GOLGOのひとりごと
【マネジメントゲーム】記事一覧
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- 2024.09.13
- 名古屋MG0.5期にて「MG流の教育とは」
- 2024.09.03
- 凡人が頭を上手に使う方法
- 2024.08.13
- MG for Students安城 開催報告
- 2024.06.23
- MGの決算はなぜ手書きなのか?
- 2024.06.07
- 良い借金、悪い借金
- 2024.03.24
- 福井MG 育児休業 好奇心
- 2023.12.18
- 長浜MG~近江牛に想い出を添えて~
- 2023.12.10
- MG for Students東海市 開催報告
- 2023.11.14
- 有給休暇管理表の上手な作り方
- 2023.10.26
- 古河MGで2年ぶりに表彰状
- 2023.09.29
- 私とCFMG
- 2023.09.26
- MG for Students大府市 開催報告
- 2023.08.25
- 子供の壁と行入のチカラ
- 2023.07.06
- MG for Students刈谷 開催報告
- 2023.06.26
- 初心者MGから見えるのは人間の本質
- 2023.05.14
- 気付きを得るために必要なこと
- 2023.05.07
- MG for students(知立市)開催報告
- 2023.01.27
- 運命神ヤーンと出会いの法則について
- 2023.01.09
- 初MGの舞台が幕を閉じる時
- 2022.10.18
- 古河MG3期、残り1行の入札
- 2022.09.29
- インストラクターがやってはいけないこと
- 2022.09.08
- 記帳できていないのに自分の順番が回ってきたら、どうすればいいか?
- 2022.05.22
- MGの決算と真善美
- 2022.05.01
- 初めての最優秀経営者賞-10年前の愛環MG-
- 2022.03.28
- 何のためにMGをやっているか。
- 2022.03.25
- MGで会計を学ぶと10倍速い理由
- 2022.03.03
- ビジネススクールとマネジメントゲームの違い
- 2022.02.06
- 小学生にもわかる会計のお話
- 2022.01.12
- 1200期達成おめでとうございます!
- 2022.01.06
- マトリクス会計表の間違いの見つけ方には2つのモードがある
- 2021.11.30
- CFMG開催報告2021.11
- 2021.10.06
- 古河MG4期の経営計画発表会
- 2021.10.04
- 8年ぶりの古河MG
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- わからない人同士での教え合い
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- 環境は意思よりも強し!
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- 愛知県に緊急事態宣言が発令されましたが・・・。
- 2021.03.16
- 高学歴の人でもMGの決算に手こずるのはなぜか?
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- 緊急事態宣言下ですがゴルゴMG開催しました
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- 中小企業の人材獲得戦略
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- 小さな会社の強味を生かす方法をMGでやってみた
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- ゴルゴCFMG開催報告2018.7.15
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- MGインストラクターの目的と手段
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- MGの収穫④「横着と愚直」
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- 資金繰りとキャッシュフロー計算書の目的
- 2018.02.01
- MGの収穫③「言語を選択することの重要性」
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- 慌てることと急ぐことの違い
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- 来年2月に平日MGを開催します!
- 2017.06.06
- MGの決算で自信を持てるようになる方法
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- MG300期!
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- キャッシュフローMG(CFMG)開催報告2016-9
- 2016.03.17
- ゴルゴMG開催報告2016.3
- 2016.02.15
- 金沢MG(名物インストと非常に独特な北陸ルールを体験)
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- ゴルゴMG開催報告2015.10
- 2015.09.27
- ゴルゴMG開催報告2015.8
- 2015.05.22
- ゴルゴMG開催報告2015.5.17
- 2015.03.05
- ゴルゴMG開催報告2015.2.28
- 2014.12.08
- ゴルゴMG開催報告2014.11.23
- 2014.11.17
- 5期A卓での戦い方
- 2014.09.01
- ゴルゴMG(8月)開催報告
- 2014.05.21
- ゴルゴMG(5月)開催報告
- 2014.03.24
- 親子MGに参加
- 2014.03.16
- 初心者12名のMG
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- 初めて息子を参加させた1卓開催のMG
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- MGの収穫②「Y理論」
- 2013.05.06
- ゴルゴMG(4月)開催報告
- 2013.03.24
- MGの収穫①『投資的発想を持つ』
- 2012.12.03
- なにわMGに参戦
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- 2012.09.10
- マネジメントゲーム受講のきっかけはお客様の倒産
MG for studentsはクリティカルビジネスたり得るか
MG for studentsは一見馬鹿げた取り組みと思われるかもしれません。
何しろ、学生相手とはいえ、無料で地域の参加者を招待するのですから!
山口周の「クリティカルビジネスパラダイム」という書籍をご存知でしょうか?
因みに山口周は下記のコラムにあるように、西順一郎先生の「人事屋が書いた経理の本」を絶賛しています。ご本人にお会いしたことはないので、MGについて知っているかは分かりませんが。
https://note.com/shu_yamaguchi/n/n28f0557b4ba6
クリティカルビジネスとは?
社会運動、社会批判をビジネスと融合させることを意味しています。
つまり既存の価値観を破壊しながら、新しい価値を提案する試みをビジネスとして行うという、一見矛盾するような取り組みの事をクリティカルビジネスと山口氐は定義しました。
例えばMGに無料で人を招待するのは、それを作られた方への冒涜ではないかという価値観。
それとも子供への教育というものは、学校が文部科学省が定めたやり方で行うべきと言う価値観。
一見正しそうに見える(かもしれない)これらの価値観に新たな問いを投げかける行為。
MG for studentsは、様々なきっかけを経て実現しましたが、明らかにクリティカルビジネスとしての要件を備えているのではないか?というのが本稿のテーマです。
山口氏の書籍に痛烈に書かれているのは、安全・快適・便利を目的とした取り組みには、現在もう事業化可能なフロンティアは存在しないのではないかという問いです。
安全・快適・便利という価値観からはもう意味のあるビジネスは不可能で、後はひたすら同じ事を繰り返す過当競争しか残されていないのではないか?
たしかに私も、MGの主催者が増える毎に、そのような未来を予見した事はありました。
限られた需要を供給過多の主催者が取り合ってしまうのではないか?
これまでと同じコンテンツではMGは存在価値を失ってしまうのではないか?
ですが私はそんな低次元の価値観でMGが語られてしまうことに違和感も抱いてました。
MGにはもっと知られていない深く意味のある価値があるのではないか?
私は子供相手のMGこそがそれに該当するのではないかと思ったのです。
それに気づいたきっかけは、長男をMGに参加させた時でした。
当時小学校5年生の長男は西研の子供MGに二度参加したばかりでしたが、たまたま運に恵まれたようで入賞して帰って来ました。一度目(4年生)の時はまだ訳も分からずという感じだったのが、今回は何かを掴んだようで、当時の会話からもMGへの意欲が増したことを感じておりました。
そんな息子をゴルゴMGに誘う時には実は私の中で葛藤がありました。
それは大人の参加者にどう思われるか?という危惧でした。
「こんな幼い子供をMGに参加させるとは何事だ!」とか
受講料を払えない子供がMGに参加することを許して貰えないのではないか?とか、
決算の遅い子供が足手まといになるのではないか?とか。
確かにこれらはMGという神聖な場に対する未規定のリスクに思えました。
当時の私はそれまでそのような前例を見たことがありませんでした。
ですが、結果的にそれらの危惧は全て杞憂に終わりました。
確かに子供がMGに参加することには、多少のマイナス面もありましたが、それを上回るプラス面があったからです。
いやむしろマイナス面=プラス面だったと言っても良いかも知れません。
それは明らかにその時参加してくださった大人の方からの反応でしたし、私自身もその場に居合わせて感じた事でした。
それ以前に開催したMGでは、当時の私の指導力不足もありましたが「もう疲れた!」とか「まだやらせるの?」といった後向きの言動をする人がいて、場の雰囲気に影響することが度々ありました。
ところが息子を参加させたMGでは、そうした言動が一切見られなくなったのです。
それどころか、期数の浅い大人の参加者が例外なく気力が増したのを感じました。
要するに頑張りが効くようになったのです。
私の初MGがそうでしたが、モチベーション高く参加していても、初めてのMGには想像以上に高い壁が存在します。
そういう時、ちょっと油断すると気持ちが切れてしまうのは仕方ない事だと思います。
ところがその場に子供が混ざっているだけで不思議と頑張れるようなのです。
これはインストラクターの教え方の技術なんかよりよほど効果があります。
そしてその頑張りの効果は、頑張った当人の財産になるのですから満足度にも繋がります。
では既に経験を積んでいるベテランにとってはどうでしょうか?
実は子供に教える事は本当に骨の折れる作業です。
何しろ大人なら分かっていて当然の常識が子供には全く通用しないからです。
実は私も彼らのおかげでかなり鍛えられました。
読める文字を書かせるには、いくら口を酸っぱくして言っても効きません。
それよりも太い芯のシャープベンを渡して実際に書かせてみる事で本人も自分の字が見やすくなったことを実感します。
これもまた「まずやる」事でその意味が理解できるのでしょう。
それ以外にも、彼らは大人を困らせる事をいくらでも生み出してくれます。
調教されていない野生馬を前にすると、ベテランの経験者も鼻をへし折られること請け合いです。
受講料払ってこんなに働かされるの? と思っても不思議ではありませんが、流石はMGの経験者はそんな状況をむしろポジティブに受け止めて下さるようです。
実際の参加者からも感想文に「これまでは教えてもらう側だったのが、否応無く教える側になってしまって、本当に勉強になりました」というコメントを頂きました。
ベテランばかりのMGは面白くないという事は、実は西先生自身も仰っている事です。
最近ではMG for studentsでMGを始めた子供たちが50期を超え、大人の初心者に指導する役割を担うようになってきました。
そうなってくると更に子供効果が増します。
大人でも字が薄い初心者はよくいるのですが、子供から言われると本当に皆、素直に聞いてくれるのです。
盤を回してカードを投げないといったマナーに関する事などは特に効果的です。
インストラクターが指導するより子供から言われた方が素直に聞いて貰えるというのは複雑な気分ですが笑
大人への効果ばかり書きましたが、そのような場で学ぶ子供には知らず知らずのうちに西式の思想がインストールされて行きます。
結局のところ、大人と子供が共に切磋琢磨して向上するというMGの理想的な場が生まれるようになります。
最近では御子息がMGをやるようになったことがきっかけで、親御さんがMGに参加するという例も増えて参りました。その方たちはMG for studentsが無ければ決してMGと出会う事は無かったはずです。様々な人が混ざり合って学ぶ場になりつつあります。
クリティカルビジネスにはどんな可能性があるか?
「クリティカル・ビジネスのパラダイムにおいては、顧客は欲求を満たす対象ではなく、むしろ批判・啓蒙の対象となり、ステークホルダーは経済取引の対象ではなく、社会運動を一緒に担うアクティヴィストという位置付けになります。」
—『クリティカル・ビジネス・パラダイム――社会運動とビジネスの交わるところ』山口 周著
https://a.co/bu3ThN4
MGを自社の利益の為にやるというのがこれまでの常識でした。
ところがクリティカルビジネスのアクティビストとして、子供たちと共に学ぶことはそれだけの意味に留まりません。
次世代の学生達に学びの場を提供するという社会的意義も同時に担うことになるからです。
名古屋MG0.5期にて「MG流の教育とは」
私も一メンバーとして参加させて頂いている名古屋シーガルクラブ主催の西順一郎先生インストによる第14回名古屋MGの0.5期(前夜祭)に参加してきました。
名古屋は関東からも関西からも交通の便が良いせいか前泊する人はほとんどいません。そのせいか割と地元の方中心の0.5期になることが多いのですが、西先生を囲んでの少人数での食事会は実はとても貴重な交流の場でもあります。
とても心に残ったお話がありました。
西先生の考えるリコモンとは?
それは学業における秀才ではなく、ストロウズの法則のような大きな視野を体現する人。
ストロウズの法則については検索すれば出てくると思います。
その中のSとTはソニー時代からご存じだったと。
ところがMGをやってみて、どうやらリコモンには一定の共通点があると西先生は感じられたそうです。
それがストロウズの残り4つの特性であったと。
西先生ですら、MGを通じて学んだことがあるというのが意外でした。
その他にも城野宏の教えであったり、色々な話題に花が咲きました。
食事の後、私は西先生をホテルまでお送りする役目なのですが、その道中でこんな話がありました。
実は今度、大学の先生がMGを受けに来ると。
そういえば、学校の先生でMGを受ける人はあまりいないな、と思っていました。
MGをやっている人なら誰でもわかるように、MGの教育の在り方は学校とは全く異なります。私はMGの教育スタイルがとてもいいと思っているのですが、なぜかMGを学びに来る先生は少ない。それが気になっていたのでした。
そこで、西先生にMG流(西式)の教育の特徴についてお聞きしてみました。
それは、相手中心主義であり、待つということ。
学校の授業ではまるで先生が主役です。先生が教科書を開いて、これこれはこうである、と教えます。生徒は必死にノートに書き写してそれを覚える。
MGではまず受講者がやってみる。ゲームも決算も。
わからないことは自分から聞きに行く。インストラクターはそれを待つ。
全ての主体は受講者、生徒です。
なるほど、このようにしていれば自ずからストロウズの法則を体現するリコモンになってゆくのだなと納得した次第でした。
確かにMGはビジネスを題材にした教育ですが、そのメソッドは学校とはまったく異なります。
学校で詰め込まれる教育とは違い、生徒が自分から問いを発することこそ真の学びへの第一歩だと考えているからなのでしょう。
学校の先生でMGをやる人が増えるといいなと改めて思った夜でした。
凡人が頭を上手に使う方法
人間の脳というものは、マイナスという概念をイメージするのが苦手だ。
初心者の計算間違いで非常に多くみられるのがこのパターン。
▲100-30=▲70?
こういう計算を頭の中でやると、+―がごっちゃになってしまう。
人間の脳をパソコンに喩えると、非常にメモリーが少ないマシンということになる。
桁数の多い暗算ができない。
単純な四則演算であれば電卓を使えばいいが、ワルツは逆算が必要になる。
30+X=▲100
両側から30を引いてやればいいので
X=▲100-30
X=▲130
簡単な方程式だが、頭の中でやろうとすると間違えやすい。
ちなみに、方程式を解いた結果が合っているか間違っているかを確認するのは解くことより簡単だ。
30+▲130=▲100
左辺を計算してみれば右辺と一致していることがわかる。
一致していなければ間違っているということである。
普通の人の頭の容量でできるのは順算まで。逆算は紙に書かないと間違えてしまう。
計算ができる人には2種類ある。
ひとつは本当に頭がいい人(容量が大きい人)。
逆算だろうが桁数の多い計算だろうが暗算できてしまう人がたまにいる。
私にはとても無理だ。
もうひとつは頭の容量は普通だが、限られた容量を上手に使う人。
これは紙に数式を書いて頭を補助することを意味する。
悪い頭も使いようでなんとかなる。
ちなみにCF計算書が苦手な人は数式を書いていない人が多い。
▲100=▲30+40+?
▲100=10+?
イコールをまたいで移動すると符号が反対になるので10を左辺に異動すると▲10になる。
▲100▲10=?
?=▲110
凡人が小さな頭を上手に使うには、頭を信じないで紙に数式を書いてみる習慣を持てば良い。実際にやってみると効果が実感できるから、やるようになる。まずやる!だ。
MG for Students安城 開催報告
7/27~28に安城市にてMG for Studentsを開催いたしました。
16人中10人が初めてのマネジメントゲームということで、去年の刈谷市の時と同じような構成となりました。あの時は4期の決算すら、全員が終えることができなかったため、今回はなんとしてでも5期のゲームまでやりきる!という目標を立てて臨みました。
学生の初心者ということで、特に引っかかるのがはっきりと文字を書く、用紙をしまう、机の上を整理する、といった基本的なことです。
そこで、今回工夫したのは「まず良い道具を使ってもらう」ということです。
字が薄い人には「これ使ってみて!」と0.9ミリのシャープペンを貸し出します。
電卓が小さい人にも同様。
定規はステンレスの薄っぺらい定規を持ってくる人がまあまあいるのですが、これが実に使いづらい。
紙の上に置くとペラペラなので爪で引っかけないと持ち上げることができません。
そういう人には100円ショップで買った竹製の定規を使ってもらいます。安物なのでちょっと反り返っていたりするのですが、それがまた持ちやすかったりします。
子供は道具のストレスで集中力が奪われていることに気が付かないんですね。
道具も環境ですから、環境を変えることで「やりにくさ」がかなり軽減されたと思います。
2日間のうち、初心者にとって最も大変なのが2期です。
生まれて初めてマネジメントゲームをやるのですから、大人でも大変です。
ここはとにかく時間を掛けることにしました。
とにかくやってみて貰わなければ仕方ないので。
練習ゲームを割愛する代わりに、2期の前半は20分掛けて行います。
リスクカードは声を出して読む。
記帳する時は待ってあげるが、意思決定は3秒以内。
入札に勝ったら札を見ながら記帳する。
実際にコールミスしながら入札を覚えてもらいました。
なんとしても初日のうちに3期のゲームまでは終わらせたいと思っていました。
そのためには2期の決算でダラダラするわけにはいきません。
資金繰表の個数合わせとミス発見器は、大人の場合は自分で直してもらう紙を使うのですが、今回は多少強引でもこちらで数値を指定して時間を掛けずにマトリックスへ進んでもらうようにしました。
2期に一番遅かったのは割とできる子でした。PQは323で全体の2位。
おそらくコールミスもせず、プライスの読みも上手かったのでしょう。
平均P23なので14個売ったことになります。初MGにしては上出来です。
その彼がなぜ2期の決算でドベになったか?
これには明確な理由がありました。
私も途中からそのことに気付いていたのですが、理由が理由だけに「教える」ことが憚られました。
その理由とは彼が本気になっていなかったからです。いわゆるココロの問題。
おそらく、これまでの人生ではなんとかなってしまっていたのでしょう。だから本気になる方法を知らないのです。目の色を変えてなりふり構わず目標に向けて全力を出す、ということを知らずにここまで来てしまったのかもしれません。そのことは質問に来る時の態度ですぐわかりました。なんというか「敬い」が無いのです。自分が全力でやってもどうにもできなかったことを教えてもらうことの尊さがわかっていない。そもそも全力でやっていない。
そのことは私が敢えて口に出すよりも、周囲の参加者たちがどんどん決算を終えていくことで彼には認識できたと思います。初MGの時の私とそっくりです。私も気が付いた時には焦ってましたから。
その後、彼はドベになることはありませんでしたので、きっと彼なりに何かを感じとってくれたのではないかと思います。
初日はなんとか3期のゲームまでやって、2日目は朝9時から会場を開けて決算から開始です。
3期のドベになった子も、よく似たタイプの男の子でした。
マトリクスの間違いを指摘すると、「(経験者の子を指さして)あの人に教えて貰った通りにやりました」と言い訳をするのです。
ある意味、世渡り上手なタイプです。この子も2期は300以上売っていました。他人の力をうまく借りてこの状況を抜け出そうとした跡が感じられました。教えて貰うこと自体は良いのですが、他責化してしまう所にココロの問題を感じます。
教えてあげた子とて、まだ期数50期もいかないのですから、そりゃ間違えることだってあります。その人の間違いに気付けなかったことを自分事にできないというのは姿勢の問題です。
「決算をやるのは自分なんだから、人のせいにするな」
彼もそう言われて自分が責任転嫁を行ってしまったことに気付いたようで、少し涙ぐんでいました。
それでも「トイレで顔洗ってからグラフを書きに行きなさい」と言うと、5分後にはすっかり元気になってましたが・・・。
講義は「ある駄菓子屋の話」の1ページと2ページだけをやり、経営計画の方に時間を割きました。
理入<行入。
計画を立てて、やってみて、ふりかえり(中間決算)、軌道修正する、というPDCAサイクルを体験することで、基本だけの講義でも十分に戦略思考が体得できると考えたからです。
4期を始められたのは昼食後でしたが、徐々に決算のスピードが上がり、5時過ぎには5期を開始することができました。
途中から私も鈴木さんも腰が痛くなってきたので「わからない人はこっちまで聞きに来て!」と座って待つようにやり方を変えました。それまでは教える側が席を立って受講者の席を回っていたのです。
やってみてこのやり方がとても良いことに気付きました。時には講師席の前にズラリと列ができたりするのですが。
・質問者が順番を待つようになる
・質問者が「自分から聞きに行く」という姿勢が明確になる
・待っていても誰も助けてくれないということが認識される
いわゆる「紙は自分で」問題です。
やるのは自分、そのために自分から聞きに行く。
これまでの人生では、待っていれば親や教師が気を使ってくれて世話を焼いてくれていたという子もいたかもしれません。
それが本来の主体性を尊重する場に変わってみると、実に会場の雰囲気が良くなりました。
片付けの時など、小柄な子が一生懸命MG盤を持ち上げてくれたりして、「危ないからそれは大人の人にやってもらって」と注意しなければならないほどでしたが、彼らのMG盤に対する感謝を感じた瞬間でもありました。
感想文に書かれたイラストにとても癒されました!
MGの決算はなぜ手書きなのか?
決算の目的は何でしょうか?
BSやPLを作ること。それは経営の結果を数値で把握することです。
だとしたら、MGでわざわざ手書きで決算をする必要はないんじゃないか?
そう考えるのは自然なことです。
だって、パソコンで1秒で決算をしても、その目的は叶えられるわけですから。
ところがMGを継続して学んでいる人たちは、誰もそんなことは言いません。
一回だけ受けてもうやりたくないというような人からしか、そんな意見は聞こえてこないのです。
だとしたら、MGの決算の目的は他にも何かあるということになります。
以前にも書きましたが、マトリックス会計表の決算で差額が出ているのに間違いが見つけられず、新しい用紙でやり直したいという人はたまにいます。
私はそれを許可しないのですが、その理由は手書きで決算をすることの理由と同じです。
結果が出せればいいのであれば、パソコンを使おうが、新しい紙を使おうが、なんでも良いということになります。
・なぜ手書きで決算をする必要があるのか?
・なぜ新しい用紙で決算をやり直してはいけないのか?
そこに本質が隠れています。
それは、MGの真の目的が「単なる経営ノウハウの習得」ではなく、「参加者が人間的成長をすること」だからです。
ひとつはアタマを鍛えること。
もうひとつはココロを鍛えること。
決算の最初のプロセスまで立ち戻って、ひとつひとつ間違いを探してゆく作業は実に根気のいる作業です。
差額が出たということは、どこかで間違えているという事を紙が教えてくれているのですから、これは自分の弱点を見つけるチャンスなのです。
決算の修正プロセスの中で間違えた原因を特定できれば、次から同じ間違いをしないように再発防止策を考えることが可能です。
PDCAで言えばCの部分になります。
これがアタマを鍛えることです。
新しい紙でやり直して、それがたまたま合ったとしたら、経営の結果は知ることができますが、自分の弱点を知ることはできません。
それでは、また同じ間違いをしてしまうことになるでしょう。
ココロを鍛えるとは?
人間(特に大人)はカッコ悪い思いをするのが大嫌いな生き物です。
決算で差額が出てしまって、先に終わった人たちが待っている状況の中で脂汗をかきながら間違い探しをすることは、誰だって避けて通りたいことでしょう。
私も最初の方のコラムで書いている通り、MGをはじめた当初にそういう思いを散々しました。
できない自分がもどかしくて恥ずかしくて、周りの参加者の顔を見ることもできないこともありました。
なんとかして早く終わらせたい。それができないなら、このまま逃げて帰りたい!というのが本心でした。
でも、そういう横着な心に従って生きていったら人間は幸せになれるのでしょうか?
皆さんはそんなに世の中は甘くないことを御存知ですよね。
自分の課題から逃げていても、きっといつかはツケを払わされることになると・・・。
ココロの問題につまづくことが人間の習性だと言っても過言ではない気がします。
横着心=人間の弱さ
MGの決算を通して自分の横着心に打ち勝つことを覚えれば、きっと様々な場面でそれが役に立つはずです。
シニアルールをやってくださいとか、(今までは書けと言われてこなかった)キャッシュフロー計算書を書いてくださいとか、そういう課題を与えられた時につい後ろ向きの姿勢になってしまう方がいます。
私もこういう厳しいことを言うインストは嫌われることは知っているのですが、何のためにMGをやっているかを考えれば、その人の成長のために課題を与えてあげることは本当は大事なことだと思うんです。
(最近のゴルゴMGでは学生の皆さんがシニアルールやキャッシュフロー計算書に率先して取り組んでくれていますので、大人の方も自然と背筋を伸ばさざるを得なくなっている感じがします)
ココロを鍛えるというのは、自分の横着心に負けない素直さを持つということ。
あれほどコンピューターが大好きな西先生が、決算だけは手書きを貫くのは、きっとそういうことなのだと思います。
良い借金、悪い借金
MGの初心者で借金をしたがらない人がよくいる。
例えばギャンブルにハマった人が消費者金融からお金を借りて、多重債務で自己破産!
(だからご利用は計画的に・・・)
こんなストーリーを聞いたことが誰でもあるだろう。
良識ある人は、収入の範囲内で無理をせず生活していれば不幸にならない!と。これが常識になってしまっている人がMGをやると、意地でも借金はしない!となる。
例えば平均30円で売れる市場があるとする。
小型機械とコンピュータがあって生産能力2
仕掛品が2個あるとする。材料は1個10円で買えるとする。
ここから「買って」「作って」「売る」を繰り返す。
材料を2個買って20円支払い、完成投入で4円支払う。
ここまでで24円が必要。
この後、製品2個を30円で売ると60円入る。
このサイクルで稼いだMQは60-20-4=36円。
仮に1ゲームで10サイクル回すと稼ぐMQは360円。
固定費Fが仮に300円掛かるとすると、Gは60円。
このように利益を出すことができるが、最初の段階で手持ちの現金がゼロだったらどうなるか?
材料も買えない。完成もできない。
せっかく作って売れば儲かるチャンスがあるのに、手持ちの現金が無いと何もできない。
会社は稼働していなくても固定費は掛かるので、何もしないでいるよりは借金をして金利を払ってでもサイクルを回した方がいい。
先ほどの例でいうと、まず30円借りて、金利を3円支払って、材料を買い、完成投入して販売する。
これを10サイクル回すと、Gは3円減って57円。
逆に何もしなければGは▲300円。
このように会社を運転する為に「先出し」で必要になる資金のことを運転資金という。
会社がMを稼いでいても、それとは別に先出しで資金が必要。
これと良く似たものに設備投資がある。
小型機械は100円掛かるので、最初に100円払って機械を買わなければサイクルを回して製品を売る事はできない。
この100円も「先出し」で必要な資金。
では、給料はどうか?
