GOLGOのひとりごと

【法律守ってますか?】記事一覧

2018.08.13
NEW 休憩時間中の「電話番」
2018.08.06
社員の健康診断
2018.07.30
36協定について
2018.07.23
平成29年10月施行 育児・介護休業法改正
2018.04.16
宿直・日直で気を付けること
2018.02.26
採用の自由と公正な募集
2017.12.17
事業所の社会保険適用状況がWEBで検索できる?
2017.11.12
パートの制約条件
2017.08.27
賃金の注意点
2017.08.13
健康診断の費用負担とその間の賃金
2017.08.06
会社が行うべき健康診断の種類
2017.07.30
雇入れ時の健康診断
2017.06.18
賃金の5原則
2017.05.28
アルバイトやパートにも雇用契約書が必要か?
2017.04.17
労働関係の書類の保存期間
2017.03.14
会社の都合で社員に休んでもらった時に給料を払う必要があるか?
2016.12.13
賃金の直接支払原則
2016.08.02
パート、アルバイトの有給休暇
2016.06.07
最低賃金を破るとどうなるか?
2016.05.31
零細企業でもわざわざ36協定を出さなくてはならないのか?
2016.05.24
健康診断は会社の義務って本当?
2016.04.09
掃除時間は労働時間か。
2016.04.02
割増賃金
2016.01.20
妊産婦に関する労働基準法 その2
2016.01.12
妊産婦に関する労働基準法 その1
2015.08.16
ストレスチェックの義務化
2015.08.02
研修時間に給与を支払う必要があるか
2015.07.07
インターンの学生は労働者と何が違うか
2015.06.17
台風などの天災で公共交通機関がマヒした場合、給与を支払うか?
2015.06.02
定期健康診断やってますか?
2015.04.26
フルコミッション給与制度の問題点
2015.03.10
失業保険の話
2015.02.03
労働法の全体像は・・・
2014.12.05
労働時間の原則と例外
2014.11.30
労働時間管理についての重要な通達「46通達」
2014.11.10
派遣と出向
2014.09.29
正社員とパートの格差は違法か?
2014.07.10
国民健康保険+厚生年金の社会保険
2014.06.30
労災保険に入ってないのに労災事故が起きたら?
2014.06.20
学生をアルバイトに雇う時の注意点
2014.06.10
管理職には残業代を支払わなくてもよい?
2014.06.05
健康診断の義務
2014.05.30
妊娠を理由に解雇してはいけません
2014.04.10
雇用保険の手続を忘れてしまったら?
2014.02.14
必ず会社に保管しておかなければならない労務帳簿
2013.12.24
会社の「安全配慮義務」
2013.11.30
親の介護で休みたいとの申し出があったら?
2013.11.18
「退職証明書」の話
2013.11.12
ノーワーク・ノーペイの原則とは
2013.11.09
賃金や労働時間などの労働条件は口頭の説明だけでよいか?

休憩時間中の「電話番」

2018.08.13

小規模の事業であれば、休憩時間中も事務員に電話番を頼むことがありますが、労働法から考えると注意が必要です。

 

労働時間とは

労働時間と休憩時間の違いとはなんでしょうか。労働時間とは、「使用者の指揮命令下にある時間帯」であり、休憩時間とは、使用者の指揮命令下にない時間帯のことをいいます。

 

つまり休憩時間とは、使用者が労働者に対して、業務上の指示をしてはいけない時間帯ということになります。電話番は「電話がなったらでなければならない」わけですから、休憩時間とは厳密に呼べないことになります。

 

休憩の原則

労働基準法では、休憩の3原則があります。

①    休憩時間は自由に、

②    労働時間の途中に、

③    一斉(業種によっては一斉に取得しなくてもいい業種もあります。たとえば販売業など)

に取得させることが明示されています。

 

休憩時間数

法律上付与しなければならない休憩時間は次のように決まっています。

 

労働時間8時間越え→60分以上

6時間越え8時間以下→45分以上

6時間以下→なくてよい

 

近年の労働裁判においては、「休憩時間か労働時間か」を巡って争いになることも少なくありません。例えば、「休憩1時間となっているが、実際は昼ごはんも食べられないほど忙しく、30分しか取れていなかった」という主張をされ、その主張が認められることもあります。1日30分の休憩時間が労働時間とみなされるだけでも積もり積もると大きな賃金不払いとなってしまいますので、休憩中の業務指示には注意しましょう。

社員の健康診断

2018.08.06

従業員の健康状態は仕事のパフォーマンスに影響を与えます。逆にいうと、健康状態が悪い社員がいると、病欠による人員補充の必要が出たり、他の社員への業務負担が増えるなどの問題が起こったりするかもしれません。そのため健康診断の実施は大切な労務課題でしょう。

 

法律では、従業員が1人でもいると健康診断を実施しなければならなりません。また、健康診断の実施義務を怠ると50万円以下の罰金が科せられます。

 

健康診断の実施義務があるのは正社員だけでなく、従業員がパートやアルバイトだったとしても、条件を満たしているのならば、健康診断を受けさせなければいけません。

 

パートアルバイトの実施義務は以下のように決まっています。

 

要件1 期間の定めがないか、期間の定めがあったとしても更新により1年以上の使用が予定されているか、継続して使用されていること

要件2 週間の労働時間が正社員の1週間の労働時間の4分の3以上であること✳

✳要件2に関連して、「おおむね2分の1以上」の場合には健康診断を受けさせるのが望ましいと定義づけられています。

 

健康診断の種類

事業の種類により実施規程が異なります。主なものは下記のとおりです。

・通常の場合は雇い入れ時・および年1回

・深夜業や坑内労働など特定業務従事者は年2回

・6カ月以上の海外派遣労働者が国内勤務となったとき

 

実施費用は事業主負担が原則

実施費用は事業主が負担しなければなりません。健康診断時に労働賃金を支払う義務はありませんが、健康診断の時間中は、賃金を支払うことが「望ましい」とされています(厚生労働省労働基準局・行政解釈より)

36協定について

2018.07.30

36協定とは「時間外労働・休日労働に関する協定届」のことで労働基準法第36条に規定されていることからこのように呼ばれています。

 

何故、36協定が必要なのかですが、労働基準法では1日8時間及び1週40時間(一部44時間)の法定労働時間ならびに週1回の法定休日を定めており、法定労働時間を超えての労働や法定休日の労働は原則禁止されています。但し、36協定を結び労働基準監督署へ届け出ることを要件として法定労働時間を超える時間外労働や法定休日における休日労働を認めています。

 

つまり、36協定の届出をせずに法定労働時間を超える時間外労働や法定休日に労働させた場合は処罰の対象となります。

36協定は就業規則とは異なり、1人でも労働者がおり法定時間を超える時間外労働や法定休日に労働させる場合は届出が必要になります。

 

また、36協定は有効期間があり、更新をする場合は必ず届出が必要となりますので、期間を確認し毎回締結して届出を行いましょう。

 

36協定で必要な協定事項は下記の通りです。36協定は時間外労働や休日労働を無制限に認める趣旨のものではありませんので、労使間で十分協議して締結しましょう。

・時間外労働をさせる必要のある具体的な事由

・時間外労働をさせる必要のある業種の種類

・時間外労働をさせる必要のある労働者の数

・1日について延長することができる時間

・1日を超える一定の期間について延長することができる時間

・有効期間

 

尚、36協定を届出ている場合でも時間外割増賃金や休日割増賃金の支払い義務は発生します。

平成29年10月施行 育児・介護休業法改正

2018.07.23

厚生労働省より「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタート」のリーフレットが公表されました。

 

改正内容は下記の通りです。

 

①    最長2歳まで育児休業の再延長が可能になります。

1歳6ヶ月以後も保育園等に入れない場合には会社に申し出ることにより最長2歳まで再延長可能となり、育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。

 

②    子どもが生まれる予定の方などに育児休業等の制度のお知らせ

事業主は、働く方やその配偶者が妊娠・出産したこと等を知った場合、その方に個別に育児休業等に関する制度を知らせる努力義務が創設されます。

 

③    育児目的休暇の導入を促進

未就学児を育てながら働く子が子育てしやすいよう、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が創設されます。

 

育児休業が最長2年となると産前休業と合せておおよそ2年1ヵ月半の休暇を取得する方も出てきます。

その際、会社としては従業員が円滑に復帰できるよう職場復帰支援プランや休業中の代替要員の確保等、これまで以上に対策を立てることが必要となってきますので、社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の専門分野に相談されるのも一つの方法かと思います。

宿直・日直で気を付けること

2018.04.16

宿直や日直といった「作業よりも待機を基準とした時間」については、労働基準法上の例外が認められています。労働基準法施行規則23条は「宿直又は日直の勤務で断続的な業務(断続的な宿日直勤務」について労働基準監督署長の許可を受けた場合には,当該労働者について労働時間・休憩時間・休日の規定の適用が除外される旨を定めています。

 

労働時間・休日の規定が適用されないということは、つまり時間外労働に対する割増賃金(残業代)や休日労働に対する割増賃金(休日手当)は発生しなくなるということです。企業側としては人件費を節約する目的で、宿直などの業務について「断続的な労働だ」という主張をすることがあります。

 

法律の要件を満たす宿日直勤務としては,以下のポイントがあります。

 

①      宿直又は日直の勤務で断続的な業務であること

②      所轄労働基準監督署長の許可を受けたこと

 

断続的な宿日直勤務の一般的許可基準

 

①      実態

ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり,定時的巡視,緊急の文書又は電話の収受,非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。

 

②      基準を満たす宿日直手当を払うこと

 

③      宿日直の回数

許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については,宿直勤務については週1回,日直勤務については月1回を限度とすること。

採用の自由と公正な募集

2018.02.26

会社には原則として採用の自由があります。どんな人を採用するかは会社が独自のルールをもっていても良いとされます。ただし、どんな独自ルールでもOKというわけではなく、差別につながるものは問題視されます。

 

厚生労働省が出している基本的な公正採用のポイントは以下のものです。

 

l   募集・採用時に、本籍や家族のことを聞いていませんか?

l   障害を理由に、障害者を排除したり、不利な条件を付したりしていませんか?

l   公正な募集・採用を行うために、従業員を採用するときは、職務遂行上必要な適性や能力だけを採用基準にしましょう。適性や能力と関係のない下の表のような事項を求職者にたずねたり、採用選考に取り入れたりすることは、就職差別につながる恐れがあります。就職差別につながらないよう、自社の採用基準や選考方法を確認しましょう。

 

配慮項目

公正な募集・採用のために、「就職差別につながる恐れがある14事項」について配慮するよう厚労省では呼びかけています。

 

就職差別につながる恐れがある14事項

●本人に責任のない事項

1 本籍・出生地

2 家族

3 住宅状況

4 生活環境・家庭環境

 

●本来自由であるべき事項

(思想信条に関わること)

5 宗教

6 支持政党

7 人生観・生活信条など

8 尊敬する人物

9 思想

10 労働組合・学生運動などの社会運動

11 購読新聞・雑誌・愛読書など

 

●採用選考の方法

12 身元調査など

13 全国高等学校統一応募用紙・ JIS規格の履歴書

(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類の使用

14 合理的・客観的に必要性がない健康診断

 

その他、障害者に対する差別も禁止されています。

<禁止されている募集・採用事例>

1 単に「障害者だから」という理由で、求人への応募を認めないこと

2 業務遂行上必要でない条件を付けて、障害者を排除すること

3 採用の基準を満たす人の中から障害者でない人を優先して採用すること

 

とはいえ、雇用のミスマッチは双方にとってストレスとなり、あとあと問題になることもあります。自社の採用基準を明確にし、トラブルを未然に防いでください。

事業所の社会保険適用状況がWEBで検索できる?

