GOLGOのひとりごと

【会社を守る!・リスク管理】記事一覧

2018.10.22
NEW 在宅勤務中の労災
2018.09.17
労災保険のメリット制
2018.09.12
労災の業務起因性と業務遂行性②
2018.09.10
労災の業務起因性と業務遂行性①
2018.09.03
労働条件の不利益変更
2018.08.27
社員に損害賠償を請求できるか?
2018.07.09
建設業の労災保険
2018.06.18
休職制度は必要か?
2018.06.12
算定基礎届・年金事務所の調査
2018.03.26
固定残業制度
2018.03.19
過労死と会社の責任
2018.03.06
資金繰りとキャッシュフロー計算書の目的
2018.01.26
仕事の後の飲み会は残業扱いになるか
2017.12.30
年金事務所の調査のポイント
2017.12.03
精神疾患のため休みがちな社員への対応
2017.11.26
SNSの発信を会社が取り締まることができるか
2017.11.19
インフルエンザにかかった社員への対応
2017.10.15
社員が会社のお金を横領・窃盗したら?
2017.10.09
遅刻や無断欠勤への対処
2017.09.29
注意するとパワハラ呼ばわりする社員
2017.09.04
退職勧奨と解雇は同じではない件
2017.08.20
通勤災害とは
2017.05.28
アルバイトやパートにも雇用契約書が必要か?
2017.04.24
通勤中にケガをしたら
2017.04.09
研修中の安全配慮義務
2017.03.23
出張や社員旅行などで泥酔してけがをした場合に労災保険は使えるか?
2017.03.07
アルバイトの労災保険
2017.03.01
社員が自主的にサービス残業していると会社は罰せられるか?
2017.02.21
上長の指示に従わない社員への対応
2017.02.14
無断欠勤!無断遅刻!
2017.02.07
パワハラの定義について
2017.01.17
試用期間に問題社員を解雇する場合
2017.01.11
過重労働撲滅特別対策班
2017.01.04
賃金構造基本統計調査には協力せねばならない?
2016.09.20
有期雇用契約の注意点2
2016.09.14
有期雇用契約の注意点1
2016.08.24
休職者の職場復帰をどう判断するか?
2016.08.09
年金事務所の調査
2016.07.12
監督署の調査の種類
2015.12.22
人事労務の環境整備不足は「負債」である
2015.11.02
団体交渉の注意点
2015.10.27
労働組合からの団体交渉
2015.10.20
セクハラの定義
2015.10.12
セクハラ対策
2015.09.22
自主的な残業への残業手当問題
2015.09.15
協調性のない社員を解雇できる?
2015.07.15
パワハラの定義について
2015.05.05
解雇が無効になった場合の金銭支払
2015.02.10
労働組合法を知ってますか
2015.01.19
退職勧奨の注意点

在宅勤務中の労災

2018.10.22

在宅勤務をしている社員が怪我をしたら、労災の適用になるのでしょうか。

例えば、仕事のファイルを取りに行く時に転んで怪我をした場合、労災の対象として認められるかがきになるところです。

 

回答

在宅勤務中であっても労働者である以上、労災保険の補償対象となります。

ただし、私的行為との境界線が見えにくいので、オンオフがわかりやすい管理をした方が良いでしょう。

 

解説

労災保険法の適用に関しては、 「業務が原因である災害については、 業務上の災害として保険給付の対象となる」 とされる一方で、 「自宅における私的行為が原因であるものは、業務上の災害とはならない」とガイドラインで定められています。 私的な行為をしている場合は労災対象外になってしまうので、仕事中の事故であることを証明できるように準備が必要ということになります。

 

例えば、時間的に「仕事時間」と「指摘時間」を区別するよう管理すること。これは日報やタイムシートなどで作業時間の報告管理をするようにする必要があります。

また、場所的な管理も場合によっては必要かもしれません。「自宅以外の作業を禁止する」というルールがあれば、自宅作業の業務遂行性を証明しやすくなります。

 

予想される労災

在宅勤務をしていて起こりうる労災は次のようなものがあります。

 

・文房具で手を切る

・転倒する

・郵便物を出しに行く時に交通事故にあう

・座りっぱなしで腰痛になる

・パソコンの画面を見続けることによる目の疲労

 

このうち、腰痛や目の疲労については業務との因果関係を証明するのが簡単でありません。

労災保険のメリット制

2018.09.17

自動車保険では、事故により等級が変化することがあります。安全運転でゴールド免許の優良ドライバーは事故を起こす可能性が少ないので、保険料を安く抑えるご褒美があるということです。

 

一方、労災保険においては、事業の種類ごとに災害率等に応じて保険料率が定められていますが、実際には事業の種類が同一であっても①作業工程、②機械設備あるいは③作業環境の良否、④事業主の災害防止努力の如何等により事業ごとの災害率に差があるため、事業主負担の公平性の観点から、さらに、事業主の災害防止努力をより一層促進する観点から、当該事業の災害の多い少ないなどの状況に応じ、労災保険率又は労災保険料を上げたり下げたりする制度があります。これを「労災保険のメリット制」と言います。

 

継続事業のメリット制

 

メリット制が適用される会社とは

連続する三保険年度中の各保険年度において、次の(1)~(3)の要件のいずれかを満たしている事業であって、当該連続する三保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日(以下「基準となる3月31日」という。)現在において、労災保険に係る保険関係が成立した後3年以上経過している事業についてメリット制の適用がある。

 

(1).  常時100人以上の労働者を使用する事業

(2).  常時20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その使用労働者数に、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率(通災及び二次健診給付に係る率:0.9厘)を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの

(3).  一括有期事業における建設の事業及び立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が100万円以上であるもの

 

メリット収支率

労災保険率を上げ下げする基準は、基準となる3月31日において当該連続する三保険年度の間における当該事業の一般保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に調整率を乗じて得た額と、業務災害に係る保険給付及び特別支給金の額との割合により算出される収支率(メリット収支率)によります。

 

メリット収支率

 (当該連続する三保険年度間における業務災害に対して支払われた保険給付及び特別支給金の額)÷(当該連続する三保険年度間における保険料額(非業務災害分を除く)

つまり、払った保険料と、労災事故によりかかった費用を比べるわけです。

 

効果

収支率の結果により、保険料率が4割の範囲で上下します。

労災の業務起因性と業務遂行性②

2018.09.12

業務遂行性とは:

労災の対象となるためには、「仕事中であった」ということを証明できる状態にある必要があります。これを業務遂行性と言いますが、業務遂行性は次のように判断されます。

 

(a)事業主の支配・管理下にあって業務に従事している場合

この場合、災害は被災労働者の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものと考えられますので、他に業務上と認め難い事情がない限り、業務上と認められます。

 

業務上と認め難い特別な事情としては次のような場合などが考えられます。

・被災労働者が就業中に私用(私的行為)又はいたずら(恣意的行為)をしていて、その行為が原因となって災害が発生した場合

・労働者が故意に災害を発生させた場合

・労働者が個人的なうらみなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合など

 

(b)事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合

出社して事業場施設内にいる限り、労働契約に基づき事業主の施設管理下にあると認められますが、休憩時間や就業前後は実際に仕事をしているわけではないので行為そのものは私的行為であり「業務を遂行している」わけではないです。

この場合、私的な行為によって発生した災害は業務災害とは認められません。

休憩時間に同僚と相撲をとっていて腰を痛めた場合やキャッチボールをしていた時に負傷した場合など。

 

 (c)事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合

出張などの事業場施設外で業務に従事している場合は事業主の管理下を離れているが、労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているわけですから、途中で積極的な私的行為を行うなど特段の事情がない限り、一般的に業務遂行性が認められます。さらに業務起因性についても特にこれを否定すべき事情がない限り、業務災害と認められます。

労災の業務起因性と業務遂行性①

2018.09.10

労災保険は仕事中のけがや、仕事が原因の病気が起きた時に必要な補償を行うものですが、詳しくは「業務起因性」と「業務遂行性」があるかどうかで労災補償の対象とするか否かを決めます。

 

業務遂行性とは:

 

業務上と認められるためには業務起因性が認められなければならず、その前提条件として業務遂行性が認められなければなりません。この業務遂行性は次のような3つの類型に分けることができます。

 

(1)事業主の支配・管理下で業務に従事している場合

担当業務、事業主からの特命業務や突発事故に対する緊急業務に従事している場合

担当業務を行ううえで必要な行為、作業中の用便、飲水等の生理的行為や作業中の反射的行為など

 

(2)事業主の支配・管理下にあるが、業務に従事していない場合

休憩時間に事業場構内で休んでいる場合、事業附属寄宿舎を利用している場合や事業主が通勤専用に提供した交通機関を利用した場合など

休日に構内で遊んでいるよう場合は、事業主の支配・管理下にあると言えません

 

(3)事業主の支配下にはあるが、管理下を離れて業務に従事している場合

出張や社用での外出、運送、配達、営業などのため事業場の外で仕事をする場合

事業場外の就業場所への往復、食事、用便など事業場外での業務に付随する行為を行う場合など

出張の場合は、私用で寄り道したような場合を除き、用務先へ向かって住居又は事業場を出たときから帰り着くまでの全行程に亘って業務遂行性が認められます。

労働条件の不利益変更

2018.09.03

労働条件は会社と社員が対等に合意したものであるため、会社が一方的に条件を不利益に変える行為は制限されます。しかし、経済事情や会社の財務状態、社員の不公平是正などの必要から不利益な変更をしなければならない場合もあるでしょう。どのような場合に不利益変更が認められるのでしょうか。

 

ポイント:

不利益変更に関するポイントは以下の通りです。

 

①      労働者の同意を得ずに、労働条件を一方的に不利益に変更することは原則としてできません。

②      ただし、労働条件を不利益に変更することについて合理的な理由がある場合には、有効とされることがあります。社員全体に影響する事案の場合、不利益変更が合理的なものであれば、これに同意しない労働者も拘束されます。

 

合理的とはどういうことか:

「当該規則条項が合理的なものであるとは,当該就業規則の作成又は変更が,その必要性及び内容の両面からみて,それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても,なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであることをいうと解される。特に,賃金,退職金など労働者にとって重要な権利,労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については,当該条項が,そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において,その効力を生ずるものというべきである。」

このように言われています。

 

合理的かどうかを判断する方法:

上記の合理性の有無は,具体的には,次の事情等を総合考慮して判断すべきである。

l   労働者が被る不利益の程度

l   使用者側の変更の必要性の内容・程度

l   変更後の就業規則の内容自体の相当性

l   代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況

l   労働組合等との交渉の経緯,他の労働組合又は他の従業員の対応

l   同種事項に関する我が国社会における一般的状況等

社員に損害賠償を請求できるか?