これは通常、先出しにはならない。
製品を売って稼いだMQから月末に支払えばいい。
ただし業種によっては給料も先出しが必要になることがある。
建設業で工期が三か月掛かるような場合。売上より先に給料の支払いが必要になる。
職人さんに給料を払わないと工事ができないから家も建てられない。
こういう業種では給料も「先出し」しなくてはならない。
消費者が借金をする理由は?
収入より支出が多くなってしまったから。
朝10円持っていて、お母さんから90円小遣いを貰ったけど、300円のおもちゃを買うためにお兄さんから200円借りた。
企業が借金をする理由は?
「先出し」で払わなければならないお金(運転資金や設備資金)を調達するため。
後から儲けて返せる借金は良い借金。
資金繰りに失敗して高利貸しから借りる借金は悪い借金。
福井MG 育児休業 好奇心
福井MGに行くのは今回が初めてだった。
会場があわら温泉の旅館のせいか、ちょっと料金が高かったけれど、とてもいいMGだったと思う。
往きは敦賀から開通したばかりの北陸新幹線であわら温泉まで。まわりの風景の長閑さと新幹線の駅舎の立派さがすごいコントラストだ。
ゲームの方は今回は3期からタバコ屋であまりいいところもなく、一番下のG卓まで落ちて、そこで待っていたのは手強い小学生ふたり!
厳しい入札に苦労したが、最後はなんとか300を超えて終わることができた。
それはそうと、福井はマイツールがとても盛んだった。夜のOA大会が素晴らしい。
技がスゴイとか、メチャクチャ儲けてるとか、そういう派手な話ではなくて、まだ最近触りはじめたばかりだけれど、こんなことやってみたとか、こんなことがわかったとか、とても身近な実践報告が良かった。
誰でもできることの延長線上にスゴイ成果があることが分かると、よし自分もやってみよう!という気持ちになれる。マイツールの敷居を下げてくれる良い場であった。
そんな中、ある社長さんから悩みをお聞きした。
最近、権利主張ばかりする社員に対してどう接していいか悩んでいる。男性で育児休業を何カ月も取りたいと言われたが、まだ誰も取得したことがないし、本人は給付金が出るからと言っているが、会社の業務もある中、何を考えているのか・・・。
社長は会社のみんなと一緒に幸せになりたいと思ってMGやら色々なことを学んで会社に取り入れたいと思っているが、必ずしもそれに響いてくれる社員ばかりではない。
そんなお話の後で西先生の講義があった。
・I型人間、T型人間、V型人間
・マトリックス開発秘話
大まかに分けるとこのふたつのお話。
I型人間とは自分の専門しか分からない人で、こういう人が経営を理解するのは難しい。
T型人間とは、浅くて広い視野と狭くて深い専門領域を持っている人間のこと。I型人間よりもバランスが良く経営診断に向いている。
V型人間とは、T型人間に加えて強い好奇心が合わさっている人。
マトリックス開発秘話は、MGの開発当時、ある人に「ゲームが1時間なら決算も1時間で終わるようにすべきだ」と言われたことがきっかけで、MX会計表を開発することになったというお話。
西先生はこのことを「ムチャクチャだが面白い!」と思ったそうだ。
MX会計表を作られたのは間違いなく西順一郎先生なのだが、おひとりの力ではなく、様々なきっかけや運命の導きがあってそれが生まれたと考えておられるようだ。
そうした偶然が、あのムチャクチャな一言だった。
何が言いたいか?(これは西先生の口癖だ。so what)
好奇心を大切にしなさい、ということ(そのように私は理解した)。
あとから好奇心について調べてみたところ、「よくわからないものに出会ったとき生まれる心情には、恐怖心と好奇心がある」と書いてあった。
つまりV型人間とは、未知のものに対して恐れずに探求する心を持つ人のことなのだ。まるで黒船に乗り込もうとした吉田松陰のように。
そしてマトリックス開発秘話で西先生が感じられた「ムチャクチャだが面白い!」というのは、この意見は論理的ではないが、その考えの先にはきっと何かがある、耳を傾けるに値する、という直感だったのではないだろうか。
ソニーにおいて西先生がMGを開発する際に、誰かにMX会計表を作るように指示されたわけではない。MX会計表は無くてもMGを世に出すことはできた。にも関わらず西先生は、あの一言がきっかけでMX会計表の研究というより高い目標に向かう決意をされた。
「ゲームが1時間なら決算も1時間」という大して論理的とは言えない意見に対し、そんなことはおかしいと切り捨てることもできたにも関わらず、それを面白いととらえて探求する好奇心がMX会計表を生み出した。
好奇心とはそのようなものだ。
福井MGの帰り道、私に悩みを打ち明けてくれた社長さんのことが思い出された。
権利主張する社員というのは、社長さんにとって「よくわからないもの」だったのかもしれない。
だとしたら、それに対して恐怖心ではなく、好奇心で考えてみてはどうだろう?
そんな風に考えた私は後日、あの話の続きをzoomでしてみませんか?と社長さんを誘ってみた。
zoomで気持を聞いてみると、さすが聡明な方で、今ではご自身の中では社員の要求を受け入れる覚悟を決めておられるとのことだった。ただし、他の社員たちがそれに反発して関係が悪くなるのではないかと心配しておられた。
あの時は本当に悩んでおられて、私も迂闊に「こうすればいい」とは言いにくかったのだが、私の想いを伝える前にそう言われたので、やはりMGで真剣に学んでいる方は素直で謙虚なのだなと感心した。
経営者というものは厄介な役割で、次から次へと新しい時代の新しいルールや環境に適応しなくてはならない。それは社員もそうなのだが、最初に矢面に立たされるのは大体経営者だ。
前例のない事柄に対して、「社長、どうしますか?」と問われると、誰でも一瞬驚愕して答えに困ってしまうものだと思う。(そういう時に相談に乗るのが私たち士業の役割だが、士業は法律そのものは知っていても人の心が全て見通せるわけではない)
このような時に、社員ひとりひとりの気持ちに好奇心を持って対話してみることが大切だと思う。これは社長対社員だけでなく、社員同士でも同じで、多様化の時代を生きる私たちは自分以外の人の生き方について好奇心を持たなければ分かり合えるはずがない。
「育休なんてズル休みだ」
「どうせ分かってもらえない人たちなら、嫌われたっていいから権利は全部主張してやる」
好奇心を持たないと人はこんなことしか思わない。
一度試しに「男が育休? それはムチャクチャだが面白い!」と思ってみたらどうだろう?
取り返しのつかないことではないのだから、やってみて考えるというのがMG流かもしれない。
長浜MG~近江牛に想い出を添えて~
長浜MGに行ってきた。
今回は残念ながら天気が悪く、伊吹山も見られなかったが・・・。
MG for Students東海市 開催報告
東海市にてMG for Studentsを開催いたしました。
今回は親子、きょうだいでの参加が2組ありました。その中にひとりだけ小学校4年生の子が入っていたのですが、通常は5年生からのところ、親子でごきょうだいと3人で来ていただいていて、なおかつMGが2回目ということで、大丈夫だろうと判断して入って頂くことにしたのでした。
ところがその4年生のお子さんが最初のうち、なかなか記帳に着いてこられなかったのです。なぜかというと、子供の場合、言語を使ったコミュニケーション(バーバルコミュニケーション)がうまくいかないことがあるのです。ちなみに言語によらない表情や仕草などのコミュニケーションのことをノンバーバルコミュニケーションと言います。
インストラクターがホワイトボードの前で「この数字をここに書き写して」と説明をしてもその子の手は止まったままでした。それで仕方なく、近くまで行って顔を近づけてその子の紙を指さして「ここからここ」とやってあげるとようやく手が動く、という感じだったのです。つまり、射程距離が極端に短くなってしまうのでした。
一期の資金繰り表が終わったところで思案しました。
どんなに丁寧な説明をしたところで、バーバルコミュニケーションが伝わらない相手には意味を持ちません。さて、どうしたものか・・・。
今回は大人の経験者の方も参加して頂いているのですが、普段のMGとのあまりの違いに心なしか怪訝な顔をされているような気がします。
「本当にMGができるのだろうか?」
そんな不安が伝わってきます。
正直、私も同じ不安に駆られておりましたが、なんとかするしかありません。
まずは最初離れて座っていたお母さんに隣に座ってもらうようにしました。ただし、お母さんもMGは2回目なので、自分が覚えるので手一杯ですから面倒は見られません。それでも少しでもお子さんに安心してもらえる方がいいと判断して席を代わって頂きました。
インストラクションのやり方も、普段は前で書いて見せるようにしているのですが、今回はある程度それを諦めて、その子にくっついて全体への説明を行うことにしました。
正直、そのようにやってしまうとその他の初心者が付いてこられるかが心配でしたが、結果的になんとかなりました。
その他の初心者は6年生や中学生だったのですが、人間というものは自分より小さい子が居ると「自分がしっかりしなくては」と思って頑張れるのかもしれません。
私たちインストは、つい自分の教え方をどうするかについて考えてしまいがちですが、そんなことよりも小さい子の存在の方がずっと影響力がありそうです。
その後はゲームの時も、決算の時も、ずっとその子に付きっ切りでしたが、無事に5期まで終えることができました。しかも、5期は他の方の指導で手を放している間に、その子の決算が提出されていてビックリしました。
教えていて気付いたのは、おそらくこのくらいの子の場合、会計恒等式の理屈は理解していないということです。正直な話、なぜそうするのかを理解するより先に、言われた通りにワルツの計算を行える素直さがあるのです。ですから、理屈を説明するのではなく、「足して」「割って」「四捨五入して」「★印は引き算をして」とひたすら手順を繰り返し伝えました。
大人は理屈を理解してやりますが、子供は理屈など分からなくてもただ真似をする。その結果、タテ計とヨコ計が最後に一致するのを見ているうちに、それが正しいやり方であることを信じられるようになっていくようでした。まず繰り返して、理屈は後からついてくるわけです。
まさに「習うより慣れろ」の世界。赤ん坊が言葉を覚えるのもこれと同じなんだと思います。ヴィトゲンシュタインが彼の著作の中で「言語の習得とは説明ではなく訓練なのである」と言ったそうですが、ワルツができるようになるのも同じかもしれません。
さて、最初は硬かった会場の雰囲気も、ゲームと決算を繰り返すうちにほぐれていきます。
MG for Studentsでは、子供たちの受講料を安くしていることもあって、昼食も持参ですし、お茶やお菓子も置いてない、完全に手弁当状態なのですが、これが夕方くらいになると段々お腹が減ってきます。
その時は主催者側がお菓子くらい用意した方が良かったかな?と思いましたが、仕方ありません。
ところがそうこうしていると、あの4年生のお子さんがみんなにお菓子を配り始めたのです。
チョコレートの入った箱を差し出してかわいい声で「おひとつどうぞ」と。
大人にとってお菓子くらい、安いものですし、普段用意してあるお菓子も、別に何とも思わずに食べたり食べなかったりしているのですが、この時ばかりはそれを「有難い」と感じられたのは私だけではなかったと思います。
飽食の時代には、手弁当もあながち悪くないのではないかと感じたのでした。
頂いた感想文にも「最初はどうなることかと思ったが、とても心温まるMGで、気づきも多かった」という声がありました(私も同感でした笑)。
MG for Studentsは大人だけのMGとは違い、ふたを開けてみないと何が起こるか分からないところがありますが、良い意味でも本当に色々なサプライズがあって面白いです。
来年もまたこの取り組みを続けてゆきたいと思います。
有給休暇管理表の上手な作り方
ある日の事務所内の会話より
各社員の2020.1~2023.9の有休消化実績をいただいてますが、「それより前の有休は2020年の消滅&付与の際に満日数になる程度の消化しかしていない(つまり、前々年の有休は使い切る前に消滅)」と見做してしまってよいでしょうか。どこかのタイミングでそう見做さないと、前々年は?前々々年は?その前は?とキリが無く結局入社当初から把握し直さなければならず…
こういう思い込み、ありますね。
この時は、エクセルで次のようなデータを作ろうとしていました。
付与日数 | 消化日数 | 残日数 | |
2020/1/1 | 20 | 1 | 19 |
2020/2/1 | 1 | 18 | |
2020/3/1 | 18 | ||
2020/4/1 | 18 | ||
2020/5/1 | 18 | ||
2020/6/1 | 18 | ||
2020/7/1 | 18 | ||
2020/8/1 | 18 | ||
2020/9/1 | 18 | ||
2020/10/1 | 18 | ||
2020/11/1 | 18 | ||
2020/12/1 | 18 | ||
2021/1/1 | 20 | 38 | |
2021/2/1 | 38 | ||
2021/3/1 | 38 | ||
2021/4/1 | 10 | 28 | |
2021/5/1 | 28 | ||
2021/6/1 | 28 | ||
2021/7/1 | 28 | ||
2021/8/1 | 28 | ||
2021/9/1 | 28 | ||
2021/10/1 | 28 | ||
2021/11/1 | 28 | ||
2021/12/1 | 28 | ||
2022/1/1 | 20 | 40 | |
2022/2/1 | 40 | ||
2022/3/1 | 40 | ||
2022/4/1 | 3 | 37 | |
2022/5/1 | 2 | 35 | |
2022/6/1 | 20 | 15 | |
2022/7/1 | 15 | ||
2022/8/1 | 15 | ||
2022/9/1 | 15 | ||
2022/10/1 | 15 | ||
2022/11/1 | 15 | ||
2022/12/1 | 15 | ||
2023/1/1 | 20 | 35 | |
2023/2/1 | 35 | ||
2023/3/1 | 35 | ||
2023/4/1 | 35 | ||
2023/5/1 | 35 | ||
2023/6/1 | 35 | ||
2023/7/1 | 35 | ||
2023/8/1 | 35 | ||
2023/9/1 | 35 | ||
2023/10/1 | 35 | ||
2023/11/1 | 35 | ||
2023/12/1 | 35 | ||
2024/1/1 | 20 | 40 |
「毎年1月に付与されるとすると、翌年1月にも付与されて、2年後に最初に付与された分の残りが消滅して・・・」
数式を入れていてもゴチャゴチャになってきます。
そこで、表をちょっと工夫してみました。
付与日数 | 消化日数 | 消滅日数 | 繰越日数 | 当年付与の残日数 | 合計残 | |
2020/1/1 | 20 | 1 | 19 | 19 | ||
2020/2/1 | 1 | 18 | 18 | |||
2020/3/1 | 18 | 18 | ||||
2020/4/1 | 18 | 18 | ||||
2020/5/1 | 18 | 18 | ||||
2020/6/1 | 18 | 18 | ||||
2020/7/1 | 18 | 18 | ||||
2020/8/1 | 18 | 18 | ||||
2020/9/1 | 18 | 18 | ||||
2020/10/1 | 18 | 18 | ||||
2020/11/1 | 18 | 18 | ||||
2020/12/1 | 18 | 18 | ||||
2021/1/1 | 20 | 18 | 20 | 38 | ||
2021/2/1 | 18 | 20 | 38 | |||
2021/3/1 | 18 | 20 | 38 | |||
2021/4/1 | 10 | 8 | 20 | 28 | ||
2021/5/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/6/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/7/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/8/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/9/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/10/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/11/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2021/12/1 | 8 | 20 | 28 | |||
2022/1/1 | 20 | 8 | 20 | 20 | 40 | |
2022/2/1 | 20 | 20 | 40 | |||
2022/3/1 | 20 | 20 | 40 | |||
2022/4/1 | 3 | 17 | 20 | 37 | ||
2022/5/1 | 2 | 15 | 20 | 35 | ||
2022/6/1 | 20 | 0 | 15 | 15 | ||
2022/7/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/8/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/9/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/10/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/11/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2022/12/1 | 0 | 15 | 15 | |||
2023/1/1 | 20 | 0 | 15 | 20 | 35 | |
2023/2/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/3/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/4/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/5/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/6/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/7/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/8/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/9/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/10/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/11/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2023/12/1 | 15 | 20 | 35 | |||
2024/1/1 | 20 | 15 | 20 | 20 | 40 |
毎年1月の残日数の出し方がわかりやすくなったのがわかるでしょうか?
結論としては、2024/1/1時点での残日数を出す上では、2022/1/1からのデータだけあれば十分です。もし理屈が分からなくても、この表に何パターンかのデータを入れてみれば、帰納的にそれがわかります。
前年12月時点での繰越日数が翌年1月の消滅日数に移動して、
前年12月時点での当年付与の残日数が繰越日数に平行移動する。
処理の内容が目に見える形になっただけで、ものすごく分かりやすくなりますね。
それまでは、残日数というわかりにくい概念であったものを、繰越日数、消滅日数、当年分の残日数というよりわかりやすい概念に切り分けたところがポイントです。
こういうことをスゴイ!と感動する人が居たりしますが、実際には大したことをやっているわけではありません。
・人間の脳のメモリーは非常に少ない
・頭の中で考えず、紙やソフトに並べて眺める
・わかりにくいものは要素に分解してみる
・ゴールが見えなくても、とりあえずやってみる
・ひとりで考えずに誰かに相談する
これらの基本的な思考パターンを持っているかどうか?
実際、何時間掛かっても解けなかった問題が、ほんの5分ほどでこの答えに辿り着くことができました。
MG、TOC、マイツールで学んだ思考パターンはとても役に立っています。
古河MGで2年ぶりに表彰状
古河MGで2年ぶりに最優秀経営者賞を頂きました。
今回のテーマは「流れ」。
35行の西研ルールで勝つ方法は何かを考えた末にたどり着いた答えがそれでした。
人間はリスクには勝てません。でも、流れに乗ることはできるのではないか。
運とどう向き合うか? そんなことを考えながらやってみた結果の最優秀経営者賞でした。
麻雀プロの櫻井章一は運には天運と地運があると言っています。
天運とは天から授かった運。自分ではどうしようもない運のことで、一般的に運と言えばこれを指すと思います。
地運とは、自分で育てた運。苦しい時を耐え忍んで、流れが良くなる時を待つことが大事だったりします。
私の解釈では、流れに乗るというのは地運を育てることとイコールだと思っています。
今回のMGではその流れがとても感じられた気がしました。
もちろんこれはオカルトであって、何ら科学的な根拠のある話ではありません。
ただ、経営においても運の影響からは逃れられません。運に左右されない人などこの世にはいないのですから。
まずは2期。2巡目でいきなり盗難を引き、その後は安い材料が買えない流れが続いて結果、チップを買い続けて5個しか売れずに終わってしまいました。PQ157でG卓行きです。
しかもゲーム終盤では、在庫は仕掛品3個だけになり、調子のよいプレイヤーが残り数行となる中で、現金は88円ちょうどしかなく、順番が回ってきてもDo Nothingするしかないという状況でした。これでリスクを引いていたら確実に期末は短借になるところでした。
天運的には非常に厳しいスタートでした。
ただ、その中で考えたのは、悪あがきをせずにじっと耐えるということでした。
天運がない状況で無理をしてしまうと地運にも見放されてどうしようもなくなります。
自分に与えられた運命を受け入れて、その中でできることをやろうと考えて青3枚、黄色1枚の次繰りをしました。
3期G卓はメンツがガラリと変わります。
なんと広島の井辻さんと山形の宇野さんというレジェンドお二人とご一緒させて頂きました。
他は100期を迎えた税理士の谷口さんと中江さんという元気いっぱいの初心者。
これだけのメンバーが揃っていると、さすがにG卓とはいえシニアルールになるのではないかとヒソヒソ話していたのですが、成績表を見るとなぜかG卓の上に一本線が引いてありました。
これはどうやらここから下はジュニアという意味なんじゃないかということで、敢えて西先生には確認せずにジュニアで開始となりました。
西先生に確認すれば、おそらくシニアと言われていたと思うのですが、レジェンドの皆さんの手前、私ごとき若輩者が出しゃばるわけにもいきません(笑)。
案の定、中休みに西先生が気付かれたのですが後の祭りです。
ゲームの方は初心者の中江さんが青チップを5枚買って入札で売りまくり、釣られて私も行数を追いかけて黒字になりました。
ここでも「流れ」を自分から作りに行かず、周囲の状況に合わせて対応するという基本姿勢は変えませんでした。
お陰で3期末には自己資本341となり、4期の長期借入1倍を確保することができました。
そこへ井辻ホールディングスの羽生さんがやってきて、「お金ありますねー」と一言。
やっとのことで300を超えたばかりだったので、そこまで考えていませんでしたが、友人貸ししてほしいということでした。
周りを見回すと3期末で300を超えているのは私を含めて2~3人しかおらず、私も期首で大型機械を購入することを考えると、100円を回すのでやっとの状況でしたから、その100円はなかなか貴重な財源に思えました。
そこで、その場で決めずに翌朝金利の入札を行って、一番高い金利の人にその100円を貸し出すことにさせて頂きました。
金利の入札とは、ゲームで使う入札カードを利用して、せーの!でカードを提示してもらい、一番高い人が勝つというもので、去年香川のうどん県MGで思いついたアイデアです。ちなみに同点の場合は再入札となり、再入札価格は前よりアップになります。入札カードは20~40の札ですので、友人貸しの金利を決めるには丁度良いと思ってやってみたら、その時は再々入札まで行ってとても盛り上がったので、またやってみたいと思っていました。
その後は3.5期の交流会で色々な人に借り手を募り、翌朝開始前に入札を行いました。
参加者は5名で、プライスは20、22、26、27、40でダントツの高値で羽生さんが友人借りを落札されました。感謝!