2017.12.17

平成28年10月よりパートタイマーへの社会保険適用拡大が始まりました。 対象事業所は被保険者数が501人以上の規模であり、「特定適用事業所」として分類されます。

一方で、本来社会保険に加入すべき事業所については、 日本年金機構より継続的に加入促進の案内が行われており、適正加入の促進が行われています。

このような背景もあり、10月31日より事業所の社会保険の適用事業所がイン ターネット上に掲載されることになりました。

https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

掲載内容は以下の通りとなっています。

適用事業所に係る事項

1、事業所の名称及び所在地

2、特定適用事業所であるか否かの別

3、当該事業所に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所

4、事業主が国、地方公共団体又は法人であるときは、法人番号

適用事業所に該当しなくなった事業所に係る事項

1、事業所の名称及び所在地

2、適用事業所に該当しなくなった年月日

3、当該事業所に係る日本年金機構の業務を分掌する年金事務所

4、事業主が国、地方公共団体又は法人であるときは、法人番号

今回、ホームページに掲載されたことにより、事業所の社会保険適用状況を 従業員含め誰でもインターネットから把握することができるようになりました。また、求職者の方でも事業所の社会保険加入状況を事前に判断できるようになっていますので、会社の社会保険適用有無は、求人応募にますます影響がでてくるのではないでしょうか。

ちなみに労働保険の適用状況もこちらのサイトから検索することができます。
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_1a.htm

パートの制約条件

2017.11.12

多様な働き方が認められる現在において、正社員以外にもパートタイマーとして活躍する人もたくさんいます。しかし、公的ルールによって働きが制限されることがあります。それは、「収入が少ないことを根拠に税金や健康保険・年金上の優遇を受けられる」ことに起因します。

優遇措置1:税法上の扶養

まず税法上の扶養という措置が挙げられます。これは所得税に関する基準で、基礎控除38万円、給与所得控除65万円、この2つを合わせると103万円になり、この103万円の枠内でパートタイマーが収入を調整すれば、配偶者などに「税法上扶養されている」とみなされることになります。

税法上の扶養であれば、配偶者側が扶養控除を受けることができ、当人は所得税が非課税となります。

優遇措置2:健康保険上の扶養

次に健康保険上の扶養という措置です。一般に「130万円の壁」と表現されますが、これは「年収が130万円以下であれば配偶者が加入している健康保険の被扶養者になれること」を指します。健康保険上の被扶養者となれば、当人の健康保険料は扶養者が加入して居る健康保険の保険料によってまかなわれるためかかりません。※国民健康保険など、被扶養者概念がない制度もあります。

優遇措置3:国民年金の3号被保険者

健康保険上の扶養と同じ収入要件で、厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者は国民年金の3号被保険者となることができます。これは、「国民年金保険料を当人が納付しなくても、保険料をかけたことにしてもらえる」という優遇を言います。

これらの仕組みから、パートタイマーの方は自らの収入を調整しなければならず、有能なパートタイマーの活躍が制限されているとも言えます。この被扶養者基準について法改正の議論もなされています。

賃金の注意点

2017.08.27

賃金は多くの労働者にとって唯一の生活の糧であるため、払い方や金額について様々な法律上のルールがあります。以下、代表的なものをご紹介します。

1、 最低賃金

まず、毎年定められる地域別または職種別の最低賃金以上を支払う必要があります。例えば、「著名な作家の下でアシスタントとして働けるなら、時給10円でいいです」と労働者が申し出たとしても、その労働契約は最低賃金法違反となり、少なくとも最低賃金で契約を結んだとみなされます。

2、 支払いの5原則

賃金は①通貨払いの原則があり、現物で支払うことは基本的に認められていません。②また、直接働いた本人に支払う必要があります。さらに③その月分の全額を支払わなければなりません。勝手に給与から費用を天引きしてはいけないことになっています(労使協定により天引きが認められることがあります)。④毎月1回以上支払う必要があります。⑤一定期日に支払う必要があります。先月は15日に、今月は月末に支払うと言う支払い方は許されません。

3、 減給の制裁

何か悪いことをした社員に制裁(ペナルティー)の意味で減給をする場合でも、その減給額は平均賃金の半額まで、1か月単位で見ても給与の10%までと決まっています。※減給という懲戒処分をするためには、就業規則などの根拠を必要とします。

4、 休業手当

会社の都合で労働者を休ませた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。会社都合の休業とは、生産調整のために工場を休業する場合などを指します。

健康診断の費用負担とその間の賃金

2017.08.13

会社は、常時使用する労働者に対し、健康診断を実施する義務を負っています。パートやアルバイトなどの雇用形態によらず、この条件に当てはまる場合は、受診させなくてはなりません。

健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。

労働者にとっても、健康診断を受けることは、労働者自身の権利ではなく義務といえます。

では、健康診断にかかる費用は、労使のどちらが負担すべきなのでしょうか。行政通達によれば、「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきもの」と解釈されています。また、ここでいう費用には、労働者が健診の医療機関へ移動する交通費も含まれると考えられています。

受診する間の賃金についても、整理しておきましょう。

定期健康診断は、通常の業務とは関係なく受けるものですから、その間は労働していないと考えられます。よって、その間の賃金について払わない、あるいは有給休暇扱いとすることは違法ではありません。ただし、円滑な受診を目指すことを考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。

一方、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。特殊健康診断の受診に要した時間は、労働時間であり、賃金の支払いが必要とされています。注意しましょう。

会社が行うべき健康診断の種類

2017.08.06

会社は労働安全衛生法に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施させなければなりません。また、労働者は健康診断を受けなければならない義務があります。ここでは一般健康診断について紹介します。

一般健康診断は主に5種類あります。

法律上規定されている一般健康診断は以下の通りです。

1、雇入れ時の健康診断

2、定期健康診断

3、特定業務従事者の健康診断

4、海外派遣労働者の健康診断

5、給食従業員の検便

1、雇入れ時の健康診断

いわゆる新入社員が受診対象となるものです。労働安全衛生規則43条「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない。」に基づき、雇入時の健康診断の実施を義務付けています。

2、定期健康診断

毎年定期的に行っている診断です。労働安全衛生規則43条「事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない。」に基づき、雇入時の健康診断の実施を義務付けています。

※パートやアルバイトであっても、継続1年以上雇用する場合は定期健康診断を行なう必要があります。

3、特定業務従事者の健康診断

深夜業務などの特定業務に従事する労働者に対して、当該業務への配置替えの際及び6ヶ月以内ごとに1回、定期的に、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。

4、海外派遣労働者の健康診断

労働者を日本国外の地域に、6か月以上派遣しようとするとき、ならびに6か月以上派遣した労働者を日本国内における業務に就かせるときは、その労働者に対して、医師による健康診断を行わなければなりません。

5、給食従業員の検便

事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければなりませn。

健康診断を実施しない場合、会社は労働安全衛生法違反によるペナルティーを科せられるほか、健診を受けさせなかった労働者が病気になった場合、損害賠償責任が生じる可能性があります。

そのようなリスクを避けるため、また従業員に健康上の不安なく働いてもらうためにも、実施を忘れないようにしましょう。

雇入れ時の健康診断

2017.07.30

新しく人を雇い入れる場合、健康診断を実施することが労働安全衛生法上義務付けられています。どのような人にどんな健診を受けさせなければならないか確認していきましょう。

対象者

常時使用する労働者を対象としており、正社員のみでなくパートやアルバイトであっても以下要件のいずれにも該当する場合は実施する必要があります。

①期間の定めのない者や、契約期間が1年以上である者、契約の更新により1年以上使用されることが予定されている者、既に1年以上引き続き使用されている者

②1週間の労働時間数が、その事業場の通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者

雇い入れ時とは、雇い入れの直前または直後を指していますので、入社前に受診させることのほか、入社直後に受診させることも可能です。

健診項目

健康診断の実施項目については定期健康診断の項目とほぼ同じで、以下のとおりとされています。

①既往歴及び業務歴の調査

②自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

④胸部エックス線検査

⑤血圧の測定

⑥貧血検査

⑦肝機能検査

⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)

⑨血糖検査

⑩尿検査

⑪心電図検査

雇い入れ時の健康診断については上記すべての項目を実施する必要があります。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者がその健康診断の結果を証明する書類を提出したときは、その項目については省略することが可能です

健診費用について

行政通達によると、「法で事業者に健康診断の実施義務を課している以上、当然事業主が負担すべきものである」とされています。事業主が支払うのが無難でしょう。

心身の健康状態が仕事に影響を与えることは言うまでもありません。健康状態が悪い時は仕事も捗らないことがほとんどですので、会社にとっては痛手でしょう。そのような観点からも健康状態の管理を個人の責任とせず、会社も負うべきです。その第一歩として入社時の健康診断は実施するようにしましょう。