2018.08.27

大手コンビニチェーンにおいて、レジの誤算があった時に罰金をとった企業の行為が非難された事件がありました。

社員に対して弁償をさせることは問題なのでしょうか。

 

 

ポイント

社員への損害賠償について、ポイントは以下の通りです。

 

・実際に発生した損害に対して賠償請求をすることは不可能でない

・ただし、労働者が業務の遂行に当たり会社に損害を与えた場合、ワザとである場合を除き、労働者の損害賠償責任は制限されるのが一般的である。

 

 

会社と社員は「労働契約」を結んでいる状態です。労働契約においては「給料を払う義務」と「働く義務」を交換している状態ですから、社員が職務の遂行にあたり、必要な注意を怠って労働契約上の義務に違反したような場合、契約違反として損害賠償を請求することはできます。

 

ただし、事業活動によるリスクはそれにより利益を得ている会社が負うべきであるという理屈もあります。つまり、社員がミスすることも織り込み済みで人を雇いなさい、というわけです。

 

そこで裁判所では、弱い立場の労働者を守るため、会社から労働者に対する損害賠償請求に制約を加えるという考え方をとっています。実際には、よっぽどの背任行為や、重大な過失があった場合でなければ、弁償をさせることは難しいでしょう。また仮に弁償が認められたとしても全額というわけにはいかない場合がほとんどでしょう。

軽はずみに弁償を求めたりしないよう注意してください。

建設業の労災保険

2018.07.09

建設業の労災保険料を決める時には、一般の事業と異なる取り扱いをします。

 

ルール1:継続一括と単独労災

 

労災保険における単独有期事業と一括有期事業の違い

 

建設業の労災は、現場ごとにかかります。マンションAの工事現場と河川B

の土木工事現場は別々に保険料を計算して納付します。

 

一括有期事業とは、有期事業のうち労災保険料の概算見込額が160万円(または確定保険料100万円)未満で、かつ、請負金額1億9千万円未満のものをいいます。この場合、下記の要件を満たせば、それらの工事を取りまとめて一つの保険関係で処理することができます。つまり、小規模の工事現場を継続的に複数行う場合、労災保険料は年度ごとにまとめて申告することができます。

 

一方、単独有期事業とは、一括有期事業に該当しない有期事業をいい、工事ごとに工事現場の所在地を管轄する労働基準監督署において保険関係を成立させ、工事終了の都度、保険料の精算を行います。

 

 

ルール2:建設工事の労災保険料の計算方法

 

建設業における労災保険料の計算方法は、一般事業とは異なり、下記の計算式で算出することになっています。

 

労働保険料=請負金額×労務費率×労災保険率(注1)

 

労務比率とは、「請負金額の何%が人件費か」という比率です。労災保険料率は、危険度の高い現場ほど高く設定されています。

休職制度は必要か?

2018.06.18

休職とは

休職とは、従業員が病気・留学等で仕事ができない場合に、労働契約を「維持したまま」一定期間、勤務を免除する制度です。

 

この休職制度については多くの企業で規定されていますが、実は労働基準法や労働契約法上、休職制度を設けることは義務付けられていません。休職制度を設けるかどうか、どのくらいの長さの休職を認めるかは、会社の判断で自由に決められます。

 

休職制度を作るメリットとデメリット

休職制度があるメリットは、社員の安心でしょう。病気になっても雇用が守られることで社員は安心して働くことができるでしょう。

一方で、休職期間中、会社は社会保険料を負担し続けないといけませんし、周りの従業員が抜けた従業員の仕事のフォローをしなければならないため負担が増えることはデメリットかもしれません。

 

休職制度がない会社で病気になった時

休職制度がない会社で社員が病欠する場合、①有給休暇を使う②欠勤として取り扱う③働けないから解雇となるなどの選択肢があります。病気だからすぐに解雇するのは無慈悲に思いますが、「労務を提供することができない=労働契約に定めた債務不履行の状態」ですから、契約解除の理由になります。

 

ただし、解雇をするとなると解雇の予告も必要ですし、解雇の合理性を巡ってモメる可能性もあります。休職制度は、一定期間、解雇を猶予する制度と考えることができます。一方、解雇のトラブルを防止できるという大きなメリットがありますので、数ヶ月なら乗り切れるという会社であれば、休職制度を設けることを検討することに意味はあると思います。

算定基礎届・年金事務所の調査

2018.06.12

社会保険の算定基礎届を毎年7月10日までに提出しますが、書類の提出だけでなく補助書類を持って年金事務所に行かなければならない場合があります。これを「定時決定時の調査」と言います。

 

調査の目的

調査の目的は大きくわけで2つです。

 

①      社会保険に入るべき人が入っているか

②      社会保険の等級は実態とあっているか

③      月変漏れはないか

 

社会保険関係の書類は事業主が書いた通りに登録されるため、不正に、あるいは勘違いにより正しく手続きをしていないかを確認し、間違っている場合は是正をすることを目的にしています。

 

調査の背景

年金事務所はこれまでも事業所をランダムに選んで調査を実施してきました。「適正な手続きができているか」を確認するのが狙いでしたが、アトランダムに実施するとなると調査から外れる企業も多く、不正や怠慢を防ぐ「抑止」効果が見込みにくいということで、3年ほど前から、どの事業所も4、5年に1回は必ず調査対象となる現在の呼び出し調査を実施することになりました。この調査は、毎年行われる算定基礎届の提出時期に合わせて実施されます(注)。

 

注: 管轄する事業所が多い年金事務所の場合は、算定基礎届の提出期限である7月10日を過ぎても(7月いっぱいくらいまで)、調査を実施していることがあります。

 

調査対象となったときに持参するもの

調査で求められるものは、おおよそ次の7、8種類です。

 

1. 算定基礎届

2. 厚生年金保険70歳以上被用者.算定基礎届(対象者がいる場合)

3. 算定基礎届総括表

4. 算定基礎届総括表附表(雇用に関する調査票)

5. 賃金台帳、出勤簿(タイムカード)

6. 源泉所得税領収証書

7. 提出済の適用関係諸届(注)

8. 事業主印

固定残業制度

2018.03.26

残業についての社会的な関心もあり、最近は特に「定額残業制度」についての整備は必要な場合が多いでしょう。

 

「月額の給与に残業代も含んでいる」と言えるようにするためにはどのような要件があるでしょうか。

 

要件1

就業規則に固定残業制度について規定されていること

まずは会社のルールブックである就業規則(賃金規程)に固定残業制度が規定されている必要があります。その際、「定額残業で定める時間数を超えて残業した場合は差額を支給する」という文言も必要です。

 

要件2

雇用契約書にも記載されてあること

就業規則が会社全体の約束事であることに対し、雇用契約書は個別の労働者と労働条件について合意している証拠です。その雇用契約書に「定額残業代部分が、それ以外の賃金と、明確に区分されていること」「定額残業代部分には、何時間分の残業代が含まれているのかが、明確に定められていること」が必要です。

 

要件3

時間外労働(残業)時間が、要件2で定めた時間を超えた場合は、別途割増賃金の支払うこと

固定残業制度=残業管理をしなくて良い訳ではなく、毎月差額が発生するか否かをチェックしている実態が必要です。

 

要件4

給与明細でも基本給と固定残業手当が分離して表記してあること

社員の手元に届く給与明細でも分離して表記してなければなりません。就業規則だけでは不十分です。

過労死と会社の責任

2018.03.19

過労死に限ったことではありませんが、労働者の健康に対する注意を怠った場合、損害賠償の支払い義務が生じることがあります。なぜなら、会社は労働者の生命や体を危険から保護するよう配慮する義務を負っているためです。

 

過労死とは

過重労働などが原因で脳梗塞や、心筋梗塞などを起こして死亡に至ることを言います。過労死の認定基準は平成7年に設けられ、平成13年に改正がなされています。

具体的な認定基準は、以下の通りです。

(1)発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的および場所的に明確にしうる異常な出来事に遭遇したこと

(2)発症前おおむね1週間で特に過重な業務に就労したこと

(3)発症前おおむね6ヵ月にわたり著しい疲労蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

 

また、(3)については

・発症前1ヵ月ないし6ヵ月にわたり概ね45時間を超える時間外労働がある場合は業務と発症との関連性が強まる

・発症前1ヵ月間に概ね100時間を超える時間外労働が認められる場合、発症前2ヵ月ないし6ヵ月間にわたり1ヵ月あたり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は業務と発症との関連性が強い

 

等の目安が示されています。

 

会社の責任

社員の死亡が過労死とされ業務上災害と認められた場合、会社が「過労死の防止措置」をとっていたかが問題となります。 会社は、法で定められた健康診断を行わなければなりません。異常が発見された場合は再検査を行わせたり、業務量を減らしたりなど、社員の健康状態に注意を払う必要があります。

