GOLGOのひとりごと

【給与計算・賃金の取り扱い】記事一覧

2020.11.16
歩合給がある場合の残業計算
2020.11.09
退職者が引継ぎをせず、有給消化を申請した場合の対応
2020.10.15
調査で判明する社会保険の誤解
2020.10.08
給与から控除できる項目
2020.09.02
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について
2020.08.04
未払い残業代を遡って支払った場合の社会保険料
2020.07.28
有給休暇の賃金の計算
2020.07.01
慶弔見舞金
2020.02.03
慶弔休暇は有給か無給か?
2020.01.09
残業手当の単位
2019.10.11
管理職の残業手当
2019.09.09
社会保険の喪失日と保険料の関係
2019.09.02
最低賃金と労働時間
2019.08.13
みなし残業代制度とは
2019.08.05
算定基礎届について
2019.08.02
労働保険の年度更新
2019.07.26
休職中の住民税
2019.06.27
ダブルワーカーを雇用した場合の時間外割増の計算
2019.06.09
降格により減給する場合の金額の限度
2019.05.09
日々の所定時間を変形させると有休手当の計算でつまづく可能性大
2019.04.25
残業代の計算
2019.04.12
賞与を支給する対象者は会社が決められる?
2019.02.01
在宅勤務のみなし労働時間
2019.01.04
深夜割増賃金
2018.12.21
最低賃金に関する法律
2018.11.29
給与締日、支払日の変更
2018.10.08
賞与は義務か?
2018.10.02
賞与にかかる社会保険料
2017.12.10
年末調整
2017.12.04
就労時間後の飲み会は残業か?
2017.09.22
2以上の会社から報酬を受けている場合の社会保険料
2017.08.27
賃金の注意点
2017.08.13
健康診断の費用負担とその間の賃金
2017.06.18
賃金の5原則
2017.06.11
給与からの控除のルール
2017.05.01
労働保険の一元適用と二元適用
2017.04.23
定年後再雇用の給与
2017.03.23
非課税の交通費には限度額がある
2016.11.30
最低賃金制度とは
2016.11.01
60歳を過ぎて再雇用した社員の給与はそれまでよりも下げていいのか?
2016.10.04
通勤手当には非課税限度額があります。
2016.09.27
労災の最初の3日は補償されない?
2016.09.06
住宅手当と残業代計算
2016.08.30
子供を産んでいる期間中の給与
2016.05.11
月60時間以上の残業は割増賃金が高い?
2016.04.24
雇用保険料率が変更されました!
2016.04.16
昼休みの電話番は労働時間か?
2016.04.02
割増賃金
2016.02.24
遅刻に対して余分に賃金をカットできるか?
2015.12.08
取引先の接待で飲食をしている時間は残業か?

歩合給がある場合の残業計算

2020.11.16

働き方改革に伴う残業規制により残業時間並びに残業計算方法に関心が集まっています。残業の単価計算について歩合給を支給している場合その計算方法に注意が必要です。

 

残業の単価計算の原則

残業単価計算をするときに、労働基準法で除外することができる手当としては次のものがあります。

 

・家族手当

・通勤手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支給する手当

・1ヶ月を超える期間ごとに支給する給与

 

この原則によると、歩合手当は除外されていませんが、歩合給は固定給とは分けて残業計算をするルールになっています。つまり、固定的賃金の残業単価計算には含めなくてよいことになります。

 

具体的な計算方法

次の例題をもとに、歩合給がある場合の計算方法を紹介します。

 

例題

社員Aさんのある月の給与

基本給20万円

歩合給5万円

所定労働時間 160時間

実際の労働時間180時間

 

この場合、残業となった180−160=20時間については次の2通りの残業代を払います。

 

⑴基本給に対する残業手当

20万円÷160時間×1.25×20時間=31250円

 

⑵歩合給に対する残業手当

5万円÷180時間×0.25×20時間=1388円

 

⑵については、「5万円の歩合を稼ぐのに180時間をかけたのだから、歩合給の1時間単価は5万円÷180」と言う理屈で単価を出した上で、割り増し部分のみを計算します。

 

このように、歩合給を含む賃金体系の場合の残業代計算には、総労働時間を管理している必要があることがわかります。労働者の時間管理をしっかりして正しい計算をしましょう。

退職者が引継ぎをせず、有給消化を申請した場合の対応

2020.11.09

退職を申し出た社員が、その後有給休暇を取得した場合、退職まで出勤しないことにより、引継ぎが出来ない状態になります。こうした場合でも有給休暇を認めなければならないのでしょうか?

 

【退職前の有給消化申請拒否は難しい】

有給休暇については、原則的には、自分の好きなタイミングで取得できる権利があります。(時期指定権)例外的に会社の運営に支障をきたす場合には取得日を変更する権利が(時季変更権)あります。

しかしながら退職の場合、退職日以後の時季変更は一般的に許されておりません。したがって有給の申し出があれば会社が拒否するのは厳しいでしょう。

 

【就業規則でのルール化】

上記のようなトラブルが起こらない為に、就業規則において、業務の引継ぎを義務化を明示することを盛り込むことが有効です。違反した場合には懲戒処分の対象となること明記することで抑止力にもなるでしょう。

 

【引継ぎマニュアルの用意】

とはいえ、民法上原則として申し出から14日以上経過をすれば、従業員は退職をすることが可能となります。十分な引継ぎが完了せず、退職してしまうケースも出てくるかと思います。未然にトラブルを防げるよう、予め会社側で引継ぎ項目を例示するなど引継ぎマニュアルを整備することも重要でしょう。

調査で判明する社会保険の誤解

2020.10.15

年金事務所は定期的に事業主に対して調査を実施します。この調査の目的は大きく分けて次の2つです。

 

1 社会保険に加入させるべき人を加入させているか

2 届出ている報酬額に誤りがないか

 

資格取得届などの社会保険にかかる手続きは簡易的で、事業主から申請があった通りに適用手続きがなされます。つまり、誤った報酬で登録しているか、または被保険者となるべき人を本当に届出しているかは取り立てて確認しません。そのため、定期的な調査でそのミスや不正を正そうとします。

 

年金事務所調査に当たった時には、次にあげるような誤解が指摘されがちです。

 

1 ×パートは社会保険加入させなくても良い

パートであっても週当たりの労働時間が通常の労働者の4分の3以上の場合は被保険者となります。(大企業の場合は週20時間以上)

 

2 ×社会保険は本人が希望しない場合は加入させなくて良い

社会保険加入・非加入は労働者が選択するものではありません。被保険者に該当する人は強制的に加入となります。

 

3 ×基本給だけを報酬として届け出て良い

基本給以外にも労働の対償として支払われた各種手当、残業代、通勤手当なども報酬に合算します。

 

4 ×二箇所以上の会社で報酬をもらっているが、主たる会社以外の報酬は関係ない

二箇所以上の会社の役員であるなど、複数の会社から報酬をもらっている場合、その報酬を合算しなければならないことがあります。

 

手続き漏れや誤りがあった場合、その時期に遡って修正をする必要があるため注意しましょう。

給与から控除できる項目

2020.10.08

毎月の給与を支給する際、その全額を支給せず、所得税・保険料や住民税、会社によっては旅行積立金や社宅家賃等を控除したうえで支給しているところが多いと思います。この控除項目については、勝手に控除して良いわけではありません。法律によって控除することが認められている「法定控除」と、労使協定を結ぶ事で控除できる「協定控除」があります。

 

賃金支払いの5原則

まず、前提として、賃金の支払いは労働基準法第24条で定められている以下5つの原則に従わなければなりません

 

1、通貨払いの原則(賃金は、通貨で支払わなければならない)

2、直接払いの原則(賃金は、直接労働者に支払わなければならない)

3、全額払いの原則(賃金は、その全額を支払わなければならない)

4、毎月1回以上払いの原則(賃金は、毎月1回以上支払わなければならない)

5、一定期日払いの原則(賃金は、一定の期日を定めて支払わなければならない)

 

上記3の「全額払いの原則」に従うならば、賃金からは何も控除してはいけなくなります。

ただし、この原則には例外が設けられており、以下に該当する場合は控除しても良いとされています。

 

法定控除

法律で定められている控除項目です。所得税・住民税・健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料等が該当します。

 

協定控除

労働者の過半数で組織する労働組合がない場合、労働者の過半数代表者と書面による協定(労使協定)を結んだ控除項目です。例えば、旅行積立や社宅家賃等が該当します。

 

 

法律で認められている法定控除以外を控除したい場合は、労使協定を結んでいなければ本来控除してはいけません。また、労使協定をだいぶ前に結んでいる場合、現状の控除項目と一致してない可能性もあります。自社の控除項目、協定については改めて確認した方が良いでしょう。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について

2020.09.02

7月10日にかねてから公表されていた、企業から休業手当が支給されなかった場合に労働者に直接給付される支援金の詳細情報が発表されました。
原則的には労働者が申請する様式ですが、一部事業主が記入するべき欄もあります。


支給要件

(1) 令和2年4月1日から9月30日の間に事業主の指示を受けて休業した中小事業主に雇用される労働者であること

(2) 上記(1)による休業に対し、休業手当が支給されていないこと

(3)会社が労災保険に加入していること(雇用保険加入対象者がいる場合は雇用保険も設置していること)

(4)会社が申請に協力すること(申請書等の署名、捺印箇所があるため)


支給金額

休業前の1日当たり平均賃金※×80%(上限日額11,000円)×(各月の暦日数―就労もしくは労働者の事情で休んだ日)

※原則過去6ヶ月の内、任意の3か月を90で除して算定する(少数点以下切捨て)

