払うより安くなることがある
会社側が労働者の年金や医療の給付を充実させ安心して就労できる環境を整えることは、雇用に伴う会社の責務であり、結果として労働者の健康保持や労働生産の増進につながりうると考えられます。さらに、短時間労働者への社会保険の適用が企業の魅力を向上させ、より長く働いてくれる人材も確保しやすくなるでしょう。
産前産後休業の保険料免除制度
産前産後休業保険料免除制度とは、出産前後の休業期間の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除される制度を言います。
今までも育児休業中の保険料免除はありましたが、それに加えて出産前後の期間についても会社、本人共に社会保険料が免除される制度が始まりました。以下制度について詳しく解説します。
産前産後休業期間
法律上、産前産後休業期間は以下の通りとなります。
・単胎妊娠の場合は、出産日以前42日(実際に出産した日が予定日を過ぎていた場合は、出産予定日以前42日)から、出産日後56日
・多胎妊娠の場合は出産日以前98日(実際の出産日が予定日を過ぎていた場合は、出産予定日以前98日)から、出産日後56日
育児休業期間
ちなみに、育児休業期間はこの「産後休業」が終わる日の翌日からスタートし、原則として子供が1歳まで(保育園には入れない、またはその他の事情により延長する事が可能)です。
免除期間・申し出期間
産前産後休業保険料免除は「産前休業が始まった日の属する月」から「産後休業の最終日の翌日が属する月の前月」までとなります。その期間中、申請により「会社負担分」「本人天引き分」がいずれも免除となります。なお、この申出は、産前産後休業をしている間に行わなければなりません。
免除の効果
免除された期間については、従前の標準報酬月額で保険料を納めたことと同じように取り扱われます。具体的にいうと、免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。
産前産後休業保険料免除制度は自動的に免除処理が行われるわけではありません。免除を受けるためには被保険者自身が事業所へ免除のを受けるための申し出を行う必要があります。
会社から、免除制度がということを産休前の被保険者に伝え、手続きをリードしてあげましょう。
ストレスチェックの 助成金
政府が社員へのストレスチェックを義務化したことに合わせて、一定規模以下の企業のストレスチェック実施に関する助成金が創設されています。
1、助成金の概要
派遣労働者を含めて従業員数 50 人未満の事業場が、ストレスチェックを実施し、また、産業医からストレスチェック後の面接指導等の活動の提供を受けた場合に、費用の助成を受けられるもの
2、助成金を受けるための要件
□ 1 労働保険の適用事業場であること。
□ 2 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満があること。
□ 3 ストレスチェックの実施者が決まっていること。
□ 4 事業者が産業医資格を持った医師と契約し、ストレスチェックに係る医師による活動の全部又は一部を行わせること。
□ 5 ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。
3、必要な活動
(1) ストレスチェック 年1回のストレスチェック
(2) ストレスチェックに係る医師による活動
ストレスチェックに係る医師による活動について、実施回数分(上限3回)の費用が助成されます。
【ストレスチェックに係る医師による活動とは】
産業医の資格を持った医師が
・ストレスチェック実施後に面接指導を実施すること
・面接指導の結果について、事業主に意見陳述をすること
4、助成額
次の費用が助成されます。
ストレスチェックの実施→1従業員につき500円
ストレスチェックにかかる医師による活動→1事業場あたり1回の活動につき 21,500 円(上限3回)
※500 円と 21,500 円はそれぞれの上限額ですので、実費額が上限額を下回る 場合は実費額が支給されます。
雇用保険の基本手当日額
雇用保険の被保険者が退職した場合、一定の条件を満たせば基本手当(いわゆる失業保険)を受給することができます。この基本手当ですが、辞める直前6ヶ月の給与を平均した額を基に決定するのですが、世間の給与水準を見ながら毎年8月に改定されるルールになっています。
今回も、平成 29 年 8 月 1 日から賃金日額・基本手当日額が変更となりました。
具体的には、賃金日額について年齢ごとに「上限額と下限額」を設定しており、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の 増減により、毎年8月1日にその額を変更します。今回は、平成 28 年度の平均定期給与額が前年比で約 0.4%増加したことから、上限額・下限額ともに引き上げになります。
これに伴い、基本手当日額の算定基準が変わり、支給額が増額になる場合があります。対象になる方には、平成 29 年8月2日以降の認定日にお返しする受給資格者証に新「基本手当日額」を印字して、お知らせします。
◆年齢区分に応じた賃金日額・基本手当日額の上限額
賃金日額の上限額(円)
29 歳以下 12,740→13,420
30~44 歳 14,150→14,910
45~59 歳 15,550→16,410
60~64 歳 14,860→15,650
基本手当日額の上限額(円)
29 歳以下 6,370→6,710(+340)
30~44 歳 7,075→7,455(+380)
45~59 歳 7,775→8,205(+430)
60~64 歳 6,687→7,042(+355)
平成29年10月施行 育児・介護休業法改正
厚生労働省より「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタート」のリーフレットが公表されました。
改正内容は下記の通りです。
① 最長2歳まで育児休業の再延長が可能になります。
1歳6ヶ月以後も保育園等に入れない場合には会社に申し出ることにより最長2歳まで再延長可能となり、育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。
② 子どもが生まれる予定の方などに育児休業等の制度のお知らせ