もし、健康診断を適法に受診させていない場合や異常発見の場合に何の措置も講じていなければ、遺族から損害賠償を請求された場合、拒むことが難しくなります。

 

健康上の異常が発見されない場合でも、長時間労働が慢性化している場合は注意が必要です。業務の省力化など、できる限りの対策を講じましょう。

資金繰りとキャッシュフロー計算書の目的

2018.03.06

CFMGで取り扱う資金繰りとCF計算書。これらはどちらもキャッシュというものに焦点を当てていますが、それぞれの目的は異なります。

資金繰りとはキャッシュの出と入を把握して資金ショートを起こさないように管理すること。つまり目的はキャッシュの維持であり、経営者が第一に考えるべき課題です。

一方、CF計算書はキャッシュの動きを営業・投資・財務の3つに分類して、その会社のキャッシュの使い方からその会社の状態を知ることが目的です。これはむしろ金融機関や投資家が考えるべき課題です。

CFMGセミナーでは、資金繰り計画書を作成して資金をショートさせない範囲でできるだけ利益と長期的キャッシュの増大を図る計画を立てます。ここでは、CF計算書のようにキャッシュの分類をする必要はありません(CF計算書の見方については講義があります)。大事なのはトータルでキャッシュがうまく回るようにすることです。

経営者は企業の実態を知っている立場ですから、わざわざ過去のCF計算書から分析する必要はありません。むしろ未来の資金繰りを考えることの方が重要です。
資金繰りに失敗した会社は「信用」という無形財産を失うことになります。
経営というゲームからの退場、つまりゲームオーバーを言い渡されることになります。

今年のCFMGセミナーは7月と9月と11月に開催を予定しております。最低一回は通常版のMGセミナーを受講していることが参加条件となっておりますので、未経験の方は通常のMGセミナーのスケジュールもご確認の上、ご検討ください。

仕事の後の飲み会は残業扱いになるか

2018.01.26

年末年始が近づき、忘年会や新年会の開催時期がやってきました。社内コミュニケーションを円滑にするためにも、全ての従業員には出席してもらいたいという願望が会社としてはあると思います。

ただし、参加者の集め方によっては、飲み会の時間が残業時間とされ残業代の支払が生じる可能性があるので注意が必要です。

 

会社命令の有無

残業時間か否かの判断は、飲み会の席に「行かなければならない」状況であったかが大きなポイントになります。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。

なぜなら、社員は労働契約によって会社の指示・命令に従い労務を提供する義務を負っていますが、契約時間の範囲を超えて拘束することはできないためです。

会社が業務の範囲を超えて指示・命令をするのであれば、必然的に労務の対価としての賃金を支払う義務も負うことになります。

 

残業代よりも労災が争点になる

この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。

労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。

 

ちなみに、酒席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。

年金事務所の調査のポイント

2017.12.30

年金事務所から会社宛てに、社会保険調査の為の呼び出しがかかることがあります。

社会保険調査とは

年金事務所が会社に対して社会保険料を適切に納めているかを確認する調査です。加入漏れや給与変更に伴う保険料変更手続きのし忘れなどの不適切な処理を発見し、正しい保険料を徴収するために行われます。

調査で確認される主なポイントは①加入漏れと②報酬金額です。

①加入漏れの確認

まず、タイムカードから出勤状況がチェックされます。社会保険の加入基準は正社員の4分の3以上ですので、基準を超えて働いているパートがいないかチェックされます。一般に正社員は法定労働時間上限の「週40時間労働」のことが多く、この4分の3である「週30時間以上」働いている形跡がある場合、加入漏れの可能性を指摘されるでしょう。

②報酬金額の適性の確認

報酬金額が正しく届出されているかも要チェックです。例えば給与額が30万円でありながら社会保険の標準報酬月額が20万円であるなら、その10万円の差額は指摘を受けるでしょう。

未加入者が発見された場合、過去に遡って保険料負担が発生することがあります。保険料は本来、会社と社員が折半するものですが、会社の不手際で未加入であった場合、社員から折半の同意を得られるかはわかりません。

調査で指摘されたことを無視し続けた場合は、最悪財産を差し押さえられることもあります。無視をした以後は立ち入り調査の対象となり、目を付けられることもありますので注意してください。

精神疾患のため休みがちな社員への対応

2017.12.03

最近では仕事のストレスなどからうつ病になるような事例が多く見られるようになりました。精神的疾患により、職場の人間関係が壊れたり、不定期な欠勤が繰り返されるなどの状況が見られたりする社員への対処法について解説します。

労務不能か否か:

例えば内臓の病気のため入院するのと同じように、精神的疾患も病気です。したがってその対応については、その他の病気と同じように「労務に支障があるものかどうか」を判断して対応します。主治医の診断で長期の自宅療養や入院が必要であれば、就業規則の休職制度による対応をすることとなります(休職制度がない場合は、欠勤として取り扱いながら主治医の診断書を基にして必要な対応を検討します)。

病気により労務不能であるかどうかは医学的に確認したいところですが、主治医の診断書の内容について、会社から本人を飛び終えて問い合わせることはやめたほうが良いでしょう。本人の同意を得た上で、診断書の内容について問い合わせをし、場合によっては面談(三者面談が望ましい)により確認を取った上で、今後の対応を検討することが望まれます。

本人や周囲の関係者との話し合い:

対応についてはまず、本人と状況について話し合いができるかを検討しましょう。本人との話し合いが困難な場合は、身元保証人、配偶者、両親などを交えて話し合いを行います。

社員は健全に労務を提供する義務がある:

労働契約とは、会社が賃金を支払う代わりに労働者が「健全な状態で労働力を提供する」契約ですから、私傷病により労務が提供できない労働者は債務不履行の状態にあるということができます。会社は当人が健全な労務提供ができる状態であるか否かを判断し、無理であれば「休むことに専念して回復しなさい」と休職を命ずる立場であることに注意しましょう。

SNSの発信を会社が取り締まることができるか

2017.11.26

ブログ、facebook、ツイッターなどSNSが普及し、ネット上にいろいろな書き込みが手軽にできるようになりました。このことにより「会社の悪口を書く」「同僚同士のいじめや誹謗中傷が起こる」「会社の秘密情報をばらす」などの新たな労務問題の発生リスクが高まりました。企業はSNSについてどう対応したらよいでしょうか。

ポイントは「企業秩序」:

各人には原則として憲法で保障された言論の自由がありますので、個人的な信条や感情をブログなどで表現することについて会社は制限をする立場にありません。しかし、社員には集団行動をする上で団体の秩序を守る義務が当然に課せられていると解されるため、「会社のブランドイメージを壊す」「書き込みの内容が事実に反しており、風評被害を招く」、「機密情報を漏洩する」、「社内不和を招く」恐れがある場合など、「企業秩序を乱す」場合は、懲戒処分(ペナルティー)の対象とすることが考えられます。

行き過ぎたSNSの使用に対しては、懲戒処分により抑止する方策を考えましょう。

懲戒の対象と考えられる書き込み内容とは、以下のものが挙げられます。

・事実に反するもの

・批判内容が社会的に相当な範囲を逸脱して不穏当な誹謗中傷となるもの

・機密情報を漏洩するもの

・上司・同僚の個人攻撃をしているもの

就業規則に根拠条文を追記する:

まず、就業規則に懲戒の根拠となる以下のような規定を整備します。

「正当な理由なく、会社の名誉又は信用を損なう行為をしないこと」

「インターネット上に、会社や会社の社員に関する事項を掲載しないこと」「秘密情報を漏洩しないこと」「犯罪行為を自慢するような反社会的動画などを掲載しないこと」 など、できるだけ禁止行為を列挙しておきましょう。

内容によっては会社の信用を失墜させたことを理由として、行為をした社員に対し損害賠償請求をすることも考えられます。

インフルエンザにかかった社員への対応

2017.11.19

体調不良により急に仕事を休む社員がいると現場に支障をきたしますが、インフルエンザ等感染する病気にかかった場合など、他の従業員に伝染しないように無理に出勤させず休ませた方が良いこともあります。インフルエンザなどで社員を休ませた場合、賃金等の処遇においてはどうすれば良いでしょうか。

法定伝染病とそれ以外では対応が異なる:

法定伝染病の場合、労働安全衛生規則第61条第1号において「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患にかかった者」については「その就業を禁止しなければならない」と定められています。言い換えると、会社は病気の拡散を防ぐために病気の社員を出社させてはいけないということです。

<病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患>

結核、梅毒、淋病、トラコーマ、流行性角膜炎

上記に準ずる伝染性疾患(感染症予防法18条)

一類、二類、三類感染症の患者※

※エボラ出血熱、ペスト、鳥インフルエンザなど

これらの病気については、法律で出社させてはいけないと定められているため、当然に給与の支払い義務はありません。また、会社都合で休ませた時に発生する「休業手当」の支払いも不要となります。

インフルエンザは対象外

ところがインフルエンザ等(はしか、風疹、ノロウイルス等)は、感染症予防法の分類上、就業禁止の対象となるべき法定伝染病には該当しませんので、会社ごとに対応方針を決める必要があります。

通常は病気が社員へ拡散することを防ぎたいでしょうから、休業を命じることになるでしょう。その場合会社都合による休業になります。したがって、最低でも休業手当(平均賃金の60%)の支払いが必要となります。

もっとも、有給休暇を当人が取得して100%給与を受け取る権利もあります。

法定伝染病とそれ以外では就業禁止の根拠及び賃金の支払いの取り扱いが違うので注意が必要です。

社員が会社のお金を横領・窃盗したら?