例:4月10日から休業した場合の平均賃金日額計算について
給与(3月:30万、2月:25万、1月:28万、12月:26万)の労働者の日額は、
(30万+28万+26万)÷90日=9,333円


申請方法

(1)原則、郵送申請(オンライン申請準備中)
(2)労働者本人の申請(事業主経由の申請も可能※)

※労働者が複数事業書で働く場合は別途申請書が設けられているので注意が必要です。


必要書類

(1)申請書※

※複数事業所で働く労働者は複数事業所分、まとめて申請する必要があります。
別々に申請した場合、あとから申請した分は無効となるので注意が必要です。

(2) 支給要件確認書(事業主及び労働者の署名が必要)

(3)本人確認書類(顔写真等がある免許証、マイナンバーカードの写し等)

→ただし学生証等の場合は顔つきでも本人確認書類が2種類必要となります。(クレジットカード、保険証等)

(4) 口座確認書類(労働者本人の通帳の写し等)

(5) 休業開始前賃金および休業期間中の給与を証明できるもの

→賃金台帳、給与明細、振り込み通帳の写し等


詳しい情報については、厚生労働省の以下のリンクを参照してください。

記入方法の解説動画も掲載されているようです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html>

未払い残業代を遡って支払った場合の社会保険料

2020.08.04

未払い残業代への関心は、年々高まっており、従業員より未払い残業代の請求をされている会社が多く見受けられます。

労働基準監督書が調査を行う際には、タイムカードと賃金台帳を見比べたり、パソコンの記録の確認も行われるようになりました。

 

労働基準監督署の調査において、実際に未払い残業代があったことを指摘され、遡って残業代を支払うことがあります。

 

その際、社会保険料の取扱いはどうなるのかが問題となりますが、これについて日本年金機構では以下の取扱いを行うよう疑義照会として明示されています。

 

Q:労働基準監督署の是正勧告により未払い残業代が遡って支払われることになった際、各月それぞれの支給額を確認したうえで、算定基礎届等の訂正が必要となるのか。また、未払い分が一時金として支給される場合において、各月それぞれの支給額を算出することが困難な際はどのようにすべきか。

 

A:各月それぞれの支給額を確認したうえで、算定基礎届の訂正が必要となります。ただし、未払い分を一時金として支給する場合において、各月それぞれの支給額を算出することが困難な場合には、当該一時金に対する賞与支払い届の提出が必要となります。

 

未払い残業代を支払う必要がない体制作りが1番ですが、仮に支払うことになった際は、社会保険料も考慮しなければなりません。

社会保険料は本人負担分もありますので、徴収方法は本人と相談するなどの対応も必要になるでしょう。

有給休暇の賃金の計算

2020.07.28

有給休暇の法改正がされ、従業員に有休消化を促すものの、実際に支払方法について不安に思う経営者も数多いのではないでしょうか?

今回は有給取得時の賃金の計算法についてみていきます。

 

労働基準法39条第7項によれば、有給時の賃金について以下の3つの方法を規定しています。

(1)平均賃金
(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)健保法第3条の標準報酬日額

 

算出方法の詳細

(1)平均賃金:算出方法
⇒有給休暇を取った日(給与の〆日がある場合はその日)以前3ヶ月間の賃金総額を総日数で割った金額。

ボーナスなど臨時の賃金は含まず、家族手当・通勤手当や残業代を含む
根拠条文:労働基準法12条

(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
根拠条文:労働基準法 施行規則 第25条

 

要するに休んでいなかったと仮定して通常通りの給与を支払う方法

 

(3)健保法第3条の標準報酬日額

※こちらを規定するためには別途過半数労組または過半数代表者との書面協定が必要となります。

標準報酬日額は、毎月の健康保険料の計算の基礎となる標準報酬月額を「30」で割った金額となります。

 

以上のように労働基準法計算方法として3方法規定されておりますが、このうちから1つを選択し、就業規則に明示する必要があります。

人や雇用形態によって、計算方法を変更することは出来ませんので注意が必要です。

慶弔見舞金

2020.07.01

慶弔見舞金とは、会社が従業員もしくはその家族の慶弔事(結婚、出産、親族の死亡、被災など)に対し支給する、祝い金、もしくは見舞金等を指します。

 

慶弔見舞金は、就業規則などに特段の定めがない場合は法的な支払い義務はありません。しかし、多くの企業では従業員の結婚や出産、家族の死亡などの慶弔時にはお金を包むことが一般的となっています。人によって取り扱いの差をつけたり、場当たり的な対応をしたりといったことにならないように、慶弔見舞金規程を定めることは大切でしょう。

 

なお、慶弔見舞金支給規程に従って支給された慶弔見舞金は福利厚生費として扱われ、会社の損金に算入されます(ただし、世間相場と著しくかけ離れた金額である場合は損金計上が認められないことがあります)。

 

 

慶弔見舞金の種類と一般的な金額

慶弔見舞金の種類と一般的な金額は、次のとおりです。

 

結婚祝金:本人が結婚した場合       1万~3万円程度

出産祝金:本人または配偶者が出産した場合              1万~3万円程度

傷病見舞金:本人が業務上もしくは業務外の事由により休業した場合 数万円程度

弔慰金   :本人が死亡した場合5万円〜10万円程度、家族の場合は1万~5万円程度

災害見舞金:本人の住居が被災した場合       2万~5万円程度

 

規程を作る際の注意点

支給対象者、支給時期を明確に決める他、慶弔見舞金支給の際に本人から提出してもらう書面(結婚の場合)についても決めておくとよいでしょう。

慶弔休暇は有給か無給か?

2020.02.03

慶弔休暇とは、出産や結婚などに祝い事の「慶事」、葬式などのお悔やみ事の「弔辞」があった際に取得できる特別休暇のことを言います。

【慶弔休暇は法定外休暇の取扱】

一般的休暇とは法律によって定められている法定休暇と会社が独自で規定している法定外休暇の2種類が存在します。
法定休暇の例としましては、「年次有給休暇」、「産前・産後休暇」、「育児・介護休暇」等が挙げられます。

法定外休暇の例としましては「リフレッシュ休暇」、「アニバーサリー休暇」、「エンタメ休暇」等が有名でしょうか。近年「働き方改革」が叫ばれ、会社独自のユニークな休暇を耳にする機会が増えたように思います。

さて本題に戻りまして、慶弔休暇はどちらに分類されるかといいますと法定外休暇にあたります。労働基準法では特段、慶弔の定めはありません。

慶弔休暇は有給か 無給か?
結論から言うと、会社の自由です。

会社の自由というと少々語弊がありますが、つまり、就業規則や雇用契約書の規定次第で有給か無給か、取扱を変更することが出来ます。仮に就業規則に慶弔休暇を定めなければそもそも慶弔時にお休みを与える義務も生じません。
一般的には会社の規模が大きくなればなるほど慶弔休暇を設けている割合が増える傾向にあり、中小企業ですと慶弔休暇を規定していなかったり、無給で設定したりする割合が高いようです。

あくまでも慶弔休暇とは法定外の特別休暇ですので、会社の方針によって自由に定めることが出来ます。
ただし、一般的に労働者にとって会社への慶弔休暇への期待値が高いといえます。
慶弔休暇の取得日数や賃金等の定めを決定する際は、社員のモチベーション、ワークライフバランスの実現とを加味しながら慎重に考える必要がありそうです。

残業手当の単位

2020.01.09

原則としては、残業代は1分から請求することができます。
会社によっては、1日ごとに15分や30分単位での残業時間を切り捨てる方法を採用しているのを散見します。
しかしこの計算方法は一般的には違法な処理となります。

基本的には労働者は働いた時間の対価として賃金が支給されるのであり、働いた残業時間が1分でも発生したのであれば、会社には労働者に対し発生した残業代を支払う義務が生じます。(根拠:労働基準法37条及び24条)

しかしながら、全ての労働者に対して、労働時間1分単位での管理、および給与計算を行うとなれば、事務処理の著しい煩雑化が免れず、利便性に欠けます。そこで、厚生労働省が割増賃金計算における端数処理の例外規定として以下の通達を出しています。

1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1 時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時 間に切り上げること。(昭和63年3月14日 基発第150号より)

上記規定を適用して例を考えてみましょう。
例えば、1ヶ月の法定外残業の合計時間が40時間27分の場合、30分未満は切捨となるので40時間分の残業代が請求できることとなります。
あくまでも1日単位での切捨は違法、1ヶ月の合計時間の端数処理は適法となるというわけです。

管理職の残業手当

2019.10.11

管理職(管理監督者)の地位にある従業員対しては時間外手当、休日手当を支払う必要はありません。 

しかし、ここでいう管理監督者とは「労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされており、「部長」「営業部長」といった肩書きではなく、実態により判断します。 

例えば、「地位に応じた相応の賃金が支払われている」といった待遇とともに「部下の採用、給与の決定など人事管理の権限を持つ」「出退勤時間が本人の裁量に任されている」といった立場にあることが必要です。営業上の理由で全員に「課長」という肩書が与えられている部署があったとしても、その従業員がこのような立場になければ管理監督者とは言えません。 

管理職の地位に当たる従業員は、会社への評価を一番に考えたりと一般の従業員とは違う思考が多いためか申し出が少なかったりもします。しかし労働基準法でも定められておりトラブルに発展するケースも考えられます。 

給与計算を行なっている経営者はもちろん、担当者であっても特に人事関連も任されている方は、「○○さんは、管理職だから残業代は出ない。」と決めつけるのではなく、労働基準法で定められている管理監督者の要件にしっかりと該当しているかどうかを一度チェックした方が良いでしょう。 

