GOLGOのひとりごと

【制度の見通し・世の中の動き】記事一覧

ストレスチェックの 助成金

2018.11.05

政府が社員へのストレスチェックを義務化したことに合わせて、一定規模以下の企業のストレスチェック実施に関する助成金が創設されています。

 

1、助成金の概要

派遣労働者を含めて従業員数 50 人未満の事業場が、ストレスチェックを実施し、また、産業医からストレスチェック後の面接指導等の活動の提供を受けた場合に、費用の助成を受けられるもの

 

2、助成金を受けるための要件

 

□ 1 労働保険の適用事業場であること。

□ 2 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満があること。

□ 3 ストレスチェックの実施者が決まっていること。

□ 4 事業者が産業医資格を持った医師と契約し、ストレスチェックに係る医師による活動の全部又は一部を行わせること。

□ 5 ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。

 

3、必要な活動

(1) ストレスチェック 年1回のストレスチェック

(2) ストレスチェックに係る医師による活動

ストレスチェックに係る医師による活動について、実施回数分(上限3回)の費用が助成されます。

 

【ストレスチェックに係る医師による活動とは】

 産業医の資格を持った医師が

  ・ストレスチェック実施後に面接指導を実施すること

  ・面接指導の結果について、事業主に意見陳述をすること

 4、助成額

 次の費用が助成されます。

 ストレスチェックの実施→1従業員につき500円

ストレスチェックにかかる医師による活動→1事業場あたり1回の活動につき 21,500 円(上限3回)

※500 円と 21,500 円はそれぞれの上限額ですので、実費額が上限額を下回る 場合は実費額が支給されます。

雇用保険の基本手当日額

2018.10.29

雇用保険の被保険者が退職した場合、一定の条件を満たせば基本手当(いわゆる失業保険)を受給することができます。この基本手当ですが、辞める直前6ヶ月の給与を平均した額を基に決定するのですが、世間の給与水準を見ながら毎年8月に改定されるルールになっています。

 

今回も、平成 29 年 8 月 1 日から賃金日額・基本手当日額が変更となりました。

 

具体的には、賃金日額について年齢ごとに「上限額と下限額」を設定しており、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の 増減により、毎年8月1日にその額を変更します。今回は、平成 28 年度の平均定期給与額が前年比で約 0.4%増加したことから、上限額・下限額ともに引き上げになります。

 

これに伴い、基本手当日額の算定基準が変わり、支給額が増額になる場合があります。対象になる方には、平成 29 年8月2日以降の認定日にお返しする受給資格者証に新「基本手当日額」を印字して、お知らせします。

 

◆年齢区分に応じた賃金日額・基本手当日額の上限額

 

賃金日額の上限額(円)

29 歳以下 12,740→13,420

30~44 歳 14,150→14,910

45~59 歳 15,550→16,410

60~64 歳 14,860→15,650

 

基本手当日額の上限額(円)

29 歳以下 6,370→6,710(+340)

30~44 歳 7,075→7,455(+380)

45~59 歳 7,775→8,205(+430)

60~64 歳 6,687→7,042(+355)

平成29年10月施行 育児・介護休業法改正

2018.07.23

厚生労働省より「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタート」のリーフレットが公表されました。

 

改正内容は下記の通りです。

 

①    最長2歳まで育児休業の再延長が可能になります。

1歳6ヶ月以後も保育園等に入れない場合には会社に申し出ることにより最長2歳まで再延長可能となり、育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。

 

②    子どもが生まれる予定の方などに育児休業等の制度のお知らせ

事業主は、働く方やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った場合、その方に個別に育児休業等に関する制度を知らせる努力義務が創設されます。

 

③    育児目的休暇の導入を促進

未就学児を育てながら働く子が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が創設されます。

 

育児休業が最長2年となると産前休業と合せておおよそ2年1ヵ月半の休暇を取得する方も出てきます。

その際、会社としては従業員が円滑に復帰できるよう職場復帰支援プランや休業中の代替要員の確保等、これまで以上に対策を立てることが必要となってきますので、社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の専門分野に相談されるのも一つの方法かと思います。

産業医制度の変更点

2018.07.16

産業医とは事業場において労働者の健康管理を行う医師であり、労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場に対して産業医を選任することとなっています。

 

この産業医制度について平成29年6月に改正がありました。

 

主な改正点

 

◎産業医の巡視頻度

少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供されている場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることを可能とする。

 

◎長時間労働者に関する情報の産業医への提供

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。

 

◎健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。

 

改正の背景には過労死対策、メンタルヘルス対策、疾病・障害がある等の多様化する労働者の健康確保対策の重要性増す中、産業医に求められる役割等が変化し、産業医が対応すべき業務が増加していることからの様です。正式に改正が決まりましたら産業医の先生と巡視回数の相談をされてはいかがでしょうか。

社会保険のパートへの適用拡大

2018.06.25

平成28年10月1日から501人以上の企業で、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方も、社会保険に加入できるようになっておりますが、平成29年4月1日から更に適用範囲が拡大されました。

 

次のア又はイに該当する、 被保険者が常時 500 人以下の事業所が適用拡大の対象となります。

 

-ア.労使合意 (働いてる方々の2分1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること) に基づき申出をする法人・個人の事業所

イ.地方公共団体に属する事業所

 

加入に当たっては、事業主の方が管轄の年金事務所(健康保険組合に加入している企業については、健康保険組合にも申出を行っていただくことが必要です。以下同じ。)に対して、労使合意を行っている旨の同意書を添えて、申出を行っていただくことが必要です。

