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GOLGOのひとりごと

なぜ裁判になると休業手当を100%支払うことになるのか?

2013.06.02

本来、労働日である日に、会社の都合で労働者を休ませた場合は平均賃金の60%の休業手当を支払わなければなりません。
ところが、これを支払わずに、労働者から裁判を起こされると会社は60%ではなく、100%分の給与を支払わなくてはならなくなります。
なんだか、交通事故の補償基準と似てますね(交通事故でも裁判上の保障基準と保険会社の保証基準はかなり差があるため、被害者が裁判を起こすアクションをとりかけた時に慌てて保険会社が保証額を妥協するといったことがあるようです)。

【民法536条2項】
債権者の責めに帰すべき事由に因りて、履行を為すこと能はざるに至りたるときは債務者は、反対給付を受ける権利を失わず。
但し、自己の債務を免れたるに因りて利益を得たるときは、之を債権者に償還することを要す。

ここでいう債権者とは、使用者(会社)のことです。
債務者とは、労働者(社員)のことです。
つまり、労働者は労働することを約束して、その反対給付として賃金を受け取るという契約を使用者との間に結んでいる債務者なのです。

ところが、債権者である使用者側が「やっぱり今日は働かなくてもいいよ」と言ってきたときに、債務者の受け取る反対給付(賃金)の権利まで無くなってしまうかというと、そうはいかないということをこの条文は意味しています。

ですから、実際に民事裁判を起こされれば、この条文に基づいて100%の賃金を補償することを要求されることになります。

労働基準法第26条の休業手当6割とは矛盾すると思われるかもしれませんが、同じ「使用者の責めに帰すべき休業」でも、労基法と民法とではその範囲が異なると解されています。

民法536条→(使用者の故意・過失、または信義則上これと同一視すべき事由)
労働基準法第26条→(上記の事由に加えて、経営管理上の障害による事由も含む)

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