GOLGOのひとりごと

【給与計算・賃金の取り扱い】記事一覧

2018.11.29
給与締日、支払日の変更
2018.10.08
賞与は義務か?
2018.10.02
賞与にかかる社会保険料
2017.12.10
年末調整
2017.12.04
就労時間後の飲み会は残業か?
2017.09.22
2以上の会社から報酬を受けている場合の社会保険料
2017.08.27
賃金の注意点
2017.08.13
健康診断の費用負担とその間の賃金
2017.06.18
賃金の5原則
2017.06.11
給与からの控除のルール
2017.05.01
労働保険の一元適用と二元適用
2017.04.23
定年後再雇用の給与
2017.03.23
非課税の交通費には限度額がある
2016.11.30
最低賃金制度とは
2016.11.01
60歳を過ぎて再雇用した社員の給与はそれまでよりも下げていいのか?
2016.10.04
通勤手当には非課税限度額があります。
2016.09.27
労災の最初の3日は補償されない?
2016.09.06
住宅手当と残業代計算
2016.08.30
子供を産んでいる期間中の給与
2016.05.11
月60時間以上の残業は割増賃金が高い?
2016.04.24
雇用保険料率が変更されました!
2016.04.16
昼休みの電話番は労働時間か?
2016.04.02
割増賃金
2016.02.24
遅刻に対して余分に賃金をカットできるか?
2015.12.08
取引先の接待で飲食をしている時間は残業か?
2015.11.18
最低賃金はどう決まるか
2015.08.22
固定残業手当導入の注意点
2015.08.09
給与支払日の変更時に気を付ける事
2015.06.22
社員旅行積立金を給与から天引きしてもいいか?
2015.06.14
年俸制の話
2015.04.27
割増賃金の計算
2015.04.26
フルコミッション給与制度の問題点
2015.03.24
残業代の未払いと過払い
2014.12.15
賞与、退職金は会社の義務か?
2014.10.06
社会保険料が変わる月です!
2014.09.05
どこまでが賃金か?
2014.08.05
出張先への往復移動時間の給与
2014.06.25
パートの残業代計算の注意
2014.03.31
割増賃金から除くことができる手当
2014.03.26
着替えの時間は労働時間とすべきか?
2014.03.14
合法的に給与を下げる方法
2014.02.24
感染症にかかった社員の自宅待機中の給与
2013.11.23
仕事を覚えるまでの賃金を低く設定してもよいか
2013.10.26
残業手当の基になる賃金
2013.09.28
会社から一方的に給与を下げることはできるか?
2013.09.14
減給の上限
2013.09.10
管理職の割増賃金
2013.08.20
休日の出張旅行は休日出勤?
2013.07.20
就業規則変更による賃金引き下げの話
2013.07.12
残業代の定額支給はアリ?

給与締日、支払日の変更

2018.11.29

経理や給与計算事務上の都合から、給与計算の締め日と支払日を変更したい場合、何を注意すべきかについて解説します。 

 

1、法律的注意点 

まず、法的に問題がないかどうかですが、賃金の支払いについては、労基法第24条で、次のルールがあります。 

 

①    通貨払い 

②    直接払い

③    全額払い

④    毎月1回以上払い

⑤    一定期日払い

 

このうち④の毎月払いについて、ここでいう「毎月」とは暦によるものと考えられます。つまり、1日から末日までの間に少なくとも1回は賃金を支払わないといけないということになります。

 

給与締め日支払日を変更することにより、1回も給与が支払われないということが起こらないようにする必要があります。

 

続いて⑤の一定期日払いについて、「一定の期日に払われなければならない」となっていますが、賃金支払日は、就業規則によって自由に定めて良い事項であるため、他の賃金原則に違反せずに、ちゃんと手続きをすれば変更しても問題ありません。

 

2、実務上の注意点

ローンやカードの引き落としなどの都合を給与支払日に合わせているなど、従業員側も毎月の生活設計がありますので、なるべく早く通知して予告期間を長く設けてあげましょう。

その他、変更月を賞与支払月に合わせて従業員の負担を軽減したり、無利子での貸付を行うなどの措置を講ずることで不満の出ないように注意すると良いでしょう。

賞与は義務か?

2018.10.08

賞与は、江戸時代に商人が盆と年末に奉公人に対して支払った「氷代」「餅代」がルーツとも言われています。

季節の節目節目に何かと金が入用であるため、奉公人に対して恩恵的に支払っていたのでしょう。

 

さて、現代において賞与は必ず払わなければならないのでしょうか。

 

原則:払うことが決まっているならば義務となる

 労働基準法上では、賃金については毎月一定期日に毎月1回以上支払うことが規定されていますが(詳しくはこちらをごらんください)、賞与についての支払い時期については具体的には定められておりません。つまり、賞与を年2回必ず支払う義務というものは法律上はありません。

うちの会社は賞与ゼロである、と決めても問題はありません。

 

ところが、就業規則などに規程されている場合には支払う必要が生じてきます。

就業規則の賃金規程などで支払うことが明記されている、または雇用契約書にボーナスの支払いが明記されているならば、

それは賃金債権となり、会社が業績不振で支払わない場合は「ボーナスを払うという債務の不履行」となり、契約違反になるわけです。

 

賞与について就業規則において定める際には「業績次第では賞与を支払わない場合が存在ある」と定めている企業が一般的です。

 

社員の中に払いたくない人がいる場合

賞与が貢献度に比例して支払われるとしたら、貢献度が低い、またはないという評価の社員には賞与を減額し、または支給しない場合もあるでしょう。

この場合も、就業規則などにその旨規定しておく必要があります。

 

査定期間と支給の関係

賞与が業績や貢献度によって決まるならば、その査定期間も特定されるべきでしょう。

査定期間の特定をした時に、「査定期間にはいたけれど、支給日当日には退職する社員」もいるかもしれません。

会社としては、やめて行く社員に賞与を払いたくないという心理が働くこともあるでしょう。

 

その時には、「賞与は支給日現在在籍していない人には支払わない」という条件を就業規則で規定しておくと良いでしょう。

 

 

  なお、賞与は「一度支払われるとそのあともずっと期待される」性格のものであることはしっかり心得ておきましょう。

賞与にかかる社会保険料

2018.10.02

平成15年4月までは、賞与に対しては「特別保険料」という名目で社会保険料がかかっていましたが、通常の保険料率よりも大幅に低い率で計算されていました。

 そのため、年収のうち賞与の配分を多くして社会保険料を節約するというやり方が通用していました。

その不公平を是正するため、平成15年4月からは特別保険料を廃止し、新たに賞与についても毎月支払われる給料と同じ保険料率を適用するという、いわゆる「総報酬制」が導入されることになりました

社会保険の被保険者となっている従業員に対して支払われた賞与には、通常の保険料率と同じ率をかけた社会保険料がかかります。

その為、その賞与が従業員に支払われる時には、社会保険料が控除された金額が、支払われる事になります。

賞与には、社会保険料として、「健康保険料」、「厚生年金保険料」、「雇用保険料」がかかります。

さらに、「健康保険料」には、40歳以上65歳未満の被保険者に限定して、介護保険料もかかります。

また、会社側独自の負担として、児童手当拠出金もかかってきます。

これらの取り扱いは、基本的に給与の場合と同様です。

○保険料の計算方法

賞与にかかる保険料は、「健康保険・厚生年金の各保険料」と「雇用保険料」の場合とで、計算方法が異なります。

「健康保険・厚生年金の各保険料」は、①賞与総額から1000円未満を切り捨て、②各保険料率を掛けて、求めます。

「雇用保険料」は、1円単位の賞与総額に雇用保険料率を掛けて、求めます。

○賞与を支払った時の手続き

被保険者に支払われた賞与について以下の通り、手続きが必要です。

「健康保険・厚生年金」の被保険者に支払われた賞与金額等は、年金事務所に『賞与支払い届』を提出し、届け出します。

賞与支払い届は、算定基礎届などの届出で賞与の支給時期を申告した事業所に対して送付されます。

年末調整

2017.12.10

年末調整とは

会社が従業員の1年間の給与(1月から12月)を基に所得税の額を計算し、毎月の給与から引いていた所得税との過不足精算をすることを言います。所得税は、給与ではなく所得(収入―必要経費)にかかる税金ですので、従業員の必要経費を把握する必要があります。

年末調整の対象となる人、ならない人は主に以下の通りです。

(1)対象者となる人

・1年間を通じて勤務している人

・年の途中で就職し、年末まで勤務している人

・12月中に給与の支払を受けた後に退職した人

・年の途中の海外転勤等により、日本に住んでいない人

(2)対象とならない人

・1年間の給与収入が2,000万円を超える人

・年の途中で退職した人(死亡や心身の障害による退職者は除く)

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してない人

・2か所勤務者で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を他の会社に提出している人

年末調整ができない項目

会社で年末調整を行っていても、以下に該当する人は自身で確定申告をする必要があります。

・1つの会社から給与を受けていて給与や退職金以外の所得合計が20万円を超える人

・2つの会社から給与を受けている人

・高額な医療費を払っている人

・寄付をしている人

・住宅ローンを受けた最初の人。

会社が従業員から集めるべき書類

年末調整を行うためには、主に以下の書類を集める必要があります。

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

②給与所得者の配偶者特別控除申告書

③給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)

④給与所得の源泉徴収票(途中入社で前職がある人)

年末調整時の過不足精算を12月給与で行う会社が多いと思います。従業員からの書類は11月中を目途に配布及び収集をし、余裕を持って計算するようにしましょう。

就労時間後の飲み会は残業か?

2017.12.04

年末年始が近づき、忘年会や新年会の開催時期がやってきました。社内コミュニケーションを円滑にするためにも、全ての従業員には出席してもらいたいという願望が会社としてはあると思います。

ただし、参加者の集め方によっては、飲み会の時間が残業時間とされ残業代の支払が生じる可能性があるので注意が必要です。

会社命令の有無

残業時間か否かの判断は、飲み会の席に「行かなければならない」状況であったかが大きなポイントになります。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。

なぜなら、社員は労働契約によって会社の指示・命令に従い労務を提供する義務を負っていますが、契約時間の範囲を超えて拘束することはできないためです。

会社が業務の範囲を超えて指示・命令をするのであれば、必然的に労務の対価としての賃金を支払う義務も負うことになります。

残業代よりも労災が争点になる

この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。

労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。

ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。

2以上の会社から報酬を受けている場合の社会保険料

2017.09.22

複数の会社から役員報酬を受け取っている方はよくいます。そのような場合、社会保険料はどうなるのでしょうか?