年金事務所等が事業主の方からの申出を受理した日に、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方は社会保険に加入することになります。

 

短時間労働者が1名でも社会保険の加入を希望した場合、合意に向けての労使の協議を行う義務はありませんが、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるよう努めてください。

 

申出を行った後は一定の要件(*)を満たす短時間労働者は全て加入対象者となりますので、労使間で十分な協議をされることをお勧めします。

 

(*)一定の要件(下記①~④のすべてにおいて該当するもの)

①週の所定労働時間が20時間以上であること(残業時間等は含めません。)

②1月の所定内賃金が月額88,000円以上であること(賞与、残業代、通勤手当等は含めません。)

③雇用期間が1年以上見込まれること

④学生(夜間、通信、定時制の方は除きます。)でないこと

ユースエール認定制度

2018.06.04

ユースエール認定制度の認定基準が平成29年4月1日から変更になりました。

 

ユースエール認定制度とは若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。

 

「労働時間」、「離職率」、「有給休暇」の3つの基準が変更予定です。

 

◎労働時間

変更前(旧基準)⇒直近事業年度の①正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下又は➁正社員のうち、週平均の労働時間が60時間以上の者の割合が5%以下

 

変更後(新基準)⇒直近事業年度の①正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下かつ➁月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員ゼロ

 

◎離職率

変更前(旧基準)⇒直近3事業年度の正社員の新規学卒等採用者の離職率が20%以下

 

変更後(新基準)⇒直近3事業年度の正社員の新規学卒等採用者の離職率が20%以下

ただし、採用者が3人又は4人の場合は、離職者数が1人以下

 

◎有給休暇

変更前(旧基準)⇒直近の事業年度の正社員の有給休暇の①平均取得率が70%以上又は②平均取得日数が10日以上

 

変更後(新基準)⇒直近の事業年度の正社員の有給休暇の①平均取得率が70%以上又は②平均取得日数が10日以上(有給休暇に準ずる休暇として職業安定局長が定めるものを含み、その日数は労働者1人当たり5日が上限)

 

今回の変更では労働時間の基準において特に厳しくなっておりますが、その背景には大手広告代理店の社員が過労自した件の影響もあるようです。

人生100年時代 ~新しい働き方と求められる能力~

2018.03.09

セミナーの感想です。登場人物は以下の4人。
・伊藤禎則(経済産業省)
・小泉文明(メルカリCOO)
・曽山哲人(サイバーエージェント人事総括)
・田久保善彦(グロービス・司会)

冒頭に伊藤氏の講演が30分あって、その後1時間半の座談会。

伊藤氏の講演はいわゆる働き方改革について、旗を振っている役人の立場からのお話。
私は日頃の言動からは、アンチ役人と思われていそうですが、こういう時は真面目に話を聞くんです。
彼らにしか持てないリソースが注ぎ込まれていて、未来予想としてはそこそこ使えるまとめになっているから。

・日本ではカネは余っているがヒトは足りない(質も量も)
・日本型雇用の最大の特徴は、職務が限定されないこと。教育訓練はOJTに依存している。だから長時間労働になりやすい。
・(人生100年時代の)個人の職業寿命60年>企業の平均寿命30年
・これからのキャリアはマルチステージ化が避けられない
・テクノロジーの進化、社会の変化に労働者が対応していくためには、リカレント(反復)教育が必須となる
・長時間労働は論外~真の成果生産性による評価や多様な働き方の選択、そしてより広い視野でキャリアを個人が選択していくことが必要

日本の大企業の中でこういう働き方をさせてあげられている会社はまだほとんどなくて、厚生労働省のモデル就業規則にも、ようやく最近になって副業を認める条項が入ったくらい。

その後の座談会では、先進的な取り組みをしている(らしい)大企業2社からのゲストを交えて同じテーマを掘り下げる。

・資本効率は大企業化した方が強い(高い給料がもらえる)
・人事効率は小さな会社や組織の方が良い(成長できる)
・裁量、配置、決断の経験によって才能が開花する
・いきなり自由を与えられても困る人がいる(レールを敷いてほしい人)
・先進企業で実際に今やっていることは各社員へのヒアリングやリサーチを頻繁に行う事(何かサインがあったらランチに誘う。社員側は無関心も嫌うが見られ過ぎも嫌がる)
・ビジョン、ミッション、バリューによってカルチャーを作っていく(企業文化、風土・・・阿吽ではまとまらない)
・働き方改革の落とし穴は、企業の利害と個人の利害がバッティングしてしまうこと

というわけで、これからの時代は「大人の学び」ブームが来ることになりそうです。
では、日本の教育環境はどうかというと・・・。

・今の日本の大学は企業が求める人材を育てられていない
・ビジネスだけ学んでもダメ、哲学とか歴史とか芸術とか、幅広い教養があった方がいい
・欧米の大学ではダブルメジャー、トリプルメジャーが当たり前
・就業型インターンシップをもっと活用すべき
・キャリア論をまず学ぶべき
・F1のピットインみたいな時期が必要
・憲法で保障すべき人権としてキャリア権を認めるべき
・官僚から見てグロービスはかなりイケてる
・ナンバー1はどんどん外部に出ていって成長し、ナンバー2は守備固めをするので成長が止まる。結果、ナンバー1とナンバー2の格差が拡がってしまう