事業主は、働く方やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った場合、その方に個別に育児休業等に関する制度を知らせる努力義務が創設されます。
③ 育児目的休暇の導入を促進
未就学児を育てながら働く子が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が創設されます。
育児休業が最長2年となると産前休業と合せておおよそ2年1ヵ月半の休暇を取得する方も出てきます。
その際、会社としては従業員が円滑に復帰できるよう職場復帰支援プランや休業中の代替要員の確保等、これまで以上に対策を立てることが必要となってきますので、社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の専門分野に相談されるのも一つの方法かと思います。
産業医制度の変更点
産業医とは事業場において労働者の健康管理を行う医師であり、労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場に対して産業医を選任することとなっています。
この産業医制度について平成29年6月に改正がありました。
主な改正点
◎産業医の巡視頻度
少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供されている場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることを可能とする。
◎長時間労働者に関する情報の産業医への提供
事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。
◎健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供
事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。
改正の背景には過労死対策、メンタルヘルス対策、疾病・障害がある等の多様化する労働者の健康確保対策の重要性増す中、産業医に求められる役割等が変化し、産業医が対応すべき業務が増加していることからの様です。正式に改正が決まりましたら産業医の先生と巡視回数の相談をされてはいかがでしょうか。
社会保険のパートへの適用拡大
平成28年10月1日から501人以上の企業で、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方も、社会保険に加入できるようになっておりますが、平成29年4月1日から更に適用範囲が拡大されました。
次のア又はイに該当する、 被保険者が常時 500 人以下の事業所が適用拡大の対象となります。
-ア.労使合意 (働いてる方々の2分1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること) に基づき申出をする法人・個人の事業所
イ.地方公共団体に属する事業所
加入に当たっては、事業主の方が管轄の年金事務所(健康保険組合に加入している企業については、健康保険組合にも申出を行っていただくことが必要です。以下同じ。)に対して、労使合意を行っている旨の同意書を添えて、申出を行っていただくことが必要です。
年金事務所等が事業主の方からの申出を受理した日に、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方は社会保険に加入することになります。
短時間労働者が1名でも社会保険の加入を希望した場合、合意に向けての労使の協議を行う義務はありませんが、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるよう努めてください。
申出を行った後は一定の要件(*)を満たす短時間労働者は全て加入対象者となりますので、労使間で十分な協議をされることをお勧めします。
(*)一定の要件(下記①~④のすべてにおいて該当するもの)
①週の所定労働時間が20時間以上であること(残業時間等は含めません。)
②1月の所定内賃金が月額88,000円以上であること(賞与、残業代、通勤手当等は含めません。)
③雇用期間が1年以上見込まれること
④学生(夜間、通信、定時制の方は除きます。)でないこと
ユースエール認定制度
ユースエール認定制度の認定基準が平成29年4月1日から変更になりました。
ユースエール認定制度とは若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
「労働時間」、「離職率」、「有給休暇」の3つの基準が変更予定です。
◎労働時間
変更前(旧基準)⇒直近事業年度の①正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下又は➁正社員のうち、週平均の労働時間が60時間以上の者の割合が5%以下
変更後(新基準)⇒直近事業年度の①正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下かつ➁月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員ゼロ
◎離職率
変更前(旧基準)⇒直近3事業年度の正社員の新規学卒等採用者の離職率が20%以下
変更後(新基準)⇒直近3事業年度の正社員の新規学卒等採用者の離職率が20%以下
ただし、採用者が3人又は4人の場合は、離職者数が1人以下
◎有給休暇
変更前(旧基準)⇒直近の事業年度の正社員の有給休暇の①平均取得率が70%以上又は②平均取得日数が10日以上
変更後(新基準)⇒直近の事業年度の正社員の有給休暇の①平均取得率が70%以上又は②平均取得日数が10日以上(有給休暇に準ずる休暇として職業安定局長が定めるものを含み、その日数は労働者1人当たり5日が上限)
今回の変更では労働時間の基準において特に厳しくなっておりますが、その背景には大手広告代理店の社員が過労自した件の影響もあるようです。
人生100年時代 ~新しい働き方と求められる能力~
セミナーの感想です。登場人物は以下の4人。
・伊藤禎則(経済産業省)
・小泉文明(メルカリCOO)
・曽山哲人(サイバーエージェント人事総括)
・田久保善彦(グロービス・司会)
冒頭に伊藤氏の講演が30分あって、その後1時間半の座談会。
伊藤氏の講演はいわゆる働き方改革について、旗を振っている役人の立場からのお話。