まず、それぞれの会社で常勤か非常勤かが問われます。常勤であれば社会保険も適用となります。たとえば、二つの会社の代表取締役を兼務しているような場合は当然両方で常勤となるため、両方の会社で社会保険に加入する事となります。


非常勤の役員であれば、社会保険は適用されません。仮に役員報酬を受け取っていてもそこから社会保険料を取られることはありません。常勤か非常勤かは、「経営への参画、労務の提供の経常性、報酬の経常性」などを勘案して総合的に判断されます。


二つの会社から報酬を受けて両方で社会保険の適用を受けると、保険料も両方で差し引かれることになります。この場合、両方の報酬を合算した金額を社会保険料の等級に当てはめて標準報酬月額を決めます。その標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料が算出されます。問題は保険料をどうやって報酬から差し引くかですが、これはそれぞれの会社から支給されている報酬の金額の割合に応じて按分することになります。


実際にはこの按分が非常に分かりにくく面倒くさい仕組みになっています。
例えばどちらかの会社の報酬額が変動したような場合、按分率が変わると両方の会社から差し引く社会保険料がそれぞれ変わることになります。しかも、その金額によって健康保険料だけ変わったり、健康保険と厚生年金と両方が変わったり、両方変わらなかったりします。2社合わせて最高等級に達している場合でも、どれか1社分で最高等級に達していない報酬が2等級以上変動すれば按分割合が変わることになります。
具体的には厚生年金は62万円が最高等級で、健康保険は139万円が最高等級です。


(例題1)A社から50万円、B社から100万円貰っている場合、B社の分が120万円にアップした。
(答え)健康保険料だけ月額変更。厚生年金の按分割合は50:100のままで、健康保険料だけ50:120に代わる。ちなみに総額はすでに最高等級のため、按分率だけが変動する。


(例題2)A社から50万円、B社から100万円貰っている場合、A社の分が60万円にアップした。
(答え)健康保険料と厚生年金保険料の両方が月額変更となり、按分割合が変化する。

(解説)例題1のケースではB社単独で見ると厚生年金の最高等級62万円をすでに超えており、最高等級から最高等級となるため、厚生年金保険料の月額変更は生じない。逆に例題2ではA社単独で見て健康保険料も厚生年金保険料も2等級以上変動するため、月額変更となり、その結果按分割合が変化する。ただし、総額はどちらも最高等級を超えているため、総額の標準報酬月額は健保139万円、厚年62万円で変わらない。ポイントは月額変更を見る時にそれぞれの会社単独で判断するという点です。これは、複数の会社から報酬を得ているといっても経営者の場合ばかりではなく、それぞれにまったく関係の無い会社から報酬を得るというケースも考えられるため、それぞれの会社単独で判断ができるように制度が作られているようです。標準報酬月額自体は合算で決定されるため勘違いしやすく、複雑な制度になってしまっています。

賃金の注意点

2017.08.27

賃金は多くの労働者にとって唯一の生活の糧であるため、払い方や金額について様々な法律上のルールがあります。以下、代表的なものをご紹介します。

1、 最低賃金

まず、毎年定められる地域別または職種別の最低賃金以上を支払う必要があります。例えば、「著名な作家の下でアシスタントとして働けるなら、時給10円でいいです」と労働者が申し出たとしても、その労働契約は最低賃金法違反となり、少なくとも最低賃金で契約を結んだとみなされます。

2、 支払いの5原則

賃金は①通貨払いの原則があり、現物で支払うことは基本的に認められていません。②また、直接働いた本人に支払う必要があります。さらに③その月分の全額を支払わなければなりません。勝手に給与から費用を天引きしてはいけないことになっています(労使協定により天引きが認められることがあります)。④毎月1回以上支払う必要があります。⑤一定期日に支払う必要があります。先月は15日に、今月は月末に支払うと言う支払い方は許されません。

3、 減給の制裁

何か悪いことをした社員に制裁(ペナルティー)の意味で減給をする場合でも、その減給額は平均賃金の半額まで、1か月単位で見ても給与の10%までと決まっています。※減給という懲戒処分をするためには、就業規則などの根拠を必要とします。

4、 休業手当

会社の都合で労働者を休ませた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。会社都合の休業とは、生産調整のために工場を休業する場合などを指します。

健康診断の費用負担とその間の賃金

2017.08.13

会社は、常時使用する労働者に対し、健康診断を実施する義務を負っています。パートやアルバイトなどの雇用形態によらず、この条件に当てはまる場合は、受診させなくてはなりません。

健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。

労働者にとっても、健康診断を受けることは、労働者自身の権利ではなく義務といえます。

では、健康診断にかかる費用は、労使のどちらが負担すべきなのでしょうか。行政通達によれば、「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきもの」と解釈されています。また、ここでいう費用には、労働者が健診の医療機関へ移動する交通費も含まれると考えられています。

受診する間の賃金についても、整理しておきましょう。

定期健康診断は、通常の業務とは関係なく受けるものですから、その間は労働していないと考えられます。よって、その間の賃金について払わない、あるいは有給休暇扱いとすることは違法ではありません。ただし、円滑な受診を目指すことを考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。

一方、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断です。特殊健康診断の受診に要した時間は、労働時間であり、賃金の支払いが必要とされています。注意しましょう。

賃金の5原則

2017.06.18

賃金を支払う場合、労働基準法では以下5つの原則が定められています。

1、通貨で支払う

2、直接支払う

3、全額を支払う

4、毎月1回以上支払う

5、一定の期日を定めて支払う

通貨で支払うとは

賃金は通貨で支払う必要があり、現物給与は禁じられています(ただし、労働協約等に定めている場合は可)。なお、金融機関の預金口座への振込については、①労働者の同意があること、②労働者の指定する本人名義の預金口座に振り込むことを要件として許容されています。

直接支払うとは

使用者が労働者に直接賃金を渡すということで、いわゆるピンハネ行為を防止することも一つの目的です。

全額を支払うとは

その時期に支払うべき義務のある賃金は、全額労働者に支払わなくてはなりません。

毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うとは

賃金は労働者の生活の基本となるため、毎月1回以上支払わなければなりません。また、「毎月25日支払」・「月末払い」のように、支払う日を決めなければなりません。なお、賃金支払日が休日に当たる場合は、繰下げても繰り上げて支払っても、一定期日払いの原則には違反しません。

ただし、「毎月末日」払いで、その日が休日に該当した場合には必ず繰り上げて支払わなければなりません。もし繰下げて支払うとなると、翌月1日の支払いとなってしまい毎月1回以上の支払いの原則に違反してしまうためです。

賃金は、数ある労働条件の中で労働者が最も重視し、同時に最も労使でのトラブルが発生しやすいといえるでしょう。労働トラブルを未然に防ぐためにも、賃金支払いの5原則が守られているか自社の支払い方を見直してみましょう。

給与からの控除のルール

2017.06.11

従業員に支払う給与を計算する際、税金などを"天引き"して、金額を決定します。その天引きには、どのような法的根拠やルールがあるか、きちんと押さえておくと、トラブルの防止に役立ちます。

法定控除について

まず、法によって納付が義務付けられているために、会社が労働者の了解を得ることなく天引き(控除)することが認められている費用があります。「法定控除」と呼ばれるものです。具体的には、以下の3項目があげられます。

・税金(所得税、住民税)

・社会保険料

・雇用保険料

これらは公的な制度であることが知られていますから、特に問題視している方はいないでしょう。

法定外控除について

注意したいのが、法定控除以外の名目で給料からの天引きを行う場合です。これについては、その内容を労使協定で定めておかなくてはいけません。労使の合意なしにレクリエーションのための親睦会費などを、勝手に天引きすれば違法行為となります。天引きする内容も、従業員の福利厚生に資するものに限られます。

親睦を深めることを目的とした社員旅行を計画し、その準備の一環として、積立金を控除する場合などは、問題ないでしょう。その一方で、業務上必要な備品や研修にかかる費用などは、原則として会社が負担するものと考えられているので、注意が必要です。

労使協定を結んでおくことは大前提ですが、新入社員や中途入社をする社員に向けて、入社手続きなどの折に、きちんと周知しておくことも重要です。天引きされている費用の内容・性質を、労使とも理解しているよう努めたいものです。

労働保険の一元適用と二元適用

2017.05.01

毎年4月から3月までの1年度における労働保険(労災と雇用保険)を計算し、7/10までに申告納付します。この年1回の納付業務を「年度更新」と呼びますが、年度更新の方法が業種業態によって異なります。

労働保険の一元適用と二元適用

労働保険には一元適用と二元適用という2種類のタイプがあります。一元適用とは、「労災保険料と雇用保険料の計算方式が一緒であるタイプ」を指します。二元適用とは逆に、労災保険料の計算方式と雇用保険料の計算方式が異なるため、二元的に計算しなければならないタイプを指します。

原則的な計算方式

原則として労働保険料は次の計算式により求めます。

【賃金総額×保険料率】

つまり、その年度(4月~翌年3月)に支払った賃金総額に「労災保険料率」「雇用保険料率」をかけます。一元適用事業所は、労災・雇用保険ともにこの原則計算をするため、(労災保険対象の賃金総額×労災保険料率)+(雇用保険被保険者の賃金総額×雇用保険料率)という計算をします。

二元適用の計算方式

一方で二元適用タイプは、具体的には「建設業」「林業」などが該当し、「労災保険料」の計算が異なります。例えば建設業では、元請事業者がまとめて労災保険料を負担することになっています。また、建設業においては現場に複数の企業が関与していて、賃金総額を正しく把握するのが難しいため、元請として当該年度中に終了した工事の請負金額に労務費率をかけて賃金総額を求めるという例外が認められています。

多くの業種は一元適用ですが、二元適用に該当する事業の場合は特に計算方法に注意してください。

定年後再雇用の給与

2017.04.23

現在の法律では、定年は原則60歳を下回ることができません。また、労使協定により継続雇用者を選定できる一部の例外を除いて、「本人が引き続き勤務を希望した場合には」65歳まで継続して雇用しなければなりません。