2017.10.15

現金を取り扱う部署では、従業員の金銭上の不正にも特に注意しなければなりません。また、会社の備品を不正に持ち帰るような行動も取り締まる必要があります。従業員が現金を横領したり、会社の備品を盗んだりしたことが発覚した場合、会社はどのように対応すればよいでしょうか。

まずは事実確認

当然ながら、横領や窃盗が事実であるかどうかを確認することが最も優先します。確たる証拠がない段階で問い詰めた場合、しらを切られ、不正の隠蔽をされてしまう可能性もありますので、しっかりと調査をしてください。

証拠が確かに存在する場合は、当人と面談し、不正が事実であることを認めさせる必要があります。事実を認めさせる方法としては、口頭でなく「顛末書」など書面で行うことが望ましいでしょう。顛末は「横領・窃盗時期、回数、金額、方法、使途、返済の意思の有無、返済の時期、方法」など、できるだけ詳細に書かせるとよいでしょう。

処分決定

顛末書並びにさらなる周辺事実の調査をした上で、当人に対する処分を決定します。処分が下るまでの間は、証拠隠蔽などを防ぐため自宅謹慎を命じることも検討してください。

金銭の横領や窃盗は「刑法犯」です。したがって刑事告訴するかどうかという問題が生じます。刑事告訴するかどうかは、横領・窃盗した金銭の額や頻度、横領・窃盗した金額の返済の有無などによって判断することとなります。

多くの就業規則には「窃盗や横領」の類の刑法犯は大きく信頼関係を損なう事案であるため、「懲戒解雇事由」として規定されています。温情で諭旨退職扱いにすることはあっても、秩序維持のため、原則としては厳しく処分を行うべき事案です。

いずれにせよ、慎重な調査と冷静な判断が必要ですので、社労士など専門家にも意見を聞きながら処分検討をしてください。

遅刻や無断欠勤への対処

2017.10.09

遅刻や急な欠勤、または無断欠勤が多い従業員は、組織に一定の割合で存在します。彼らの行動は、時間を「自分中心」に捉えており、人へ与える迷惑を考えていない点で問題があります。業種・業態によっては柔軟な働き方がふさわしく、厳格な時間管理が馴染まないものもありますが、それでも対外的な印象や、社内で時間をちゃんと守っている従業員とのバランスを考えると、注意指導する必要があるでしょう。

① 記録:

当然ながら、遅刻や無断欠勤の事実を記録しておくことが重要です。タイムカードその他の方法で不正打刻ができない環境を整え、遅刻や無断欠勤の事実を明らかにし、記録しておきましょう。

② 本人の言い分を聞く:

次に、遅刻や欠勤について本人から理由をヒアリングします。病気が原因である場合などやむをえない理由がある時は、状況に応じて特別な対応をすることがあるかもしれません。

③ 再発防止策を指導する:

それから、遅刻や無断欠勤などをしないようにするための「再発防止策」を本人から出させて、指導書などに記録をすると良いでしょう。会社の対応として書面記録をするすることは、本人への自覚をより一層促す意味でも効果があるといえます。ただし、始末書の提出については、会社が作成した雛形を「強要」することは避けてください。

それでも態度が改まらず、無意味な遅刻を繰り返してしまう場合、さらに重い退職勧奨、あるいは懲戒処分として一番重い懲戒解雇といった処分も段階的に検討すべきかもしれません。

注意するとパワハラ呼ばわりする社員

2017.09.29

労働者の権利意識の高まりから、パワハラという言葉をよく聞くようになりました。しかし当然ながら部下への指導の全てがパワハラになるわけではありませんし、パワハラと言われることに過敏になるあまり、上司が部下に対して何も指導できなくなってしまうことも組織運営上の問題があります。

厚生労働省においてパワハラは次のように定義されています。

1、 同じ職場で働くものに対して

2、 職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に

3、 業務の適正な範囲を超えて

4、 精神的・身体的苦痛を与える

5、 または職場環境を悪化させる行為

ポイントとなるのは3「業務の適正な範囲を超えて」という箇所でしょう。

業務上必要な範囲とは、例えば「放置すると重大なクレームを招く行動」「社会通念上当然に守るべき規律を守らない言動」「同様の職務にあたっている他の従業員と比べて著しく仕事の手段及び方法が適切でなく、能率が低い業務遂行」という事実に対してであれば、適正な範囲内と主張できるのではないでしょうか。

ただし、それがあまりに長くの時間にわたる執拗な叱責であったり、暴力を伴うものであったりした場合、4「精神的・身体的苦痛」に該当するとみなされる可能性はあります。

上司としては、できるだけ客観的事実に基づいて冷静に部下の芳しくない行動を指摘し、改善を促すようにしたいものです。

退職勧奨と解雇は同じではない件

2017.09.04

退職勧奨とは、会社からの労働契約解除の「提案」を言います。提案するのも自由であると同時に、その提案に社員が応じるかどうか(退職するかどうか)は当人の意思にまかされ、社員が「合意」することをもってはじめて退職となります。

一方、解雇は本人の意思に関係なく「一方的に」労働契約を打ち切るものです。一方的な契約解除であるため、法律で「客観的合理性と社会通念上の相当性がないと解雇無効」と、その要件が厳しく設定されているというわけです。

上記のような違いがあるため、退職に関する平和的解決のために退職勧奨措置が取られることが少なくありません。ただし、両者には明確に定義に異なりがありますが、処分が用いられる場面は似ています。どちらも「やめてほしい事情がある」わけです。

退職勧奨とはそもそも退職を強要するものではないため、原則として制約はありません。どんな事情であっても構わないわけですが、実際には多くの労働者は給与収入が唯一の生活手段でしょうから、退職勧奨により退職を提案する場合、それなりの事情(会社の経済事情、人員過剰、業務への適性など)を説明し、理解・納得してもらう必要があります。

ただし、退職することを説得するための手段、方法が「社会的相当性を欠く」場合は、違法な退職勧奨とみなされることがあります。

社会的相当性を欠く退職勧奨とは、次のようなものです。

・強迫、詐欺に類する行為があった場合(部屋に閉じ込めて説得したり、大声で怒鳴ったりした場合)

・暴力行為があった場合

・仕事を減らすなど、嫌がらせ行為があった場合

・退職を断っているのに執拗に説得を繰り返す場合

違法な退職勧奨による退職は、「無効」もしくは「取り消される」こととなります。専門家の意見を聞きながら慎重に行う方が良いでしょう。

通勤災害とは

2017.08.20

通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡を言います。ある事故が通勤災害となるか否かは、次の基準により決まります。

言葉の定義:「通勤」

この場合の「通勤」とは、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。

(1)住居と就業の場所との間の往復

(2)就業の場所から他の就業の場所への移動

(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

ただし、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。

言葉の定義:「就業に関し」

通勤とされるためには、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることが必要です。したがって、被災当日に就業することとなっていたこと、又現実に就業していたことが必要です。この場合、遅刻やラッシュを避けるための早出など、通常の出勤時刻と時間的にある程度の前後があっても就業との関連性は認められます。

言葉の定義:「合理的な経路及び方法」

就業に関する移動の場合に、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び方法をいいます。合理的な経路については、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あったとしてもそれらの経路はいずれも合理的な経路となります。

また、当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切りの車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ずとる経路も合理的な経路となります。しかし、特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路とはなりません。

次に、合理的な方法については、鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法を平常用いているかどうかにかかわらず、一般に合理的な方法となります。無免許運転の自動車などは、合理的方法とはみなされない可能性が高いでしょう。

アルバイトやパートにも雇用契約書が必要か?

2017.05.28

週に数日しか働かないアルバイトや時間の短いパートタイマーに対しても雇用契約書を取り交わすことが必要です。
根拠は、まず労働基準法第15条に、「労働条件の明示義務」が定めてあるからです。雇用契約期間や業務内容、勤務場所、賃金や退職に関する事項は、書面によりどのような従業員に対しても交付しなければなりません。逆に言うと、その書類を交付していないことで労働基準法違反になるということです。
また、その法律のあるなしに関わらず、雇用契約書は働く条件を記した書類ですから、トラブル防止のために取り交わすことをお勧めします。近年では、パートやアルバイトであっても残業代や休日休憩、解雇についてトラブルが多くなっています。
非正規雇用の割合が増えている今にあっては、パートやアルバイトでも労基法をはじめとした権利関係を知っており、その権利主張を強くするタイプの従業員と感情的な対立をしてしまうと、退職時に思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。
パートやアルバイトに対しては、とくに「契約期間及び更新の有無」「更新の判断基準」「職務内容」についてトラブルとなることが多いでしょう。専門家の力を借りながらしっかりとした書面を取り交わしてください。
ちなみに、労働条件の明示は会社側が一方的に行っても問題ありませんが、お互いが内容に合意したことを証拠として残すためにも、双方の署名や記名押印がなされた「雇用契約書」の様式になっていたほうがベターでしょう。

通勤中にケガをしたら

2017.04.24

「通勤災害」という言葉を聞いたことがありますか?