4期はB卓で最初にいきなり研究開発失敗のリスクを引いたのですが、その金利の40円があったおかげで迷わず特急して対応できました。この時は自分が一番行が進んでいたため、終盤に出た各社共通のリスクの時に、迷った末に3個仕入を見送りました。自分の中ではこの意思決定がとても良かったと思っていて、34行目に得意先倒産を引き、35行目に特別サービスを引いて結果、青5、赤3、黄1の次繰ができました。終了時点での在庫が0-6-1でしたので材料も欲しかったのですが、赤2枚を選択しました。もしも各社共通を買っていれば、得意先倒産で終わっていたのですから、この一行はとても大きかったと思います。
4期は正直、32円で売れる流れになっていたので、かなり自己資本が上がることが想定され、いい流れに乗れている感覚はありました。ただ、そういう時に人間は邪念が生まれやすいと思うのです。好事魔多しと言います。私も途中で危うい場面がありました。資金繰り表で途中、プラスとマイナスを逆に計算しており、アレ?残高がなんだか少ないぞ?と思い、見直してみたら気付くことができました。苦しかった2期3期を乗り越えてようやく利益が出せる状況になってきたところで、こういうミスが元になって意思決定を間違えるミスを過去に何度もしたことを思い出しました。そこで今一度、丁寧に美しくやろうと気持ちを引き締めた結果が各社共通を見送るという冷静な意思決定に繋がったと思います。決算の時も、この時だけは最初に資金繰り表の残高をもう一度再計算して、確実性を高めてから決算に取り掛かりました。意思決定も決算も、自分の運を一粒もこぼさないように丁寧にやるように意識していました。
運命の5期。メンバーは春田さん、河鍋さん、藤田さん、羽生さん、神前さんと実力者揃いです。自己資本も春田さんが私より少し上で、河鍋さんが私より少し下でほぼ並んでいる状況でした。藤田さん以外は青5枚の大型機械。藤田さんだけ青なしの機械2台。
席替えの時に春田さんの右側に座るか、藤田さんの右側に座るかで迷いましたが、藤田さんには人をひとりトレードして、お金も60円友人貸ししていたので、心理的に材料を回して貰えるのではないかと期待して藤田さんの右側に座ることに決めました。結果的に材料がなかなか買えずに苦労することとなりましたが、自分なりに丁寧に意思決定したことでしたので、後悔しても仕方ありません。苦しい中でもできることを冷静に選択することを自分に言い聞かせました。
在庫が0-6-1で現金116円からのスタート。一周目で海外から6個材料を買い、二周目で完成投入して、現金残高は8円。3周目でリスクカード! これが研究開発成功で5個売れて資金難を逃れました。この3ターンでひとつでもズレていれば研発成功は空振りになるところでした。
4周目で材料を6個買い、完投して6個売り、その後はもう材料が買えなかったため、仕方なく仕掛品を完成して次の巡目で教育成功。セールスマン1人のため3個だけ売って、次の巡目ではもう完成品を売るしかやることがない状態。ついに在庫はゼロになってしまいました。その後なんとか2回材料を買うことができて、前半折り返し地点22行で31個売上。ライバルの春田さんの資金繰り表を覗き見ると、売上欄に5回記入してあるのが見えたので、それほど走られてはいないことがわかりました。その後、後半は景気変動が出て材料が買いやすくなりました。
5期も序盤は非常に厳しい流れでした。とにかく材料が買えないと、何もできません。ブレイク合戦に持ち込もうにも、肝心の売り物が無いのですから。
ただ、その中で常にできるだけ完成品を持つようにしてラッキーカードに備えるようにしたお陰で、序盤の研発成功と教育成功をフイにせずに済みました。また、厳しい流れの中でも、自分が材料を買えない時に社長病気などの軽いリスクを引くことが多く、小さなリスクで行数を奪われることも少なかったのはむしろラッキーだと思いました。この期は単純に引いたリスクの数では4~5枚と平均レベルでしたが、実害のあるリスクがなく、ラッキーはすべて紙一重で生かせたので、かなり運が向いてきていたことを実感していました。
ライバルの春田さんは教育失敗を引いて苦しくなり、実際にA卓でイニシアチブを取ったのは河鍋さんでした。席順的に材料が買え、行数を使い切ったのもリスクが少なかった河鍋さんでした。羽生さんの親で河鍋さんと私が乗り、1円差私がで売ったのが残り3行の時点。やり切った感がありました。
P31.6、V15.5、M16.1
PQ1736、VQ853、MQ883、F332、G551
この中で光る数字はF332だと思います。リスクが少なかったことに加えて、4期に赤を次繰できたこと、260円を友人貸しして金利で52円稼いだこと。A卓のメンバー5人が倉庫を2台持ちしている中で倉庫1台で20円のFを浮かせたこと。
決算中の春田さんと河鍋さんの会話から、私があまりマークされていなかったことを感じました。もしも私がこれだけFが低いことをお二人に察知されていたら、5期は序盤からブレイク合戦になっていたかもしれません。それも含めて運が良かったと思います。
3期ジュニアだったことや、4期に40%で友人貸しができたことなども要因でしたが、ひとつひとつの意思決定を丁寧に行うことができた二日間でした。
私とCFMG
●キャッシュフローMGとは
通常のMGは仕入と販売は現金決済ですが、キャッシュフローMGでは売掛、買掛(信用取引)を使います。
●私とCFMG
CFMGは元々(株)マスト21の横田さんという方がMGの発展形として考案されたと聞いていますが、私はその方には直接お会いしたことはありません。MGをはじめてしばらくたった頃に、愛環MGでヴァンガード経営研究所の板東秀行さんがCFMGを復活させるという案内をされた時に初めてこれを知りました。当時の私は会計のことは素人で、何もわかっていませんでしたが、何やら面白そうだと思って参加してみたところ、とてもハマりました。
当時の私はまだMGを100期もやっていない頃でしたが、売掛と買掛が入ることで複式簿記の意味がおぼろげながら見えてきたのでした。そして、この複雑な仕組みを制すれば、それを経営の武器にすることもできるのではないかという直感があり、それを確かめてみたいという知的好奇心が湧きました。
その後しばらくは、板東さんのインストするCFMGに繰り返し参加しました。毎回、直接法のCF計算書を試作しながら、実際のMGのデータをそれに入れてみて、結果が一致するような違い棚の形を模索し、ついに完成した時の喜びは忘れられません。研究開発の日々はとても楽しい思い出です。
また、CFMGではルールを変えるとゲームがどう変わるかということにとても興味を持ちました。最初のCFMGのルールでは、一回にひとつの売掛金しか回収できないというルールだったのですが、ある時、他の参加者が懇親会の席で「セールスマンがふたりいる時は2行分回収できればいいのに」と言い出して、それがとても面白いアイデアだったせいか2日目からすぐそのルールが導入されたのでした。セールスマンの人件費と回収の時間コストのどちらを取るか?というジレンマになっていて、一概にどちらが得とも言えないために、プレイヤーをとても悩ませる面白いルールでした。実にMGらしいルールだと感じたものでした。
そのような体験を経て、自然と「新しいルールを考案してみたい」と思うようになりました。
そのため、ゴルゴCFMGでは、信用取引だけでなく、様々な現実的なルールが織り込まれおり、新しいルールを通じて、MG経験者の方により深く学んで頂くことを目的としています。
最初に考えたのは「消費税」でした。
私自身も社労士事務所を開業してから数年が経ち、売り上げが1000万円を超えてきたために消費税が掛かる時期に差し掛かっておりました。そのために合同会社を立ち上げたり、社会保険に加入したり、色々なことがありました。MGができたのは1976年ですから、その当時は消費税はありませんでした。ところが現在では事業を行う上で消費税をどう取り扱うかという問題は避けては通れません。MGにも消費税があってもいいんじゃないか、そんな風に考えたルールでした。(ところが昨今、インボイス制度が導入されてしまい、起業したばかりの会社や小規模事業者への優遇措置が無くなってしまいました。弱い者からは厳しく税を取らないというルールは、社会の在り方としては好きだったので残念です)
「本当の景気変動」は我ながら傑作でした。
思いついたきっかけは、当時ちょうど円高から円安へ移行する時期で、ガソリン代が値上がりしたりしていたことでした。為替が変動するのだから、海外市場の材料も16円均一ではなく、変動するようにしてみたらどうだろう? そして変動と言えば景気変動。景気変動が出たらサイコロを振って円高か円安かが変わるようにしてみようと思い、それならばシニアのサイコロで決まる大阪市場のプライスと市場閉鎖も変えてみようと思ったのでした。
やってみると、景気変動がいつ起きるかは誰にもわからず、しかもゲームの途中で相場が変わってしまうために、常に変化に身構えなくてはならないことがわかりました。これぞ経営!という感じでゲームに絶妙なスパイスが加わりました。
緑色の教育チップ
これは、自分の事務所の事務員さんが退職してしまった時に思いつきました(泣)。社労士事務所の事務仕事というのは、誰でもすぐに覚えられるというものではありません。未経験者の場合、入って半年くらいは自分が代わりにやった方が早い時期が続きます。自分の仕事を後回しにして、根気よく仕事を教えて、やっとできるようになった頃に退職! また新しい人を教えなくてはなりません。私たち社会保険労務士にとって一番痛いリスクカードは退職なのです。それを痛感していた私は「よし、退職を引いたら教育チップも一緒に取られることにしよう」と思ったのでした。それなら一人に一枚教育を付けるようにしたいと思い、枚数が余計にある緑チップを教育チップとし、枚数が少ない黄チップをひとり1枚しか使わないコンピューターにすることにしました。
●どんなことが学べるか
①資金繰り
会社は赤字になってもすぐには潰れませんが、お金が払えなくなったら信用が無くなり、実質的に倒産してしまいます。現金残高だけを見て状況把握ができる通常のMGとは違い、CFMGでは売掛、買掛の管理を行いながら、必要な時に必要な額のキャッシュを確保する必要があります。「資金ショート=倒産」ですから、それは何よりも怖いのですが、資金ショートを恐れるあまり投資が疎かになっては強い会社は作れません。キャッシュポイントを踏まえつつ、回収の時期や投資のタイミング、借入の確保などを複合的に考えてマネジメントする必要があります。CFMGでは、資金ショートが実際にどのようにして起こるかを肌感覚で理解することができます。
②キャッシュフロー計算書
通常のMGで使用するMX会計表には間接法のキャッシュフロー計算書しか付いてませんが、営業キャッシュフローの本当の意味を理解するためには直接法の計算を体験するのが近道です。ゴルゴオリジナルのキャッシュフロー計算書では、直接法と間接法の両方を相対的に比較しながらキャッシュGを計算するプロセスを体験することができるため、それが何を意味するものなのかが自ずと理解できます。
「利益は意見、キャッシュは事実」と言われるのはなぜか?
BS、PLと並んで財務三表のひとつと言われるCF計算書は何を意味しているのか?
こういった疑問が毎期毎期のオリジナルCF計算書の記入によって、行入の形で浸透していきます。
③MX会計表のより深い理解
CFMGではMX会計表で普段使わないいくつかの欄を使用します。それによってMX会計表の拡張性や本当の意味が理解できるようになります。
特に、現金売りと掛け売りの売上が、金額のワルツで自動的に合算される仕組みは素晴らしいと思いました。これも最初は現金売りをいったん掛けにしてから同時に回収するというやり方で記帳していたために気付かなかったのですが、ある時初心者の参加者が何もわからずに現金売りをマル無しで、掛け売りをマルで囲って記帳してしまったのを見て、その場では訂正を指示しつつ、「(なんとなく)このままでもやれるんじゃないか?」と思い、帰ってからそのやり方でやってみて初めてそれでもできることに気が付いたのでした。
分かっている人が分からない人に教えるのではなく、初心者からインストラクターが教わるという、何ともMGらしい出来事でした。
●ローカルルールの数々
「魔の消費税」
「本当の景気変動」
「退職で消える、ひとり一枚の教育チップ」
「少子化&人材不足」
「正社員と派遣社員」
「資金ショートで次繰りチップ没収」
参加した方からは、「初MGを思い出す」という感想をよく聞きます。初めて経験するルールが存在するために、最適解をその都度考えなくてはならず、たとえMGの経験者であっても相手が何をしてくるかはなかなか読めません。相手の手の内が読めない中で、先にルールに適応した人が有利になるというのは、手の内を知り尽くしたゲームでは体験できない新鮮さがあります。また、インストラクターもできる限りゲームに参加し、テストプレイを行っていますので、CFMGのゲームバランスには常に気を配っております。
最近は、MGのオフィシャルルール表では行数が少なくなる傾向にあるようですが、ゴルゴCFMGでは、5期は50行使います。それでも自己資本グラフが正規分布になるのは、新ルールによって過剰適応が起こりにくくなっているのではないかと思います。
現代は変化のスピードがとても速い時代です。ルールを知り尽くして過剰適応できるような業界はどこにもありません。
手の内を知り尽くした者同士でゲームをして、その中で一番運が良かった人が勝つゲームと、新ルールへの適応法を必死になって考え知恵を絞り、人よりも先にそのルールへの適応方法を思いついた人が勝つゲームとどちらが面白いでしょうか? また、その体験が現実に生きるのはどちらのゲームでしょうか?
最後に、良い事ばかりではなく、ゴルゴCFMGの欠点もお伝えしておきます。それは「メチャクチャ疲れる」ことです。新しいルールがあり、手の内が読めず、考えるべきことが山のようにあり、しかも行数も多いため、本当に疲れます。くれぐれも前日は早めに就寝して、体調を万全にしてご参加ください。
MG for Students大府市 開催報告
MG for Students in大府市を開催しました。
今回は風邪でお休みされた方がいたりして少人数の開催でしたが、その分しっかりと5期まで学んで頂くことができました。
そして前回決算で苦労した得永君も元気に参加してくれました。
それだけでなく、あれだけ苦手だった決算もスラスラこなして、ゲームでもジュニアルールながらしっかり利益を出して最優秀経営者賞を獲得してくれました。
最初はうまくいかなくても、MGを繰り返し学ぶことで確実に力が付き、成長を実感できる時が来ます。
彼の感想文は相変わらず短文でしたが(笑)100期を目指す!と書いてくれました。
なんだか私も苦労が報われた気がしました。
参加者の方には苦労も味わってほしいけれど、それがあるからこそ味わえる貴重な達成感も味わってほしいと思っています。
次回は東海市で11月に開催予定です。
子供の壁と行入のチカラ
6月のMG for Studentsに参加した中から3人の子供たちが8月の平日コースに参加してくれた。
前回はほとんど初心者ばかりだったこともあり、4期の決算すら全員終えることができず残念な結果だった。
私が感じた子供の壁
・丁寧にやることの意味が分からない
・集中することの意味が分からない
・本気を出すことの意味が分からない
・方程式がわからない
だが、決算をやり遂げるために大切な何かが不足している。
真剣さを伝えるには、こちらが真剣に伝えることが必要だ。
目を見て、信じて、真剣に伝える。
できる子はできるが、できない子はどうしたらいいのか?
MG for Students刈谷 開催報告
6/24-25にMG for Students刈谷を開催いたしました。
大人3人を含む3卓18人の方に参加頂きました。
今回は大人の方の感想をご紹介いたします。
・リスクカードをたくさん引いて思うようにやりたいことができなかった。運も大事だと思った。売りたい価格で売れるとは限らないということを思い知った。
・高単価で売ることが大事だが、そのための商品力を磨くことが大事だと思った。
・息子と参加しました。息子はまた参加したいと言っており、有意義な経験ができたと思います。
・1期のゲームを始める前に必ずP=30くらいで売っていこうと決めて取り掛かった。だが、テーブルでは安売りが進んでしまい、思うように売れない状況が続いてしまった。販売の機会がなかなかめぐってこず、ポリシーを貫くのは難しいと体験できた。
・利益や売上の関係がよくわかる。聞けてよかったと思う。
・子供と一緒に参加させてもらい、子供に体験させたいことが達成でき、自分も楽しく学ぶことができた。また参加できればと思う。
・学生がたくさん参加するMGが初めてで、最初はどうなるかと思いましたが、とても楽しく学ぶことができました。課題として残ったことはもっと市場を回せるようになれたらよかったなと思いました。
・学生向けの講義はとてもわかりやすくて、もっと最初の方の期数の時にこういう講義が受けられたら良かったと思いました。
・今まで一番学びが多かったMGでした。学生の皆さんの気付く力に驚きました。
こちらは高校生の感想文。お返しのコメントを書く隙間がないくらいびっしりと書いてくれました。
・販売のせりに負けてしまう(特に親の時は負けると大きい)→営業所にいつでも商品があるようにする→研究開発を回りより1つ多く持っているようにする→せりを出すタイミングと場所を考える(みんなの営業所に製品がない時、複数の製品を2つ以上の場所で売ることで競争率が低くなり、高値で売れる)
・PCは繰り越せないがアタッチメントは繰り越せる
・他人のコールミスに気付く力も大切である
・チームによって売る量や値段などが全然違う→そのグループの人のレベルや資本に合わせて臨機応変に対応する
・社長の仕事がどのようなものかはっきりとわかっていなかったが、経営計画を予測して作り、会計をもとに今後の方針を決めたりなど、大きな責任が伴い、大変な仕事であると実感した
・決算の時に計算ミスをして、沢山の時間と労力を費やして苦い思いをしたことで、計算ミスは絶対にしない方がいいと身に染みて感じました。これまで学校で算数や数学を勉強したのも、将来このような計算を正確に素早くできるようになることに役立つだろうと思い、勉強も頑張ろうと思いました。また、文字は太く大きく、声も大きくなど、相手のための行動も日頃から気を付けようと思いました。
・相手中心主義を知り、経営は相手(お客様)のために製品を作ったり売ったり仕入れたりするのだから、相手のために文字は太く見やすく、声は大きく聞き取りやすくしようと思いました。
・自分で判断することは大きな責任が伴うが、自分が社長になったらその決断をしないと物事が進まないため、周りに流されたりせず自分の意見を実行することが(難しいが)大切であることが分かりました。
次回は9/23-24に大府市にてMG for Studentsを開催予定です。
初心者MGから見えるのは人間の本質
初心者を相手にすると人間の本質が見えてくる。
特に相手が子供の場合はそれが剥き出しで見える。
どうすればそれを短くすることができるか?
気付きを得るために必要なこと
先日、あるMGに参加して感じたこと。
その人はまあまあ年配の初心者で、今回が2度目か3度目の参加ということでしたが、今回が初めての人よりも決算に苦労しておられました。
とても真面目な方で、一生懸命に取り組むのだけど、努力がカラ回りしている感じ。
この人に何が足りないのだろう? そう思って観察していました。
一方で、初参加の学生もいたのですが、その人たちはそれなりに苦労しながらものびのびと雑談しながら決算をやっていました。
おそらくこの人は慣れが足りないのでしょう。いつも緊張して必死さが伝わってくるようでした。
みんなについていくのに必死で、この場を楽しめてないのがよくわかります。過去の経験が役立たない理由がわかりました。
この人は感性が働いてなかったのです。
人は緊張したり委縮したりすると感性が働かなくなるものです。
私も昔、自動車学校に通った時に教官に言われました。
「あのトラックの運ちゃんを見てごらん。タバコ吸いながら片手で運転してるだろ? 運転なんて慣れたらあんな風にやるものなんだよ」
私は当時、講習で言われるままに、両手を10時と2時の位置に置いて、ガチガチに緊張した姿勢で運転をしていました。
そんな状態では、臨機応変に状況に対応して運転するということができません。
・まずはリラックスして、ちゃんと呼吸すること
・落ち着いて丁寧に
・ちゃんとできる能力はあるから、心配しないで
・大事なのはその能力を引き出すこと
・ただひとつ大切なのは、わからない時に手を挙げる勇気
リラックスすると感性が働きます。考えるのではなく感じる心。
感じられるから、気付くことができる。
気付くことで行動が変わる。
これが正しい成長の在り方です。
一方、できない人を叱っても何も変わりません。説教しても変わりません。
人は自分が聞きたいと思わない情報は遮断できるからです。
気付きがなければ行動は変わらず、成果も出ません。
人の成長を願うのであれば、叱ってはいけないし、説教してもいけません。
緊張し、委縮すると、神経の目が詰まってしまい、感性が働かなくなるからです。
もちろん、叱られなくても緊張してしまうこともあるでしょう。
そんな時は考えるのをやめて、五感に意識を向けてみるといいです。
昔、ホテルで働いていた時に披露宴の仕事で、あれもやらなければこれもやらなければと緊張したことがありました。
そんな時に私が意識していたのは、お客様の表情に注目することでした。
この人はどんな思いで今日この場に来ているのだろう?
新郎新婦本人と両親、友人とではそれぞれに感情も異なります。気を使う相手も違うし、やってほしいことも違う。
そういった相手の感情を感じ、それに合わせて行動を取ると、当然お客様の反応も良くなり、短い接客時間ですが信頼も高まって仕事がやりやすくなりました。
感性を働かせるコツは、ちょっと生真面目さを抑えて、落ち着いて周りを観察することかもしれません。
MG for students(知立市)開催報告
2023.3.4~5に知立市内の小学校5年生~中学3年生を無料招待して一般参加者と共にMG for studentsを開催いたしました。
小学生4名、中学生6名、一般(大人)6名でうち親子参加が2組でした。16人中経験者4人という構成でしたが、とても元気にゲームや決算に取り組んで頂きました。
ほとんどバラバラの学校から集まってきた初対面同士の子供たちでしたが、2日間一緒に過ごすうちに仲良くなってお互いに決算を教え合うところも見られました。
また、大人の経験者はもちろん、経験の少ない一般参加者の方からも、「(これまでは教えてもらう立場だったが)ここでは他の人に教える体験ができた」という感想を頂けました。
良い意味で、大人だけで行うMGとは違った雰囲気だったと思います。
・小学5年生 Yさんの感想文より
第2期の時、給料のことを考えていなくて、一気に143まで(自己資本が)落ちてしまい、後からあんときミスったーと後悔しました。でも、第4期はすごいスピードの中、Gが増えたので良かったです。ちゃんと現金が増えたのに自己資本が意外に増えなくて、何で?と思いました。
講義は自分のためになるものだったので、あっそうなのかと気づきがたくさんありました。
MGもう一回やりたいなあ~と思いました。
・小学6年Iさんの感想文より
本当は5期までやりたかったけど、とても楽しくできてよかった。
自己資本がすこしだけど300を超えられた。
もう少し落ち着いて一つ一つしっかり書いてればもう少し早くできたかもしれない。
会計ってむずかしいなと思った。決算書の書き方などはよく分かった。わからないときはしっかり言って教えてもらわないとなと思った。
・中学3年Yさんの感想文より
1期ではまったくルールも計算方法もわかっていなかったので、まわりの人に聞きまくってついていくのだけで精一杯だったけど、2期からはすこし落ち着いて1期の自分のことを振り返ることができました。3期も2期よりも速く正確に計算することができてだいぶ自信をつけられました。でも4期では3期までの自分を信じすぎて大失敗をして借金までつくってしまったので自分を信じすぎず1回1回正確に丁寧に考えることが大切だと学びました。
「会社をやっていくうえで大切なこと」が、自分の考えていたことと違いすぎてすごく良い勉強になりました。
自分がほかの人に教えるときに講義の内容を思い出しながら話すとすごくわかりやすく説明できました。
講義やゲーム、決算のことだけじゃなく、返事や字のキレイさなどあたりまえに大切なことを学べたので、今後の生活に生かしてゆきたいと思いました。
・中学1年Yさんの感想文より
うまくいったことはみんなで一緒に楽しめたことです。うまくいかなかったことは、資金繰り表や決算がうまくいかなかったことです。じゃあどうすればいいかはもうすこしていねいに書けばよかったなと思いました。そしてやっぱりぜんぜんできなくて悔しかったことが一番感じています。
話を聞いてみてはじめはなにを言っているかわからくて教えてもらってばかりだったけど、一回自分で集中してやってみたら少しずつわかってきて、少しずつ楽しいということを考えました。なので、これからは人の話を聞いてますはやってみることが大事だなと思いました。
これからまたくることがあれば、もっと決算を早くして3位以内に入れるようにがんばりたいです。
・中学2年Kさんの感想文より
将来何かに使える!!
Youtuberやゲームクリエイターになるためには、こういったMGができるようになる必要があると思った。
またいつか機会があれば参加していきたい。
もしまた会ったら皆さんよろしくおねがいします。
ゴルゴMGでは、参加者の学習効果と次世代のキャリア教育を目的としてMG for studentsを続けてまいります。ひとりでも多くの子供たちに経営の面白さややり甲斐を学んで頂きたいと願っております。
全国の自治体や学校関係者で出張開催を希望される方は、お電話またはホームページからお問い合わせください。
運命神ヤーンと出会いの法則について
MGとの出会いのきっかけは税理士のM先生だった。M先生が米津先生の一日MG研修を紹介してくださった。
そして、M先生と出会ったきっかけはプルデンシャル生命のSさんにアライアンスパートナーになれる税理士の紹介をお願いしたことだった。
つまり私がMGと出会ったのは決してMGを目的として行動したからではなく(そもそもMGを知らなかった)、税理士を探すという全く別の目的による行動がきっかけだった。
そのようにして出会ったMGとこんなに長く深く関わることになろうとは、夢にも思わなかった。
人との出会いが人生を変える。
まさにその通り。
改めて思うのは、自分の歴史を振り返ってみると、大きな影響を受ける出会いも、そうでない出会いも、その時は例外なく「今」であり、その出会いが自分の人生にとってどういうものであるかはその時はわからないという事だ。
そういう意味では、「今」と「あの時」とでは風景が違って見えるのだろう。
栗本薫の小説「グインサーガ」には、運命の神ヤーンという存在が描かれている。
確かに人生を考える時、ヤーンの存在を思わざるを得ない。そのくらい、出会いはコントロールできない。
振り返ってみると、その時はそれほど大きな事だと思わずに行動した事が、とてつもなく大きな出会いにつながって、その出会いがその後の自分の人生を大きく変えることになったりする。
実に不思議だ。
そしてひとつの出会いは別の出会いへと繋がっている。
今こうしている時も、新たな出会いのきっかけが目の前を通り過ぎようとしているのかもしれない。
だとしたら、どうすればいいか?
まず出会いを増やす事は簡単ではない。
時間は限られているから。
ただし出会いの質を上げる事はできるかもしれない。
同じグループとばかり交わらずに、新しい場に冒険しにゆく。
全く見ず知らずの場に飛び込むのもアリだが、紹介やリンクを辿るのがいいと思う。
私とMGとの出会いを振り返ってみると、ヤーンが何を好むのかが分かる。
ヤーンはとにかく動いている人間が好きなのだ。
その時の自分が、なんとかして現状を変えようとして、動いた結果、直接その時に目的としていた事ではなく、全く別の、ただし物凄い価値のあるご縁に繋げてくれる。
動かなかったら、ご縁は生まれない。
例えばMGに行く時、近くのMGばかりでなく、少しエリアを離れたところに行くのがいいと思う。
遠すぎるのもコストがかかる。
近すぎず、遠すぎず。
距離的にも、人的にも。
何も考えずにMGばかりやるのも違うと思う。
MG以外の場にも足を運んだり、ちゃんとひとつひとつを大事に決める。
ヤーンはなぜか、そういう時に良い出会いをくれる。
米津先生のMGに行った時も、かなり悩んで決めた。
M先生から紹介されたのは秋だったが、実際に参加したのは翌年の6月だった。
その間にお客様の倒産というきっかけがあった。
何もかも、意図ではなく、偶然であった。
お金もなかったので、必死だった。簡単には決められなかった。
それがまた良かった。
その時の悩みや苦しみが、きっと大切なご縁につながる。ヤーンとはそういうものだと思う。
初MGの舞台が幕を閉じる時
この写真は約7年前のみらいMG100回記念開催の風景です。
私が2009年に初めてMGを受講させて頂いた、税理士の米津晋次さん主催のみらいMG一日研修が2023年二月の開催を最後に幕を閉じることとなりました。
今でこそ、名古屋近郊ではたくさんのインストラクターがMGを主催しておられますが、14年前は名古屋どころか中部地方全域を見渡してもMGが学べる場は(愛環MGを除けば)ほとんどありませんでした。
そういう時代に毎月コンスタントに開催を続けてこられたことに今更ながら、感謝と尊敬を禁じえません。
MGはその性質上、受講者の方が集まって頂けなければ開催することができませんし、一卓の人数が5~6人という制限もあるため、参加人数によってはゲームバランスが崩れてしまうというところが悩みのタネです。自社の人員で調整できるような人数のいる組織であればいいのですが、米津さんはそうした人員も抱えておられない中で16年もの間、ほぼ毎月開催を続けてこられました。
もちろん私も同じように集客の苦労を味わっているのですが、このようにがんばってこられた米津さんの存在があったからこそ、諦めずに色々な方にMGをお勧めしてこられましたし、その結果としてたくさんの方と知り合うことが出来ました。
MGでは、成績より期数、期数より交流と言いますが、本当に人と人とのご縁のありがたさ、大切さを感じます。
物事には必ず始まりと終わりとがあり、人はいつか必ず死ぬ時がやってきます。そしてお金はあの世には持っていけませんが、ご縁のあった方とのつながりは、生きている人の記憶に残り続けます。
米津さんへの感謝を胸に、これからもMGを続けてゆきたいと思います。
古河MG3期、残り1行の入札
この入札のお陰でタバコ屋にも関わらずPQ757でA卓に入ってしまい、4期は散々な目に遭いましたが、それはまた別のお話。。。
インストラクターがやってはいけないこと
あるMGに参加した時の話。
他にも、インストラクターがプレイヤーに対して、ああしなさいこうしなさいと口先介入する場面を見聞きしたことがありますが、ゲームの中での意思決定はそれが不利なことであったとしても、インストラクターや経験者は「教えない」に徹するべきだと思います。
例えばテニスの試合においても、観客席にいる関係者が選手にサインを出したりすることは禁じられています。ソニーの理念である自由闊達とは意味が違うかもしれませんが、勝ち負けを競うゲームの場において、他人が一部のプレイヤーに教える行為は自由と公平さを阻害することによってそのゲームの価値を無にしてしまいかねないことだと思います。
記帳できていないのに自分の順番が回ってきたら、どうすればいいか?
ある時、決算にとても手こずっている人がいました。
決算は正解のある作業なので、できない人には必ず理由があり、処方箋を出すことが可能なはずです。
ところがその人は、字も丁寧だし、内容も理解できているし、ゲーム運びもやりたいことが明確で思考能力に優れた方でした。
他の参加者が帰った後で「どうされましたか?」と聞いてみると、ゲーム中に周りの人に気を使いすぎて自分の記帳を疎かにしたまま次の意思決定を行ってしまっていたため、記帳漏れが大量に発生して収拾が付かなくなってしまったとのこと。
実は私も最初の頃に同じことで悩んだことがありました。
ゲームが好きで得意だったこともあり、ベテランの方が参加したMGで初めてA卓でご一緒する機会がありました。それまでは近い期数の方とやることが多かったのですが、この時は既に何百期もやっているような方と同じ卓になり、それまで経験したことの無いスピードで意思決定が回る状況になりました。
自分が急いで記帳しても書き終わらないうちに順番が回ってきてしまうのです。
流れを止めてはいけないと思い、記帳ができてないのに次の意思決定をやってしまって完全にパニックに陥り、その影響もあってゲームもうまく行かず、下の卓へ落ちて行った記憶があります。
とても嫌な思い出でした。
なぜあんなことになってしまったのだろう?