この継続雇用について、継続雇用の際に給与などの勤務条件を変えることはできるでしょうか。

1、原則的には労使で合意すれば勤務条件変更は可能

定年を迎えることにより役職がから下りたり、加齢により業務遂行能力が低下したりすることが珍しくありません。その場合に、実態に合わせて給与を引き下げたり、勤務時間を短縮したりすることはむしろ適切な労務管理でしょう。再雇用の労働者の健康と安全にも配慮しながら相手にその旨伝え新しい賃金額についてしっかりと同意をえましょう。

2、勤務内容が全く変わらないのに一方的に賃金等条件を下げるとトラブルのもとになる

逆に、年齢により能力や職務遂行能力が大きく変わらない場合、またはやっている仕事が大きく変わらない場合などは、賃金をむやみに引き下げると感情的な対立臣トラブルになりかねません。

3、引き下げる場合でも根拠となる賃金規定を整備しておくと良い

賃金の引き下げの場合、あらかじめ定年前と定年後の賃金テーブルを作成しておき、60歳に達した後は定年後の賃金テーブルを用いることをしっかり周知しておけばトラブルの可能性を減らすことができるでしょう。

定年を迎えそうな社員がいる場合は、賃金額、就業規則や雇用契約書などをあらかじめ整備しておくことをお勧めします。

非課税の交通費には限度額がある

2017.03.23

交通費として支給する金銭などについては、実費弁償的な意味合いが強いため、原則として所得税が課税されませんが、通勤距離、通勤手段によって非課税額にも限度が設けられます。なぜなら、非課税であることをいいことに、給与の多くを「交通費名目で」支払うというケースがあると困るからです。

非課税限度額は29年3月現在以下のように決まっています。

・交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

・自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当

通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円

通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合 28,000円

通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 24,400円

通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 18,700円

通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 12,900円

通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 7,100円

通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 4,200円

通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 (全額課税)

交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

つまり、自動車で通勤している人について、片道10キロの場合は非課税限度額が7,100円となるため、その金額を超えて通勤手当を支払っても差額は課税対象となります。

ちなみに労災・雇用保険料の計算上、並びに社会保険料計算上は通勤費は算入されることにも注意が必要です。

最低賃金制度とは

2016.11.30

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。最低賃金は、政府方針により毎年10月~11月に見直しがなされることが通例になっています。

 

最低賃金額より低い賃金で契約した場合

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。

例えば、「著名な漫画家のもとでアシスタントとして働けるなら時給100円でもいいです」とアシスタントのアルバイトが同意していたとしても、雇い主は最低賃金未満で雇用することはできず、最低賃金でのアシスタント契約を結んだことになります。

 

使用者が最低賃金を支払っていない場合

使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。

最低賃金額を守っているかどうかは、①労働基準監督署の臨検調査、②政府の統計調査。③ハローワーク求人を提出する際などでチェックをうけることになります。

最低賃金ギリギリで雇用をしている場合、毎年10月ごろの最低賃金見直しはよく注意しておく必要があります。

 

罰則

地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が定められています。なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

 

最近の最低賃金の傾向

最低賃金は平成17年~平成27年の間で全国平均100円以上上がっています。生活保護など他のセーフティネットによる施策とのバランスを取るため、今後も最低賃金は高くなっていくことが予想されます。

60歳を過ぎて再雇用した社員の給与はそれまでよりも下げていいのか?

2016.11.01

定年間際の社員は、勤続年数が長いこともあり、給与額も高いことが多いでしょう。定年後嘱託や再雇用社員になったときに、そのままの給与を維持すると、高齢者に対する人件費が高くつくことになり、企業の若返りなどの点で問題が出ることがあります。

定年再雇用を機に給与を低くすることができるのでしょうか。

 

原則は当事者同士で納得すれば低くできる:

原則としては会社と当人が納得すれば、定年を機に給与を低くしても構いません(ただし最低賃金以下にすることはできません)。定年により雇用契約はいったんリセットとなるので、そのあとの契約内容は当事者同士で自由に決めることができます。

 

実際に60歳以降は公的年金も支給され始め(今後は65歳以降の支給に引き上げられます)、その他民間の保険の満期設定をしていることも多く、その他の所得が確保されていれば賃金を低く改定することにも抵抗は少ないかもしれません。ただし、これまでに再雇用制度が存在しており、ある程度、「定年後はこのくらいの賃金になる」という基準が存在するにもかかわらず、これに反して、賃金を下げる場合には、「労働条件の不利益変更」の問題が出てきます。他の人との公平性を考えて慎重に決定する必要があります。

 

なお、60歳を境に賃金が下がった場合、雇用保険から高年齢雇用継続給付金という給付が支給されることがあります。概要としては、①60歳を境に②5年以上の雇用保険加入期間がある人が③従前の75%未満に給与が下がった場合、一定額の給付を雇用保険から行うことにより所得が保障されます。

 

給付される予定の年金、満期保険金、給与、雇用保険給付、本人の家計事情、他の社員の給与水準などを総合的に検討して問題のおこらない金額設定を心がけてください。

通勤手当には非課税限度額があります。

2016.10.04

通勤手当は実否弁償的な意味合いが強いため、本人の所得を計算する上では非課税となります。ただし、近所から通勤する社員に多額の通勤手当を支払うなど、本来かかるであろう実費を超えて支給している場合は、名前が通勤手当であっても全額非課税とされないことがあります。

 

通勤手当の非課税限度額については通勤方法別に以下のような基準が決まっています。

 

 

1、交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

 

2、自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当

通勤距離が片道55キロメートル以上である場合         31,600円            

通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合   28,000円

通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合   24,400円

通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合   18,700円

通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合   12,900円

通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合   7,100円

通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合     4,200円

通勤距離が片道2キロメートル未満である場合           (全額課税)      

 

3、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券   

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)

 

4、交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券             

⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額と2の金額との合計額(最高限度 100,000円)

 

つまり、電車やバスの定期券や定期代は10万円までは非課税ですが、車やバイク、自転車などを使用する通勤については「距離によって」非課税限度額が設定されています。

労災の最初の3日は補償されない?

2016.09.27

業務上の事由または通勤により怪我をして仕事が出来なくなった場合、休業の第4日目以降は労災保険から休業に対する補償(概ね給与の8割)があります。

別の言い方をすると、休業初日から3日間は労災保険から休業補償されないことになります。この3日間に関するケアについて、業務(仕事中の)災害と通勤(途中の)災害とで、取り扱いが違います。

 

◆業務災害の場合

 

休業初日から3日目については、労働基準法により「会社が」平均賃金の60%の補償をしなければなりません。

 

そもそも、労働基準法では労災で仕事が出来ないために賃金を受けない場合、会社が休業補償をしなければならないのですが、休業4日目からは、労災保険がその補償を行うので、3日目までは会社が支払い、4日目以降は会社からの休業補償は労災保険からされる、という関係になっています。

 

 

◆通勤災害の場合

 

通勤災害は労災ではないので、労働基準法上、事業主には休業に対する補償責任がありません。よって、業務災害と異なり休業初日から3日目までの休業に対する補償を事業主がする必要はありません。

 

ちなみに、この3日分の休業補償について所得税法上は非課税となっています(一方で、会社の都合で休ませた場合に市はらう「休業手当」については課税対象となります)。また、労働保険の年度更新をするときには賃金とはみなされません。

 

 

休業補償を支給する場合の給与計算については専門家に相談しましょう。

住宅手当と残業代計算

2016.09.06

残業代単価を計算する時に、基本給だけから計算をしていることがありますが、労働基準法上は問題があります。

労働基準法では、残業単価計算に「含めなくてよい手当」が決まっており、それ以外は単価計算に含めなければなりません。

 

残業計算の基礎から控除できるものについては以下が例外的に除外できることとされています(このように特定の項目を指定していることを「限定列挙」といいます)。

 

・家族手当

・通勤手当

・別居手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、見舞金など)

・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

この手当以外(資格手当や管理職手当など)は含めて単価を計算するように注意しましょう。

 

住宅手当は注意が必要

除外される手当の中で、住宅手当は特に注意が必要です。名前が住宅手当となっているだけではダメです。支給方法が「住宅に要する費用に応じて算定される手当」となっている住宅手当であれば除外できますが、住宅に要する費用に関わらず「一律に定額で支給される」手当は、ここでいう住宅手当には該当せず算定基礎賃金に含めなければいけません。

 

残業単価計算については、未払い残業訴訟でしばしば争点になります。特に手当の総額が基本給に比べて多く支給されている場合や、今回のように住宅手当を算入していない場合など、残業未払いが発生している可能性がありますので、給与計算方法をチェックしましょう。

子供を産んでいる期間中の給与

2016.08.30

出産予定日42日前から出産日後56日の期間を産前産後休業といいます。この期間は主に母体保護のために休業が労働基準法上で定められていますが、その期間分の賃金について支払い義務は必ずしもなく、通常は『無給』です。

 

また、産後56日経過してから、子が通常1歳になるまでの期間を育児休業と言います。この休業は主に育児のためのもので、育児介護休業法にて労働者の権利として保障されています(一定の基準の労働者については育児休業対象者から除外することができる)。この育児休業期間についても、産前産後休業とどうように無給で構いません。

 

産休・育休については無給であることが多いですが、その分公的な休業補償制度が整っています。

 

①産前産後休業に対応する「出産手当金」

産前産後休業中のおよそ3ヶ月について、健康保険から出産手当金が支給されます。金額は給与のおよそ3分の2です。例えば30万円の月給の方であれば月20万円が3ヶ月分程度支給されます。

 

②育児休業に対応する「育児休業給付金」

育児休業中は育児休業給付金が雇用保険制度から支給されます。休む前に約1年以上雇用保険に加入している場合、育児休業開始から6ヶ月は給与の約3分の2、それ以降は給与の2分の1程度が支給されます。30万円の月給をもらっていた場合、当初6ヶ月が20万円、後に15万円が支給されます。

育児休業給付金は2ヶ月に1回申請します。

 

休業期間中に賃金を支給すると、それに応じて、出産手当金と育児休業給付金が減額されますので、注意が必要です。

月60時間以上の残業は割増賃金が高い?