賃金の5原則

2017.06.18

賃金を支払う場合、労働基準法では以下5つの原則が定められています。

1、通貨で支払う

2、直接支払う

3、全額を支払う

4、毎月1回以上支払う

5、一定の期日を定めて支払う

通貨で支払うとは

賃金は通貨で支払う必要があり、現物給与は禁じられています(ただし、労働協約等に定めている場合は可)。なお、金融機関の預金口座への振込については、①労働者の同意があること、②労働者の指定する本人名義の預金口座に振り込むことを要件として許容されています。

直接支払うとは

使用者が労働者に直接賃金を渡すということで、いわゆるピンハネ行為を防止することも一つの目的です。

全額を支払うとは

その時期に支払うべき義務のある賃金は、全額労働者に支払わなくてはなりません。

毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うとは

賃金は労働者の生活の基本となるため、毎月1回以上支払わなければなりません。また、「毎月25日支払」・「月末払い」のように、支払う日を決めなければなりません。なお、賃金支払日が休日に当たる場合は、繰下げても繰り上げて支払っても、一定期日払いの原則には違反しません。

ただし、「毎月末日」払いで、その日が休日に該当した場合には必ず繰り上げて支払わなければなりません。もし繰下げて支払うとなると、翌月1日の支払いとなってしまい毎月1回以上の支払いの原則に違反してしまうためです。

賃金は、数ある労働条件の中で労働者が最も重視し、同時に最も労使でのトラブルが発生しやすいといえるでしょう。労働トラブルを未然に防ぐためにも、賃金支払いの5原則が守られているか自社の支払い方を見直してみましょう。

アルバイトやパートにも雇用契約書が必要か?

2017.05.28

週に数日しか働かないアルバイトや時間の短いパートタイマーに対しても雇用契約書を取り交わすことが必要です。
根拠は、まず労働基準法第15条に、「労働条件の明示義務」が定めてあるからです。雇用契約期間や業務内容、勤務場所、賃金や退職に関する事項は、書面によりどのような従業員に対しても交付しなければなりません。逆に言うと、その書類を交付していないことで労働基準法違反になるということです。
また、その法律のあるなしに関わらず、雇用契約書は働く条件を記した書類ですから、トラブル防止のために取り交わすことをお勧めします。近年では、パートやアルバイトであっても残業代や休日休憩、解雇についてトラブルが多くなっています。
非正規雇用の割合が増えている今にあっては、パートやアルバイトでも労基法をはじめとした権利関係を知っており、その権利主張を強くするタイプの従業員と感情的な対立をしてしまうと、退職時に思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。
パートやアルバイトに対しては、とくに「契約期間及び更新の有無」「更新の判断基準」「職務内容」についてトラブルとなることが多いでしょう。専門家の力を借りながらしっかりとした書面を取り交わしてください。
ちなみに、労働条件の明示は会社側が一方的に行っても問題ありませんが、お互いが内容に合意したことを証拠として残すためにも、双方の署名や記名押印がなされた「雇用契約書」の様式になっていたほうがベターでしょう。

労働関係の書類の保存期間

2017.04.17

労働基準法109条によると、使用者(会社)は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければなりません。逆に言うと、3年経過したものは保存義務はなく廃棄してもよいわけですが、だからといって在職者の昔の書類を何でも捨ててよいわけではありません。書類の保存について、それぞれの書類ごとに「起算日」が定められていまいす。

起算日
1.労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
2.賃金台帳については、最後の記入をした日
3.雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
4.災害補償に関する書類については、災害補償を終った日
5.賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日

つまり、労働者の関係の書類については、「辞めた後」3年間の保存義務があります。

労働者が多くなるとその保管も大変になってきますので、賃金台帳や出勤簿などかさばるものについては電子的に記録をして省スペース化に努めてはいかがでしょうか。

ちなみに労働基準法以外の法律に関連する書類の保存義務は以下の通りです。

健康診断結果 5年 (安全衛生法)

雇用保険書類(被保険者関係) 4年 (雇用保険法)

その他の雇用保険書類 2年(雇用保険法)

労災保険 3年(労災保険法)

社会保険 2年(健康保険法及び厚生年金保険法)

保存義務期間が書類によって異なりますので注意して管理してください。

会社の都合で社員に休んでもらった時に給料を払う必要があるか?

2017.03.14

会社の都合で休ませた場合の休業手当について

 

労働者本人の体調不良や家庭の事情で会社を休む場合、多くは「ノーワークノーペイ:働いていない部分の給与支払いはなくてよい」という原則の通り無給として処理しますが、その休みの原因が会社にある場合は、少し違う対応をする必要があります。

 

会社の都合による休みとは、例えば以下のようなケースがあります。

 

1、不景気だから工場の稼働を一時的に停める場合

2、社内の不正について調査するとき、証拠隠滅防止のため関係者に自宅待機を命じる場合

3、採用内定者について、業績の悪化のため予定通りの日付から勤務開始させられず、自宅待機をさせる場合

 

このような場合は、労働基準法の定めによる「休業手当」を支給しなければなりません。

 

休業手当の計算式は以下の通りです。

 

平均賃金 × 60% 以上

 

平均賃金は、原則として事由発生日前3カ月の給与総額を暦日数で割って計算しますが、その額の6割以上を「働いていなくても」負担しなければならないということです。

 

ちなみに、「伝染病にかかった社員に自宅待機させる場合」、「台風などで交通機関がストップした場合」「大きな災害があった場合」など、会社側の都合かとうかの判断に迷う場面については、有給の取得を奨励するか、社労士などの専門家に意見を求めるとよいでしょう。

賃金の直接支払原則

2016.12.13

賃金を受け取る時、会社と労働者との間に仲介人等が間に入ると、労働者に対する賃金が本人に渡らない可能性が出てきます。そこで労働者の「賃金をもらう権利」を守るために、この「直接払いの原則」が設けられています。

 

例えば労働者が未成年の場合など、親権者などの大人によってお金が消費され、本人の手に渡らないなどの問題が出てくるかもしれません。直接払いの原則はこのようなことを防ぐ目的があると言えるでしょう。

 

賃金の支払いにおいては,直接払いの原則により,親権者などの法定代理人はもとより,労働者の任意代理人に賃金を支払うことも禁止されています(ただし、労働者の妻に手渡すなど、単なる使者である場合、賃金債権者が税金の滞納などにより差し押さえ処分を受けた場合など、一部例外的に認められることもあります)。

 

ちなみに賃金をもらう権利(賃金債権)を債権譲渡することはできます。しかし,その場合であっても,使用者は労働者に対して賃金を直接支払わなければならないとされています。したがって、賃金はあくまで労働者本人に渡すものと心得ていた方がトラブルが少ないでしょう。

 

直接払いの原則に違反した場合

使用者が直接払いの原則に違反した場合,刑事罰としては,使用者は30万円以下の刑罰を科されます(労働基準法120条1号)。

 

賃金については、それがたいていの労働者にとって唯一の収入源であるため、それが本人の手に渡らないことがあればその人の生活が脅かされてしまいます。そのため厳しくルールが定められていると覚えてください。

パート、アルバイトの有給休暇

2016.08.02

 中小企業の労務管理の実態として「有給休暇は社員だけの特典」という誤解をされることがありますが、法律上はパート・アルバイトにも6か月以上の勤務をしていれば有給休暇を与えなければなりません。ただし、正社員よりも短い働き方をしているため、正社員とは付与日数に差をつけることはかまいません。

 

正社員の有給休暇

正社員の有給休暇法定付与日数は以下の通りです。

勤続6か月→10日

勤続1年6カ月→11日

勤続2年6カ月→12日

勤続3年6カ月→14日

勤続4年6カ月→16日

勤続5年6カ月→18日

勤続6年6カ月以上→20日

※全出勤日の8割以上出勤していることが条件

 

パート・アルバイトに対する有給休暇は、週当たりの所定労働日数が4日以下、週労働時間が30時間未満の場合に以下のように付与されます。

①週当たり4日勤務の場合

勤続6か月→7日

勤続1年6カ月→8日

勤続2年6カ月→9日

勤続3年6カ月→10日

勤続4年6カ月→12日

勤続5年6カ月→13日

勤続6年6カ月以上→15日

 

①週当たり3日勤務の場合

勤続6か月→5日

勤続1年6カ月→6日

勤続2年6カ月→6日

勤続3年6カ月→8日

勤続4年6カ月→9日

勤続5年6カ月→10日

勤続6年6カ月以上→11日

 

①週当たり2日勤務の場合

勤続6か月→3日

勤続1年6カ月→4日

勤続2年6カ月→4日

勤続3年6カ月→5日

勤続4年6カ月→6日

勤続5年6カ月→6日

勤続6年6カ月以上→7日

 

①週当たり1日勤務の場合

勤続6か月→1日

勤続1年6カ月→2日

勤続2年6カ月→2日

勤続3年6カ月→2日

勤続4年6カ月→3日

勤続5年6カ月→3日

勤続6年6カ月以上→3日

 

パート・アルバイトが有給休暇を取った場合の賃金については、「その日に働くはずだった時間数分」を支払う必要があります。

最低賃金を破るとどうなるか?

2016.06.07

 最低賃金制度とは、国が賃金の最低限度を決め、会社はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。つまり、会社が労働者に支払わなければならない、賃金額の最低限値を定めているのです。

 

最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

 

・地域別最低賃金→産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその会社に対して適用される最低賃金です。

 

・特定(産業別)最低賃金→「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されています。

 

○最低賃金額より低い賃金で契約した場合

最低賃金額より低い賃金を労働者と会社の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額で契約したものとみなします。

 

○会社が最低賃金を支払っていない場合

会社が労働者に最低賃金額を下回る額の賃金しか支払っていない場合には、会社は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。差額を支払わない場合、50万円以下の罰金に処される恐れがあります。

 

○最低賃金計算時に除外する項目

①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

 ②1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

 ③会社で決められた労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃

金など)

 ④会社で決められた労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

 ⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時

間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

 ⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当 

最低賃金制度について

 

最低賃金制度とは、国が賃金の最低限度を決め、会社はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。つまり、会社が労働者に支払わなければならない、賃金額の最低限値を定めているのです。

 

最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

 

・地域別最低賃金→産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその会社に対して適用される最低賃金です。

 

・特定(産業別)最低賃金→「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されています。

 

○最低賃金額より低い賃金で契約した場合

最低賃金額より低い賃金を労働者と会社の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額で契約したものとみなします。

 

○会社が最低賃金を支払っていない場合

会社が労働者に最低賃金額を下回る額の賃金しか支払っていない場合には、会社は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。差額を支払わない場合、50万円以下の罰金に処される恐れがあります。

 

○最低賃金計算時に除外する項目

①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

 ②1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

 ③会社で決められた労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃

金など)

 ④会社で決められた労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

 ⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時

間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

 ⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

零細企業でもわざわざ36協定を出さなくてはならないのか?