自分は人よりも劣っているのだろうか?
どうすればもっと早く記帳することができるのだろう?
そんなことを考えていた記憶があります。
ところがその後、インストをするようになり、初心者の方にもっと続けてもらうためにどうしたらいいかと考えるようになりました。
記帳をきちんと行わなければ決算ができなくなるのは当り前のことです。
ところが、上の卓へ行くとスピードが早すぎてパニックになってしまう。
初心者はジレンマに陥ってしまいます。
例えば車を運転していて、後ろから煽ってくる車がいたとします。
自分がそれで慌ててしまい、結果、事故を起こしてしまったとしたら誰の責任になるか?
最近でこそ煽り運転が問題視されつつありますが、たとえ煽られたとしても事故を起こした運転者の過失は免れません。
人として周囲の感情に気を使うことは大切なことだと思いますが、安全運転をすることの大切さと比較すると明らかに優先度は低いはずです。
この優先順位という概念が曖昧なままだと、上記のようなジレンマに陥りやすいのです。
ゴルゴMGのグランドルールには次の一文があります。
・記帳はしっかり落ち着いて。意思決定は素早く。
私もゲームに参加する時に、材料をあちこちから買った時など、記帳に手間取ることはありますが「あなたの番ですよ」と言われても「ちょっと待ってください」と言うことに何のためらいもありません。
ただし、初心者にゆっくりやってもいいですよ、と言ってしまうと意思決定まで迷ってしまうようになります。
意思決定が遅いというのは技術的な問題ではなく、思考の怠慢です。
自分の番が来る前に何をやるかを考えておくことは、戦略思考において最も大切な事ですので、初心者であっても努力して頂くことがそもそもの研修の目的を達するために必要な事なのです。
これらのことを踏まえた上で初心者に意識して頂きたい内容を端的に表すと先ほどのグランドルールの一文になるのです。
ジレンマが起きた時には優先順位について考えてみてはいかがでしょうか?
MGの決算と真善美
「先生とても無理っす。全然わかりません」
初心者ばかりの出張MGの2日目。
それまで彼の周りには先に決算を終えた数人の仲間たちが見守っていた。
どうしても差額が見つけられないらしい。
彼にはさっきもワルツを教えたばかり。
転記と合計の意味をごっちゃにしている。
ひとつしか値の無い行を合計すると、まるで値を合計欄に転記したように見える。それを何度か繰り返している内に、合計を転記と錯覚してしまう。MX会計表のUターンの後でよく生じる勘違いだ。
MGの決算は一見、アタマの問題に見えるが実はココロの問題で多くの人がつまづく。
私もそうだった。
人間には3つの側面がある。
真=論理=頭の良さ
善=倫理=心の善さ
美=感性(暗黙知の世界)
心の善さとは素直さ、謙虚さ、凡事徹底。
これらの反対が横着さ、他責思考、なげやり。
人間は失敗を反省しPDCAを回して成長するが、それを阻害するのが心の問題だ。
どうせ自分は努力しても無駄だと思ってしまった人間はそこで止まってしまう。まるでエンジンが止まった車だ。失敗を恐れて挑戦することをやめてしまう。
考案者の西順一郎先生がマトリックス会計表を作る時に、心の問題の矯正を意図したという話は一度も聞いたことが無いので、これは「天界の仕業」であろうか?
素直さが大事だと人からいくら教わったところで、本当の意味を理解することは難しい。
彼のように土壇場まで追い詰められる体験がなければ、人はなかなか悟ることはできないものだ。
MGの決算ではその貴重な体験が積める。横着さが必ずしっぺ返しされる見事なシステムなのだ。
自分の会社は製造業じゃないからMG(の知識)は役に立たないなどという方がたまにみえるが、MGで重要なのは知識(データ)よりむしろ考え方(プログラム)の方だ。
同じデータを入れたとしても、処理するプログラムが違えば結果は変わってしまう。
今の世の中、知識やデータは本やYouTubeやそこらのセミナーでいくらでも手に入るが、考え方(プログラム)はそう簡単には書き換えられない。
データで人生が変わることはない。MGで人生が変わる人が続出するのはプログラムが変わるからに他ならない。
単なるノウハウが目的ではなく、思想がそこに宿っているからこそ、MGを何百期もやる人がいるのだ。
「まずやる、後でなおす」という考え方の大切さを、彼はきっと忘れないだろう。
ちなみに彼の感想文には、悔しいからまたやりたいと書かれていた。
初MGの時の私が帰りの電車で思ったことと同じではないか!笑
初めての最優秀経営者賞-10年前の愛環MG-
初めて2日間MGで優勝したのは地元の聖地、上前津での愛環MGでした。
嬉しそうな顔してますね!(笑)
ワンデイMGでは表彰状を頂いたことがそれまでにもあったのですが、本格的なシニアルールのMGで優勝したのはこの時が初めてでした。
ゲームとはいえ、手加減抜きの競合が凌ぎを削る中で、自分が考え抜いた戦略を実行し、その結果がこのように表彰されるのは本当に嬉しかったです。
副賞も景品も何もない、たった1枚の表彰状でしたが、91期のこの日までここを目指して取り組んできたかけがえのない一里塚でした。
あれから10年、表彰状も随分とたくさん頂きましたが、額に入れて飾ってあるのはこの時のものだけです。
何のためにMGをやっているか。
西研京都MGに参加してきました。
今回もたくさんの気づき、学び、腹落ちがありました。
「人の真似はしない。人のやらないことをやる」これがソニーの信条だったそうです。
私は最初MGを青チップだけの競争、安売り競争のチキンゲームだと勘違いしていました。
ところがある方に赤チップ戦略を見せつけられて、何とも言えないカルチャーショックを受け、自分の浅はかさを知るに至りました。
それまでの私は競争という言葉が嫌いでした。例えば受験。同じ問題で人より高得点を取った人が合格する競争というのはなんだか疲れて仕方ありません。他人を蹴落として自分が上を目指すという行為にはモチベーションが上がらないのです。
でも、そこにまったく違う軸を持ってきて人とは違う戦略で鮮やかに結果を出すことができるゲーム、それがMGだったのです。
ソニーの思想・信条が見事に体現されていると言わざるを得ません。
人と同じことで過当競争を仕掛けるのではなく、斬新な新発想を生み出す競争は胸がスッとします。
MGの勝ち方にも色々ありますね。
・人を凹ませて勝つ
・和気あいあいと予定調和の中で運に恵まれて勝つ
・人に気づきを与えるイノベーションを起こして勝つ
MGに向かう道中、自宅から京都までの新幹線の中で、自分は何のためにMGをやっているのか? MGが好きだが、MGをやることは手段であって目的ではないと考えていました。
もちろん、お金儲けが目的でもありません。
そんな思いから今回の会社名は「Review」。
ゲームの方は自己資本340でしたが、5期にリスクの嵐で次繰りチップを買うことができず、表彰対象外でした。
そして、ゲームが終わって感想文を書いている帰り際に西先生が少しだけ講義をしてくれたのですが、そこで話して頂いた言葉が胸に刺さりました。
「ソニーは人を生かす」(小林茂)
人を生かすとはどういうことだろうか?
私なりに考えたのは、冒頭に書いた赤チップ戦略のような新しい軸を呈示することでした。
同軸上の競争しか知らなかった人が新しい軸を知れば視野が拡がり世界観すら変わる。
同軸上の競争には疲れても、新しい軸を探す競争ならワクワクする。
そんな風に人を生き生きとさせ、新しい知への好奇心を沸き立たせてくれるMGはまさに人を生かすツールであり、人を成長させてくれる研修ではないか。
そう。人を生かすことこそが私がMGをやる目的だ!
最後に西先生の言葉を引用させて頂きます。
MGは、○○屋という「 I 型人間」を廃し、ジェネラリスト的トータルマン、すなわち「V型人間」を作ろうとする。それが各個人の主体性の確立・涵養につながり、「企業の業績アップと個人の幸福の同時実現」を可能にするのだ。
人は成長することで幸福になれる生き物なんですね。
MGで会計を学ぶと10倍速い理由
会計は経営の算数。
根幹となる必須科目です。
こんなに大事な知識なのに義務教育になっていないことが不思議なのですが、おそらくその理由は「難解」だと思われているからなのでしょうね。
ゴルゴは大学で商学部を出ているにもかかわらず、必修科目でなかったという理由だけで簿記を学んできませんでした。
会計に触れたのはMGが最初だったのです。
その後、西先生の勧めもあって簿記3級の勉強をするのですが、他の受講生が苦労しながら色々な事を暗記しようとしているのを不思議に思って眺めることになるのでした・・・。
簿記で最初に習うのは仕訳です。
借方・現金 / 貸方・売上 みたいな奴。
BSとかPLみたいな決算の全体像が見えてくるのははるか彼方。
MGでは仕訳なんかありません。
マトリクス会計表の指定された場所に数字を書くだけです。
あとはワルツを回すだけで全体像へたどり着けます。もちろん初日から。
簿記ではバラバラのパズルのピースを渡される。
MGでは最初から絵の全体像が見えている。いきなりわかってしまう。
何でもそうですが、全体像が分かっていると圧倒的に理解が早いです。
簿記とMGだと10倍くらい違うのではないかと思います。
ビジネススクールとマネジメントゲームの違い
ある受講者の方から、お聞きしました。
ビジネススクールとマネジメントゲームは一体何が違うのか?
どちらも経営を学ぶことが目的なのですが、両者は全く違うということでした。
私自身もあるビジネススクールで10科目近く学ばせて頂いたことがあり、大変興味深く聞かせて頂きました。
ビジネススクールの学習のやり方はケーススタディと呼ばれます。
ケースという実際に企業で起こった出来事を書いた書物を読み、自分がその当事者であったとしたらどういう決断をするか?ということを想定して分析をし、仮説を立て、討論をします。
ひとりで本を読んでいるよりはずっと身になりますし、たくさんの考え方(フレームワークといいます)を知ることができます。
ただし、ケーススタディは予習がとても大変で、私の場合は10時間とか20時間掛かることもザラでした。
分厚いケースを読んで理解するだけでも相当な時間を要しますし、更に深く経営判断を考察するのはどれだけ時間があっても足りなかった記憶があります。
MBAを取得する人のように元々勉強が好きで書物を読むのが苦にならない方であれば良いのですが、正直私には本当にハードな体験でした。
一方、MGは2日間という時間を作らなければなりませんが、予習も復習も要りません。
会場に来さえすれば、そこに経験者や初心者がいて、一緒に汗をかいているうちになんとかなってしまいます。
コスト面はどっちもどっちかもしれませんが、ケースの予習をこなすのは相当な努力と意志の力が必要でした。
問題は成果についてです。
その方が言っておられたのは、マネジメントゲームの良い所は「結果が実際に見えること」だそうです。
ビジネススクールでも、こうすれば良いのではないか?という仮説を得ることはできるのですが、実際にその結果を見ることはできません。
でも、MGでは、自分が立てた仮説を実際にゲームで実行してみて、決算をして、その結果を確かめることができます。
ゲームは複数のプレイヤーが互いにより多くの利益を上げようと競争する仕組みになっているため、実際のマーケットと同じように正解の無い自由競争の中で行われます。
そのため、こうすれば勝てるという単純なやり方は通用しませんが、MGで成果を出せたことは確かな自信になって自分に返ってくると言っておられました。
ビジネススクールとマネジメントゲーム、どちらが優れているというわけではありませんが、経営を学ぶという同じ目的で行われる学習にはそれぞれに特長があると思います。
小学生にもわかる会計のお話
会計とは? お金を盗んでいない事の証明である。
学校の生徒会の前期の残りのお金が10万円あった。
会計係がそのお金を預かり、生徒たちから90万円の生徒会費を集めた。
そしてその年の文化祭で80万円を使った。
現在、生徒会の財布の中には19万円入っている。
会計係がお金を盗んだかどうかはどうすればわかるだろうか?
答え:現在の残高と理論上の残高を照合すれば良い
会社も生徒会も、お金は出たり入ったりする。
時にはそれが膨大な回数に及ぶ事もある。
最終的に残ったお金が正しいかどうか?盗まれてないか?それを確認出来なければ困る。
そういう事のために会計という学問が生まれた。
会計の本質はまるで物理学のようにシンプルだ。
会計恒等式
前繰+当期in=当期out+次繰
各要素にどんな値を代入しても成り立つ等式のことを恒等式という。
先ほどの例で言えば、
前繰は10万円
当期inは90万円
当期outは80万円
次繰=10+90-80=20万円
これが理論上の次繰残高だ。
これと実際の財布の中の現金とを比べてみれば良い。
19万円しか現金が無ければ、会計係が1万円盗んだと思われても仕方が無い。
会計とは、今残っているお金が報告されているお金の出入りと矛盾していないかどうかを確認するための手段である。
1200期達成おめでとうございます!
2021年12月のゴルゴMGにて、大定さんが1200期を達成されました。
おめでとうございます。
色紙に描いてあるMG盤のイラストは私の長女が描いてくれました。上手いでしょ(笑)
大定さんが初めてゴルゴMGに来て頂いたのは2013年11月でした。
これがその時の写真です。
それから数々の名勝負を繰り広げられてきました。
2018年に岐阜で開催されたCFMGでは私もプレイヤーとして大定さんとガチンコ勝負させて頂きました。
この時は運よく私が最優秀経営者賞を頂くことができましたが、何度コテンパンにやられたことか・・・。
1200期ということは、2日間コースで見積もると240回も参加されているということになります。
(ちなみに私は現在500期。これでも随分変態ですねー笑)
今週もまたどこかのMG会場で暴れていらっしゃることと存じますが、これからも末永くMGを愛して頂けたら幸いです。
マトリクス会計表の間違いの見つけ方には2つのモードがある
ちなみにこのコラムを書いたきっかけは、うちの鈴木さんがペンのキャップを亡くし、一度は探したはずの鞄の中からそれが見つかったことでした(笑)探す時は確実に探さなければ永遠に探し続けることになると感じたもので・・・。
CFMG開催報告2021.11
あいち健康プラザにて、ゴルゴCFMGを開催いたしました。
地元愛知の方はもちろん、東京や浜松、大阪、広島、福岡などから多士済々の皆様にご参加頂きました。
300期を達成された一場さん。
優勝は淺倉さん。今回は親子でのご参加でしたが、息子さんとの競り合いは見ごたえがありました。
古河MG4期の経営計画発表会
今回の古河MGでの新しい試みとして経営計画発表会が行われました。
これは、以前からあったビジネスパワー分析を変化させたもので、4期の後ではなく始まる前に計画を発表するというもの。言ってみれば手の内を明かすようなものなのだが、ベテランがたくさん集まっているMGでは特に面白いと思う。こんなこと考えてます・・・というネタを小グループの中でシェアすることで大いに気づきが生まれる。
私が今回発表したネタは借金戦略。青チップを買わない戦法だったので、本業の儲けだけではどうしても不利になる。その代わりにFを安く抑えて余ったキャッシュを高利で借りてくれる相手を見つけて貸し出すというもの。4期は170円を25%で借りてもらい、期首金利43円を得た。ここまでは誰でもやるレベル。私の工夫は期末の現金残高の調整である。
5期の期首でできるだけ総資本を大きくして、たくさんお金を貸したいと考えた。そのためには本業で利益を出すとともにできるだけ長期借入をたくさんしたい。4期期首で自己資本は333。4期計画のGは100。納税を考えると5期期首の自己資本は383。期末に33円返済するので来期首に借りられる長期借入は83円となる。計画どおりにGが出なければ借入可能額はもっと減ってしまう。そこで目を付けたのが第2ルールである。期首にコンピューターと倉庫を買って現金残高マイナスになれば長期借入が100円できる。これは本来弱者救済のルールなのだが、自己資本が300を超えていたらダメということはルール表には書かれていない。それなら期末の現金残高を調整すれば確実に借金を増やせる。
ところが来期の期首の残高をマイナスにするように残高を調整するのは結構大変だ。実はこのやり方は以前にキャッシュフローMGの時に思いついていた。CFMGでは売掛金の回収や材料代の期末支払いがあるので、安全操業しようとして現金残高を増やしてしまうと第2ルールで借りられないということがしょっちゅう起こっていた。その経験の後で公式を作ればいいということに気付いていた。CFMGでは資金繰り計画書というものを作るので現金残高をよりシビアに管理する癖が付いていたのもある。
今回は通常MGなので、CFMGほど複雑ではないが、以下のような数式を考えた。
期末経費+期末返済額+翌期首経費(緑+橙+倉庫+期首金利)-貸付戻+G×0.6>期末現金
G×0.6は期首に支払う税金と配当の合計。G=100円なら納税50円、配当10円となる。
なおかつ、期末で資金ショートしても困るので、
期末現金>期末経費+期末返済額
結論としては期末現金が200円~124円の間に収まれば翌期に第2ルールが使えることが分かった。
あとはゲーム終盤にやりくりしてこの金額に着地するのみである。ところが、実際にはそう簡単には行かなかった。次繰を完成させた後、現金が108円しか残っておらず、これでは給料が払えず短借りになってしまう。そのままでは困るので、6個25円で売り150円キャッシュを増やした。そうすると現金残高は258円となり、今度はオーバーしてしまう。ところが無情にもここでゲーム終了。計画は未達に終わってしまった。・・・と思っていたら、後ろの方で材料買ってくださいの声。迷わず16円と叫んで7個材料を買い、最終的な現金残高は146円とすることができた。
このような意思決定を瞬時に行うためには、やはり事前のシミュレーションと数値の把握が欠かせないと思う。おかげで26個もの在庫を持って5期に入ることができた上に、翌期には第2ルールで100円の長借をして、資金ショートもせずに済んだ。
実際には4期のGは85円だったため、5期の期首は、営業外費用30円、配当9円、納税43円となり、コンピューターと保険、倉庫を買うと100円借りても現金残高は14円からのスタートとなってしまい、貸し増しはできなかった。
8年ぶりの古河MG
8年ぶりに古河MGに参加してきました。運よく表彰状を頂くことができたのですが、実は意思決定の失敗も多々ありました。
2期に特別サービスを引いて広告2枚を選択し、その後広告成功を引いたのですが、仙台市場と札幌市場が1個ずつしか空きがなくて福岡市場は4個以上空きがあり、4個の独占販売をどう売るかの局面がありました。手持ちの現金は103円。在庫は幸い6個あったので、商品仕入れはしなくて済みました。
この時点で残り5行の状況で、しかも私が一番行が進んでいる状況。結論としては私は仙台に1個、札幌に1個、福岡に2個売って3行同時に使うという意思決定をしました。その後、2枚目の教育を買い、残り1行の状況で一回Do nothingをして、次のターンでクレームのリスクを引いて2期終了。
この最後の5行の使い方について再考察してみたいと思います。他の選択肢は何があったか?
・4個32円で売る→2行得するがMQは12円減る→2行を12円で買うのと同じ
・余裕があれば材料も買いたかった
もしもう一度この時にタイムスリップして意思決定をやり直すとしたら、3行売りはしないと思います。特別サービス→広告成功という僥倖に冷静な判断力を欠いていました。
そして2期の経営計画と資金繰り計画を立てておくべきでした。
目標は3期の期首で大型化し、7個売りの体制を作ることとします。
そのために3期の期首の資金繰りをイメージします。
コンピューターと保険で-25円、小型機械の売却で56円、よって期首に用意するべきキャッシュは169円です。
残り5行の時点で9個249円売っていました。平均P27.7。2期のFは25+88+10+40=163。平均Vは14円なのでこの時点ではまだ40円ほど赤字です。あと3個売れれば損益分岐点。あと4個売れれば自己資本300近くになりそうです。2期の期末に自己資本300であれば、3期借り入れは0.5倍なので150円、金利が15円なので差引135円となります。
これだと169円にあと34円足りないので、2期の給料を払った後で34円以上残して終わる必要があります。2人体制なので給料は88円。88+34=122円を残して終わる必要があります。
3期に7個売り体制を作りたいので広告チップはあと1枚買いたいです。20円必要。
よって、6個の在庫のうち何個かを売って現金残高を142円まで増やしておく必要があります。既に103円持っているのでこの目標は問題ないことがわかります。
ここまで現状把握ができていれば、優先順位がはっきりします。第一優先は最低でも4個売ることです。赤字で自己資本を減らせば、3期期首で大型化は難しくなります。キャッシュが用意できたとしても、在庫が無ければその後の経営が立ち行きません。そして第二優先は3期期首で7個売り体制を作ることです。来期にセールスマンを採用するという手もありますが、できればあと1枚広告を買えれば3期のFが30円ほど安くなります。もちろん教育チップも次繰りしたいです。
残り5行でやりたいこと。
・4個販売(在庫6個で販売力7なので一回で可能)
・教育チップの次繰り
・広告チップの次繰り
リスクカードを引くことも考えれば、この時点で広告成功を引いて3行売りはありえません。福岡で4個売れるのであれば1行で売るのがもっとも安全です。
結果論ですが、1行で売っていれば、次のターンで教育を買い、その次で広告を買って、クレームを引いて、さらにあと一回意思決定ができたことになります。
私が3行売りをしてしまった原因は、冷静さが足りなかったこと以外に、高く売って自己資本を上げることとチップを買うことの優先順位が曖昧だったことが上げられます。平均P28円で損益分岐点が12個と事前に把握していたら、間違った意思決定をすることはなかったと思います。(なお、Do nothingをした理由は3行売りをしてしまったからです。つまり実際には4行売りをしたのと同じだけ意思決定の機会を損したのと同じです)
わからない人同士での教え合い
MGの冒頭でお話することが多いのですが、教え合いー教えないー紙は自分で、という話があります。MGの特長として、理入<行入などと共に教え合いという文化が存在します。
MGは期数をこなしているベテランと期数の浅い初心者とが互いに教え合いながら学んでいくのが理想です。ベテランばかりだとお互いに手の内が分かってしまい、合理性追求の結果、予定調和なゲーム展開になってしまったりします。逆に初心者ばかりだとやってみせる人がいないせいで、どうすればうまくいくのかといったことを考えるヒントが足りず、成長に時間を要する結果となります。
初心者がベテランから学ぶのは想像しやすいと思いますが、実はベテランは初心者から学んでいます。初心者はセオリーを知りませんから、合理性の観点から言えば不合理な手を打ってしまったりするものです。例えばとんでもない安値で入札をして、ベテランがそれに足をすくわれたりします。卓全員が赤字に転落したりします。力のあるベテランはそういった場でも、うまく初心者をかわして、市場をコントロールすることができます。こうしたことは初心者が混ざっているから学べるのであって、ベテランばかりのゲームでは経験できない要素です。
また、教え合いは初心者と初心者の間でも可能です。分かっている人が分からない人に教えるのは当り前ですが、実際にやってみるとわからない人同士で教え合うことも案外できるものなのです。たとえばルールを初めて理解しようとしている時や、決算のやり方や手順を学ぶ時に、初心者同士がお互いのわからない部分を補完し合うことで、結果的に理解が深まったりするということはよくあります。確かに、最初から答えを知っているベテランやインストラクターが常にそばにいて、何を聞いても即答してくれる環境があれば初心者は楽でしょう。でも、それだと肝心の教え合いの文化は学べません。
受験や学校教育では常に正解を求められますが、ビジネスの現場や世の中には正解のある問題よりも正解の無い問題の方が多いものです。たとえばどうしたら製品が売れるか?とかどうしたら幸せな働き方ができるか?とか、キャリア選択をどうすればいいか?等々。正解を教えてもらうことしか考えられない受験エリートはこうした問題を解くことはできません。
そうした中、わからない人同士での教え合いという体験が正解のない問題を考える時のヒントになるのではないかと私は考えています。それは知っているか知らないかで区別できるような単純な知識とは異なる知的財産です。それはロジックというよりはプロセスであり、演繹よりも帰納的なものです。
正解の無い問題に直面した時に、それをひとりで抱え込んでしまう社員ばかりの会社と、とりあえずどうなるかわからないけれどもその問題をシェアして一緒に考えてみようとする社員のいる会社とどちらが早くイノベーションを起こすことができるでしょうか。それは社員一人一人のスキルというよりも、行動様式に掛かっていると思います。一人一人異なる人生経験を持っていて、お互いがそれらを補完し合いながら正解の無い問題に立ち向かう方が、独りで考える人よりもより良い結果を導くことができるのではないかと思います。
MG研修では、ぜひわからない人同士でお互いの不明点を話し合ってみるということを試して頂きたいです。インストラクターは、自分が答えを知っていてもすぐにそれを教えるばかりでなく、他の参加者も巻き込んで「あなただったらどう考える?」という問いを通して「わからない人同士での教え合い」を促進してみると文化の醸成につながると思います。
・わからないことがあったら、わかる人に聞く
という文化と
・わからないことがあったら、仲間と相談する
という文化とはまったく異なります。
前者は上下関係であり、後者はヨコの繋がりです。
学級では先生はひとりですが、クラスメイトは30人います。
今の時代、正解のある問題の答えはGoogle先生で調べれば済みます。
今、世の中で必要とされているのは、正解の無い問題ばかりです。
それに立ち向かうために必要なのは、対話力だと思います。
環境は意思よりも強し!
2年前からBNIという会に入ったのですが、そこで学んだことがあります。
「環境は意思よりも強し」という言葉です。
人間って、思ったように行動できない生き物ですね。
象と象使いの話というのを聞いたことがあります。
象というのは無意識であり感情です。象使いというのは意思(意識)つまり思っていること。
象と象使いとでは、力は明らかに象の方が強い。
象使いが象に目的地まで歩かせたいと思っても、象は勝手に草を食べ始めてしまったりする。
人間の感情や無意識もこれと同じです。
頭では勉強しなければ、とか、ダイエットしなければ、と思っていても、結局土日二日間YouTubeを見て過ごしてしまったり、お菓子を食べすぎてしまったりするわけです。
では、どうすれば象使いよりも力の強い象にいう事を聞かせられるのか?