2016.05.11

長時間労働を少なくし、労働者の健康確保や、ライフワークバランスをとることを目的とする法律が平成22年にできました。これにより以下の通り改正されました。

 

残業代について、割増率が一部で25%上昇した

1日のうちで8時間を超えた分の労働時間は残業代として、時間給の25%を割増して給与を支払わなければなりません。しかし法改正により、現在では1か月に60時間を超えた時間外労働を行う場合は、それを超えた時間数分は50%以上を割増して支給せねばならなくなっています。ただし、中小企業については、当分の間、割増賃金率の引上げをしなくてもよくなっています。

 

この猶予の対象となる中小企業は以下の通りです。

①    資本金または出資の総額が

小売業→5,000万円以下

サービス業→5,000万円以下

卸売業→1億円以下

それ以外の業種→3億円以下

 

もしくは

 

②    常時雇っている労働者数が

小売業→50人以下

サービス業→100人以下

卸売業→100人以下

それ以外の業種→300人以下

 

とされています。

 

 

割増賃金を支払う代わりに有給休暇を与えることができる

労使協定で定めることにより、1か月間に残業時間が60時間を超えた労働者に対して、引上げ分(50%-25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができます。

 

例えば、月の残業時間が76時間の人だと、

76時間-60時間=16時間が50%の割増賃金の対象になります。

この16時間を有給の休暇に換算すると16時間×0.25=4時間となり、この労働者に対して4時間分の有給休暇を与えることができるというわけです。

 

また、労働者がこの有給の休暇を取得した場合でも、残りの25%の割増賃金の支払いが必要になってきますので注意が必要です。

雇用保険料率が変更されました!

2016.04.24

雇用保険料率は、失業給付の支給額や失業率、雇用保険財政の推移などをもとに変更されますが、平成28年4月1日より、引き下げられました。

 

平成28年4月1日以降の失業等給付の雇用保険料率を労働者負担・事業主負担ともに1/1000ずつ引き下がりました。併せて、雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)を平成28年4月1日から0.5/1000引き下げました。

平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率は下表のとおりとなります。

 

■一般の事業

(平成28年度)

被保険者負担

4/1000

会社負担

7/1000 4/1000

合計

11/1000

 

(27年度)

被保険者負担

5/1000

会社負担

8.5/1000

合計

13.5/1000

 

 

■清酒製造の事業

被保険者負担

5/1000

会社負担

8/1000

合計

13/1000

(27年度)

被保険者負担

6/1000

会社負担

9.5/1000

合計

15.5/1000

 

 

■建設の事業

被保険者負担

5/1000

会社負担

9/1000

合計

14/1000

 

(27年度)

被保険者負担

6/1000

会社負担

10.5/1000

合計

16.5/1000

 

その他、以下の改正が予定されています。

 

・介護休業給付の給付率引上げ(賃金の40% → 67%)

(平成28年8月1日施行)

 

・65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用対象とする。

(平成29年1月1日施行)

 

・失業等給付の受給者が早期に再就職した場合に支給される再就職手当の給付率引き上げ

(平成29年1月1日施行)

 

・「求職活動支援費」として求職活動に伴う費用(例:就職面接のための子の一時預かり費

用)について新たに給付の対象とする。

(平成29年1月1日施行)

 

4月以降の給与計算にも影響するため、注意してください。

昼休みの電話番は労働時間か?

2016.04.16

休憩時間と似ているのですが「手待ち時間」と呼ばれるものがあります。これは,昼休みに電話番をやっているときや、商店・飲食店などで来客を待っている時などをしている時間のことです。手待ち時間は、法律上休憩時間ではなく労働時間とみなされています。

 

自由に使用できなければ休憩とならない:

昼休みに,職場でお弁当を食べながら電話番をしたという経験がある方もいるのではないでしょうか。昼休みに電話や来客があった時,社員はすぐに対応しなければならないため,自由な時間とはいえません。社員が自由に使用できない時間は休憩時間ではなく、手待ち時間=労働時間と見なされます。

このことは、実際に電話がかかってこなかったとしても、「労働から完全に解放されているわけではない」ため、手待ち時間とみなされるでしょう。

(なお,警察官や消防士などは,その職務の特殊性から手待ち時間が労働時間とみなされない場合があります。)

 

対策

電話番が必要であれば、当番制を取り当番時間分の休憩を別途に与える、もしくはその当番時間分の賃金を支払うなどの対策が必要です。とは言え人手の少ない中小企業では対策は簡単でないかもしれません。電話番をしてもらっていることを労って、代わりに早く帰れる日は帰ってもらうなど、心理面でのケアも心がけてください。

割増賃金

2016.04.02

労働者は労働が1日8時間を超えた時間(時間外)について、通常の賃金の計算方法よりも割増してお金を受け取ることができます。また午後10時~午前5時の深夜時間に働いた時間についても同様です。この場合の計算方法は以下の場合に分けられます。

 

①    1日8時間を超えた労働時間が1ヶ月60時間以内の場合→2割5分以上で計算

 

②    1日8時間を超えた労働時間が1ヶ月60時間を超えた場合→5割以上で計算

※中小企業については適用が猶予されているため2割5分以上

 

③    午後10時~午前5時に働いた場合→2割5分以上で計算

 

④    法定休日に労働させた場合→3割5分以上で計算

※法定休日:労働基準法などの法律で決められた休日のこと。

 

割増するお金の計算のベースとなる賃金には、家族・通勤手当などの賃金は入れません。

 

 

例:会社指定の労働時間が午前8時から午後5時(休憩1時間)までの実働8時間、

1か月45時間、1年360時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を3割

とする大企業の場合

 

 ○1か月45時間以内の時間外労働について

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.25 (時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.25+0.25) (時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.25  (時間外労働)

 

 

 ○1か月45時間超~60時間以内又は1年360時間超の時間外労働について

 

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.30 (時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.30+0.25)(時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.30(時間外労働)

 

 

 

○1か月60時間超の時間外労働について

 

17時から22時→1時間当たり賃金×1.50(時間外労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.50+0.25)(時間外労働+深夜労働)

 

5時から8時→1時間当たり賃金×1.50(時間外労働)

 

 

○法定休日労働の割増率

 

5時から22時→1時間当たり賃金×1.35(法定休日労働)

 

22時から5時→1時間当たり賃金×(1.35+0.25)(法定休日労働+深夜労働)

遅刻に対して余分に賃金をカットできるか?

2016.02.24

遅刻をした社員に対し、ペナルティとしてその分の賃金を給料からカットすることは多くの企業で行われていますが、実際どの程度までの給与カットなら法的に認められているのでしょうか。

 

1.ノーワーク・ノーペイの原則

賃金請求権については、民法に「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」という定めがあり、労務の提供がない(不就労の)場合には賃金請求権も発生しないこととしています。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。

遅刻や早退だけでなく、「働かない時間」のパターンは多岐にわたるため、控除をする場合には、控除する賃金の範囲や時間、回数の単位などを就業規則等において詳細に定めておく必要があります。

いずれにせよ、まず「働かない時間について給与を支払わないこと」は問題ありません。

それ以上の給与カットをする上では、以下の法的制限があります。

 

2.労基法91条「制裁規定の制限」

「減給の制裁」とは、遅刻等の服務規律に違反したことへの制裁として、ペナルティとして本来支給すべき賃金の一部を控除することを指します。このペナルティについて、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。

つまり、働かない時間分の給与カットを超えてカットを行うのであれば、その部分については減給の制裁に該当し、制裁の制限に抵触しない範囲で就業規則等に規定化し、その規定に基づいて控除を行うことが必要となります。

 

なお、遅刻、早退が目立つ会社では、精皆勤手当等を設け、勤怠と給与との関連性を持たせたり、賞与の考課項目の一つとして勤怠評価を取り入れるなどの管理方法も有効かもしれません。

取引先の接待で飲食をしている時間は残業か?

2015.12.08

業種や職種によっては、取引先や営業先の接待があります。夜にお酒を飲むことはあるでしょう。この接待の時間中が労働時間になるのかどうかは、次のポイントをもとに決まります。

 

  1. 会社命令の有無

接待の席に「行かなければならない」状況であったか、をまず考慮します。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。

 

  1. 接待の「目的」と業務性の有無

取引先と商談をするのであれば、仕事に関連していると見ることができるでしょうから業務性があります。ただし、単に親睦を深めるといった理由では業務性がないと判断されるかもしれません。あくまでその接待時間の「目的」によって業務性が判断されます。

 

「残業代」よりも「労災」が争点になる

この基準をもとに労働時間であるかどうかを判断するわけですが、この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。

労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。

 

ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。

最低賃金はどう決まるか

2015.11.18

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。例えば漫画家のアシスタントという仕事において「憧れの○○先生のもとで働けるなら時給1円でいいです!」と労働者側が言ったとしても、その金額が最低賃金を下回っているので、法律によって「無効」とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。

 

使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。

 

地域別最低賃金

「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。毎年10月~11月に最低賃金が決定されます。

 

特定(産業別)最低賃金

「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されています。

 

罰則

地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が定められています。なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

固定残業手当導入の注意点

2015.08.22

時間管理や計算の煩わしさから、残業代を含めて基本給で支払うという方式をとることがあります。しかしこの場合、たとえ「この給料は残業代込だから」という説明を従業員にしたとしても、それだけで実際に発生した残業代を支払ったことにはなりません。残業代を定額で支払う際は次の点に注意してください。

 

1、残業代を他の給与と明確に区分する

残業代を定額で支払う場合、まず「どれが残業代相当分なのか」を明確に分けておく必要があります。「総支給30万円、残業代込」としているならば、例えば「基本給25万円、定額残業手当5万円(合計27時間分)」などの表現にあらためてください。定額残業手当が何時間分の残業に当たるのかも明記する必要があることにも注意してください。

 

2、就業規則と雇用契約書、給与明細に制度を明記する

会社のルールブックである就業規則、その他給与明細や雇用契約書にも定額残業代のルールについて明記しましょう。定額残業代は「○時間分の残業分を固定で払うという基準を定め、残業が少なくても減額なし、残業が多くてオーバーする分は別途計算して払うと」いう趣旨ものでなくてはなりません。

 

3、実際に時間管理をする

定額残業代であることを主張するには、実際に労働時間が管理され、「定額残業代で定める時間を超えているかどうか、超えているとすればどれだけ超えているか」を毎月チェックしている状態でなくてはなりません。タイムカードや出勤簿がない状態では定額残業制が運用されているとはみなされないため注意が必要です。

 

定額残業制の導入には専門家の意見を聞きながら進めましょう。

給与支払日の変更時に気を付ける事

2015.08.09

給与計算事務処理や資金繰りなどの便宜性の理由から給与締切日や支払日を変更したい場合、就業規則の変更をすることで変えることができますが、従業員とのトラブルを防ぐために以下の点に注意する必要があります。

 

1、従業員の家計に支障がないようにする

給与の支払日を変更する場合、従業員の家計に配慮する必要があります。毎月の住宅ローンなどの引き落とし時期など、給与振込日が変わることで迷惑がかかる従業員がいないか確認をしましょう。もし不都合があれば、個別に会社が貸付を行うなどのケアを検討してください。

 

2、毎月1回の給与支払いが確保されるようにする

労働基準法上「給与は毎月1回以上、一定時期に支払わなければならない」と決められていますので、例えば毎月25日支払いを「翌月の10日支払い」に変更する場合、変更前の月に給与が支払われなくなるなどの事態が起きないようにしなければなりません。この場合も「先に半月分計算して支給する」などの対策が必要です。

 

3、社会保険・雇用保険の手続き上の留意点

社会保険上、給与の支払日を基準に対応月が決まりますので、月をまたぐ給与支払日の変更をすると手続きが煩雑になります。特に4月から6月は社会保険の算定基礎月に該当し、事務処理手続きが煩雑になるため、この期間での変更はできるだけ避けた方がよいでしょう。

また、雇用保険の離職証明書(いわゆる離職票)の作成方法にも給与の締日支払日が影響します。専門家のアドバイスを受けながら正しく作成をしてください。

社員旅行積立金を給与から天引きしてもいいか?