パネラー達はどんな学びを実践してきたか・・・。

・新聞を10紙読んでインプットし、毎日ブログを書いてアウトプット
・とにかく本を読むことがローコスト、ネット動画も使えるものがたくさんある
・仕事の現場での修羅場を経験することが一番糧になった。そうした経験を積むためにはリスクテイクすることが必要。
・リスクを取って失敗した人は責めないだけでなく、セカンドチャンスを与えることで報いるようにしている
・社内副業をやっている(別部署や子会社の社長など)
・自分への期待値のコントロールをしながら「成功するまでやる」
・短所を補うよりも強みを伸ばす方がキャリアにはプラスではないか

まとめ
・ロボットやAIにできることはやってもらって、人間は人間らしく働くようにしたい
・クリエイティビティ、自己表現、個人の意思、好きなことを徹底的にやる
・自分らしい自然体の働き方がしたい(感情のマネジメント)

私の感想
・とても大事なテーマだと思うけど、答えを単純に定義できるような問題ではない
・振り返ってみると、なんだかきれいごとみたいに聞こえてしまう
・実際、グロービスに学びに来ている人は、大企業とか公務員の(金銭的に)恵まれた立場にある人が多い
・待遇の良い大企業に入ってしまうと、そこからスピンアウトして旗を立てたり、自発的に努力したりしてリスクを取るよりも、無難な人生を選ぼうとしてしまう人が多いのではないか?(役所なら尚更)
・中小企業は待遇は劣るが、意思決定の経験はできる。会社全体を見る目は自分の過去の経験からすると50人~100人規模の企業だったとしても難しかった気がする。つまりそこでの意思決定は全体最適の視野に立っているとは言えないものだった。(出版社時代、ホテル時代)
・(社労士として中小企業にアドバイスするなら)まずできることは幹部がひとりひとりとこまめに話をするか、それが難しければ様々なリサーチをする。職場を離れた研修やレクリエーションなどでコミュニケーションを図る。評価制度は原資に乏しい中小企業では社員を不安にさせる要因の方が大きいので勧めない。中小企業の強味である経験という財産を社員にどんどん与える。
・(これまでのキャリアを振り返ってみて)一番失敗したというか、前提を取り違えていたと思うことは、とにかく「落ち着く場所」を探そうとしていたこと。例えば正社員とか。これは世間も同じく前提を取り違えていたという問題でもあるのだが、これといったスキルの無い人材が正社員として「落ち着く」チャンスは新卒一括採用時かせいぜい第二新卒くらいまでしかないと思われていたこと。実際にはマルチキャリアの時代に移行しつつあったのだから、それを前提にして様々な職種を経験するというリサーチをもっとやるべきであった。もしも22歳からやり直すとしたら、様々な営業職を経験したり、現場系の技術職とかシステム開発、ネット通販、介護職などをやってみたい。そしておそらくそのどれかで35歳までに起業することができると思う。自分に合う仕事は何か? 今から参入するのに有利な業界はどこか? そういったことを探りながらキャリアを模索するつもりでやるだろう。22歳からでなく、18歳からスタートすれば、30歳までに起業することもできるかもしれない。
・(学歴をどうするか?)これも前提を取り違えていたと思う。大卒というものを、社会に出るための必要条件として考えていた所がある。実際にはそうではなく、具体的に「何を」「どのレベルまで」学んだか?が問題なのだ。そういう点では、自分がかつて選択した経営系の学部では、つい最近グロービスで学んだくらいの経営戦略やマーケティング、リーダーシップ、会計の基礎知識と考え方を身に付けているべきだったが、実際には私はそれらを全く学ばずに卒業できてしまった。そもそも入学してすぐに大学に履修届を提出させられるわけだが、サークルの先輩とかに相談すると「この科目は楽勝で単位が取れる」とか「この科目は出席がうるさいからやめといた方がいい」といった情報しか得られなかった。彼らもやはり大卒を一種の資格のようなものと勘違いしていて、楽をしてそれを取ることしか考えていなかったのだろう。自分に一番足りていなかったのは、何を目的として学んでいるかをしっかりと定義できていなかったことだ。経営を学ぶということは結局のところより良い「意思決定」をすることが目的だということがはっきりと分かっていたら結果は違っていたと思う。その頃の私は小説家を目指していて、本気で経営を学ぼうという覚悟がそもそも無かった。それならそれで、文学部に入るなり、ダブルメジャーで両方やるとか、今だったらそういう選択をすると思う。
・(今から選び直すとしたら?)私が一番欠けていたと思うのは「経営体験」だ。例えば経営の意思決定と言われても十代の私には何のことかピンとこなかったと思う。今ならMGをやってみればいいということになるけれども、MGを知らなかったとしても、何らかの商売を経験することがとても大事だったと思う。そうすることによって、値決めやら仕入やら広告といった様々な意思決定の選択肢を理解できたはずだ。縁日のたこ焼き屋でいいからやっておくべきだったのだ。今ならネット通販とかでもいい。PDCAのDが必要だ。その上で何をどう学ぶ必要があるかを考えれば良かったのだ。学びはアウトプットを意識して取り組まなければ絵空事になってしまう。

65歳以上への雇用保険の適用拡大

2018.02.20

平成29年1月1日より65歳以上の方も雇用保険の適用対象となりました。

 

従来の法律

平成28年までは、雇用保険について65歳以降は加入できませんでした。これは、65歳以降は積極的に雇用を求めている人が多くないため、雇用保険法で保護する必要がないとされていたのでしょう。

 