これは結局環境を変えるしかないです。無意識がお菓子を食べたくても、目の前にお菓子が無ければ食べられません。お菓子を買わなければいいんです。なぜなら象は面倒くさがりだからわざわざお菓子を買いに行こうとはしないからです。私はこれと同じやり方で昔禁煙に成功しました。
勉強も同じですね。ひとりで本を読もうと思っていても、なかなか実行できませんよね。
マネジメントゲームは究極の環境です。
あの場に来てしまったら、どんな怠け者でもやるしかなくなります。
思ったように行動できていないという怠け者のあなた! ぜひ一度MG会場へ足を運んでみてください。
新しい用紙で決算をやり直してはいけない理由
決算がうまくいかない時に、新しい紙でやり直したいという参加者の方がたまにいます。
そのような場合に「いいですよー、好きなだけ紙使ってくださいね!」という優しいインストラクターもいるかもしれません。
愛知県に緊急事態宣言が発令されましたが・・・。
本日、愛知県に緊急事態宣言が発令されました。
ゴルゴMGは、従来通り感染対策を徹底しながら開催の予定です。
政治の動向と実際の感染リスクとの間にはあまり関係がないと考えています。
どんな宣言が出ようと、GOTOトラベルやGOTOイートが出ようと、感染リスクがあることに変わりはありません。
宣言があろうとなかろうと、全力で感染を防ぎつつ、Do nothingしないというのがこの問題についてこの一年間真剣に悩みぬいて考え抜いた末の当方の結論です。
経営のリスクはコロナだけではありません。助成金が無限に配れるわけでもありません。人生がコロナの期間分だけ延長してもらえるわけでもありません。
自助努力で経営を続け、向上を目指されるビジネスパーソンのためにMGセミナーを開催し続けます。
高学歴の人でもMGの決算に手こずるのはなぜか?
愛知県の某企業で社内出張MG研修を行わせていただきました。
今回は新卒内定者が12人! その全員が初MGということで、インストラクターとしてもワクワクドキドキしながら当日を迎えました。
4大卒の方と高卒の方が半々で、高卒の方の中には商業高校で簿記を学んでいた方もいましたので、どんなMGになるのか楽しみでした。
終わってみての感想としては、MGに学歴はあまり関係ないと思いました。
特に決算ではそうでした。
もちろん、ある程度の基礎学力は必要なのですが、そうはいっても小学生レベルで十分なのですから、高卒でも大卒でも院卒でも大した差はありません。
ただし、おそらく要領の良さみたいなものが大きく影響する気がします。
MGの決算では、ミスをするとそれを修正しないといけないわけですが、初めてやる人の場合、ミスが出るのは仕方ありません。それよりも、ミスが出た時の修正の仕方で大きく差が付くのです。
例えば資金繰り表の現金残高の計算を途中で間違えた場合に、どう修正するか?
1.間違えた所から全部消して全て書き直す。
2.間違えた所を消さずに隣の余白に書き直す。
3.間違えた所に差額をメモして、最後の残の数字から足し引きする。
経験者の方はご存知だと思いますが、3が一番早いです。
ところが、初心者の方はそういうテクニックを知らないので1をやる人が多いです。これは確かに3の何倍もの時間が掛かります。そしてその分体力を消耗する。
今回苦労された方は2でした。
間違いを消さずに見える形で修正するというのは、それはそれで一種の合理性を持ったやり方です。
ただし、今回の場合は2を二回も三回も繰り返してしまい、紙の上の情報量が増えすぎてしまいました。こうなってしまうと、他人に見てもらう時にどこがどうなっているのかがわかりにくくなってしまいます。物事を複雑にしてしまうと後が大変です。
2に比べればまだしも単純な1をやる方が情報が増えすぎない分だけマシなのです。
決算でハマるか、すんなり終わるかは、実はこんな1~3の単純な分かれ道を選び間違うことで決まってしまうのです。
学校に「要領」という科目はありません。「世知」と言ったりもします。いずれにしても暗黙知の一種です。
要領のいい人は、こういう大事な判断を間違わないものなのです。要領は、実社会で必要になることが多いため、アルバイトをたくさんしてきた方の方が身に着けておられるような気がします。アルバイトでなくてもボランティアとか外で遊ぶ(ボーイスカウト?)とかでもいいと思います。頭を使って目的を遂行する経験がモノを言います。
ちなみに、MGを始めた頃の私は思いっきり要領の悪いタイプでした(笑)
いわゆる不器用という奴です。
高校の数学の教師から、お前は思い込みが強すぎる!と指摘されたのを今でも覚えています。
今回の方も昔の私と同じように、一生懸命がむしゃらに頑張る方でした。そういう方が「要領」を身に付ければもっともっと成果が出せると思います。イモ洗いで人が磨かれるというのは、こういう事なのかもしれません。
緊急事態宣言下ですがゴルゴMG開催しました
1/20~21に10名の参加者でゴルゴMGを開催させていただきました。
・マスク着用
・1ゲームごとに手洗い、消毒
・換気の実施
・夜8時までに終了し、懇親会は開催しない
以上の対策を講じた上で予定通り研修を行わせて頂きました。
もちろん、参加者の皆様も十分にご理解を頂いており、ご協力頂けました。
最優秀経営者賞は経験期数85期の鈴木さんでした。
強豪企業が集まるA卓の中で、あえて少ない青チップでの戦略を実行されました。
MGでは特にですが、比較優位な戦略は誰でも真似することが可能ですので、一見不利な戦略に見えても真似されにくいやり方の方が有利になるということがあります。
こうした逆転の発想ができるというのもMGの面白いところですね。
決算はドライバーではなく、パターを打つようにやる
昨日、今日と初心者の方7名が参加されたゴルゴMGが終わりました。
その中で、ゲームもとても強く、決算もとてもスピーディーに書いていっている参加者の方がおられました。講義の時にもネタの部分にはノリ良く反応してくださっていて、こういう方がいるとやりやすいなあと感じておりました。
ところが、なぜかその方が2期も3期も決算で最後まで掛かったのでした。快調に進んでいるように見えるのですが、最後の方で致命的なミスが見つかり、大幅に時間ロス・・・。
どうしてなんだろう? そう思ってその方の決算作業を観察してみました。
すると、あることがわかりました。その方は、電卓を叩くのもスピーディー。数字を書くのもスピーディー。とにかくリズムが早いのです。きっと頭の回転が速い方なんでしょう。スタタタタッと進んでいってしまうのです。そして気が付くと記入漏れやミスをしていて、ご本人自身「アレ?」と首をかしげておられます。
はは~ん、わかりました。
要するにその方は雑だったのです。
物事を迷わずにどんどん進めていく性質は、きっとこれまでメリットの方が多かったことと思いますが、1円違っても許されない決算の作業では致命的です。
案の定、電卓の打ち間違いや自分で書いた文字の見間違いをされていました。
「〇〇さんはゴルフはやりますか?」
「はい、やりますが」
「そうなんですね。決算の時はドライバーではなくパターを打つようにやってみてください」
ドライバーで打った球が1メートルや2メートル、着地点がズレたとしても大した問題ではありませんが、パターはたった1センチずれただけで穴に入れることはできなくなります。
決算の時はたった一文字、2が3に見えただけで結果は合わなくなってしまいます。なので、スピーディーに書くことよりも、一文字一文字、記入した数字が他の数字に見えないかどうかをチェックしながら書くことの方がずっと大事です。電卓も一打一打、正しく打てているかどうかを液晶画面で確認しながら打つべきなのです。
パターをドライバーのように強く振ってしまっていては、いつまでたってもカップインできないのと同じです。
ちなみにその方は、ゴルフの腕前は私よりずっと上級者だったのですが・・・(笑)
社長、夜ぐっすり眠れてますか?
単純な事ですが経営者の幸福度を測る上で大切なことです。
「幸福な経営者を育てること」これは私の重要なミッションです。
では、そもそも経営者の幸福とは一体何でしょうか?
お金をたくさん稼ぐこと?
お金があったら必ずしも幸福かというと、そうとは限りませんよね。
人の十倍お金があったら、10人前のご飯が食べられるか?
ギャル曽根じゃあるまいし(笑)
私は経営者の幸福度は「夜ぐっすり眠れているかどうか」で分かると思っています。
人は不安や心配事があると寝る時も考え事をしてしまい、安眠することができなくなります。
経営者には夢がありますが、一方でリスクとも背中合わせです。
将来の資金繰りや売上の心配や、社員が辞めてしまう心配など、悩みは尽きません。
経営という不安定性に足を踏みだしたその日から、雇われの身の安眠とはオサラバしなくてはなりません(雇われの身にも悩みはあるでしょうが)。
では、経営者が夜ぐっすり眠れるようになるためにはどうすればいいのでしょうか?
それはリスクを知ることです。将来、何が起きるかわからないから不安なのです。
どのくらいの確率で、どのくらいの影響度のリスクが発生するかが分かっていれば、適切な対策を講じることができます(コロナ対策もこれと同じですね)。
リスクへの対処ができていない経営者は安眠できません。
マネジメントゲームで学ぶ大きな目的のひとつがリスクへの対処です。リスクマネジメント。
また、睡眠時間を十分に取れていない経営者も多いのではないでしょうか?
人を雇ったはいいけれど、社員に仕事を任せるには仕組みが必要です。マニュアルや手順書、チェックリストにはじまり、ゆくゆくは価値観の共有までしていかなければ、結局は社長は時間に余裕を持つことができません。
睡眠時間を削ってまで、社長が働かなければならないのは、人に頼むよりも自分でやった方が早いという残念な状況にある証拠です。そこを抜け出すためには、睡眠時間を更に削ってマニュアル作りに励むしかありません。
こんな本が役に立つでしょう。
何を隠そう、この私自身も最初に人を雇った時には同じ思いをしたものです。
様々な失敗と努力を経て、ようやく経営者として時間に余裕を持てると思えた時の思い出があります。その思い出は、大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」です。録画しておいた大河ドラマを深夜に家族が寝静まった後で見ることができるようになった時、初めて私は人心地つくことができたのでした。このドラマが放映されていたのは2011年ですので、2007年に起業してから4年目になってようやく落ち着くことができたことになります。
MGの記帳で焦らないようにする方法
MGでゲームをしながら記帳している時に、周りの意思決定が早くて自分の番が回ってきてしまうと焦ったり慌てたりしやすい。
MGはたくさん行を進めた方が利益が上がる仕組みなので、早くしなければ!と思ってしまうのだ。
そんな時に、現金残高の計算を後回しにして、先にカードをめくろうとする人がいるが、それをやってしまうと知らないうちに現金残高がマイナスになってしまったりして、グチャグチャになってしまう。
だから、必ず現金残高まで書いてから自分の番をやらなくてはいけない。
周りのメンバーも、(本人が気づいてない場合もあるので)「あなたの番ですよ」と伝えるのは構わないが、本人を急かしてはいけない。記帳がグチャグチャになったら、決算の時に困るのは本人だからだ。
もちろん、ゴルフと同じでスロープレイは良くない。限られた時間内に多くの仕事をした方が儲かるということを実感して頂くのもMGの大切な学びだからである。
スピーディにゲームを進めて、全員共通の目的である利益をたくさん上げるというのが大前提なので、記帳も素早くできればそれに越したことはないのだが、初心者は慣れていないのでどうしても記帳に時間が掛かってしまう。
これが二律背反だ。あちらを立てればこちらが立たず。
このような時に人は焦ってしまう。
焦ると何もかもうまくいかなくなる。
ではどうすればいいか?
優先順位を決めることだ。
記帳の正確さ>スピード>意思決定の精度
ゴルゴMGのグランドルールには次のような一文がある。
・記帳はしっかり落ち着いて。意思決定は素早く!
初心者は、意思決定をどうするかについて考える時間がもっと欲しいかもしれない。
でもそれは許されない。それを許してしまったらゲームが成り立たなくなってしまう。
従って、ゴルゴMGのグランドルールには次のような一文もある。
・どうしていいか分からない時でも、経営者は決断しなくてはなりません。
その代わり、周りがどんなに早くても、記帳だけはきちんと落ち着いてやって構わない。
このように予め優先順位を決めておけば人は焦らないで済むものだ。
焦らなければ、段々と慣れてきて、色々な課題が解決されてゆく。それを世間では成長という。
中小企業の人材獲得戦略
常識をアップデートするスピードは人それぞれ。
例えば、MGで海外市場の16円の材料に手を出すことに躊躇する人は案外多い。東京市場の15円と1円しか違わないにも関わらずだ。
そのスキに、分かっている経験者はまんまと材料を買い占めてしまう。
開業当初の私も、メリットの大きな助成金の成功報酬を常識外れの30%(当時の助成金の報酬の相場は10~20%)で事業化し、数年間、県内の予算の9割以上を受注していたことがある。最初はどう思われるかとビクビクしながら提案したが、相手にとってはメリットの方が大きかったため、誰一人断る人はいなかった。もちろん私も潤った。
そういう点では、今、中小企業にとって最も深刻な課題である人材獲得競争についても常識のアップデートが必要だと思う。
大企業と同じ土俵で戦えないのは明らかなのだから、人材獲得においても中小企業は接近戦、ゲリラ戦で戦うしかない。要するに縁故採用。リファーラル求人なら中小企業にも勝ち目はある。
社員に対して人材紹介の奨励金を支給する会社はよくあるが、奨励金の相場はわずか数万円。これでは社員も本気になって友達や後輩に声を掛けようとは思わないのではなかろうか。
求人媒体に何十万、いや年間100万以上の投資をしている会社も少なくはないはず。
通常のMGの採用費は5円だが、私の主催しているCFMG(キャッシュフローマネジメントゲーム)の採用費は15円と3倍に設定してある。それでも背に腹は代えられず、ほとんどのプレイヤーは大枚はたいて人材を採用する。人材のコマの総数も少子化時代に合わせて減らしてあるのでむしろ取り合いだ。
中小企業にとって社員からの人材紹介は最強の最終手段なのだから、当てにならない媒体に払う予算があるならば、もっと社員への奨励金を手厚くしたり、学生と社会人の交流の場を作るなどしてリファーラル採用に本腰を入れてみてはどうかと思う。
当然のことながら、常識のアップデートには先行者利益があるはずだ。
今後のCFMGの予定
2020/2/23-24
2020/5/5-6
2020/7/11-12
決算でミスを発見する方法
自分が無意識に犯してしまったミスをどうしたら発見できるのか?
MGの決算をやっていて、差額が出てしまった時に自分で自分のミスが発見できないという人は多い。
例えば、本来は投入の所に書かなければならない数字を完成の所に書いてしまっているような場合、何度見ても同じ間違いをしてしまって自分ではそれが発見できないというのだ。
人間は必ず「自分は正しい」という思い込みをしている。
そのせいで、何度も同じ間違いをしてしまう。間違いをした自分を無意識が肯定してしまっているのだ。
この無意識の思い込みを脱するにはどうすればいいのだろうか?
「環境は意思よりも強い」という言葉がある。
たとえば、禁煙やダイエットをする時にこの考え方がよく使われる。
意思の力になるべく頼らずに、できるだけ環境の力で目的を達成する方が成功率が高いというわけだ。
目の前にご馳走を置いておいて、食べまいと努力するよりも、ご馳走のある場所には最初から近づかない方がダイエットはうまくいく。
思い込みによるミスも、環境をうまく使うと案外簡単に見つけられる気がする。
意思や思考には極力頼らないようにする。
具体的にどうやればいいかというと、まずは整理整頓。環境整備を徹底するのだ。
MGの決算で言えば、不要なものはすべて机の上から撤去し、消しゴムのカスやホコリひとつに至るまで徹底して掃除する。
体操をしたり、水分を採ったり、トイレに行ったりして体調をリフレッシュさせる。
姿勢を正して、ゆっくりと計算をやり直してみる。
スポーツ選手がやるようなルーティーンを取り入れるのもいい。
集中力を高めるためにできることをすべてやる。
DOよりもBE。
どうやるかではなく、どう在るか?
行為ではなく、自分の状態を意識する。
無意識の呪縛から逃れるためには、そのくらいの努力が必要なのだ。
1日コースか2日間コースか?
MG研修を始めて受講する際に、1日コースか2日間コースかどちらにするかを迷われる方が多いと思います。
1日コースのメリット
・金銭的な負担が少ない
・時間的な負担が少ない
1日コースのデメリット
・3期までしかできない
このような感じだと思います。
MGをやったことのない人にとっては、1日コースのメリットは分かりやすいがデメリットは分かりにくいのではないでしょうか?
そもそもなぜMGは1日コースでも3日間コースでもなく、2日間コースが正規のプログラムとされているのでしょうか?
それは圧倒的に2日間コースが効果があるからです。
【1日コースのスケジュール】
・1期(記帳の練習)
・1期決算(時間短縮のためマトリクス会計表による直接原価計算のみ)
・ルール説明
・昼食
・2期ゲーム
・2期決算
・MQ会計と経営計画の講義
・3期ゲーム
・3期決算
・表彰、感想文
【2日間コースのスケジュール】
・1期(記帳の練習)
・1期決算(左右会計による全部原価計算とマトリクス会計表による直接原価計算の両方をやる)
・ルール説明
・昼食
・練習ゲーム(ゴルゴMGで独自に考案)
・2期ゲーム
・2期決算
・3期ゲーム
・3期決算
・3.5期(懇親会)
(ここから2日目)
・MQ会計講義(利益感度分析)
・経営計画
・4期ゲーム(中間決算あり)
・昼食
・4期決算
・ビジネスパワー分析(時間の関係で割愛する場合あり)
・5期ゲーム
・5期決算
・表彰、感想文、講義
なぜ2日間コースは効果があるのか?
初めてMGをやる際にネックとなるのは以下の3つです。
・決算
・ルール
・入札
特に決算は繰り返し作業をすることにより、残存効果が発生して力(=慣れ)が付きます。
人間の記憶というのは、時間がたつと確実に薄れてしまいますので、特に最初のうちは間を空けずに繰り返すことが効果的なのです。
1日コースを受講して、一カ月後にもう一度1日コースを受講するのと、2日間コースを1回受講するのとでは、圧倒的に2日間連続で受講する方が効果的です。
また、講義の時間が1日コースではほとんど取れません。しっかりとした考え方を身に着けて実務に生かしてゆく上では、講義の時間がある程度必要です。中でもPDCAサイクルのP(plan)にあたる経営計画と、C(check)にあたる中間決算は、戦略思考の学びの最も重要なプロセスです。ここにかける時間が足りないと、受講する方の気づきもそれだけ浅いものになってしまいます。
そして、2日間コースの場合、初日終了後に3.5期と呼ばれる懇親会があります。これは参加自由なのですが、色々な業種、様々な経験期数の参加者同士が互いの気づきと実務におけるMGの活かし方を語り合います。初心者は特にMGの研修中は決算をやるのに必死で、他の受講者と交流する時間はあまり取れません。また、ファシリテーションの世界でも、会議そのものよりも、休憩時間中のふとした会話の中に貴重な気づきが生まれることがあると言われます。本線を外れたリラックスした状況の中だからこそ、本音のコミュニケーションができて貴重な気づきに繋がりやすいのではないでしょうか。
また初日が終わった後、一晩眠って2日目をやるというのも効果に影響があります。人間の脳は睡眠中に記憶を整理するようにできていて、余計な情報を忘却し、大事なエッセンスだけを残すようにできています。そのため、1日目には飲み込めなかった決算の作業がなぜかスラスラとできるようになったりするものです。
そして何といっても5期まで経営を経験できるという点があります。
実際に経営を行っている方ならお分かりだと思いますが、創業当初にすぐ利益を出せるかどうかは運頼みの要素が多いものです。一方、5期くらいになると長期的な視野で投資を行ってきた企業が圧倒的な成果を出すようになります。実際の経営に生かせる考え方というのは、3期よりも5期通しての体験の方が深い部分まで気付けるものです。
特にMGでは、シニアルールというものがあります。シニアルールでは、前期からの繰り越し投資が大きく物を言います。シニアルールの場合、行き当たりばったりの経営では、太刀打ちできません。このシニアルールを体験するには、やはり2日間コースで行う必要があるのです。
起承転結という言葉通り、MGも2期からゲームが始まり、3期にそれを引き継いで、4期に転機があり、5期で終わりを迎えます。また、研修の場も、最初はお互い初対面の人同士が卓を共にし、徐々に打ち解けて、3.5期で盛り上がり、翌日はすっかり仲良くなり、2日目の最後には成績が決まり、勝者を讃え、感想文で思いを整理し、再会を約して帰途につきます。2日間コースだからこそ、感じることのできるひとつの物語がそこにあります。
簿記3級を試験勉強一日でクリアする方法
別に自慢話がしたいわけじゃない。
受かったのはたかが3級だし(でも、実際にやってみると簡単ではなかった)。
ただ、この経験から気づいたことをシェアしたいと思ったから。
知立駅前の古ぼけたビルにある某専門学校の門を叩いたのは3カ月前。商業高校の学生がやっている勉強を自分もやってみようと思った。
簿記の授業は面白かった。いや、正確に言えば授業が面白かったというよりも、簿記そのものが面白かった。商売のお金の流れを、仕組みに従って処理していくと利益と資産が計算できる。その仕組みそのものの数字の美しさを感じることができるのが簿記だ。
田舎の寂れた専門学校だったので、生徒は多い時でも3人。先生と私のマンツーマンの時も何回かあった。15回の授業だが、MG1回分程度の金額で受講できる。
授業の中で少しでも引っかかる時はその場ですぐ質問した。試験の合格が目的ではなく、純粋に簿記を理解することを目的としていたので、丸暗記を一切拒否して論理的にすべての内容を理解しようとした。
MGで決算書の全体像はつかんでいたが、複式簿記の仕組みに慣れる必要があった。
他の受講者と比べるとMGの素地の優位性は抜群で、地球儀を見たことが無い人が地理を勉強するのと、地球全体を知っていてしかもそこを実際に歩いた経験もある自分とでは理解のスピードは比べ物にならない。
だから、授業の理解度は100%だったと思う。
でも、分かるとできるとの間には意外と大きな差がある。授業を理解できたからといって、試験をパスできるとは限らない。
予備校側もそれは分かっているから、通常の授業カリキュラムの後で1カ月間の答案練習カリキュラムを用意していた。
私はさすがにそこまではお付き合いするつもりもなく、受からなければまた次に受ければいいと考えていた。
ただし合格するためには、試験前には最低でも何回分かの過去問にしっかり取り組み、問題への対応力を磨いておく必要があると感じていた。
ところが、仕事やプライベートで様々なトラブルやビジネスチャンスがあって、試験の直前までほとんどまとまった時間を確保できなかった。
【試験前日に考えたこと】
当初考えていた分の5分の1程度の時間(約1日)しか確保できないことになってしまった。
簿記3級は自分の本業(社労士)とは関係なく、教養の一環としてやり始めたことだった。だから、こうなってしまったことは悔やまなかった。仕事をおろそかにしてまで簿記の勉強の時間を作るわけにはいかなかった。
でも、明日は試験だ。合格するには70点以上必要だ。
授業は理解していたので、ちゃんと試験勉強をすれば合格できる自信はあった。でも、その試験勉強が全然できていない。正直、苦しい状況だった。
こういう時に、どういう時間の使い方をするかは人それぞれだと思う。
・すぐに問題に取り掛かり、限られた時間のうちできるだけ多くの時間を勉強に充てる。
・勉強に取り掛かる前に、限られた時間のベストな使い方を考える。
時間がないという焦りはあったが、私はすでに半分諦めていたので、開き直って後者のやり方で行くことにした。普通は前者のやり方の方がたくさん勉強ができると思われるが、私は過去に似たような状況になった時にそのやり方でうまくいったことがなかった気がしたのだ。勉強の量より質を重視した。
だから、時間がない時こそ落ち着こうと思った。
そして、その日一日を考えた時に、量的には大した勉強はできないと悟った。
それでも受ける以上は、ギリギリまで可能性に掛けたいと思った。
結局、やれたのはたった一回分の過去問だけだった。しかも、解けない問題も所々あった。
試験の直前なのに、問題を解いていて間違えたり分からなかったりすると本当に焦る。
しまった、また間違えてしまった・・・明日の午前中には試験だというのに。
私はこの焦りこそが最大の敵だと思う。
MGの決算をできなかった初心者の頃は、常に焦っていた。人間は焦るとミスをする。
試験の前日、過去問を解きながら、どうすれば焦らないでいられるかを考えた。
もちろん、王道はたくさん勉強して準備することだ。
でも、今の自分にはその時間はない。
その中でできることはないか?
12年前に受けた社労士試験を思い出す。
まず、大事なのは時間配分だ。
簿記3級は全部で5問出る。時間は2時間。
第1問が仕訳の問題(20点)
第2問が10点
第3問が試算表の作成30点。
第4問が10点
第5問が決算の問題30点。
第3問と第5問は絶対に落とせない。そして第1問は仕訳なので比較的簡単だ。
第2問と第4問は10点しか配点されてない割に、過去問では結構難しい問題が出ていて、苦戦した。
簡単な問題も難問も 1点は1点。満点を取ろうとするなら難問を解かなければならないが、70点で合格できるのだから難問に引っかかって時間配分をミスしたら終わりだ。
限られた時間は試算表の作成と決算の問題に充てて勉強した。量的には不足だが、前日に集中してやったことで、頭は少し慣れたと思った。
【当日】
試験会場へは早めに向かった。とにかく焦る要素を作りたくないから。
試験会場へは勉強のネタは一切持って行かなかった。早めに着いて時間があるからといって、そこで勉強したりしたら解けない問題に出くわして余計に焦ることになるからだ。
一発勝負の集中力に賭けることにした。
シャープペンはMGでいつも使っている9ミリのものを2本用意していった。これで故障しても焦らずに済む。
自動販売機でコーヒーを買って体調を整えて待つ。
幸い席は一番後ろだった。自分の後ろに人が居ない方が落ち着くのでラッキーだ。
試験開始。
第1問は難しくなかった。これで20点確保。
第2問は総勘定元帳の穴埋め問題。面倒臭そうだったのでとりあえずパス。
第3問の試算表に取り掛かる。途中まで合計試算表と残高試算表を間違えていたが、途中で気づいてなんとかこなす。パーフェクトではないが、ほぼできた。
第4問は商品有高帳の問題。試験勉強でやってない分野だ。当然パス。
第5問の決算の問題。残り1時間を切った。順調に解いていったが、最後の借方貸方が一致しない。
この時点で残り10分。とりあえず第2問と第4問の中で取れるところだけでも拾う作戦に切り替える。
第3問と第5問がパーフェクトなら、第1問と合わせて80点で合格だが、借方貸方が一致しないということはどこかで間違っているということ。その分を第2問と第4問の部分点で補わなければならない。
時間いっぱいまで頭をフル回転させて解ける部分を取りに行った。
勉強不足な状態ではあったが、取れる所を最大限狙うことはできたと思った。善戦した感があった。
一週間後、電話で合否を問い合わせると、78点で合格とのことだった。
受講開始から試験まで約3カ月、振り返ってみて思うのは、
・基礎の理解は一番重要(初めて見る問題でもある程度点が拾えたのは基礎があったからだと思う)
・集中できない状況で無理をして勉強するよりも、集中できる状況を作ることに努力した方が良い
・準備に時間が確保できない時でも、過去の似たような経験を元にベストな対応の仕方を考えることができる(社労士試験の経験が生きた)
・勉強そのものよりも、勉強のやり方を考えることに頭を使うことが大事
大阪の萬集楼さんにてCFMGを開催!