なお、深夜手当は管理監督者に対しても支払う必要があります。

社会保険の喪失日と保険料の関係

2019.09.09

月の末日か、その1日前の日に退職するのかでは1ヶ月分の社会保険料を払うか払わないかで従業員の資格喪失時期による差が生じる事はあります。
そもそも社会保険料の徴収に日割りは無く、月末に所属していれば保険料を支払う仕組みになっています。
ちなみに社会保険の資格喪失は退職日の翌日であり、これにより月末1日前退職は月末に喪失、月末退職は翌月1日に喪失、となります。
 

その為に月末1日前の退職の方が末日に所属しているという事実がなくなり、社会保険料の発生も無くなるという考えになります。 

しかし、月末1日前に退職した場合その末日の1日は国民健康保険の被保険者ということになり国民健康保険料の徴収にも日割りはないのでその1日の為だけに、国民健康保険への切り替えを行い1ヶ月分納めなければならないことになります。次の就職先で1日の空白も無く、末日から資格取得ができるのであれば問題無いのですがそうはならないといった場合は国民健康保険への切り替えをしないと、退職月分の国民年金保険料が未納になり、将来の年金に影響してしまいます。 

 会社の保険料的には◎という事になりますが退職者の年金的な面には配慮が必要となります。全てとは言えませんが退職する事で感情的になりがちですので、やむを得ない理由が生じない限りは会社と退職者との話合いの上で取りまとめることが必要な事と感じます。

最低賃金と労働時間

2019.09.02

最低賃金は各都道府県で設定されています。正社員はもちろん、パート、学生アルバイト関係なく、とにかく働く人に対し経営者は、設定以上の額を支払わなければ最低賃金法違反となります。この違反には、50万円以下の罰金が定められています。 

最低賃金は時給での提示となっているので、時給制の人は違反かどうか一目瞭然で分かりやすくいいのですが月給制の人は、いろいろ計算する必要があります。特に、基本給15万円~17万円(東京都参照)くらいの従業員は確認をしておいた方がいいでしょう。 

「時間あたりの賃金」(時給)を計算するには。まず、会社の「年間所定労働日数」、つまり1年間のうち、何日間の出勤日があるのかを確認します。こちらの確認方法は年間休日日数を算出して365日から年間休日日数を引くのが分かりやすいかと思います。 

年間所定労働日数」に「1日の所定労働時間数をかけます。これで、1年間の労働時間が計算されます。この数字を12ヶ月で割れば、「1ヶ月あたりの平均所定労働時間」となります。 

あとは月給額を、この「1ヶ月あたりの平均所定労働時間で割れば時給が算出されます。この金額が、各都道府県で設定されている最低賃金より多ければ大丈夫ですが少なければ、違法状態ですから、会社は対策を取らなければなりません。 

対策といっても賃金を上げるか休日を増やすかのどちらかになりますが、繁閑の差がある場合などは閑にあたる時期の業務時間を少なめに調整するなどの処置も考えられます。

みなし残業代制度とは

2019.08.13

みなし残業代制度は法令上の決まりがある制度ではなく、会社が任意に実施する制度です。 

会社は一般的に、労働者の実労働時間に応じて時間外労働や休日労働の割増賃金を計算してこれを支給していますが、その計算を効率的に行う方法として労働者が毎月一定時間の時間外労働をしたものとみなし、そのみなした残業に対応する定額の割増賃金を支給する制度を、みなし残業代制度と呼んでいます。 

 みなし残業代制度は、労働基準法の範囲内で運用されている限りは、法令違反となることはありませんので、現在では広く普及しています。 

 みなし残業代制度は労働者がみなされた残業分を必ず就労しなければならない事も無く、残業時間を超えて就労してはいけないことでもありません。 

 労働者は特に必要がなければみなされた残業時間よりも短い時間で仕事を切り上げることができますので、法定時間での就労が前提にはなりますが労働者への生産性を促す材料ともなります。 

仮に労働者の実労働時間に応じて支払うべき割増賃金額がみなし残業代を超える場合には、当然、会社は労働基準法の規定に基づいて、超過分の割増賃金の精算が必要です。 

労働者からはみなし残業代以上は支払われないと誤解を生みやすい制度ですが労働者への説明と業務の効率化による安定的な収入の一部として認識してもらい事務の効率化、労働者の生産性向上等を図るメリットとして考えられております。

算定基礎届について

2019.08.05

健康保険料と厚生年金保険料は、「標準報酬月額」で決まります。 

その「標準報酬月額」を1年に1回届け出ることを「算定基礎届」と言います。 

71日現在、在職している社会保険加入者が算定の対象者です。 

61日以降に新たに社会保険に加入した方は、標準報酬月額を届け出たばかりなので算定の対象外となり、4月~6月の固定的賃金の変動により、標準報酬月額が2等級以上の差が生じ、随時改定に該当した人も対象外となります。 

毎年4月~6月の3ヶ月間の平均給与月額から標準報酬月額をもとにどの等級に当てはまるかによって決まります。 

しかし入院による欠勤などの理由で、ある月の労働日数が他の月よりも少なくなっているという場合も考えられます。給与計算の対象となる労働日数を「支払基礎日数」と呼び、その数が17日に満たない月は標準報酬月額の計算から除外され該当する月のみを計算します。 

算定に用いる報酬は被保険者が事業主から労務の対償として受けるもので原則として金銭、現物の別を問わず全てをいいます。
ただし、臨時に支給されるものや労務の対償とはいえないもの、3ヶ月を超える期間ごとに支給されるものは報酬から除かれます。 

71日から710日の間に年金事務所(又は健康保険組合)へ届け出ます。 

算定基礎届は、手続きや内容が少々複雑なものになっていますが、保険料と将来受け取る年金を決定する大切な届出です。

労働保険の年度更新

2019.08.02

労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の2種類の社会保険の総称です。以上の保険は給付などにおいては別々に取り扱われますが、保険料の徴収は、「労働保険」として取り扱われています。 

労働保険の保険料は、毎年41日から翌年331日までの1年間を「保険年度」として、すべての労働者(雇用保険については、被保険者のみ対象)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じた額に一般拠出金を足して算定します 

一般拠出金とはアスベスト健康被害救済のために全事業主に課されます 

労働保険を計算する上で注意が必要なのは役員で雇用保険の資格がある人や、免除対象高年齢労働者がいる場合です。 

取締役であって、同時に部長や支店長、工場長など、従業員としての身分を有する人は 

雇用保険の被保険者となっている場合がありますこのような使用人兼務役員が受けている給与のうち、実質的な役員報酬は労働保険の算定基礎賃金には算入しません。 

免除対象高年齢労働者は、保険年度初日(41日)において、満64歳以上の高年齢者です 

最終的に前年度に納付した概算保険料と今回の確定保険料との差額の過不足による調整を行います。 

年度更新の手続きは、毎年61日から710日までの間に行います。申告・納付が遅れると延滞金がかかる場合もありますので、期日までに手続きが完了できるように対応しましょう。

休職中の住民税

2019.07.26

住民税は、会社員であれば通常は特別徴収によって会社から支給される給与から天引きされる形で納付しています。 
では労働者が休職などで給与が支払われなくなった時にはどうなるのでしょうか 

住民税に関しては休職中で給料が支給されていなくても免除の制度は無く、翌年5月までは控除が発生し続けることになります。 

給料から天引きされる特別徴収の場合、給料が支給されなければ会社が一時的に建て替えることになります。マイナスになった給与額の精算方法については会社ごとの取り決めとなりますが、いくつかの一般例としては①毎月振り込んでもらう。②マイナスを累積して休職満了後に精算をする。③住民税の納付方法を普通徴収に変更して、休職者本人が納付するように切り替える。等があげられます。いずれにせよ会社と休職者本人の負担とを天秤にかけての相談となりますが、住民税を普通徴収に切り替えてしまう方法が休職者本人にとっても負担の軽減になるのではないかと考えられています。普通徴収では滞納しながら支払うなど自分で調節したり、区役所が減税の相談にのってくれたりするケースが有り納付の負担の対策に講じる事ができるからです。
休職の種類によって期間も変わってきますのであらかじめシミュレーションを行い、方向性をしっかりと話し合い、意見の食い違いが生じないよう会社と休職者の双方にとって都合の良い方法を選択出来ればと思います

ダブルワーカーを雇用した場合の時間外割増の計算

2019.06.27

副業をしている場合、ダブルワークをしている場合の労働時間について、労働基準法第38条第1項では次のように定めています。

 

労働基準法第38条第1項

事業場を異にする場合も、労働時間の適用に関する規定の適用については通算する

 

ここで「事業場を異にする」とは、「事業主を異にする場合を含む」(昭23.5.14基発第769号)と解されています。2つ(以上)の事業主相互にはまったく資本・商業関係がなく、労働者本人の独自判断で複数の勤め先を確保する場合でも、労基法第38条は適用されます。ですから、2つの事業場で働いた時間を「通算して」、1週40時間、1日8時間を超えたら、割増賃金の支払い義務が生じます。

 

どちらが残業代を払うか

また、割増賃金の支払義務については、「時間外労働についての法所定の手続を採り、割増賃金を負担しなければならないのは、通常は、時間的に後で労働契約を締結した事業主と解すべき」とされています(労基法コンメンタール)。後から契約する事業主は、「労働者が他の事業場で労働していることを知りながら、契約を締結する」立場にあるからです。

 

とはいうものの、労働者が副業を正直に申告してくれるとは限らないこともありますから、取扱には曖昧な部分が残ります。副業を認める流れにある中、法整備が求められる箇所でしょう。

降格により減給する場合の金額の限度

2019.06.09

「給与を減額する場合、10%以内でないといけない」ということが言われますが、それは労働基準法の「減給の制裁」の規定を言っているものと思われます。

 