通勤災害とは、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」をいい、通勤災害と認められると、労災保険の補償対象として、一定の保険給付が受けられます。

たとえば、いつもの利用している駅で、たまたま階段を踏み外してケガをしてしまった場合は、通勤災害として考えられます。

では、会社に行く途中であれば何でも通勤災害になるか?といえば、そういうわけではありません。

ここでいう「通勤」とは、原則として「住居」と就業の場所との往復の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質があるもの(出張など)を除くものとされています。 「住居」は、就業にあたり、日常生活の拠点となっている場所をさします。

冒頭の駅でケガをした例は、「住居」から出発して、就業場所へ向かう途中の駅でのアクシデントでした。

では、「住居」から出発してすぐにケガをした場合はどうなるのでしょうか。

通勤経路は、一般の人が自由に通行できるかどうかにより区分されることになっているので、通常は門や扉または戸外が境界となります。このため、家を出てから、自宅の庭を通る際にケガをした場合は、認められないケースがほとんどとなります。マンションの廊下で転んだ場合は、共用スペース(=自由に通行できる)にあたるため、通勤災害となるでしょう。

新入社員や春の人事で異動となった社員も、毎日の通勤に慣れてきた頃でしょうか。同じように通勤しているつもりでも、どこでケガをしたのかで、扱いが大きく異なる点に、注意してください。

研修中の安全配慮義務

2017.04.09

企業研修において、歩行、アウトドアなどの運動や、大声を出させるなどのいわゆる「体育会系」なものを行う場合、社員のキャラクターを見極めながら、健康と安全について注意をしたほうがよいかもしれません。

企業には労働者の安全に配慮する義務=安全配慮義務があり、受講者の体力を鑑みることなく過酷な研修を行った結果心身に不調をもたらした場合、企業側が「安全配慮義務違反」を問われる可能性があります。

会社の安全配慮義務違反に問われる条件とは、①社員が心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)があり、②それを会社が回避する手段があったにもかかわらず(結果回避可能性)、何らの手段を講じなかった場合です。この場合に安全配慮義務違反となり、場合によっては損害賠償責任を負うことになります。

いわゆる体育会系の研修における安全配慮という観点で考えると、例えば「持病を持っている、体力が弱いなどの理由により過酷な研修はできないと当人から訴えられたにもかかわらず、」「別メニューを用意するなどの配慮をする余地があったのに」何も対策を打たなければ、労働安全衛生法上の問題が出てくる可能性があるでしょう。

チームビルディングのために多少は過酷な時間を共有することも大切でしょう。しかし近年はそういった体育会系の雰囲気について来れない新入社員も増えているため、何事もやり過ぎには注意が必要でしょう。

出張や社員旅行などで泥酔してけがをした場合に労災保険は使えるか?

2017.03.23

労働者の仕事中のケガや病気については労災保険でカバーされますが、出張や社員旅行などの際に酒に酔ってケガなどをした場合は注意が必要です。

出張中の場合:

出張中は、その用務の成否や遂行方法などについて包括的に事業主が責任を負っているため、よほどの事情がない限り、出張過程の「全般について」事業主の支配下にあるとみなされます。そのため、出張中のケガや病気については労災補償の対象となることが多いでしょう。

ただし、労災には「業務起因性:業務が原因で被災した」ならびに「業務遂行性:業務を行っている最中だった」の二つの要件が必要ですので、どんなケガや病気でも出張中だからOKというわけではありません。

例えば過去の判例では、出張中の懇親会で酔っぱらって階段から落ちた事件について、「懇親会は仕事に付随したものだった」と認められて、労災事故となった例があります。他方で、同じく酔っぱらって二回の窓から用を足していて足を滑らせて転落したケースでは、労災として認められなかったこともあるようです。

社員旅行中の場合:

社員旅行の場合、「業務上」の負傷等であるか否かは、主催の目的、内容、参加の強制の有無、費用負担、運営方法から総合的に判断されることになります。一般的には、参加の強制がない場合には、特別な事情がない限り、社員旅行=労災とはならないでしょう。

飲酒については社会的な監視の目も強まっています。ハメを外し過ぎて事故にならないように気を付けましょう。

アルバイトの労災保険

2017.03.07

労災保険はアルバイトでも加入するか

 

労災保険は人を雇う全ての会社(個人事業含む)が加入しなければならないものです。

 

「保険」と言う言葉から、民間の生命保険や損害保険をイメージしますが、労災保険は「事業所単位」で加入するものであり、民間保険のように「被保険者」という考え方がありません。つまり、労働者の名前などを登録する必要はありません。その意味で、タイトルの「加入する」という表現は正確ではありません。

 

労災保険の対象者

労災保険は、会社で雇う全ての労働者がその補償対象となります。

例えるなら、会社全体で「労災という大きな『傘』」をさして、その傘の下にいる人は働き方に関わらず全て労災の庇護を受けます。

もちろんパートタイマーやアルバイトなどの非正規雇用者であっても労災の適用を受けますので、アルバイトが仕事中や通勤中の事故によりケガ等をした場合、労災から給付を受けることができるわけです。

 

労災保険料はだれが払うか

労災保険料はすべて会社が負担しなければなりません。労災保険料の原則的な計算式は

 

「その会社にいる全ての労働者の1年度の賃金総額×労災保険料率」

 

です。労災保険料率は、仕事の危険度や労災の発生率などをもとに業種ごとに定められており、また数年に一度改定が行われます。デスクワークが中心の業種は労災保険料率は0.3%程度と安く、建設業や林業などは事故が起こりやすいため高く設定してあります。

 

労災事故が起こったら隠さずに速やかに労働基準監督署への報告や給付の手続きを進めてください。

社員が自主的にサービス残業していると会社は罰せられるか?

2017.03.01

社員が自主的にサービス残業していることが当局に関知されると、会社は罰せられる可能性があります。
会社には雇用している労働者に対する安全配慮義務というものがあり、長時間労働によって社員の健康が損なわれないようにするために、労働時間の適正な把握と管理が義務付けられているのです。 

労働時間の適正な把握のために会社がすべきこと

 

会社には労働者の労働時間をきちんと「管理し、把握する」必要があります。そのために何をすべきかについて、厚生労働省が基準を出しています。

 

その 1:始業・終業時刻の確認・記録

使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

 

労働時間の適正な把握を行うためには、単に 1 日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これを基に何時間働いたかを把握・確定する必要があるとしています。

つまり、「いつ出勤して、いつ勤務終了したか」についても記録をさせて、把握しなければならないということです。

 

 

その 2:始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によることを例示しています。

 (ア) 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。

 (イ) タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

 

(ア)について

「自ら現認する」とは、使用者自ら、あるいは労働時間管理を行う者が、直接始業時刻や終業時刻を確認することです。なお、確認した始業時刻や終業時刻については、該当労働者からも確認することが望ましいものです。極端に言えば、毎朝社長のもとへ始業報告に来させるなどの確認方法を指すのでしょう。

(イ)について

タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基本情報とし、必要に応じて、例えば使用者の残業命令書及びこれに対する報告書など、使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録とを突き合わせることにより確認し、記録して下さい。

なお、タイムカード、ICカード等には、IDカード、パソコン入力等が含まれます。

 

つまり、厚労省の基準によると、基本的にはタイムカードなどの1分単位で打刻される類の管理方法を推奨しているということです。単に出勤印を押すだけの出勤表では始業就業時刻や残業時間が分からないからダメ、ということになります。

上長の指示に従わない社員への対応

2017.02.21

上司からの指示に従わない社員に対する対処の仕方

 

上司からの業務指示に従わない社員がいた場合、会社はどのように対応すればよいでしょうか。

 

この問題については、以下の3つのポイントに注意しましょう。

 

1、業務指示の妥当性を確認する

まずはその業務指示の内容および方法が、社会の一般常識から考えて妥当なものであるかを確認しましょう。大声をあげたり暴力を伴ったりすると業務指示というよりパワハラとみなされてしまう可能性が高くなりますし、指示の「発信者」と「受け手」が噛み合っていない場合(割り当てられていない仕事に対する指示や、本来の命令系統と違うボスからの指示の場合など)も妥当性が問題になってくるでしょう。

 

2、業務指示をした記録、および業務指示を聞くように指導したという記録を残す

業務指示が妥当なものであると会社が判断した場合、その指示を「いつ、だれが、誰に対して、なんのために」行ったかをメモや日報などに記録しておきましょう。同時に、業務の指示に従わない社員からも「始末書」を書かせる等の方法で「業務指示をまもらないことについて指導をしたという実績」を記録しておきましょう。

 

3、段階的にペナルティを与えていくか、異動を検討する

最初は始末書などの軽いペナルティーですが、何度も業務指示を守らない場合はペナルティの度合いを強めていくことも検討しましょう。もしくは、そもそも合わない上司と部下を引き話すために異動を考えてもよいかもしれません。

 

 

指示に従わないからと言ってすぐに解雇をしたり左遷したりするのは乱暴で、後々のトラブルにつながりますから、上記のポイントを参考にしながら慎重に進めてください。

無断欠勤!無断遅刻!