2016.05.31

1週40時間、又は、1日8時間(これらを「法定労働時間」と言います)を超えて勤務させることは、法律により禁止されています。従いまして、法定労働時間を超えて勤務させると、労働基準法違反として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになっています。

 

法定労働時間を超えて勤務させる場合は、書面による協定、いわゆる36協定(サブロク協定)というものが必要で、これを作成して、労働基準監督署に届け出ないといけません。

36協定を労働基準監督署に届け出ることによって、この罰則が免除されます。

社員数1名の零細企業でも36協定の届出は必要です。

 つまり、本来は労働基準法違反だけど、この協定を届け出れば、労働基準法違違反でなくなるということです。このことについて、労働基準法第36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。

 

○36協定の限度時間

36協定では、法定労働時間を超えて勤務させることができる時間を決めるのですが、その上限の時間が次のように定められています。

 

1週間→15時間

2週間→27時間

4週間→40時間

1ヶ月→45時間

2ヶ月→81時間

3ヶ月→120時間

1年→360時間

 

なお、これらの限度時間は、法定労働時間を超えて勤務させることができる時間のことで、会社で定めた労働時間を超えて勤務させる時間ではありません。

 

この規定は働き過ぎの防止、健康確保を目的としたものですので、どこの会社でも共通する「法定労働時間」を基準として決められています。

 

○36協定で決めた時間を超えて勤務させてしまった場合

36協定で協定した時間を超えて勤務させると違法になります。また、超えた時間に対する残業手当はきちんと支払わないといけません。もし、超えた時間に対する残業手当を支払わないと、二重で労働基準法違反になってしまいます。

健康診断は会社の義務って本当?

2016.05.24

職場における健康診断は、有害物質などによる健康被害を早期に発見することや社員の総合的な健康状況を把握するために行うものです。この健康診断は労働安全衛生法上実施しなければなりません。

 

代表的な健康診断は主に2つあります。

 

  1. 雇入時の健康診断

会社は、常時使用する社員を雇ったときは、その社員に対して、医師による健康診断を受けさせなければなりません。

 

  1. 定期的な健康診断

会社は、常時使用する社員(満15歳以下の社員を除く。)に対して、1年以内ごとに1回、医師による健康診断を受けさせなければなりません。

 

 

○健康診断を受ける義務はあるか

社員(一部のパート社員等を除く)は、会社が行なう健康診断を受けなければなりません。ただし、会社が指定した医療機関での健康診断を希望しない場合、その他の医療機関で健康診断を受け、診断を受けるべき項目をきちんとやり、その結果を証明する書面を会社に提出することができれば問題ありません。

 

 

○健康診断結果の通知と記録について

会社は、遅滞なく診断結果を社員に通知し、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければなりません。

 

 

○健康診断実施後に会社がやるべきこと

会社は、健康診断の結果についての医師の意見を聴き、その必要があるときは、その社員の実情を考慮して、就業場所・業務の変更や、労働時間の短縮を行わねばなりません。また、特に必要な場合は医師や保健師による指導を社員に受けさせねばなりません。

 

 

○健康診断結果報告義務

定期的な健康診断を実施した際、常時50人以上の社員を使用する会社は、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を管轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。

 

健康診断を受けさせないからといって、直ちに罰則を受けるわけではありません。しかし、会社にとって特に欠けては困る社員が、診断が遅れたことで病気にかかり、長期の離脱を余儀なくされる可能性もゼロではありません。働きやすい職場環境を整える意味でも健康診断は実施する方がよいでしょう。

掃除時間は労働時間か。

2016.04.09

社内の掃除や着替えなど、働く前の準備や後片付けの時間は労働時間なのでしょうか。

 

労働時間には次のような判断基準があります。

 

①    朝の掃除、準備

この場合、仕事前の掃除が会社に命じられていたり、当番制によってやらざるを得なくなっている場合など、会社からの命令だと考えることができる場合は労働時間となります。

ボランティアで行っている場合には労働時間になりません。

 

 

②    作業準備時間、後片付けの時間

仕事を進めるために必要な作業であれば、労働時間となります。

 

 例:デパートなど、開店と同時に全員が職場につき、お客様を迎えるための開店準備作業をする場合や、閉店後、翌日の仕入れを決めるために後片付けを兼ねて売上と在庫を計算したりする場合など

 

 この場合も労働者の意思で業務を行う場合は労働時間になりません。

 

③    更衣時間

会社内において着替えを行うことを会社から強制されている場合には、

会社の命令であると考え、労働時間となります。

 

④    仕事前の朝礼の時間

仕事前の朝礼の時間に関しても、「会社の命令なのかどうか」で判断されることになります。

また、命令ではないにしろ朝礼に参加するかどうかで会社からの評価が変わってくる場合は労働時間となります。朝礼で当日の仕事の説明をする場合にも同様です。

 

以上をまとめると、準備や後片付けを労働時間とするかどうかは、会社に命じられたことか、仕事を進めるために絶対に必要なことかどうかで変わってくるという事です。

 

仕事が始められる状態で始業時間になり、終業時刻になって後片付けを始めるのは当たり前のことのように思えます。

 

しかし、そのための準備や片付けの時間が労働時間に当てはまった場合、給料の支払いが必要になってしまいます。労働時間を決める時には、「世間一般の常識」だけではなく、このような「法律で決まっていること」があることに気をつけましょう。

割増賃金

2016.04.02

労働者は労働が1日8時間を超えた時間(時間外)について、通常の賃金の計算方法よりも割増してお金を受け取ることができます。また午後10時~午前5時の深夜時間に働いた時間についても同様です。この場合の計算方法は以下の場合に分けられます。

 

①    1日8時間を超えた労働時間が1ヶ月60時間以内の場合→2割5分以上で計算

 

②    1日8時間を超えた労働時間が1ヶ月60時間を超えた場合→5割以上で計算

※中小企業については適用が猶予されているため2割5分以上

 

③    午後10時~午前5時に働いた場合→2割5分以上で計算

 

④    法定休日に労働させた場合→3割5分以上で計算

※法定休日:労働基準法などの法律で決められた休日のこと。

 

割増するお金の計算のベースとなる賃金には、家族・通勤手当などの賃金は入れません。

 

 

例:会社指定の労働時間が午前8時から午後5時(休憩1時間)までの実働8時間、

1か月45時間、1年360時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を3割

とする大企業の場合

 

 ○1か月45時間以内の時間外労働について

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.25 (時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.25+0.25) (時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.25  (時間外労働)

 

 

 ○1か月45時間超~60時間以内又は1年360時間超の時間外労働について

 

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.30 (時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.30+0.25)(時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.30(時間外労働)

 

 

 

○1か月60時間超の時間外労働について

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.50(時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.50+0.25)(時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.50(時間外労働)

 

 

○法定休日労働の割増率

 

5時から22時→1時間当たり賃金×1.35(法定休日労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.35+0.25)(法定休日労働+深夜労働)

妊産婦に関する労働基準法 その2

2016.01.20

妊娠中及び産後1年を経過しない女性に関して、労働基準法その他の法律では一定の保護を与えています。その1で紹介したルール以外のものを紹介します。

 

1、労働基準法上のルール

・妊婦の軽易業務転換(法第65条第3項)

妊娠中の女性が請求した場合には、今やっている業務から他の軽易な業務に転換させなければなりません。

 

・妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(法第66条第1項)

変形労働時間制がとられる場合であっても、妊産婦が請求した場合には、1日及び1週間の法定時間を超えて労働させることはできません。つまり、妊産婦が求めた場合は変形労働時間を適用することができません。

 

・妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(法第66条第2項及び第3項)

妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせることはできません。

 

・育児時間(法第67条)

生後満1年に達しない生児を育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分の育児時間を請求することができると労働基準法で定められています。

 

2、その他の法律でのルール

男女雇用機会均等法において、「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止」が決められています。会社は従業員が妊娠出産またはそれに付随して認められる権利を使ったことなどを理由として本人に不利益な取り扱いをしてはいけないと定めています。

 

※ 不利益な取り扱いと考えられる例

○ 解雇すること

○ 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと

○ あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること

○ 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと

○ 降格させること

○ 就業環境を害すること

○ 不利益な自宅待機を命ずること

○ 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと

○ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと

○ 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと

妊産婦に関する労働基準法 その1

2016.01.12

育児に関する関心がますます高まっている今、妊産婦への対応も重要な労務管理ポイントです。労働基準法で定められている妊産婦に関するルールは以下の通りです。

 

1、産前産後の保護

女性労働者が出産する場合、産前6週間(多胎妊娠の場合には14週間)、産後8週間の休業が認められています。産前休業は労働者本人からの請求があれば休ませなければならないとなっていますので、出産直前ギリギリまで働くことを本人が選ぶことができます。

産後休業は本人の請求や意思を問わない強制的なものですが、産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせてもよいとされています。

産前産後休業中の賃金の支払いは使用者に義務付けられておらず、就業規則等に有給の定めのない限り無給でもかまいません。

 

 

2、母性機能に有害な業務への就業禁止

母体に有害であるとされる一部の業務について、女性を働かせてはならないとされているものがあります。

例えば坑内労働については、会社は、妊娠中の女性および坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性を、坑内で行われる全ての業務に就かせてはなりません。また、上記以外の満18歳以上の女性についても、坑内で行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるものに就かせることはできません。そのほか、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務、その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることはできません。

また、使用者には、妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させることが義務付けられています。

ストレスチェックの義務化

2015.08.16

労働安全衛生法が改正となり、平成27年12月1日から一定規模の事業主に対してストレスチェックが義務化されます。ポイントは以下の通りです。

 