しかし、平均寿命の伸びや、年金の支給開始年齢の引き上げ、高齢者の継続雇用を求める社会的風潮から、平成29年1月1日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となりました(平成28年12月末までは、「高年齢継続被保険者」(※1)となっている場合を除き適用除外です。)。

 

具体的な手続き

平成29年1月1日以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合、その労働者が雇用保険の適用要件(原則として週20時間以上)に該当する場合は、事業所管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」(以下「資格取得届」という。)を提出することになりましたので注意してください。

 

 

また、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合で、雇用保険の適用要件に該当する場合は、平成29年1月1日より雇用保険の適用対象となります。

ただし、平成28年12月末時点で65歳をまたいで継続雇用している場合は、新たにハローワークへの届出は不要となります(自動的に高年齢被保険者に被保険者区分が変更されます。)。

SNSの発信を会社が取り締まることができるか

2017.11.26

ブログ、facebook、ツイッターなどSNSが普及し、ネット上にいろいろな書き込みが手軽にできるようになりました。このことにより「会社の悪口を書く」「同僚同士のいじめや誹謗中傷が起こる」「会社の秘密情報をばらす」などの新たな労務問題の発生リスクが高まりました。企業はSNSについてどう対応したらよいでしょうか。

ポイントは「企業秩序」:

各人には原則として憲法で保障された言論の自由がありますので、個人的な信条や感情をブログなどで表現することについて会社は制限をする立場にありません。しかし、社員には集団行動をする上で団体の秩序を守る義務が当然に課せられていると解されるため、「会社のブランドイメージを壊す」「書き込みの内容が事実に反しており、風評被害を招く」、「機密情報を漏洩する」、「社内不和を招く」恐れがある場合など、「企業秩序を乱す」場合は、懲戒処分(ペナルティー)の対象とすることが考えられます。

行き過ぎたSNSの使用に対しては、懲戒処分により抑止する方策を考えましょう。

懲戒の対象と考えられる書き込み内容とは、以下のものが挙げられます。

・事実に反するもの

・批判内容が社会的に相当な範囲を逸脱して不穏当な誹謗中傷となるもの

・機密情報を漏洩するもの

・上司・同僚の個人攻撃をしているもの

就業規則に根拠条文を追記する:

まず、就業規則に懲戒の根拠となる以下のような規定を整備します。

「正当な理由なく、会社の名誉又は信用を損なう行為をしないこと」

「インターネット上に、会社や会社の社員に関する事項を掲載しないこと」「秘密情報を漏洩しないこと」「犯罪行為を自慢するような反社会的動画などを掲載しないこと」 など、できるだけ禁止行為を列挙しておきましょう。

内容によっては会社の信用を失墜させたことを理由として、行為をした社員に対し損害賠償請求をすることも考えられます。

パートの制約条件

2017.11.12

多様な働き方が認められる現在において、正社員以外にもパートタイマーとして活躍する人もたくさんいます。しかし、公的ルールによって働きが制限されることがあります。それは、「収入が少ないことを根拠に税金や健康保険・年金上の優遇を受けられる」ことに起因します。

優遇措置1:税法上の扶養

まず税法上の扶養という措置が挙げられます。これは所得税に関する基準で、基礎控除38万円、給与所得控除65万円、この2つを合わせると103万円になり、この103万円の枠内でパートタイマーが収入を調整すれば、配偶者などに「税法上扶養されている」とみなされることになります。

税法上の扶養であれば、配偶者側が扶養控除を受けることができ、当人は所得税が非課税となります。

優遇措置2:健康保険上の扶養

次に健康保険上の扶養という措置です。一般に「130万円の壁」と表現されますが、これは「年収が130万円以下であれば配偶者が加入している健康保険の被扶養者になれること」を指します。健康保険上の被扶養者となれば、当人の健康保険料は扶養者が加入して居る健康保険の保険料によってまかなわれるためかかりません。※国民健康保険など、被扶養者概念がない制度もあります。

優遇措置3:国民年金の3号被保険者

健康保険上の扶養と同じ収入要件で、厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者は国民年金の3号被保険者となることができます。これは、「国民年金保険料を当人が納付しなくても、保険料をかけたことにしてもらえる」という優遇を言います。

これらの仕組みから、パートタイマーの方は自らの収入を調整しなければならず、有能なパートタイマーの活躍が制限されているとも言えます。この被扶養者基準について法改正の議論もなされています。

パートタイマーへの社会保険適用拡大

2017.11.05

平成28年10月1日からパートタイマー従業員の健康保険、厚生年金保険の加入の適用拡大が行われるように法律が改正されました。

従来は「4分の3要件」:

9月までは、正社員と比べて1日または週の所定労働時間および1月の所定労働日数がおおむね4分の3以上であれば、パートタイマーであっても社会保険適用をする旨定められていました。週40時間制の会社であれば週30時間以上が一つの目安になっていました。

ところが、法律条文上「おおむね」「被保険者として取り扱うことが適当な場合は総合的に勘案し」など、加入の基準が曖昧であることの問題点が指摘されていました。

改正後は20時間以上で社保加入、ただし当面は大企業のみ:

平成28年10月1日以降は、同一事業主の適用事業所(法人番号が同一の事業所)の厚生年金保険の被保険者数の合計が1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる場合は、特定適用事業所としてパートタイマー従業員の社会保険強制適用拡大の対象となります。