2017.02.14

社員が無断で遅刻したり、欠勤したりする場合、会社はどのように対処すればよいでしょうか。

 

前提:遅刻欠勤は労働契約上の違反

無断で遅刻したり欠勤したりということは、労働契約上の労働者としての義務を果たしていない、つまり債務不履行をしていることになります。労働者は会社に対して「決められた条件で働く」という義務を負っていますし、会社は労働者に対して「決められた賃金を支払う」義務があります。

 

ポイント1 事実と理由の確認

まずは無断遅刻・欠勤の事実があったか、ならびにその理由を確認しましょう。遅刻または欠勤の連絡が誰に対してもなかったのか、連絡すべき相手にしていなかったが何らかの連絡をしているのかを事実確認してください。

また、理由が止むを得ない理由であるかどうか、本人から申し開きの機会を与えるとよいでしょう。

 

ポイント2 遅刻・欠勤に対するルール確認

会社としてのルールがあいまいで「なあなあ」になっていないかを確認してください。

実態として遅刻欠勤に対する罰がなされていない場合や、人によって罰を与えたり与えなかったりという場合であれば、会社としても無断遅刻や無断欠勤を咎める根拠が弱くなります。

 

遅刻や欠勤については始業時刻の○分前までに電話(またはメール)で××課長に連絡をいれること、などのルールを決め、就業規則などに明記してください。

 

ポイント3 賃金の減額

約束の時間を働いていないことにより、その時間分の賃金を差し引くことは、原則としては「ノーワーク・ノーペイ」のルールにより可能です。そのほか罰を与えたい場合は、就業規則などにペナルティについて規定し、指導目的で懲戒処分を検討してください。

パワハラの定義について

2017.02.07

パワハラについて、国がその定義を発表しています。

 

厚生労働省が発表した「職場のパワーハラスメント」の定義は以下の通りです。

 

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

 

この定義によると、職場内の優位性は必ずしも上司と部下の間にだけおこるものでなく、同僚間や部下から上司に向けても起こりうるとしています。

 

さらにパワーハラスメントに当たる具体的な行為を6つの類型に分けて示しています。

 

職場のパワーハラスメントに当たる行為の類型

  1. 暴行・傷害(身体的な攻撃)
  2. 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
  3. 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
  4. 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
  5. 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
  6. 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 

つまり、職場で行われている何らかの行為が1~6に該当する場合で、前述の定義に合致するならば「パワハラ」だということになります。

 

パワハラは受け手の認識により成立する

パワハラは行為だけを切り取って判断するものではなく、行為を「受けた側がどう認識したか」と合わせて考える必要があります。例えば、私的なことに立ち入った質問を上司が部下にしたとしても、部下がそれを不快に思わなければパワハラとして成立しないでしょう。

ということは、行為ばかりを糾弾してもナンセンスで、職場において苦痛を感じている人間がいないかを監視する機能を会社に持たせることが大事でしょう。

試用期間に問題社員を解雇する場合

2017.01.17

多くの会社では、本採用前に試用期間を設けています。試用期間は文字通り「試しに使用する」期間ですから、その間に会社への適性や能力、健康状態などをみるために設けられます。

 

では、その「試しの使用期間」内に能力が足りない、意欲が足りない、会社の文化や習慣と合わなさそうだ、などが分かった場合、会社は自由に解雇ができるでしょうか。

 

答えは「No」で、会社が自由に解雇できると考えるのは間違いです。ただし、自社の社員としてふさわしくないと判断された場合は、本採用後よりは解雇が認められやすい(裁量の範囲は広い)傾向はあります。

 

法的には、試用期間中は「解雇権を一定程度留保した雇用契約が成立している」状態となります。適性がなかった場合解雇の可能性があることを示唆している状態ですから、試用期間中の解雇は通常の解雇よりも自由度が比較的高いと言えるでしょう。

 

だからといって「反抗的だ」とか「ただ単に気に入らない」などの理由で解雇できるものではありません。労使トラブルを防ぐためには以下の点に注意して運用するとよいでしょう。

 

 

1、試用期間であることを明言し、雇用契約書などにも明記しておく

2、本採用するか否かの判断基準をできるだけ明確に示しておく(本採用の筆記試験で合格すること、パソコンスキルチェックのための社内テストに合格することなど、合否が判定しやすい条件が望ましい)

3、特に雇入れ14日以内に適性を細かく見ること

 

 

上記の3について、試みの期間中であり、且つ採用から14日以内の人を解雇する場合、「解雇予告(30日以上前に解雇を予告すること)が不要となります。逆に言うと14日経過後は、たとえ試用期間であっても解雇の予告が必要になります。

過重労働撲滅特別対策班

2017.01.11

労働時間|東京労働局・過重労働撲滅特別対策班 通称「かとく」とは?

 

201541日、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が新設されました。

 

国が長時間労働を問題視し、強弁な姿勢で立ち入り調査などをすることで過重労働を抑制しようという意図が見えます。

 

有名なのは、20157月の「ABCマート違法残業摘発事件」です。

36協定(時間外労働の限度を定めた協定書)で定められた上限を超えた残業をさせていたとして、責任者らが書類送検されました。

 

この事件で、ABCマートは法定通りで計算した割増賃金を支払っていたようですが、それでも「労働時間が長すぎること」をもって書類送検に行ったということで、強気な姿勢がうかがえます。人手不足に悩む飲食、小売、サービス業や、ITなど長時間労働が起こりがちな業種に対して、今後もこの過重労働撲滅特別対策班の立ち入り調査が起こる可能性があります。

 

小売・外食・サービス業界などは、近年は人手不足により、長時間労働になりやすいと指摘されていますが、これらの業界に対して、行政の取締はますます強化されていくことが予想されます。

 

残業が多すぎると健康被害を誘発するばかりか、労働者との間でもトラブルの種を育てることになります。最近はスマートフォンなどで気軽に労働法を調べることもできるため、企業側は特に労働時間などの労働環境整備に気をつけなければなりません。

賃金構造基本統計調査には協力せねばならない?

2017.01.04

賃金構造基本統計調査とは、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数及び経験年数別に明らかにすることを目的として、毎年6月(一部は前年1年間)の状況を調べる調査です。

ランダムに当たった事業所に調査用紙が届き、6月30日現在の状況を報告します。

 

調査結果の利用方法

調査結果は民間企業における賃金決定等の資料として広く利用されているほか、損害賠償請求訴訟における逸失利益の算定、最低賃金の決定、労災保険法の年金給付基礎日額の最低及び最高限度額の算定資料などに活用されています。

 

調査に答える義務はあるか

調査対象として指定された場合、答える義務があります。

この調査は、統計法に基づく「基幹統計」に指定されています。統計法第13条では、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定しています(報告義務)。また、同法第61条では、「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

どの会社が調査に当たるか

主要産業に属する5人以上の民営事業所及び10人以上の公営事業所とそれらの事業所に雇用されている労働者を調査の対象として、事業所が所在する都道府県労働局又は労働基準監督署を通じて行っています。

 

毎年6月にはこの賃金構造統計調査の他にもいくつか報告書の届出があります。

記入例がありますので、参考にしながら記入報告をしましょう。

有期雇用契約の注意点2

2016.09.20

契約社員(期間の定めがある雇用契約により雇った社員)の雇止めをすると、社員としては生活が脅かされるため、多くのトラブルが発生しています。雇用の打ち切りについての取扱いは十分な注意が必要です。

 

 

雇止めの予告:

使用者は、有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。

 

予告の対象となる有期労働契約は、

① 有期労働契約が3回以上更新されている場合

② 1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算 1 年を超える場合

③ 1 年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

です。

 

雇止めの理由の明示:

使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。明示すべき 「雇止めの理由」 は、 単に「契約期間の満了」ではなく、具体的な説明を求められます。

 

例:

・ 前回の契約更新時に、 本契約を更新しないことが合意されていたため

・ 契約締結当初から、 更新回数の上限を設けており、 本契約は当該上限に係るものであるため

・ 担当していた業務が終了・中止したため

・ 事業縮小のため

・ 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため

・ 職務命令に対する違反行為を行ったこと、 無断欠勤をしたこと等勤務不良のため

有期雇用契約の注意点1

2016.09.14

契約社員(期間の定めがある雇用契約により雇った社員)の入社、更新、雇止めについては多くのトラブルが発生しています。有期雇用契約に関する取扱いは十分な注意をしましょう。

 

原則1 契約締結時の明示事項等

(1)使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示

しなければなりません。

 

その契約が1回限りなのか、更新する可能性があるのかを説明してください。

具体的には「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」等を説明します。

 

(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対し

て、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。

 

契約更新するかしないかの判断基準の例は以下の通りです。

・ 契約期間満了時の業務量により判断する

・ 労働者の勤務成績、態度により判断する

・ 労働者の能力により判断する

・ 会社の経営状況により判断する

・ 従事している業務の進捗状況により判断する   等

 

これらの判断基準について、できれば入社時に客観的な尺度も合わせて説明できるとよいでしょう。つまり、勤務成績⇒勤務成績が評価基準C以下は更新しない、能力による判断⇒作業Xが概ね10分以内にできること、など具体的な基準を伝えておくとよりトラブル予防になります。

 

契約は最初にしっかりとした説明をすることが重要ですので、手を抜かずにきちんと説明しましょう。

休職者の職場復帰をどう判断するか?

2016.08.24

私傷病(労災でない病気やケガ)が原因で休職した社員が休職期間を満了しそうな場合、会社としては「復帰させるか」「引き続き療養させるか」「辞めてもらうか」などを検討することになります。安易に辞めさせようとするとトラブルにつながりますので注意が必要です。

特にうつ病などの精神疾患は再発性が高く、休職と復職を繰り返す事態にもなりかねません。安易な復帰判断は危険が伴うことに気を付けてください。

 

 

原則的な復帰の判断基準

原則的には「①従来の業務を、通常程度にこなせるかどうか」で、「②会社が」判断をします。

 

まず前提として見落としがちであることが、復職の判断をするのは、あくまで『会社』であるということです。

 

当人の主治医が「復帰できる」と言ったところで、その主治医は業務内容を詳しく知らないかもしれません。念のため会社が指定する医師にセカンドオピニオンを求めるなどの対策を検討してもよいでしょう。

 

例えば「軽微な業務であれば復帰できる」という診断が出た場合、当人の業務の中に軽微な作業があるか、その作業のみをさせることができるか、他の業務に転換することはできるかなどを総合的に検討してください。特にうつ病などの精神疾患による休職の場合、あいまいな診断結果になることが多く、より慎重な復帰の可否判断が必要になってくるでしょう。

 

 

繰り返しになりますが、医師の診断書は判断材料ですので、業務内容がわかっている会社が慎重に検討してください。

年金事務所の調査

2016.08.09

マイナンバー制の開始を受けて、社会保険未適用事業所に対して「社会保険新規適用に対する調査連絡」が郵送されてきています。年金事務所の調査は以下の種類があります。

 