1、概要

常時使用する労働者に対して、医師、保健師等※1による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック※2)を実施することが事業者の義務となります。ただし、労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務とされています。

 

※1 ストレスチェックの実施者は医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士を含める予定。

※2 検査項目は、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目による検査)を参考とし、今後標準的な項目を示す予定。検査の頻度は、今後省令で定める予定で、1年ごとに1回とすることを想定。

○検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。

○検査の結果、一定の要件※3に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することが事業者の義務となります。また、申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されます。

※3 要件は、今後省令で定める予定で、高ストレスと判定された者などを含める予定。

○直接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じ就業上の措置※4を講じることが事業者の義務となります。

※4 就業上の措置とは、労働者の実情を考慮し、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を行うこと。

 

労働者のメンタル部分のケアについてもますます重要度が高まります。快適な職場づくりのため、法律に先駆けて対策を検討するとよいでしょう。

研修時間に給与を支払う必要があるか

2015.08.02

会社が従業員に対して時間外に研修を行った場合、たとえその時間に作業をしていなくても給与を支払わなければならない場合があります。給与支払いの必要があるかどうかついては、以下の点によって決まります。

 

  1. 強制参加の研修であれば給与支払いの必要あり

強制的に参加をさせている研修であれば、会社の「指揮命令」によるものですから、その時間は労働時間となり、給与支払いの義務が出てきます。

 

  1. 強制参加としてなくても「参加が暗黙のルール」であれば給与支払いの必要あり

任意で参加する研修であったとしても、「実質的には強制されているのと同じ」状態であれば、その研修時間はやはり労働時間となります。過去の裁判では「会社の黙示的な指示があると認められるときには、労働時間として取り扱う」と言う解釈がなされています。黙示的指示があったかどうかを判断する基準は以下のものがあります。

l  参加する従業員の仕事内容とどれだけ関連しているか

l  労働安全衛生法など法令に基づいて実施するものであるかどうか

l  参加しないことにより不利益な取り扱いがあるかどうか

研修に参加しないことが給与査定に影響したり、罰金などペナルティーがあった場合、表向きは強制でなくても実質的に参加を強制されていると見なされます。

 

逆に言うと、研修時間を「労働時間」としないためには、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制をせず、「従業員側から自発的に申し込む書類を提出してもらう」など、自由参加であることを示す状況を整えましょう。

インターンの学生は労働者と何が違うか

2015.07.07

昔に比べてインターンシップ制度が一般化してきました。インターンシップは学生にとって在学中にリアルな職業体験ができること、会社の社風や雰囲気が体験できることなどから、今や就職活動の一環として積極的に使われています。

また企業側も、CSR(社会的責任)の面から、またはミスマッチによる早期退職などを防ぐためなどの理由からインターン学生受け入れを積極的に行うことが多くなっているようです。ところが、中には「職業体験」とは名ばかりで、実態は労働者として作業をさせているケースもあり、社会的に問題視されています。

 

インターンシップにおける学生の労働者性の有無の判断基準は、厚生労働省が以下のような通達を出しています。

 

『一般に、インターンシップにおいての実習が見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者には該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある』(平成9・9・18 基発636号)

 

つまりインターン中にやっていることが「直接生産活動をしている」と見なされる場合は、もはや職業体験でなく、「労働」であるという解釈になっています。人事の担当者はインターン内容が「労働であるかどうか」を慎重に検討しなければなりません。

 

労働者であるか否かによって、以下の点で違いがあります。

 

1、賃金の支払い義務

労働者であれば労働基準法や最低賃金法による給与の制約があります。労働者であれば「無給」や「最低賃金以下」の給与で働かせることができません。

 

2、労災の適用

労働者の場合は、労災保険の適用となります。インターン中のケガや通勤途中でのケガなどについて労災保険の補償が受けられることになります。

 

インターン学生受け入れについては、専門家の意見を聞きながら適法に行ってください。

台風などの天災で公共交通機関がマヒした場合、給与を支払うか?

2015.06.17

台風などの天災で電車などがストップした結果通勤できない従業員に対しての給与の支払いは原則として必要ありませんが、一定の場合には労働基準法の「休業手当」を支払わなければならないことがあります。

 

休業手当とは:

労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めてあります。例えば

 

・不景気で工場の操業を止めた

・採用内定者について、経営悪化により自宅待機を命じた

 

などの場合は、会社側の事情による休業であるため、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。

 

 

台風で電車がストップした場合はどうか:

台風で公共交通機関がストップしたことは天災という外部の要因によるものであり、会社ではどうしようもない不可抗力です。ですから、一般的には「使用者の責に帰すべき事由」には当たらないとされています。

 

ところが、公共交通機関のストップによって出勤できない従業員が一部のみであり、近隣の従業員は自転車などで通勤できた場合は事情が違います。通勤をできる従業員も含めて休業を命じた場合には、通勤可能な従業員に対しては休業手当を支払わなければならないでしょう。

 

台風などの天災の場合、子供の学校が休校になったり、通所介護施設がストップしたりといった家庭事情も発生します。従業員の安全と家庭事情を考慮して自社に合ったルールづくりをしましょう。

定期健康診断やってますか?

2015.06.02

労働安全衛生法には、会社は定期健康診断を従業員に受けさせなければならない旨が定められており、労働者にも受診義務があります。

 

対象労働者:

「常時使用する労働者」が定期健康診断を受けさせる対象となります。なお、短時間労働者(パート勤務者等)に関しては、以下の2つの要件のいずれかを満たす場合に「常時使用する労働者」に該当します。

 

1、雇用期間の定めのない短時間労働者。なお、雇用期間の定めのある場合、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。

2、1週間の労働時間数が、事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

 

頻度:

定期健康診断を行う時期は、原則として1年に1回以上(交代制で深夜業務を行う人は6ヶ月に1回以上)、そして入社時です。ただし、労働者が、入社3ヶ月前に健康診断を受けた結果を証明する書面を提出した場合は、その健診項目に相当する項目は省略する事ができます。

 

定期健康診断を怠ることによるリスク:

健康診断を受けずに元々の病気が悪化して死亡等に至った場合、遺族や家族に会社の責任を問われる可能性があり、損害賠償を請求されることも考えられます。また、労働安全衛生法に違反している為、労働基準監督署からの是正勧告の実施や、労働者の会社に対する信頼低下にもつながる恐れがあります。

 

健康診断を受けさせない事は、法律に違反するだけでなく、余計なリスクも抱えてしまいます。そうならないためにも、対象者には健康診断を受けさせる事を忘れないようにしてください。

フルコミッション給与制度の問題点

2015.04.26

最近では実力主義・成果主義を重視する会社が増えてきました。 会社の本音としては利益を生む人材にしかお金を出したくないということでしょう。完全歩合とはつまり、働いて成果を上げた分だけ一定の計算によって給料が支払われるというものです。

 

しかし日本の法律に照らし合わせてみると、完全歩合給というシステムは労働基準法違反になってしまいます。

 

○完全歩合給は違法か

 

完全歩合給という労働条件で求人をかけている会社を見ると、ほとんどの募集条件が「営業」あるいは「販売」であるが、物が売れなければ給料もゼロにしたい、という会社の都合を表していると言えるでしょう。しかし、日本の法律では利益が全く得られなかったとしても、働いた労働者に給料を支払わないということは許されません。

 

法律では、「売っただけお金を得ることができるというルールで働いている労働者について、会社はその人が実際に働いた時間分についても最低賃金額以上支払わなければならない」という決まりがあります。従って、その人のおかげで会社が儲かったかどうかに関わらず、働いた人に対して会社はその分のお金を支払わなければならないのです。

 

 

○最低賃金額とはどのくらいの金額なのでしょうか。

 

上記における最低賃金は地域別・職種別に1時間あたりの最低額が決まっています。従って歩合給の仕事で成果を上げられなかったとしても、会社は労働時間×最低賃金という最低限の金額を労働者に対して支払う必要があることになります。

 

 

○「最低賃金」ではダメな場合も

 

会社は最低賃金さえ払っていればよいのかというと、必ずしもそうとは限りません。

 

なぜならば、国では「実際の給料とあまり差がないくらいの給料が保障されるように保障給の額を定めるべき」と決めているからです。

同じ会社の他の社員に比べて極端に低いような場合は、法的に問題ありと判断される可能性もあります。一般的には、休業補償と同じ通常の賃金の60%程度が給料の最低ラインと決められているようです。

失業保険の話

2015.03.10

失業保険について

雇用保険に加入していた人(65歳未満)が、会社を辞めた際にもらえる「失業保険」と呼ばれているものは、正式には雇用保険の「基本手当」と言います。この基本手当をもらうには、下記の条件を満たしていることが必要です。

 

1、離職して、雇用保険の被保険者ではなくなっていること

2、失業していること

3、離職日以前の2年間に、賃金支払い基礎となった日が11日以上ある月が通算して12か月以上あること

 

上記2の失業とは、単に仕事を辞めただけではなく、「働く意思と能力」があり、仕事を探しているにも関わらず、仕事のない状態を言います。

基本手当を受給するためには、退職した会社から離職票を発行してもらい、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行う必要があります。

 

失業保険の金額

「基本手当日額」に、「所定給付日数」をかけて算出します。

「基本手当日額」とは、離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金合計を

180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)の金額です。

「所定給付日数」とは、雇用保険に加入していた期間、年齢、離職理由等により決まる、「基本手当日額」をもらえる日数分のことを言います。

詳細な日数に関しては、ハローワークのHP等で確認できますので、ご覧ください。

 

基本手当を受給するためには、会社を辞める際に「離職票」を発行してもらっておくことが必要です。また、定期的にハローワークに通い、仕事探しを積極的に行う必要があります。次の就職先が決まるまでの生活保障として、有効活用してください。

労働法の全体像は・・・

2015.02.03

人を雇うときに関連する法を総称して「労働法」と言いますが、具体的には以下のような類型に分かれています。

 

1、個別の労働関係にかかるもの

労働基準法   

労働契約法

労働安全衛生法など

 

2、集団の労働関係にかかるもの

労働組合法

労働関係調整法など

 