私は日頃の言動からは、アンチ役人と思われていそうですが、こういう時は真面目に話を聞くんです。
彼らにしか持てないリソースが注ぎ込まれていて、未来予想としてはそこそこ使えるまとめになっているから。
・日本ではカネは余っているがヒトは足りない(質も量も)
・日本型雇用の最大の特徴は、職務が限定されないこと。教育訓練はOJTに依存している。だから長時間労働になりやすい。
・(人生100年時代の)個人の職業寿命60年>企業の平均寿命30年
・これからのキャリアはマルチステージ化が避けられない
・テクノロジーの進化、社会の変化に労働者が対応していくためには、リカレント(反復)教育が必須となる
・長時間労働は論外~真の成果生産性による評価や多様な働き方の選択、そしてより広い視野でキャリアを個人が選択していくことが必要
日本の大企業の中でこういう働き方をさせてあげられている会社はまだほとんどなくて、厚生労働省のモデル就業規則にも、ようやく最近になって副業を認める条項が入ったくらい。
その後の座談会では、先進的な取り組みをしている(らしい)大企業2社からのゲストを交えて同じテーマを掘り下げる。
・資本効率は大企業化した方が強い(高い給料がもらえる)
・人事効率は小さな会社や組織の方が良い(成長できる)
・裁量、配置、決断の経験によって才能が開花する
・いきなり自由を与えられても困る人がいる(レールを敷いてほしい人)
・先進企業で実際に今やっていることは各社員へのヒアリングやリサーチを頻繁に行う事(何かサインがあったらランチに誘う。社員側は無関心も嫌うが見られ過ぎも嫌がる)
・ビジョン、ミッション、バリューによってカルチャーを作っていく(企業文化、風土・・・阿吽ではまとまらない)
・働き方改革の落とし穴は、企業の利害と個人の利害がバッティングしてしまうこと
というわけで、これからの時代は「大人の学び」ブームが来ることになりそうです。
では、日本の教育環境はどうかというと・・・。
・今の日本の大学は企業が求める人材を育てられていない
・ビジネスだけ学んでもダメ、哲学とか歴史とか芸術とか、幅広い教養があった方がいい
・欧米の大学ではダブルメジャー、トリプルメジャーが当たり前
・就業型インターンシップをもっと活用すべき
・キャリア論をまず学ぶべき
・F1のピットインみたいな時期が必要
・憲法で保障すべき人権としてキャリア権を認めるべき
・官僚から見てグロービスはかなりイケてる
・ナンバー1はどんどん外部に出ていって成長し、ナンバー2は守備固めをするので成長が止まる。結果、ナンバー1とナンバー2の格差が拡がってしまう
パネラー達はどんな学びを実践してきたか・・・。
・新聞を10紙読んでインプットし、毎日ブログを書いてアウトプット
・とにかく本を読むことがローコスト、ネット動画も使えるものがたくさんある
・仕事の現場での修羅場を経験することが一番糧になった。そうした経験を積むためにはリスクテイクすることが必要。
・リスクを取って失敗した人は責めないだけでなく、セカンドチャンスを与えることで報いるようにしている
・社内副業をやっている(別部署や子会社の社長など)
・自分への期待値のコントロールをしながら「成功するまでやる」
・短所を補うよりも強みを伸ばす方がキャリアにはプラスではないか
まとめ
・ロボットやAIにできることはやってもらって、人間は人間らしく働くようにしたい
・クリエイティビティ、自己表現、個人の意思、好きなことを徹底的にやる
・自分らしい自然体の働き方がしたい(感情のマネジメント)
私の感想
・とても大事なテーマだと思うけど、答えを単純に定義できるような問題ではない
・振り返ってみると、なんだかきれいごとみたいに聞こえてしまう
・実際、グロービスに学びに来ている人は、大企業とか公務員の(金銭的に)恵まれた立場にある人が多い
・待遇の良い大企業に入ってしまうと、そこからスピンアウトして旗を立てたり、自発的に努力したりしてリスクを取るよりも、無難な人生を選ぼうとしてしまう人が多いのではないか?(役所なら尚更)
・中小企業は待遇は劣るが、意思決定の経験はできる。会社全体を見る目は自分の過去の経験からすると50人~100人規模の企業だったとしても難しかった気がする。つまりそこでの意思決定は全体最適の視野に立っているとは言えないものだった。(出版社時代、ホテル時代)
・(社労士として中小企業にアドバイスするなら)まずできることは幹部がひとりひとりとこまめに話をするか、それが難しければ様々なリサーチをする。職場を離れた研修やレクリエーションなどでコミュニケーションを図る。評価制度は原資に乏しい中小企業では社員を不安にさせる要因の方が大きいので勧めない。中小企業の強味である経験という財産を社員にどんどん与える。
・(これまでのキャリアを振り返ってみて)一番失敗したというか、前提を取り違えていたと思うことは、とにかく「落ち着く場所」を探そうとしていたこと。例えば正社員とか。これは世間も同じく前提を取り違えていたという問題でもあるのだが、これといったスキルの無い人材が正社員として「落ち着く」チャンスは新卒一括採用時かせいぜい第二新卒くらいまでしかないと思われていたこと。実際にはマルチキャリアの時代に移行しつつあったのだから、それを前提にして様々な職種を経験するというリサーチをもっとやるべきであった。もしも22歳からやり直すとしたら、様々な営業職を経験したり、現場系の技術職とかシステム開発、ネット通販、介護職などをやってみたい。そしておそらくそのどれかで35歳までに起業することができると思う。自分に合う仕事は何か? 今から参入するのに有利な業界はどこか? そういったことを探りながらキャリアを模索するつもりでやるだろう。22歳からでなく、18歳からスタートすれば、30歳までに起業することもできるかもしれない。
