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GOLGOのひとりごと

三洲MG道場

2024.12.09

三洲MG道場の合宿に参加してきた。
ここは現在の西研究所方式とはかなり異なるルールで行われている。
教育チップ無しの緑チップを3枚使うMGの初期ルールが元になっているようだ。マトリクス会計表は使わず、資金繰表1枚で決算までやる方式。

三洲MGの歴史は古い。
今回が第72回で年2回の開催らしいから、40年近く続いていることになる。
主催しているのは碧南にある某製造業の会社。
私は古い友人からこのMGのことを聞いていて、以前から一度参加してみたいと思っていたのだが、今回ようやくその念願が叶った。
今回は特別企画ということで長野県飯田市にある新工場で開催するとのこと。
合宿の二日前に開催された夜間開催の道場で一通りの手ほどきを受けて2期ほどゲームを行った。どうやらこれが決算ができるかどうかのテストだったらしい。10年ほど前に同じ方式の決算は別の場所で体験していたのでなんとなく思い出しながらできた。個数合わせのところに西研MGでやっているころがし決算のような表があり、そこで原価計算をやる流れだった。やたらと文字が小さいので老眼にはしんどかったが、慣れれば短時間でできる。

当日は朝、碧南の工場に集合して乗り合わせで飯田工場へ向かう。
道中もワイワイおしゃべりしながらなので、現地に着くころにはすっかり打ち解けた気分だ。
私以外は初参加の人もおらず、ルール説明も端折って1期からいきなりゲームに入る。

三洲道場ルールはかなり特殊で癖がある。
資本金300で始まるのは同じだが、機械は投入用と完成用の2台が必ず必要で経費もそれぞれ掛かる。その代わりに機械購入費の半額は長期借入がその場でできる。
仕入は投入能力の範囲内で、営業所に置けるのは販売能力の範囲内。
広告は1枚20円で、お金があれば一度に何枚でも買えるが、セールスマンひとりにつき2枚までの制限がある。
研究開発は1枚20円だが一度に一枚しか買えない。上限は販売能力の半分の枚数まで。ただし、原則として次繰り扱いで、翌期にサイコロを振って出た目によって成功、失敗、保留が決まる。使った分はみんなパーなので、西研のシニアルールに近い。
広告は買ったらすぐに使えるので、青よりも赤が有利なルールだ。
意思決定は1期から5期まで全てひとり25枚のカードになっている。西研のように期が進むにつれて行が増えるわけではない。
前半の最初と後半の最初にサイコロを振って出た目によってどれかひとつの市場が閉鎖される。
リスクカードの中に大地震というカードがあり、それを引いたら機械も在庫も人もチップも全てを失う。ただし、地震特約という保険があり、機械の簿価分の保険金は入るので、会社を再建するのに時間は要するが、思ったほど酷いリスクではないと思った。他にも営業所火災、ダンピング販売、連続意思決定、製品特別購入などリスクカードには色々ある。

三洲道場ルールの一番大きな特徴は販売ルールだと私は思う。何しろ自分で売りたい市場を自由に選べないのだ。
販売の意思決定をしたら、まず盤の中央にあるサイコロを2個振って、青色のサイコロか白色のサイコロかを宣言しなくてはならない。宣言した方のサイコロの出た目によって、どこの市場で販売できるかが決まるという仕組みだ。1が出れば仙台以下の(閉鎖されていない)すべての市場で販売ができる。2が出れば札幌以下、3が出れば福岡以下といった塩梅だ。閉鎖された市場の目が出た時は一切の販売ができず機会損失となってしまう。6が出た場合は東京市場だが、最低1個は販売しなくてはならないため、嫌でも1個は20円で投げ売りさせられる。確率的には3回に1回はまともな販売ができないので、西研MGに慣れている人にはこれが一番のストレスになると思われる。

あと、独占販売のリスクカードが強烈で、セールスマンひとりにつき2個32円でストッカーへ売るか、広告一枚につき2個まで独占販売を選択できるのだが、自分が在庫を持っていても商品仕入することができ、しかも最高5個までといった制限はないので、このカードを引いた人は爆益になる。
結果的に私の5期の成績は自己資本286でブービー賞だった。
300からのスタートだが、途中でイベントごとに増資券が配られるので、増資を含めた資本金は339からの▲53の累積利益。

やってみた感想は、とにかく色々な場面で運が作用するので思うように経営ができない。しかも、どちらの色のサイコロかを選んだり、どちらの山からカードを引くかを選んだりするので、悪い結果が出ると自分の選択を後悔してしまい、それがものすごくストレスだった。
ただし、このストレスに関しては途中から考え方を変えることを思いついた。サイコロにしてもカードにしても、自分でコントロールできない事象をコントロールしようとするから一喜一憂するのである。これは普段のMGでリスクカードを引かないように祈るのと同じことだ。祈ったところで確率は変わらないのだから、そこにエネルギーを使うのは全くの無駄だ。

今回は独自ルールのおかげで運に対する考え方を徹底的に磨かれた気がする。
経営でも人生でも、自分がコントロールできない要素に影響を受けるというのはよくあることだ(天気とか、他人の気分とか・・・)。
どんなに努力をしたところで、頭の上から隕石が降ってきたらどうしようもない。それを恐れて地下のシェルターで暮らすなんてまっぴらだし。
それよりも、自分ができることに力を集中することが大事だ。
すべては心の持ちようだ。
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