3、雇用のマーケット(求人や求職)にかかるもの

職業安定法

雇用保険法

労働者派遣法

男女雇用機会均等法など

 

労働契約とは、「賃金を払うこと」と「労務を提供すること」を交換しあう契約ですので、原則論としては、給与を払う限り「会社の言うとおりに働きなさい」と命令することができます。

ただし、もちろん相手は人間ですから、その人権は尊重されなくてはなりませんし、ひどい労働環境を強いることがあってはなりません。そのため、使用者(会社)の行き過ぎた行動を抑制・制限する目的で労働法が整備されてきました。それぞれの類型ごとに定めてある制限内容例は以下の通りです。

 

1、個別の労働関係にかかるもの

一日などの労働時間の上限、休日の最低日数、有給休暇の最低付与日数、解雇のやり方、職場の衛生管理方法、雇用契約期間設定など

2、集団の労働関係にかかるもの

賃金やその他待遇について労働者側が集団で交渉することを拒否できないなど

3、雇用のマーケット(求人や求職)にかかるもの

求人条件の最低ライン、派遣方法のルール、性差別の制限など

 

現在は雇用形態の多様化や社会情勢の変動から、労働法も多岐にわたります。自分の会社に特に関連する労働法は何か、どのような点に注意すべきかについては、社会保険労務士など専門家に相談し、一緒に整備をすすめていくとよいでしょう。

労働時間の原則と例外

2014.12.05

労働基準法では、労働時間について以下のように原則を定めています。

 

・1日8時間まで

・1週44時間まで

 

ただし、この原則を全ての会社に適用すると、業務そのものが円滑に進まないケースが出てくるため、いくつか例外が設けられています。

 

例外1:週44時間の業種

常時労働者数10人未満の商業・小売サービス業・保健衛生業などについては、週44時間まで認められます。

これらの業種については、手待ち時間が多く、少ない人員で店番などをする必要があることから、緩和措置そして設けられています。

 

例外2:変形労働時間制

変形労働時間制は、1日あるいは1週で見ると法定労働時間を超えていても、ある一定期間で「平均すると」法定労働時間を超えないならばよしとする例外規定です。

月の上旬、下旬などを比較して繁閑の差が大きい場合に導入により効果が見込まれます。

一定期間は「1ヶ月」「1年」などで区切られ、それぞれ就業規則での明文化または労使協定の締結が必要です。

 

例外3:みなし労働時間制

営業職などで1日中外出しており、労働時間を正確に算定することができない場合、「とにかく一定時間労働したとみなす」という例外です。

ただし、この制度はあくまで「会社が労働者の労働時間を算定するのが難しい」ことを条件に認められるものですから、携帯電話その他のモバイル機器で管理を用意にできる現代では中々認められないようになりました。安易に「営業職はみんなみなし労働時間だ」と考えないようにご注意ください。

 

例外4:専門業務型裁量労働時間制

デザイナーや法律の専門家など、労働時間で労働の価値を測ることに馴染まない一定の職種について、あらかじめ決めた労働時間働いたとみなす例外です。

対象業種が決められているうえ、労使協定の締結が必要です。

 

 

これら労働時間に関する例外規定を活用しながら、適切な労働時間管理を進めて下さい。

労働時間管理についての重要な通達「46通達」

2014.11.30

残業時間についての実務上の管理方法について、平成13年4月6日に重要な通達があります。通達日にちなんで通称「46通達(ヨンロクつうたつ)」と呼ばれるこの通達の要旨は以下の通りです。

 

46通達の要旨

  1. 「会社側が」、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。
  2. 記録方法は以下のいずれかにすること。

(1).  使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。

(2).  タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

  1. 「自己申告制」によりこれを行わざるを得ない場合、①労働者に十分な説明を行う②時々自己申告による労働時間と実際の労働時間が合っているかを会社が調査する必要がある。

 

つまり、出退勤を客観的に管理するのは「会社のやること」であるという解釈です。この通達に照らし合わせると、労働時間(始業・終業時刻、休憩時間、残業など時間)がキチンとわかるように管理していないこと自体に問題があることになります。

 

残業代の支払いをめぐる労使トラブルにおいては、実際の労働時間が重要な争点になります。会社がキチンと労働時間管理をしておらず、原告(労働者)が他の客観的証拠(パソコンのログインログアウト記録や、帰宅時間をメモした手帳など)を提出して実労働時間を主張した場合、争いが会社に不利に働くこともあります。

 

また、実際の労働時間を正確に知ることは、労働生産性を測る意味でも重要です。「面倒だから」「今まで時間管理なんて慣習で曖昧にしていたから」という理由で時間管理を避けず、しっかり正確に記録することをおすすめします。

派遣と出向

2014.11.10

一般の方にはあまり知られていない法律ですが、職業安定法という法律があります。
職業安定法は、企業による労働者の募集・職業紹介・労働者供給について規制している法律です。

この法律では原則として労働者供給『事業』というものを禁止しています。
実は派遣も出向も、ここでいう『労働者供給』の一種です。
なのに、派遣や出向が違法でないのは、上記の原則の例外とされているからです。

派遣に関しては労働者派遣法という法律があり、そこで定められた手続を経て行えば違法ではありません。
派遣を『業として行う』つまり、派遣で利益を上げることも、禁止されてはいません。

一方、出向に関しては出向法という法律はありません。
ただし、出向という言葉には定義があり、事業性を持たないことが要件とされています。
つまり、出向そのものは『労働者供給』に該当するが、出向によって企業が利益を上げないものと定義されているため、労働者供給『事業』には該当しないということなのです。

よって、これらの例外を除けば、労働者供給事業(いわゆるピンはね屋)は違法行為であり、違反すれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則が適用されます。
この罰則は、供給元だけでなく、供給先(受け入れ企業側)にも適用されるので、要注意です。
たとえば、派遣労働者を受け入れる時などには、派遣元がきちんと派遣法上の手続きを踏んでいるかなどを、書類で確認する必要があります。

ちゃんとした派遣会社だと思って労働者を派遣してもらっていたら、それが後で偽装請負や二重派遣であったことが判明し、労働者供給事業とみなされてしまった場合、こちらも罰則を受けることになるかもしれません。

正社員とパートの格差は違法か?

2014.09.29

平成20年4月1日からパート労働法が改正され、パート社員の差別的取り扱いが禁止されましたので、パートタイム労働者の差別的な取扱いをすると労働基準監督署から是正指導を受ける可能性があります。

 

ただ、ここで差別的取扱いを禁止されているのはすべてのパートではなく、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当するものだけです。その「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当するかどうかは、以下の3点から判断されます。

 

①    職務内容が同じであるか

仕事の内容、責任の程度、期待される業務等から判断されます。

 

②    転勤やその他人事異動の取り扱いが同じであるか

正社員には転勤範囲に制限がなく、パートには制限が設けられていたとしても、実質的に差がない場合には同一と判断されます。

 

③    契約期間に期間の定めがないか

有期契約であったとしても、何度も更新された場合には、期間の定めがない契約と判断されます。

 

 

3点ともすべて正社員と同じ場合は、パートであることを理由としての差別的取扱いが禁止されます。別の言い方をすれば、1点でも正社員と異なっていれば、差別的取扱いとはみなされないことになります。職務内容が同一であるパートがいたとしても、「人事異動の有無や範囲」までも正社員と同一ということはほとんど考えられません。そのため、パートと正社員に賃金格差があったとしてもただちに是正指導を受けることは少ないでしょう。

 

ただし会社は、処遇を公正にしようとするなら、仕事の能力に合わせて賃金設定をすべきでしょう。その意味では、「パートだから」という理由での賃金格差が本当にふさわしいことかを確認してみることは労務管理上必要であると言えます。

国民健康保険+厚生年金の社会保険

2014.07.10

法人事業所、および、常時5人以上の従業員を雇用する事業所は強制的に「協会けんぽ等健康保険と厚生年金保険」=いわゆる社会保険が適用されます。従って、これらの事業所に勤務する場合には、本来は厚生年金にのみ加入することはできません。しかし、例外的に健康保険の適用除外申請を提出し、認可が下りれば厚生年金にのみ加入出来るケースもあります。

 

健康保険の適用除外申請が出来るのは、個人事業としてすでに国民健康保険組合に加入していて、法人成りをするケースです。この場合には、所属する国民健康保険組合から証明をもらった申請書を管轄の年金事務所へ提出します。承認が得られれば、「国民健康保険+厚生年金」のセットで加入が出来ます。

 

国保と健保は、それぞれ特徴があります。

健康保険は保険料が高い分、手厚い給付が受けられます。一方、国保組合運営の国保は、保険料が安く、従業員の保険料を会社が折半負担しなくてよいなどのメリットがあります。

 

<健康保険の特徴>

・保険料は給料に応じて変動する。高い。

・毎年改定される。給与変動に伴う改定もある。

・傷病手当金、出産手当金がある

・会社を辞めた後の任意継続制度がある

・健保組合の場合、上乗給付がある場合があり、給付が手厚い

 

<国民健康保険の特徴>

・保険料は保険者(市町村)の財政に左右される

・国保組合は保険料が安く、市町村は高い傾向にある

・傷病手当金と出産手当金がない。健保に比べると給付が少ない

 

市区町村が保険者の国民健康保険に加入している場合は、「協会健保健康保険+厚生年金保険」に加入しなければなりませんが、現在国保組合に加入しているのであれば、保険料が安い傾向にあるので、適用除外申請を検討してみても良いでしょう。

また、給付内容が健保と国保では違うため、適用除外申請を行う際は、社員へ国保組合へ引き続き加入することの説明を行いましょう。

労災保険に入ってないのに労災事故が起きたら?