減給の制裁:

就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の 額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはいけません。

 

労働者保護のために減給幅を決めているものです。

 

しかし、懲戒による減給でなく、降格した結果役職手当がなくなった、役職手当額が変わった、ということであれば労働基準法第91条に抵触はしません。役職に対する適格性がないため下位の役職に格下げすることにより給与が下がる場合、10%に限られません。

 

ただし、給与を下げる場合は労使の対立が深刻化しがちですから、以下の点もご留意ください。(懲戒処分が重くなるほど客観性が求められ、より慎重を期す必要があります。)

 

・就業規則の懲戒条項に則ったものであること(客観的にみて懲戒事由が降格に相当であること)

・懲戒事由が本人に原因があること

・挽回の機会を与えていること

・不公平な取り扱いでないこと

・役職の変更に伴い明らかに職務内容が変わっていること

 

降給処分そのものが目的で、職務や責任が変わらない表面的、形式的な降格とみなされるときには問題となる場合もありますので実質的な降格(降職)を伴うことに注意してください。

日々の所定時間を変形させると有休手当の計算でつまづく可能性大

2019.05.09

フレックスタイム制や変形労働時間制を採用する場合、日々の所定労働時間を変形させることが可能です。 

(例)
月火水木金土日
89599休休


有休 

時給制の労働者に対し、このような変形を行った場合、水曜日の有休に対する給与(有休手当)は5時間分となります。 

 

変形労働時間制は一カ月単位であっても一年単位であっても、必ず予め所定労働時間を変形させることが要件とされておりますので、そのルールを守っている限りは有休手当をいくら払えば良いか分からないといった問題は生じないはずです。 

 

ところが、フレックスタイム制ではそうはいきません。 

始業と終業の時間を労働者の判断に委ねるのがフレックスタイム制なので、ある日に有休を取得したとしても、その日の所定労働時間が何時間かは会社側には分からないことになります。

(例)
月火水木金土日
89?99休休

有休

 

このような場合に、もしこの労働者が時給制だったら、有給手当をいくら払えばいいか?という問題が生じます。

 

(対応方法その1)平均賃金を使用する

平均賃金とは・・・・事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額(日額)

・予め就業規則や雇用契約書において有休手当を平均賃金で支払うという決め事をしておく必要があります。

・計算が複雑で手間がかかります。

 

(対応方法その2)標準となる1日の労働時間を使用する

フレックスタイム制を採用する場合には、労使協定の締結が必要です。その労使協定の中で「標準となる1日の労働時間」を定めることとなっております。

・労使協定で定め、周知する必要があります。

・計算に手間が掛かりません。

 

後者の方が圧倒的に便利です。

なお、変形労働時間制を採用しているかのように見せかけて、実際には予め日々の所定時間を決めず、実際に働いた時間に合わせてさもそれが元々の予定であったかのように偽るケースが見受けられますが、これは違法です。通称「結果フレックス」と呼んでおりますが、このようなケースでは、そもそもの変形労働時間制の要件を満たしておりませんので、所定時間の変形そのものが無効となってしまいます。

そうなると、元々の原則どおりの所定労働時間(例えば1日8時間、1週40時間)が適用となり、ここからはみ出した労働時間はすべて時間外労働となります。

そして、このような場合に特に、有給手当の計算ができなくなるのです。
ある日に有休を取得したとして、その日の所定労働時間は元々定められておらず、実際に働いた時間に合わせて所定労働時間を決めるわけですから、有休で休んでいる日の所定労働時間は決めようがないのです。

そして、フレックスタイム制ではないため、標準となる一日の労働時間も決められていないはずです。苦し紛れに平均賃金を使用するくらいしか手がありませんが、有休の都度、平均賃金を算定するのはきっと手間が掛かることでしょう。

今後、有休取得が当たり前になる時代がやってくると思われますが、こうした矛盾点も同時に炙り出されてくることになりそうです。

残業代の計算

2019.04.25

残業代(残業手当)とは法定勤務時間時間を超過して勤務した時に支払われるものです。労働基準法により、会社に勤める社員の法定勤務時間の上限は1日8時間、週40時間と決められています。しかし、忙しい時期などは定時上がりができず、1日に8時間を超過して勤務した場合、残業扱いになります。

そして残業には、「法定外残業」と、「法定内残業」2種類があります。

 

種類

「法定外残業」とは、法律で定められた法定労働時間を過ぎて勤務した場合の残業を言います。一方で、法定労働時間の中に収まっているが会社の所定労働時間を超えて労働した場合の残業は「法定内残業」と呼ばれています。

 

法定時間外労働の残業時間の計算

 

残業代の計算のためにはまず1時間当たりの計算単価を求めます。

 

時間給の場合:時間給=単価

日給の場合:日給÷所定労働時間(法定労働時間内)=単価

月給の場合:月給÷(所定労働日数×所定労働時間)

 

このうち、月給の場合は基本給だけでなく手当も含みます。ただし、実費弁償的な意味合いの大きい手当(通勤手当、家族手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当)や、臨時に支払われる大入り袋などの手当は計算単価から除いて計算することができます。

 

計算単価に対して、法定残業の場合は125%以上(月間60時間以上の場合150%以上※中小企業特例あり)の割増率を乗じます。一方で法定内残業をした場合は、時間数に、会社規定の1時間あたりの単価をかければいいだけです。

 

また、夜10時から朝5時までの深夜間に残業させた場合、深夜労働手当として、割増で残業代を払うことが義務となっており、深夜労働の残業手当は、深夜時間帯分の中で働いた時間数に1時間あたりの給与をかけて、そこにさらに0.25をかけることで算出できます。

賞与を支給する対象者は会社が決められる?

2019.04.12

賞与はボーナスや一時金などども呼ばれ、毎月決まって支給される賃金とは別に、夏休み前や年末、事業年度末などに支給されるものです。

 

賞与の意味合いは様々です。個人の業績評価的な意味合いのこともあれば、会社全体の利益分配のためであることもあります。年俸の一部としてあらかじめ支給額が決まっている場合もあるでしょう。

 

上記のうち年俸制により確約されているものを除けば、賞与は必ず支給しなければならないものではなく、その支給基準、支給対象者、支給額、支給日などは原則として労使間の就業規則や賃金規程などで自由に決めることができます。つまり、基本的に「支給日に在籍していること」を賞与の支給要件とすることは法的に差し支えないと判断され、支給日在籍者にのみ賞与を支給しても問題ないと判断できます。

 

ただし、支給日在籍者だけに限定するとしても、退職日を自ら選択できない定年退職者や解雇の場合などは、特別に支給対象者とするなどのケアをすることが望ましいでしょう。

 

また、営業成績に連動するよう計算式が明確になっている場合は、「その期間に在籍して営業成績を出したのだから、途中でやめるまでの賞与をもらう権利がある」という労働者側の主張を許すことになります。賃金規程などで「支給日当日に在籍していないと支給しない」と明文化して起きトラブルを防ぎましょう。

在宅勤務のみなし労働時間

2019.02.01

在宅勤務者は、プライベートな場所である家で仕事をするわけですから、労働時間を明確に区分する事が難しいでしょう。そんな時には「みなし労働時間制」による労務管理が適しているかもしれません。

 

労働基準法

法律では次のようにされています。

 

労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときには、所定労働時間労働したものとみなされます(労基法38条の2第1項)。ただし、その業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが通常必要になる場合には、その業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされることになります(同項但書)。

 

かつては営業や外回りの社員に対して適用されてきましたが、インターネット・スマートホンが普及した今では営業社員の労働時間を「算定し難い」場合ばかりでもなくなってきました。


みなし制の適用要件
①事業場の外、つまり会社でない場所で労働がなされることです。労働の一部が事業場外で行われ、残りが事業場内で行われる場合は、事業場外での労働についてのみ、みなし計算がなされます(昭63.3.14基発150号)。

 

②労働時間を算定しがたいことが第二の要件となります。労働時間を算定しがたいかどうかは、使用者の具体的な指揮監督や時間管理が及ぶか否かなどにより判断されます。行政解釈によれば、

 

a.業務を行うグループの中に時間管理者が含まれる場合

b.通信手段を用いて随時使用者の指示を受ける場合

c.訪問先や帰社時刻などにつき具体的な指示を受けてその指示どおりに業務を行い、その後事業場に戻る場合

 

会社の時間管理が及ばないとは言えないという事です。

在宅勤務については、前述のbに該当するか否かという点がポイントでしょう。在宅勤務のメリットは「子育てや家事などプライベートの用事と並行できる」ことですから、時間管理を厳格に行いすぎると在宅の良さを消してしまいます。労働量を計測して、ふさわしい労働時間を「みなし労働時間」として規定する事も一つの方法だと思います。

深夜割増賃金

2019.01.04

割増賃金には、いわゆる「残業代」のほかに深夜労働に対して支払われる「深夜手当」というものがあります。

夜中に働くことは労働者の健康を害するため、労働基準法に置いて深夜労働の割り増しを事業主に義務づけることにより、深夜の労働を抑制しています。

 

深夜とはいつからいつまで?

