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GOLGOのひとりごと

永遠の0

2014.09.26

「失敗の本質」を読む前だったら、かなりのカルチャーショックを受けていたかもしれない。
同書のおかげで太平洋戦争の経緯や、旧日本軍の性質についてある程度の知識があったので、そうでもなかったが、戦後の歴史教育そのまんまの知識だったらきっとショックだったと思う。

旧日本軍の兵士たちの優秀さとエリート軍人たちの愚かさは、「失敗の本質」で総括されている内容とほぼ被るが、この本で新しかったのは、特攻を志願して死んでいった兵士たちの心情の部分だ。
これは現代の日本人が深く知らぬまま置き去りにしようとしている歴史の事実だ。
戦前の日本人は天皇を現人神だと洗脳されて、愚かな特攻を行ったという認識は確かにこれまでの歴史の授業で習った内容であるが、よく考えて見ると理解しがたい心情であった。
実際の彼らの思いがどうであったかは、今となっては知る方法はない。
ただ、もしも自分がその立場に置かれたとしたらどう思うかを想像してみることは大事だ。
そう考えた時、あれほど多くの人が簡単に洗脳されると思うだろうか?
死を前にしてなおも同調圧力に屈するほど当時の日本人は愚かだったのか?

エリート軍人や官僚たちが同調圧力に屈して愚かな指令を出したことと、最前線の兵士が同調圧力に屈すること(実際に死ぬこと)とは全然意味が違う。前者のインセンティブは出世だと容易に想像できるが、後者のインセンティブは非常に理解しがたい。
唯一考えられるとしたら、それは家族のため、子孫のため?
主人公のゼロ戦パイロットには子孫がいた。
臆病者とののしられつつも、必死に生き延びようとする主人公は、もし自分がその立場だったらどう思うかを読み手の現代人に突きつける。
結局最後に彼は自分の命よりも子孫を生存させることを優先して特攻する。

確かに物語の中では、彼の思いは運命の糸によって子孫を救うのだが、実際はどうだろうか?
どう考えたって、彼が死ぬより生きて帰った方が、子孫を生き延びさせる可能性は高まるはずだ。現実は物語のように都合良くはいかない。
子孫を残したかったら、特攻するより生き延びる方が断然有利に決まってる。
そういう判断を考えられない状況に彼らが置かれていたとするなら、それは一種の洗脳といってもいいかもしれない。

兵隊の志願者の多くは、メシを喰うために軍隊にやってくると書かれていた。
一種の就職だ。口減らしだ。
兵隊にとっては、命の限り戦うことが生き甲斐なのかもしれない。
船に乗った以上は、船が沈む時には運命を共にする覚悟はできていたのかもしれない。
彼らをそんな境遇に置いた世の中に絶望していたのかもしれない。

さあ、自分だったらどうするか?

漫画家の水木しげるの自伝を思い出した。
水木しげるは、劣等兵としてラバウルに送られ、戦場で片腕を失いつつも命からがら生還し、後に漫画家となる。
腕を負傷した時には、麻酔もない状況で片腕の切断手術を受けたという。

ひと思いに死ぬより、よっぽど痛い人生だ。
水木しげるに比べたら、特攻に行く方がよっぽどすっきりしていて、痛みもほんの一瞬で済む。
もしかしたら特攻で死ぬというのは、あまり面倒臭くなくて、一見カッコ良くて、当時としては悪くない選択肢だったのかもしれない(特攻に往く若者たちが、あまりに清々しく感じられるのは、生きることの煩わしさから逃れられるというスッキリ感なのでは?)。
洗脳というのは、面倒臭くて辛い選択肢と一緒に特攻という選択肢を用意して選ばせる手口なのかもしれない。

要するに・・・死ぬことくらい誰でもできる。生き抜くことの方が何百倍も大変で、価値がある。カッコいい死に方を選ばずに、カッコ悪くても生き残る道を選ぶべきだ。宮部久蔵は、まさにカッコいい死を選んだ。これは一見カッコ良く見えるが、その後の面倒臭い人生から逃げているに過ぎない。私が彼の父親だったら叱り飛ばすと思う。

でも、小説自体は面白かったので「海賊と呼ばれた男」も読んでみようと思うのであった。

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