2014.06.30

労働者を1人でも雇っている事業主は労災保険の加入手続きを行わなければなりません。この労災保険手続きを行っていない場合、事故発生で思わぬ費用を払わなければならないことがあります。

 

労災保険の加入手続きとは、「労働保険関係成立届」を労働基準監督署に提出することですが、この手続きを行っていなかったとしても、労災事故が起きた場合は「労働者保護の観点」から保険は適用されます。つまり労働者は労災保険の給付を受けることができます。

では、事故が起きるまでは加入しなくても良いのではと思ってしまうかもしれませんが、未加入時に事故が発生した場合、会社に対してペナルティが課せられます。

 

パナルティは遡って保険料を徴収する他に、給付を受けた金額の40%又は100%を事業主から徴収します。

 

<「故意」に手続きを行わなかった場合>

労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等を受けたにも関わらず、手続きを行わない期間中に事故が起きた場合、「故意」と判断されます。「故意」と判断された場合には、保険給付額の100%が徴収されます。

 

<「重大な過失」により手続きを行わなかった場合>

労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等は受けていないものの、労災保険の適用事業となってから1年を経過し、手続きを行わずに事故が起きた場合、「重大な過失」と判断されます。この場合には、保険給付額の40%が徴収されます。

 

 

例:行政機関から加入の指導は受けていなかったが、労災加入手続きを行っていなかった会社で、賃金日額1万円の従業員が労災事故で死亡し、遺族に労災保険から遺族補償一時金が支給された場合。

 

遺族補償一時金(1万円(賃金日額)×1000日分)×40%=400万円

 

ペナルティの額が想像以上に高額になることもあるので、未加入の場合は早急に手続きを行いましょう。また、労災保険は場所ごとに適用になるので、支店を開設した場合の手続きも忘れずに行いましょう。

学生をアルバイトに雇う時の注意点

2014.06.20

20歳未満では、未成年ということで両親や行政が関係する部分もあり、年齢区分ごとに(高校生と大学生の年齢による区分)特別の規制がありあす。

高校生ですと18歳未満で年少者となり、大学生は、20歳未満者で未成年者となります。

 

高校生のアルバイトについての制限:

高校生のアルバイトでは、

1、年少者の「年齢証明」の備付義務があります。

2、残業(時間外・休日労働)、深夜業(午後10時~翌朝5時)をさせることが原則としてできません。

3、一定の危険有害業務(重量物や安全・衛生上危険な業務)をさせることができません。

 

労働社会保険について:

また、学生の雇用保険と社会保険についてですが、「学生で、親の扶養に入っているのだからいずれも入らなくてよい」という訳ではありません。

学生アルバイトでも下記の条件を満たしていたら保険加入となります。

 

・雇用保険

夜間学生で、週20時間以上、31日以上の雇用見込みがある場合は加入します。

※ただし、昼間学生は、原則対象外となります。

 

・社会保険

通常勤務する正社員の労働時間、労働日数の4分の3を超えていること。

扶養家族の認定基準は収130万円未満なので、その金額を超えていること。

以上の場合は社会保険に加入しなければなりません。

 

・労災保険

また、学生アルバイトでも労災保険の対象になります。労災保険は保険料の個人負担はありませんが、労働保険年同更新時の労災賃金総額に学生アルバイトの賃金も加える必要があります。

管理職には残業代を支払わなくてもよい?

2014.06.10

「管理職には残業代を支払わなくてもよい」と巷で言われていますが、本当にそうなのでしょうか。

この残業代支払いの必要性は、管理職の方が、労働基準法上の「管理監督者」に当たるかどうかによってことなります。

 

管理監督者は、経営の管理的立場にある者又はこれと一体をなす者をいい、労働時間や休憩、休日について適用除外が認められています。

しかし、実態としての権限がない「名ばかり管理職」には賃金の支払いが必要になります。また、法律で定められている管理監督者に該当する場合でも、深夜労働(午後10時から翌朝5時)には割増賃金の支払いが必要となります。

 

管理監督者として認められるか否かについては、次の4点から判断されます。

①    重要な職務内容を有しているか

②    重要な責任と権限を有しているか

③    現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないものか

④    賃金について、その地位にふさわしい待遇がなされているか

 

①②については、人事考課を行う、業務の指示をする等も判断の要素になります。具体的な内容としては、労務管理を行う立場にある者であって「部下がいない課長」などは管理監督者に該当しないことが多いでしょう。

③については、遅刻や欠勤などで賃金を控除されたりしている場合には、同管理監督者に当たらないことが多いです。ただし、出退勤の時刻記載を義務付けていたことをもってすぐに管理監督者ではないというわけではありません。会社には安全配慮義務がありますので、管理者の健康に配慮して出退勤時刻の把握及び管理は必要だからです。

④については、一般社員と管理職の間で明確な賃金差が必要とされます。管理職昇格したら、残業手当が出なくなり、一般社員の時よりも給与が下がってしまったというような逆転現象がある場合はまず管理監督者として認められないでしょう。

 

 

現在の基準で管理監督者として認められる社員は。きわめて少ないと言えます。中でも、労働時間について出退勤の制約がないのは、役員クラスの一部だけです。

そのため、管理監督者として認められなかった場合を見越した対応が必要となります。一つの案としては、管理職には、残業代相当の管理職手当を支給することです。こうすることによって、管理監督者として認められなかった場合に未払い賃金を請求されたとしても、一定の残業代は支給していることになります。

健康診断の義務

2014.06.05

会社に実施義務のある健康診断は、【一般健康診断】と【特殊健康診断】に分けられます。

 

<一般健康診断>

①雇入時の健康診断:労働者雇入れの時

②定期健康診断: 1年以内ごとに1回

③特定業務従事者の健康診断:深夜業に配置替えの際、6月以内ごとに1回

④海外派遣労働者の健康診断:海外に6ヶ月以上派遣するとき、帰国後国内業務に就かせる時

⑤給食従業員の検便:給食の業務に従事する労働者の雇入れの際、配置替えの際

 

<特殊健康診断>

石綿などの特に有害な業務に従事する労働者に実施

 

 

年1回の健康診断以外にも、会社には健康診断の実施義務があります。健康診断を実施しない場合、会社は労働安全衛生法違反によるペナルティーを科せられるほか、健康診断を受けさせなかった結果労働者が病気になった場合には損害賠償責任が生じる可能性があります。

また、たとえ健康診断を実施していても、健康に異常が見つかった社員を放置した場合は責任を問われる可能性があります。異常があった場合には、再検査や休暇などの措置を行う事が必要です。

 

【健康診断費用はだれが負担すべきか】

行政通達によると、労働安全衛生法により実施を義務付けている以上、健康診断の費用負担は当然会社がすべきとされています。

 

一般健康診断中の賃金の支払いについては、法律で定められていません。会社と労働者が協議して決めるべきとされています。しかし、実施義務が会社にある以上、給与は支給したほうが望ましいでしょう。

特殊業務従事者に対する特殊健康診断については、業務との関連性が強いため、労働時間内に行い、賃金を支払うべきとされています。

 

健康診断実施は法律上求められていることでもありますし、労働者の健康に配慮している会社の意思表示手段としても有効ですので、受診をしていない場合は今後の受診をしましょう。

妊娠を理由に解雇してはいけません

2014.05.30

法律では、「妊娠や出産を理由とする解雇」を禁止しています。また、妊娠や出産を理由として女性労働者を不利益に扱うことも禁止されています。

解雇が禁止されているのは以下の期間・理由です。

・産前産後の休業中及びその後30日間の解雇

・女性労働者の婚姻、妊娠、出産を理由とする解雇

・妊娠中及び産後1年を経過しない女性労働者の解雇

・育児休業の申し出、取得を理由とする解雇

 

近年は、この「妊産婦への不利益取り扱い禁止」が社員側にも広く認知されてきていますので、乱暴な解雇や不当待遇はすぐトラブルになってしまいます。

 

妊娠や出産を理由とする解雇は禁止されていますが、産前産後休業中の給与は支払わなくて問題ありません。社会保険に加入していれば、産前産後休業時には給与の3分の2相当額が出産手当金として支給されます。この期間、会社の負担は社会保険料のみです。

 

また、産前産後休業後の育児休業も無給で問題ありません。雇用保険に加入していれば、原則子供が1歳になるまで育児休業給付金が受給出来ます。さらに、産前産後休業とは違い、育児休業時は社会保険料が本人、会社ともに免除となります。そのため、会社としては実質的な負担はありません。

 

 

問題はむしろ休んでいる間の「代替要員の確保」や「復帰」について起こりがちです。どのくらいの期間で復帰することを希望しているか、復帰後の労働時間はどうするかなど、子育てに関する予定を事前によくヒアリングしておきましょう。無理やり退職に追い込むことは、トラブルの原因になりますので、話し合いはあくまで慎重に行ってください。

雇用保険の手続を忘れてしまったら?

2014.04.10

雇用保険の資格取得(入社手続き)を忘れていた場合、過去に遡って手続きを行うことはできますが、原則として2年間しか遡ることができません。

2年以上前から入社をしていた場合、本人の雇用保険加入期間が少なくなり、本人が退職した時に失業給付の額に影響が出る可能性があります。(失業給付は、加入期間によって支給額が変わります。)

 

ただし、例外として2年以上遡って手続きすることも可能です。

この場合は、当該2年以上前の期間について雇用保険料を天引きしていた事実が必要となります。つまり、過去の賃金台帳を提出して「前から雇用保険に加入しているという前提で保険料天引きをしていたが、たまたま手続きを忘れていただけだ」という状態でなければ2年以上の遡り手続きはできません。

 

 

加入手続きが済んでいるかどうかを確認するには:

管轄のハローワークで「事業所被保険者台帳提供依頼書」を届け出ることで、現在の被保険者一覧表が観覧できます。

現在の被保険者一覧表で雇用保険の加入漏れかどうか確認できます。

 

 

加入漏れは会社への信頼感を損なうことにもなりかねませんし、社員にとって失業保険給付に関わる一大事となりますので注意してください。

できれば2年に1回は加入漏れがないかを確認するような体制を整えておくとよいでしょう。

必ず会社に保管しておかなければならない労務帳簿

2014.02.14

【法定帳簿とは】

労働基準法上、会社に必ず備えておかなければならない書類があります。これを法定帳簿と言います。

 

法定帳簿とは特に

①労働者名簿

②賃金台帳

③出勤簿(タイムカードなど)

この3つをいいます。

 

労働基準法で、どんな規模の会社であっても作成することが義務付けられている書類です。

法定帳簿は、その終了の日から3年間会社で保存しなければいけません。

※終了の日とは、退職日や死亡の日等を指します。

では、それぞれの書類にはどんな内容が記載されている必要があるでしょうか。

 

