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GOLGOのひとりごと

長渕剛の「しあわせになろうよ」が持つ力

2023.01.31

期間工時代の話。
この歌を初めて聞いたのは年末の仕事納めの日だったと思うが、どこでだったかは定かではない。
工場の生協か?それとも食堂か?往きの車のラジオだったかもしれない。
「出会った頃のふたりにもう一度戻ってみよう」
取り立てて長渕剛のファンというわけでもなかった私だが、この一節が妙に耳に焼き付いて離れなかった。
関係の冷めた恋人に向けて書かれた歌だということは分かったが、その時の私には職場のある友人のことが気にかかっていた。

仮にO君としておこう。
O君とは期間工の同期で歳も近く、同じ組に半年前に配属されたため、一緒に食堂へ行ったりして慣れない仕事の愚痴を言い合う感じで最初の頃は仲が良かった。

ところがしばらくして些細なことで仲違いをして、そのまま何カ月も口を聞かない関係になってしまった。
組の人数は10人程しかいなかったし、同年代の期間工はその半分もいなかったため、毎日顔を合わせて同じタイミングで休憩したりしているのにどちらからも話しかけないというのはかなり不自然なことだった。それでもふたりは意地を張り続けた。

そんな彼が1月いっぱいで退職するということを班長から聞いた。
何かあったのだろうか? 聞いてみたい気もするが、自分の方から話しかけるのは気が引ける。

仕事納めが終われば十日ほどの冬休みとなる。その間、彼と会うことはあるまい。
私も前日に正社員登用試験の不合格を通知され、これからどうするか岐路に立たされていた。

そんなタイミングでこの歌を聞いた。

年末最終日は残業なしの定時退社だ。折しもクリスマスイブ。
すでに薄暗い中、労働組合が正門前でしるこやおでんを振舞ってくれている。

作業を終えて帰るタイミングでどちらから声を掛けたのだったか?
彼の方からであれば覚えていると思うので、私の方からだったかもしれない。
どちらからともなく「お疲れ様」と声を掛けたような気がする。

そういうきっかけで久しぶりに彼と一緒に帰ることになった。
仲直りすると互いに話したいことが溢れ出して、O君のアパートへ遊びに行くことになった。


そこで彼から言われた一言がきっかけで社労士受験を決意したのだから、不思議といえば不思議である。

あの歌を聞いていなかったら、彼と仲直りすることもなかったかもしれない。
そして社労士受験を志すことも・・・。

歌のもつ力というのは、そういうものなのかもしれない。

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