GOLGOのひとりごと

テレワークガイドラインの改定

2021.12.23

厚生労働省から、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」が発表されました。

 

▷テレワークの導入に際しての基本的なポイント

ガイドラインには以下のように定められています。

1、テレワークの推進は、労使双方にとってプラスなものとなるよう、働き方改革の推進の観点にも配意して行うことが有益であり、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことのできる良質なテレワークとすることが求められる。

2、テレワークを推進するなかで、従来の労務管理の在り方等について改めて見直しを行うことも、生産性の向上に資するものであり、テレワークを実施する労働者だけでなく、企業にとってもメリットのあるものである。

3、テレワークを円滑かつ適切に導入・実施するに当たっては、あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要である。

 

つまり、基本的にテレワークという新しい働き方を「労使で一緒に考えていくべきだ」というスタンスとなっています。

 

 

▷テレワークの対象業務

1、一般にテレワークを実施することが難しい業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、管理職側の意識を変えることや、業務遂行の方法の見直しを検討することが望ましい。

2、オフィスに出勤する労働者のみに業務が偏らないよう、留意することが必要である。

 

特定の労働者だけがテレワークのメリットを享受することがないように注意するよう定められています。と言っても、飲食店や美容室など店舗型のビジネスモデルにおいてはそのバランスを取るのは簡単ではありません。例えば店舗勤務と在宅勤務を交代シフト制で行うなどの方向などが検討できるかもしれません。

 

あるいは事務系の仕事においても、オフィスに出勤する人だけが来客対応や郵便物対応をするなど、不公平がないように注意するよう定められています。

▷テレワークの対象者等

1、テレワークの対象者を選定するに当たっては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないよう留意する必要がある。

2、在宅での勤務は生活と仕事の線引きが困難になる等の理由から在宅勤務を希望しない労働者について、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務の利用も考えられる。

3、特に新入社員、中途採用の社員及び異動直後の社員は、コミュニケーションの円滑化に特段の配慮をすることが望ましい。

 

→契約形態によって差があることは望ましくないと解説しています。例えば正社員のみテレワーク可能とする、などの仕組みはこのガイドラインに沿っていないことになります。

また、新入社員や入社間もない従業員に対しては、テレワークの結果仕事内容がわからずに戸惑う場面を想定して、特段の配慮をすべしとしています。この辺りは従来の日本的なO JT社員教育などに対するこだわりが見えます。

 

日本型の「パートナーシップ契約:職種を限定せず、いろんな職務を経験させたり、あるいは先輩が後輩に仕事を対面で教える」という組織構造がグローバルな視点でどれだけ保持する価値があるのかわかりませんが、少なくとも「機会の公平性」「生産性向上の観点」がテレワーク導入の基本姿勢である、というガイドラインの方向性なのでしょう。

 

▷導入に当たっての望ましい取組

1、不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決裁の電子化等が有効であり、職場内の意識改革をはじめ、業務の進め方の見直しに取り組むことが望ましい。

2、働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取組を行うことが望ましい。

3、企業のトップや経営層がテレワークの必要性を理解し、方針を示すなど企業全体として取り組む必要がある。

 

→明確にペーパーレス化を謳っていることは特筆すべき点でしょう。ハンコの廃止が大臣の鶴の一声で一気に一般化したように、これからペーパーレスがスタンダードになっていくと思ってよいのではないでしょうか。

▷テレワークにおける人事評価制度

1、人事評価は、企業が労働者に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から、企業がその手法を工夫して、適切に実施することが基本である。

2、人事評価の評価者に対しても、訓練等の機会を設ける等の工夫が考えられる。

3、時間外等のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない。

4、テレワークを行う場合の評価方法を、オフィスでの勤務の場合の評価方法と区別する際には、誰もがテレワークを行えるようにすることを妨げないように工夫を行うことが望ましい。

5、テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、オフィスに出勤している労働者を高く評価すること等も、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるものであり、適切な人事評価とはいえない。

 

→この内容からは、日本の雇用システムを「ジョブ型」に切り替えていくことを示唆していると読み取れます。従来の日本の人事評価の根幹にある勤怠や情意評価だけでは多様な働き方に対応できないため、新しいジョブ(職務)中心の評価基準を設け、同時に評価者に対しても訓練をしていくことを推奨しているのでしょう。

 

▷テレワークに要する費用負担の取扱い

1、テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない。

2、個々の企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等により、費用負担の取扱いは様々であるため、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等において規定しておくことが望ましい。