労働基準法では、午後10時から翌午前5時までを指します。

 

割増率

この深夜労働に対する割増賃金(深夜手当)の割増率は、労働基準法上、基礎賃金 の25%増以上とされています。

 

基礎賃金の考え方

基礎賃金の考え方は、残業の基礎賃金と同じです。つまり、「限定列挙」により基礎賃金から除く事ができる手当が決まっており、それ以外は全て基礎賃金に含めなければなりません。

 

限定列挙されている手当は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時の手当、1ヶ月を超える期間ごとに払われる手当です。

月給者の場合、基礎賃金を時給単価に換算して、その単価に割増率をかけて計算をします。

 

法定時間外の深夜労働

昼間の法定労働時間を超えた場合には時間外労働手当(いわゆる残業代)を払う必要がありますが、残業が午後10時~翌午前5時までの間(深夜)にまでおよんだ場合、通常の残業代25%割増に加えてさらに深夜割増率手当を加算しなければなりません。

法定休日+残業+深夜の場合

法定休日に出勤し、その法定休日に午後10時から翌午前5時までの間に深夜労働をしたという場合、休日労働であると同時に、深夜労働も行っているということになります。この場合、休日については「所定労働時間」という考えがないため、8時間を超えたからといって25%割り増しは必要ありませんが、全ての時間について35%割り増しをする必要があります。

最低賃金に関する法律

2018.12.21

最低賃金は、「人を雇う時は最低でもこれだけのお金を払いなさい」と言う賃金の最低基準額の事をいい、最低賃金法(1959年公布)に基づき、労働者に保障されているものです。労働条件を改善し、労働者の生活の安定や労働力の質的向上を図ることなどが目的とされています。

 

基本的には都道府県ごとに定められる地域別最低賃金と、特定の産業について設定される特定最低賃金の2種類があり、最低賃金は基本給や諸手当などが対象となります。残業代や賞与などの臨時的なものは対象とはなりません。

 

地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく、パートタイマーや学生アルバイト、外国人労働者などを含めた全ての労働者に適用されます。

派遣労働者には派遣先の最低賃金が適用されるため、例えば派遣元の企業が埼玉県にあっても、東京都にある企業に派遣されて働く場合には、東京都の最低賃金が適用されることになります。

 

特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い指定賃金を定めることが必要と認めた場合に設定される最低賃金をいいます。これは、産業別または職種別に分類されますが、現在は、産業別の最低賃金のみが設定されています。各都道府県の特定の産業ごとに設定されており、当該産業において、年齢・業種・業務などの条件で労働者の一部を除外した基幹的労働者にのみ適用されます。

 

たとえ当事者同士で合意していたとしても、最低賃金を下回る金額で結んだ雇用契約は無効となります。ただし、宿直勤務など一定の条件下では、最低賃金適用が例外的に認められることもあります。

給与締日、支払日の変更

2018.11.29

経理や給与計算事務上の都合から、給与計算の締め日と支払日を変更したい場合、何を注意すべきかについて解説します。 

 

1、法律的注意点 

まず、法的に問題がないかどうかですが、賃金の支払いについては、労基法第24条で、次のルールがあります。 

 

①    通貨払い 

②    直接払い

③    全額払い

④    毎月1回以上払い

⑤    一定期日払い

 

このうち④の毎月払いについて、ここでいう「毎月」とは暦によるものと考えられます。つまり、1日から末日までの間に少なくとも1回は賃金を支払わないといけないということになります。

 

給与締め日支払日を変更することにより、1回も給与が支払われないということが起こらないようにする必要があります。

 

続いて⑤の一定期日払いについて、「一定の期日に払われなければならない」となっていますが、賃金支払日は、就業規則によって自由に定めて良い事項であるため、他の賃金原則に違反せずに、ちゃんと手続きをすれば変更しても問題ありません。

 

2、実務上の注意点

ローンやカードの引き落としなどの都合を給与支払日に合わせているなど、従業員側も毎月の生活設計がありますので、なるべく早く通知して予告期間を長く設けてあげましょう。

その他、変更月を賞与支払月に合わせて従業員の負担を軽減したり、無利子での貸付を行うなどの措置を講ずることで不満の出ないように注意すると良いでしょう。

賞与は義務か?

2018.10.08

賞与は、江戸時代に商人が盆と年末に奉公人に対して支払った「氷代」「餅代」がルーツとも言われています。

季節の節目節目に何かと金が入用であるため、奉公人に対して恩恵的に支払っていたのでしょう。

 

さて、現代において賞与は必ず払わなければならないのでしょうか。

 

原則:払うことが決まっているならば義務となる

 労働基準法上では、賃金については毎月一定期日に毎月1回以上支払うことが規定されていますが(詳しくはこちらをごらんください)、賞与についての支払い時期については具体的には定められておりません。つまり、賞与を年2回必ず支払う義務というものは法律上はありません。

うちの会社は賞与ゼロである、と決めても問題はありません。

 

ところが、就業規則などに規程されている場合には支払う必要が生じてきます。

就業規則の賃金規程などで支払うことが明記されている、または雇用契約書にボーナスの支払いが明記されているならば、

それは賃金債権となり、会社が業績不振で支払わない場合は「ボーナスを払うという債務の不履行」となり、契約違反になるわけです。

 

賞与について就業規則において定める際には「業績次第では賞与を支払わない場合が存在ある」と定めている企業が一般的です。

 

社員の中に払いたくない人がいる場合

賞与が貢献度に比例して支払われるとしたら、貢献度が低い、またはないという評価の社員には賞与を減額し、または支給しない場合もあるでしょう。

この場合も、就業規則などにその旨規定しておく必要があります。

 

査定期間と支給の関係

賞与が業績や貢献度によって決まるならば、その査定期間も特定されるべきでしょう。

査定期間の特定をした時に、「査定期間にはいたけれど、支給日当日には退職する社員」もいるかもしれません。

会社としては、やめて行く社員に賞与を払いたくないという心理が働くこともあるでしょう。

 

その時には、「賞与は支給日現在在籍していない人には支払わない」という条件を就業規則で規定しておくと良いでしょう。

 

 

  なお、賞与は「一度支払われるとそのあともずっと期待される」性格のものであることはしっかり心得ておきましょう。

賞与にかかる社会保険料

2018.10.02

平成15年4月までは、賞与に対しては「特別保険料」という名目で社会保険料がかかっていましたが、通常の保険料率よりも大幅に低い率で計算されていました。

 そのため、年収のうち賞与の配分を多くして社会保険料を節約するというやり方が通用していました。

その不公平を是正するため、平成15年4月からは特別保険料を廃止し、新たに賞与についても毎月支払われる給料と同じ保険料率を適用するという、いわゆる「総報酬制」が導入されることになりました

社会保険の被保険者となっている従業員に対して支払われた賞与には、通常の保険料率と同じ率をかけた社会保険料がかかります。

その為、その賞与が従業員に支払われる時には、社会保険料が控除された金額が、支払われる事になります。

賞与には、社会保険料として、「健康保険料」、「厚生年金保険料」、「雇用保険料」がかかります。

さらに、「健康保険料」には、40歳以上65歳未満の被保険者に限定して、介護保険料もかかります。

また、会社側独自の負担として、児童手当拠出金もかかってきます。

これらの取り扱いは、基本的に給与の場合と同様です。

○保険料の計算方法

賞与にかかる保険料は、「健康保険・厚生年金の各保険料」と「雇用保険料」の場合とで、計算方法が異なります。

「健康保険・厚生年金の各保険料」は、①賞与総額から1000円未満を切り捨て、②各保険料率を掛けて、求めます。

「雇用保険料」は、1円単位の賞与総額に雇用保険料率を掛けて、求めます。

○賞与を支払った時の手続き

被保険者に支払われた賞与について以下の通り、手続きが必要です。

「健康保険・厚生年金」の被保険者に支払われた賞与金額等は、年金事務所に『賞与支払い届』を提出し、届け出します。

賞与支払い届は、算定基礎届などの届出で賞与の支給時期を申告した事業所に対して送付されます。

年末調整

2017.12.10

年末調整とは

会社が従業員の1年間の給与(1月から12月)を基に所得税の額を計算し、毎月の給与から引いていた所得税との過不足精算をすることを言います。所得税は、給与ではなく所得(収入―必要経費)にかかる税金ですので、従業員の必要経費を把握する必要があります。

年末調整の対象となる人、ならない人は主に以下の通りです。

(1)対象者となる人

・1年間を通じて勤務している人

・年の途中で就職し、年末まで勤務している人

・12月中に給与の支払を受けた後に退職した人

・年の途中の海外転勤等により、日本に住んでいない人

(2)対象とならない人

・1年間の給与収入が2,000万円を超える人

・年の途中で退職した人(死亡や心身の障害による退職者は除く)

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してない人

・2か所勤務者で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を他の会社に提出している人

年末調整ができない項目

会社で年末調整を行っていても、以下に該当する人は自身で確定申告をする必要があります。

・1つの会社から給与を受けていて給与や退職金以外の所得合計が20万円を超える人

・2つの会社から給与を受けている人

・高額な医療費を払っている人

・寄付をしている人

・住宅ローンを受けた最初の人。

会社が従業員から集めるべき書類

年末調整を行うためには、主に以下の書類を集める必要があります。

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

②給与所得者の配偶者特別控除申告書

③給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)

④給与所得の源泉徴収票(途中入社で前職がある人)

年末調整時の過不足精算を12月給与で行う会社が多いと思います。従業員からの書類は11月中を目途に配布及び収集をし、余裕を持って計算するようにしましょう。

就労時間後の飲み会は残業か?

2017.12.04

年末年始が近づき、忘年会や新年会の開催時期がやってきました。社内コミュニケーションを円滑にするためにも、全ての従業員には出席してもらいたいという願望が会社としてはあると思います。

ただし、参加者の集め方によっては、飲み会の時間が残業時間とされ残業代の支払が生じる可能性があるので注意が必要です。

会社命令の有無

残業時間か否かの判断は、飲み会の席に「行かなければならない」状況であったかが大きなポイントになります。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。

なぜなら、社員は労働契約によって会社の指示・命令に従い労務を提供する義務を負っていますが、契約時間の範囲を超えて拘束することはできないためです。

会社が業務の範囲を超えて指示・命令をするのであれば、必然的に労務の対価としての賃金を支払う義務も負うことになります。

残業代よりも労災が争点になる

この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。

労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。

ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。

2以上の会社から報酬を受けている場合の社会保険料

2017.09.22

複数の会社から役員報酬を受け取っている方はよくいます。そのような場合、社会保険料はどうなるのでしょうか?