対象者は下記の要件1~4の方です。

1.週の所定労働時間が20時間以上である

2.賃金の月額が8.8万円(年収106万円)以上である

3.勤務期間が1年以上見込まれる

4.学生を適用除外とする

ちなみに10月1日からの特定適用事業所でない500人以下の事業所での被保険者加入基準新基準では「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が4分の3以上」と明確になります。

育児・介護休業法改正について

2017.03.25

政府が目指す「一億総活躍社会」に向けての施策として、育児や介護をしながらでも働けるようにと、平成29年1月から育児・介護休業法が改正になります。

育児に関する法改正

(育児休業改正1)有期契約労働者の育児休業取得要件緩和

今までは、契約社員については「子が1歳になった後も雇用が継続することが見込まれる場合」に限り育児休業が取得できましたが、改正により「子が1歳6ヶ月以内になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでない場合」は育児休業取得が可能になります。つまり、更新の可能性がある契約社員については育児休業を取れるようになります。

(育児休業改正2)育児休業の対象となる子の適用範囲拡大

今までは、法律上の親子関係にある子のみが育児休業対象でしたが、改正により特別養子縁組の監護期間中の子や、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象となることになりました。

介護に関する法改正

高齢化社会の進展により、介護のために離職せざるをえないいわゆる「介護離職」など、介護の問題が大きくなっています。それを受けて、介護休業関係の法改正も行われます。

介護休業とは

「労働者(日々雇用される者を除く)が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護するための休業」を指します。

対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、又は、同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫です(対象家族の適用範囲は今後見直しがなされる予定です)。

(介護休業改正1)介護休業の分割取得が可能に

介護休業の分割取得が可能になります。今まで対象家族1人について通算93日まで原則1回しか取れなかったものが、3分割して取得することができるようになります。

(介護休業改正2)介護休暇を半日単位で取得可能

今まで1日単位で取得していた介護休暇を半日単位で取得することができるようになります。介護休暇とは、介護のために年間5日まで有給休暇とは別に取得できる休暇(有給・無給は会社ごとに定める)です。

(介護休業改正3)介護休業給付金の給付率アップ

一定の要件を満たす介護休業について雇用保険制度から「介護休業給付金」が支給されますが、その給付率が休業前給与の40%から67%にアップします。

テレワークという働き方

2017.02.01

多様な働き方を認めようという社会の気運のなかで、「テレワーク」と言う言葉が注目されています。

テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。(ちなみにテレワークの「tele 」は、「離れた場所」という意味です)

 

テレワークは働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の三つに分けられると言われています。

 

 

1、在宅勤務

自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、ファクスで連絡をとる働き方。

 

2、モバイルワーク

顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方。スマホの普及により、かなり一般的にモバイルワークが行われてきつつあるでしょう。

 

3、サテライトオフィス勤務

勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方。一社専用で社内LANがつながるスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設が利用され、都市企業は郊外にサテライトを、地方企業は都心部にサテライトを置くことが多いでしょう。

 

 

誰がテレワークに向いているか

妊娠・育児・介護などの理由、身体障害、あるいはケガなどにより、恒常的または一時的に通勤が困難な人や、パソコンがあれば場所を選ばずできるSEなどの仕事、営業など出先での業務などがテレワークに適しているでしょう。

 

これからの労働力人口の減少を考えると、テレワークで貴重な労働力を確保するという人事戦略も有効になるでしょう。

過重労働撲滅特別対策班

2017.01.11

労働時間|東京労働局・過重労働撲滅特別対策班 通称「かとく」とは?

 

201541日、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が新設されました。

 

国が長時間労働を問題視し、強弁な姿勢で立ち入り調査などをすることで過重労働を抑制しようという意図が見えます。

 

有名なのは、20157月の「ABCマート違法残業摘発事件」です。

36協定(時間外労働の限度を定めた協定書)で定められた上限を超えた残業をさせていたとして、責任者らが書類送検されました。

 

この事件で、ABCマートは法定通りで計算した割増賃金を支払っていたようですが、それでも「労働時間が長すぎること」をもって書類送検に行ったということで、強気な姿勢がうかがえます。人手不足に悩む飲食、小売、サービス業や、ITなど長時間労働が起こりがちな業種に対して、今後もこの過重労働撲滅特別対策班の立ち入り調査が起こる可能性があります。

 

小売・外食・サービス業界などは、近年は人手不足により、長時間労働になりやすいと指摘されていますが、これらの業界に対して、行政の取締はますます強化されていくことが予想されます。

 

残業が多すぎると健康被害を誘発するばかりか、労働者との間でもトラブルの種を育てることになります。最近はスマートフォンなどで気軽に労働法を調べることもできるため、企業側は特に労働時間などの労働環境整備に気をつけなければなりません。

外国人雇用と労務管理について

2015.06.11

厚生労省の外国人雇用状況によると、2013年10月末時点での外国人労働者数は約72万人であり、外国人雇用状況の届け出義務化以来、過去最高を記録しています。外国人を雇用する機会に備えて、労務管理上で気をつける点について以下ご紹介します。

 

ハローワークへの届出:

外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れおよび離職の際に、その氏名、在留資格などについて、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。入退社の手続きの際に「外国人登録証明書」または「在留カード」「パスポート」などの提出を求め、必要な情報を確認しましょう。届け出を怠ったり、虚偽の届出をした際には30万円以下の罰金に処せられます。

 

労働基準法、安全衛生法の適用:

労働基準法は、外国人であっても適用されます。賃金や、残業代、労働時間、休日、休暇等の労働条件のほか、安全や衛生に関する事についても同様です。国籍を理由とする労働条件の差別は禁止されていますので、注意してください。