・(学歴をどうするか?)これも前提を取り違えていたと思う。大卒というものを、社会に出るための必要条件として考えていた所がある。実際にはそうではなく、具体的に「何を」「どのレベルまで」学んだか?が問題なのだ。そういう点では、自分がかつて選択した経営系の学部では、つい最近グロービスで学んだくらいの経営戦略やマーケティング、リーダーシップ、会計の基礎知識と考え方を身に付けているべきだったが、実際には私はそれらを全く学ばずに卒業できてしまった。そもそも入学してすぐに大学に履修届を提出させられるわけだが、サークルの先輩とかに相談すると「この科目は楽勝で単位が取れる」とか「この科目は出席がうるさいからやめといた方がいい」といった情報しか得られなかった。彼らもやはり大卒を一種の資格のようなものと勘違いしていて、楽をしてそれを取ることしか考えていなかったのだろう。自分に一番足りていなかったのは、何を目的として学んでいるかをしっかりと定義できていなかったことだ。経営を学ぶということは結局のところより良い「意思決定」をすることが目的だということがはっきりと分かっていたら結果は違っていたと思う。その頃の私は小説家を目指していて、本気で経営を学ぼうという覚悟がそもそも無かった。それならそれで、文学部に入るなり、ダブルメジャーで両方やるとか、今だったらそういう選択をすると思う。
・(今から選び直すとしたら?)私が一番欠けていたと思うのは「経営体験」だ。例えば経営の意思決定と言われても十代の私には何のことかピンとこなかったと思う。今ならMGをやってみればいいということになるけれども、MGを知らなかったとしても、何らかの商売を経験することがとても大事だったと思う。そうすることによって、値決めやら仕入やら広告といった様々な意思決定の選択肢を理解できたはずだ。縁日のたこ焼き屋でいいからやっておくべきだったのだ。今ならネット通販とかでもいい。PDCAのDが必要だ。その上で何をどう学ぶ必要があるかを考えれば良かったのだ。学びはアウトプットを意識して取り組まなければ絵空事になってしまう。
65歳以上への雇用保険の適用拡大
平成29年1月1日より65歳以上の方も雇用保険の適用対象となりました。
従来の法律
平成28年までは、雇用保険について65歳以降は加入できませんでした。これは、65歳以降は積極的に雇用を求めている人が多くないため、雇用保険法で保護する必要がないとされていたのでしょう。
しかし、平均寿命の伸びや、年金の支給開始年齢の引き上げ、高齢者の継続雇用を求める社会的風潮から、平成29年1月1日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となりました(平成28年12月末までは、「高年齢継続被保険者」(※1)となっている場合を除き適用除外です。)。
具体的な手続き
平成29年1月1日以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合、その労働者が雇用保険の適用要件(原則として週20時間以上)に該当する場合は、事業所管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」(以下「資格取得届」という。)を提出することになりましたので注意してください。
また、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合で、雇用保険の適用要件に該当する場合は、平成29年1月1日より雇用保険の適用対象となります。
ただし、平成28年12月末時点で65歳をまたいで継続雇用している場合は、新たにハローワークへの届出は不要となります(自動的に高年齢被保険者に被保険者区分が変更されます。)。
SNSの発信を会社が取り締まることができるか
ブログ、facebook、ツイッターなどSNSが普及し、ネット上にいろいろな書き込みが手軽にできるようになりました。このことにより「会社の悪口を書く」「同僚同士のいじめや誹謗中傷が起こる」「会社の秘密情報をばらす」などの新たな労務問題の発生リスクが高まりました。企業はSNSについてどう対応したらよいでしょうか。
ポイントは「企業秩序」:
各人には原則として憲法で保障された言論の自由がありますので、個人的な信条や感情をブログなどで表現することについて会社は制限をする立場にありません。しかし、社員には集団行動をする上で団体の秩序を守る義務が当然に課せられていると解されるため、「会社のブランドイメージを壊す」「書き込みの内容が事実に反しており、風評被害を招く」、「機密情報を漏洩する」、「社内不和を招く」恐れがある場合など、「企業秩序を乱す」場合は、懲戒処分(ペナルティー)の対象とすることが考えられます。
行き過ぎたSNSの使用に対しては、懲戒処分により抑止する方策を考えましょう。
懲戒の対象と考えられる書き込み内容とは、以下のものが挙げられます。
・事実に反するもの
・批判内容が社会的に相当な範囲を逸脱して不穏当な誹謗中傷となるもの
・機密情報を漏洩するもの
・上司・同僚の個人攻撃をしているもの
就業規則に根拠条文を追記する:
まず、就業規則に懲戒の根拠となる以下のような規定を整備します。
「正当な理由なく、会社の名誉又は信用を損なう行為をしないこと」
「インターネット上に、会社や会社の社員に関する事項を掲載しないこと」「秘密情報を漏洩しないこと」「犯罪行為を自慢するような反社会的動画などを掲載しないこと」 など、できるだけ禁止行為を列挙しておきましょう。
内容によっては会社の信用を失墜させたことを理由として、行為をした社員に対し損害賠償請求をすることも考えられます。
パートの制約条件
多様な働き方が認められる現在において、正社員以外にもパートタイマーとして活躍する人もたくさんいます。しかし、公的ルールによって働きが制限されることがあります。それは、「収入が少ないことを根拠に税金や健康保険・年金上の優遇を受けられる」ことに起因します。
優遇措置1:税法上の扶養
まず税法上の扶養という措置が挙げられます。これは所得税に関する基準で、基礎控除38万円、給与所得控除65万円、この2つを合わせると103万円になり、この103万円の枠内でパートタイマーが収入を調整すれば、配偶者などに「税法上扶養されている」とみなされることになります。
税法上の扶養であれば、配偶者側が扶養控除を受けることができ、当人は所得税が非課税となります。
優遇措置2:健康保険上の扶養
次に健康保険上の扶養という措置です。一般に「130万円の壁」と表現されますが、これは「年収が130万円以下であれば配偶者が加入している健康保険の被扶養者になれること」を指します。健康保険上の被扶養者となれば、当人の健康保険料は扶養者が加入して居る健康保険の保険料によってまかなわれるためかかりません。※国民健康保険など、被扶養者概念がない制度もあります。
優遇措置3:国民年金の3号被保険者
健康保険上の扶養と同じ収入要件で、厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者は国民年金の3号被保険者となることができます。これは、「国民年金保険料を当人が納付しなくても、保険料をかけたことにしてもらえる」という優遇を言います。