まず、それぞれの会社で常勤か非常勤かが問われます。常勤であれば社会保険も適用となります。たとえば、二つの会社の代表取締役を兼務しているような場合は当然両方で常勤となるため、両方の会社で社会保険に加入する事となります。


非常勤の役員であれば、社会保険は適用されません。仮に役員報酬を受け取っていてもそこから社会保険料を取られることはありません。常勤か非常勤かは、「経営への参画、労務の提供の経常性、報酬の経常性」などを勘案して総合的に判断されます。


二つの会社から報酬を受けて両方で社会保険の適用を受けると、保険料も両方で差し引かれることになります。この場合、両方の報酬を合算した金額を社会保険料の等級に当てはめて標準報酬月額を決めます。その標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料が算出されます。問題は保険料をどうやって報酬から差し引くかですが、これはそれぞれの会社から支給されている報酬の金額の割合に応じて按分することになります。


実際にはこの按分が非常に分かりにくく面倒くさい仕組みになっています。
例えばどちらかの会社の報酬額が変動したような場合、按分率が変わると両方の会社から差し引く社会保険料がそれぞれ変わることになります。しかも、その金額によって健康保険料だけ変わったり、健康保険と厚生年金と両方が変わったり、両方変わらなかったりします。2社合わせて最高等級に達している場合でも、どれか1社分で最高等級に達していない報酬が2等級以上変動すれば按分割合が変わることになります。
具体的には厚生年金は62万円が最高等級で、健康保険は139万円が最高等級です。


(例題1)A社から50万円、B社から100万円貰っている場合、B社の分が120万円にアップした。
(答え)健康保険料だけ月額変更。厚生年金の按分割合は50:100のままで、健康保険料だけ50:120に代わる。ちなみに総額はすでに最高等級のため、按分率だけが変動する。


(例題2)A社から50万円、B社から100万円貰っている場合、A社の分が60万円にアップした。
(答え)健康保険料と厚生年金保険料の両方が月額変更となり、按分割合が変化する。

(解説)例題1のケースではB社単独で見ると厚生年金の最高等級62万円をすでに超えており、最高等級から最高等級となるため、厚生年金保険料の月額変更は生じない。逆に例題2ではA社単独で見て健康保険料も厚生年金保険料も2等級以上変動するため、月額変更となり、その結果按分割合が変化する。ただし、総額はどちらも最高等級を超えているため、総額の標準報酬月額は健保139万円、厚年62万円で変わらない。ポイントは月額変更を見る時にそれぞれの会社単独で判断するという点です。これは、複数の会社から報酬を得ているといっても経営者の場合ばかりではなく、それぞれにまったく関係の無い会社から報酬を得るというケースも考えられるため、それぞれの会社単独で判断ができるように制度が作られているようです。標準報酬月額自体は合算で決定されるため勘違いしやすく、複雑な制度になってしまっています。

賃金の注意点

2017.08.27

賃金は多くの労働者にとって唯一の生活の糧であるため、払い方や金額について様々な法律上のルールがあります。以下、代表的なものをご紹介します。

1、 最低賃金

まず、毎年定められる地域別または職種別の最低賃金以上を支払う必要があります。例えば、「著名な作家の下でアシスタントとして働けるなら、時給10円でいいです」と労働者が申し出たとしても、その労働契約は最低賃金法違反となり、少なくとも最低賃金で契約を結んだとみなされます。

2、 支払いの5原則

賃金は①通貨払いの原則があり、現物で支払うことは基本的に認められていません。②また、直接働いた本人に支払う必要があります。さらに③その月分の全額を支払わなければなりません。勝手に給与から費用を天引きしてはいけないことになっています(労使協定により天引きが認められることがあります)。④毎月1回以上支払う必要があります。⑤一定期日に支払う必要があります。先月は15日に、今月は月末に支払うと言う支払い方は許されません。

3、 減給の制裁

何か悪いことをした社員に制裁(ペナルティー)の意味で減給をする場合でも、その減給額は平均賃金の半額まで、1か月単位で見ても給与の10%までと決まっています。※減給という懲戒処分をするためには、就業規則などの根拠を必要とします。

4、 休業手当

会社の都合で労働者を休ませた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。会社都合の休業とは、生産調整のために工場を休業する場合などを指します。

健康診断の費用負担とその間の賃金

2017.08.13

会社は、常時使用する労働者に対し、健康診断を実施する義務を負っています。パートやアルバイトなどの雇用形態によらず、この条件に当てはまる場合は、受診させなくてはなりません。

健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。

労働者にとっても、健康診断を受けることは、労働者自身の権利ではなく義務といえます。

では、健康診断にかかる費用は、労使のどちらが負担すべきなのでしょうか。行政通達によれば、「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきもの」と解釈されています。また、ここでいう費用には、労働者が健診の医療機関へ移動する交通費も含まれると考えられています。

受診する間の賃金についても、整理しておきましょう。

定期健康診断は、通常の業務とは関係なく受けるものですから、その間は労働していないと考えられます。よって、その間の賃金について払わない、あるいは有給休暇扱いとすることは違法ではありません。ただし、円滑な受診を目指すことを考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。

一方、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。特殊健康診断の受診に要した時間は、労働時間であり、賃金の支払いが必要とされています。注意しましょう。

賃金の5原則

2017.06.18

賃金を支払う場合、労働基準法では以下5つの原則が定められています。

1、通貨で支払う

2、直接支払う

3、全額を支払う

4、毎月1回以上支払う

5、一定の期日を定めて支払う

通貨で支払うとは

賃金は通貨で支払う必要があり、現物給与は禁じられています(ただし、労働協約等に定めている場合は可)。なお、金融機関の預金口座への振込については、①労働者の同意があること、②労働者の指定する本人名義の預金口座に振り込むことを要件として許容されています。

直接支払うとは

使用者が労働者に直接賃金を渡すということで、いわゆるピンハネ行為を防止することも一つの目的です。

全額を支払うとは

その時期に支払うべき義務のある賃金は、全額労働者に支払わなくてはなりません。

毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うとは

賃金は労働者の生活の基本となるため、毎月1回以上支払わなければなりません。また、「毎月25日支払」・「月末払い」のように、支払う日を決めなければなりません。なお、賃金支払日が休日に当たる場合は、繰下げても繰り上げて支払っても、一定期日払いの原則には違反しません。

ただし、「毎月末日」払いで、その日が休日に該当した場合には必ず繰り上げて支払わなければなりません。もし繰下げて支払うとなると、翌月1日の支払いとなってしまい毎月1回以上の支払いの原則に違反してしまうためです。

賃金は、数ある労働条件の中で労働者が最も重視し、同時に最も労使でのトラブルが発生しやすいといえるでしょう。労働トラブルを未然に防ぐためにも、賃金支払いの5原則が守られているか自社の支払い方を見直してみましょう。

給与からの控除のルール

2017.06.11

従業員に支払う給与を計算する際、税金などを"天引き"して、金額を決定します。その天引きには、どのような法的根拠やルールがあるか、きちんと押さえておくと、トラブルの防止に役立ちます。

法定控除について

まず、法によって納付が義務付けられているために、会社が労働者の了解を得ることなく天引き(控除)することが認められている費用があります。「法定控除」と呼ばれるものです。具体的には、以下の3項目があげられます。

・税金(所得税、住民税)

・社会保険料

・雇用保険料

これらは公的な制度であることが知られていますから、特に問題視している方はいないでしょう。

法定外控除について

注意したいのが、法定控除以外の名目で給料からの天引きを行う場合です。これについては、その内容を労使協定で定めておかなくてはいけません。労使の合意なしにレクリエーションのための親睦会費などを、勝手に天引きすれば違法行為となります。天引きする内容も、従業員の福利厚生に資するものに限られます。

親睦を深めることを目的とした社員旅行を計画し、その準備の一環として、積立金を控除する場合などは、問題ないでしょう。その一方で、業務上必要な備品や研修にかかる費用などは、原則として会社が負担するものと考えられているので、注意が必要です。

労使協定を結んでおくことは大前提ですが、新入社員や中途入社をする社員に向けて、入社手続きなどの折に、きちんと周知しておくことも重要です。天引きされている費用の内容・性質を、労使とも理解しているよう努めたいものです。

労働保険の一元適用と二元適用

2017.05.01

毎年4月から3月までの1年度における労働保険(労災と雇用保険)を計算し、7/10までに申告納付します。この年1回の納付業務を「年度更新」と呼びますが、年度更新の方法が業種業態によって異なります。

労働保険の一元適用と二元適用

労働保険には一元適用と二元適用という2種類のタイプがあります。一元適用とは、「労災保険料と雇用保険料の計算方式が一緒であるタイプ」を指します。二元適用とは逆に、労災保険料の計算方式と雇用保険料の計算方式が異なるため、二元的に計算しなければならないタイプを指します。

原則的な計算方式

原則として労働保険料は次の計算式により求めます。

【賃金総額×保険料率】

つまり、その年度(4月~翌年3月)に支払った賃金総額に「労災保険料率」「雇用保険料率」をかけます。一元適用事業所は、労災・雇用保険ともにこの原則計算をするため、(労災保険対象の賃金総額×労災保険料率)+(雇用保険被保険者の賃金総額×雇用保険料率)という計算をします。