1、定期調査

約4年に一度、管轄内の会社をランダムに当てて行う調査です。算定基礎届の提出時期に呼び出して調査をします。

2、新規適用後調査

社会保険新規適用手続きをした会社について、概ね適用後3~12ヶ月以内に調査をします。

3、未適用事業所への加入指導調査

社会保険未適用の会社に対する加入勧奨調査です。マイナンバーのこともあり、厳格化しています。

 

チェックする内容:

端的に言うと、①社会保険に入るべき人や会社が加入しているか②届出している報酬額が、実態と合っているかの二つをチェックするための調査です。

 

ポイント

未加入チェックのポイント

月間の労働時間が130時間を超えている場合、概ね正社員の4分の3以上の勤務実態があるため、社会保険加入対象者とみなされることになります。パート・アルバイト(フリーター)で社会保険未加入としたい場合、勤務時間を抑える必要があります。

 

実報酬と等級の差についてのポイント

賃金台帳との照合作業の他、源泉所得税の納付書に書かれた給与総額と、社会保険加入者の等級合計の差からチェックをされます。

 

法人事業所は原則としてすべて、個人事業であっても法定16業種の事業所は5人以上であれば加入義務のある会社とみなされます。

 

自社の社会保険加入状況を今一度チェックし、社労士の助言を聞きながら善後策をご検討ください。

監督署の調査の種類

2016.07.12

 税務署の調査があるように、労働基準監督署も労働関係の実態調査(臨検監督)を行います。調査は以下の通り4種類に分類されます。

 

1) 定期監督

最も一般的な調査で、労基署がランダムに調査対象を選択し、法令全般に渡って調査をします。原則としては予告なしで調査に来ますが、事前に調査日程を連絡してから行う場合もあります。主に労働時間や規程、届け出書類等の整備状況の確認を受けます。

 

2) 災害時監督

大きな労働災害が発生した際に、原因究明や再発防止の指導を行うために行う調査です。

 

3) 申告監督

労働者からの申告(いわゆるタレコミ)があった場合に、その申告内容について確認するための調査です。この申告監督の場合、労働者を保護するために労働者からの申告であることを明らかにせず、定期監督のように行うケースと、労働者からの申告であることを明かして呼出状を出して呼出す場合があります。

 

4) 再監督

定期調査などの結果、是正勧告を受けた場合に、その違反が是正されたかを確認するために行われます。

 

労働基準監督官は司法警察官としての権限を持っていますので、監督署調査を断ることはできません(ただし日程の変更などは可能)。法令違反状態を隠そうとして調査を無視したり逃げたりしないようにしましょう。

 

調査については専門的な知識も必要になるため、なるべく社労士など専門家に関わってもらい、事前に是正できる部分は是正して臨んだほうがよいでしょう。

人事労務の環境整備不足は「負債」である

2015.12.22

会社の財務状態を表す「貸借対照表=バランスシート」の見方はご存知でしょうか。左右に分かれているバランスシートは、右側が「資本および負債:お金をどうやって調達したか」を表し、左側が「資産:そのお金が何に姿を変えているか」を表します。

 

健全な会社は「負債」つまり借金や未払い金が少なく、「資産」の中ですぐに現金化できるものが多いと言われています。例えば借金が少なく自己資本で多くのお金を調達しつつ、それを現金や貯金の状態でたくさん持っていれば、いざというときに支払いに困らずに済みます。

 

人事労務の環境の整備状況は基本的にこのバランスシートに表れない数字ですが、実は「目に見えない負債」にあたると考えられます。

 

つまり、残業代や過重労働への対策を何もしていなければいつかそれがトラブルになり、100万円単位のお金が出ていくことになるかもしれません。

 

この人事労務の環境整備の不足とは、例えば次のようなことがあります。

 

・残業代対策ができていない

・休日労働が多い

・健康診断をしていない

・うつ病の人が増えているが対策をしていない

・退職金規程がバブル時期のままで、たくさん支払いが生じる予定がある

・育児休業制度の未整備

 

これらを放置しておくと、会社の財務状態に一気にダメージを与える可能性があることを経営者はよく意識しておく必要があります。専門家の意見を聞きながらしっかり整備を進めていくことをオススメします。

団体交渉の注意点

2015.11.02

労働組合との団体交渉の場では、会社側にはとにかく冷静な対応が求められます。会社側出席者は、大声で怒鳴る、法律違反の言動を不用意にするなどの行為がないようにしなければなりません。ただし、弱気な態度でいると相手のペースに巻き込まれてしまいます。あくまでも「堂々と」交渉に臨む気持ちをもちましょう。

 

以下に団体交渉の際の注意点を紹介します。

 

1、出席者は必ずしも社長でなくてもよい

労働組合側は、社長や代表者が団体交渉に出席するよう要求してきますが、必ずしも社長である必要はなく、人事課長や総務課長が出席しても構いません。ただし、その出席者は交渉内容について社長と同等の決定権をもっていなければなりません。

社長が出席すると、相手は労働法に関する知識不足をわざと社長に向けて集中的に指摘し、交渉を優位に進めようとしてくる可能性があります。社長が激高してしまう性格であるなど、キャラクターによっては他の出席者の方が良い場合もあるので、出席者の選定は慎重に行いましょう。もちろん弁護士を代理人として立てることも有効です。

 

2、団体交渉の場所はできれば社外で

団体交渉の場所として社内の会議室や、合同労働組合の会議室などを指定して来ることがありますが、それも応じる必要はありません。社内会議室を使用した場合、労働組合側は団体交渉が行われていることを他の社員に知らしめようとする可能性もあります。また、わざわざ相手の土俵で交渉をする必要もないでしょう。会議室に余裕がないなどの理由を伝えて、外部の貸し会議室などを用意したほうがよいでしょう。

 

団体交渉は通常1回では終わらず2回3回と続きますが、第1回の団体交渉での進め方が以後の事実上のルールになってしまう傾向があります。最初のルール決めは相手のペースに乗ることのないように慎重に準備をして進めましょう。

労働組合からの団体交渉

2015.10.27

団体交渉とは、労働組合側が団体で労働条件についての交渉を持ちかけることをいいます。

労働組合が自社になくても、労働者が社外にある「合同労働組合」に加入して団体交渉を要求してくるケースが近年では増えてきています。最近は労働組合を組織している会社も多くないので、一部の大企業を除けば、合同労働組合が交渉相手にあることがむしろ目立っています。

 

合同労働同組合とは

合同労働組合とは、所属する職場や雇用形態に関係なく、企業の枠を超えて、産業別、業種別、職業別、地域別に組織する労働組合です。組合のない中小企業の社員が個人単位で加入するほか、社内労働組合に加入している大手企業の社員が加入するケースもあります。

 

合同労働組合からの通知

自社の社員が合同労働組合に加入すると、たいていはいきなり「労働組合加入通知」を会社に送ってきます。これは「あなたの会社の社員○○が労働組合に加入した」と知らせる物ですが、もちろん加入したことだけを伝えたいわけではなくて、「これから労働条件について団体交渉をします」という意思表示と取っていいでしょう。

 

団体交渉の申し入れ

団体交渉で多く取り上げられる議題は「未払い残業代」「有給休暇」「解雇や労働条件引下げ」です。これらについて話し合いに応じるよう求めてきます。団体交渉の申し入れは文書で送られてきます。

 

団体交渉は断ってよいか

団体交渉をする権利は法律で保障されていますので、団体交渉のテーブルに着かずに放置することはできません。放置してしまうと「団体交渉を断るようなヒドい会社だ」という、会社にとって悪い事実ができてしまいます。交渉が不利に進むことのないよう、冷静に対応をすることが経営者には求められます。

セクハラの定義

2015.10.20

セクハラとはセクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。

 

セクハラが起こるのは会社の中だけではなく、会社の飲み会や、打ち合わせに使った喫茶店、顧客の自宅など、社員が仕事をする場所は全てセクハラの定義による職場にあたります。

 

セクハラには以下の二種類があります。

1、対価型のセクハラ

対価型セクハラとは、職務上の権限や地位を利用して、性的な言動をし、そのリアクションに対して解雇や降格、減給などの不利益を受けることを言います。

例えば、デートに誘ったり、交際を迫ったり、性行為を強要したりして、「言うことを聞けば昇給する」などと圧力をかける行為が該当します。あからさまに要求をしなくても、それをほのめかす行為もこの対価型セクハラにあたります。

 

2、環境型セクハラ

環境型セクハラとは、性的な言動によって職場環境が害されることをいいます。例えば女性のヌード写真を貼る、ボディタッチをする、卑猥な冗談を言うなどの行為がこれにあたります。

 

セクハラ的な行為は、受け止め手の感じ方によってセクハラとなるかならないかが異なります。同じ行為をしても、ある人は許され、ある人は許されないという事態が起こりえます。受け手が不快な感情を抱かないように、日ごろから誠実にコミュニケーションをとるようにしましょう。

セクハラ対策

2015.10.12

男女雇用機会均等法では、会社に対して、セクハラ防止のために被害を受けた労働者からの相談に応じ、適切に対応するよう求めています。セクハラ対策としては以下のような内容を検討していきましょう。

 

①セクハラに対する会社の方針を明確にし、周知すること

まずは「セクハラとはどのような行為なのか」を定義することが重要です。そのうえで、会社はセクハラ行為を許さないという方針を明確にし、すべての社員に周知徹底するよう努めなければなりません。

周知方法としては

 

・就業規則に明記する

・社内報に記載する

・社内の掲示板に掲載する

・パンフレットを配布する

・セクハラ対策に関する社内研修を実施し、参加者名簿を記録する

 

などが考えられます。要はセクハラに対する対策をする意思があることを誰の目にも見えるようにすることです。

 