 

労災保険の適用:

外国人も、業務上及び通勤上にけがや病気をした場合は、労災保険の給付を受ける事ができます。たとえ不法就労であっても給付を受けることが可能です。

 

社会保険の適用:

健康保険、厚生年金、介護保険等の社会保険も、加入要件を満たすならば加入させなければなりません。

 

外国人雇用に関する労務管理については、上記の手続きの他コミュニケーション上の課題もあることでしょう。専門家の意見も聞きながら適切な対応をしてください。

最低賃金の話

2015.04.07

・最低賃金は毎年変わる

使用者が労働者に対して最低賃金額未満の賃金を支払った場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。この最低賃金額は毎年10月頃に改定され、労働者全てに対して適用されます。

 

・最低賃金の算出方法

最低賃金額は時給の額ですので、月給者も日給者も時給に換算します。

1、月給制の場合⇒月給÷1か月の所定労働時間

2、日給制の場合⇒日給÷1日の所定労働時間

 

・最低賃金の計算に含まれないもの

下記のように支払っている賃金は、最低賃金の計算から除外されます。

つまり、下記の賃金を支給金額から除いて計算した時給額が、最低賃金額を上回ってなければなりません。

 

1、臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

2、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

3、時間外、休日・深夜労働の割増賃金

4、精皆勤手当、通勤手当および家族手当

 

・H26年度地域別最低賃金は下記の通りです。

( ) 内はH25年度の地域別最低賃金、記載の年月日は発行年月日です。

 

千葉…798円 (777) 平成26年10月1日

東京 …888円(869) 平成26年10月1日

神奈川…887円 (868) 平成26年10月1日

京都…789円(773) 平成26年10月22日

大阪…838円(819) 平成26年10月5日

兵庫…776円(761) 平成26年10月1日

奈良…724円(710) 平成26年10月3日

福岡…727円(712) 平成26年10月5日

 

上記以外の都道府県の最低賃金額については、厚生労働省のHPをご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

最低賃金法では、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。昨年度の最低賃金額ぎりぎりで賃金額を設定している場合は、賃金額の変更が必要不可欠となりますのでご注意ください。

産前産後休業の話

2014.03.04

(産前産後の休業について)

産前産後の労働は、労働基準法で制限されています。

出産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は出産予定の女性社員が休業を請求してきた場合、就業させることは出来ません。しかし、女性が希望した場合には働かせることが出来ます。

出産後8週間、原則は社員からの請求の有無にかかわらず、働かせてはいけません。

しかし、出産後7~8週間に関しては、女性本人が請求した場合であって、医師が支障がないと認めた業務については、働かせることが出来ます。

これらの規定は、主に母体保護の観点から定められています。

 

(休業中の賃金について)

産前産後の休業中に関しても「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されるため、給与の支払い義務はありません。しかし、強制的な休業にも関わらず、無給というのでは安心して出産することが出来ません。

 

(健康保険からの給付について)

そのために、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために、健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。

※標準報酬日額=標準報酬月額÷30日

 

また、出産・育児には多額の費用がかかるため、出産費用を行政などが負担してくれる制度があります。これを、出産一時金と言います。1児につき42万円が支給され、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されます。双生児の場合は、2人分が支給されることになります。

 

出産一時金は、病院窓口で支払うときに行政などの負担部分を差し引いて支払うのが原則ですが、病院によってはいったん従業員が全額負担し、後から負担分を受け取る場合もあります。出産予定の際には、病院がどちらの制度をとっているか、確認してもらうようにしましょう。

10月から事業主の健康保険の扱いが変わります。

2013.10.09

これまで、健康保険では「業務外での疾病、負傷、出産等」に対して給付を行うとされていました。

業務上での保険事故については、労災保険から給付を行うため、健康保険では給付しないこととされていたのです。

ところが、実際には業務上であっても労災保険から給付を受けられないケースがありました。労災保険では原則として労働者が給付の対象とされていたからです。

そのため、これまでは特例として5人未満の企業に限り、法人の役員や個人事業主も健康保険の給付の対象とする措置が取られてきました。ただし、これはその人が被保険者本人のケースのみです。

例えばシルバー人材センターに登録している個人請負で仕事をされている方がケガをした場合、業務上の災害となりますが労働者とはならないため、労災保険からは給付が受けられません。次に健康保険の方ですが、この人は個人事業主ではありますが、シルバー人材センターでアルバイトしておられる方は、少額の年金を貰いながらご子息の被扶養者になっている方が多いのです。こうなると、被保険者本人ではないため、特例の対象にもならず、健康保険からも給付が受けられず、ケガの治療代は全額自己負担となってしまっておりました。

このような問題を解決するために、今回の改正では「労災保険から給付がある業務災害以外の場合について健康保険の給付を行う」と変更されました。

 

あと、もう1点、個人事業主や法人の役員など、労働者ではない方がケガや病気をされた場合に、これまでは傷病手当金が受けられなかったのですが、10月からはこれらの人も傷病手当金の対象内となりました。

建設業の労働保険料が4割引!