二元適用の計算方式

一方で二元適用タイプは、具体的には「建設業」「林業」などが該当し、「労災保険料」の計算が異なります。例えば建設業では、元請事業者がまとめて労災保険料を負担することになっています。また、建設業においては現場に複数の企業が関与していて、賃金総額を正しく把握するのが難しいため、元請として当該年度中に終了した工事の請負金額に労務費率をかけて賃金総額を求めるという例外が認められています。

多くの業種は一元適用ですが、二元適用に該当する事業の場合は特に計算方法に注意してください。

定年後再雇用の給与

2017.04.23

現在の法律では、定年は原則60歳を下回ることができません。また、労使協定により継続雇用者を選定できる一部の例外を除いて、「本人が引き続き勤務を希望した場合には」65歳まで継続して雇用しなければなりません。

この継続雇用について、継続雇用の際に給与などの勤務条件を変えることはできるでしょうか。

1、原則的には労使で合意すれば勤務条件変更は可能

定年を迎えることにより役職がから下りたり、加齢により業務遂行能力が低下したりすることが珍しくありません。その場合に、実態に合わせて給与を引き下げたり、勤務時間を短縮したりすることはむしろ適切な労務管理でしょう。再雇用の労働者の健康と安全にも配慮しながら相手にその旨伝え新しい賃金額についてしっかりと同意をえましょう。

2、勤務内容が全く変わらないのに一方的に賃金等条件を下げるとトラブルのもとになる

逆に、年齢により能力や職務遂行能力が大きく変わらない場合、またはやっている仕事が大きく変わらない場合などは、賃金をむやみに引き下げると感情的な対立臣トラブルになりかねません。

3、引き下げる場合でも根拠となる賃金規定を整備しておくと良い

賃金の引き下げの場合、あらかじめ定年前と定年後の賃金テーブルを作成しておき、60歳に達した後は定年後の賃金テーブルを用いることをしっかり周知しておけばトラブルの可能性を減らすことができるでしょう。

定年を迎えそうな社員がいる場合は、賃金額、就業規則や雇用契約書などをあらかじめ整備しておくことをお勧めします。

非課税の交通費には限度額がある

2017.03.23

交通費として支給する金銭などについては、実費弁償的な意味合いが強いため、原則として所得税が課税されませんが、通勤距離、通勤手段によって非課税額にも限度が設けられます。なぜなら、非課税であることをいいことに、給与の多くを「交通費名目で」支払うというケースがあると困るからです。

非課税限度額は29年3月現在以下のように決まっています。

・交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

・自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当

通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円

通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合 28,000円

通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 24,400円

通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 18,700円

通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 12,900円

通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 7,100円

通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 4,200円

通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 (全額課税)

交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

つまり、自動車で通勤している人について、片道10キロの場合は非課税限度額が7,100円となるため、その金額を超えて通勤手当を支払っても差額は課税対象となります。

ちなみに労災・雇用保険料の計算上、並びに社会保険料計算上は通勤費は算入されることにも注意が必要です。

最低賃金制度とは

2016.11.30

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。最低賃金は、政府方針により毎年10月~11月に見直しがなされることが通例になっています。

 

最低賃金額より低い賃金で契約した場合

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。

例えば、「著名な漫画家のもとでアシスタントとして働けるなら時給100円でもいいです」とアシスタントのアルバイトが同意していたとしても、雇い主は最低賃金未満で雇用することはできず、最低賃金でのアシスタント契約を結んだことになります。

 

使用者が最低賃金を支払っていない場合

使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。

最低賃金額を守っているかどうかは、①労働基準監督署の臨検調査、②政府の統計調査。③ハローワーク求人を提出する際などでチェックをうけることになります。

最低賃金ギリギリで雇用をしている場合、毎年10月ごろの最低賃金見直しはよく注意しておく必要があります。

 

罰則

地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が定められています。なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

 

最近の最低賃金の傾向

最低賃金は平成17年~平成27年の間で全国平均100円以上上がっています。生活保護など他のセーフティネットによる施策とのバランスを取るため、今後も最低賃金は高くなっていくことが予想されます。

60歳を過ぎて再雇用した社員の給与はそれまでよりも下げていいのか?

2016.11.01

定年間際の社員は、勤続年数が長いこともあり、給与額も高いことが多いでしょう。定年後嘱託や再雇用社員になったときに、そのままの給与を維持すると、高齢者に対する人件費が高くつくことになり、企業の若返りなどの点で問題が出ることがあります。

定年再雇用を機に給与を低くすることができるのでしょうか。

 

原則は当事者同士で納得すれば低くできる:

原則としては会社と当人が納得すれば、定年を機に給与を低くしても構いません(ただし最低賃金以下にすることはできません)。定年により雇用契約はいったんリセットとなるので、そのあとの契約内容は当事者同士で自由に決めることができます。

 

実際に60歳以降は公的年金も支給され始め(今後は65歳以降の支給に引き上げられます)、その他民間の保険の満期設定をしていることも多く、その他の所得が確保されていれば賃金を低く改定することにも抵抗は少ないかもしれません。ただし、これまでに再雇用制度が存在しており、ある程度、「定年後はこのくらいの賃金になる」という基準が存在するにもかかわらず、これに反して、賃金を下げる場合には、「労働条件の不利益変更」の問題が出てきます。他の人との公平性を考えて慎重に決定する必要があります。

 

なお、60歳を境に賃金が下がった場合、雇用保険から高年齢雇用継続給付金という給付が支給されることがあります。概要としては、①60歳を境に②5年以上の雇用保険加入期間がある人が③従前の75%未満に給与が下がった場合、一定額の給付を雇用保険から行うことにより所得が保障されます。

 

給付される予定の年金、満期保険金、給与、雇用保険給付、本人の家計事情、他の社員の給与水準などを総合的に検討して問題のおこらない金額設定を心がけてください。

通勤手当には非課税限度額があります。

2016.10.04

通勤手当は実否弁償的な意味合いが強いため、本人の所得を計算する上では非課税となります。ただし、近所から通勤する社員に多額の通勤手当を支払うなど、本来かかるであろう実費を超えて支給している場合は、名前が通勤手当であっても全額非課税とされないことがあります。

 

通勤手当の非課税限度額については通勤方法別に以下のような基準が決まっています。

 

 

1、交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

 

2、自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当

通勤距離が片道55キロメートル以上である場合         31,600円            

通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合   28,000円

通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合   24,400円

通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合   18,700円

通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合   12,900円

通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合   7,100円

通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合     4,200円

通勤距離が片道2キロメートル未満である場合           (全額課税)      

 

3、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券   

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

 

4、交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券             

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額と2の金額との合計額(最高限度 100,000円)

 

つまり、電車やバスの定期券や定期代は10万円までは非課税ですが、車やバイク、自転車などを使用する通勤については「距離によって」非課税限度額が設定されています。

労災の最初の3日は補償されない?

2016.09.27

業務上の事由または通勤により怪我をして仕事が出来なくなった場合、休業の第4日目以降は労災保険から休業に対する補償(概ね給与の8割)があります。

別の言い方をすると、休業初日から3日間は労災保険から休業補償されないことになります。この3日間に関するケアについて、業務(仕事中の)災害と通勤(途中の)災害とで、取り扱いが違います。

 

◆業務災害の場合

 

休業初日から3日目については、労働基準法により「会社が」平均賃金の60%の補償をしなければなりません。

 

そもそも、労働基準法では労災で仕事が出来ないために賃金を受けない場合、会社が休業補償をしなければならないのですが、休業4日目からは、労災保険がその補償を行うので、3日目までは会社が支払い、4日目以降は会社からの休業補償は労災保険からされる、という関係になっています。

 

 

◆通勤災害の場合

 

通勤災害は労災ではないので、労働基準法上、事業主には休業に対する補償責任がありません。よって、業務災害と異なり休業初日から3日目までの休業に対する補償を事業主がする必要はありません。

 

ちなみに、この3日分の休業補償について所得税法上は非課税となっています(一方で、会社の都合で休ませた場合に市はらう「休業手当」については課税対象となります)。また、労働保険の年度更新をするときには賃金とはみなされません。

 

 

休業補償を支給する場合の給与計算については専門家に相談しましょう。

住宅手当と残業代計算

2016.09.06

残業代単価を計算する時に、基本給だけから計算をしていることがありますが、労働基準法上は問題があります。

労働基準法では、残業単価計算に「含めなくてよい手当」が決まっており、それ以外は単価計算に含めなければなりません。

 

残業計算の基礎から控除できるものについては以下が例外的に除外できることとされています(このように特定の項目を指定していることを「限定列挙」といいます)。

 

・家族手当

・通勤手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金など)

・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

この手当以外(資格手当や管理職手当など)は含めて単価を計算するように注意しましょう。

 

住宅手当は注意が必要

除外される手当の中で、住宅手当は特に注意が必要です。名前が住宅手当となっているだけではダメです。支給方法が「住宅に要する費用に応じて算定される手当」となっている住宅手当であれば除外できますが、住宅に要する費用に関わらず「一律に定額で支給される」手当は、ここでいう住宅手当には該当せず算定基礎賃金に含めなければいけません。

 

残業単価計算については、未払い残業訴訟でしばしば争点になります。特に手当の総額が基本給に比べて多く支給されている場合や、今回のように住宅手当を算入していない場合など、残業未払いが発生している可能性がありますので、給与計算方法をチェックしましょう。

子供を産んでいる期間中の給与

2016.08.30

出産予定日42日前から出産日後56日の期間を産前産後休業といいます。この期間は主に母体保護のために休業が労働基準法上で定められていますが、その期間分の賃金について支払い義務は必ずしもなく、通常は『無給』です。

 

また、産後56日経過してから、子が通常1歳になるまでの期間を育児休業と言います。この休業は主に育児のためのもので、育児介護休業法にて労働者の権利として保障されています(一定の基準の労働者については育児休業対象者から除外することができる)。この育児休業期間についても、産前産後休業とどうように無給で構いません。

 

産休・育休については無給であることが多いですが、その分公的な休業補償制度が整っています。

 

①産前産後休業に対応する「出産手当金」

産前産後休業中のおよそ3ヶ月について、健康保険から出産手当金が支給されます。金額は給与のおよそ3分の2です。例えば30万円の月給の方であれば月20万円が3ヶ月分程度支給されます。

 

②育児休業に対応する「育児休業給付金」

育児休業中は育児休業給付金が雇用保険制度から支給されます。休む前に約1年以上雇用保険に加入している場合、育児休業開始から6ヶ月は給与の約3分の2、それ以降は給与の2分の1程度が支給されます。30万円の月給をもらっていた場合、当初6ヶ月が20万円、後に15万円が支給されます。

育児休業給付金は2ヶ月に1回申請します。

 

休業期間中に賃金を支給すると、それに応じて、出産手当金と育児休業給付金が減額されますので、注意が必要です。

月60時間以上の残業は割増賃金が高い?

