MGコラム
MG for Students東海市 開催報告
東海市にてMG for Studentsを開催いたしました。
今回は親子、きょうだいでの参加が2組ありました。その中にひとりだけ小学校4年生の子が入っていたのですが、通常は5年生からのところ、親子でごきょうだいと3人で来ていただいていて、なおかつMGが2回目ということで、大丈夫だろうと判断して入って頂くことにしたのでした。
ところがその4年生のお子さんが最初のうち、なかなか記帳に着いてこられなかったのです。なぜかというと、子供の場合、言語を使ったコミュニケーション(バーバルコミュニケーション)がうまくいかないことがあるのです。ちなみに言語によらない表情や仕草などのコミュニケーションのことをノンバーバルコミュニケーションと言います。
インストラクターがホワイトボードの前で「この数字をここに書き写して」と説明をしてもその子の手は止まったままでした。それで仕方なく、近くまで行って顔を近づけてその子の紙を指さして「ここからここ」とやってあげるとようやく手が動く、という感じだったのです。つまり、射程距離が極端に短くなってしまうのでした。
一期の資金繰り表が終わったところで思案しました。
どんなに丁寧な説明をしたところで、バーバルコミュニケーションが伝わらない相手には意味を持ちません。さて、どうしたものか・・・。
今回は大人の経験者の方も参加して頂いているのですが、普段のMGとのあまりの違いに心なしか怪訝な顔をされているような気がします。
「本当にMGができるのだろうか?」
そんな不安が伝わってきます。
正直、私も同じ不安に駆られておりましたが、なんとかするしかありません。
まずは最初離れて座っていたお母さんに隣に座ってもらうようにしました。ただし、お母さんもMGは2回目なので、自分が覚えるので手一杯ですから面倒は見られません。それでも少しでもお子さんに安心してもらえる方がいいと判断して席を代わって頂きました。
インストラクションのやり方も、普段は前で書いて見せるようにしているのですが、今回はある程度それを諦めて、その子にくっついて全体への説明を行うことにしました。
正直、そのようにやってしまうとその他の初心者が付いてこられるかが心配でしたが、結果的になんとかなりました。
その他の初心者は6年生や中学生だったのですが、人間というものは自分より小さい子が居ると「自分がしっかりしなくては」と思って頑張れるのかもしれません。
私たちインストは、つい自分の教え方をどうするかについて考えてしまいがちですが、そんなことよりも小さい子の存在の方がずっと影響力がありそうです。
その後はゲームの時も、決算の時も、ずっとその子に付きっ切りでしたが、無事に5期まで終えることができました。しかも、5期は他の方の指導で手を放している間に、その子の決算が提出されていてビックリしました。
教えていて気付いたのは、おそらくこのくらいの子の場合、会計恒等式の理屈は理解していないということです。正直な話、なぜそうするのかを理解するより先に、言われた通りにワルツの計算を行える素直さがあるのです。ですから、理屈を説明するのではなく、「足して」「割って」「四捨五入して」「★印は引き算をして」とひたすら手順を繰り返し伝えました。
大人は理屈を理解してやりますが、子供は理屈など分からなくてもただ真似をする。その結果、タテ計とヨコ計が最後に一致するのを見ているうちに、それが正しいやり方であることを信じられるようになっていくようでした。まず繰り返して、理屈は後からついてくるわけです。
まさに「習うより慣れろ」の世界。赤ん坊が言葉を覚えるのもこれと同じなんだと思います。ヴィトゲンシュタインが彼の著作の中で「言語の習得とは説明ではなく訓練なのである」と言ったそうですが、ワルツができるようになるのも同じかもしれません。
さて、最初は硬かった会場の雰囲気も、ゲームと決算を繰り返すうちにほぐれていきます。
MG for Studentsでは、子供たちの受講料を安くしていることもあって、昼食も持参ですし、お茶やお菓子も置いてない、完全に手弁当状態なのですが、これが夕方くらいになると段々お腹が減ってきます。
その時は主催者側がお菓子くらい用意した方が良かったかな?と思いましたが、仕方ありません。
ところがそうこうしていると、あの4年生のお子さんがみんなにお菓子を配り始めたのです。
チョコレートの入った箱を差し出してかわいい声で「おひとつどうぞ」と。
大人にとってお菓子くらい、安いものですし、普段用意してあるお菓子も、別に何とも思わずに食べたり食べなかったりしているのですが、この時ばかりはそれを「有難い」と感じられたのは私だけではなかったと思います。
飽食の時代には、手弁当もあながち悪くないのではないかと感じたのでした。
頂いた感想文にも「最初はどうなることかと思ったが、とても心温まるMGで、気づきも多かった」という声がありました(私も同感でした笑)。
MG for Studentsは大人だけのMGとは違い、ふたを開けてみないと何が起こるか分からないところがありますが、良い意味でも本当に色々なサプライズがあって面白いです。
来年もまたこの取り組みを続けてゆきたいと思います。
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