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GOLGOのひとりごと

経営者らしいものの考え方【モラルハザード】

2015.05.30

何らかの契約をした後で、依頼した側(依頼人)が観察できないところで、依頼された側(代理人)が取る行動が、依頼人に不利益をもたらすことをモラルハザードと言います。

「倫理観の欠如」と翻訳されることが多いのですが、経済学では倫理観は問われません。

外回りの営業マン(エージェント)が、上司(プリンシパル)の目を盗んで、勤務時間中に仕事をサボる場合などが代表的な例で、「プリンシパル(依頼人)=エージェント(代理人)問題」と言われます。

会社の株主(プリンシパル)が経営者(エージェント)を、業績に連動する報酬で任用した場合、経営者は会社に大きな利益をもたらせば高額の報酬を得るが、多額の損失を会社に与えても(あからさまな過失・故意が立証されない限りは)損失を負担する義務はなく、最悪でも解任されるのみです。このとき経営者の収入期待値を最大化する経営判断は、会社にとって最も合理的な判断よりも、よりハイリスク・ハイリターンなものとなります。しかし、株主は経営判断のための十分な情報をもたないため経営者の判断に任せるほかないため、ジレンマが発生します。

モラルハザードを防ぐには、情報の非対称性を解消するのが一番ですが、現実にはそれが難しいことが多いものです。例えば外回りの営業マンを監視するために、小まめに携帯電話で連絡を入れさせれば、外回りの営業マンを信頼して任せた場合よりも業務効率が落ちることとなります。

そのため、外回りの営業マンに対しては成果報酬というインセンティブで行動を縛ることが多くなります。ところがこのインセンティブに対する最適化(短期的利益)が、実際には会社が本当に求めていること(長期的利益)とずれてしまうことがよく起こります。インセンティブを用いる場合には、こうした弊害にも配慮が必要です。

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