3、在宅勤務に伴う費用について、業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられる。

 

→各社テレワーク導入に際して光熱費の支給を検討しています。テレワークによりオフィス維持費を減らしていく世の中に合わせて、その分テレワークが気持ちよく実践できるように新たな手当などを創設していくとよいでしょう。

 

▷テレワーク状況下における人材育成・テレワークを効果的に実施するための人材育成

1、オンラインでの人材育成は、オンラインならではの利点を持っているため、その利点を活かす工夫をすることも有用である。

2、テレワークを導入した初期あるいは機材を新規導入したとき等には、必要な研修等を行うことも有用である。

3、自律的に働くことができるよう、管理職による適切なマネジメントが行われることが重要であり、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことも望ましい。

 

→オンライン人材育成の利点として思いつくのは、「非同時性」があるでしょう。同じ時間に人を集めて開催する研修ばかりでなく、動画マニュアルや動画研修資料を作って柔軟に教育することも推奨していると思われます。

この中で「自律的に働く」という言葉が出ていることに注目です。テレワークにより従業員が時間的柔軟さを得たとしても、管理職が古い頭のままではダメだ、というメッセージが読み取れます。

結果に対するコミットメントが重要な時代になっていきそうです。

 

 

▷労働時間の柔軟な取扱い(一部省略)

1、フレックスタイム制は、労働者が始業及び終業の時刻を決定することができる制度であり、テレワークになじみやすい。

2、事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。(※ このほか、事業場外みなし労働時間制を適用するための要件について明確化)

 

→ガイドラインではテレワークについての「事業場外みなし労働時間制」に対して慎重な姿勢を取っています。事業場外みなし労働時間制は、スマホやメールなどで常時業務指示できる現代にあってかなりハードルの高いものであることに注意が必要です。

一部のクリエイティブ系の仕事においてのみ可能となります。

 

▷テレワークに特有の事象の取扱い

1、中抜け時間

把握する際の工夫方法として、例えば一日の終業時に、労働者から報告させることが考えられることや、中抜け時間について、休憩時間として取り扱い終業時刻を繰り下げたり、時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも、始業及び終業の時刻の間の時間について、休憩時間を除き労働時間として取り扱うことも可能であることを記載されています。

2、長時間労働対策

テレワークによる長時間労働等を防ぐ手法としては、次のような手法が考えられる。

・ メール送付の抑制等やシステムへのアクセス制限等

・ 時間外・休日・所定外深夜労働についての手続:労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数をあらかじめ使用者が設定する等

 

→ガイドラインが注視しているのは、実際の労働時間とテレワーク勤務者が記録する労働時間に差があった場合の賃金未払いや健康被害です。テレワークのせいでサービス残業や長時間労働が起きてしまうことのないよう、自社での管理体制を整えるようにしてください。

例えば上記にあるように社内サーバーなどへのアクセス時間を制限するなどの方法が検討できます。

 

▷テレワークにおける安全衛生の確保

1、テレワークでは、労働者が上司等とコミュニケーションを取りにくい、上司等が労働者の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合が多く、事業者は、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」を活用する等により、健康相談体制の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置を実施することが望ましい。

2、自宅等については、事務所衛生基準規則等は一般には適用されないが、安全衛生に配慮したテレワークが実施されるよう、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」を活用すること等により、作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使が協力して改善を図る又はサテライトオフィス等の活用を検討することが重要である。

 

→労働安全衛生上の注意点がチェックリスト化されたものが公開されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000755113.pdf

例えば部屋の明るさが確保されているか、机や椅子は無理のない姿勢で行えるものが備わっているか、換気はできるかなどの項目が定められています。テレワークの作業環境がきちんとしてるかについても配慮していくべきということでしょう。

実務上は、わざわざ不快な作業環境にすることはないとは思いますが、場合によってはテレワーク用の設備投資に対して補助をしてあげるなど検討してよいでしょう。

 

▷テレワークの際のセキュリティへの対応

情報セキュリティの観点から全ての業務を一律にテレワークの対象外と判断するのではなく、関連技術の進展状況等を踏まえ、解決方法の検討を行うことや業務毎に個別に判断することが望ましい。

 

→セキュリティー面のチェックは個人情報保護や企業機密情報の保護の観点から対応しなければならない分野でしょう。対外的に情報管理方法について説明できるようなセキュリティーソフト導入や、機密文書の取り扱いなどのルール化を検討していくとよいでしょう。

 

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