2015.06.22

社員旅行積立金や、社宅費用、財形貯蓄の積立金などの金銭を毎月の給与から天引きする際には、以下の点に注意をする必要があります。

 

賃金全額支払いの原則:

給与については「賃金全額払いの原則」があります。原則としてその月に支払うことが確定した給与は全額を支払わなければなりません。ただし、次の二つの例外があります。

 

1、法令に別の定めがある場合

所得税や社会保険料、雇用保険料など法律で認められている金銭は給与から天引きすることができます。

 

2、労使協定で定めた場合

労働者の過半数代表者と会社とで「この金銭は給与から天引きをする」と取り決めをし、労使協定書を結んだ場合は、例外的に給与からの天引きが認められます。この労使協定書は任意様式でよいとされていますが、少なくとも「(1)控除の対象となる具体的な項目、(2)右の各項目別に定める控除を行う賃金支払日」について記載しなければなりません。また、労使協定で定めたからと言っていくらでも天引きしてもよいものではなく、働く人の生計費も考慮して納得できる範囲で定めるべきでしょう。

 

ちなみにこの労使協定は、「時間外労働に関する協定(いわゆる36協定)」のように労働基準監督署への届け出をする必要はありません。締結した協定書類は会社で保管しておいてください。

 

 

給与の前借分を天引きする場合:

給与の前借をした分を次月の給与から天引きする場合については、その月および次月の給与を全額払ったことには変わりはないため、この賃金全額払いの原則には違反しないとされています。つまり、給与の前借分を天引きする点では賃金控除の協定は必要ありません。

年俸制の話

2015.06.14

年俸制とは:

労働者に支給する基本的な賃金を業績等により決定し、1年分をまとめて提示する賃金制度です。代表的な方式は、以下の2つに分類されます。

 

1、年俸額全体を管理する方式…前年の評価や業績によって、その年の年俸額を確定します。一度年俸額が決定したら、次の更新時まで金額は変わりません。

 

2、基本年俸+業績年俸方式…年俸額を基本年俸と業績年俸に分けて運用します。基本年俸部分は金額の変動がありませんが、業績年俸部分は期の途中での業績等によって、事後に変動します。

 

年俸制でも残業代の支払い義務:

よく「年俸制であれば残業代を支払わなくてもよい」と誤解されることがありますが、たとえ年俸制であっても残業をした際には法定の割増率以上で計算した残業代を支払わなければなりません。あらかじめ残業代込みのしたい場合には、残業代部分を明確に分ける必要があります。

 

年俸制対象者の解雇予告:

労働基準法では、従業員を解雇する際の予告(以下、解雇予告)を「少なくとも30日前にしなければならない」と定めています。

これを適用すると、年俸制対象者も30日前の解雇予告で足りると考えられます。しかし、民法では「6か月以上の期間によって報酬を定めた場合には、解約の申し入れは3か月前にしなければならない」とあります。そのため、労使トラブル防止の為には解雇予告は3か月前に行うのが無難と言えるでしょう。

 

会社側にとって、年俸制は支給額が年初に決まるため、資金計画が立てやすいメリットがありますが、逆に言うと業績が悪くなっても1年間は一度決めた給与を下げることができません。また、向こう1年の給与を決めるとなると、人事査定方法も納得性の高いものにする必要があるでしょう。導入の際には専門家の声を聴きながら慎重に検討してください。

割増賃金の計算

2015.04.27

割増賃金の原則:

従業員に残業をさせた場合や、休日に働かせた場合には、会社は通常の賃金を割増して支払わなければなりません。割増して支払うべき賃金は、残業等をした労働者の時給単価に割増率を掛けて計算します。この割増率には、3つあります。

 

①    法定時間外労働の場合、25%以上

②    休日労働の場合、35%以上

③    深夜労働(22時~5時)の場合、25%以上

 

会社は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。(この労働時間上限を「法定労働時間」といいます。)例えば、始業9時、終業18時(休憩1時間)で時給1000円の人が19時まで働いた場合、「法定労働時間を1時間超えて」労働をしたことになりますので、その1時間分について①の法定時間外労働に対する割増賃金を支払う必要があります。

前述の例の場合、時給1000円の25%以上増しになりますので、18時から19時までの1時間の労働に対して、1250円以上の時給を支払わなければなりません。

これが「法定休日=原則毎週1日の休日に働かせた場合」には②の割増率になり、労働が深夜(午後10時から午前5時前)に及んだ場合は③の割増率をかけることになります。

 

月給者などに対する割増賃金の計算方法:

月給者・日給者に対しては、時給単価に換算して割増率をかけます。

・日給制の場合…日給額を1日の所定労働時間で割った金額を出します。

・月給制の場合…「基本給+諸手当」を1か月あたりの平均所定労働時間で割った金額を出します。

月給制で、通勤手当や家族手当、住宅手当等を支給している場合には、原則として時給単価の計算に入れる必要はありません。これらは個人的な事情に基づいて支払われ、労働に対して直接的に支払われる手当だと考えられていないためです。ただし、家族手当だとしても、家族数等に関係なく全員同じ金額で支払われている場合には、その金額も時給単価計算に含めなければなりません。

 

割増賃金の計算の間違いは、のちに大きな賃金トラブルに発展することがあります。正しい計算方法であるかよく注意してください。

フルコミッション給与制度の問題点

2015.04.26

最近では実力主義・成果主義を重視する会社が増えてきました。 会社の本音としては利益を生む人材にしかお金を出したくないということでしょう。完全歩合とはつまり、働いて成果を上げた分だけ一定の計算によって給料が支払われるというものです。

 

しかし日本の法律に照らし合わせてみると、完全歩合給というシステムは労働基準法違反になってしまいます。

 

○完全歩合給は違法か

 

完全歩合給という労働条件で求人をかけている会社を見ると、ほとんどの募集条件が「営業」あるいは「販売」であるが、物が売れなければ給料もゼロにしたい、という会社の都合を表していると言えるでしょう。しかし、日本の法律では利益が全く得られなかったとしても、働いた労働者に給料を支払わないということは許されません。

 

法律では、「売っただけお金を得ることができるというルールで働いている労働者について、会社はその人が実際に働いた時間分についても最低賃金額以上支払わなければならない」という決まりがあります。従って、その人のおかげで会社が儲かったかどうかに関わらず、働いた人に対して会社はその分のお金を支払わなければならないのです。

 

 

○最低賃金額とはどのくらいの金額なのでしょうか。

 

上記における最低賃金は地域別・職種別に1時間あたりの最低額が決まっています。従って歩合給の仕事で成果を上げられなかったとしても、会社は労働時間×最低賃金という最低限の金額を労働者に対して支払う必要があることになります。

 

 

○「最低賃金」ではダメな場合も

 

会社は最低賃金さえ払っていればよいのかというと、必ずしもそうとは限りません。

 

なぜならば、国では「実際の給料とあまり差がないくらいの給料が保障されるように保障給の額を定めるべき」と決めているからです。

同じ会社の他の社員に比べて極端に低いような場合は、法的に問題ありと判断される可能性もあります。一般的には、休業補償と同じ通常の賃金の60%程度が給料の最低ラインと決められているようです。

残業代の未払いと過払い

2015.03.24

未払い残業代の請求をされた場合

労働基準監督署から過去の未払い残業代を支払えと是正勧告を受けた場合、支払わなければならいけないのはもちろんですが、どのくらい過去にさかのぼるのかと言いますと、「2年」になります。

これは労働基準法上に「残業代に当たる賃金の請求期間は2年間、請求を行わなければ時効で消滅する」旨が明記されているためです。そのため、請求する側は2年分さかのぼって請求できます。

2年と言うと24か月ですので、1か月あたり5万円の未払い残業代が発生していたなら、120万円支払わなければいけません。

 

未払い残業代を防ぐ手段

従業員が残業を行う際には、従業員から会社に「残業申請書」を提出させ、残業を承認するか否かを決めるなど、残業時間を把握及び管理するように気を付けましょう。 

労働安全衛生法上も労働時間の適切管理を事業主の義務としていますので、「会社が命じている残業ではない、勝手に残業をしているだけだ」という主張は原則として通りません。

 

残業代を過払いしていた場合

未払いとは逆に、会社が従業員に残業代を余計に支払っていた場合、10年までさかのぼって返還を請求することができます。ただしこの場合、会社側が残業代の計算を間違っていたことが原因でありますし、10年分ともなると、多額のため、従業員の返済能力を考慮した金額で折り合いをつける必要があると思います。

 

残業代をめぐるトラブルは大きな金銭的ダメージを会社に与えます。「なあなあ」にせずにしっかりと現状把握するとともに、残業そのものをしなくても良い働きかた、時間の使い方等も考えていきましょう。

賞与、退職金は会社の義務か?