2013.07.04

平成24年度から建設業の労働保険料が割引になるメリット制の適用限度額が100万円から40万円に下がりました。

3年連続して労働保険料が40万円を超えると、その翌々年度から労働保険料が約40%安くなります。
これまではメリット制に該当しなかった規模の会社でも保険料が大幅に割引されます。
ただし、逆に大きな労災事故が発生すると保険料が割高になる場合もありますので、注意が必要です。

また、いったんメリット制に該当した場合でも、一回でも労働保険料が40万円を下回ってしまうと、再度メリット制が適用されるまでに3年掛かり、その3年間は割引が受けられなくなってしまいます。
理想的には、毎年コンスタントに労災保険料が40万円を超えるようにしておくことです。

建築業の場合、労務費率が21%、労災保険率が1.3%なので、逆算すると請負額が約1億5千万となります。
この場合、無事故であれば保険料率が約4割安くなりますので、保険料は24万円程度で済みます。

年度末の工事が3月末までに終わらずに翌年度にまたがってしまうとその分は翌年度の保険料にカウントされてしまいます。
請負額がギリギリになりそうな場合には、できるだけ3月中に工事を終わらせるようにした方が良いでしょう。

当事務所ではエクセルベースで労働保険料の試算ができる工事台帳をご用意しておりますので、ご入用のかたはお問い合わせフォームからご連絡ください。

政府の成長戦略構想と助成金の見直し

2013.06.02

 政府は、2017年度までの今後5年間を緊急構造改革期間とする成長戦略についてまとめました。

その中で、政府は22日の産業競争力会議で策定を表明した「産業競争力強化法」(仮称)について、8月末までに概要を固め今秋の臨時国会に提出するとしています。
産業競争力強化法は
(1)民間投資の拡大
(2)新市場の開拓
(3)事業再編の促進
を柱として、リース手法を活用して先端機器を借りやすくする環境を整備し、減税措置で企業の初期投資を抑えて設備投資を促進することを盛り込みます。また、企業統治の強化策として、社外取締役の導入を原則とする会社法改正案についても国会に提出する方針です。

 一方、雇用についても、ハローワークの求人情報を民間に開放し、人材会社でも閲覧可能にするとともに、女性の登用や子育てとの両立支援に積極的な企業には、2014年度から助成金や税制優遇で支援するとしています。
 転職を促す労働移動支援助成金が2015年度には、雇用の維持のための雇用調整助成金を上回るようにするといった方向で産業復興プランをまとめています。

 今年、職場意識改善助成金は縮小されてしまいましたが、来年度また別の形でより効果的な制度が作られるかもしれません。過去に職場意識改善助成金を利用した企業に対して現在ヒアリングが行われているのは、そのような目的のためだと思われます。
 助成金制度は企業に活用されなければ制度の目的も達成できませんので、企業にとっての魅力ある制度が作られることが大事だと思います。

 産業競争力強化法(仮称)について。ここで言われている産業競争力とは、グローバルな競争力という意味です。
 特に製造業で、日本の家電メーカーがサムスンやAppleの後塵を拝し続けている現状をなんとかしようというのが代表的な目的です。
 アベノミクスの第三の矢が刺さるかどうか? 注目ですね。

障害者の法定雇用率引き上げ

2013.01.28

企業は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。これを「障害者雇用率制度」と呼びます。
今回は、障害者の法定雇用率引き上げについて説明します。

【法定雇用率】
平成25年4月1日より、法定雇用率が以下のように変わります。

【障害者雇用率制度とは】
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています。なお、精神障害者について雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。

この法律では、法定雇用率は「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めるとしています。今回の法定雇用率の変更は、同法の規定に基づくものです。

つまり、「民間企業の場合、全従業員の内2%は障害者を雇用しなければならない」ということです。

【注意点】
従業員50人以上56人未満の事業主のみなさまは、特にご注意ください。今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が以下のように変わります。

[変更前]従業員56人以上
[変更後]従業員50人以上


また、その事業主には、以下の義務があります。

  • 毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません
  • 障害者雇用推進者を選任するよう努めなければなりません

老齢年金の「損・得」世代別試算について

2012.03.31

生涯支払う年金保険料総額と、老後にもらえる年金の
受給額総額を比較した生涯収支の試算が注目を集めています。

2012年2月に、「国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる額から支払った額を
差し引いた生涯収支を世代間で比べると、50歳代半ば以下の世代で払いの方が多くなる」
という試算が報道されました。

本稿では、報道された年金試算の概要・注意点を説明します。


【試算をしたのは誰か】
内閣府経済社会総合研究所というシンクタンクの所属研究者が公表した
学術論文中の試算であり、内閣府の正式な見解を示すものではないとのことです。

【どのような条件での試算か】
試算では現行制度の国民、厚生、共済の各年金を対象に、
1人あたりの「保険料支払額(企業負担含む)」と「年金受取額」を5歳刻みで算出しています。

物価上昇率を年1%程度、年金積立金の名目運用利回りを4%とした試算を
「標準ケース」とし、将来の支払額と受取額を現在の価値に引き戻して調整しています。

【試算結果表】
この試算では、1955年以降に生まれた人=55歳未満の人(2010年現在)は、
将来の純受益(年金受給額?生涯保険料)がマイナスになることになります。

【注意点】
これだけを見れば、年金制度不安を煽るだけのように見えなくもないですが、
この試算結果を見る上では以下の三つの点で注意が必要です。

① 男女差を考慮していない
(3号被保険者=サラリーマンの妻などについては
生涯収支はプラスになる試算結果が出ています)

② 加入保険は職種により異なる
(公費負担の大きい1号被保険者=自営業者などは
生涯収支はプラスになる試算結果となっています)

③ 障害年金については、収支の計算に含まれていない


「世代間扶養」という年金の制度設計概念と、
この「損得勘定」の考え方はそもそも合わないものですが、
職種間や性別間の格差など、制度構造上の検討課題が浮き彫りとなっているとも言えます。