大阪の中華料理店・萬集楼さんにて出張CFMG(キャッシュフロー・マネジメントゲーム)をインストしてきました。
2卓での開催でしたが、参加者のうち半数は10期以内の経験の少ない方でしたが、売掛金や買掛金の決算にもすぐに慣れてくださり、ゲームもとても楽しそうに行っていただくことができました。
また、100期以上のMG経験のある方も、新しいルールや発生主義の記帳方式に新鮮味を感じていただき、「初めてMGをやったときを思い出した」「ワクワク感が蘇ってきた」とのお声をいただきました。
通常のMGでは期末経費以外は常に今あるお金の範囲だけで意思決定していれば良いのですが、CFMGでは今あるお金とは別に「掛けでいくら材料を買っているのか」「未回収の売上金がいくらあるのか」「中間や期末にいくらの支払をしなければならないのか」といったことを考えながら経営を進めなくてはなりません。
そうした部分が経営のリアル感につながってゆきます。「見えないものを見る目」を養わなくては最適な意思決定ができないのが実際の経営だからです。
初日終了後は萬集楼さんにて中華料理で懇親会を行いました。会場がお店の2階なので、決算が終わるとすぐに懇親会が始められるのがいい所ですね。どの料理も美味しくてついつい食べ過ぎてしまいました。
次回も企画していただけるとの事でしたので、今から楽しみです。
小さな会社の強味を生かす方法をMGでやってみた
スワロースポーツMGに参加してきました。そこで経験したゲームの中での気付きを書こうと思います。
3期終了時点で自己資本198、次繰チップ赤3枚黄色1枚、キャッシュ16円だった会社が、5期終了時点で自己資本457のS++で2位の成績となりました。
元々、赤チップ戦略をやっていたのですが、4期の市場に逆風が吹きました。
シニアのサイコロで1が出てしまったのです。
大阪市場で大量売りをしようと思っていたのですが、大阪市場の最高プライスが21円では利益を稼ぐことは至難の業です。逆に言えば、ここが赤チップ戦略の辛いところであり、知恵を絞らなければならない点でもあります。
同じ卓(C卓)の面々を見渡してみるとそれなりに期数を積んでいて強そうなメンバーです。相手の在庫切れを狙って上の市場で売らせてもらうのも難しそうな気配。青チップの次繰も4枚の人が1人、3枚の人が2人、1枚の人が2人で自分だけゼロの状態。
ここで私はいくつかの戦略オプションを考えました。
1.大阪市場で21円でたくさん売る。
Mが6円のため、Fを300円としても50個売ってやっとトントン。かなり厳しい。
2.青チップを1枚特急して、名古屋市場で売る。
Mが12~13円、Fが340円のため、損益分岐点は28個。でも、青3枚組に乗って来られたら厳しくなる。青1枚組が特急してくる可能性もある。
3.青チップを3枚特急して、30円以上の市場に参入する。
Mが15円、Fが420円で損益分岐点は28個。期首キャッシュが足りないため、無理がある。仮にキャッシュがなんとかなっても共倒れになりそう。
どれもイマイチ実現可能性が低そうです。赤チップ3枚の次繰をしたことを後悔しましたが、そんなことを言っても始まりません。青チップの次繰をするという当たり前のやり方ではなく、敢えて赤でやってみることを自分に課しているのですから当然ですが。
そこで、あらゆる選択肢を検討してみた結果、試してみる価値のありそうな戦い方がひとつ見つかりました。
まず、赤チップ3枚は次繰盤から下ろさず5期に持ち越します。これはこれで、広告成功や広告失敗を引いた時のリスクを考えないではないのですが、そのリスクは受容することに決定。
コンピューターを買うのをやめて、中型機械と教育チップで製造能力3の販売能力3。そして最後にセールスマンの引き取り手を募集したところ、すぐに希望者がいて話がまとまりました。1人体制で配転しながら製造販売を行う予定です。
もちろん倉庫は使わず、予想F150円の会社ができました。これなら28円で10個くらい売ればトントンになります。問題はどうやって28円で売るかなのですが、これには秘策がありました。
これまでのMGで自分が大きな会社を経営している時に、市場に小さな会社が混ざっていると実にやりにくいということを以前に経験していたのです。なぜやりにくいかと言うと、自分が5個とか7個売れる体制の時に2個とか3個の売り方をされると、仮に自分が入札に勝てたとしても行を無駄に使ってしまい、トータルで利益が減ってしまうからです。だから正直、そういう会社の入札にはあまり乗りたくありません。逆に、そういう会社が縁故採用を引いたりして販売能力が5個になったりすると、あっという間に強豪の餌食になることがあります。
つまり、青チップにたくさん投資していたり、大型機械を持っていたりする企業は、弱小の会社の入札に乗ることがあまりオイシイ話ではなくなってしまうということなのです(これも一種の定性分析ですね)。
そこでこの力関係を利用することにしました。
販売能力3を使って、名古屋と福岡と札幌に1個ずつ入札し、毎回別々に入札を行うのです。そうすると、乗ってきた競合企業は仮に競り勝ったとしてもたった1個の売りのために1行を使うことになってしまいます。
通常の戦略では行あたりMQを最大化するというのがセオリーなのですが、逆にFを最小化して、大手企業の合間を縫ってMQを稼ぎ、来期への次繰に投資するというのが今回の戦略でした。
ここで懸念されるのは、来期への投資がどのくらいできるか?ということです。投資をしたくても、その分のキャッシュが無ければできません。そこで、CFMGで培ったキャシュフロー計算書の知識が生きてきます。
営業CF=G+F5-WW-SS
投資CFは機械の売り買いをしないのでゼロ
財務CF=第2ルールの新規借入100円-返済22円=78円
来期への投資とはSSのことなので、仮に5枚の青チップを買い足すとしたらSS=100円。このうちの78円はすでに財務CFで賄われているため、営業活動で稼ぎ出さなければならないキャッシュは22円で済みます。F5が26円なので、WWが増えなければG=0でも十分に賄えることが分かります。在庫は元々10個持ってスタートなので、在庫の補充を後回しにすればもっとキャッシュに余裕が出ることが分かります。
もう一点、行数のことにも触れておきます。
今回、4期は40行でしたので、中間決算や期首処理を考慮するとカードを引く順番が回ってくる回数は約37回。そのうちリスクカードが8回あるとして、残りは29回。10個28円で売れればキャッシュは回る計算のため、目標Qを10と考えます。製造能力3のため、材料を買う回数は期首在庫も考慮すると2回、完成投入は3回。次繰チップは6枚買うと考えると、ここまでで意思決定11回。残り18回の意思決定で10個売ればいい。
実際のゲームがどうなったか?
資金繰表とMX会計表をご覧ください。
結局、蓋を開けてみると青チップ1枚組の2人が入札に乗ってきたり、返品を引いたりしたため、販売個数は9個、PQは272円でした。到達行は31でGも-14と1個分足りない感じでしたが、資金ショートもせず、目標としていた次繰も達成できました。
5期は9枚の次繰チップを持ってE卓へ行き、大型機械を買い足して、人を2人雇って9個製造9個販売の体制で444円のGを稼ぎ、自己資本457で2位に入ることができました。
実際にミニマムな会社を経営してみると、普段軽視している数々の要素に気付きます。
・教育チップの効果の絶大さ!(たった20円のFで会社の規模を1.5倍にしてくれるありがたさ)
・巨大会社も零細企業も与えられた行数は同じであること(1日は24時間しかないのは皆同じ)
・巨大会社も零細企業も第2ルールの100円長借は同じ(零細企業にとってこの100円のキャッシュは大きい!)
・Fが軽い分だけ研究開発にタップリと時間を掛けられる(その気になればあと2枚次繰を増やす余裕があった)
・零細企業はリスクも小さい(初っ端にセールスマン退職を引くも、ワーカーに配転中であったため被害なし。倉庫なしでは怖い火災も、在庫を溜めない経営ではそれほど怖くない。リスクで怖いのは教育失敗と得意先倒産だけ)
MGではコストリーダーシップ戦略(規模の経済)がセオリーと見られがちですが、今回は弱小企業にもちゃんと強味があることを再認識しました。
これまで赤チップ戦略には何度もトライしているものの、サイコロで1が出てしまうと手も足も出なくなってしまうことがほとんどでしたが、初めてその状況を打破することができたのは嬉しかったです。
そしてよく考えてみると、リアルで自分がしていることとそっくりなような・・・。
・零細企業ならではの強味を常に意識する。
・規模の経営ではなく、量より質の経営をする。そのためには経営者自らが自己投資に時間をしっかり掛ける。
・恐竜を滅ぼすような環境変化にも零細企業は耐えて生き延びる。リスクと真剣に向き合う。
・ミニマム規模でも一人前に貰える助成金や消費税の免税など、使える諸制度をずる賢く活用する。
・零細企業だからこそ、人間関係は最重要。社員に見放されたら零細企業は終わり!
年内に経験期数400期に到達する予定ですが、MGは今だに新しい発見があります!
ゴルゴCFMG開催報告2018.7.15
見事優勝された亀山さん。
3卓18名というベストバランスな人数でCFMG(キャッシュフローMG)を開催することができました。
CFMGも最初は参加者が少なくて、1卓開催も多かったのですが、今回は経験者の方が多く集まっていただけました(100期以上の方が13人!)。感謝です。
3.5期の参加率も高く、ハイレベルな交流の場が持てたことと存じます。
ゴルゴCFMGでは、下記のテーマで開催しております。
・よりスリリングなゲーム体験
・より深い学び
・より深い交流
CFMGは経験者限定となってはおりますが、通常のMGを最低5期経験している方であれば、特に問題なくご参加いただけます。
決算書に売掛金や買掛金が加わり、より実務に近い形の決算を行って頂けますので、通常のMGに慣れた方でも、自身の適応力が試されることとなります。
また、通常のMGにまだあまり慣れていないという方でも、ざっくりとルールを理解している程度で問題ありません。むしろ、少し違う角度から決算をしてみることで、会計やマトリクス会計表についてより理解が深まると思います。CFMGの良いところは、MGの基本をそのままに、新しい要素を付け加えているところです。
ですので、期数の浅い方にもどんどん挑戦してみて頂きたいと思っております。
MGの収穫⑤「主体性は教えることができない」
主体性という言葉を辞書で引くと、「自分の意思・判断で行動しようとする態度」と書いてあります。
当事務所での雇用経験と、多くの経営者、労働者を見てきた経験、自分自身の労働経験から私が痛切に感じるのは、人間が力を発揮するために最も大切なものは「主体性」だということです。
例えば職場で、あれをやってください、これをやりなさい、これのやり方はこのマニュアルの通りにしてください、電話の出方は○○で、メールの送り方は××で・・・このように何もかも指示命令をされたらどうなるでしょうか?
もちろん、最初のうちは指示命令も必要だと思います。何事にも基本というものがあり、基本を知らずに主体性だけあっても主体性は生きません。ですが、指示命令が行き過ぎたらどうなってしまうか?
指示待ち人間
マニュアル人
ロボット人
私は職業人というものは、主体性が発揮できるようになれば一人前だと考えています。
こう思うから、こうする。
主体性を持った人の心には「思い」が宿ります。決してイエスマンではありません。
Y理論で有名な小林茂氏はこの「思い」のことを創意と言いました。創意工夫の創意のことです。
人間は生まれながらにして思いを持っている。
それは誰に教えられたことでもなく、真剣に自分や世間と向き合って生きていく中で止むに止まれず育っていくものである。
そういう点では例えば受験勉強というものは、もしかしたら人から主体性を奪ってしまうものではないかと思うことがあります。
受験勉強=他人が決めた正解を当てるゲーム
そこには自分の思いなど、全く尊重されません。むしろ、コンピューターのようにプログラム通りに正解を出すことだけが求められます。
私が大学生の頃、ホテルでアルバイトを始めたばかりの時に、何でもかんでも人に聞いて指示してもらおうとしたことがありました。
ホテルの仕事はどちらかといえばマニュアルが整っていることが多いのですが、中には臨機応変な対応が必要なこともありました。おバカな大学生だった私はマニュアルで決められていないことを何も考えずに先輩に質問して呆れられたことが何度もありました。
そういう時の先輩の答えは、一言で言えば「自分で考えなさい」ということだった気がします(今では実際に何と言われたかまではよく覚えていないのですが)。
今思えば受験勉強直後の私は、もしかしたら主体性が失われてしまっていたのかもしれません。
少なくとも物事を立ち止まってじっくりと考えてみるよりも、一秒でも早く正解を教えてもらおうとしていたことだけは確かです。
MGの感想文に「私は優秀ではないから、こんな研修は続けられません」と書いてくる人がごくたまにいます(ゴルゴMGでは感想文のシェアをするかしないかを問うダイアログがあるため、シェアをしない直球の感想を書いて頂けることがあるのです)。
自転車に乗ったことが無い人がいくら考えても自転車に乗る方法がわからないのは当たり前で、乗れるようになる唯一の方法は「とりあえずやってみる」「転んでももう一度乗る」なのですが、それをできないと思い込んでしまってやってみようとしない人が実際にはいます。
これもやはり主体性の問題です。やろうとしない人にやれとは誰も言えません。これはもう、そっとしておいて本人がやる気になるのを待つよりほかありません。
主体性が毀損している方のひとつのパターンとして、ネガティブワードを口に出して言うということがあります。
やりたくなければ黙って帰ってもいいのに、わざわざ「二度とやりたくない」「来るんじゃなかった」と口に出すわけです。
これはもう、他人にそれを聞いてもらいたいからに他なりません。本人は慰めてもらいたがっているのです。
そういう時、私はその感情にあまり付き合わないようにしてます。あたかもその言葉は聞こえなかったかのように、取り合いません。負の感情を否定も肯定もしないのです。
その代わりに、少しでもポジティブな言葉が出てきたら、すぐ反応します。「ここを教えてください」「ここはどうやればいいのですか?」こういう言葉が出てきたら、何事もなかったかのように、冷静に簡潔に答えます。そうしていると、段々とその人はポジティブなことしか言わなくなり、いつの間にか笑顔でMGに取り組むようになっていました。
主体性とは、人間に行動を起こさせるエンジンです。
教育や指導、しつけなどは、ハンドルやブレーキです。
エンジンが止まっている車のハンドルやブレーキをどれだけ動かしてもどこへも行けません。
西順一郎先生のMGの思想のひとつに「教えあい、教えない、紙は自分で」というものがありますが、職場での人材育成もこれと全く同じだと思います。
そもそも学びというものは、誰かからやれと言われたり、「これこれだから覚えておきなさい」などと教えられたりするのではなく、自分から「これを知りたい、これを分かるようになりたい」と意欲や目的を持っていなければ、何一つ身に付かないものです。だから学びは自分から求めて得ようとするものでなくてはなりません。これが「紙は自分で」の所以です。
「自分の行く場所は、自分で見つけたい~」
という歌詞がありました。
人間は元々主体性を持っているはずなのですが、過保護教育や教えすぎのせいで、学びや気づきの本当の喜びを知らずに育ってしまうと、何一つ自分で意思決定できない主体性の毀損した人間が出来上がる気がします。
少なくともMGを愛している人は、例外なく確固とした主体性を持っています。主体性は教えることは出来ませんが、私はMGを学ぶことで主体性の大切さに気付くことが出来ました。
社員教育にMGを取り入れる会社は、様々な目的を持っておられると思いますが、個人的にMGの最も大きな効果は主体性の獲得(再生)にあるのではないかと感じています。
MGインストラクターの目的と手段
MGを開催していて、沢山人数が集まったりすると、すごいですね~などと人から言われたりすることがあるのですが、インストラクターとしてはそれにあまり賛同できない気分でおりました。
人には誉めてもらってうれしいことと、逆にくすぐったいだけで違和感を感じることとがあるものです。
先日、小笠信弥さんのブログを読んでいてハッとしたことがありました。
「利益や儲けは目的ではなく必要条件」
こう書いてあったのです。
最近、西順一郎先生がインストラクターとしてお越しになるアルスMGに参加してきたのですが、その時の先生のお話とこの言葉とが繋がって腹落ちしたので書こうと思います。
西先生は終わりの講義で「最近、MGを受講する人や企業が増えているけれど、それだけでは何の意味も無い」と言われました。MGを受講した人が、職場に戻り、実際に会社を良くしなければダメだと。
インストラクターの目的もこれと同じだと思いました。
私も最初は全然人を集めることができなくて、1卓だけでMGを開催したことも何度かありましたが、1卓開催というのは派手さはないものの、学びの場としてはとても良いものであったと今でも思っています。
確かにインストラクターやセミナー会社というものは、ひとりひとりの参加者様から受講料を頂いて運営しておりますので、沢山集まった方が利益はたくさん上がります。だからといって、それで満足していていいのでしょうか? むしろ集客に苦労する中でこそ、より良い学びを持ち帰って頂くために必死になって内容を工夫するような気がするのです。
大勢人を集めることに成功して、派手に盛り上がっているMGを見ると、この人たちは果たして本当に向上できているのだろうか?それともこの場を楽しんでいるだけなのだろうか?と正直不安になります。
成績<期数<交流<向上
この言葉はことがら表彰の時に、ゲームの成績よりも大切なことがありますよ、という意味でお伝えすることなのですが、インストラクターにとってもあてはまることだと思います。
インストラクターの本当の目的は受講者の向上であり、受講者を集めるという「成績」は目的のための手段に過ぎません。
人間が道を誤まる典型が「手段の目的化」にあると思います。
お金は人が幸せになるために稼ぐものなのに、いつの間にか幸せをお金で売っている人はよくいますね。あの世には一円も持っていけないのに(話がそれました)。
インストラクターは集客に苦労しがちですが、そこにばかり目が行くと本質を見失う気がします。
受講した人がどれだけ成果を出すことができたか? どれだけ成長できたか? 常にそこを見つめる必要があると思います。
自戒を込めて。
MGの収穫④「横着と愚直」
資金繰りとキャッシュフロー計算書の目的
CFMGで取り扱う資金繰りとCF計算書。これらはどちらもキャッシュというものに焦点を当てていますが、それぞれの目的は異なります。
資金繰りとはキャッシュの出と入を把握して資金ショートを起こさないように管理すること。つまり目的はキャッシュの維持であり、経営者が第一に考えるべき課題です。
一方、CF計算書はキャッシュの動きを営業・投資・財務の3つに分類して、その会社のキャッシュの使い方からその会社の状態を知ることが目的です。これはむしろ金融機関や投資家が考えるべき課題です。
CFMGセミナーでは、資金繰り計画書を作成して資金をショートさせない範囲でできるだけ利益と長期的キャッシュの増大を図る計画を立てます。ここでは、CF計算書のようにキャッシュの分類をする必要はありません(CF計算書の見方については講義があります)。大事なのはトータルでキャッシュがうまく回るようにすることです。
経営者は企業の実態を知っている立場ですから、わざわざ過去のCF計算書から分析する必要はありません。むしろ未来の資金繰りを考えることの方が重要です。
資金繰りに失敗した会社は「信用」という無形財産を失うことになります。
経営というゲームからの退場、つまりゲームオーバーを言い渡されることになります。
今年のCFMGセミナーは7月と9月と11月に開催を予定しております。最低一回は通常版のMGセミナーを受講していることが参加条件となっておりますので、未経験の方は通常のMGセミナーのスケジュールもご確認の上、ご検討ください。
MGの収穫③「言語を選択することの重要性」
人間は物事を考える時、必ず言葉を使って考えます。頭の中で言葉をつぶやいているのです。
従って、頭の中でつぶやく言葉がどのような言語であるかによって、自ずと思考の結果に影響が出てきます。
大韓航空ではかつて事故発生率が異常に高かった時代がありましたが、その一因には縦の人間関係を重視する気風と共に韓国語では5段階もの敬語が使われており、機長と副操縦士の意思疎通がうまく行われなかったことがありました。その後、機内では韓国語の使用を禁止して(敬語表現の少ない)英語で会話するように改善が行われたそうです。
MQ会計で売上や原価、固定費などの用語にアルファベットを使用することにもとても大きな意味があります。
売上と言わずにPQと言うことにより、自然と(売上=価格×数量)という概念が無意識に定着します。
PQという言葉を使っている企業では、利益を増やすための手段を価格や数量に分けて考えるようになるのに対し、売上という大雑把な概念でしか捉えられていない企業では値下げをしてでも売り上げを増やしさえすれば良いという間違った選択をしかねません。
人間の行動はほとんどが無意識に行われるものです。
とっさの判断などは特にそうです。
その判断の積み重ねが企業の業績になってゆくのですから、無意識レベルをどう変えるかはとても重要なことです。
適切な言語選択は無意識レベルから行動を変えるための大事な一歩なのです。
社内にMGを取り入れて社員全員にMG研修を受講させる企業が増えてきました。
企業規模が大きくなればなるほど、意思決定の主体は経営者から社員に移らざるを得ません。
全社でMGに取り組む理由は、社長ひとりでなく社員全員が正しい共通言語を身に付けて末端の意思決定から変えてゆくことにあります。
慌てることと急ぐことの違い
人間、簡単なことを勘違いすることがよくあります。
車を運転していて、目的地に早く着きたい場合、ついついアクセルを強く踏みがちですが、目の前の信号が赤になってしまったら止まらなくてはなりません。
信号もなく、歩行者もいない真っ直ぐな道であれば、早く着くこととアクセルを踏むことの間に相関関係が生まれますが、実際の道には様々な障害物があります。
仕事でも同じです。
短距離競走のような単純な仕事は少なく、ほとんどの場合、複雑な障害物競走です。
以前、料理の鉄人という番組で圧倒的な勝率を誇った和の鉄人・道場六三郎は、時間制限のある勝負なのに冒頭であえて手を止めて紙に墨書でお品書きを書きました。
障害物競争は、短距離競走と違い、すぐに作業に着手することよりもまず、計画を立てることの方が重要だからです。
来年2月に平日MGを開催します!
来年、2018年の2月27日(火)~28日(水)に知立で平日にMGを開催いたします。
MGはゲームを行う都合上、一定の人数が集まらないと研修が成り立ちません。
そのため、これまではできるだけ参加できる方が多そうな土日にのみ開催日程を組んできました。
それでも始めた頃はなかなか人数が集まらず、1卓か2卓での開催が多かったのです。
MGは5期分のゲームを席替えしながら進行していくのですが、1卓だけだとメンバーがずっと同じになってしまい、市場の変化という要素が少なくなってしまいます。
ですので、主催者としては3卓15名くらい集まるとようやく一安心といった気持になります。
それが最近では4卓集まることも多くなってきました。
おそらく、何年も定期的に開催を継続してきたことで、世の中にゴルゴMGが認知されてきたおかげではないかと考えています。ありがたいことです。
そのため最初の頃よりは、平日開催の可能性が見えてきました。
美容業や飲食店など、土日にどうしても会社やお店を休むことができず、平日開催を待ち望んでいる方の声を以前からお聞きしてはいたのですが、人数が集まるかどうかが心配でこれまで平日開催に踏み出す勇気がなかなか出せませんでした。ですが、こうして土日のMGに人が来て頂けるようになり、事務所も開業から10年が経ち、来年はより大きなチャレンジがしたいという思いが強くなりました。
土日のMG開催がそうであったように、平日開催のMGも、最初のうちは集客に苦労すると思われます。
それでも、世の中に認知してもらうためには、少人数でもいいので開催を続けてゆく必要があります。
先ほど、卓数が少ないと変化する要素が乏しくなってしまうと書きましたが、私の経験上、初心者にとっては少人数のMGはむしろ良い点が多いと思います。
それは、インストラクターとの距離が近くなるからです。
例えば4卓20名も人がいると、初心者がインストラクターに話しかけるチャンスもなかなか見つかりません。
それが1卓6名の研修ではいつでもFace to faceでインストと話せます。
インストラクターの側も1卓なら死角なくすべてを把握でき、適切なアドバイスをすることができます。
ですので、平日MGは期数の浅い方には特にオススメです。
大勢でワイワイやるのは確かに楽しいと思いますが、アットホームなMGもまたいいものですよ。
MGの決算で自信を持てるようになる方法
MGで決算が合わない人が陥りやすいのが精神論に答えを求めてしまうことです。もしくは、それを個人の資質と勘違いしてしまうこと。
計算が正しくできない原因は、個人のがんばりが足りないのでもなく、個人のアタマが悪いせいでもありません。
やり方が悪いせいです。
ミス発見器で差額が出てしまう時のパターンはおおむね以下の4つです。
・考え間違い
・見間違い
・書き間違い
・押し間違い
考え間違いとは、理解ができていないということです。
例えば、
100+X=83
となっている時に、Xがマイナス17なのかプラス17なのかが曖昧になってしまっている人がいます。
100から83を引くのか? 83から100を引くのか?