2014.12.15

(会社の支払い義務)

夏・冬のボーナスや退職金は、ある程度慣行化されているという側面もあるものの、法律上は必ず支払わなければならないものではありません。賞与や退職金は、会社が支払う必要がないと判断し、かつ就業規則に具体的な計算式などの支給基準が定めていない限り、支払う必要がないものです。

 

逆に言うと、次の場合は法律上の支払い義務が発生し得ることになります。

 

1、就業規則上に支給基準が定めてある場合

2、就業規則等で特段の定めがなくても、長年にわたり実際に賞与や退職金を支払った事実があり、慣行化していた場合

 

「就業規則上に支給基準が定めてある場合」とは、例えば「賞与の支給時期は○月、査定期間は○月~○月、金額は基本給の○ヶ月分を支給する」などの定めがある場合を指します。多くの中小企業において、賞与には利益配分機能を持たせているので、会社全体の営業利益が芳しくない場合は、約束した基準で賞与支払いを出来ない場合もあります。その可能性に対応するためには、就業規則上で「ただし、会社の経営状態、社会情勢の変動その他の事由により賞与を減額し、または不支給にすることがある」などの例外規定を定めておくことが賢明でしょう。

 

(対象者の特定の重要性)

賞与や退職金について就業規則等で制定する場合、その支給対象者の定義を明確にしておくことに注意が必要です。例えば「従業員に対しては賞与を支給する」「○年以上勤務した従業員に対して別に定める支給基準に基づき退職金を支給する」という定めがある場合、パート、アルバイトや契約社員も従業員であることに変わりはないため、このままではパート等に対しても当然に賞与や退職金を支払わなければならなくなります。

「そんなつもりではなかった」「パートに退職金がないのは常識だろう」と言っても通用しませんので、就業規則上の規定についてよく確認しておくことをおすすめします。

社会保険料が変わる月です!

2014.10.06

9月分の給与計算は要注意です。

まず、厚生年金保険の料率が変わります。

一般の被保険者の場合、H26年8月分までは17.120%、H26年9月分からは17.474%となります。
(ちなみに坑内員・船員の場合は違う率となります)

次に標準報酬月額が変わる場合があります。
毎年、4~6月に支払われた給与を元に算定基礎届を提出し、その平均額が1等級でも変動すれば9月から標準報酬月額が変動することとなります。

ちなみに給与から控除する厚生年金保険料は、この標準報酬月額に保険料率を掛けた金額の2分の1です。
残りは会社負担ですので、9月分からは会社の経費も増えることになります。

どこまでが賃金か?

2014.09.05

1、      賃金の定義について

 

賃金とは、正確にどういった定義がなされているかご存知でしょうか?通勤手当って賃金になるの?お客様からもらったチップはどうなの?と言った疑問をお持ちになったことはございませんか?

 

労働基準法11条では「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者支払うすべてのものをいう」とされています。つまり、「労働の対価」として使用者が労働者に支払うもの全てを賃金と呼びます。

 

また、賃金の支払い方に関しても労働基準法第24条1項および2項で取り決めがされています。これを賃金支払いの5原則とも呼び、具体的には下記のようになります。

 

~賃金支払いの5原則~

【1】    通貨払いの原則:賃金は通貨で支払うこと

【2】    直接払いの原則:賃金は直接本人に支払うこと

【3】    全額支払いの原則:賃金はその全額を支払うこと

【4】    毎月1回以上払いの原則:少なくとも毎月1回は賃金を支払うこと

【5】    一定期日払いの原則:賃金は「毎月25日」というように、その支払期日を特定すること

 

~例外~

ここでお気づきになったかたもいるでしょうが、「【1】通貨払いの原則」は、守られていませんよね?おそらく、大多数の方が銀行振り込みになっていると思います。また、旅行積立金など給与から天引きされているとしたら、「【3】全額支払いの原則」に反してしまいます。

ところが、そのことが労働基準法違反になってしまうかというとそういうわけではございません。

本人の同意を得ることを条件に賃金の銀行振り込みが認められていますし、労使協定を締結した場合に、旅行積立金などの給天引きが可能となる為です。そのほか、法令に定めのある所得税、住民税、社会保険料などの天引きも含め、これらを「賃金支払いの5原則の例外」と呼びます。

 

2、      使用者には給与明細の発行義務

給与を支払うという行為は、法律上「賃金債務を弁済する」ということになります。弁済である限り、「そのお金が何に支払ったものか」を明示する必要があるため、給与明細を発行する必要があるわけです。また、働いている社員からすれば、合計額を見ただけではどれが基本給で、どれが手当で、どれが残業代なのかがわかりません。就業規則や賃金規則のとおりに支払われているか社員がチェックするために、給与明細が必要になると理解しておいてください。

また、賃金規定に残業代として手当を支払う定めがあるにも関わらず、給与明細に手当を支払った記載が明示されてない場合、従業員側から手当が未払いなのではないかと主張されてしまう可能性が出てきます。残業時間に対して、いくら支払っているかを証明として残すためにも、給与明細を発行することは必ず行ってください。

出張先への往復移動時間の給与

2014.08.05

出張先への往復移動時間は労働時間にあたるのでしょうか?

移動時間が賃金の支払いが必要な労働時間であるかは、以下の2点で判断されます。

 

①使用者の指揮命令下にあるか

②この時間の自由な利用が保障されているか

 

出張先への往復の移動時間は労働時間とはみなされないことが多く、原則として給与の支払いは必要ありません。たとえ深夜や早朝であったとしても移動時間は労働時間とみなされないため、割増賃金も発生しません。また、出張先の仕事が早朝の為、休日である前日に移動した場合も同様です。

ただし、重要な書類や物品を運ぶような、移動自体が目的の場合は労働時間とみなされる可能性があり、賃金の支払いが求められることがあります。

 

法律上は労働時間とみなさないとしても、特別のケアが必要な場合もあります。

移動時間中の自由利用が保障されていたとしても、移動時間中労働者は行動の制約を受けます。給与の支払いが法律上不要であったとしても、移動の目的は仕事です。出張のための往復移動でプライベートな時間に制約を受けない人とのバランスを取る意味でも、長時間移動する場合や休日に移動する場合には、距離や時間に応じて「手当」を支給するなどの対策を検討するとよいでしょう。

手当については会社に支給義務はありませんが、支給の有無、支給する場合には金額や支給基準について明示しておくと、誤解によるトラブルを防ぐことが出来ます。

手当額も法律上の定めはありませんが、出張により拘束するであろう時間などを加味しながら設定するとよいでしょう。

パートの残業代計算の注意

2014.06.25

パートタイマーの給与支給について、1日8時間、週40時間までは、通常の時給支払で問題ありませんが、この範囲を越えた場合は割増賃金の支払いが必要となります。

正社員の残業管理を行っていても、パートやアルバイトの残業は見落としがちです。パートの給与計算を行う際に「月の総労働時間×時給」と計算していないでしょうか。総労働時間のみで単純に計算してしまうと、1日8時間以上、週40時間以上働いた場合には未払い賃金が発生してしまいます。

 

<計算例1>

時給1000円、通常6時間労働、1日10時間労働した場合。

1000円×8時間=8000円

1000円×2時間(8時間を超えた分)×1.25(割増賃金)=2500円

計:10500円

 

通常労働時間は6時間ですが、法定労働時間の8時間までは通常の時給で問題ありません。

8時間を超えた2時間分が割増賃金の対象になります。

 

<計算例2>

時給1000円、月曜日から土曜日まで毎日7時間労働した場合。

6日×7時間=週42時間

1000円×40時間=40000円

1000円×2時間(40時間を超えた分)×1.25(割増賃金)=2500円

計:42500円

 

1日8時間を超えていないため日の割増賃金は必要ないと思われがちですが、週42時間となる為、2時間分の割増賃金が発生します。

 

また、掛け持ちでパートをしていた場合、法律上は各労働時間を合算しなければなりません。A事業所で4時間労働した後、B事業所で5時間労働した場合には、B事業所は1時間分の割増賃金の支払いが必要となります。

労働時間については、現在の労働法では変形労働時間制など様々な制度があり、それらを十分に理解できていないまま不完全な給与計算を行ってしまっている会社は意外とたくさん見うけられます。
このような場合、
・労働基準監督署による臨検、調査(中小の事業所でも一定の確率で当たります)により、是正指導および割増賃金の遡及支払を命じられる場合があります。
・労働者自身からの告発や労使間の信用失墜の可能性があります。

労働時間の問題については、本業を抱えた経営者がその法律を完全に理解することはタイムマネジメント上、合理的とは言えません。それよりも、社会保険労務士などの専門家に相談するのが得策です。また、給与計算そのものを依頼してしまうことも、手っ取り早い解決方法です。

割増賃金から除くことができる手当

2014.03.31

所定時間外労働(いわゆる残業)や、深夜、休日労働に対する割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」です。この1時間あたりの賃金とは、基本給だけを指すものではありません。職務手当や役職手当など、各手当を含めて計算します。

 

しかし、以下の7つは労働と直接的な関係が薄く、個人事情に基づいて支給されているため、基礎賃金から除外することが出来ます。

7つは限定的に列挙されたものですので、これ以外の手当を控除して割増単価を低くすることは法律違反となります。

 

①家族手当

扶養家族のある労働者に対し、家族の人数に応じて支給するもの。※扶養家族の有無に関係なく支給するものは除外できません。

②通勤手当

通勤に応じた費用で支給するもの。※通勤費用や距離に関係なく一律支給するものは控除できません。

③別所手当

扶養家族と別居することによる生活費の補助として支給されるもの。※扶養家族の有無に関係なく支給されるものは控除できません。

④子女教育手当

社員の子供の教育費補助として支給されるもの。

⑤住宅手当

住宅に要する費用に定率を乗じたもの。※住宅の形態ごとに一律に定額で支給するものは控除できません。

⑥臨時に支払われる賃金

臨時に支払われる賃金。退職金などが該当します。

1ヶ月を超えるごとに支払われる賃金

 1ヶ月を超えて支給される、賞与や精勤手当等が該当します。

 

上記の7つは同じ名称であっても異なった性質で支給された場合には基礎賃金から控除することは出来ませんので、注意が必要です。


なお、就業規則並びに雇用契約書などで、役職手当の意味合いを「残業代の定額支給」と定義付けている場合など、手当そのものが割増賃金であれば当然に割増賃金の計算基礎に含まないことになりますが、定義を適法にしておく必要があります。

着替えの時間は労働時間とすべきか?