採用内定と雇用関係

2012.03.01

新しい年度を目前に、
新卒者を迎える企業ではその受け入れ準備が進められています。

一方で、景気後退や天災等の影響から予定通りの雇用ができず、
内定者とのトラブルに発展するケースもあります。

本稿では、採用内定の法律的効果、
並びに内定者への対応に関する注意点について取り上げます。


【内定とは何か】

内定とは、「(主に新規学卒者と企業との間に)解約権を留保した
始期付きの労働契約が成立した状態」を言います。

実際に労務の提供はなされていないものの、
労働契約成立とみなされる点で労働基準法が適用されます。

つまり、内定者に対する内定取り消しや入社時期延期、
賃金条件の変更等の行為には労基法上の制限がかかるため、
既存の社員に準じた注意を払う必要があります。


【トラブル例示と注意点】

では次に、内定を巡る代表的なトラブルと、
その合理性の判断基準・注意点を具体的に取り上げます。

<1、内定取り消し>
内定取り消しをする主な理由としては、①経営不振や人員計画の変更などの会社都合
②内定者の社員としての適格性の二つが主なものですが、それぞれの合理性を判断する
基準は以下のとおりです。

《①会社都合の場合の判断基準》

ⅰ)整理解雇の4要件を満たしているか
・ 人員削減の経済的必要性がある
・ 解雇(内定取消)回避努力の程度が相当である
・ 対象者選定に合理性がある
・ 説明責任の遂行程度が相当である

ⅱ)あらかじめ内定取消事由として経済的理由を約束しているか

ⅲ)30日以上の予告期間を設けているか

《②内定者の適格性を見る場合の判断基準》
ⅰ)経歴詐称や過去の犯罪歴の程度が社員としての適格性を欠くか
ⅱ)卒業できないなど、労務の提供が不可能となるか
ⅲ)あらかじめ内定取消事由として上記のような理由を約束しているか

【2、雇用開始時期の延期】
人員に余剰が生じたなど会社の都合で雇用開始時期の延期をする場合、
当該延期期間は会社都合による休業になります。

そのため、待機期間に対する休業手当の支払いが必要となることがあります。

休業手当は平均賃金の6割以上である必要があり、賃金支払い実績のない内定者の場合は、
予め契約した賃金等をもとに計算することになります。

【近年さらなる注意が必要な事項】
採用前の事前研修や内定式等の場では、会社業績や人員計画・営業戦略・
研修内容・新商品情報などの企業機密情報を取り扱う可能性があります。

近年ではソーシャルメディアの普及により、
内定者が悪気なくそれらを漏洩してしまうリスクも無視できません。

その点で、内定者に対しても秘密保持契約書や念書を書いてもらうことも検討すべきと言えます。
採用内定に関する疑問点・相談は、お気軽に当事務所までお寄せください。

注目すべき厚生年金の「現状と今後」

2011.12.01

少子高齢化、働き方の多様化等の影響から厚生年金は改正を続け、
今後さらに大きな改変がなされそうです。

昨今の法改正に向けての議論動向も踏まえて、
本稿では厚生年金の現状と今後を整理します。

キーワードは「保険料負担」「支給開始年齢」「定年制との関係」です。


【厚生年金の現状】

<1. 保険料負担について>
厚生年金保険料は、各被保険者の標準報酬月額及び
標準賞与額に保険料率を乗じて決まりますが、

平成16年から平成29年まで段階的に保険料率が
毎年0.354%ずつ上がっていくことが決まっています。

社員の標準報酬月額に変動がないと仮定しても、
保険料総額はじわじわと上がり続けることになります。

≪試算例≫
被保険者数30名、標準報酬月額は全員30万円と仮定。

平成23年9月    30万円×16.412%×30人=1,477,080円
平成29年9月    30万円×18.3%×30人=1,647,000円

月額で総額169,920円の保険料上昇となります。

上記のことから、被保険者の保険料負担の面でも、
会社の人件費の増加見込みについても、
何らかの対策を検討する必要があるといえます。

<2. 支給開始年齢について>
老齢厚生年金の支給開始年齢について、平成6年以降の法改正により、
現在60歳から段階的に65歳に引き上げられている最中です。

昭和24年4月以降に生まれた人(男性の場合)は、
65歳からの老齢厚生年金支給となります。

<3. 定年制との関係について>
前述2のように、老齢厚生年金の支給が段階的に遅れていく現状にあるため、
その間の所得保障の必要性から定年年齢の引き上げが奨励されています。

現在は65歳までの何らかの継続雇用措置義務が法律上定められています。

企業は「若年者受け入れ」と「高齢者の雇用延長・再雇用等」という、
ある意味では相反する要求をされている現状がみえます。

【今後の改正が検討されている事項】
※ いずれも改正案の段階であり確定事項ではありません。

<1. 保険料負担について>
厚生年金標準報酬月額の等級の上限の引き上げが検討されています。
(現状62万円が上限)

報酬額が63.5万円を超える場合、保険料負担の増加となります。

<2. 支給開始年齢について>
支給開始年齢を、現行の65歳から
さらに68~70歳まで引き上げることが検討されています。

また、在職老齢年金における年金の支給停止の仕組み
(サラリーマンをしながら年金を受け取る場合の年金カット)
を見直すことも検討されているようです。

いずれも動向に注意しなければなりません。
厚生年金についてのご質問は、お気軽に当事務所までお寄せください。