 

②ペナルティと関連付けする

就業規則などで、「セクハラ行為を行った場合は○○というペナルティを科す」などと明記し、抑止に努めることも大事でしょう。セクハラは立場が上の人が下の人に行うことが多いため、管理者研修などで厳格に周知するようにしてもよいかもしれません。

 

③相談窓口を設置する

セクハラを防止するため、できるだけ「相談しやすいように配慮された相談窓口」を設置しましょう。自社内では利害関係者が近くにいて機能しないようであれば、相談業務を外部のカウンセラーや社労士などに委託する方法もあります。

 

 

セクハラに関する問題は場合によってプライバシーにも十分な注意が必要です。専門家の意見を聞きながら自社にあった対応策を検討してください。

自主的な残業への残業手当問題

2015.09.22

会社が指示していないのに残業をした場合でも、残業手当の支払いが必要なのでしょうか。

 

労働時間の定義:

労働時間とは以下のふたつを指します。

①会社が働くように義務付けている時間

②形式的には会社は働くことを義務付けていないが、実質的には義務付けているのと同じと見なされる時間

 

①の時間はいわゆる「所定労働時間」です。9時から18時まで勤務、休憩12-13時であれば、「9時から12時まで」、「13時から18時まで」が①の時間に当たります。

 

②は例えば以下のような時間を指します。

・昼休憩時間中に電話番をさせている時間

・始業前に作業着に着替える時間

・始業前の機会の点検やパソコンの立ち上げ、終業時の後始末の時間

・強制参加の研修や教育の時間

 

これらのいずれかに該当すればそれは労働時間なので、会社はその時間分の給与を支払わなければなりません。

 

では自主的な残業はどうかというと、たとえ会社が残業を命令していなかったとしても、「黙示の指示」をしている場合は労働時間に当たるとされています。

 

黙示の指示とは次のような状態を指します。

・所定時間内ではとうてい終わらない量の仕事を与えている

・会社が残業状態を知りながら黙認している

 

この場合は、たとえ会社が命令していない残業であっても労働時間となり、残業手当の支払いが必要になってきます。この「黙示の指示」をしている状態でないか、自社の状況をチェックしてみてください。

協調性のない社員を解雇できる?

2015.09.15

社内行事に参加しない、協力して行うべき掃除などの雑務をしないなど、協調性がない社員を解雇することはできるのでしょうか。

 

一般的には、単に協調性のなさをもって解雇することは難しいでしょう。

判例では「協調性のないことが業務を遂行する上で重大な障害となっている状態」でなければ解雇は難しいとしています。

「協調性の無さが重大な障害である」とする場合は、以下の点に注意しなければなりません。

 

前提:

就業規則などの解雇理由に「協調性がない場合は解雇とする」などの規定があること。

 

必要なポイント:

1、その行為が繰り返し行われていること

2、その行為が起きた日時を記録していること

3、会社がその者を教育・指導するなど、改善のための努力を行っても改善が見られないこと

4、会社が教育・指導をした事実・日時を記録していること

5、その行為により業務の遂行に具体的な支障があった事実を記録していること

6、その者より勤務態度が悪い者を不問にしていないこと

 

裁判では会社には広く従業員を教育指導する義務があると考えられます。会社として「これだけの指導をして協調性を促したのだが更生せず、結果的に○○という損害や支障が出た」と言えなければ解雇は難しいと考えてください。

 

一方で、協調性とは何かを定義し、その行動を客観的に評価した結果昇給・昇格などの処遇に影響させることはできます。協調性のなさが会社にとって問題であることを理解させるには、人事評価制度とリンクさせて指導することも有効でしょう

パワハラの定義について

2015.07.15

パワハラとはパワーハラスメントの略で、厚生労働省によると「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。「職場内の優位性」は必ずしも上司の部下への優位性だけに限らず、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれるとされています。

 

会社は広く「働く人の安全に配慮する義務」がありますから、パワハラ状況があることを知りながら放置できません。パワハラが原因でうつ病などのメンタルヘルス不調を引き起こした場合、会社がその責任を問われる可能性があります。

 

職場のパワーハラスメントは、次のような例示がされています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)

(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)

(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 

熱血指導のあまり行き過ぎた言動が見られる場合は、会社はフォロー役の人員を配置したり、苦情窓口を設置したりなど「そのストレス(上司・部下両方のもの)を解消・軽減するための施策」を講じ、事故が起こることを未然に防ぐようにしましょう。

解雇が無効になった場合の金銭支払

2015.05.05

会社が従業員を解雇したあとで、辞めさせられた従業員が「解雇は納得がいかない」と主張し、裁判所等に訴え出るケースがあります。

その場合、解雇が有効か無効かを争う事になりますが、裁判で負けて解雇が無効になってしまった場合、会社は思いもよらない金銭を支払うことになってしまいます。どのような金銭を支払う必要が出てくるのでしょうか。 

 

1、係争期間中の給与

解雇無効になった場合、争っている期間中の給与を支払わなければなりません。これは、「雇用関係がまだ続いている」と判断されるためです。この給与には基本給のほか、住宅手当等の諸手当も含まれます。

ただし、必ずしも給与の全額を支払う必要はありません。この期間については「事業主の都合で休んでいる休業期間」とみなされるため、最低でも平均賃金の6割以上を支払えば良いとされています(就業規則で全額それ以上の賃金を払うと規定されている場合は、就業規則で定めてある金額を支払う必要があります)。

いずれにせよ「辞めたはずの社員」の給与を支払うことになることには変わりがありません。

 

2、係争期間中の社会保険料

また、社会保険料や労働保険料の負担も生じてきます。係争期間が長引いた場合、社会保険料などにかかる延滞金も余分に負担する可能性が出ます。

 

3、訴訟にかかる費用

労働問題が裁判になってしまった場合、弁護士報酬などの裁判費用もかかってきます。また、裁判が長引くほど、通常業務に支障を来す「時間的ロスというコスト」も見過ごせません。

 

そもそも日本では解雇に対するハードルはかなり高いものです。従業員に辞めてもらいたい場合でも、すぐに解雇と考えるのではなく、まずは自主退職を進めてみる等、より慎重に進めてください。

労働組合法を知ってますか

2015.02.10

労働者と企業(使用者)が労働条件を結ぶ上で、1人1人の労働者の力では使用者と対等な立場に立つことは難しく、実質的に労働者と使用者が対等な交渉ができるように、憲法では下記の労働三権が保障されています。

1、団結権(労働組合を結成する権利)

2、団体交渉権(労使間の団体交渉を保障する権利)

3、団体行動権(ストライキ等の合法的な労働争議を行う権利)

これらの権利を明確にするために制定された法律が、「労働組合法」です。

 

不当労働行為

労働組合法の中で、最も知っておいて欲しい箇所は、労働組合法第7条に制定されている下記の「不当労働行為:使用者がしてはならない行為」です。

 

・不利益取り扱い

→労働者が労働組合を結成しようとしたこと、もしくは組合員として活動したことなどを理由に、その労働者について解雇等、不利益を与える取り扱いをすること

 

・黄犬契約

→労働組合に加入しないこと、組合を脱退することを条件とした採用活動をすること

 

・団体交渉の拒否

→正当な理由なく、労働組合からの団体交渉の申し入れを拒否すること

 

・支配介入

→労働組合の結成、運営に対し、会社が介入したり、支配すること

 

・経費援助

→労働組合の運営のための経費を、会社が援助すること

 

・報復的不利益取り扱い

→労働者が「不当労働行為」の申立てをしたこと等を理由に、解雇等の不利益取り扱いをすること

 

労働組合法は、使用者に対して、労働組合からの団体交渉に応じ、誠実に交渉する義務を課しています。しかし、交渉が行われたからと言って、労働組合の要求を会社が受け入れなければならないわけではありません。受け入れられない理由を明確に示したうえで拒否することは、当然にできます。労働組合と関わる場合は、労働組合法上の不当労働行為をしないことを前提とした姿勢で臨むようにしましょう。

退職勧奨の注意点

2015.01.19

退職勧奨とは、会社側が労働者に退職の誘引をすることを指します。つまり、「退職をしてはどうかと提案する行為」をいい、相手の意思に関わらず一方的に雇用契約を解消する解雇とは異なった取り扱いをします。

日本における厳しい解雇規制とのバランスを取るために、退職勧奨は裁判などの場では比較的広く認められる傾向があります。裁判でも、退職勧奨行為自体が違法とされるケースは多くありません。例えば、退職を拒否しているにもかかわらず10数回以上に及びしつこく退職を迫る、または退職勧奨を受け入れるまでは軟禁状態で攻め続けるなどの極端な場合にのみ違法性が認められています。

 

では、退職を提案する理由としてはどのようなものがあるのかというと、極端な言い方をすれば「労働者側が条件を呑むのであればどんな理由でもいい」と言えます。つまり交渉の仕方次第でトラブルを防ぎ穏便に退職につなげることも可能です。

実際に退職勧奨をする理由としては(1)経営状況の悪化による人員整理(2)本人の能力不足(3)同僚や取引先からの苦情などが考えられますが、会社側としてはまずそれらの理由を客観的に説明できる資料を持って交渉に臨む必要があります。客観的な事実に基づいて会社が退職を提案していることを率直に伝え、相手方の立場や生活環境も考慮しつつ真摯に説得を試みてください。通常、退職の提案をするからにはいくらかの見返りや当人にとってのメリットを同時に提示して交渉するほうがうまくいくことが多いでしょうから、退職金や賞与の割り増しなどの条件提示を検討する必要もあります。

とにかく、退職勧奨は感情論による対立を出来る限り防ぎ、あくまで大人同士の交渉としてドライに行うことがトラブル予防のためには大切です。