2014.03.26

始業前、会社の制服に着替える時間、または仕事が終わって私服に着替える時間は労働時間にあたるのでしょうか。

 

例えば、始業時刻が9時であれば、早めに出社して制服に着替えるというケースは珍しくありませんが、その着替え時間について労働時間と見なされれば、時給相当分の支払いをしなければなりません。

 

裁判例上、着替え等準備時間については以下のような解釈がなされています。

 

【「三菱重工長崎造船所事件」(最高裁平成12.3.9判決)】

この裁判は、作業服への着替え時間が労働時間に該当するかどうかを争ったものですが、これによると、

労働時間に該当するかは「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否か」により客観的に定まるもので、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないとしています。

判例によると「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する」と、あります。

この考え方によれば、

 

①  着替えることが労働の準備にあたる行為で、

②  職場で着替えなければならない状況で、

③  使用者から義務付けられている場合(従わない場合のペナルティがある場合も含む)

 

は、労働時間ということになり、その時間の賃金を請求できることになります。

 

【周辺的行為については当事者間で定めるという考え方もある】

一方で、準備や片づけ、着脱衣などの行為を直接的労働とは分けて考え、当事者間で労働時間であるか否かを取決めできるという解釈もありますが、裁判の場では前述したように「客観的な状況がどうであるか」を優先される可能性が高いといえます。

着脱衣や事前掃除などの行為については、このように労働時間性を主張される可能性があることを意識したうえで、指揮命令を行うことをお勧めします。

合法的に給与を下げる方法

2014.03.14

いったん決定した給与を引き下げることは簡単ではありません。ある日、豊明市の建設業者さまから連絡をいただきました。どうしても給与を下げなければ維持ができないとのことでした。

労働条件の一方的な不利益変更はできないため、社員の同意を得ることが求められます。また、実施する場合には、引き下げの必要性につき、合理的な理由を説明しなければなりません。

 

合理的な理由とは

給与引き下げも止む無しと言うためには、単に業績不振というだけでは十分でなく、あらゆる手を尽くして給与引き下げを避けようと努力をしたがそれでも避けられなかったと客観的数値で説明できなければならないと考えましょう。

具体的には、給与引き下げの前に

 

・役員報酬のカット

・残業の抑制

・賞与の減額、カット

・人件費以外の経費削減

 

のような対策を行った上で、最終手段として給与引き下げを行うと、その合理性を説明しやすく、従業員の同意も得やすくなります。

 

同意はどのように取り付けるか

同意は、原則として全員の個人同意が必要となります。同意書を作成する場合には、①手当ごとの細かい変更金額や、②変更日を記載するようにしましょう。

また、本人の氏名欄をパソコンで印字すると、いかにも会社側が同意を前提で用意したように見えるため、できれば本人の自署をしてもらいましょう。

※自社に労働組合がある場合には組合との団体交渉を経て労働協約を締結すれば、個人同意は必要ありません。

 

手当のカットはしやすい

基本給を下げることは難しいですが、手当を支給基準に従ってカットすることは合法です。例えば重要な職務を担当する社員に「特殊勤務手当」を支給していた場合、重要職務がなくなった場合は、当然に手当をカットすることが出来ます。

経済情勢の変動に柔軟に対応できるよう、手当をはじめとした給与制度の見直しを検討されるのもよいかもしれません。その後、半年して豊明市の建設業者さまは経営者の営業努力と教育に力を入れることで、定着率と業績安定を果たしました。

採用費などにコストをかけるなら、離職率を下げたほうがよほど経営安定に効果があるか分かる好例ですね。

感染症にかかった社員の自宅待機中の給与

2014.02.24

安城市の飲食店で、アルバイトがロタウイルスになったという連絡をいただきました。

感染症に罹患した労働者等が無理をして出勤をすると、周りの人に伝染させてしまう恐れがあるため、労働安全衛生法、感染症法等により出勤を禁止する義務が定められています。

 

この自宅待機を命じた場合の賃金について、場合によっては60%の給与保障(いわゆる休業手当)が必要となります。休業手当の支給の有無については「使用者の責に帰する事由」であるか否かによって判断されます。

 

◆休業手当の支払い義務がない場合

・感染症にかかっているかどうか不明な時点で、何らかの症状があるため、社員自ら休む場合

・医師や保健所の指導により、社員が休業する場合

・家族が感染症に感染している社員について、濃厚接触者であることにより、保健所による協力要請等にも基づき、社員を休業させる場合

 

◆休業手当の支払い義務がある場合

・医師や、保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合。(外出自粛期間後等)

・医師や保健所からの協力要請がない段階で、使用者の自主的判断で休業させる場合

 

上記のように、医師や保健所の指導の範囲で休場させる場合には、「使用者の責に帰する事由」ではありませんので、休業手当の支払いは不要です。

 

しかし、家族が感染し(かつ労働者本人が感染していない)場合に、保健所の指導が速やかに行われるとは限りません。このような場合には、会社独自の自主的な判断が必要になります。

 

無難な判断は「休業手当を支払う」か「有給休暇として取り扱う」ですが、感染症の種類によっても取り扱いが異なるでしょう。

安城市の飲食店は、アルバイトの自宅からの連絡で店長が自宅待機を指示し、結果ロタだと分かったのですが、こういった判断は本当に素晴らしいですよね。お店のブランドとお客様と他のスタッフを守った素晴らしい判断だといえるでしょう。

仕事を覚えるまでの賃金を低く設定してもよいか

2013.11.23

刈谷市の勉強会である経営者から質問いただきました。

「仕事を覚えるまでの賃金を低く設定してもいいんですか?」

研修中や試用期間中など、賃金を低く設定しても、前もって求人票に記載していれば基本的には問題ありません。ただしその際には、最低賃金を下回らないように注意しましょう。

 

未経験者であって仕事が出来なくても、都道府県又は産業別の最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。2013年7月現在の最低賃金の最高額は東京都の850円、最低額は島根等の652円ですが、毎年上昇傾向にあります。これは、最低賃金で働くと生活保護受給者の収入を下回ってしまう場合があるからです。最低賃金の上昇は、大人数のパートを雇用している会社にとってはコストアップに直結する重大な問題となります。

 

しかし、最低賃金以上の例外があります。労働基準監督署からの許可を得ることで、次にあげる人は適用除外となります。

 

①    精神又は身体の障害により著しく労働能力の無い者

②    試の使用期間中のもの

③    基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち、厚生労働省令で定めるもの

④    軽易な作業に従事する者

⑤    断続的な業務に従事する者

 

また、未経験者を採用する場合には「トライアル雇用奨励金」の活用も可能です。ハローワークからの求人募集する際の助成金です。3ヶ月間の試用期間で双方のマッチングを図り、最大12万円支給されます。

未経験者、もしくは経験が少ないことが要件となっていますので、経験者の方が同業他社に転職する場合は対象となりません。なお、この助成金はハローワーク経由で求人を出し、ハローワークに「トライアル雇用が適当だと認められた」人が対象となるので注意しましょう。

刈谷市の勉強会はみなさん実績もあり、知識も深く刺激になっています。そういうメンバーの中で活動していてご質問いただけるのは本当に光栄なことだなと思っています。

残業手当の基になる賃金

2013.10.26

豊明市の美容室はかなり細かい賃金テーブルが存在しています。従来のように「シャンプーが出来るようになったら時給アップ」などに加えて「皆勤賞」「シフト交代報酬」「店舗売上連動給」などさまざまです。

ある日、豊明市の店舗に伺った際、夜だったのですがスタッフは練習中でした。当然、残業代は発生します。そこで、オーナーに尋ねられました。「この残業代はどこまでの手当を含めて計算すればいいんですか?」と。

 

賃金の中には○○手当と細かく金額を決めて支給される場合があります。様々な名称がある賃金の中で、残業手当の基となる賃金は何でしょうか。

 

残業手当の基となる賃金は、以下7つ以外の賃金と法律で定められています。

 

①家族手当

②通勤手当

③別所手当

④住居手当

⑤子女教育手当

⑥臨時に支払われる賃金(賞与等)

⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(3が月に1度の皆勤手当て等)

 

この7つが残業代の基とならない理由は、労働との直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支払われるという理由からです。

 

残業代とならない賃金は7つに限定されています。したがって、この7つ以外を残業代の基としないことは違法となります。

逆に、上記7つと同じ名称がついていたとしても、実態が異なっていれば残業代の基となります。例えば、「家族手当」や「通勤手当」という名称であっても、家族の人数や通勤距離に関係なく一律に支給される場合は、残業代の基です。

 

残業代を計算する場合は、上記7つの賃金を除いた合計を所定労働時間で除して1時間当たりの単価を出しましょう。

 

例えば、1ヶ月の所定労働時間を160時間としましょう。賃金は、基本手当20万、職務手当3万、地域手当1万、家族手当2万、住宅手当2万、通勤手当2万です。

この場合、すべて合計すると30万になります。しかし、家族手当2万、住宅手当2万、通勤手当2万は残業代の基となりません。よって、6万円は除きましょう。

したがって、残業代の労働時間単価を出す計算は、以下のようになります。

(30万‐6万)÷160時間=1500円

豊明市の美容室オーナーには賃金テーブルのアドバイスを実施し、今後一部見直すよう提案しました。みなさまも、残業代の基になるのか、ならないのか、改めて見直してみてはいかがでしょうか。

会社から一方的に給与を下げることはできるか?

