MGコラム
西順一郎先生と出会い、目から鱗が落ちた初めての2日間MG
2012.09.14
米津税理士さんのワンデーMGで経験を積んだ(といってもたった9期だが)私は、意気揚々と愛環MGに乗り込んだ。
米津税理士さんのワンデーMGの時に配って頂いた愛環MGのチラシに書いてあるアドレスにメールを送って申込をした。
参加料は3万円。当時の私には大金だったが、ここまできたら2日間コースまで受講しようとその時は腹を決めていた。
案内状にホテルの案内も有ったので、宿泊も申込んだ。日帰りできる距離なのに太っ腹なのは、それだけMGを楽しみにしていたからだろう。
そして運命の当日、確か雨だったような・・・。上前津で地下鉄を降り、地図を頼りにようやく辿り着いた鍋清セミナールーム。
実は目的地の手前に鍋清と看板のあるビルがもうひとつあり、そこで作業している人に聞いたら、それは別の建物だと案内してくれた。
セミナールームとは言うものの、見た目はただの倉庫か物置だ。ダンボールがうず高く積まれた飾りっ気ゼロの倉庫の扉にMG会場と書かれた紙が貼られてなかったら、絶対に分からないと思う。まさかこんな地味な場所で先進的なセミナーが行なわれているなんて・・・。
今時珍しいタイプの古ぼけたエレベーターで5階に上がると、MG会場だ。
エレベーターの扉が開くと・・・なんと5卓もある。細長い部屋に30人くらいの人。
これまで参加したワンデーMGは2卓で、せいぜい12人だったので、まず人の多さに驚いた。
ワンデーMGで知ってる人が2〜3人。その他は知らない人ばかり。
さて、愛環MGのインストラクターはMG考案者の西順一郎先生その人だ。
もちろん私はこの時が初対面。
米津税理士さんは、いかにも頭が良さそうな『先生』って感じの人だったが、西先生はどんな人なのだろう?
今でも覚えているのは、西先生がすぐに私のことを「ゴルゴ君、ゴルゴ君」と憶えてくれたことだった。
西先生の講義は難しくない。簡単で基本的だが大事なことを、シンプルな例を使って子供にも分かるように話される。会計恒等式の説明の時の井村屋あずきバーの話はとても有名だ。
そして話がすぐ脱線する。講義をしている途中で、どこどこに某という人がいて、こんなことを言ったとか、関係ない話に飛んで行ってしまう。脱線した後で、自分で「ところで何の話をしてたんだっけ?」などと言われるものだから、真面目に聞いている方はズッコケてしまう。
ところがそんな西先生の話は参加者をしっかりと引き込んで離さない。
老若男女いろんな参加者がいたが、みんなちゃんと聞き入っている。
愛環MGは参加者もひと味違っていた。
米津税理士さんのワンデーMGは、税理士さんが主催だからか、割とまじめな感じの人が多かった。
ところが愛環MGの参加者は実に個性的だ。
名簿を見ると、県内の人は半分くらいで、残りは静岡や関西など、遠くからも集まってくる。
決算の時も、ワンデーMGではみんなまじめに黙々と取り組んでいたが、ここ愛環ではワイワイガヤガヤ・・・。オイオイ、そんなんでちゃんと決算ができるのか?と心配になったが、意外なことにみんなチャッチャと決算をクリアしていく。
それまでの私はMGを非常に真面目に捉えていたと思う。
開業したての社労士として、経営者の相談相手にならなくてはならない、そんな意気込みが私の視野を狭めていた気がする。
でも、愛環MGでは何か違うと感じた。
西先生もテキトー(に見えた)だし、参加者は楽しみまくっている。そのくせやることはしっかりやっている。
何なんだ?このギャップは???