決算の最後の方で+-を間違えるのは大体このパターンです。
見間違いはとても原始的な間違いですが、非常に多いです。
・自分の書いた文字を見間違える
0と6、3と5など、書いた時にはわかるつもりで書いているのに、後で見る時に違って見えてしまうのです。
絶対に違う数字に見えないかどうか?を常に確認しながらはっきりと分かる数字を書く癖を付けている人とそうでない人の差です。
・消しゴムのカスを鉛筆の線と見まちがえる
例えば2の下に消しゴムのカスが斜めにくっついていて3に見えてしまった、ということがあり得ます。
こういう可能性を知っている人は、消しゴムで消した後は必ずキレイにカスを払います。
もちろん、単にキレイ好きというだけの理由でもいいのです。カスを払う癖を付けているかどうかの問題です。
・同じ行や列にある数字を見落とす
マトリクス会計表の決算では、合計からその他の数字を差し引いて★の答えを引き算で出しますが、この時に端の方にある数字を見落とすことが良くあります。これは、定規を当てて確認すれば簡単に防げます。定規を当てるというひと手間を惜しんでミスしてしまうと、その何倍もの手間が掛かります。急がば回れの喩え通りです。
・ゼロにはゼロを記入する
資金繰表でタテ計を計算する時に、数字が何も無い列は何も書かずに飛ばしていってしまう人がいます。
「何もないのは分かりきってることなんだから、飛ばせばいいじゃないか」と思うかもしれません。でも、これは良くないことなのです。その列に何も数字が無いことを確認したら、合計欄にゼロを記入することによって、「確認した」ということが確認できます。ところが空白のまま飛ばしてあると、果たして確認済なのか、まだ見ていないのか分からなくなってしまいます。
書き間違いは考え間違いの一種です。資金繰り表で単価と個数を書く欄を間違えてしまったり、材料売却や商品仕入で単価を書いてしまったり、というのがあります。
押し間違いというのもあります。電卓のボタンが正しく押せていない状況です。手が震えて1が11になってしまったり、隣のボタンを間違えて押してしまったり、電卓には計算の履歴が表示されないために自分でもどう押したか分からなくなってしまうことがあります。これは電卓の表示板を見ながら自分の入力しようとした数字が押せているかどうかを都度確認しながら計算することで防ぐことができます。
決算の作業内容は、以下のステップの繰り返しです。
・決められた手順を正確に理解して
・数字を正確に見て
・電卓を正確に押して
・計算結果を正確に記入する
正確にできなかったのはどのステップなのか?
間違えた時に、その原因がどのステップにあるのかを確認し、間違えた原因を修正すれば、同じ間違いは起こらなくなります。
決算で数字が合わず、何度やり直せば正しい結果が出るのか?自信が無くなってしまった経験がMGを始めたばかりの頃、私にもありましたが、仕組みを理解することで自信を取り戻すことができますし、恐怖心も無くなります。
精神論<行動科学
精神論は「あの人は頭がいいから計算ができる」という考え方です。
「頭の悪い私は何度やり直しても計算が合わない」
「こんな研修はやりたくない」
となってしまいます。
でも、実際には計算が合う人というのは、キレイ好きだったり、数字を丁寧に書く癖がある人だったり、電卓をゆっくり確実に押すことの重要性を知っている人だったりするだけです。
頭がいいかどうかは関係ありません。いくつかのコツを知ることで決算はできるようになるのです。
MG300期!
2016年12月18日に、生まれ故郷の滋賀県長浜MGにて、MG300期達成のお祝いをして頂きました。
2009年6月6日が初MGですので、7年半が過ぎました。
1.5カ月ごとに5期くらいのペースでしょうか。
もちろん、自分がインストラクターとして開催した分は含まれておりません。
MGを100期経験すると人間が変わると言われております。
そして節目の期を迎えた人に、仲間が寄せ書きをプレゼントするという風習があります。
ゴルゴMGでも、これまでに3人の方に100期のお祝いをさせて頂きました。
MGマンが期数を重ねてゆけばゆくほど、学びは深まり、広がってゆきます。
目の前のことで精一杯だった人が、周りを見ることができるようになり、先を考えられるようになります。
節目のお祝いというのは、そうした歩みを振り返り、新たな目標へと向かうきっかけになると思います。
ゴルゴMGに参加される方で、節目の期数を迎えられる方は、どうぞ前もってお知らせください。
心を込めてお祝いをさせて頂きます。
キャッシュフローMG(CFMG)開催報告2016-9
キャッシュフローMG(CFMG)をご存知ですか?
通常のMGでは、商品を売ったらすぐその場で売上が入金されます。
ところが、CFMGでは商品を売ってもお金がすぐに入って来ず、売掛金となります。
後から集金という意思決定をして、初めてお金が入ってくる仕組みです。
売掛金というのは、会計上の資産ではありますが、現預金ではないため、それを使ってモノを買ったりすることはできません。
小売業以外のビジネスではほとんどがこの仕組みです。また、小売業でもクレジットカードでの決済が有れば、その分は売掛金となり、すぐには現金が入ってきません。
商品の受渡しと現金の決済日との間にタイムラグが生じる取引を「信用取引」といいます。
通常のMGでは、現金の残高だけで会社にいくらのお金があるかが把握できましたが、実際のビジネスでは現金以外に売掛金、買掛金、仮払金、借受金、未払金、未収入金といった目に見えないお金の動きがあり、それら全体を把握することで、より良い意思決定を行うことができるようになります。
それらを実際のゲームの中で体験できるのがCFMGです。
CFMGでは、商品を売った場合だけでなく、材料を買った時にも信用取引を用います。
材料を買った瞬間にはお金を払わずに買掛金として計上し、期末になってから材料屋さんが集金に来るという仕組みです。
これだと、材料代が手元で用意できない場合でも、モノを作って販売し、回収したお金で材料代を払うということができるようになります。
(信用というものが、いかに経済に効果を発揮するかがよくわかりますね)
さて、今回は当事務所としては2回目のCFMGでした。
今回の目玉は直接法と間接法のキャッシュフロー計算書を図解したCF相関表。
これを書くと今期のキャッシュの流れが直感的に理解でき、マトリックス会計表のCF計算書の中にあるcG(キャッシュGと読む)の意味も理解できます。
キャッシュGがプラスとは何を意味しているのか? フリーキャッシュフローの意味など、キャッシュフロー計算書に関することはすべてこの表で理解できます。
(これを作るのに何日も夜更かししました(笑))
2回目の開催ということで、売掛金を全額回収することを禁止したり、5円払いのリスクカードは不良在庫扱いとするルールを取り入れた結果、材料が枯渇することが少なくなり、ゲームバランスが格段に良くなりました。
さらにゴルゴCFMGでは、消費税という特別ルールを設けています。
これは、PQ1000以上の会社は赤字でもMQの5%を納税するという過酷なルール。
実際のビジネスでも経験する消費税の重さを感じていただきます。
CFMGを開催する意図は以下の3点にあります。
1.信用取引の生かし方や注意点を理解する。
2.資金繰り、キャッシュフロー計算書を理解する。
3.より深い学びを追及する。
CFMGセミナーはMGの経験者限定となります。経験者限定だからこそ到達できる、より深い学びを目標にしています。
これまで2回開催してみた実感ですが、CFMGセミナーに参加された皆様の満足度は非常に高かったと思います。
・MGを初めてやった時に感じたワクワク感が蘇ってきた。
・これまで見えていなかったお金の流れがよく理解できた。
・マトリクス会計表がCFMGでもそのまま使えるので、マトリクス会計表自体の理解が深まった。
今回の最優秀経営者賞は2日間コースで初めての表彰状獲得を目指しておられた亀山さんでした。
おめでとうございます!
ゴルゴMG開催報告2016.3
恒例の2日間コースを開催しました。
今回は初の試みで4卓開催となりました。しかも、初MGの人が7人、二回目の人が5人。半分は初心者です。
これまでも、初心者が多い時は時間が押してしまうことが多かったのですが、今回は特に4卓24名も受講者がいるので、本当に終わるのだろうかと心配な部分もありました。
ところがいざふたを開けてみると、初日こそ3期のゲームまでしか進めませんでしたが、2日目は18時すぎには全員が決算を終えることができました。
経験者の方のフォローやリードがすばらしかったのはもちろんですが、初日に無理をせず、初心者の方が追いついてくるのを待ったことが結果的には2日目の進行をスムーズにすることになったのではないかと思っています。
このあたりが、教える側と学ぶ側のバトンの受け渡しの難しいところです。
教える側がいくら急いだところで、学んで実行するのは結局受講者なので。
基礎を端折ればその分後でつまづくことになります。
最優秀経営者賞は、最近滅法強くなられた大定さんでした。
金沢MG(名物インストと非常に独特な北陸ルールを体験)
金沢MGに参加してきました。
目的は、美味しい海の幸を食べること・・・ではなくて、有名な延命裕さんのインストを体験することです。
金沢MGでは独特の特別ルールがあります。
それは、平均P30円以上の人は全員特損50円!
できるだけ高くたくさん売るのがMGのセオリーなのに、価格に制限が付けられてしまうなんて、なんて理不尽な!と思われそうですが、やってみると意外に気づきが多いのです。
延命さん曰く「参加者に自分の平均プライスに敏感になってもらいたかった」とのこと。
確かに、うっかり平均Pが30円に達してしまうとおおごとですので、ゲーム中に何度も平均Pを計算してました。
あと、延命さんは採点の時にOKになるまでマルもバツも付けてくれません。
つまり、ダメ!と言われてマトリクス会計表を返されると、自分で間違いを見つけなくてはならないのです。
これもまた、面白い仕組みだと思いました。
延命さんは見た目は怖くて、不愛想と言ってもいいくらいの人ですが、MGインストとしての強烈な思想と個性を感じさせてくれる人でした。
「1億円払ったら、3日でジャンボ尾崎と同じくらいゴルフがうまくなるということはない」
「人間のものの見え方考え方を鍛えるには、具体的な実践しかない」
ゴルゴMG開催報告2015.10
10/17~18にかけてゴルゴMGを開催しました。
インストラクターの私もゲームに入り、3卓14名で行いました。
今回は(株)西研究所のMGシニアコースに参加された安藤さんが近々社内MGのインストラクターを務められるということで、ルール説明を代わりにやっていただきました。
MGは教え合いで互いに学び成長することを目的としていますので、このように参加者の方に「お仕事」をお願いすることもよくあることです。もちろん、不慣れな事を承知しておりますので、そこはきちんとインストラクターの私がフォローするわけですが・・・。
まあ、良い意味で参加者さんをお客様扱いしないところがあるわけです。
今回の最優秀経営者賞は、3度目のご参加で3度目の優勝となりました鵜飼さんです。
私が初MGの頃からご一緒させて頂いている方ですが、相変わらずお強いです。
強いだけでなく、ベテランらしい立居振舞いで初心者の方の良い手本を見せて頂けました。
次回はちょっと間が開きますが、3月に開催予定です。
※画像はプライバシー保護のため、画質を落として表示してあります。
ゴルゴMG開催報告2015.8
8/22~8/23にかけてゴルゴMG夏の陣を開催しました。
今回は3卓18名の皆様にお集まりいただきました。
うち7名が初MGの方でした。
3期~5期にA卓のみシニアルールとなりましたが、5期終了時に自己資本300を超えることができたのは、1名のみで、その方も4期5期と連続でシニアルールでなかったため、表彰対象者ゼロという結果でした。
市場の棲み分けが機能せず、全員が同じ戦略を取ってしまうとこういう結果(デフレ経済)になってしまいますね。
「だとしたら、どうすれば良いか?」ということを考える良いきっかけになったと思います。
MGの目的はゲームの中から教訓を得ることですので、こうした結果から考えさせられることは多いのではないでしょうか。
成績より期数と言われる所以ですね。
次回は10/17~10/18に開催予定です。
ゴルゴMG開催報告2015.5.17
今回から中間決算用のシートを導入しました。
第4期のゲームの途中で、実際の仕入れと販売の金額を元に損益分岐販売個数Q0を算出し、経営計画通りに経営できているか、また、後半に計画を達成するにはどのような戦略の調整が必要となるのかを考えて頂きます。
ここで思考することは、戦略を実現する上で非常に重要です。
中間決算でうまく軌道修正ができなければ、いくら経営計画を立てても、それを実現することは困難だからです。
例えば、予想よりもPやQが低い場合に、その分のMQをどうやって後半で稼ぎ出すかを考えなくてはなりません。例えば、Fが増えることを覚悟の上で、青チップを予定よりも1枚買い足して、PやQを上げ、増えた分のFも含めて必要MQを達成するといった対応が必要となります。
今回はまだたった2回目の参加にも関わらず、到達自己資本437で竹迫さんが最優秀経営者賞を受賞されました。
次回は8月22日(土)~8月23日(日)に開催いたします。
ゴルゴMG開催報告2015.2.28
2015年2月28日~3月1日にかけてゴルゴMGセミナーを開催いたしました。
今回は16名の方にご参加頂き、100期以上の経験者が4名と初めての方が4名、2回目の方が4名、3回目以上の方が4名という顔ぶれでした。
今回は、東京や金沢など他県からお越しいただいた方も多く、各地方ごとに異なるMG開催の状況なども情報交換できました。
3.5期(懇親会)にも13名の方がご参加頂き、活発な交流の場を持つことができました。
経験の浅い方の中でも何人かが(ジュニアルールながら)自己資本300超えを達成し、初MGの方が決算順位4位に入るなど、それぞれに手ごたえを掴んでいただけたように思います。
最優秀経営者賞は滋賀県から来て頂いた宮本さんが自己資本552で受賞されました。
次回は5月に開催予定です。
ゴルゴMG開催報告2014.11.23
11月22日(土)~23(日)にパティオ池鯉鮒にて第15回ゴルゴMGセミナーを開催いたしました。
12名中5人が初心者でしたが、無事に2日間5期を終えることができました。
初めて参加された皆さんも、最初は慣れない記帳やルールの理解に苦労されてましたが、経験者の皆さんのサポートを受けながら最後まで諦めずに経営と記帳、決算をやり遂げて頂けました。
経営者、役員の方から会社員、税理士、現役高校生、小学生まで、実に様々な方たちがご参加頂けました。
MG研修の中では、社長も新入社員も学生も関係ありません。共通のルールの中で、「学び」という目的の為にひとりひとりが自分のできることをします。
今回は皆さんの決算書作成が速く、スケジュールに余裕があったため、左右会計を使った全部原価決算と利益感度分析も講義させて頂きました。
特に利益感度分析では、安易に価格を下げることの恐ろしさをよく理解していただけたかと思います。
最優秀経営者賞は税理士の米津晋次さん。さすが300期の実力です。一緒にA卓でプレイさせて頂きましたが、いつもながらの落ち着いたゲーム運びで、納得の優勝でした。
次回は2015.2.28(土)~3.1(日)に開催予定です。
5期A卓での戦い方
5期をA卓で迎えるという経験はなかなかありませんので、いざその時になって、うまくプレイすることができないことがよくあります。
5期A卓というのは、PQ(売上)順で卓が決まるため、4期で最も多く売り上げた6人が集まります。
そして、自己資本トップつまり優勝はこのA卓から出る可能性が高く、相撲で言えば千秋楽の幕内の戦いみたいなものです。したがって、A卓の中での競争に打ち勝って自己資本を増やすことがとても重要になります。
4期の売上が多いということは、必然的に会社も大きくて、大型機械を持っていたり、機械を2台持っていたりして、一人一人が材料をたくさん買うようになります。保有する在庫も増えるため、海外市場も含めて材料がカラッポになることが少なくありません。そうなってしまうと、どこからも材料が買えなくなり、商売が回せなくなってしまいます。材料が無ければ製造も販売もできなくなり、せっかく意思決定カードを引いてもDo nothingの繰り返し・・・ということになりかねません。
5期A卓で戦うコツのひとつは、いかにして材料を手に入れるかにあります。
もうひとつはライバルをマークすることです。自己資本でトップになる可能性があるのは誰か? その人はどういうチップで戦う人か? どの市場で何個くらい売る人か?
ライバルが自分の卓の中だけにいる場合は、その人よりも利益をたくさん出さなくてはなりません。ライバルが同じ市場(たとえば福岡)で商売する人であれば、ライバルが入札した時に安い金額で競りにいって相手のPQを落とさせることもできます。ただし、この場合、自分のPも下げることになるため、自分のPQも下がってしまいます。その結果、ノーマークだったB卓の人が優勝してしまうといったことも起こり得ます。MGは案外、人の足を引っ張ると自分の足も引っ張ることになりやすいため、全体の中で勝ちたければ横綱相撲の正攻法でやるのが結局有利な気がします。
材料に関しては、意思決定カードを引いた時に材料購入を優先するのは当然ですが、それに加えて、会社の効率を良くする必要があります。製造力(=材料購入力)、販売力、価格競争力、それぞれが効率よく回り、なおかつF(固定費)をできるだけ低く抑える必要があります。セールスマンより赤チップの方がFは少なく抑えられます。
また、席順もとても重要です。
自分の製造力が大きくて一度にたくさん材料を買える場合は、一度にたくさん入札する人の隣(右側)に座ればその人がたくさん売った材料をまとめて買える可能性が高くなります。ところがこれにも落とし穴があり、リスクカードで景気変動が出てしまうとカードをめくる順番が逆回りになるので、メリットが生かせなくなってしまいます。
自分の会社が小さい場合は、いかにハイPで売るか、いかにFを下げるかで勝負しなくてはなりませんが、ゲームで主導権を取るのはやはり大きな会社になるため、うまく流れを味方に付ける必要があります。
写真は先日の伊賀MGで2位になった時の表彰状です。この時も十分1位を狙える位置に居て、キャッシュも300円くらい持っていたのですが、その使い道を間違えてしまい優勝を逃しました。これだけあれば機械をもっと大きくできるのにそれをしないで、他の人にお金を貸してその金利でFを節約しようとしたのです。ところが後で考えて見れば、金利で儲かるのは300円の2割で60円ほど。この時のMは15円以上ありましたから、あと4個売れれば金利分は稼げるのです。実際にゲームが始まってみると、自分の隣の人は材料をたくさん買って一気に売りに出す人で、たまたまその時にリスクカードを引いてしまったりして思うように材料が買えませんでした。これがもし、機械をもっと大きくして1回にあと3個多く買えるようにしてあったなら、最低でもあと9個くらいは余計に材料が買えたはずです。そうなればMQは9*15で135円も余計にGが出るため、1位になることができたはずなのです。
ゴルゴMG(8月)開催報告
今回は初MGの方が3名、2回目の方が6名、3回目以上の方が7名の合計16名にご参加頂きました。
初日はいつものように、初心者の方が主役。
春から導入している大きなマトリクス会計表を使って第1期の決算を講義します。
どこに何を書くかは、口で説明するよりも実際にやってみせる方が一目瞭然。そういう部分では混乱は少なかったように思います。
その後はルール説明と練習ゲーム。
ここでいかに初心者の方にゲームを理解してもらうかがポイントなのですが、なかなかいっぺんには覚えきれません。
第2期はPQが2ケタという方もいて、ちょっと心配しました。
それでも決算は意外と早く、1時間ちょっとで全員が完了。
第3期も予定通りに7時までに決算まで終えることができ、その後は楽しい3.5期(懇親会)へ。
3.5期では初MGの方も参加して、実際のビジネスでMQ会計を生かしてこんなことをしたとか、自分が初心者の頃にどんな風だったとか、様々な話題で盛り上がりました。
翌朝になってみると、多くの方が初対面にも関わらず初日よりもずいぶんと打ち解けた雰囲気になり、みんなでリスクカードの研究をしたりと積極的な姿勢が見られました。
2日目は第4期から始まりますが、その前に経営計画をみんなで立てます。
目標の利益を出すためには、いくらで何個売らなくてはならないか?
その価格と販売量を実現するにはどのような施策が必要か?
そして第4期には中間決算を行い、計画の軌道修正も考えて頂きます。
市場はなかなか思い通りに進まないため、市場の変化に合わせて柔軟に戦略を修正できる人が多くの利益を上げることとなります。
第4期を終了して時間に余裕がありましたので、利益感度分析とビジネスパワー分析を行いました。
利益感度分析では、各要素が何%変化すると利益がゼロになるかを分析することで、各要素の利益に対する感度の違いを定量的に理解します。
ビジネスパワー分析では、各プレイヤーの4期までの戦い方を定性的に比較して強い経営者とはどのような人かを理解します。
第5期は決戦です。実際の会社と同じで第4期までにどれだけの準備ができたかが非常に重要です。
最初の第2期では、全員同じ自己資本283から始めた会社が、自己資本600超から債務超過まで様々に変化します。
5期通してのMGでは、本当の総合力が問われます。例えば最初は経験者と初心者とができるだけ均等に混じって第2期を行いますが、こういう時に行数が進まずに利益が出せないことがよくあります。
でも、本当にMGが強い人はそんな時でも上手に初心者にやり方を教えてゲームを進めます。
MGでは「教える、教えない、紙は自分で」という学び方のスタンスがありますが、ゲームの勝ち方は教えなくても、初心者が考える必要のないところに引っかかっているような場合には、それを教えてあげることで初心者も楽になるし、経験者も利益を出すことができるようになります。
決算の時も同じです。全員が終わらなければ次のゲームに進むことはできません。次のゲームをやりたければ、初心者に教えてあげることが一番の近道です。だからといって代わりにやってあげるのは御法度です。インストラクターの私もそうですが、どうしても自分で間違いを見つけられない場合には手を貸しますが、できるだけ「紙は自分で」。楽をしようとしているのか、それとも自分が向上したいと思って助けを必要としているかは一目瞭然ですので甘やかすことはありません。
そういう部分でMGは自然とリーダーシップを育てる仕組みがあるのです。
第5期ゲームが終わればノーサイド。うまくいった人も目標に届かなかった人も達成感と次への課題を胸に家路につきます。
今回は初めてシニアルールを経験するという方が多く、ジュニアルールとの違いを知ることで新たな目標が持てたように思います。
実際にシニアルールで大きな利益を出している人を見て、どうすればそれが実現できるのかを考えるのもとても意義のあることだと思います。
初MGを体験した人は、まだ付いていくのが精一杯で、なかなか戦略について考えるところまでは行けなかったかもしれませんが、次回参加する時には自分の体がこのゲームと決算を覚えていることにとても驚くと思います。そしてその余裕が確実に視野を拡げてくれるはずです。
このようにしてMGに取り組むことで、(それぞれの段階で)昨日までの自分とは違う自分にステップアップできる気がします。
ゴルゴMG(5月)開催報告
5/17(土)~5/18(日)にかけて、MGセミナーを開催いたしました。
今回は3卓17名の参加でした。
最優秀経営者賞は、前評判通り、鵜飼さんでした。
このように実力者が確実に上位になるあたり、MGは運では勝てないということが分かります。
4期と5期の間に各卓ごとにビジネスパワー分析を行います。
各自の経営力を自己評価と衆目評価によって採点します。
今回は特に多くの皆さんにご参加頂きまことにありがとうございました。
次回は8/30(土)~8/31(日)、その次は11/22(土)~11/23(日)に開催予定です。
親子MGに参加
六甲親子MGに参加してきました。親子それぞれ7名ずつの14人、3卓。
長男とふたりで朝5時に起きて車で長旅でした。
表彰は大人と子供各1名ずつ。
大人の部は私が・・・プロ野球選手が草野球の小学生相手に本気でやったようなものです(笑)
子供の部は藤本亘君。4期、5期とA卓で大人相手に自己資本300超えて、しかも5期はシニアルールに挑戦したのですから大したものです。
ちなみにうちの長男は大型機械を2台買って大倒産!
MGは誰とやるかが大事だとよく言われますが、子供を相手にやるMGはまた格別でした。
小さいマス目に字を書くのに苦労していたり、電卓の使い方を知らなかったり、そういう子たちにひとつひとつ教えながらゲームを進めていくというのは、まさに気づきの宝庫でした。
自分の書いた数字を読み間違えて計算ミスをしたり、机の上の整理整頓ができてないせいで作業が遅くなってしまったりするのは、子供だけではありませんからね。
そういう本当の基本の大切さをゲームの中で理解できるMGは、本当に優れた教育ツールだと思います。
子供は親やよその大人から教わり、親は子供から学ぶ、MGの教え合いの良さというものは親子MGではより一層際立っていたように思います。
初心者12名のMG
浜松で初心者12名を相手にマネジメントゲームのインストラクターを務めてきました。
MGは初めてやる人と2回目の人とでは、教える方も教わる方も大変さが全然違います。
初めての人は、ゲームのルールも覚えなくてはならないし、決算の書き方も覚えなくてはならないし、しかもMGの何たるかを知らずに来るのですから非常に不安な状態です。
教える方としては、その日のうちにちゃんとゲームができるようにたくさんの要素を効率よく伝えなくてはならないため、本当に気を使います。
初回と2回目とでは10倍くらい違うと言ってもいいくらいなのです。
MGには参加者がお互いに教え合うという素晴らしい仕組みがあるため、経験者が初心者と同数以上居れば、初心者が何人いても何とかなります。
ところが今回は経験者は私ひとり・・・そんな状態ではとてもまともにゲームをやることはできませんので、もうひとり経験者の方(西研究所のシニアコースを受けた方)にお願いをしてゲームに入って頂きました。
さらに、12名のうち5人の方に、事前に愛環MGを受けて頂きました。
それでも初心者が7名。5人の経験者もこれが2回目では、初心者に教えるのは無理で、自分のことで精一杯でしょう。これはかなり大変そうです。
教育効果は初心者がゲームのやり方や決算を覚え、実際にゲームをして成功や失敗を経験し、そこから色々なことを感じ取ることにより生まれます。ですから、ゲームや決算を覚えるだけで気力を使い尽くしてしまってはいけないのです。ちゃんとゲームを楽しめる力を残しておかなくてはなりません。
そこで、今回は決算の教え方に色々な工夫を凝らしました。
冒頭の写真のような大判のマトリクス会計表を用意したり、決算表の大事な部分に予めマーカーで線を引いておいたり、決算のやり方を詳しく解説した説明書を用意したり、第2期が始まる前に練習ゲームを行ったりしました。
大判のマトリクス会計表を使っての第1期シミュレーションは、初めての試みということもあって、時間が押してしまい、結局初日のスケジュールは1時間遅れの進行となってしまいました。
2日目も決算がなかなか終わらないことがあったりして、進行が遅れ、結局ビジネスパワー分析はできませんでした。
ですが、なんとか2日間で5期分のゲームと決算を終えることができ、しかも5期の決算は皆さん驚くほど早くなっていました。これまでつまづいていた人が、何度も繰り返し行うことで慣れることができたせいだと思います。
MGをやっていて、最初に感動するのは、できなかった決算ができるようになった時です。
繰り返し同じことをやることで、できなかったことがちゃんとできるようになる!