2013.09.28

労働契約は「労働者が労務を提供し、使用者が賃金を支払う」という約束事を指します。労働者は一定のお金が支払われることが条件で働いているので、会社からの一方的な賃金減額を認めてしまうと、労働者側からすれば「契約されていない賃金で働く」状態になってしまい、不合理です。つまり、特別な事情がなければ一方的な賃金減額は認められません。

弊所の事務所だよりにこういった記事を記載したところ、顧問先である安城市のスーパーからお問い合わせをいただきました。

 

「ではどのような場合がその"特別な事情"と認められるのでしょうか?」

 

特別な事情には以下のようなものがあります。

①    懲戒処分としての減額

ペナルティーを与える目的で行う場合

②    職能資格引き下げによる賃金減少

例えば役職者が降格し、その役職に対応する役職給が減額する場合など

③    配転を行った結果としての賃金減少

営業職から事務職に配転し、営業手当がつかなくなる場合など

 

以上のような場合が特別な事情に当たります。

しかし、たとえどのような事情があったとしても、給料を下げるには就業規則などによる事前の取り決めが必要とされていますので注意が必要です。

 

「会社の業績低下による賃金引き下げ」はこの特別な事情に含まれるのでしょうか。

 

会社が存続するために賃金引き下げがやむをえない場合、会社は社員に賃金引き下げの必要性を説明して同意を得る努力をしなければなりません。会社としては、まずは賃金減額をしなくてもすむような措置を講じることが必要ですが、経営状態によっては難しい場合もあるでしょう。やむをえない時は、社員に賃金カットの必要性を理解してもらうことが大切です。社員も会社が倒産して職を失うよりは、賃金が下がっても雇用を維持してもらう方が良いと考えてくれるかもしれません。

 

なお、引き下げに同意を得られた場合は、新たに引き下げた賃金での雇用契約締結をする等して、合意があった旨記録しておくとよいでしょう。

スーパーマーケットも大手モールの台頭などで苦戦されているところが多い中、安城のクライアントは、なるべくこういった措置無く、士気高く経営されています。するかしないかは別として、法律を知っているということは武器になるものです。

もちろん、深く知る必要はなく、我々専門家にご質問されることで学びがあるよう常にお答えするように心がけています。

減給の上限

2013.09.14

刈谷市のホームページ業者さまでトラブルが発生し、以下のご質問をいただきました。

【Q】
減給制裁に上限はないのか。

 

【A】
上限はあります。平均給与の1日分の範囲内で、かつ月給の10分の1以内でなければなりません。

 

(解説)

【ノーワーク・ノーペイの原則】

ノーワーク・ノーペイの原則とは「労働なければ賃金なし」という原則です。会社は社員に給料を支払っています。社員は給料をもらう代償として、労務を提供します。このような双務契約ですから、労務の提供がない部分については、賃金を支払う必要はありません。

 

しかし、減給には上限があります。なぜなら、給料は社員の生活基盤を支えるものだからです。無制限に減給をしてしまうと、社員の生活が不安定になってしまいます。

 

 

 

減給の上限(労働基準法91条)

①1回の額が、平均賃金の一日分の半額を超えないこと

②一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の合計が総額の10分の1を超えないこと

※法定の上限を超える制裁は、超えた部分につき無効とされます。なお、遅刻や早退の時間に対する賃金を支払わないことは、「制裁」とならないので、制限はありません。

 

【例】20分遅刻した場合に月給の3分の1を減給した。

労働基準法違反で無効な処分となります。しかし、すべて無効ではなく、法定内の部分の減給は有効です。平均賃金の1日分の半額以内で、月給の10分の1以内の減給は可能となります。

→減給は効果的な制裁方法ですが、運用は慎重に行う必要があります。就業規則等制裁規定を設ける場合は、制裁される具体的な項目の適否を事前に調べておくと良いでしょう。また、減給規定については、その額についてきちんと定めておくことも大切です。

幸いにも刈谷市のホームページ業者さまのトラブルはそれほど大事にならず、再発防止策をマニュアル化することで解決出来そうでした。

トラブルは発生しそうな時、直後にご相談いただければ最善手が打てます。こういった相談を専門家にできるかどうかも経営者の手腕だといえますね。

管理職の割増賃金

2013.09.10

豊明市の水産加工業のオーナーからご質問いただきました。

 

【Q】
管理職者には割増賃金は不要なのか。

 

【A】
実態が一般社員と変わらなければ、割増賃金を支払う必要があります。

 

(解説)

労働基準法第41条で次に該当するものは、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないこととされています。

①    農業・水産業に従事する者

②    監督または管理の地位にある者

③    機密の事務を取り扱う者

④    監視または断続的労働に従事する者(労働基準監督署長の許可が必要)

 

つまり、②に該当する管理職者に「割増賃金を支払わない」ということを就業規則で明記しておけば、時間外労働や休日労働を行わせても、会社は割増賃金を支払う必要はありません。

 

【監督者・管理者】

そこで、41条に該当する「監督または管理の地位にある者」と認められるかが問題となります。「監督または管理の地位にある者」とは次の要件を満たすものをさします。

 

①    労務管理について経営者と一体的な立場にあること

②    出退勤の時間が厳格な制限を受けてないこと

 

名称ではなく実態で判断します

名称では管理職者であっても、実態は①②に該当しなければ、労働時間等の規定は適用除外となりません。仮に、就業規則に管理職者に「割増賃金を支給しない」と規定していても、時間外労働や休日労働を行わせれば、割増賃金の支払いが必要です。

 

→管理職者に割増賃金を支払わない場合には、相応の手当を支給することが望ましいでしょう。昇給したら、給料が目減りしたなどという結果を招かないよう、十分な配慮が必要です。

豊明市の水産加工業のオーナーさま。ご質問ありがとうございました。

休日の出張旅行は休日出勤?

2013.08.20

安城市のITベンチャーのクライアントさまは、セミナー活動も事業のひとつとして実施しており、経営者以外のスタッフも講師として全国で講演していました。

ある日、私が安城のオフィスで経営者と面談をしていると、「スタッフの自己判断で前泊した際の時間を休日出勤として請求された」という話が出てきました。

しかし、使用者からの特別な指示がない限り、移動だけの旅行日は休日労働になりません。

 

(解説)

【移動時間=通勤時間】

移動時間は通勤時間と同じと考えられています。つまり、出張先までの移動は業務を遂行するために不可欠ですが、移動時間中は業務に従事しているとはみなされず、通勤時間と同じとされます。したがって、出張のために移動するだけの旅行日は、たとえ社員の休日であっても休日労働にはなりません。

 

【特別な指示とは】

しかし、移動中に貴重品を運搬したり、監視したりといった特別な指示があれば、移動時間も労働しているとみなされます。この場合、移動するだけの日も労働日です。

 

 

休日労働には36協定が必要です

会社が社員に休日労働を命じるには、36協定(労働基準法第36条の時間外及び休日の労働についての取り決め)の締結が必要となります。また、法定休日労働に対しては、通常賃金の3割5分増しの賃金を払わなくてはなりません。

 

→会社としては、なるべく休日にかかる出張をさせない等の配慮が必要です。なぜなら、休日に出張にかかる移動を命じられ、プライベートな時間を拘束された場合、出張をしていない同僚と比べて損をしていると感じる社員もいるかもしれないからです。たとえ法律的には労働時間に当たらなくても、感情的なことにも配慮したほうがトラブル防止になるでしょう。

 

やむを得ず命じなければならない時は、休日の振替を行うのが望ましいでしょう。また、出張手当(出張の必要費用を補填する目的で支払われる手当)などを支給するとトラブル防止につながります。

安城市のITベンチャーは若い経営者とスタッフで構成されているため、その時のノリで判断することもあります。このような若い力や行動力はとても力がありますが、それもコンプライアンスを守った上で成り立つことだといえますので、ご不安な点はぜひご相談くださいませ。

就業規則変更による賃金引き下げの話

2013.07.20

豊明市の製造業の会社から就業規則の変更依頼をいただきました。

経営面で少し苦労をされていて、変更の際に、会社が一方的に賃金などの労働条件を引き下げてよいかというご相談をいただきました。

労働条件の不利益変更にあたるため原則としては問題がありますが、程度や状況によっては引き下げも可能です。ただし、十分に説明する場を設けるなど慎重に行いましょう。

 

【不利益変更とは】
労働契約法第9条に「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と規定しています。言い換えると「合意があれば」条件引き下げもできます。

社員数が少ない会社であれば個別の労働者と面談し合意を得るべく説得することも可能かもしれませが、ある程度以上の規模の会社では実質的に不可能となるでしょう。この場合、就業規則の変更という形式で社員にアナウンスする事になります。

では、その就業規則変更が有効になるのはどういうときでしょうか。

 

労働契約法10条には以下のように規定されています。
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使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
---------------------------------------------------------------------------------------------------

この条文から読み解くと、以下を事前に十分検討した上で引き下げを行う必要があります。

  1. 労働者の受ける不利益の程度が、状況としてやむを得ないかどうか
  2. 労働条件の変更の必要性が本当あるか(主に経済事情、会社の財務状況、著しく世間軒順に逸脱した状態を是正する必要性など)
  3. 変更後の就業規則の内容は、状況として妥当であるか
  4. 説明手順をきちんと踏んでいるか、一方的すぎないか

 

特に賃金引き下げについては反発が予想されます。豊明市の製造業界に限らず、国の政策などによって景気の動向が大きく変わる業界に関しては、経営者の自己判断でなく、ぜひ経営者にもご納得いただく説明が必要になりますので、ぜひともご相談ください。

残業代の定額支給はアリ?

2013.07.12

毎月定額の残業代を支払うこと自体は合法です。
ただし、実際に残業した時間に対して労基法で定められた割増率が定額残業代に含まれていることが必要です。

今回は安城市の保険代理店の経営者さまから以下のようなご質問をいただきました。

「定額残業代より多く残業した社員はどう扱えばよいのでしょうか?」

その場合、差額分の残業代の支払いが必要となります。社内ルールで残業上限時間を決めるなど、労働時間増加を抑制する取り組みを検討しましょう。

 

【残業代(時間外労働にかかる給与)】
会社が定める所定労働時間を超えて働く場合、その分の残業代支払いが必要です。またその残業が法定労働時間を超えている場合、通常より割増して支給をする必要があることはご存じのことと思います。

 

サービス業など一部の業種では、

  • 1日8時間
  • 1週40時間(44時間のこともあり)

という法定労働時間内に労働時間を抑えることが難しく、残業が常態化してしまうこともあります。そのようなときによくとられる選択肢が定額残業代という支給方法です。

 

【定額残業代とは】
定額残業代(固定残業手当・残業見合い手当など)とは、1ヶ月の見込残業時間数を元に残業代を計算し、固定的手当として支給するものを指します。

例)1日1時間は常に残業をしている場合
1時間×月間22日出勤=22時間分の残業代を定額支給する

 

この場合、「定額で払っているから、追加での残業代は払わない」という理屈は通用しません。なぜなら、賃金は「事実としての」残業時間数に応じて支払わなければならないからです。先の例で言うと、タイムカード集計の結果残業時間が「25時間」であったとすると、その差(25-22=3時間)分の残業代支給の必要があります。

 

残業が常態化することは、労働者の健康面、人件費の面、社内モラルの面(時間生産性が低いダラダラ残業)などの面で弊害があります。その場合、以下のような取り組みで効率的な業務を奨励するとよいでしょう。

例)

  • 定額残業で見込んだ残業時間数を上限と社内で定める
  • ノー残業デーを導入する

残業が日常的に発生する場合以外にも、ご質問いただいた安城市の保険代理店さまのような業界や訪問介護などの業種は移動時間も多く発生するために注意が必要ですね。