2016.05.11

長時間労働を少なくし、労働者の健康確保や、ライフワークバランスをとることを目的とする法律が平成22年にできました。これにより以下の通り改正されました。

 

残業代について、割増率が一部で25%上昇した

1日のうちで8時間を超えた分の労働時間は残業代として、時間給の25%を割増して給与を支払わなければなりません。しかし法改正により、現在では1か月に60時間を超えた時間外労働を行う場合は、それを超えた時間数分は50%以上を割増して支給せねばならなくなっています。ただし、中小企業については、当分の間、割増賃金率の引上げをしなくてもよくなっています。

 

この猶予の対象となる中小企業は以下の通りです。

①    資本金または出資の総額が

小売業→5,000万円以下

サービス業→5,000万円以下

卸売業→1億円以下

それ以外の業種→3億円以下

 

もしくは

 

②    常時雇っている労働者数が

小売業→50人以下

サービス業→100人以下

卸売業→100人以下

それ以外の業種→300人以下

 

とされています。

 

 

割増賃金を支払う代わりに有給休暇を与えることができる

労使協定で定めることにより、1か月間に残業時間が60時間を超えた労働者に対して、引上げ分(50%-25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができます。

 

例えば、月の残業時間が76時間の人だと、

76時間-60時間=16時間が50%の割増賃金の対象になります。

この16時間を有給の休暇に換算すると16時間×0.25=4時間となり、この労働者に対して4時間分の有給休暇を与えることができるというわけです。

 

また、労働者がこの有給の休暇を取得した場合でも、残りの25%の割増賃金の支払いが必要になってきますので注意が必要です。

雇用保険料率が変更されました!

2016.04.24

雇用保険料率は、失業給付の支給額や失業率、雇用保険財政の推移などをもとに変更されますが、平成28年4月1日より、引き下げられました。

 

平成28年4月1日以降の失業等給付の雇用保険料率を労働者負担・事業主負担ともに1/1000ずつ引き下がりました。併せて、雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)を平成28年4月1日から0.5/1000引き下げました。

平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率は下表のとおりとなります。

 

■一般の事業

(平成28年度)

被保険者負担

4/1000

会社負担

7/1000 4/1000

合計

11/1000

 

(27年度)

被保険者負担

5/1000

会社負担

8.5/1000

合計

13.5/1000

 

 

■清酒製造の事業

被保険者負担

5/1000

会社負担

8/1000

合計

13/1000

(27年度)

被保険者負担

6/1000

会社負担

9.5/1000

合計

15.5/1000

 

 

■建設の事業

被保険者負担

5/1000

会社負担

9/1000

合計

14/1000

 

(27年度)

被保険者負担

6/1000

会社負担

10.5/1000

合計

16.5/1000

 

その他、以下の改正が予定されています。

 

・介護休業給付の給付率引上げ(賃金の40% → 67%)

(平成28年8月1日施行)

 

・65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用対象とする。

(平成29年1月1日施行)

 

・失業等給付の受給者が早期に再就職した場合に支給される再就職手当の給付率引き上げ

(平成29年1月1日施行)

 

・「求職活動支援費」として求職活動に伴う費用(例:就職面接のための子の一時預かり費

用)について新たに給付の対象とする。

(平成29年1月1日施行)

 

4月以降の給与計算にも影響するため、注意してください。

昼休みの電話番は労働時間か?

2016.04.16

休憩時間と似ているのですが「手待ち時間」と呼ばれるものがあります。これは,昼休みに電話番をやっているときや、商店・飲食店などで来客を待っている時などをしている時間のことです。手待ち時間は、法律上休憩時間ではなく労働時間とみなされています。

 

自由に使用できなければ休憩とならない:

昼休みに,職場でお弁当を食べながら電話番をしたという経験がある方もいるのではないでしょうか。昼休みに電話や来客があった時,社員はすぐに対応しなければならないため,自由な時間とはいえません。社員が自由に使用できない時間は休憩時間ではなく、手待ち時間=労働時間と見なされます。

このことは、実際に電話がかかってこなかったとしても、「労働から完全に解放されているわけではない」ため、手待ち時間とみなされるでしょう。

(なお,警察官や消防士などは,その職務の特殊性から手待ち時間が労働時間とみなされない場合があります。)

 

対策

電話番が必要であれば、当番制を取り当番時間分の休憩を別途に与える、もしくはその当番時間分の賃金を支払うなどの対策が必要です。とは言え人手の少ない中小企業では対策は簡単でないかもしれません。電話番をしてもらっていることを労って、代わりに早く帰れる日は帰ってもらうなど、心理面でのケアも心がけてください。

割増賃金

2016.04.02

労働者は労働が1日8時間を超えた時間(時間外)について、通常の賃金の計算方法よりも割増してお金を受け取ることができます。また午後10時~午前5時の深夜時間に働いた時間についても同様です。この場合の計算方法は以下の場合に分けられます。

 

①    1日8時間を超えた労働時間が1ヶ月60時間以内の場合→2割5分以上で計算

 

②    1日8時間を超えた労働時間が1ヶ月60時間を超えた場合→5割以上で計算

※中小企業については適用が猶予されているため2割5分以上

 

③    午後10時~午前5時に働いた場合→2割5分以上で計算

 

④    法定休日に労働させた場合→3割5分以上で計算

※法定休日:労働基準法などの法律で決められた休日のこと。

 

割増するお金の計算のベースとなる賃金には、家族・通勤手当などの賃金は入れません。

 

 

例:会社指定の労働時間が午前8時から午後5時(休憩1時間)までの実働8時間、

1か月45時間、1年360時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を3割

とする大企業の場合

 

 ○1か月45時間以内の時間外労働について

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.25 (時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.25+0.25) (時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.25  (時間外労働)

 

 

 ○1か月45時間超~60時間以内又は1年360時間超の時間外労働について

 

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.30 (時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.30+0.25)(時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.30(時間外労働)

 

 

 

○1か月60時間超の時間外労働について

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.50(時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.50+0.25)(時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.50(時間外労働)

 

 

○法定休日労働の割増率

 

5時から22時→1時間当たり賃金×1.35(法定休日労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.35+0.25)(法定休日労働+深夜労働)

遅刻に対して余分に賃金をカットできるか?

2016.02.24

遅刻をした社員に対し、ペナルティとしてその分の賃金を給料からカットすることは多くの企業で行われていますが、実際どの程度までの給与カットなら法的に認められているのでしょうか。

 

1.ノーワーク・ノーペイの原則

賃金請求権については、民法に「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」という定めがあり、労務の提供がない(不就労の)場合には賃金請求権も発生しないこととしています。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。

遅刻や早退だけでなく、「働かない時間」のパターンは多岐にわたるため、控除をする場合には、控除する賃金の範囲や時間、回数の単位などを就業規則等において詳細に定めておく必要があります。

いずれにせよ、まず「働かない時間について給与を支払わないこと」は問題ありません。

それ以上の給与カットをする上では、以下の法的制限があります。

 

2.労基法91条「制裁規定の制限」

「減給の制裁」とは、遅刻等の服務規律に違反したことへの制裁として、ペナルティとして本来支給すべき賃金の一部を控除することを指します。このペナルティについて、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。

つまり、働かない時間分の給与カットを超えてカットを行うのであれば、その部分については減給の制裁に該当し、制裁の制限に抵触しない範囲で就業規則等に規定化し、その規定に基づいて控除を行うことが必要となります。

 

なお、遅刻、早退が目立つ会社では、精皆勤手当等を設け、勤怠と給与との関連性を持たせたり、賞与の考課項目の一つとして勤怠評価を取り入れるなどの管理方法も有効かもしれません。

取引先の接待で飲食をしている時間は残業か?

2015.12.08

業種や職種によっては、取引先や営業先の接待があります。夜にお酒を飲むことはあるでしょう。この接待の時間中が労働時間になるのかどうかは、次のポイントをもとに決まります。

 

  1. 会社命令の有無

接待の席に「行かなければならない」状況であったか、をまず考慮します。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。

 

  1. 接待の「目的」と業務性の有無

取引先と商談をするのであれば、仕事に関連していると見ることができるでしょうから業務性があります。ただし、単に親睦を深めるといった理由では業務性がないと判断されるかもしれません。あくまでその接待時間の「目的」によって業務性が判断されます。

 

「残業代」よりも「労災」が争点になる

この基準をもとに労働時間であるかどうかを判断するわけですが、この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。

労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。

 

ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。