【法定3帳簿に記載されているべき内容】

◆労働者名簿には、労働者の

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 生年月日
  4. 住所
  5. 履歴
  6. 雇用した年月日
  7. 退職した場合、退職年月日とその事由

が記載されていなければなりません。

 

◆賃金台帳には、給与支払いの都度(つまり毎月の給与を支払う度に)、労働日、労働時間(残業時間等を含む)、給与や天引き額などを記載します。

賃金台帳には、この「労働日」「労働時間」の記載が漏れていることが多く、これが労基署の臨検の際に是正を受けやすい事項ですので注意しましょう。

 

◆出勤簿とは、従業員の働いた日数、働いた時間、時間外労働等を把握するために作成します。単に出勤印のみを押印するだけでは、始業・終業の時刻が明確でない為、臨検の際には是正指導を受けてしまいます。

【それ以外の書類の保存期間】

法定帳簿以外も、一定期間保存します。

 

退職金に関わる書類                  5年間

雇用保険の資格得喪に関する書類         退職日から4年間、できれば7年間

労働保険のお金に関する書類や労災保険に関する書類    3年間

健康診断個人票                     5年間

 

自社で必要な書類が備え付けられているか、今一度確認してみましょう。

会社の「安全配慮義務」

2013.12.24

会社には、従業員の安全や健康に気を付けなければいけないという「安全配慮義務」があります。

 

・安全配慮義務違反とは

安全配慮義務とは、従業員が安全で健康に働くことができる環境を確保できるように配慮しなければならないという会社の義務を言います。

危険な作業で怪我をしないように気を付けることはもちろん、怪我以外でも長期間の残業や過度のストレスがかかるような状況がある場合には、会社はその状況を改善するように配慮しなければなりません。

 

もし、安全配慮をすべき状況であるとわかっていながら会社が何も対策をせずに放置して、従業員が倒れてしまうようなことになってしまえば、会社は「安全配慮義務違反」として従業員やその家族から訴えられて、多額の損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。安全配慮義務違反は、労働者側からの訴えの一つの拠り所となるものです。

 

安全配慮で特に注意すべき事項:

長時間勤務や残業・休日出勤時間に特に注意すべきです。

長時間働いていたために心疾患や脳疾患を患い、またはうつ病を発症したり、最悪の場合、病気による死亡や自殺に至ってしまうケースなどがあります。

従業員がストレスを溜め込んで体調を崩すのは、その原因の全てが会社にあるとは限りませんが、長時間労働やパワハラが無関係とも言えないでしょう。

特に、月80時間超える時間外労働は「過労死」との因果関係が出てくるため注意が必要です。

 

行政では、過労死について仕事との関連性が高いかどうかを一定の判断基準を設けています。

・過労死の確認基準

発症前1ヶ月から6ヶ月にわたって、1ヶ月あたりおおむね45時間を超えた時間外労働があった場合

⇒仕事との関連性が徐々に強まる

 

発症前1ヶ月間におおむね、100時間の時間外労働または発症前2ヶ月から6ヶ月にわたって、1ヶ月あたりおおむね80時間を超えた時間外労働があった場合

⇒仕事との関連性が強い

 

長時間労働を抑制しつつ、生産効率を高めるための取組に注力することは簡単ではありませんが、「安全配慮」の面からも「労働生産性」の面からも大切なことです。

親の介護で休みたいとの申し出があったら?

2013.11.30

育児介護休業法により、一定の労働者には介護休業を取得する権利があります。

会社へ介護休業の申し出が出来るのは、育児休業と同じく日雇い労働者を除く男女すべての従業員です。

正社員だけではなく、下記の要件を満たしていれば期間契約社員、パート、アルバイトも介護休業の申し出が出来ます。

 

1、 勤続年数1年以上

2、 介護休業開始予定日から93日を超えて引き続き雇用が見込まれること

 

つまり、上記に該当するパート、アルバイトにも介護休業を取る権利があることになります。

 

介護休業の期間:

介護休業ができる期間は、対象家族1人につき、「要介護状態」になるごとに1回、通算93日までの介護休業をすることができます。

 

要介護状態とは:

介護休業を取れる「要介護状態」とは、病気や身体・精神上の障害により、2週間以上常時介護を必要とする状態をいいます。

 

休業中の給与は支払うべきか:

育児休業中と同じく、介護休業中もやはり「ノーワーク ノーペイの原則」で、休んだ分について給与を支払う必要はありません。

 

雇用保険から介護休業基本給付金について:

従業員に給与が支払われない期間の補償として、雇用保険から給与の約40%をカバーする介護休業給付金が支給されます。

 

介護休業期間中の社会保険料について:

育児休業とは違い、介護休業期間中は社会保険料の免除はありません。

介護休業にかぎったことではありませんが、病気やケガなどで長い欠勤が続く場合も含め、休んでいる期間の社会保険料をどのように徴収するか、会社で約束ごとをつくっておくとよいでしょう。

休業が明けた後の給与から控除するか、毎月期日を決めて会社に振り込みかなど会社独自で決めておきましょう。

 

・介護休暇制度について

長期の休業は必要はないけれど、直接の介護だけでなく、対象家族の通院の付き添いのためなどに休みがに必要な場合で従業員が「この日に介護休暇をほしい」と会社に申し出た場合は、対象家族が1人であれば年5日まで、2人以上であれば年10日まで、1日単位で介護休暇を取得させなければなりません。

 

介護休暇の申し出か出来るのは、日雇い労働者を除く、男女全ての従業員です。

また、労使協定がある場合は「子の介護休暇」と同じく次の従業員からの申し出は断ることができます。

 

1、 勤続年数6ヶ月未満の従業員

2、 週の所定労働日数が2日以下の従業員

「退職証明書」の話

2013.11.18

会社では、退職者や退職願を受理した従業員から請求があった場合には、すぐに「退職証明書」を発行しなければならないということが義務付けられています。

この「退職証明書」とは、労働基準法で以下の様に定められたものです。

 

根拠となる条文:

(退職時等の証明)

第22条

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

 

つまり、前職で働いていた条件などを証明するものです。労働力の移動への障壁が低くなりつつある現在では、再就職先でこの退職証明書の提出を求めるケースもそう多くはないと思われますが、それでも「退職者本人が求めれば」会社はこれらを証明しなければならないという決まりになっています。

 

 

退職証明書に記載する内容:

退職証明書に記載する内容は下記のとおり法律で決められていますが、「退職者が請求していない項目は記載してはいけない」という点に注意が必要です。

 

1、 勤務していた期間

2、 業務の種類

3、 会社での地位

4、 給与

5、 退職の事由(解雇の場合はその理由も含む)

 

例えば、5、退職の事由について「書いてほしくない、証明してほしくない」と退職者から申出があれば、その内容は記載してはいけないことになります。

 

ちなみに、退職証明書を請求できる期間が決まっています。

請求できる期間は退職後2年以内です。

この点で、退職しても2年間は、元従業員の情報は保管しておかなければならないということになります。

ノーワーク・ノーペイの原則とは

2013.11.12

労働者の労働に対して、会社は給与の支払い義務があります。逆に労働がなかった部分に関しては、会社は給与を支払う必要はありません。これをノーワーク・ノーペイの原則といます。従業員が遅刻や欠勤をした場合、会社はその部分に関し、給与を支払わなくても良いのです。

 

公共交通機関が原因で遅刻をした場合は、遅刻扱いにしないという会社もありますが、法律でそのように取り扱うことが定められているわけではありません。従って、どのような理由であれ、遅刻分の給与を支払わないことに問題はありません。

しかし、「遅延証明書があれば遅刻扱いにならない」と考えている場合が多いので、事前に周知させておくことが大切です。

 

しかし、このノーワーク・ノーペイの原則にも例外があります。「働けない原因」が会社にある場合です。もともと、出勤予定であったのに働けなくなると、従業員は1日分の給与を受け取ることが出来ず、給与がもらえないことは従業員の生活を脅かすこととなります。よって、休業の責任が会社にある場合には、1日につき平均賃金の60%以上を「休業手当」として支給しなければなりません。

 

「休業手当」の支払い義務が生じるのは、「働けない原因」が会社にある場合にのみです。地震や台風などの天災事変の不可抗力によるものや、法令に基づく休業(新型インフルエンザに罹患した従業員を休ませる等)は、会社の責任ではないので、「休業手当」の支払いは必要ありません。

 

では、経営悪化によって従業員を休ませる場合はどうでしょうか。原料や資金不足による休業、親会社の経営難により資材が獲得できず休業、監督官庁の勧告による操業停止、いずれも原因は会社にあるとされます。したがって、経営悪化の休業は「休業手当」の支払い義務が生じます。

 

以上、ノーワーク・ノーペイの原則についてでした。

賃金や労働時間などの労働条件は口頭の説明だけでよいか?

2013.11.09

労働条件の書面通知義務:

労働条件のうち、勤務時間、契約期間、給料といった重要な事項については、雇入れ時に書面での条件通知をしなければなりません。後々に労働条件を巡る労使トラブルが起こらないためにも、書面の交付または取り交わしをしましょう。

 

書面で通知しなければばらない事項

1、労働契約の期間(契約期間がある場合は、労働契約を更新する場合の基準)

2、就業の場所・従事する業務の内容

3、労働時間に関する事項(始業・終業時刻、早出や残業など所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項

4、賃金の決定、計算、支払い方法、賃金の締切・支払いの時期

5、退職に関する事項(解雇となる事由も含む)

 

また、パートタイマーには下記3つの内容も書面にて通知しなければなりません。

1、昇給の有無

2、退職手当の有無

3、賞与の有無

 

※口頭でも構わないが、必ず通知しなければいけない事項

・昇給に関する事項

 

会社で決まりがある場合には書面で通知しなければならない事項

・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払い方法および支払い時期

・臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金額に関する事項

・労働者に負担される食費、作業用品などに関する事項

・安全・衛生に関する事項

・職業訓練に関する事項

・災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

・表彰・制裁に関する事項

・休職に関する事項

 

労働条件通知書の保管方法

労働条件通知書は写しをとって会社に保管しておきましょう。

また、労働条件通知書は会社から労働者への一方的な通知ですが、その説明を労働者が受けたことを記録するために、労働者の署名などをもらっておくと尚良いでしょう。