この単純な事実が人に勇気を与えてくれます。
終了後の感想文を読むと、最初の説明がゆっくりだったことがとても良かったと評価して頂けました。
自分では進行が遅れていることに焦る気持ちがあったのですが、受け手の方にはその時間は大切な時間であり、それだけ時間をかけて説明することが必要だったのだと改めて理解できました。
過去、何度も初心者の方が「こんな大変なこと、もうやりたくない」と投げ出すのを見てきましたので、そういう風にはしたくないと、「またやってみたい」と思って貰えるようにしたいと考えてやってきましたが、今回は様々な工夫が実って効果を発揮してくれたように思います。
初めて息子を参加させた1卓開催のMG
11月16日~17日にパティオ池鯉鮒にてゴルゴMGセミナーを開催いたしました。
今回の参加者は全員経験者の方でしたが、とてもバラエティに富んだ集まりになりました。
経営者、会社員、女性、子供(長男です)と属性がまったく異なるプレイヤーが、ひとつの市場で戦略を競いました。
2期、3期では債務超過に陥る会社が複数出るほどの厳しい価格競争があり、4期、5期では、打って変わってほぼ全員がV字回復するという展開になりました。
初日終了後の3.5期(懇親会)には子供を除いて全員が参加し、4期以降の軌道修正をどうするかについて検討がされました。
また、4期終了後には全員でビジネスパワー分析を行い、自己評価と衆目評価の差異を確認していただきました。
5期終了時点での自己資本トップは長男の太郎が取らせて頂きました。ただし、今回はジュニアルールでプレイしましたので参考記録です。この次はシニアルールに挑戦したいとのこと。
参加者の皆さん、ありがとうございました。
MGの収穫②「Y理論」
MGをやっていて、学んだことのひとつに「Y理論」というのがあります。
これはX理論-Y理論といって、性善説、性悪説と良く似ています。
1950年代にアメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーによって提唱された人間観・動機づけにかかわる2つの対立的な理論です。
「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」とするX理論と、
「人は生まれながらに仕事が嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」というY理論。
X理論は、マズローの欲求5段階説における低次欲求(生理的欲求や安全の欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデルで、命令や強制で管理し、目標が達成出来なければ処罰するといった「アメとムチ」によるマネジメント手法を取ることになります。
Y理論は、マズローの欲求5段階説における高次欲求(社会的欲求や自我・自己実現欲求)を持つ人間の行動モデルです。ここでは当人が納得できる目標と責任を自覚させることで、人を動機づけていくマネジメント手法が有効です。
どうですか?Y理論の方が大人な感じがしますよね?
当然のことながら、Y理論の方が高次元の欲求を満たすことになるので、Y理論のパワーはX理論の比ではありません。
ただし、人は低次元の欲求が満たされないうちはY理論ではなくX理論で行動してしまいがちなので、会社をY理論で引っ張っていこうとするのであれば、従業員満足は欠かせません。
会社が従業員に対して、きちんとやるべきことをやれているかどうか?
これは決して高い給与を払うということばかりではありません。
守るべき法律を守ること。
1分たりともサービス残業はさせないこと。
社会保険や労災保険をきちんと掛けてあげること。
現代の日本では、社会の生活水準が上昇し、生理的欲求や安全欲求などの低次欲求が比較的満たされているため、X理論による「アメとムチ」などでは人にやる気を出させることはなかなかできません。
それよりも、労使ともども「価値ある人生を送るために一緒にがんばろう」と励まし合うY理論でしか、人を動機づけることはできない、もはやY理論の時代なのです。
そして、MGに参加している人や企業は驚くほどにY理論が浸透しています。
「明元素」-明るく元気で素直な、前向き人間しかMGに参加してこないのはとても不思議なことです。
ところで、いろいろな方がMGの中で目標として掲げておられるのが「リスクを引いても笑顔」です。
これもY理論と相通ずる考え方で、ビジネスをやっていればいい時も悪い時もあり、幸運が一生続く人なんていません。
そこで結局差が出るのはどんな部分かというと、いつも前向きでいられたかどうか?
MGをやっていてリスクカードで「得意先倒産」などを引いてしまうと、どうしてもがっかり肩を落としてしまいがちですが、嘆いても何の解決にもなりません。
それよりも、最初からリスクカードを引く覚悟で心を持って、実際に引いたときには「ああ、やっぱり来たか」と平常心、笑顔でその時できることをやり続けていけば、不運がずっと続くわけではないのですから、会社は持ち直すことができるはずです。
経営者の成功と失敗を分けるのは、案外そんな「心の持ち様」なのかもしれません。
ゴルゴMG(4月)開催報告
4/13(土)~4/14(日)にかけてゴルゴMGセミナーを開催いたしました。
MGは1日コースでは3期分、2日間コースでは5期分の経営を行います。
以前は1日コースも開催していたのですが、何度かやってみてやはり2日間コースの方が良いと判断しました。
当然、1日コースの方が参加者も集まりやすく、開催しやすいのですが、残念なことに初めて参加する人は1日コースだと新しい要素を消化し整理することができず、肝心の学びを持ち帰ることがあまりできないのです。
MGは初めてやる方には覚えなくてはならないことがとても多い研修です。
・ゲームのルール
・記帳の仕方
・決算の仕方
これらのことを覚えなくては、戦略を考えることはできません。
だから初日はゲームに勝つことよりも、他のみんなに付いていくので精一杯です。
ところが慣れというのは恐ろしいもので、同じことを1日やるのと2日間やるのとでは大違いなのです。
最初は訳が分からなかったマトリクス会計も、2日目になると少しずつひとりでできる所が増えてきます。
そうなるとパズルと同じで、最初の1ピースを探すのは大変ですが、最後の1ピースになると簡単に見つけられるようになります。
そうして全体が見えるようになると、決算書がとても身近に感じられるようになるのです。
ゲームの中身も、初日の1~3期は先行投資の段階なのでなかなか利益が上がらず、苦しい時期です。
ところが4期、5期になると、上手に投資した人は自己資本を大きく伸ばすことができるようになります。
1日コースだと、たまたまリスクを引かなかった人が勝ってしまったりしますが、2日間コースでは運だけでは勝てません。経営的な考えをしっかり持って戦略を立てている人が自己資本を伸ばすことになります。
このような理由から、ゴルゴMGでは初心者にとっても経験者にとっても2日間コースが望ましいと考えております。
今回は地元知立の青年会議所の皆さんが参加して下さいました。
僕も一緒にゲームに入りますが、他の人たちと較べて経験が違いすぎるため、わざと青チップを買わない戦略でプレイしました。
2期、3期は青チップを持っている人がやはり強く166まで自己資本が半減してしまいましたが、なんとか4期で盛り返して、5期終了時点では自己資本を440まで伸ばすことができました。
自己資本トップは角田さん。
今回が初めての新海さんと渡辺さんも自己資本を300以上にして終わることができました。
終了後は駅前の「黒ちゃん」で乾杯!
皆さん、元々同じ青年会議所の経営者の方ばかりですので、早速気づきを語り合い、互いの学びを交換し合いました。
次回は11月に開催予定です。
MGの収穫①『投資的発想を持つ』
私がMGで学んだ大事なことのひとつに『投資的発想を持つ』というのがあります。
人間はもともと利己的な生き物です。
だから、すぐに確実に結果が反映されるようなことなら誰でも迷わず意思決定できます。
マクドナルドでハンバーガーを買うのに迷う人はそういないでしょう。
でも、大きなお金や大きな時間が掛かることだと、そうはいきません。
私は現在、グロービス経営大学院というビジネススクールに通っていますが、お金も時間もたくさん掛かります。
それをやることが果たして自分にとって(掛けたコスト以上に)プラスかどうか?
私もとても迷いました。
結局、過去の経験則から、教育への投資は最も効率がいいと判断して意思決定したのですが、自分にとってプラスだと分かっていてもそのコストが膨大だというだけで人は迷ってしまうものなのです。
人間は元々利己的なので、常に自分にメリットのあることを選択しながら生きているはずなのですが、目の前のことしか見えていないと、それが本当に自分にプラスになるのかどうかが分からずに、チャンスを逃してしまいます。
大きなコストが掛かることであっても、合理的に意思決定できる人だけが大きなリターンを得られるのですが、それができる人は案外少なく、多くの人がローリスク・ローリターンに甘んじてしまいがちです。
MGの中でも大きな投資をする場面はたくさんあります。
初めて大型機械を買う時、それが本当に自社に見合う投資になるのかどうか?最初はハラハラドキドキです。
その結果、大型機械を買ったはいいが、お金が回らなくなって失敗してしまったり、逆に大型機械を買うべき時でも買いどきを逃してしまったりするのです。
でも、すでに何度も大型機械を買っている人は、当たり前のように意思決定してしまいます。
つまり、これだけ経験というのは人を助けてくれるものなのです。
では、経験がない人はどうすればいいか?
これは簡単です。
分からないことはまずやってみるのです。
大型機械を買って、得するか損するかは分からない。
だとしたら、まず買ってみればいい。
もちろん、損をするかもしれません。
でも、そこから学べばいいのです。次からは同じ失敗はしないでしょう。
これを投資的発想と言います。
投資は100%当たるわけではありません。
外れることもよくあります。
それでもやってみなければ分からないのならば、まずやってみる。
それをできる人だけが、多くの経験を積み、多くのリターンを得てゆくのです。
ただし投資とギャンブルは違います。
投資には100%ではないものの、そこそこに勝てる可能性が高いであろうという自分なりの仮説があります。
ギャンブルに勝てる根拠や仮説は存在しません。
世の中には3種類の人がいます。
・リスクを嫌って投資できない人
・投資的発想を持ち、長期的なリターンを得る人
・ギャンブルに手を出してしまい、全てを失ってしまう人
なにわMGに参戦
ガンを克服してホノルルマラソンを完走した大先輩もMG経験者だった
11月の2日間MGセミナーでは、初日MG終了後に税理士法人SMASH経営の森久士先生に特別講演をしていただきました。
30年間2000社以上の企業を見てきた森先生の話は圧
「30年間MG盤が経営の基本であった」
「ゲームで勝て
「戦略会計を理屈ではな
「我が子を保証人
「決算書なんか信じるな
「神様には艱難辛苦を与えて
「経営者になるからには、後悔のない人生などあり得ない」
「MG盤にないものは人脈である。人脈投資は非常に効率がいいので、年賀状は出しまくれ」
「いくら腕のいい職人でも、人に仕事を任せられない社長はみんなダメになる。人に任せられる会社はどんどん大きくなる」
西三河で後発の税理士事務所でありながら、圧倒的な成長を成し遂げた森先生の経営哲学と、税理士として数多くの企業を見、経営的成功と2度の癌克服の人生経験のエッセンスがちりばめられたご講演でした。
森先生は知立青年会議所の先輩というご縁で、私は知り合うことができたのですが、60歳の時に胃ガンに罹り、その後の再発・再手術を経て生死の境を彷徨われたにもかかわらず、復活してホノルルマラソンに挑戦し、見事完走を果たすまでに回復されたという驚異の人です。
私は先生の生き様に興味を抱いてFacebookで友達申請させて頂いたのですが、なんとその方がMG経験者だったということを聞いてビックリしました。
森久士先生の著書はこちらで紹介されています。
愛環MG.2012.9
愛環MGに参加してきました。
前回は最優秀経営者賞(5期終了時点での自己資本1位)を頂くことができましたが、今回は3位でした。
正直、4期を終えた時点で自己資本229でB卓転落でしたので、入賞圏内に入れるとは思っていませんでした。
私の中では、やはりMGは会社経営のシミュレーションですので、まずきちんと目の前の経営をすることが優先で、他との比較で入賞するか否かは結果に過ぎないと思っています。(もちろんこうして賞状を頂くのはとても嬉しいのですが)
そういう点では、苦しい局面でもなんとかそれに耐えて来期の次繰りをし続けた結果、自己資本を440まで伸ばせたことは良かったと思っています。
今後の課題は、研究開発を買い足しながらのシェア争いをいかにP(価格)を下げずに制するかです。
講師をやるつもりは更々なかったが・・・
私がMGを始めた理由は経営者の気持ちが分かる社労士になるためだった。
まさか落ちこぼれだった私が人様にMGを教えるようになるなんて、始めた当初は考えもしなかった。
だが、今考えるといろんなきっかけがあったと思う。
ひとつは西先生にシニアコースに誘われたこと。あれはたしか2011年4月に愛環MGに二回目の参加をした時だったと思う。2009年の9月に初めて愛環MGに参加して以来だったので、果たして西先生は私のことを覚えていらっしゃるだろうかと思っていたが、先生はよく覚えておられて「ゴルゴ君」と声をかけて頂けた。そればかりか「ゴルゴ君のように熱心な人はシニアコースに来るといいね」と言われたのだ。
「シニアコース?」と私はきょとんとしていたら、近くに座っていたベテランの人(ワンちゃんと呼ばれていた)が「シニアに誘われるなんてすごいねー。ぜひ行ってみるといいよ!」と声をかけてくれた。
その後、何人かの人にMGシニアコースのことを聞いて回ったところ、どうやら普段こうして受けているMGはジュニアコースというのが正式名称であって、MGシニアコースはインストラクターを養成する研修らしかった。受講料は10万円近くかかる! 場所は三浦海岸。行くもんか!その手には乗らないぞ! その時はそう思った。
2011年はJCも卒業し、ようやく時間が作れるようになったため、月に一度くらいの割合でMGに参加するようになった。行くたびに新しい気づきがあったり、色々な面白い人々と出会ったりして、MGから帰ってくるとまた参加してみたいと思うようになり、ネットを検索したり、西先生が配られるチラシを見たりして近くのエリアでの2日間MGを探すようになった。そしてその中にシニアコースのことが載っていた。
シニアコースはどうやら8月に2泊3日で開催されるらしい。でも、受講料はジュニアコースの3倍以上かかる。どうしよう?
以前の私だったら、そんな大金を半分楽しみのために参加している研修に費やすなんて狂気の沙汰としか思えなかっただろう。考えればわかることだが、MGインストラクターの免許なんて社労士資格と同じかそれ以下で、取ったところで集客できなければ1円にもならないのだ。だから普通に考えるなら、そんな当てにならない投資はパスして、本業の社労士だけやってた方が安全なのだ。ところが、行く先々のMGで出会う人出会う人(シニアに行ったことのある人)誰に聞いても行った方がいいと勧められる。そうなるとさすがにこれは何かあるんじゃないかという気になってくる。しかも8月は他に行きたいMGもなく、お金も少しずつ稼げるようになってきていたから出せないわけではない。
とうとう私は悩んだ末にシニアコースに行ってみることにした。それは直観の囁きがあった。
初MGの時のことが気にかかっていた。あの時もMGに行くか行かないか迷った末に行ってみて、そのおかげで色々なことと出会えた。もう一度人生があったとして、MGをやる人生とMGをやらない人生とがあるとしたらどっちを選ぶか? それはどう考えたってMGをやる人生の方がいい。その頃はまだゲームが面白くて仕方ない時期ではあったが、MG研修がそれだけの研修ではないことも十分に分かっていた。MGはそれなりに時間とお金を費やすが、経営者としての考え方、そして人として人生を生きる上での考え方を、自ずから気づく過程を通じて鍛えられる。そんな研修はどこを探しても他にない。
だったらシニアコースも行ってみるしかないんじゃないか。やって後悔する可能性とやらずに後悔する可能性とを比べた時、明らかにやらずに後悔する時の後悔の大きさの方が大きいと思った。
私はMGという成功体験のせいで、知らず知らずのうちに積極的な人生という大海原に漕ぎだしてしまっていたのだ。興味を持ったことは、まずやってみなければ気が済まない、そういう考え方が身についてしまっていた。
結局、シニアコースではいろいろなことがあった。それについてはいつか書こうと思うが、行ってみて良かったと思っているのは間違いない。「楽しかった」「勉強になった」などという軽い体験ではなかった。自分にとっての強烈な気づきをガツン!と食らわされた感じだった。
何はともあれシニアが終わり、その半年後の2012年の2月にはインストの免許証が交付された(シニアコースを受講してもすぐに免許証はもらえないのだ。その人ごとにMGをあと何期受けなさいという課題が与えられ、それをクリアするまでは仮免許ということになる)。だが私は免許証をせっかく貰っても、それを生かすべきか迷っていた。
免許証を貰ったからといって、参加者を集客できなければそれを使う機会は無い。私ごときが声を掛けて回ったとして、一体どれだけの人が集まってくれるだろうか? それが一番大きな不安だった。
また、仮に何人か集まってくれたとして、これまで一度もインストを経験したことが無い私が、責任持って最後まで研修を行うことができるだろうか? 特に採点は一度もやったことがない。採点でミスを見逃したら後で大変なことになってしまうのではないか?
免許証を頂いた愛環MGの帰り道、先輩のインストラクターの方に「一度インストのお手伝いをさせてもらえませんか?」と聞いてみた。その時、その方は「自分でやってみればいいじゃありませんか?」と取り合われなかった。私は一度も採点をしたことがなく、その部分だけでも事前に経験しておきたいと思っていたのだが、なぜか体よく突き放されてしまった。今ではその真意が分かる。インストをやる時、決算の採点というのは仕組みが複雑で方法論が分かりにくいところがある。だから不安になりがちなのだが、実際にやってみるとその考えはポイントがズレていることがすぐわかった。インストとしてのすべての仕事の中で最も難しく、かつ重要なのは集客なのだ。集客と向かい合わずに採点だけできたとしても、そんなものは本質を伴わない見掛け倒しの張りぼてにすぎない。むしろ採点なんか完璧である必要は無いのだ。間違いを見逃したとしても、それで研修が台無しになることはまずない。その時の私は、そこまでのことは到底分からなかったので、疑問を感じつつも、断られたという現実だけは受け止めざるを得ず、言われた通り、自分で人を集めて開催してみるしかないという気になった。
この他にも私の背中を押してくれた人はいた。
私がFacebookをやり始めたのは2011年からだったが、ちょうどそのころFacebook上でお友達になった税理士法人の所長さんがおられた。その方は一代で地元エリアで最大規模の税理士法人を作り上げた大先生だったが、数年前にガンを発症し、生死の境を彷徨った後、一念発起してマラソンに目覚め、歩くこともできない状態からホノルルマラソンを完走するまで回復された驚異の人だった。
たまたま私がMGのことをFacebookにアップしたら、その方からコメントを頂いた。なんとその方もMG経験者で、MG盤も所有しておられ、地元知立でMGを開催するならMG盤を使わせて頂けるというありがたいお話だった。スマッシュ経営の森久士先生には今でも感謝してやまない。
私自身はMGを開催しようと思って始めたわけではなかったのに、なぜか周りからそのように仕向けられているかのように感じていた。まるで目に見えない運命の糸に操られていたかのようだった。引っ込みが付かなくなっていた。
西順一郎先生と出会い、目から鱗が落ちた初めての2日間MG
米津税理士さんのワンデーMGで経験を積んだ(といってもたった9期だが)私は、意気揚々と愛環MGに乗り込んだ。
初MGで散々な目に遭うも、悔しさのあまり再挑戦!
初MGで散々な目に遭って、とても打ちのめされた気分だったし、もう一度やってみることに恐怖感も有った(以前にFacebookでこの話を書いた時に、当の先生から、『正直あの時は、もう二度と来ないと思いました』とコメントを頂いた。初MGの時の私はその位、ドツボにハマっていたのだろう)。
だが、それ以上に悔しさが強かった。こんな赤っ恥をかいて、このままでは終われない。絶対にできるようになって、優勝してやる!
初MG(最初の一回で止めるつもりだった)
MGをやろうと思ったきっかけは別のページに載せておりますので、今回は私が初めてMGに参加した時の話を書こうと思います。
2009年6月6日が私の初MGでした。
名古屋の税理士さんが開催されていた1日コースのMGで、1日で3期の経営を行うというものでした。
私の参加動機は、会社の経営と会計を学ぶことです。
どうすれば会社が潰れないのか? どうすれば潰れるのか?
経営者の気持ちを理解できるようになりたいと思って申し込みました。
参加者は私を含め10名ほどでした。
初参加の人は私だけか、もしくはもうひとりくらいだったかもしれません。
参加費は当時8千円くらいで、開業したての私には貴重な大金でした。
ですから、できればこの一回だけ参加して、ノウハウを学び、最小限の投資に抑えようというのが本音でした。
ところが、そのセコい考えを見透かすかのように講師の先生曰く、「MGは一回だけではほとんど効果はありません。最低でも5~6回はやらないと経営のコツは分からないでしょう」
ちょっとガックリきたのを覚えています。
さて、午前中は第1期です。でも、第1期はゲームはやらせてもらえません。みんなで先生の言うとおりに材料を買い、製品を作り、市場で販売します。そしてみんなが同じようにやったその結果を記帳し、マトリクス会計という表を使って決算を行うのです。
早くゲームをやってみたくてウズウズしているのですが、どうやらこれをやらないことにはゲームをやることができないようです。
初めて見るゲーム盤と初めて見るマトリクス会計表、簿記も経理も何も知らなかった私には全ての情報が初めて尽くしでした。固定資産とか営業外費用とか、会計用語も何を指しているのやら。
先生の話はひと言も聞き漏らすまいと(払った会費のモトを取ろうと)必死で聞いておりましたが、実際にやってみると何をどこに書けばいいのかさっぱり分かりません。それでもなんとか隣の人を見ながら第1期は終えることができました。
お昼ごはんを食べて、午後はいよいよ第2期のゲームです。ところがその前に改めてルール説明がありました。意志決定には2種類あって、自分の番でしかできないことと、いつでもできることがあるとか、材料の価格は市場によって違うとか、機械の性能と生産能力・・・理解できたのはこのへんまでで、広告とか研究とか教育のあたりになると「いっぺんやってみないと分からん・・・」といった感じです。
ところがゲームが始まると俄然楽しくなりました。
学生の頃から麻雀やパソコンゲームで鍛えた「ゲーム脳」で、周りの人のやり方を観察しながら自分の意志決定をしてゆきます。見よう見まねでしたが、そこそこ売ることができて、強い人たちの卓に入ることができました。
第2期の決算はさらに難しくて、しかも1期と違ってみんな書く内容が違うのでマネができません。それでもなんとかかんとか終わらせることができました。
この後第3期があるのですが、その前に会計の講義がありました。
第2期が終わってみて、結果赤字だったのですが、一体来期どうすれば黒字になるか?
それを考えるためにまず、四畳半の図みたいなのを書いて会社の売上と原価、固定費と利益の関係を習います。
その次に目標とする利益額を先に決め、それを元に経営計画を逆算で立ててゆきます。
この結果、私は1個26円で33個売らなくては目標の利益を出せないことが分かりました。
さあ、第3期。周りの人を見ながらゲーム開始です。
第3期は借金ができるので、色々と投資ができます。
私は隣の人のマネをして大型機械を買ってしまいました。
お陰で一気に資金が無くなってしまい、材料を買えなくなってしまいました。
仕方がないので在庫を売ってはお金を作り、自転車操業です。
それでもなんとかがんばって毎回26円で売り続けました。
結局色々なミスが重なって、期末に給料が払えなくなり、消費者金融から短期借入れを200円もしてしまいました。(最終的に14個しか売れませんでしたので、借金の金利も含めると当然大赤字です!)
ゲームは夢中であっという間に終わりましたが、その後は決算が待っていました。
決算そのものも分からないのですが、それ以前に記帳のミスが大量にあり、途中で完全にパニックになってしまいました。
正直、途中でもう諦めようかと何度も思いました。
でも、他の人は普通にできているようなので、もっと焦りました。
結局、他の人が全員終わった後も私ひとりが冷や汗をかきながら何度もやり直しして、終わった時には陽がとっぷりと暮れていました。
他の人も帰るわけにもいかず、ゲーム盤の片づけをすっかり終えて待ってくれていましたので、とても申し訳ないと思いましたが、できなかった自分にも腹が立って、あまり会話もできず、トボトボと家に帰りました。
帰りの電車の中で、今後どうするか悩みました。
この分じゃ、経営を分かるまでには相当時間が掛かるだろう。お金もたくさん掛かってしまう。社労士業も始めたばかりでまだ赤字の月もあるというのに・・・。それにこんな調子で次回も申し込んだら嫌がられるんじゃないだろうか? この後も慣れることができなかったらどうしよう?
結局思ったのは「このままじゃ終われない」ということでした。
倒産した会社の社長さんの顔が目に浮かびました。このくらいのこともできないで、経営者の相談相手になろうなんて甘い・・・。
もしもこの次参加したら講師の先生や他の参加者には嫌がられるかもしれない。けれど、お金を払って参加するのだから断られることはないだろう。まずは何とか自力で決算がやれるところまでがんばってみよう!(インストラクターをしている今だから分かることですが、こんな心配は全然必要なかったのです。インストラクターは、受講者がやる気さえあれば、いくらでも喜んで教えたいものですから。)
その後、私は3ヶ月連続でMGに通うことになりました。(続く)
マネジメントゲーム受講のきっかけはお客様の倒産
私がMGをはじめたきっかけはお客様の会社が倒産したことでした。
リーマンショックの直後で、その会社では助成金の申請のお手伝いをしておりましたが、ある日、法律事務所から債務整理受任通知が届いたのです。
当事務所の売掛金はそれなりの額でしたので最初は慌てました。それでも、事情が事情ですから貸し倒れは諦めるしかありません。ただ、一体なぜこのようなことになったのか、いきさつを知りたいと思いました。
そこで、ダメ元で会社を訪ねてみたら、なんと社長と会うことができました。発注元メーカーの景気が良かった頃に大きな借り入れをしていて、その後リーマンショックがあり、動き出すはずのプロジェクトが凍結され、銀行が手を引いてしまったと社長は語って聞かせてくれました。
経営者の相談を受ける立場として、何もしてあげられなかった自分の無力を大変悔しく思いました。開業当時の私には、債務受任通知に書いてある負債数億円という文言の意味すらしっかりとは理解できていなかったのです。法律の勉強をして、社労士試験には受かったものの、経営そのものについてはド素人だったのです。
MGについては、開業直後に知り合った税理士さんから勧められて知っておりましたが、駆け出しの社労士だった私は時間や費用を惜しんでしまい受講する決意ができませんでした。
でもこの倒産の後、それではいけないと思い、本気で経営を学ぶ決意をし、MGの申込をしました。
倒産した会社の社長がもし、MGをやっていたら・・・倒産を回避することができたかもしれないと思っています。