これらの仕組みから、パートタイマーの方は自らの収入を調整しなければならず、有能なパートタイマーの活躍が制限されているとも言えます。この被扶養者基準について法改正の議論もなされています。
パートタイマーへの社会保険適用拡大
平成28年10月1日からパートタイマー従業員の健康保険、厚生年金保険の加入の適用拡大が行われるように法律が改正されました。
従来は「4分の3要件」:
9月までは、正社員と比べて1日または週の所定労働時間および1月の所定労働日数がおおむね4分の3以上であれば、パートタイマーであっても社会保険適用をする旨定められていました。週40時間制の会社であれば週30時間以上が一つの目安になっていました。
ところが、法律条文上「おおむね」「被保険者として取り扱うことが適当な場合は総合的に勘案し」など、加入の基準が曖昧であることの問題点が指摘されていました。
改正後は20時間以上で社保加入、ただし当面は大企業のみ:
平成28年10月1日以降は、同一事業主の適用事業所(法人番号が同一の事業所)の厚生年金保険の被保険者数の合計が1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる場合は、特定適用事業所としてパートタイマー従業員の社会保険強制適用拡大の対象となります。
対象者は下記の要件1~4の方です。
1.週の所定労働時間が20時間以上である
2.賃金の月額が8.8万円(年収106万円)以上である
3.勤務期間が1年以上見込まれる
4.学生を適用除外とする
ちなみに10月1日からの特定適用事業所でない500人以下の事業所での被保険者加入基準新基準では「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が4分の3以上」と明確になります。
育児・介護休業法改正について
政府が目指す「一億総活躍社会」に向けての施策として、育児や介護をしながらでも働けるようにと、平成29年1月から育児・介護休業法が改正になります。
育児に関する法改正
(育児休業改正1)有期契約労働者の育児休業取得要件緩和
今までは、契約社員については「子が1歳になった後も雇用が継続することが見込まれる場合」に限り育児休業が取得できましたが、改正により「子が1歳6ヶ月以内になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでない場合」は育児休業取得が可能になります。つまり、更新の可能性がある契約社員については育児休業を取れるようになります。
(育児休業改正2)育児休業の対象となる子の適用範囲拡大
今までは、法律上の親子関係にある子のみが育児休業対象でしたが、改正により特別養子縁組の監護期間中の子や、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象となることになりました。
介護に関する法改正
高齢化社会の進展により、介護のために離職せざるをえないいわゆる「介護離職」など、介護の問題が大きくなっています。それを受けて、介護休業関係の法改正も行われます。
介護休業とは
「労働者(日々雇用される者を除く)が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護するための休業」を指します。
対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、又は、同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫です(対象家族の適用範囲は今後見直しがなされる予定です)。
(介護休業改正1)介護休業の分割取得が可能に
介護休業の分割取得が可能になります。今まで対象家族1人について通算93日まで原則1回しか取れなかったものが、3分割して取得することができるようになります。
(介護休業改正2)介護休暇を半日単位で取得可能
今まで1日単位で取得していた介護休暇を半日単位で取得することができるようになります。介護休暇とは、介護のために年間5日まで有給休暇とは別に取得できる休暇(有給・無給は会社ごとに定める)です。
(介護休業改正3)介護休業給付金の給付率アップ
一定の要件を満たす介護休業について雇用保険制度から「介護休業給付金」が支給されますが、その給付率が休業前給与の40%から67%にアップします。
テレワークという働き方
多様な働き方を認めようという社会の気運のなかで、「テレワーク」と言う言葉が注目されています。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。(ちなみにテレワークの「tele 」は、「離れた場所」という意味です)
テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の三つに分けられると言われています。
1、在宅勤務
自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、ファクスで連絡をとる働き方。
2、モバイルワーク
顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方。スマホの普及により、かなり一般的にモバイルワークが行われてきつつあるでしょう。
3、サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方。一社専用で社内LANがつながるスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設が利用され、都市企業は郊外にサテライトを、地方企業は都心部にサテライトを置くことが多いでしょう。
誰がテレワークに向いているか
妊娠・育児・介護などの理由、身体障害、あるいはケガなどにより、恒常的または一時的に通勤が困難な人や、パソコンがあれば場所を選ばずできるSEなどの仕事、営業など出先での業務などがテレワークに適しているでしょう。
これからの労働力人口の減少を考えると、テレワークで貴重な労働力を確保するという人事戦略も有効になるでしょう。
過重労働撲滅特別対策班
労働時間|東京労働局・過重労働撲滅特別対策班 通称「かとく」とは?