ゲームの方は、2期で6個しか売れず、3期はE卓(ドベ卓)。もちろんジュニアルール。
その時に私の右となりに座った人が元松下電器の通称Mヒデさんだった。
私は青チップを3枚買っていて、Mヒデさんは赤チップしか持ってない。
他の人も大体青チップを持っていて、Mヒデさんの親の時はみんな好きなように売っていた。
そうこうしているうちに、またMヒデさんが仙台と札幌に7個入札した。
ところが気が付いてみると誰も在庫を持っていない。
Mヒデさんは40円と36円というムチャクチャな最高値で独占販売である。
それだけではない。
Mヒデさんが売ったその後が私の番だったのだが、運悪くリスクカードを引いた。
そのカードは「景気変動、逆回り」。
なんとその場でMヒデさんは「自分で売ったモノを自分で仕入れるのは最高だなあ!」などと、憎たらしいことを言いながら、材料を今度は最安値の10円と11円で7個仕入れてしまった。
その後はもう、Mヒデさんの独壇場だ。
在庫を切らした我々青チップ組は、Mヒデさんの大量入札に応札できず、何度も独占販売を決められてしまった。
こんなゲームはそれまで見たことがなかった。
MGとは、単なる青チップ買い増し競争のチキンゲームだと思っていた。
ところが、青チップ無しで最高値で売ってしまう魔法使いのような人がいる。
これもまた、愛環MGでのカルチャーショックだった。
3期の決算では、なんだか頭が真っ白になってしまって次に何をやればいいのか分からなくなってしまった。
その時に質問した相手が三和服創の通称パンダさんだった。
パンダさんとはその後もMGで何度もご一緒することになるのだが、なぜ覚えているかというと、実に単純かつ重要なことを教えてくれた人だったからだ。
「次に何をするかは真ん中に書いてある決算プログラムを読めば載ってるよ」
・・・なんと、私はこの時4回目のMGだったにも関わらず、決算プログラムを読むということを知らなかったのだ。初心者とは恐ろしい・・・。
恥ずかしながら、この時私はようやく決算に開眼したといっていい。
それまでは何が分からないかすら分かっていなかった。
私はパンダさんに疑問に思っていることを全部聞いた。
それまでバラバラだったパズルのピースを8割方整理することができた。
「なあんだ、そういうことだったのか」
今となっては信じられないことだが、当時は本当にそんな基本的なことも分かっていなかったのだ。
3期の決算は26位。ドベだった。
3期の後は夜のお弁当を食べて、MQ会計の講義と経営計画。その後は3.5期といって自由参加の飲み会がある。
近所の居酒屋に流れるわけだが、ほとんどが初対面の人。にも関わらず、MGのことを私は聞きまくった。
そして私はその3.5期でそれまで気づいていなかった様々な点に気づくことができた。
倉庫を借りるかどうかを考える時に、リスクカードの中身を前提にして考えるべきであることとか、プレイヤー間のお金の貸し借りができることとか。
私はそれまでに1回しか大型機械を買ったことがなかった。それもその1回は初MGの時に前繰現金を写し間違えていたために本当は無いはずのお金で買ったもので、まともに大型機械を買ったことはまだ無いし、大型機械を有効活用できたことも一度もない。だからとにかく一度、大型機械を買ってみたかった。
3期はMヒデさんが売らせてくれたおかげで少し黒字にはなったものの、自己資本は199、現金も31円しかない。とても大型機械は買えないと嘆いていた私に救いの手を差し伸べてくれた人が居た。
実はそれが誰だったかを正確に記憶していないのだが、名簿から見ると(有)サーブのMさんかイノブンのIさんだったと思う。
借金の条件は、色々と交渉した結果、1行につき1円で100円借りることになった。それプラス、自分で借りた100円を合わせて大型機械を買うことができた。ところがその後すぐに教育失敗を引いてしまい、せっかくの大型機械だったが5個製造体制になってしまった。このころはまだ教育チップを買い足す勇気が無くて、どうしたらいいのか分からないMGだった。それでもジュニアルールだったせいか、少し黒字が出て自己資本は4期末で252まで回復した。
友人借りした100円は9行目で返済することができ、金利は9円で済んだが、これがもし期末まで返せなかったら45円の金利になっていたかもしれないので、そういう点では恐ろしく高利とも言える条件だが、私の方からお願いしたことなので納得済みだった。
3期で魔法を見せてくれたMヒデさんは当然A卓へ上がって行かれた。
そのA卓で圧倒的強さを発揮しておられたのが、芦屋の橋本さんだ。自己資本グラフは無人の野を往くが如く、孤高の存在で、ぶっちぎりで最優秀経営者賞と4Aを達成された。
まだジュニアルールしか経験のない当時の私には、到底そこで何が行なわれているか理解することはできなかった。
5期の私は結局、自己資本283と2期の振り出しへ戻った形で終了となった。
大型機械は手に入れたものの、その他の戦略とのかみ合いがないままでは、結果を出すことができなかった。
しかしそれでもこの二日間で得られたものはとても大きかったと思う。
まず決算。これまではなんとなく、やってみるまではできるかどうか自信が持てなかったが、パンダさんの助けで基本を理解し、2日間で5回も決算を繰り返したおかげで、最初にあれだけ苦労した決算が怖くなくなった。今後二度とドベになって苦しむことはあるまいと思えたし、事実そうなった。
次にゲーム。青だけでなく、赤の戦略があることを知った。また、シニアルールでもすごい利益を叩き出す強者が全国には居ることがわかった。
ただし、この時点で私が経営者の相談相手になれるかというと、そこまでの自信が身に付けられたとは言えなかった。そうなるまでには、もっともっと期数を積む必要がありそうたった。
私はこの後、一年半の間、MGに参加しなかった。本業の社労士業がまだ軌道に乗ったとは言えない状況だった事と、青年会議所の卒業年度に委員長をやることが決まっていて、まずは今しか出来ないことを優先させることを決めていたからだ。
そして、委員長を終えた2011年から、本格的にMGを再開することになる。それはまた別の話。
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