2015年4月1日、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が新設されました。
国が長時間労働を問題視し、強弁な姿勢で立ち入り調査などをすることで過重労働を抑制しようという意図が見えます。
有名なのは、2015年7月の「ABCマート違法残業摘発事件」です。
36協定(時間外労働の限度を定めた協定書)で定められた上限を超えた残業をさせていたとして、責任者らが書類送検されました。
この事件で、ABCマートは法定通りで計算した割増賃金を支払っていたようですが、それでも「労働時間が長すぎること」をもって書類送検に行ったということで、強気な姿勢がうかがえます。人手不足に悩む飲食、小売、サービス業や、ITなど長時間労働が起こりがちな業種に対して、今後もこの過重労働撲滅特別対策班の立ち入り調査が起こる可能性があります。
小売・外食・サービス業界などは、近年は人手不足により、長時間労働になりやすいと指摘されていますが、これらの業界に対して、行政の取締はますます強化されていくことが予想されます。
残業が多すぎると健康被害を誘発するばかりか、労働者との間でもトラブルの種を育てることになります。最近はスマートフォンなどで気軽に労働法を調べることもできるため、企業側は特に労働時間などの労働環境整備に気をつけなければなりません。
外国人雇用と労務管理について
厚生労省の外国人雇用状況によると、2013年10月末時点での外国人労働者数は約72万人であり、外国人雇用状況の届け出義務化以来、過去最高を記録しています。外国人を雇用する機会に備えて、労務管理上で気をつける点について以下ご紹介します。
ハローワークへの届出:
外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れおよび離職の際に、その氏名、在留資格などについて、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。入退社の手続きの際に「外国人登録証明書」または「在留カード」「パスポート」などの提出を求め、必要な情報を確認しましょう。届け出を怠ったり、虚偽の届出をした際には30万円以下の罰金に処せられます。
労働基準法、安全衛生法の適用:
労働基準法は、外国人であっても適用されます。賃金や、残業代、労働時間、休日、休暇等の労働条件のほか、安全や衛生に関する事についても同様です。国籍を理由とする労働条件の差別は禁止されていますので、注意してください。
労災保険の適用:
外国人も、業務上及び通勤上にけがや病気をした場合は、労災保険の給付を受ける事ができます。たとえ不法就労であっても給付を受けることが可能です。
社会保険の適用:
健康保険、厚生年金、介護保険等の社会保険も、加入要件を満たすならば加入させなければなりません。
外国人雇用に関する労務管理については、上記の手続きの他コミュニケーション上の課題もあることでしょう。専門家の意見も聞きながら適切な対応をしてください。
最低賃金の話
・最低賃金は毎年変わる
使用者が労働者に対して最低賃金額未満の賃金を支払った場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。この最低賃金額は毎年10月頃に改定され、労働者全てに対して適用されます。
・最低賃金の算出方法
最低賃金額は時給の額ですので、月給者も日給者も時給に換算します。
1、月給制の場合⇒月給÷1か月の所定労働時間
2、日給制の場合⇒日給÷1日の所定労働時間
・最低賃金の計算に含まれないもの
下記のように支払っている賃金は、最低賃金の計算から除外されます。
つまり、下記の賃金を支給金額から除いて計算した時給額が、最低賃金額を上回ってなければなりません。
1、臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
2、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
3、時間外、休日・深夜労働の割増賃金
4、精皆勤手当、通勤手当および家族手当
・H26年度地域別最低賃金は下記の通りです。
( ) 内はH25年度の地域別最低賃金、記載の年月日は発行年月日です。
千葉…798円 (777) 平成26年10月1日
東京 …888円(869) 平成26年10月1日
神奈川…887円 (868) 平成26年10月1日
京都…789円(773) 平成26年10月22日
大阪…838円(819) 平成26年10月5日
兵庫…776円(761) 平成26年10月1日
奈良…724円(710) 平成26年10月3日
福岡…727円(712) 平成26年10月5日
上記以外の都道府県の最低賃金額については、厚生労働省のHPをご覧ください。
「http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/」
最低賃金法では、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。昨年度の最低賃金額ぎりぎりで賃金額を設定している場合は、賃金額の変更が必要不可欠となりますのでご注意ください。
産前産後休業の話
(産前産後の休業について)
産前産後の労働は、労働基準法で制限されています。
出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は出産予定の女性社員が休業を請求してきた場合、就業させることは出来ません。しかし、女性が希望した場合には働かせることが出来ます。
出産後8週間、原則は社員からの請求の有無にかかわらず、働かせてはいけません。
しかし、出産後7~8週間に関しては、女性本人が請求した場合であって、医師が支障がないと認めた業務については、働かせることが出来ます。
これらの規定は、主に母体保護の観点から定められています。
(休業中の賃金について)
産前産後の休業中に関しても「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、給与の支払い義務はありません。しかし、強制的な休業にも関わらず、無給というのでは安心して出産することが出来ません。
(健康保険からの給付について)
そのために、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために、健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。
※標準報酬日額=標準報酬月額÷30日
また、出産・育児には多額の費用がかかるため、出産費用を行政などが負担してくれる制度があります。これを、出産一時金と言います。1児につき42万円が支給され、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されます。双生児の場合は、2人分が支給されることになります。
出産一時金は、病院窓口で支払うときに行政などの負担部分を差し引いて支払うのが原則ですが、病院によってはいったん従業員が全額負担し、後から負担分を受け取る場合もあります。出産予定の際には、病院がどちらの制度をとっているか、確認してもらうようにしましょう。
10月から事業主の健康保険の扱いが変わります。
これまで、健康保険では「業務外での疾病、負傷、出産等」に対して給付を行うとされていました。
業務上での保険事故については、労災保険から給付を行うため、健康保険では給付しないこととされていたのです。
ところが、実際には業務上であっても労災保険から給付を受けられないケースがありました。労災保険では原則として労働者が給付の対象とされていたからです。
そのため、これまでは特例として5人未満の企業に限り、法人の役員や個人事業主も健康保険の給付の対象とする措置が取られてきました。ただし、これはその人が被保険者本人のケースのみです。
例えばシルバー人材センターに登録している個人請負で仕事をされている方がケガをした場合、業務上の災害となりますが労働者とはならないため、労災保険からは給付が受けられません。次に健康保険の方ですが、この人は個人事業主ではありますが、シルバー人材センターでアルバイトしておられる方は、少額の年金を貰いながらご子息の被扶養者になっている方が多いのです。こうなると、被保険者本人ではないため、特例の対象にもならず、健康保険からも給付が受けられず、ケガの治療代は全額自己負担となってしまっておりました。
このような問題を解決するために、今回の改正では「労災保険から給付がある業務災害以外の場合について健康保険の給付を行う」と変更されました。
あと、もう1点、個人事業主や法人の役員など、労働者ではない方がケガや病気をされた場合に、これまでは傷病手当金が受けられなかったのですが、10月からはこれらの人も傷病手当金の対象内となりました。
建設業の労働保険料が4割引!
平成24年度から建設業の労働保険料が割引になるメリット制の適用限度額が100万円から40万円に下がりました。
3年連続して労働保険料が40万円を超えると、その翌々年度から労働保険料が約40%安くなります。
これまではメリット制に該当しなかった規模の会社でも保険料が大幅に割引されます。
ただし、逆に大きな労災事故が発生すると保険料が割高になる場合もありますので、注意が必要です。
また、いったんメリット制に該当した場合でも、一回でも労働保険料が40万円を下回ってしまうと、再度メリット制が適用されるまでに3年掛かり、その3年間は割引が受けられなくなってしまいます。
理想的には、毎年コンスタントに労災保険料が40万円を超えるようにしておくことです。
建築業の場合、労務費率が21%、労災保険率が1.3%なので、逆算すると請負額が約1億5千万となります。
この場合、無事故であれば保険料率が約4割安くなりますので、保険料は24万円程度で済みます。
年度末の工事が3月末までに終わらずに翌年度にまたがってしまうとその分は翌年度の保険料にカウントされてしまいます。
請負額がギリギリになりそうな場合には、できるだけ3月中に工事を終わらせるようにした方が良いでしょう。
当事務所ではエクセルベースで労働保険料の試算ができる工事台帳をご用意しておりますので、ご入用のかたはお問い合わせフォームからご連絡ください。
政府の成長戦略構想と助成金の見直し
政府は、2017年度までの今後5年間を緊急構造改革期間とする成長戦略についてまとめました。
その中で、政府は22日の産業競争力会議で策定を表明した「産業競争力強化法」(仮称)について、8月末までに概要を固め今秋の臨時国会に提出するとしています。
産業競争力強化法は
(1)民間投資の拡大
(2)新市場の開拓
(3)事業再編の促進
を柱として、リース手法を活用して先端機器を借りやすくする環境を整備し、減税措置で企業の初期投資を抑えて設備投資を促進することを盛り込みます。また、企業統治の強化策として、社外取締役の導入を原則とする会社法改正案についても国会に提出する方針です。
一方、雇用についても、ハローワークの求人情報を民間に開放し、人材会社でも閲覧可能にするとともに、女性の登用や子育てとの両立支援に積極的な企業には、2014年度から助成金や税制優遇で支援するとしています。
転職を促す労働移動支援助成金が2015年度には、雇用の維持のための雇用調整助成金を上回るようにするといった方向で産業復興プランをまとめています。
今年、職場意識改善助成金は縮小されてしまいましたが、来年度また別の形でより効果的な制度が作られるかもしれません。過去に職場意識改善助成金を利用した企業に対して現在ヒアリングが行われているのは、そのような目的のためだと思われます。
助成金制度は企業に活用されなければ制度の目的も達成できませんので、企業にとっての魅力ある制度が作られることが大事だと思います。
産業競争力強化法(仮称)について。ここで言われている産業競争力とは、グローバルな競争力という意味です。
特に製造業で、日本の家電メーカーがサムスンやAppleの後塵を拝し続けている現状をなんとかしようというのが代表的な目的です。
アベノミクスの第三の矢が刺さるかどうか? 注目ですね。
障害者の法定雇用率引き上げ
企業は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。これを「障害者雇用率制度」と呼びます。
今回は、障害者の法定雇用率引き上げについて説明します。
【法定雇用率】
平成25年4月1日より、法定雇用率が以下のように変わります。
【障害者雇用率制度とは】
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています。なお、精神障害者について雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。
この法律では、法定雇用率は「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めるとしています。今回の法定雇用率の変更は、同法の規定に基づくものです。
つまり、「民間企業の場合、全従業員の内2%は障害者を雇用しなければならない」ということです。
【注意点】
従業員50人以上56人未満の事業主のみなさまは、特にご注意ください。今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が以下のように変わります。
[変更前]従業員56人以上
[変更後]従業員50人以上
また、その事業主には、以下の義務があります。
- 毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません
- 障害者雇用推進者を選任するよう努めなければなりません
老齢年金の「損・得」世代別試算について
生涯支払う年金保険料総額と、老後にもらえる年金の
受給額総額を比較した生涯収支の試算が注目を集めています。
2012年2月に、「国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる額から支払った額を
差し引いた生涯収支を世代間で比べると、50歳代半ば以下の世代で払いの方が多くなる」
という試算が報道されました。
本稿では、報道された年金試算の概要・注意点を説明します。
【試算をしたのは誰か】
内閣府経済社会総合研究所というシンクタンクの所属研究者が公表した
学術論文中の試算であり、内閣府の正式な見解を示すものではないとのことです。
【どのような条件での試算か】
試算では現行制度の国民、厚生、共済の各年金を対象に、
1人あたりの「保険料支払額(企業負担含む)」と「年金受取額」を5歳刻みで算出しています。
物価上昇率を年1%程度、年金積立金の名目運用利回りを4%とした試算を
「標準ケース」とし、将来の支払額と受取額を現在の価値に引き戻して調整しています。
【試算結果表】
この試算では、1955年以降に生まれた人=55歳未満の人(2010年現在)は、
将来の純受益(年金受給額?生涯保険料)がマイナスになることになります。
【注意点】
これだけを見れば、年金制度不安を煽るだけのように見えなくもないですが、
この試算結果を見る上では以下の三つの点で注意が必要です。
① 男女差を考慮していない
(3号被保険者=サラリーマンの妻などについては
生涯収支はプラスになる試算結果が出ています)
② 加入保険は職種により異なる
(公費負担の大きい1号被保険者=自営業者などは
生涯収支はプラスになる試算結果となっています)
③ 障害年金については、収支の計算に含まれていない
「世代間扶養」という年金の制度設計概念と、
この「損得勘定」の考え方はそもそも合わないものですが、
職種間や性別間の格差など、制度構造上の検討課題が浮き彫りとなっているとも言えます。
採用内定と雇用関係
新しい年度を目前に、
新卒者を迎える企業ではその受け入れ準備が進められています。
一方で、景気後退や天災等の影響から予定通りの雇用ができず、
内定者とのトラブルに発展するケースもあります。
本稿では、採用内定の法律的効果、
並びに内定者への対応に関する注意点について取り上げます。
【内定とは何か】
内定とは、「(主に新規学卒者と企業との間に)解約権を留保した
始期付きの労働契約が成立した状態」を言います。
実際に労務の提供はなされていないものの、
労働契約成立とみなされる点で労働基準法が適用されます。
つまり、内定者に対する内定取り消しや入社時期延期、
賃金条件の変更等の行為には労基法上の制限がかかるため、
既存の社員に準じた注意を払う必要があります。
【トラブル例示と注意点】
では次に、内定を巡る代表的なトラブルと、
その合理性の判断基準・注意点を具体的に取り上げます。
<1、内定取り消し>
内定取り消しをする主な理由としては、①経営不振や人員計画の変更などの会社都合
②内定者の社員としての適格性の二つが主なものですが、それぞれの合理性を判断する
基準は以下のとおりです。
《①会社都合の場合の判断基準》
ⅰ)整理解雇の4要件を満たしているか
・ 人員削減の経済的必要性がある
・ 解雇(内定取消)回避努力の程度が相当である
・ 対象者選定に合理性がある
・ 説明責任の遂行程度が相当である
ⅱ)あらかじめ内定取消事由として経済的理由を約束しているか
ⅲ)30日以上の予告期間を設けているか
《②内定者の適格性を見る場合の判断基準》
ⅰ)経歴詐称や過去の犯罪歴の程度が社員としての適格性を欠くか
ⅱ)卒業できないなど、労務の提供が不可能となるか
ⅲ)あらかじめ内定取消事由として上記のような理由を約束しているか
【2、雇用開始時期の延期】
人員に余剰が生じたなど会社の都合で雇用開始時期の延期をする場合、
当該延期期間は会社都合による休業になります。
そのため、待機期間に対する休業手当の支払いが必要となることがあります。
休業手当は平均賃金の6割以上である必要があり、賃金支払い実績のない内定者の場合は、
予め契約した賃金等をもとに計算することになります。
【近年さらなる注意が必要な事項】
採用前の事前研修や内定式等の場では、会社業績や人員計画・営業戦略・
研修内容・新商品情報などの企業機密情報を取り扱う可能性があります。
近年ではソーシャルメディアの普及により、
内定者が悪気なくそれらを漏洩してしまうリスクも無視できません。
その点で、内定者に対しても秘密保持契約書や念書を書いてもらうことも検討すべきと言えます。
採用内定に関する疑問点・相談は、お気軽に当事務所までお寄せください。
注目すべき厚生年金の「現状と今後」
少子高齢化、働き方の多様化等の影響から厚生年金は改正を続け、
今後さらに大きな改変がなされそうです。
昨今の法改正に向けての議論動向も踏まえて、
本稿では厚生年金の現状と今後を整理します。
キーワードは「保険料負担」「支給開始年齢」「定年制との関係」です。
【厚生年金の現状】
<1. 保険料負担について>
厚生年金保険料は、各被保険者の標準報酬月額及び
標準賞与額に保険料率を乗じて決まりますが、
平成16年から平成29年まで段階的に保険料率が
毎年0.354%ずつ上がっていくことが決まっています。
社員の標準報酬月額に変動がないと仮定しても、
保険料総額はじわじわと上がり続けることになります。
≪試算例≫
被保険者数30名、標準報酬月額は全員30万円と仮定。
平成23年9月 30万円×16.412%×30人=1,477,080円
平成29年9月 30万円×18.3%×30人=1,647,000円
月額で総額169,920円の保険料上昇となります。
上記のことから、被保険者の保険料負担の面でも、
会社の人件費の増加見込みについても、
何らかの対策を検討する必要があるといえます。
<2. 支給開始年齢について>
老齢厚生年金の支給開始年齢について、平成6年以降の法改正により、
現在60歳から段階的に65歳に引き上げられている最中です。
昭和24年4月以降に生まれた人(男性の場合)は、
65歳からの老齢厚生年金支給となります。
<3. 定年制との関係について>
前述2のように、老齢厚生年金の支給が段階的に遅れていく現状にあるため、
その間の所得保障の必要性から定年年齢の引き上げが奨励されています。
現在は65歳までの何らかの継続雇用措置義務が法律上定められています。
企業は「若年者受け入れ」と「高齢者の雇用延長・再雇用等」という、
ある意味では相反する要求をされている現状がみえます。
【今後の改正が検討されている事項】
※ いずれも改正案の段階であり確定事項ではありません。
<1. 保険料負担について>
厚生年金標準報酬月額の等級の上限の引き上げが検討されています。
(現状62万円が上限)
報酬額が63.5万円を超える場合、保険料負担の増加となります。
<2. 支給開始年齢について>
支給開始年齢を、現行の65歳から
さらに68~70歳まで引き上げることが検討されています。
また、在職老齢年金における年金の支給停止の仕組み
(サラリーマンをしながら年金を受け取る場合の年金カット)
を見直すことも検討されているようです。
いずれも動向に注意しなければなりません。
厚生年金についてのご質問は、お気軽に当事務所までお寄せください。